(原 署)
手術 を受け る患者の術前不安 の理解 と看護援助
一受け持 った手術患者の事例研究 を通 して学生が学んだ こと一
林 優 子 岡崎 恵1) 角公美子2) 佐藤美恵
要 約
手術前の看護は,患者が安全 ・安楽 に手術 を受けるこ とがで き,術後の回復過程がスムーズにい くよ うに援助す ることである. その看護の一つ として術前不安 の緩和 に向けての援助があるO その人の不安 レベルに応 じた適切 な看護援助 を行 うためには,患者の不安 を正 しくアセスメン トす ることが重要にな る。看護学生に とって,患者の不安‑の理解 は,臨床実習の場 で,患者 を観察 した り,患者 と向 き合 っ て話 を交わ した り,ケアを行 った りす る体験 を通 して培われてい くものであると思われ る。本論文では,
2名の学生が行 った術前不安 に関す る事例研究か ら,客観的に分析す る方法 を用 いて患者 を観察 した り, 患者の話 を聞いた り,看護行為 を行 うことによって,術前不安 と看護援助の理解 が深め られ ることを論 述 した。
キーワー ド
: CABG
を受け る患者,右肺下葉切除術 を受け る患者,術前不安,術前不安‑の看護援助は じ め に
手術が患者に及ぼす影響 は,生体‑ の侵襲 のみ ならず,不安や恐怖 といった心理的反応 をもた ら し, それ らは手術後の痔痛の程度や 回復過程 に大 きく影響す る。
したがって,患者が安全 ・安楽 に手術 を受け る ことがで き,術後の回復過程 がスムー ズにい くよ うに,手術前に,手術 に対す る心理的準備 に向け ての予期的指導がなされている。適度の不安 は学 習効果 をもたらす と言われているように,予期 的 指導 とは,予測 され る出来事が実際に危険になる 前に予期 的心配 をさせ て,指 導 を行 うこ とであ る1)。それ らは現在,術前オ ))エンテ‑ シ ョンや術 前指導 として行 われているものである。
その ような看護 を効果的に行 うためには,患者 個々の不安 の程度に応 じた看護 を提供す るこ とで あ り,そのためにはまずその患者の不安 を正 しく アセスメン トす ることが重要 になって くる。 しか
岡山大学医療技術短期大学部看護学科 1)岡山大学医学部附属病院
2)島根県立総合看護学院
し,経験の浅 い看護学生は,手術 を目前 に してい るに もかかわ らず不安 はない と言 う患者や,何 ら 不安 を訴 えない患者に対 して,術前不安 をどの よ
うに捉 えていけば よいのか戸惑 うことが多い。
本論文 では,二人の学生が行 った手術 を受け る 患者の術前不安 に関す る事例研究 を提示 した。 そ して, それ らを基に,客観的,論理的に分析す る 方法 を用 いて患者 を観察 した り患者の話 を聞いた り看護行為 を行 うことに よって,術前不安 の理解 が深 ま り,看護援助が適切 にな り得 ることを論述 す る。
手術 を受 ける患者の不安の理解
患者が抱 く不安や恐れや悲嘆のような人間の主 観的な感情 を理解す るには, その人の生命や生活 を全体的に捉 えて,患者が どの ような状況におか れているのか を判断す るこ とが必要 になる。 その ためには,その人の感情 をわか り合 える患者 ・看
護婦関係 を作 ることと, その人 を取 り巻 くことが らを多面的に捉 えることが非常に大切 になって く る。
人は,他者の中に 自己投入で きた とき, また他 者 であるその人によ り近づ くことが できた 自分 を 感 じた とき,他者の気持 ちがわか るとい う体験 を す る。看護婦 は患者の中に 自己投入で き,患者 自 身に 目が向いた とき, その人の不安 を感 じ,共 に 不安 をわか り合 える関係がで きてい くものである と筆者 らは考 えている。そのわか り合 える関係 に おいて,看護婦は不安 な行動 として表れた意味の ある患者の言動や表情, あるいは患者が発 した言 葉か ら患者の不安状態 を読み とり,個々の患者の 背景 をふ まえて不安 の内容や不安 の程度 をアセス メン トしてい くことになるO その ような看護能力 は,知識 と経験 との蓄積 によって培 われてい くも のであると思われ るが,学生は臨床場面で生 じた 看護 の現象 を客観的に分析す ることによって,忠 者の不安 に気づ き,理解 を深めてい くようになる
もの と考 えられ る。
手術 を受 ける患者 を受 け持 った学生の事例研 究 始めに紹介す る岡崎恵の事例研究は,手術前に 明 る く振 る舞 い続 けていたNさんが,手術後 に ICU症候群 を起 こし,せ ん妄状態が続いたことか ら,手術前のNさんに適切 なケアがで きていたの だろうか と疑問に感 じて行 った術前不安 の分析 で ある。次に紹介す る角公美子の事例研究は,手術 前に不安 を表 出す ることな く,手術後 も心身 とも に安定 していたKさんに対 して,不安 をみせ ない Kさんをどのように理解 していけばいいのだろ う か と疑問に感 じて行 った術前不安 の分析 である。
1.CABGを受 け る受持 患者の術 前不安 とその 看護一術後ICU症候群 を来 した患者 を通 して‑
1)は じめに
心臓手館 を受ける患者は不安が強い と言われて いる。今 回,冠状動脈バ イパス術 (以下,CABG と略す)を受け,術後にICU症候群 を来 し,強い せ ん妄状態が続いた患者 を受け持 った。 そこで本 研究は, その患者が術前に どのように不安 を表 し
ていたか を明 らかに し,術前不安 に どう対応 して い くのが望 ましいか を検討す ることを目的 とした。
2)研究方法
期 間は,平成8年6月24日か ら7月11日までで あるo方法 は,術前C7)患者に関す る看護記録や患 者情報 を基に,術前の患者の状況や言動や様子 と, 看護行為 を経時的に分・析す る。
3)事例紹介
[患者]N氏,68歳,男性 [診断名]陳旧性心筋 梗塞 ・狭心症 ・心室性期外収縮 ・うっ血性心不全 [術式]CABG 3枚 [家族構成]妻 と長男 との3 人暮 らし (妻がパー キンソン病 で車椅子生活のた め,妻の介護や家事 は全 て本人が している) [性 格]本人は 「明 るい前向 き」 といってい る。客観 的に見れば,責任感 は強いが 自己中心的で,一方 的に人の世話 をや くところがある。 また強が りで ある。スタッフの間ではタイプAと言われていた。
[入院 までの経過]S49年 と52年 に急性心筋梗塞 を 発症。本年6月24日にCABG目的で,0大学病院 心臓血管外科病棟 に入院 となる。
4)結果
入院か ら手術 までの患者 と筆者の言動や,患者 の様子 などを表 1に示 した。 それ らを分析 した結 果,以下のことが明 らかになった。
1日目 :恐怖心 を表現 してい る
入院時の心電図検査 中に
VT(
心室頻拍)が出現 した。当 日,N氏は 「手術 の ことを考 えると怖 く て夜 も眠れない」 と述べ ていた。2日目 :自分 らしさを保 とうとしている
N氏は筆者が手術 に付 き添 うことを拒否 してい た。初 めN氏は不安 を否定 していたが,筆者の「漠 然 とした不安 は誰 にで もあ ります よね」 との声か けに,「漠然 とした不安 はあるけ ど,外 は明 るう楽
しゅうしとかん と」 と答 えた。
3日目 :自分 らしさを保 とうとしている
N氏 よ り「手術 に立 ち会 って くれ ると心強いわ」
との発言がみ られた。夜,主治医か ら手術 につ い て とて も危険 を伴 うものであるとい う説明が され た。 その説明に対 して 「お任せ します」 とい う言 葉が聞かれた。同席 していた長男 と筆者に対 して
「早 よう帰れ, ええか ら」 と強が っていたo Lか
表1 入院か ら手術 までの経過
日 時 そ の場 の状 ラ兄 .筆 者 の 言 動 患 者 の様 子 .言動
6月24日 入 院 時 のECG検 査 中 にVT(心 室 頻 拍 )が起 こ るが, 自覚 「3‑ 4日前 か ら手 術 の こ とを考 え る と怖 くて夜 も眠 れ な い」
本 日入 院1日 目
6月25日 呼 吸 法 につ い て指 導 を行 うo 「また教 えてや って下 さい○ よ ろ し くお願 い します 」
2日 目 学 生 と して, 手術 を見 学 させ て頂 くこ と をお願 いす るO 「あん た手術 につ いて来 るんか一 〇恥 ずか しい なあoつ いて来 ん で え えわ」
手 術 に つ い て ど う思 って い ら っ しゃ るのか 尋 ね る○ (診先 生 は 手術 の こ とを簡 単 に 言 うO 近 所 の 人 や 経 験 者 は 『今 は痛 み止 (》手術 , 怖 くな い です か ? め が あ るか ら痛 くな い』 言 つ とつ た け ど, 先 生 はす ごい痛 い と言 う と
③ 何 が 一 番 不 安 です か ○ (つ た○ 手 術 につ い て 周 りの 人 に 聞 い て, 怖 い な あ と思 つ8参い いや , 不 安 は な い わO
⑤ で も何 とな く, 漠 然 と Lた不 安 は誰 に で もあ ります よね . ⑥ うー ん ‑ そ りゃ心 の 中 で はや っぱ り漠 然 と した不 安 は あ るけ ど, 外は 明 る う楽 しゅ う し とか ん と○ 不 安 の 少 し上 に 明 る さが あ るん です わ○
6月26日 呼 吸機 能 検 査 「昨 日晩考 え とつた んや け ど,最 後 まで手 術 に立 ち合 って くれ る と心 強
3日呂 うが いの 必 要 性 を話し, うが い をす る よ うに勧 め るo い わ」
主 治 医 よ り, 手 術 の 説 明 が行 わ れ るq (約1時 間半 ) 「ク‑ ラー が効 きす ぎて寒 く, 少 し息切 れ が した」
開始 時 間 につ い て 医 師 .患 者 の 間 の 意 志 疎 通 が う ま くい ・初 め はふ ざけ て 聞 い て い たが, 次 第 に真 剣 に な るo 自分 か ら質 問 し つて い なか つ た ため , そ の こ とで 口論 とな っ たo て い る○ 本 当 はパ ル ン ポ ンプ な ど聞 い て, 内心 シ ョ ッ クな様 子 なの に「は い は い」 と平 気 そ うに して い る○
説 明後 筆 者 は残 り, そば に座 り 「難 しい説 明 で した ね」 と ‑ 「外 来 で は (「先 生 に お任 せ します 」 表 情 は 暗 いo・説 明後 , 同席 して い た長 男 と筆 者 に 「早 よ う帰 れ, え えか ら」と言 うO外 来 の) 先 生 に, パ ー つ と切 ってバ ツパ とつ な ぐ簡 単
話 しか け るo が 見 られ るoな手 術 だ と言 わ れ たO そ れ に, 手 術 しなか つ た ら後とい わ れ て, 決 心 した の にQ い ま さ らそ ん な事 言 わ れ て も‑.3年 .した ら」 と迷 い10年 6月27日 AM3:00頃 よ り, 息 苦 しさ出現 しい っ た ん 良 くな るo 「突 然 咳 込 み , 息苦 し くて 目が覚 め たD 濃 て い られ な くて座 って い たO
手 術 前 日 少 し歩 くとよ くな っ た」
AM8:00 医 師 の訪 室 O 回診 まで待 つ よ うに 言 わ れ る. 朝 食 0割 て い たo・朝 次 女 か らの 電 話 で, 仕 事 を休 ん で つ き添 うよ う, 荒 い 口調 で話 し
AM8:30 T35胸 痛 (‑)‑ 医 師 .看 護 婦 に報「楽 に な る よ うに, 何 か して も らい ま し ょ うか ?」と問 いかけ る○.5℃ P97 R20 BP135/85告 起 座 呼 吸 咳 (+) 問 い か け に 「何 とか な るの な ら何 とか して欲 しい」 と答 え るo AM9二00起 座 呼 吸 呼 吸 困難 強 くな るO 鼻 腔 カニ ユ‑ レ と マス ク を見て 「マ ス クの方がかつこえ え な あq マ ス
右 下 肺 部 雑音
BP132/66 P125 S02 2且投 与 後‑ SPO296PO2 93%% クが え え」 と, 周 りの 人 を笑 わ そ う とす るo Lか し表 情 は苦 しそ うo AM10:00主治 医 訪 室 「こん な状態で明 日本 当 に 手術 するん です か ?」 「赤色対 明 日手術 で す よ 屑 呼 吸 咳 (+) 職 場 (+) R28 ね」 と主 治 医 に念 を押 して い るD ‑ 「こ ん な状 態 だか らこ そす るの で 発 汗 ひ ど く, 起座 位 で な い と呼 吸 困難 o す o 緊 急 が 入 らな い 限 り, 明 日行 い ます 」
「こん な に しん どい の に, も う手術 や こ し と うな い な あ」イ ラ イ ラ して い るE,
・ソ リタT3,500TD且 .ニ トロタ‑ ムTTS
不 安 .緊 張 が 強 い様 子 C
AMll:00尿が 出 だ して, 症 状 や や 改善D SPO294%‑96% 「ほんまに しん どか つ た.薬 をや め たか らだ○ 自分 が一 番 わか る○あ ん パ ル ン よ り尿 漏 れ が あ り, パ ル ン抜 去 o ソ リタT 3ス ト/
更 衣 を して, 個 室 ‑ 転 重o わか るけ どな あ」
PMO:00T36.5℃ P73 R22BP108′52ラ シ ッ クス20mEiv 「3時と 8時半は,ほんまにしん どか つた」と繰 り返 し話 す O 楽 に な つ
02 3且投 与 SPO298%‑100%
呼 吸 状 態安安 静動 作 時暗 :S:SPO294%〜96%定PO298%‑100%
昼 食 0割 て か らは表 情 よ く過 ごせ る8
PM1:30落ち① 昨 日先 生 に, 色 ん な事 を説 明 して頂 い て 少 し不 安 に な り (着いてきた よ うなの で, 会 話 する○ さそ りや最 初 の 説 明 と違 うか らな あ, 不 安 に もな るわD
ま したか ? ④ そ ん なん も う決 ま つ と るか ら, (手 術 を) す る しか な いや んO
③ (手術 を) や め た い と思 い ま したか ? (むで もち ゃん と説 明 して くれ る方 が , 不 安 な面 もあ るけ ど, え え で す
⑤ 手 術 を決 め る前 に 説 明 して も らえ た ら良 か つ た てす ね. 細 か い 説 明 だ っ た し‑‑o 説 明 して くれ るの と説 明 して くれ や ろね o
な いの と, どち らか 良 か つた で し ょ うね○昨 年 の 説 明 につ い て, 覚 えて い る所 を確 認 し, 忘 れ て い ・そ わ そ わ して, あ ま り話 を聞 い て い な い○ 耳 に入 って い な い様 子8 る所 は再 度 説 明す るo ま た手 術 室 に行 っ て か ら どの よ うに 「(昨 日の 説 明 に対 して) そ うや つた か な あ」
搬 入 され るか 説 明 し, 私 も急 い で着 替 え て ル ー ムへ 行 く事 「心 細 いか らず つ と側 に い て下 さい.あ ん た,超 特 急 で着 替 え て釆 な あ
を伝 え るo か ん で」
P M2 : 3 0
手術 当日のEI程を説明し,術野に合 わせ て 除毛 .清拭するC 「な さけ な い格 好や な あ」 「ち ょっ と待 って, しん どい わ」仰臥位では呼吸困難となるため, ベ ッ ドを ギ ヤ ツジアップ 息苦 し さ を訴 え る○
して看除毛護中婦 と体 を動か3人すと,Sで手早く行PO293% 〜94% に下 が るOう○ とて もつ らそ うに 目 をつ む って い るo
夕方
6月
2 辛 8 . 術当日 日
「なかな良 く眠 れか家族ましがた来ない○か?」 「まあ まあ 眠 れ た」「何 し とるんや ○息 子 が 千 葉 か ら来 る娘 を駅 まで迎 え に行 つ と るは ず 杏 秦 .息子 .娘 2人が来たC んや け どな あ」学生 とし て付 き添う事を家族の方 々 に あ い さつ し, 暗 そ う 「景色好 調 . 全 然 緊 張 な んか せ ん 」 に してい る奥 さんに「奥様も励 ま して あ げ て下 さいね 」 と 家 族 を前 に一 人 明 る く振 る舞 って い る○
言ったO奥さんは「自分の体の事 だ け で精 一 杯 な の に,人 「わ しの事 は心 配 せ ん で え え○ 大 丈 夫 , 大 丈 夫 や 」
の事 まで は.‑‑」とつぶやいたD 「けO金はわしが出しちやおまえら長いんや か ら, 待 つ と る間 に何 か う ま い もん で も食 い に行る」 な ど, 多弁 o
「もⅠ最後 まCUへ もで ,行見きまさせて頂すから」きますね○頑張って下さい○土.日「最後までしっかり見てなOそ りゃ ICU に も釆 な あか ん口 約 束 や で」
し,その後筆者が 「とて も難 しい説明で したね」
と声かけ をす ると,「外来では簡単な手術 といわれ たQ説明が違 う」 と訴 えたO
手術前 日 :落 ち着かず,集 中で きていなと :不安 を言語化 している
明け方,心不全症状が出現 し呼吸困難 を生 じた。
心不全症状が落 ち着いて きた頃,昨 日の説明につ いてN氏が覚 えているところを確認 し,忘 れてい るところは再度説明 した。N氏は忘れていること が多 く,落 ち着かず,耳に入っていない様子だっ た。 しか し筆者は計画通 りに術前オ リエンテー シ ョンを行 った。手術室に付 き添 ってい くことを伝 えると 「心細いか らずっ と側 にいて下 さい」 と述 べ た。
手術 当 日 :自分 らしさを保 とうとしている 家族に対 して「大丈夫や」「何か うまい もんで も 食いに行 け」 と明 る く振 る舞 い, 多弁 であった。
家族に心配 をかけまい として,強が っているよう に見 えた。筆者が手術 を最後 まで見 ること,術後 の土 ・日も
I C
U に行 くことを約束 した。上述 した結果 をまとめてみ ると, まず入院時に 訴 えた手術 に対す る恐怖,そ してVTの出現は患 者の不安 の表れであった。 2日目の 「漠然 とした 不安 はあるけ ど,明 るう楽 しゅうしとかん と」 と い う言葉, 3日目の「早 よう帰れ, ええか ら」,辛 術 当 日の 「何か うまい もんで も食いに行け」 とい う言葉 は,明 る く振 る舞 い,他人 を気づか うこ と で, 自分 らしさを保つ行動 であった。 しか し,筆 者が手術 に付 き添 うことについて, 1日目 「つ い て来んでええわ」,2日目「立ち会 って くれ ると心 強いわ」,手術前 日「心細いか らず っ と側 にいて下 さい」 と変化 していった。 この ように不安 は続い ていたが,次第にそれ を言語化す るようになって いった0
5)考察
上述 した分析結果か ら\ ,N氏は入院時か ら強い 不安 をもっていたことがわか ったoVT患者は不 安が強いこと, またス トレスは致死的不整脈の発 生要 因 とな る2)と言われているよ うに, 1日目に VTが起 きていた とい う事実か らその不安 はかな
り強い ものであったことが推測 された。
N氏は入院時 「手術のこ とを考 えると夜 も眠れ ない」 と恐怖心 を訴 えていたが, その後 は手術前 日まで不安や恐怖 を言葉 として表現す ることはな か った。 そのこ とについて考 えてみ ると,N氏は 妻の介護 を行 い,長男の世話などの家事全般 を行 うとい う役割があった。責任感の強いN氏は,父 親的 ・母親的役割 をもつ存在 として家族に迷惑 を 掛けた くない とい う気持 ちが強 く,手術 を控 えて 不安が高 まっている時 も,何 とか 自分 らしさを保 とうとしてお り, そのことが感情表現 を抑制 させ るこ とになっていた もの と思われ る。
3日目の 「お任せ します」 とい う言葉 は一見, 手術 に対す る前向 きな発言であるように思われた。
しか しこれは,不安が増強 したこ とによっで情緒 を安定 させ るために取 った対処 であった と考 えら れ る3)。主治医か ら手術 は とて も危険 を伴 うもの であるとい う説明 を聞いた後,N氏は筆者の声か けに 「外来 と説明が違 う」 と訴え, その後 も同 じ こ とを度々訴 えていた。繰 り返す訴 えは,N氏の 不安 の表れであると思われた。医師による手術の 説明の後に声かけ をしたことは,何 で も訴 えられ る雰囲気 を作 ったことにな り,不安 の表出を促す ための適切 な援助 にな り得 た と考 えられ る。
また,K氏は家族 に心配 をかけ ることを恐れた ために,家族には強気の態度 を見せ ていた と思わ れ る。 しか し, その分 身近 な筆者に不安 を訴 える ようになったことか らも,不安 の表出を促す よう な声かけが大切 であることが明 らかにされた。
手術前 日に,N氏は3日目に行 なわれた手術の 説明 をあま り覚 えてお らず,再度の説明の間 も落 ち着かず,耳に入 っていない様子がみ られていた 時,筆者は計画通 りに,半ば無理や り術前オ リエ ンテー シ ョンを行 った。 この ことは,手術 とい う 脅威の現実 を回避 しようとしているN氏に現実に 目を向け させ るこ とにな り1),脅威 をよ り強化 さ せ不安 を増大 させ て しまった と考 えられ る。術前 オ リエ ンテー ションは不安 を軽減 させ ることが 目 的であ り,患者に とって よ り効果的なオ リェ ンテ
‑ シ ョンにす るためには不安状態 を適切 に把握 し た上 で行 うことが大切 であると思われ る。
手術 当 日,患者 と手術後に
I C
U で会 う約束 をしたこ とは,手術 の成功や筆 者に支持 されてい る と い う確信 を患者 に持 たせ るこ とが で きた もの と考 えられ る。
手術後,N氏はICU症候群 を起 こ して しば ら く 不安定 な状態が続 いた。 それが手術 前の不安 とど の程度関係があ るのかは明 らか ではない。 しか し, 術前不安 が手術後の回復過程 に影響 を及ぼす こ と が考 え られ るこ とか ら,手術前 に患者 の不安状態 を的確 に捉 えて適切 な看護援助 を行 っておれば, 手術後 の患者の経過 に違 った影響 を与 えたか もし れない と推測 され る。
看護 は, その時 その場 で適切 な看護 ケア を提供 す るこ とが必要 であ る。 そのためには,患者の言 動 だけではな く身体症状 な どを注意深 く観察す る こ と, そ して得 られた情報か らその人の不安状態 を早期 に正 し く判断す るこ とが求め られている と 思 われた。
2.術前に不安 を表 出 しなか った受持 患者 の言動 の分析‑AguileraとMessickの問題解 決 モデ ル
を用 いて‑
1) は じめに
肺癌 の手術 を受 け る患者が,手術前 に何 ら不安 を表 出す るこ ともな く安定 し,手術後の精神状 態 も順調 な経過 をた どった患者 を受け持 った。
そこで本研究 は,手術前の患者の言動 を分析 し て,不安 を表 出 しなか った患者が どの ように手術 を受 け とめ,不安 に対処 していったのか を明 らか にす るこ とを目的 とした。
2)研究方法
期 間は,平成8年9月17日か ら9月24日までで ある。方法 は,術前患者 と家族 との会話 の場面 を プ ロセス レコー ドに とった。す なわち,(∋手術 (疾 忠) をどの ように理解 しているか,不安 はないの か を聞いた場面,②K氏が,以前に罷 った疾 患, 現在 内服 中の薬 につ いて述べ た場面,③家族 のサ ポー トシステムにつ いて聞いた場面,④健康 管理, 健康認識 につ いて聞 いた場面,⑤術 前の呼吸訓練 の指導 をしてい る場面,⑥家族 にK氏の普段 の様 子 を聞いた場面,⑦ 困難 に直面 した ときの対処 方 法 を聞いた場面, の7場面 であ る。
それ らの 内容 をAguileraとMessickの問題解 決 モデル4)に基づ いて分析 した。さらに,そのモデ ルに示 されてい る対処機制 につ いては, 岡谷の コ
‑ ビング様式3)に基づ いて分析 した0 3)事例紹介
[患者]K氏,69歳,男性 [診断名]肺癌 (腺癌) [術式]右 肺下葉切 除術 の予定 [家族構成]妻 と 長男の三人暮 らし [職業]現在 は,娘婿 の仕事 (大 工)の手伝 い を してい る。 [性格]本人は我慢強 い,家族 はお とな しい と感 じてい る。 また 自立心 が強い。 [自覚症状] な し [現病歴]平成8年 7月,検 診 で胸部 レン トゲ ン上異常陰影 を指摘 さ れ, 8月, 岡山県の診療所 を受診。気管支鏡検査 を施行 し細胞診のClassV,腺癌 と診断 され,同大 第二 内科 を受 診
。CT
にて腫 疫 を指摘 され手術 目 的で第二外科病棟 に入院 となった。4)結果
AguileraとMessickの問題解 決 モデル に基づ いて分析 した結果
,K
氏は三つのバ ランス保持要 因,す なわち事件 の現実的 な知覚,適切 な社会 的 支持,適切 な対処機制が存在 していた (図 1)0現実 の知覚 では, 「胸 に悪 い ものがで きとって, ほ っておいた らもっ と悪 くな るらしい」「悪 い もの な ら手術 を して早 くとって しまった方が いいか ら ね」 と述べ ていた。毎年受 けていた検 診で
,
Ⅹ線 上 昨年 にはなか った影 を指摘 され,悪 い ものがで きたんだ と認識 していた。 この よ うにK氏は,辛 術 が 自分 に とって必要 であ り,手術 をしたほ うが 良い とい う現実 問題 を直視 で きていた。適切 な社会 的支持 では,K氏は困難 に直面 した とき 「(ス トレス を)自分 の中にためてお く」と述 べ ていた。普段か ら苦 しい とか辛 いな どの感情 を 言葉 に表 さないよ うであった。 自立心 の強い人 で 家族 に頼 る とい う姿勢 はみ られ なか ったが,妻や 看護婦 であ る娘 は,患者の健康 面 に気 を配 った り, 患者 に代 わ っで 情報 を集め た りしていた。 同室の 患者 は手術体 験 を話 した り,手術 に対 しで 怖い と い う気持 ちを持つ こ とは人間 として普通 なんだ と 言 うこ とをK氏に話 した りしていた。K氏は同年 代 の同室患者の話 に素 直に耳 を傾 けていた。
適切 な対処機制 では, 「ほお ってお いて悪 くな
K氏,69歳,男性,肺癌 (腺癌),右肺下葉切除術の予定
・毎年受けていた検診で,異常陰影を指摘されたo自覚症状はないo
肺癌の診断.・‑ 均 衡 状 態
不 均 衡 状 態 ?
均衡回復への切実なニー ド
‑ 手術を受けなければならない
バランス保持要因が存在している
事件に対する 現実的な知覚
適切な 社会的支持 適切な
対処機制
「胸に悪いものができ,放っておいたらもっと悪 くなるなら手術 した方がよい」と,疾患と手術を受けることを受容 している。
妻をはじめ,看護婦である長女と,その夫でK氏と同じ職場の娘 鰭,また同室の患者が主な社会的支持となっていた。
問題状況の再認知,おまかせ,回避,問題と取 り組むといういく つかのコ‑ビング様式が用いられていた。
不 安 の 軽 減
危 機 回 避
図1 AguileraとMessickの問題解決モデルに基づいて分析 した図式
るんだ った ら手術 をした方が よい」「前 の手術 の時 も術後 の痛 み とか大 丈夫 だ ったか ら,今 回 も大 丈 夫 だ ろ う」 と述べ,手術 とい う脅威 的 な出来事 を 肯定 的 に認知 し直す とい う問題状 況 の再 認知 を用 いていた。 「もうまな板 の鯉 じゃ」 「先生が決 め た 手術 は, 自分 が変 えてほ しい と言 って も簡単 に変 られ る もんで もない し, しょうが ないわ」 と, 医 師の言 われ る とお りに従 うとい うお任せや,諦 め て任せ る とい うお任せ がみ られ た。「来年 にな った ら肺癌 は遺伝 子治療 が で きるよ うにな るみ たいだ ね。 もう一年遅 か った ら切 らな くて も良か ったの に‑」 とい う発 言が一度 だけ聞かれ た。 手術 とい う脅威 か ら一 時 で も逃 れ たい とす る回避 を用 いて いた。K氏は病気 を契機 に禁煙 を実行 した とい う 経験 を持 ってお り, 自宅 で も手術 に備 えて体 重 の
自己管理 を行 って いた。 入院 中は術 前 の呼吸訓練 も自ら積極 的 に行 っていた。 この よ うに,K氏は 自分 に とって重要 で あ る と思 われ るこ とは必要性 を理解 して, 問題 と取 り組 ん でいた。
5)考察
AguileraとMessickの 問題 解 決 モデ ル のバ ラ ンス保 持要 因の一つ であ る事件 の現実 的 な知覚 は, 事件 とス トレスに よ り生 ず る感情 との関係 につ い て認 識 を促 し, 緊張 は減少 に向け られ る5)と述べ られて い る。K氏 は,肺癌 とい う自分 の病 気 を悪 い もの であ り, それ を手術 で とるこ とは 自分 に と って良 い こ とであ る と理解 し, 手術 の現実 的 な知 覚 が で きていた。 したが って 自分 の 中に,不安 が 表れ ていて も, それ は手術 の ため であ る と認識す るこ とで, 緊張 を減少 させ て いたのではないか と
考 えられ る。
次に適切 な社会的支持 について述べ ると, ソー シャルサポー トは,強い支持的な関係 を持 ってい る人ほ ど,環境か ら生ず るス トレス と上手 く立 ち 向か えるとか,人が刺激に対 して認知的評価 をす るときに,社会的支援の有効性が認知 され ると, 刺激の脅威的意味 を緩和す る6)と述べ られてい る。
K氏の社会的支持 としては,妻 をは じめ看護婦 で ある長女, また同室の患者が主 となっていた。 し たが ってK氏に とって,彼 らの存在がス トレスに 強 く立 ち向かえる因子 となっていた と考 えられ る。
その上
,K
氏は彼 らの存在や援助 を, 自然に受け とめ ることがで きていたことか ら, それによって 手術の もつ脅威的意味 も緩和 されていたのではな いか と思われ る。最後に適切 な対処機制 であるが,佐藤7)は,強い ス トレス状況で情緒的安定 を維持す るために用 い る対処機制は,活用で きる対処機制が多いほ ど効 果的であると述べている。K氏は対処機制 として, 問題状況の再認知,お まかせ, 回避,問題 と取 り 組む とい うい くつかの コ‑ ビング様式 を上手 く用 いていたことか ら, それ らがK氏の不安 に対 して 効果的に働 いていた と考 えられ る。一時的には, 回避 とい う消極的なコ‑ ビングも用 いていたが, 問題状況の再認知や手術 を受容 した上 でのお まか せ,問題 と取 り組む といった前向 きをコ‑ ビング が大部分 を占めていたこ とで,K氏の用 いていた コ‑ ビングが適切 な対処機制 にな り得 ていた と思 われ る。
以上のことか らK氏の場合,手術前に不安 がほ とん ど見 られなか ったのは,不安がないのではな く,手術が現実的に知覚 されていたこ と,適切 な サ ポー トがあったこと,患者 自身がいろいろな不 安 を上手にコン トロール していたか らであるこ と が明 らかにされた。K氏のような患者へ の援助 は, 患者が 自己コン トロールで きていることを評価 し 支持す ることや,励 ました り勇気づ けた りして見 守 ることが大切 であると思われた。
事例研究 を通 して理解 を深めた術前不安 とその看 護援助
上記に示 した学生の事例研究の結果か ら,経験 の浅 い学生 であって も,客観的に分析す る方法 を 用いて患者 を観察 した り患者の話 を聞いた り看護 行為 を行 うこ とに よって,患者の術前不安 の理解 が深 ま り,看護援助が適切 にな り得 ることが明 ら かにされた。
患者の術前不安 の理解 では,不安 の内容や不安 の程度 を正 しくアセスメン トしてい くためには, 患者に関す る情報 をどれだけ広 く把握 しているか が鍵 になると考 えられ る。
人間の不安 につ いてFischer8)は,不安体 験 を
「自分 の世界 と同J 性の喪失」 として捉 え, そこ には孤独 の恐怖感があると述べ ている。 そ して, 何 に直面 して不安 であるかの何 は「その人の世界」
であ り, それは単独 の出来事 ではな く,過去,将 来,他者 との関係性 な どた くさんのこ とが掛か っ ていると説明 している。
患者の手術前の不安 をFischerの定説か ら説明 す ると,手術 を受 け る患者の 「その人の世 界」は 手術 とい う危険にさらされた世界 と結びつ いてい る。 したが って, その患者に とっての不安体験の 焦点は手術 とい うひ とつの出来事 であるが,患者 が直面 して不安 になるのは蓋然的な手術結果 とい
うことになる。つ ま り手術結果 には麻酔後の覚醒, 家族 との関係,社会的役割,傷跡の美醜などその 人 を取 り巻 く様々なこ とが掛か っているか らであ る。 また 「その人の同一性」 につ いて言えば,忠 者は,手術 とい う危険にさらされた世界 と結びつ いている 「その人の世界」の中で, 自分 が 自分 ら しくあるために 自己 自身 を維持 しようと格 闘 して いる状況にあるといえるのである。 この ように, 手術 を受け る患者が抱 く不安 は,患者 を取 り巻 く 状況に掛か って体験 されているわけであるか ら, 患者の背景 を十分把握 して,不安 の内容 を理解す るための洞察がなされなければな らない。
Lazarus9)は,不安 はス トレス を受けた人がその ス トレスをどの ような意味 をもつ もの として受け とめ るか とい う, その人の認知的評価 を介 して生 じると述べ ている。
SpielbergerlO)は,認知的評価 は個人の経験,坐 活史,性格,感情によって影響 を受 け るこ とや, 認知的評価 に影響 を与える性格不安 と,認知的評 価 の結果 として生ず る状況不安 を区別 して用いて
いる。
LazarusやSpielbergerが示 した ような認知 的 評価や性格不安 は,手術 を受け る患者の不安 の程 度 を理解 しようとす るときに役立つ重要 な個人の 特性 である。
また,水 口ら11)は,癌患者 を対象に した研究にお いて,女性 は 自分や家族の病気 を危供 し現状 に と らわれやす く,男性 は社会 に強い責任 を痛感 し, 将来‑の展望 に も考 えが及んでいたこ とを報告 し ている。そ して,身体疾患が身体 内部の ものであ るときは,漠然 とした身体的危機感 として感 じる ために葛藤や不安が外に表れに くい傾 向にあるこ とを示唆 している。
不安 の発生頻度, その程度 あるいは内容 は,上 述 した諸因子に加 えて,年齢,情緒的成熟度,辛 術の種類や部位,過去の手術体験,病状や手術 の 説明,家族関係, などによって も異 なることが述 べ られている1・12 14)0
二人の学生が受け持 った患者は術前不安 の程度 が個々に異なっていた。その差は疾患の違 い,身 体症状の有無,認知の仕方の違 い,性格 の違 い, 家族関係, などによるもの と考 えられ る。
そ して,学生は個々の患者の不安状態 を把握 し た上 でい くつかの看護援助のあ り方 を示唆 してい る。すなわち,患者の表情 ・言動 ・身体症状 な ど を注意深 く観察す ること,感情抑制の強い患者に は声 をかけ,訴 えや悩み をよ く聞 くことが大切 で あること,患者が現実 を受け とめているか どうか を見極めなが ら,その状況に応 じて適切 なケア を 行 うことが大切 であること,不安 を上手にコン ト ロールで きている場合 には,評価 し支持 した り, 励 ました り勇気づ けた りして見守 ってい くことな
どである。
さらに言えば,不安‑の看護援助の一つ として, 不安 の緩和 をはか るためにはその人の不安 の原因
を知 って, それ を取 り除 くように援助す ることが あげ られ る。そのためには患者が抱 く不安 の内容
を明 らかにす るこ とであ り, その ことを含めて術 前不安 を分析す ることが重要 であると考 えられ る。
本論文 では,手術 を受け る患者の術前不安 を理 解 し,適切 な看護援助 とな り得 るために,患者 と の看護場面や会話の内容 を客観的,論理 的に分析
してい くこ とに視 点 を当てた。 しか し一方で,不 安 を持つ患者の理解 には,不安 を持つ人の感情 を わか り合 える患者 ・看護婦関係が問われ る。患者 はその ような信頼関係があればこそ癒 され助け ら れ るのであるか ら,常に両者 を並行 させ て患者 と かかわることが重要 であろ う。
結 論
本論文 は,患者の術前不安や看護援助 を理解す るために,患者 との看護場面や会話の内容 を客観 的,論理的に分析す る方法 をとりあげた。
学生の行 った事例研究の結果か ら,経験の浅 い 学生 であって も, そのよ うな方法 を用 いて患者 を 観察 した り患者の話 を聞いた り看護行為 を行 うこ とによって,術前不安 の理解が深 ま り,看護援助 が適切 にな り得 ることが明 らかになったo
文 献
1)小 島操 子 :手 循 患 者 の 心 理 と支 援.看 護 MOOK IO:19‑24,1984.
2) 笠 貫 宏 :不 整 脈 とス トレ ス :ハ ー トナ ‑ シ ン グ 9:712‑718,1996.
3) 岡谷 恵子 :手術 を受 け る患者 の術前術後の コー ビング の分析.看護研究 21:26ト268,1988.
4)小 島操子 :不安 を伴 った患者‑ の援助 の技術.現代 の エス70)) 179:1561168.1982.
5)AguileraDCandMessickJM (小松源助,荒川義子 訳):危機療法の理論 と実際,川島書店,東京.79‑93, 1986.
6)NorbeckJS(羽 山由美子訳):ソー シャルサ ポー トに 関す る看護 の国際的研究の動 向.看護研究 20:180‑ 191,1987.
7)佐藤穫子 :AguileraとMessickの問題解 決 モデル に よる分析.看護研究 21:5ト62,1988.
8)FischerWF(長谷川浩,井下理訳):不安 の心理学 ; その理論 と体験.建 ぱ く社,東京,161‑188,1979. 9)LazarusRSandFolkmanS(本明 寛,春木 豊,
織 田正美監訳):ス トレスの心理学.実務教育 出版,東 京.39‑45,1991.
10)SpielbergerCD:Anxietyandbehavior.Academic Press,New York.1‑20,1966.
ll)水 口公信,鬼頭弥生,蝶間林一美, 中里克治 :手術前 13)水 口公信 :手術 前患者 の不安.医学 の あゆみ 145: がん患者 に対す る麻酔科 医の対応に関す る研究.麻酔 494,1988.
33:747‑753,1984. 14)小野勝三,続池静子 :STAIを用 いた心臓手術 患者の 12)水 口公信,蝶間林一美, 中里克治 :手術患者 におけ る 手術 前 の不安 とその分 析 第21回成 人看 護Ⅰ:191‑
不安尺度 と精神運動学習に関す る研究.心 身医 20: 194.1990. 293‑299,1980.
(Original)
Pre-operative anxiety and nursing care
- Through two students'case studies on surgical patients-
Yuko HAYASHI, Megumi OKAZAKI!), Kumiko SUMI2)and Yoshie SATO
ABSTRACT
Pre-operative nursing is to care and educate a patient so that he/she can undergo an operation at ease and in safety and recover quickly after surgery. One of the pre-operative nursing is to relieve anxiety. It's very important for pre-operative nursing to assess pre-operative anxiety and do the nursing action according to patient's anxiety level. Nursing student seems to have much understanding of pre-operative anxiety through observing a patient's behavior, talking with a patient, and caring a patient in clinical practice.
Two students'case studies on surgical patients are presented in this paper. This paper shows how they promote deeper understanding of pre-operative anxiety and the nursing care is promoted by observing the patient and listening objectively to what the patient says and giving appropriate feedback.
Key words: Coronary artery bypass grafting patient, Robectomy patient, Pre-operative anxiety, Nursing care
School of Health Sciences, Okayama University
1)Okayama University Hospital Attached to Medical School 2) Simane Prefectural Nursing School