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ら肥満や糖尿病の予防ができるのである 希少糖の持つ可能性は食品だけにとどまらない 希少糖 D-アロースは肝臓がんの細胞に加えたところ 増殖がおよそ半分になったという研究結果もあり がんの予防薬につながる研究も進められている こうした可能性があきらかになるにつれ 希少糖は 夢の糖 と呼ばれ 世間から注

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Academic year: 2021

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はじめに いま、自然界の中でわずかしか存在しない糖、 いわゆる「希少糖」といわれているものが注目 を浴びている。 平成27年3月3日~6日に、千葉県幕張メッ セで開催されたFOODEX JAPAN 2015 第40回 国際食品・飲料展の広大な展示場の中で、ワイ ンやお菓子の試飲・試食コーナーの賑わいとは 別に、ひときわ女性の来訪者で賑わう一角が あった。それが希少糖普及協会の展示コーナー で、希少糖を含有する「レアシュガースイート」 のボトルとそれを甘味料として使用した香川県 産等の各種食品がところせましと並べられてい た。そして、体脂肪低減効果、内臓脂肪低減効 果など、いわゆる肥満防止効果、血糖値上昇抑 制効果が期待できるという希少糖の実験結果グ ラフについての掲示に女性たちが興味を示し、 係員に盛んに質問していた。 この希少糖については、香川大学を中心とす る産官学連携事業の模範的事例であり、地元の 香川県ではすでに希少糖を使用した各種のお菓 子や食品の生産が進められている。 その健康効果から、今後のブームが期待でき るヒット商品としてテレビ、新聞、経済雑誌な どに紹介されており、希少糖単品は特定保健用 食品として既に申請されているほか、その関連 商品が本年4月から始まる機能性食品表示など 公益社団法人 日本技術士会 登録 食品産業関連技術懇話会 会員 古西技術士事務所 所長 技術士(農業部門、総合技術監理部門) 

古西 義正

いま話題の希少糖とそれを取り巻く

甘味料業界の動向

との関係もありそうなので、講演会や関係各方 面から得た情報を整理して紹介したい。 一方、従来からある甘味料の市場動向をみる と、甘味料の主流である砂糖は、過剰に摂取す ると糖尿病、肥満、虫歯といった健康リスクが あると言われながらも、その独特の特性や生理 機能により、市場は思ったほど極端に低迷して いない。また、機能性甘味料として、整腸作用 があるオリゴ糖、シュガーレス・ノンカロリー 素材で甘味度が砂糖の数百倍もある高甘味度甘 味料など様々な甘味料が市場に出回っているの で、その市場動向を合わせて確認した。 1.希少糖の話題 「希少糖(Rare Sugar)」は、「自然界にわず かしかない糖で、約50種あり、ガムなどで使わ れているキシリトールもその一つである。この 名前は、香川大学研究推進機構特任教授の何森 健(いずもりたけし)氏(国際希少糖学会会長) が命名した。 何森教授は、希少糖のなかでも、特にD-プシ コースは、糖としての甘さがありながら、カロ リーは砂糖の10分の1で、肥満の原因となる脂 肪の蓄積を抑える効果があることを知った。つ まり、この希少糖D-プシコースを使えば「食べ ても太らないケーキ」のようなデザートを作る ことも可能であり、更に、甘いものを食べなが

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-2- -3- ⑴ 自然界に存在する糖 ⑵ カロリーゼロ ⑶ 砂糖の7割のさわやかな甘さ ⑷ 気づかずに、自然界から1日0.2グラム 程度食べている糖。 ⑸ 安全な糖(各種安全性試験をクリア) ⑹ 血糖値を下げ、肥満を予防・改善する ※希少糖(D-プシコース)が血糖値の上昇を抑 える機序(*引用文献A3) 希少糖D-プシコースを澱粉や砂糖と一緒に 食べると次のような効果が期待できる。          ↓ 澱粉や砂糖の消化を抑える、ぶどう糖の吸収 をゆっくりにする。          ↓    血糖値の上昇を抑える。(余剰のぶどう    糖や果糖の吸収が減る)          ↓    高血糖が起こりにくくなる。 すなわち、糖尿病(予備軍)の予防・改善(余っ た糖が脂肪に変わる量が減る。  (=肥満の予防・改善) ※D-プシコースによる肥満改善メカニズム (*引用文献A3) ⑴ 肝臓での脂肪の合成を抑制する ⑵ 動脈硬化開始因子MCP-1の分泌を抑制 する ⑶ 血中から肝臓へのコレステロールの取り 込みを促進する ⑷ 内臓や筋肉への脂肪の蓄積を抑制する        ↓   動脈硬化や肥満を抑制する         ※特定保健用食品などの指定申請中  (2010年3月) 1.4 希少糖含有シロップ商品の開発    (*引用文献A3,) 一躍、プシコースが有用な糖であることが分 かったが、高価な果糖からプシコースを製造す ると1グラム1万円ものコストになるので、試 薬として生産するには良いが、一般向けに販売 するには無理がある。 従って、上記の実験結果を参考に研究して、 大量生産には、工業的に甘味料として大量生産 されている異性化糖(澱粉から生産した「果糖 ぶどう糖液糖」の中に含まれる果糖からプシ コースを主体とする希少糖の生産が実現した。 動物実験の結果、ぶどう糖が共存していて も、血糖値の上昇を抑え、体脂肪低減作用や内 臓脂肪低減作用などの効果を発揮できることが 分かった。 (前記のNHKテレビ番組でも、「ぶどう糖と 同じ分子式 C6H12O6のD-プシコースが吸収穴 へ来た時に分子構造が違うので吸収穴から入れ ず蓋をした形になり、ぶどう糖が血液に吸収さ れるのをブロックする」という原理が説明され た。) 上記の結果を踏まえて、異性化糖を原料とし て生産した希少糖商品(ぶどう糖・果糖と希少 糖の混在品)は、希少糖含有シロップと呼ばれ、 澱粉 分解 異性化 異性化 ぶどう糖 ぶどう糖+果糖 希少糖含有シロップ (ぶどう糖+果糖+D-プシコース) -2- ら肥満や糖尿病の予防ができるのである。 希少糖の持つ可能性は食品だけにとどまらな い。希少糖D-アロースは肝臓がんの細胞に加え たところ、増殖がおよそ半分になったという研 究結果もあり、がんの予防薬につながる研究も 進められている。こうした可能性があきらかに なるにつれ、希少糖は“夢の糖“と呼ばれ、世 間から注目されるようになった。何森教授は、 希少糖を40年近く研究し続け、世界初となる希 少糖D-プシコースの大量生産の独自技術を確 立した。(引用文献:A1) 1.1 自然界での希少糖の形成とイメージ   (*引用文献:A2) 平成25年5月26日のNHKテレビ番組「サイ エンスZERO」で「46億年目の大逆転、“奇 跡の糖”が人類を救う」と題して、香川県三木 町の廃校の中での希少糖・プシコースの生産風 景が紹介された。なお、この廃校は現在では㈱ 希少糖生産技術研究所と名付けられて、D-プシ コースの生産がつづけられており、希少糖国際 学会もここで開かれるという。 そのテレビ番組の内容を引用すると、40億年 以上前の太古の地球の海底のアルカリ性の熱水 噴出孔の中で炭酸ガスやメタンなど様々な分子 が漂っている高温の中で原始的なバクテリアに より、ホルムアルデヒドがつくられ、それらが 反応してさまざまな有機物がつくられた。それ を取り入れた生物は、体内でぶどう糖をつく り、エネルギー源として体内に貯蔵できるよう になった。 従って、自然界にある単糖の内の99.9%はぶ どう糖が占めている。生物がぶどう糖を体内に 取り込んで、エネルギー源として変換するのに 都合のよい構造であったせいだと考えられてい る。わずか残り0.1%の中に50種類もの希少糖 が存在するわけであり、あまりにも少ないため 研究対象にならなかったので、長らく、「役立 たずの糖」、「おちこぼれの糖」と言われてきた。 1.2 希少糖の製造と健康効果の試験    (*引用文献:A1、A2) しかし、何森教授は「生物の世界では、微量 であってもそこに物質が存在する以上、何らか の意味があり、希少糖にも必ず役割があるはず だと思って研究に励み、世界の学界からは無視 されながらでも研究を続けたのである。 そして、全国5000カ所もの土壌を集めたのに 思った成果が出なかったが、何森教授が、偶然、 大学の学生食堂裏で採取した土壌の中から分離 した微生物の酵素を用いて、果糖からD-プシ コースを主とする希少糖を大量に生産すること が出来るようになった。何森教授は、色々な研 究を通じて、各種の単糖を作る方法を体系的に とらえて「イズモリング」というシステムを確 立し、希少糖を造る体系を整えていったことに より、希少糖は、おちこぼれの糖から一躍、有 用な糖として利用されるようになってきた。 即ち、プシコースを植物に添加すると成長を 阻害し、動物に与えると、血糖値の上昇抑制が 行われ、体脂肪低減作用や内臓脂肪低減作用な どの健康効果があることが認められた。実際に 人間での実験でも、ぶどう糖のみ与えた場合と ぶどう糖にプシコースを加えた場合を比べる と、プシコースを加えた場合は血糖値の上昇が 25%抑制されることが分かった。即ち、糖尿病 予防にも効果があることが分かった。(*引用 文献A1) 「プシコース」は、本来、自然界の中で僅か 0.001%しか存在しないし、自然界でもズイナと いう植物(漢方薬にも利用)だけに含まれてい ることが分かっている。ズイナも自然界で自分 のプシコースを含む枯葉を落として周辺の雑草 をはやさせない工夫を自然に行っている。 1.3 希少糖「D-プシコース」の特性のまとめ    (*引用文献A3) 香川大学希少糖研究センター長 徳田雅明教 授の講演資料によると、以下の通りである。

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-3- -3- ⑴ 自然界に存在する糖 ⑵ カロリーゼロ ⑶ 砂糖の7割のさわやかな甘さ ⑷ 気づかずに、自然界から1日0.2グラム 程度食べている糖。 ⑸ 安全な糖(各種安全性試験をクリア) ⑹ 血糖値を下げ、肥満を予防・改善する ※希少糖(D-プシコース)が血糖値の上昇を抑 える機序(*引用文献A3) 希少糖D-プシコースを澱粉や砂糖と一緒に 食べると次のような効果が期待できる。          ↓ 澱粉や砂糖の消化を抑える、ぶどう糖の吸収 をゆっくりにする。          ↓    血糖値の上昇を抑える。(余剰のぶどう    糖や果糖の吸収が減る)          ↓    高血糖が起こりにくくなる。 すなわち、糖尿病(予備軍)の予防・改善(余っ た糖が脂肪に変わる量が減る。  (=肥満の予防・改善) ※D-プシコースによる肥満改善メカニズム (*引用文献A3) ⑴ 肝臓での脂肪の合成を抑制する ⑵ 動脈硬化開始因子MCP-1の分泌を抑制 する ⑶ 血中から肝臓へのコレステロールの取り 込みを促進する ⑷ 内臓や筋肉への脂肪の蓄積を抑制する        ↓   動脈硬化や肥満を抑制する         ※特定保健用食品などの指定申請中  (2010年3月) 1.4 希少糖含有シロップ商品の開発    (*引用文献A3,) 一躍、プシコースが有用な糖であることが分 かったが、高価な果糖からプシコースを製造す ると1グラム1万円ものコストになるので、試 薬として生産するには良いが、一般向けに販売 するには無理がある。 従って、上記の実験結果を参考に研究して、 大量生産には、工業的に甘味料として大量生産 されている異性化糖(澱粉から生産した「果糖 ぶどう糖液糖」の中に含まれる果糖からプシ コースを主体とする希少糖の生産が実現した。 動物実験の結果、ぶどう糖が共存していて も、血糖値の上昇を抑え、体脂肪低減作用や内 臓脂肪低減作用などの効果を発揮できることが 分かった。 (前記のNHKテレビ番組でも、「ぶどう糖と 同じ分子式 C6H12O6のD-プシコースが吸収穴 へ来た時に分子構造が違うので吸収穴から入れ ず蓋をした形になり、ぶどう糖が血液に吸収さ れるのをブロックする」という原理が説明され た。) 上記の結果を踏まえて、異性化糖を原料とし て生産した希少糖商品(ぶどう糖・果糖と希少 糖の混在品)は、希少糖含有シロップと呼ばれ、 澱粉 分解 異性化 異性化 ぶどう糖 ぶどう糖+果糖 希少糖含有シロップ (ぶどう糖+果糖+D-プシコース) -2- ら肥満や糖尿病の予防ができるのである。 希少糖の持つ可能性は食品だけにとどまらな い。希少糖D-アロースは肝臓がんの細胞に加え たところ、増殖がおよそ半分になったという研 究結果もあり、がんの予防薬につながる研究も 進められている。こうした可能性があきらかに なるにつれ、希少糖は“夢の糖“と呼ばれ、世 間から注目されるようになった。何森教授は、 希少糖を40年近く研究し続け、世界初となる希 少糖D-プシコースの大量生産の独自技術を確 立した。(引用文献:A1) 1.1 自然界での希少糖の形成とイメージ   (*引用文献:A2) 平成25年5月26日のNHKテレビ番組「サイ エンスZERO」で「46億年目の大逆転、“奇 跡の糖”が人類を救う」と題して、香川県三木 町の廃校の中での希少糖・プシコースの生産風 景が紹介された。なお、この廃校は現在では㈱ 希少糖生産技術研究所と名付けられて、D-プシ コースの生産がつづけられており、希少糖国際 学会もここで開かれるという。 そのテレビ番組の内容を引用すると、40億年 以上前の太古の地球の海底のアルカリ性の熱水 噴出孔の中で炭酸ガスやメタンなど様々な分子 が漂っている高温の中で原始的なバクテリアに より、ホルムアルデヒドがつくられ、それらが 反応してさまざまな有機物がつくられた。それ を取り入れた生物は、体内でぶどう糖をつく り、エネルギー源として体内に貯蔵できるよう になった。 従って、自然界にある単糖の内の99.9%はぶ どう糖が占めている。生物がぶどう糖を体内に 取り込んで、エネルギー源として変換するのに 都合のよい構造であったせいだと考えられてい る。わずか残り0.1%の中に50種類もの希少糖 が存在するわけであり、あまりにも少ないため 研究対象にならなかったので、長らく、「役立 たずの糖」、「おちこぼれの糖」と言われてきた。 1.2 希少糖の製造と健康効果の試験    (*引用文献:A1、A2) しかし、何森教授は「生物の世界では、微量 であってもそこに物質が存在する以上、何らか の意味があり、希少糖にも必ず役割があるはず だと思って研究に励み、世界の学界からは無視 されながらでも研究を続けたのである。 そして、全国5000カ所もの土壌を集めたのに 思った成果が出なかったが、何森教授が、偶然、 大学の学生食堂裏で採取した土壌の中から分離 した微生物の酵素を用いて、果糖からD-プシ コースを主とする希少糖を大量に生産すること が出来るようになった。何森教授は、色々な研 究を通じて、各種の単糖を作る方法を体系的に とらえて「イズモリング」というシステムを確 立し、希少糖を造る体系を整えていったことに より、希少糖は、おちこぼれの糖から一躍、有 用な糖として利用されるようになってきた。 即ち、プシコースを植物に添加すると成長を 阻害し、動物に与えると、血糖値の上昇抑制が 行われ、体脂肪低減作用や内臓脂肪低減作用な どの健康効果があることが認められた。実際に 人間での実験でも、ぶどう糖のみ与えた場合と ぶどう糖にプシコースを加えた場合を比べる と、プシコースを加えた場合は血糖値の上昇が 25%抑制されることが分かった。即ち、糖尿病 予防にも効果があることが分かった。(*引用 文献A1) 「プシコース」は、本来、自然界の中で僅か 0.001%しか存在しないし、自然界でもズイナと いう植物(漢方薬にも利用)だけに含まれてい ることが分かっている。ズイナも自然界で自分 のプシコースを含む枯葉を落として周辺の雑草 をはやさせない工夫を自然に行っている。 1.3 希少糖「D-プシコース」の特性のまとめ    (*引用文献A3) 香川大学希少糖研究センター長 徳田雅明教 授の講演資料によると、以下の通りである。

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-4- -5- 2.甘味料の市場動向 2.1.砂糖の消費量動向(*引用文献B 1) 砂糖は、化学的には、ぶどう糖と果糖が結合 したショ糖であり、体内に取り込まれると、小 腸で吸収される時にぶどう糖と果糖に分解され て、その果糖の殆どはぶどう糖に変わる。ぶど う糖は脳の唯一のエネルギー源であり、体のエ ネルギー源ともなる。性状的にはもっともクセ のない甘さがあり、温度が変化しても甘さは変 化しない特徴がある。砂糖はまわりの水分を抱 え込んで離さない性質があるため、食品の老化 が起きにくく、乾燥しにくいので、食品はいつ までもやわらかさを保つという特徴がある。羊 かんや餡やジャムなどでは、微生物の細胞の中 の水分を取ってしまうので防腐剤がなくても腐 らない。パンの中では、酵母の作用で砂糖は分 解して炭酸ガスを発生させてふっくら焼きあが る効果も出てくる。乳製品では、乳酸によるカ ゼイン(乳蛋白)の凝固を防ぎ沈殿しないよう にする。 以上のような特性があるため、特に菓子、清 涼飲料水、パン、乳製品工場などの業界では砂 糖は欠かせない存在となっている。 表B1-1、表B1-2でわかることは、健康志向に より、砂糖全体の使用量は漸減し、家庭での砂 糖使用量は年々減少しているのに対して、菓子 類、清涼飲料、小口業務用、パン類、乳製品、 調味料などの食品生産原料としての需要が年々 増えていることは注目すべきである。つまり、 家庭で直接摂取しなくなった砂糖の多くは、結 局はお菓子や購入食品や外食で摂っていること になる。 日本人一人あたり1年間の砂糖消費量は、 年々漸減気味であるが、2000年代に入ってから は世界の年間一人当たり砂糖消費量に比べると 表 B1-1.砂糖の用途別消費量(精糖工業会 調べ: *引用文献 B 1)(単位:1,000 ton, %) 表 B1-2 国民一人当たりの年間砂糖消費量(世界砂糖機関 ISO 集計)(*引用文献 B 1) 会計年度 用  途 2003年 2008年 2013年 消費量 比 率 消費量 比 率 消費量 比 率 菓 子 類 590 26.0 569 26.6 559 27.3 家 庭 用 332 14.6 303 14.2 268 13.1 清 涼 飲 料 386 17.0 414 19.3 430 21.0 小 口 業 務 用 190 8.4 189 8.8 193 9.4 パ ン 類 162 7.2 154 7.2 159 7.8 漬物、佃煮、ねり製品 127 5.6 87 4.0 72 3.5 乳 製 品 207 9.1 210 9.8 219 10.7 調 味 料 120 5.3 131 6.1 133 6.5 そ の 他 食 用 154 6.8 85 4.0 12 0.6 調査数値 合計 2,268 100.0 2,142 100.0 2,045 100.0 会計年度 1999年 2003年 2008年 2013年 総消費量 (ton)(粗糖換算) 2,541,276 2,414,502 2,073,595 2,200,000 一人当たり砂糖消費量 (kg /人/年)  日本 (参考データ)20.1 18.9 16.2 17.3 世界平均 20.8 22.7 24.7 23.1 -4- 「レアシュガースイート」(Rare Sugar Sweet)

という商品名で販売開始した。 ⑴ 成分:ぶどう糖、果糖、マンノース、希 少糖(D-プシコース) ⑵ 甘味:砂糖の9割程度の甘味度、コクの あるスッキリとした味質 ⑶ 熱量:砂糖の8~9割(論文ベース) ⑷ 特性:異性化糖様(異性化糖に比べて褐 変しやすい) ⑸ 用途:チルド・炭酸・スポーツ飲料、菓 子類デザート・冷菓ベーカリー・惣菜・      卓上調味料、栄養ドリンク、      サプリメント、高級健康食品 1.5 販売商品の性状 (*引用文献A3) ⑴ D-プシコース (粉末):D-psicose   愛称=さぬき新糖   ・100%純度のD-プシコース   ・カロリーはほぼゼロ    (0.39 キロカロリー)   ・砂糖のほぼ7割の甘さ、食経験あり安    全   ・食後の血糖値の上昇を抑制(ヒト、健    常ラット、糖尿病ラット)   ・抗肥満作用(糖尿病、肥満ラット)   ・特定保健用食品(5g D-プシコース)   ・大量生産の技術確立を進めており、近    日中に発売を計画 ⑵ レアシュガースウィート:RSS)   ・85%のシロップ+15%の希少糖等    75%の糖質(275g)、その内6%がD-   プシコース(23g)   ・カロリーは3 kcal/ml (砂糖の8割程    度)   ・砂糖とほぼ同じ甘さ   ・ 「レアシュガースイート」として販売    中。   ・既に多くの食品・飲料に使用   ・特定保健用食品ではないので機能性を    謳うことは不可   ・30gのRSSを用いたゼリー飲料の3か    月間使用(健常人)により体重減少を    確認   ・砂糖(一日40 ~ 50g /人)の代わり    に使う。 1.6 レアシュガースウィート:RSS)の長期   摂取試験結果(事例) RSSを12週間摂取した結果の事例: ⑴ 体重が1.8 kg減少 ⑵ BMIが0.7 kg /㎡ 減少 ⑶ 体脂肪が 1.7%減少 1.7 希少糖応用商品例(FOODEX JAPAN 2015   での希少糖普及協会展示ブースでの展示   事例) クッキー、塩羊羹、レモンケーキ、チーズケー キ、希少糖キャンディ、イチゴミルクアイス クリーム、味覚糖、讃岐特産アメ、レモンガム、 希少糖オリゴ、水ゼリー、希少糖ソーダ、希 少珈琲、濃厚マンゴリキュール、希少糖アッ プルティ、ジンジャーエール、タルタルソー ス、広島おたふく醤油、マルカン酢、甘酒、 日本酒、白みそ、万能だし、味付けのり、そ の他。 1.8 希少糖ブームに対する増産体制 プシコースの結晶は、香川県三木町の廃校の 教室で現在も製造が続けられているが、レア シュガースィートのシロップの生産について は、当初、デンプンから異性化糖を生産して いる松谷化学工業㈱の兵庫県の工場では月産 50トン能力で生産開始したが、最近の需要の 伸びに対応するため、2013年、香川県内に新 工場を建設して、同じく松谷化学工業㈱が製 造開始した。製造量の受注は現在月に300ト ン前後の需要があり、現在の3倍程度の需要 には対応できる見込みとのことである。

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-5- -5- 2.甘味料の市場動向 2.1.砂糖の消費量動向(*引用文献B 1) 砂糖は、化学的には、ぶどう糖と果糖が結合 したショ糖であり、体内に取り込まれると、小 腸で吸収される時にぶどう糖と果糖に分解され て、その果糖の殆どはぶどう糖に変わる。ぶど う糖は脳の唯一のエネルギー源であり、体のエ ネルギー源ともなる。性状的にはもっともクセ のない甘さがあり、温度が変化しても甘さは変 化しない特徴がある。砂糖はまわりの水分を抱 え込んで離さない性質があるため、食品の老化 が起きにくく、乾燥しにくいので、食品はいつ までもやわらかさを保つという特徴がある。羊 かんや餡やジャムなどでは、微生物の細胞の中 の水分を取ってしまうので防腐剤がなくても腐 らない。パンの中では、酵母の作用で砂糖は分 解して炭酸ガスを発生させてふっくら焼きあが る効果も出てくる。乳製品では、乳酸によるカ ゼイン(乳蛋白)の凝固を防ぎ沈殿しないよう にする。 以上のような特性があるため、特に菓子、清 涼飲料水、パン、乳製品工場などの業界では砂 糖は欠かせない存在となっている。 表B1-1、表B1-2でわかることは、健康志向に より、砂糖全体の使用量は漸減し、家庭での砂 糖使用量は年々減少しているのに対して、菓子 類、清涼飲料、小口業務用、パン類、乳製品、 調味料などの食品生産原料としての需要が年々 増えていることは注目すべきである。つまり、 家庭で直接摂取しなくなった砂糖の多くは、結 局はお菓子や購入食品や外食で摂っていること になる。 日本人一人あたり1年間の砂糖消費量は、 年々漸減気味であるが、2000年代に入ってから は世界の年間一人当たり砂糖消費量に比べると 表 B1-1.砂糖の用途別消費量(精糖工業会 調べ: *引用文献 B 1)(単位:1,000 ton, %) 表 B1-2 国民一人当たりの年間砂糖消費量(世界砂糖機関 ISO 集計)(*引用文献 B 1) 会計年度 用  途 2003年 2008年 2013年 消費量 比 率 消費量 比 率 消費量 比 率 菓 子 類 590 26.0 569 26.6 559 27.3 家 庭 用 332 14.6 303 14.2 268 13.1 清 涼 飲 料 386 17.0 414 19.3 430 21.0 小 口 業 務 用 190 8.4 189 8.8 193 9.4 パ ン 類 162 7.2 154 7.2 159 7.8 漬物、佃煮、ねり製品 127 5.6 87 4.0 72 3.5 乳 製 品 207 9.1 210 9.8 219 10.7 調 味 料 120 5.3 131 6.1 133 6.5 そ の 他 食 用 154 6.8 85 4.0 12 0.6 調査数値 合計 2,268 100.0 2,142 100.0 2,045 100.0 会計年度 1999年 2003年 2008年 2013年 総消費量 (ton)(粗糖換算) 2,541,276 2,414,502 2,073,595 2,200,000 一人当たり砂糖消費量 (kg /人/年)  日本 (参考データ)20.1 18.9 16.2 17.3 世界平均 20.8 22.7 24.7 23.1 -4- 「レアシュガースイート」(Rare Sugar Sweet)

という商品名で販売開始した。 ⑴ 成分:ぶどう糖、果糖、マンノース、希 少糖(D-プシコース) ⑵ 甘味:砂糖の9割程度の甘味度、コクの あるスッキリとした味質 ⑶ 熱量:砂糖の8~9割(論文ベース) ⑷ 特性:異性化糖様(異性化糖に比べて褐 変しやすい) ⑸ 用途:チルド・炭酸・スポーツ飲料、菓 子類デザート・冷菓ベーカリー・惣菜・      卓上調味料、栄養ドリンク、      サプリメント、高級健康食品 1.5 販売商品の性状 (*引用文献A3) ⑴ D-プシコース (粉末):D-psicose   愛称=さぬき新糖   ・100%純度のD-プシコース   ・カロリーはほぼゼロ    (0.39 キロカロリー)   ・砂糖のほぼ7割の甘さ、食経験あり安    全   ・食後の血糖値の上昇を抑制(ヒト、健    常ラット、糖尿病ラット)   ・抗肥満作用(糖尿病、肥満ラット)   ・特定保健用食品(5g D-プシコース)   ・大量生産の技術確立を進めており、近    日中に発売を計画 ⑵ レアシュガースウィート:RSS)   ・85%のシロップ+15%の希少糖等    75%の糖質(275g)、その内6%がD-   プシコース(23g)   ・カロリーは3 kcal/ml (砂糖の8割程    度)   ・砂糖とほぼ同じ甘さ   ・ 「レアシュガースイート」として販売    中。   ・既に多くの食品・飲料に使用   ・特定保健用食品ではないので機能性を    謳うことは不可   ・30gのRSSを用いたゼリー飲料の3か    月間使用(健常人)により体重減少を    確認   ・砂糖(一日40 ~ 50g /人)の代わり    に使う。 1.6 レアシュガースウィート:RSS)の長期   摂取試験結果(事例) RSSを12週間摂取した結果の事例: ⑴ 体重が1.8 kg減少 ⑵ BMIが0.7 kg /㎡ 減少 ⑶ 体脂肪が 1.7%減少 1.7 希少糖応用商品例(FOODEX JAPAN 2015   での希少糖普及協会展示ブースでの展示   事例) クッキー、塩羊羹、レモンケーキ、チーズケー キ、希少糖キャンディ、イチゴミルクアイス クリーム、味覚糖、讃岐特産アメ、レモンガム、 希少糖オリゴ、水ゼリー、希少糖ソーダ、希 少珈琲、濃厚マンゴリキュール、希少糖アッ プルティ、ジンジャーエール、タルタルソー ス、広島おたふく醤油、マルカン酢、甘酒、 日本酒、白みそ、万能だし、味付けのり、そ の他。 1.8 希少糖ブームに対する増産体制 プシコースの結晶は、香川県三木町の廃校の 教室で現在も製造が続けられているが、レア シュガースィートのシロップの生産について は、当初、デンプンから異性化糖を生産して いる松谷化学工業㈱の兵庫県の工場では月産 50トン能力で生産開始したが、最近の需要の 伸びに対応するため、2013年、香川県内に新 工場を建設して、同じく松谷化学工業㈱が製 造開始した。製造量の受注は現在月に300ト ン前後の需要があり、現在の3倍程度の需要 には対応できる見込みとのことである。

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-6- -6- 年間6kg前後少ない。参考値の1999年頃と比 べると、甘味離れだけでなく、各種の砂糖の代 替甘味料の出現以外に、海外の安い砂糖を混合 して輸入される加糖調製品として増加してきて いることも要因の一つとみられている。 2.2 異性化糖の市場動向(=消費動向) 近年、輸入とうもろこしの澱粉や国産いも澱 粉を原料とする異性化糖(果糖ぶどう糖液糖、 ぶどう糖果糖液糖)の生産により、特に清涼飲 料の業界への供給がなされているため、そうい う業界向けの砂糖の消費量にはそれなりの影響 はあるが、出荷量の一部には砂糖液糖を混合し て納入することも行われている。 一時は輸入とうもろこしの澱粉や国産いも澱 粉が数量規制された時期もあったが、現在は糖 価安定法の枠組みの中で、ほぼ同じ供給先に納 入される状況が続いていて、相当な天候異変で もない限り、横ばい状態が続く状況にある。 2.3 オリゴ糖の市場動向(*引用文献B 3) オリゴ糖は、腸内環境改善作用という機能性 に対して認知度が高く、夫々のオリゴ糖の特徴 を生かした使い方がされていて市場は比較的安 定的に推移している。 シロップ品は特に食品や飲料向け、粉末は主 に健康食品向けなどで腸内環境改善や整腸作用 を狙った利用がされている。また、物性改善や マスキング用途で使われていることも多くなっ た。 会計年度 2003年 2008年 2012年 2013年 異性化糖生産量(ton)  (固形分換算) 787,587 845,758 844,906 集計未完 表 B2.異性化糖生産量の推移(製品は液体なので、固形分換算で表示)(*引用文献 B 2) 暦年 2003年 2008年 2012年 2013年 フラクトオリゴ糖 4,000 ton 不明 不明 3,300 ton 大豆オリゴ糖 1,000 ガラクトオリゴ糖 5,100 4,400 キシロオリゴ糖 700 乳糖果糖オリゴ糖 2,000 2,000 イソマルトオリゴ糖 11,000 11,000 ラフィノース 280 230 ラクチュロース 2,800 500 * 引用文献 食品と開発Vol.38 (No.12) -7- 2.4 糖アルコールの市場動向 (引用文献B 4) 糖アルコールは、低甘味、低カロリー、非褐 変性、非う蝕性、冷涼感といった特性や機能性 を生かして市場を拡大してきたが、これらの特 徴を訴求した利用は定番化し、市場は横ばい状 態で推移中。特に、現在ではソルビトールやマ ルチトール、還元水あめなどは機能性というよ りも味付け目的の一般食品素材として利用され ている。イソマルトやキシリトールはガム・キャ ンディやガム市場が停滞気味で減少傾向にあ る。 2.5 高甘味度甘味料の市場動向(引用文献B 5) 砂糖の数百倍の甘味度を有する高甘味度甘味 料は、一部、ステビアのように植物から抽出し たものもあるが、ほとんどは米国や日本で開発 された人工の合成甘味料であり、カロリーゼロ は最大の売りになる特徴で、少しでも砂糖の甘 味に似たすっきりした甘さが追及されている。 需要全体としては、2010年まで市場が拡大して きたが2011年の震災以後は、おおむね横ばい状 態が続いている。但し、国内需要のデータは不 明な部分が多い。昨年9月に「人工甘味料が腸 内菌叢を変化させ、耐糖能異常を引き起こす」 という報文が科学雑誌Nature(*引用文献B6) に掲載され、新聞等でも報じられた。即ち、高 甘味度甘味料に関しても糖尿病のリスクが増加 するという報告があり、より体に良い甘味料の 開発が望まれている。 暦年 2003年 2008年 2012年 2014年 ソルビトール 液状 125,000 ton 不明 120,000 ton 120,000 ton

粉末 75,000 7500 7500 還元水あめ  83,000 83,000 83,000 マルチトール 液状 15,000 15,000 15,000 粉末 12,500 15,000 15,000 結晶 エリスリトール 5,000 8,000 8,000 還元パラチノース 4,500 4,300 4,300 ラクチトール 1,500 1,000 1,000 マンニトール 2,000 2,000 2,000 キシリトール 8,000 6,000 6,000 *引用文献 食品と開発 Vol.38(No.12) 食品と開発 Vol.48(No.12) 食品と開発 vol.50(No.4) 品名 甘味度 2003 年 2008 年 2013 年 2014 年 アスパルテーム 200 不明 450 ton 450 ton 460 ton アセスルファム K 200 80 ton 400 400 410 ~ 420 ton スクラロース 600 不明 不明 不明 110 ton ステビア抽出品 200 170 ton 不明 170 170 ton アドバンテーム 3万倍 ( 未発売 ) ( 未発売 ) ( 未発売 ) 不明

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-7- -6- 年間6kg前後少ない。参考値の1999年頃と比 べると、甘味離れだけでなく、各種の砂糖の代 替甘味料の出現以外に、海外の安い砂糖を混合 して輸入される加糖調製品として増加してきて いることも要因の一つとみられている。 2.2 異性化糖の市場動向(=消費動向) 近年、輸入とうもろこしの澱粉や国産いも澱 粉を原料とする異性化糖(果糖ぶどう糖液糖、 ぶどう糖果糖液糖)の生産により、特に清涼飲 料の業界への供給がなされているため、そうい う業界向けの砂糖の消費量にはそれなりの影響 はあるが、出荷量の一部には砂糖液糖を混合し て納入することも行われている。 一時は輸入とうもろこしの澱粉や国産いも澱 粉が数量規制された時期もあったが、現在は糖 価安定法の枠組みの中で、ほぼ同じ供給先に納 入される状況が続いていて、相当な天候異変で もない限り、横ばい状態が続く状況にある。 2.3 オリゴ糖の市場動向(*引用文献B 3) オリゴ糖は、腸内環境改善作用という機能性 に対して認知度が高く、夫々のオリゴ糖の特徴 を生かした使い方がされていて市場は比較的安 定的に推移している。 シロップ品は特に食品や飲料向け、粉末は主 に健康食品向けなどで腸内環境改善や整腸作用 を狙った利用がされている。また、物性改善や マスキング用途で使われていることも多くなっ た。 会計年度 2003年 2008年 2012年 2013年 異性化糖生産量(ton)  (固形分換算) 787,587 845,758 844,906 集計未完 表 B2.異性化糖生産量の推移(製品は液体なので、固形分換算で表示)(*引用文献 B 2) 暦年 2003年 2008年 2012年 2013年 フラクトオリゴ糖 4,000 ton 不明 不明 3,300 ton 大豆オリゴ糖 1,000 ガラクトオリゴ糖 5,100 4,400 キシロオリゴ糖 700 乳糖果糖オリゴ糖 2,000 2,000 イソマルトオリゴ糖 11,000 11,000 ラフィノース 280 230 ラクチュロース 2,800 500 * 引用文献 食品と開発Vol.38 (No.12) -7- 2.4 糖アルコールの市場動向 (引用文献B 4) 糖アルコールは、低甘味、低カロリー、非褐 変性、非う蝕性、冷涼感といった特性や機能性 を生かして市場を拡大してきたが、これらの特 徴を訴求した利用は定番化し、市場は横ばい状 態で推移中。特に、現在ではソルビトールやマ ルチトール、還元水あめなどは機能性というよ りも味付け目的の一般食品素材として利用され ている。イソマルトやキシリトールはガム・キャ ンディやガム市場が停滞気味で減少傾向にあ る。 2.5 高甘味度甘味料の市場動向(引用文献B 5) 砂糖の数百倍の甘味度を有する高甘味度甘味 料は、一部、ステビアのように植物から抽出し たものもあるが、ほとんどは米国や日本で開発 された人工の合成甘味料であり、カロリーゼロ は最大の売りになる特徴で、少しでも砂糖の甘 味に似たすっきりした甘さが追及されている。 需要全体としては、2010年まで市場が拡大して きたが2011年の震災以後は、おおむね横ばい状 態が続いている。但し、国内需要のデータは不 明な部分が多い。昨年9月に「人工甘味料が腸 内菌叢を変化させ、耐糖能異常を引き起こす」 という報文が科学雑誌Nature(*引用文献B6) に掲載され、新聞等でも報じられた。即ち、高 甘味度甘味料に関しても糖尿病のリスクが増加 するという報告があり、より体に良い甘味料の 開発が望まれている。 暦年 2003年 2008年 2012年 2014年 ソルビトール 液状 125,000 ton 不明 120,000 ton 120,000 ton

粉末 75,000 7500 7500 還元水あめ  83,000 83,000 83,000 マルチトール 液状 15,000 15,000 15,000 粉末 12,500 15,000 15,000 結晶 エリスリトール 5,000 8,000 8,000 還元パラチノース 4,500 4,300 4,300 ラクチトール 1,500 1,000 1,000 マンニトール 2,000 2,000 2,000 キシリトール 8,000 6,000 6,000 *引用文献 食品と開発 Vol.38(No.12) 食品と開発 Vol.48(No.12) 食品と開発 vol.50(No.4) 品名 甘味度 2003 年 2008 年 2013 年 2014 年 アスパルテーム 200 不明 450 ton 450 ton 460 ton アセスルファム K 200 80 ton 400 400 410 ~ 420 ton スクラロース 600 不明 不明 不明 110 ton ステビア抽出品 200 170 ton 不明 170 170 ton アドバンテーム 3万倍 ( 未発売 ) ( 未発売 ) ( 未発売 ) 不明

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-8- -8- <総合考察> お菓子や料理など砂糖の自然な甘さのバラン スは食通にとっても一番なじみがあるものだろ う。甘味料に関しては、若い人たちはともかく、 少なくとも中年以後の人たちは、甘いものは口 にしたいが、肥満や糖尿病のリスクを考えなが ら食している人々の割合は年々増えているよう に思う。冒頭で紹介した新しい甘味素材である 希少糖は、砂糖やぶどう糖と一緒に摂っても血 糖値の上昇が抑えられるとのことであり興味深 い素材であるが十分な吟味のもとに摂取するこ とにしたい。但し、既に糖尿病を患っている人 にも勧められるかどうかについては、夫々の状 況があるので医師のアドバイスが必要ではない かと思う。 高甘味度甘味料も決して悪いものではないだ ろうが、The Nature研究報告も十分吟味され て、良い方向に向かうような工夫が今後されて 本当に安心して体にやさしく価格も安いものが 開発され、或いは改善がなされることを期待し たい。 <謝辞> 本稿作成段階においては、精糖工業会、精糖 技術研究所、松谷化学工業株式会社広報部、株 式会社レアスウィートなど関係各位よりの資料 ご提供並びに「食品と開発」編集部の方々より 市場資料使用ご許可等の御協力を得ましたこと に対して厚く御礼を申し上げます。 ===================== 引用文献 A 1:「夢の扉+(プラス):あきらめない人が 心に刻んだ24の言葉(NTT出版)P.36-43 A 2:NHKテレビ番組「サイエンスZERO」: 「46億年目の大逆転、“奇跡の糖”が人類 を救う」(平成25年5月26日) A 3:香川大学希少糖研究センター長 徳田 雅明教授の講演資料 B 1:「砂糖」(精糖工業会編)2006年版、2008 年版、2015年版) B 2:「ポケット砂糖統計」(精糖工業会編) 2008年版、2013年版 B 3:「食品と開発」Vol.38(No.12)、「食品と開発」 Vol 48(No.12) B 4:「食品と開発」Vol.38(No.12)、「食品と開発」 Vol.48(No.12)、「 食 品 と 開 発 」vol.50 (No.4) B 5:「食品と開発」Vol.38(No.12)、「食品と開発」 Vol.48(No.12)、「 食 品 と 開 発 」vol.50 (No.4) B 6:応用糖質科学 (日本応用糖質科学学会 編第5巻 第1号 2015(報文 P44~49) 「アルカリ異性化を用いた希少糖含有シ ロップの製造方法およびαー - グルコ シダーゼの阻害作用」(高橋 啓、中村 雅子、飯田哲郎、大隈一裕、何森 健: 松谷化学工業株式会社研究所、香川大学 希少糖研究センター)

B 6:Artificial sweetenerers induce glucose

i n t o l e r a n c e b y a l t e r i n g t h e g u t microbiota

参照

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