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要旨 背景 適正で費用対効果に優れた薬剤を継続的に定め 薬剤の選択を管理するためにフォーミュラリが用いられる 高尿酸血症の患者を対象に 尿酸生成抑制薬に関する系統的な論文調査をすることで フォーミュラリを構築することを目的とした 方法 フォーミュラリ構築の手順は以下の通りに行った 1) アロプリノー

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Vol. 10, 2018 26 -アプライド・セラピューティクス学会の許可なく本誌の転載・転用を禁止します。

<ノート>

系統的論文調査による回復期患者における

尿酸生成抑制薬に関するフォーミュラリの構築

Designing a formulary of uric acid production inhibitors for patients in the

recovery period through a systematic review.

金井紀仁、鈴木義人 Norihito Kanai, Yoshito Suzuki

医療法人社団青葉会新座病院

〒 352-0023 埼玉県新座市堀ノ内 3 ‐ 14 ‐ 30

Summary

【Background】 Formularies are used for the continuous determination of the appropriateness and cost-effectiveness of medicines. In this study, we designed a formulary of uric acid production inhibitors by performing a systematic review of uric acid production inhibitors.

【Methods】 We designed the formulary as follows: 1) We systematically reviewed studies of comparison of allopurinol and febuxostat published until May 2017. 2) We qualitatively assessed the following end points: prevention of gouty flares, prevention of organ disorders, serum uric acid (UA) level lowering effect, achievement rate of a target serum uric acid level of less than 6.0 mg/dL, and side effects, 3)We decided the priority of use of the medicines by evaluating pharmaceutical equivalents and drug costs.

【Results】 Seven articles were selected. The effects in prevention of organ disorders were similar for both febuxostat and allopurinol. Febuxostat (40 mg/day) or allopurinol (200 or 300 mg/day) had comparable effects in terms of lowering UA levels and the achievement rate of a target UA level of less than 6.0 mg/dL. With regard to the achievement rate of a UA level less than 6.0 mg/dL, febuxostat (80 mg/day or over) showed a higher rate than febuxostat (40 mg/day) or allopurinol (200 or 300 mg/day). No differences in serious side effects were observed between the drugs. In allopurinol responders, the cost of allopurinol was lower than that of febuxostat.

【Conclusion】 In the Niiza Hospital formulary, allopurinol is indicated as the first-line treatment for suppressing uric acid production in patients with hyperuricemia. Febuxostat should only be selected when the effectiveness or tolerability of allopurinol is unsatisfactory.

アプライド ・ セラピューティクス Vol. 10, pp 26-46, 2018

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Vol. 10, 2018 27

-アプライド・セラピューティクス学会の許可なく本誌の転載・転用を禁止します。 Keywords: allopurinol, febuxostat, formulary, hyperuricemia

アロプリノール、フェブキソスタット、フォーミュラリ、高尿酸血症

(Received: August 19, 2018; Accepted: October 28, 2018) (Corresponding author: [email protected])

要旨 【背景】適正で費用対効果に優れた薬剤を継続的に定め、薬剤の選択を管理するために フォーミュラリが用いられる。高尿酸血症の患者を対象に、尿酸生成抑制薬に関する系 統的な論文調査をすることで、フォーミュラリを構築することを目的とした。 【方法】フォーミュラリ構築の手順は以下の通りに行った。1)アロプリノールとフェ ブキソスタットを直接比較した 2017 年 5 月までの臨床論文を系統的に抽出した。2) 以下の評価項目に関して質的に評価した : 臓器障害の予防、痛風関節炎の予防、尿酸値 低下作用、尿酸値 6.0mg/dL 未満への達成率、副作用。3)同等量、薬剤費を評価し、 医薬品の使用の優先順位を付けた。 【結果】7 報の論文が選択された。有効性においては、臓器障害予防と痛風関節炎の予 防効果は同程度であった。アロプリノール 1 日 200/300 mg とフェブキソスタット 1 日 40 mg においては尿酸値低下作用と尿酸値 6.0 mg/dL 未満の達成率は同程度であった。 尿酸値 6.0 mg/dL 未満の達成率に関しては、フェブキソスタット 1 日 80 mg 以上の投与 はアロプリノール 1 日 200/300 mg やフェブキソスタット 1 日 40 mg の投与よりも有意 な結果を示した。両薬剤間において重大な副作用に違いは見られなかった。アロプリノー ルにより目標尿酸値まで低下できた患者においてはフェブキソスタットから開始するよ りも薬剤費を抑制できることが示唆された。 【結論】高尿酸血症患者への尿酸生成抑制薬のフォーミュラリはアロプリノールを第一 に選択し、尿酸値が目標まで到達しない場合や忍容性がない場合にフェブキソスタット を選択することとした。

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Vol. 10, 2018 28 -アプライド・セラピューティクス学会の許可なく本誌の転載・転用を禁止します。 緒言  医療の発展に伴い、医療費の増大が指摘されて いる中、医療費も考慮した、医薬品の適正使用の 大切さが謳われている1)。世界的にも、医療費の 増大が指摘され、医療費抑制の観点から、医薬品 の使用リストであるフォーミュラリを策定し、保 険者が医療機関にて使用することができる医薬 品の制限をかけている2,3)  フォーミュラリとは医療機関が使用薬剤に関 する方針を確立し、特定の患者集団の健康利益に 最も役立ち、最も医学的に適切かつ費用対効果に 優れた薬剤を継続的に定め、薬剤選択を管理する ためのツールである4)。処方に対して絶対的な拘 束力があるわけではなく、必要かつ正当な理由が あれば、フォーミュラリ収載医薬品以外を使用す ることができる4)。フォーミュラリを定め、あら かじめ、先発医薬品を含めた同等量を評価してい れば、持参薬で高価な先発医薬品を持ち込んだと きに、効果的で安価な薬剤に切り替える事ができ る5)。さらに、薬事審査を通して、事前に病院の 承認を得ておくことで、持参薬の代替薬として フォーミュラリで設定した同効薬を提案し、承認 される事が容易になるというメリットがある5)  従来、高尿酸血症の治療、特に尿酸生成抑制薬 を 使 用 す る 場 合 に 使 用 で き る 薬 剤 は ア ロ プ リ ノールのみであったが、2011 年からフェブキソ スタットが上市され、新たな治療の選択肢が提供 された。尿酸生成抑制薬に関して、両薬剤ともに 尿酸低下作用に関しての有効性が示されている が、使用順位については定められていない6)。そ こで、回復期リハビリテーション期にある患者を 対象に、尿酸生成抑制薬に関するシステマティッ クレビューを行い、フォーミュラリを構築するこ とを本研究の目的とした。 方法 1. フォーミュラリ構築の主な流れ フ ォ ー ミ ュ ラ リ 構 築 の 主 な 流 れ を 以 下 に 示 す (Fig. 1)。①フォーミュラリを作成する疾患・薬 効を定める。②定めた疾患の評価項目を設定す る。③評価薬剤を抽出する。④検索式を作成し、 検索する。⑤タイトルや要旨、本文から定めた医 薬品や評価項目を用いた臨床論文を抽出する。⑥ 再評価時に評価を可能にするために、評価論文を 保管する。⑦論文を批判的に吟味する。⑧適応や 薬物動態的な特徴を評価する。⑨同等量を評価す る。⑩薬剤費を評価する。⑪医薬品の優先順位を 定める。なお、評価項目には薬剤の主作用(添付 文書上適応となっているもの)に関してガイドラ インや臨床試験で設定される評価項目を用いた。 検索エンジンは医学中央雑誌、Google scholar、 PubMed を用いた。論文抽出の際に以下の論文を 除外した : 直接比較をしていない報告、学術大会 等の会議録、当院の回復期リハビリテーション病 棟 の 患 者 層 ( 調 査 対 象:2013 年 4 月 1 日 か ら 2014 年 3 月 31 日までの期間に当院に回復期リハ ビリテーション目的で入院した患者 179 例 : 年齢 77 [39,95] 歳 ( 中 央 値 [ 最 小 値 , 最 大 値 ])、 男性 73 (41)、入院期間 90 日 [7,251]( 中央値 [ 最小値 , 最大値 ])、主な合併症 (n (%):高血 圧症 114 (64)、脳梗塞・脳塞栓症 81 (45)、骨折・ 骨粗鬆症 80 (45)、2 型糖尿病 44 (25)、がん 23 (13)、逆流性食道炎・消化性潰瘍 16 (9)、認 知症 11 (6)、脂質異常症 11 (6)))7)に合致しな い報告、設定した評価項目を含んでいない報告。 2. 臨床論文の評価  有効性に関して、評価項目ごとに臨床論文の結 果を抽出した。その際、統計学的な有意性の有無 を記載した。安全性に関しては、臨床試験により 明らかになった副作用についてまとめた。副作用 が、コントロール可能な(適切な治療方法が存在 する、または、副作用発症の危険因子が明らかに されており副作用の予防が可能な)副作用か、コ ントロール不可能な(治療方法が存在しない)副作 用かを評価した。明らかになった副作用以外にも、 危険性が指摘されている副作用の有無についてリ スク管理計画書の安全性検討事項を調査した。

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Vol. 10, 2018 29 -アプライド・セラピューティクス学会の許可なく本誌の転載・転用を禁止します。 疾患・薬効を定める システマティックレビューを行う ・検索式の作成 ・論文の抽出・保管・記録 ・批判的吟味 ・適応・薬物動態の評価 ・同等量換算表の作成 ・薬剤費の評価 評価するエンドポイント・薬剤を定める 回復期リハビリテーション病棟における使用の優先順位を作成する 医師説明用資料を作成する 経営判断 薬事委員会にて所属長が説明する 院長・医局の承認を得る 承認後運用開始する 医薬品集にフォーミュラリを反映する 持参薬の代替案を提案する(フォーミュラリの第一選択薬、同等量) 3. 1 日薬剤費の確認  薬剤費は各用量における 1 日の薬剤費を算出し た。費用対効果の試験がある場合は評価内容を参 考にするが、欧米の保険体制と日本の保険体制が 異なること、治療方針が異なる点に注意し、治療 目的や評価項目、治療期間について批判的に吟味 した。 Fig. 1 フォーミュラリの作成と導入の流れ 4. 適応確認、薬物動態的な特徴付け、特殊病態 下での有効性と安全性  先発医薬品と後発医薬品は適応が異なる場合 があるため、先発医薬品を含めて各成分の適応を 確認した。薬物動態的な特徴付けをするために、 尿中排泄率や全身クリアランス、分布容積、遊離 形分率、半減期、ピーク時間、最高血中濃度を調

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Vol. 10, 2018 30 -アプライド・セラピューティクス学会の許可なく本誌の転載・転用を禁止します。 査した。薬物動態的な特徴付けの際は、静脈内投 与における薬物動態パラメータを原則としたが、 静脈内投与のデータがないパラメータに関して は経口投与時の薬物動態的特徴を用いた。更に、 経口投与時の薬物相互作用の確認をした。薬物動 態的な特徴付けの結果、肝機能障害、腎機能障害 時の有効性と安全性について評価した。 5.  同等量の評価  非劣性試験が行われている場合は比較対照の 用量比較を同等量とした。優劣性試験のみが行わ れている時は、用量比較試験の結果を見比べて同 程度の効果を示していた時点の用量を同等量と した。同程度の効果とは、非劣性試験において設 定された非劣性マージンの数値の絶対値が比較 薬剤の結果の差の絶対値以内であることとした。 用量依存性が確認されている医薬品の場合は単 一試験での用量設定を代用した。同等量設定の際 は、薬物動態的な特徴を考慮し、腎機能により減 量が必要な場合は、腎機能低下時の同等量設定を 表にまとめた。 Fig. 2 フォーミュラリ優先順位の付け方 6. 優先順位の作成  優先順位付けの概念図を Fig.2 に示した。優先 順位は統計学的な有意性と臨床的に意味のある 差(同程度以上の効果)を重視した8)。効果・安 全性が同程度でない場合は費用対効果に関する 論文を考慮し定めた。更に、優先順位付けの際に 以下の内容を考慮した。ハードエンドポイントを 評価した臨床試験の結果がある医薬品はソフト エンドポイントのみの医薬品よりも優先順位を 高くした。コントロール可能な副作用の場合は注 意喚起や注意してモニタリングをするのみで、優 先順位には影響させなかった。コントロールが不 可能な副作用がある場合で、他の同効薬で類似の 副作用報告が無い場合は、優先順位を低くした。 医薬品リスク管理計画書において、重要な潜在的 なリスクや重要な不足情報としてあがっている 副作用は副作用が生じるものとして評価した。医 薬品リスク管理計画書の不足情報としてあがっ ていない場合でも、他の同効薬において同様の副 作用が生じている場合は、不足情報として評価し × × ×;臨床的 価値なし △;臨床的 価値あり ×;臨床的価値なし △;臨床的価値あり ×;臨床的 価値なし 〇;臨床的 価値あり ×;臨床的価値なし 〇;臨床的価値あり ×;臨床的 価値なし △;臨床的 価値あり 有意差無し 非劣性 優越性 臨床上のアウトカム 薬 価 高 い 同 じ 低 い ○;優先使用 △;薬物動態、適応等で判断 ×;非優先使用

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Vol. 10, 2018 31 -アプライド・セラピューティクス学会の許可なく本誌の転載・転用を禁止します。 た。不足していた情報が長期安全性試験や多くの 臨床試験の結果、医薬品と副作用の関連性が明ら かになった場合は、再度優先順位を評価した。 7.  経営判断と周知  定めた優先順位でフォーミュラリを導入する 事について、在庫状況、院内処方量をもとに院長 と所属長が最終判断した。決定したフォーミュラ リを薬事審議会にて説明し導入した。入院した患 者の持参薬を薬剤師が調査した際に、フォーミュ ラリで推奨した薬剤と同等量を提案した。薬剤師 が提案した持参薬の代替案通りに薬を切り替え るか、代替薬に変更した場合の投薬量については 医師の判断に任せた。ただし、フォーミュラリ通 りに変更がなかった場合は薬剤師の提案を見落 としている可能性があるため、再度薬剤師が処方 医師へ変更可能かについて直接確認した。変更不 可能であった場合は変更不可の理由を確認し、そ の患者に対しては病態が変化するまでは再度確 認しないこととした。 8. 再評価  有効性や安全性に関して新たな知見が得られ た際、または、薬価改訂の際にフォーミュラリを 再評価した。新たな知見を得るために各フォー ミュラリに関して最低1年に1回の再評価をす ることとした。 結果 1.  論文の抽出  高尿酸血症患者に対する尿酸生成抑制薬の評価 項目は、臓器障害予防、痛風関節炎予防、尿酸値 低下度、尿酸値6.0mg/dL 未満達成率、安全性とした。 対象薬剤は2017 年 4 月時点で、当院で使用履歴が あったアロプリノールとフェブキソスタットとした。検 索単語は医学中央雑誌、Google scholar では「アロプ リノール、フェブキソスタット、高尿酸血症」を検索 単 語 と し、PubMed に お い て は「allopurinol, febuxostat, hyperuricemia, clinical trial」を検索単語 とした。 PubMed における検索式は (("allopurinol"

[MeSH Terms] OR "allopurinol"[All Fields]) AND ("febuxostat"[MeSH Terms] OR "febuxostat"[All Fields]) AND ("hyperuricaemia"[All Fields] OR "hyperuricemia"[MeSH Terms] OR "hyperuricemia" [All Fields])) AND Clinical Trial[ptyp])であった。

 検索の結果、医学中央雑誌では19 報(検索対象 期間;2017 年 4 月 8 日以前)、Google scholar では 87 報(検索対象期間;2017 年 5 月15 日以前)、PubMed では26 報(検索対象期間;2017 年 5 月 24 日以前) であった。  論文の検索において、アロプリノールとフェブ キソスタットの有効性と安全性を直接比較した 臨床試験のみを対象とした。抽出された試験の安 全性の結果を解釈するために、追加でアロプリ ノールとフェブキソスタットの安全性について の論文を主観的に抽出した。また、両薬剤の評価 項目の対象外となっていた、費用対効果の論文も 追加で主観的に抽出した。 2. 臨床論文の評価  抽出した論文のうち、直接比較をしていない報告、 学術大会等の会議録、新座病院の患者層7)に合致 しない報告、評価項目を含んでいない報告を除き、7 報が評価対象となった(Fig.3)。評価対象となった 7 報を用いて、評価項目(臓器障害予防、痛風関節炎 予防、尿酸低下度、尿酸6.0 未満達成率、安全性) ごとに、薬剤の1日用量、平均年齢、人数、試験開 始時の尿酸値、評価項目、試験結果について一覧に した(Table 1、Table 2)9-15)  有効性において、臓器障害(心血管死、非致死性 心筋梗塞、非致死性脳梗塞)の発症率はフェブキソ スタットとアロプリノール共に0.2% 未満であり、統計 学的な評価は行われていなかった。痛風関節炎の発 症率は平均年齢52 歳の患者を対象とした試験にお いてアロプリノール1日 300 mg(64%)とフェブキソ スタット1日 80 mg(64%)に比べ、フェブキソスタッ ト1日120 mg(70%)は有意に高かった12)。平均年 齢70 歳を対象とした試験において、痛風関節炎の 発症率はフェブキソスタット1日 40 mg(10%)または 80 mg(7%) の投与の方が、 アロプリノール 1 日

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Vol. 10, 2018 32 -アプライド・セラピューティクス学会の許可なく本誌の転載・転用を禁止します。 Fig. 3 論文抽出フローチャート

除外

医学中央雑誌:

17 件

・直接比較をしていない

・会議録

Google scholar: 86 件

・直接比較をしていない

・会議録

・透析患者、若年者対象試験

PubMed:

5 件

・重複

PubMed:

7 件

除外

評価エンドポイントを含んでいない場合

医学中央雑誌:

2 件

Google scholar: 1 件

PubMed:

14 件

検索件数

医学中央雑誌:

19 件

Google scholar: 87 件

PubMed:

26 件

検索件数

医学中央雑誌:

2 件

Google scholar: 1 件

PubMed:

21 件

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Vol. 10, 2018 33 -アプライド・セラピューティクス学会の許可なく本誌の転載・転用を禁止します。 Table 1 評価論文:主な組み入れ患者、主な除外患者、デザイン、観察期間 論文 (筆頭著 者、発 行年) 主な 組み 入れ患 者 主な 除外 患者 試験デザ イン 観 察期間 A ki ra S ezai , 2 01 3 9) 尿 酸値 8. 0 mg /d l 以上、 心臓 手術 後 、 20 ‐ 90 歳 eG FR 20 以 下、 肝機能 障害、 メ ルカプ トプリ ン、 ア ザ チオプ リン服 用、 妊婦、 試験 継続が 不適切 である と 主治医 が判断 した患 者 R, S B , P 24 週 H . R alp h Sc hu m ac he r, 2008 10 ) 尿 酸値 8. 0 mg /d L 以 上、 18 -85 歳、 痛 風既往 、 Sc r-2 .0 mg /d L 以下 A ST ,A LT >1 .5 倍基準 値 R, D B , P 28 週 H yun A h K im , 2014 11 ) 尿 酸値 8. 0 mg /d l 以 上、 痛風 既往 、 CL cr 30 -89 mL /mi n SC R1 .5 m g/ dL 以上 R, D B , P 4 週 M ich ael A . B ec ker , 2 00 5 12 尿 酸値 8. 0 mg /dL 以 上 、痛風 既往 SC R 1.5 以上ま たは eG FR 50 未満 除外 R, D B , P 52 週 M ich ael A . B ec ker , 2 01 0 13 尿 酸値 8. 0 mg /d l 以上、 18 -85 歳、 痛風 既往 、 CL cr 3 0-89 mL /mi n 2 次性 高尿酸 血症、 CC L< 30 ,A ST ,A LT >1 .5 倍基準 値 R, D B , P 24 週 Ro ber t L Jack so n, 2012 14 ) 尿 酸値 8. 0 mg /d l 以 上、 65 歳 以上、 痛 風既往 、 CL cr 30 -89 mL /mi n 2 次性 高尿酸 血症、 CC L< 30 ,A ST ,A LT >1 .5 倍基準 値 サ ブ解析 24 週 Sa im a Cho ha n, 2 01 2 15 ) 尿 酸値 8. 0 mg /d l 以上、 18 -85 歳、 痛風 既往 、 女性 eG FR 15 以上 30 未満 メ タ解析 ―

R:

ランダム化比較試験、

DB

:

ダブルブライ

ンド、

SB

:

シングルブラインド

P:

プラセ

ボ対象、

SCR

:

血清ク

レアチニン、

eG

FR

:

推算糸球体濾過

量、

AS

T:

アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、

A

LT

:

アラ

ニンアミノトランスフェラーゼ

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Vol. 10, 2018 34 -アプライド・セラピューティクス学会の許可なく本誌の転載・転用を禁止します。 Table 2 評価項目ごとの結果 評価項目 論文筆頭者、発行年 1日用量 年齢 平均 (SD) 人数 ベースライン 尿酸平均値 (SD) 結果 心血管死、n (%) Michael A. Becker, 2010 F40 mg 53 (12) 757 9.8 (1.2) 0 (0%) F80 mg 53 (12) 756 9.8 (1.3) 0 (0%) A200/300 mg 53 (12) 756 9.9 (1.2) 2 (0.2%) 非致死性心筋梗塞、n (%) Michael A. Becker, 2010 F40 mg 53 (12) 757 9.8 (1.2) 0 (0%) F80 mg 53 (12) 756 9.8 (1.3) 1 (0.1%) A200/300 mg 53 (12) 756 9.9 (1.2) 1 (0.1%) 非致死性脳梗塞、n (%) Michael A. Becker, 2010 F40 mg 53 (12) 757 9.8 (1.2) 0 (0%) F80 mg 53 (12) 756 9.8 (1.3) 2 (0.2%) A200/300 mg 53 (12) 756 9.9 (1.2) 0 (0%) 痛風関節炎、n (%) Michael A. Becker, 2005 F80 mg 52 (12) 256 9.8 (1.2) 147/228 (64%) F120 mg 52 (12) 251 9.8 (1.3) 150/215 (70%) h) A300 mg 52 (13) 253 9.9 (1.2) 150/234 (64%) Robert L Jackson, 2012 F40 mg 71 (5) 115 9.4 (1.1) 9/95 (10%) h) F80 mg 71 (5) 128 9.5 (1.2) 7/106 (7%) h) A200/300 mg 70 (5) 131 9.3 (1.0) 1/106 (0.1%) 到達尿酸値(算出又はグラフからの読み取り)、mg/dL Akira Sezai, 2013 F 10-60 mg a) 67 (SEM10) 71 8.6 (SEM1.0) 5 d) A 100-300 mg b) 67 (SEM10) 70 8.6 (SEM1.0) 6 d) Hyun Ah Kim, 2014 P 52 (12) 37 9.7 (1.3) 9.8 e) F40 mg 50 (12) 35 9.7 (1.1) 6.5 e) F80 mg 49 (12) 35 9.5 (1.3) 4.9 e) F120 mg 51 (10) 36 9.5 (1.0) 4.2 e) A300 mg 48 (12) 36 9.5 (1.0) 5.7 e) Robert L Jackson, 2012 F40 mg 71 (5) 115 9.4 (1.1) 5.6 f) F80 mg 71 (5) 128 9.5 (1.2) 4.4 f) A200/300 mg 70 (5) 131 9.3 (1.0) 5.9 f)

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Vol. 10, 2018 35 -アプライド・セラピューティクス学会の許可なく本誌の転載・転用を禁止します。 Table 2 評価項目ごとの結果 (続き) 評価項目 論文筆頭者、発行年 1日用量 年齢 平均 (SD) 人数 ベースライン 尿酸平均値 (SD) 結果 尿酸値6.0 mg/dL 達成率、n (%) Akira Sezai, 2013 F 10-60 mg a) 67 (SEM10) 71 8.6 (SEM1.0) 51/71g) (72%) h) A 100-300 mg b) 67 (SEM10) 70 8.6 (SEM1.0) 21/70 g) (30%) H. Ralph Schumacher, 2008 P 52 (12) 134 - 1/99 (1%) F80 mg 51 (12) 267 - 122/161 (76%) h) F120 mg 51 (12) 269 - 163/188 (87%) h) F240 mg 54 (12) 134 - 78/83 (94%) h) A100-300 mg c) 52 (12) 268 - 85/208 (41%) Michael A. Becker, 2005 F80 mg 52 (12) 256 9.8 (1.2) 136/255 (53%) h) F120 mg 52 (12) 251 9.8 (1.3) 154/250 (62%) A300 mg 52 (13) 253 9.9 (1.2) 53/251 (21%) Michael A. Becker, 2010 F40 mg 53 (12) 757 9.6 (1.2) 342/757 g) (45%) i) F80 mg 53 (12) 756 9.6 (1.2) 507/756 g) (67%) A200-300 mg 53 (12) 756 9.5 (1.2) 318/756 g) (42%) Robert L Jackson, 2012 F40 mg 71 (5) 115 9.4 (1.1) 71/115 (62%) h) F80 mg 71 (5) 128 9.5 (1.2) 105/128 (82%) h) A200/300 mg 70 (5) 131 9.3 (1.0) 62/131 (47%) Saima Chohan, 2012 P 62 (11) 11 9.7 (1.3) 0/11 (0%) F40 mg 35 19/35 (54%) F80 mg 74 63/74 (85%) h) F120 mg 21 17/21 (81%) h) F240 mg 7 7/7 (100%) A200/300 mg 74 34/74 (46%)

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Vol. 10, 2018 36

-アプライド・セラピューティクス学会の許可なく本誌の転載・転用を禁止します。

Table 2 評価項目ごとの結果 (続き)

P: プラセボ、F: フェブキソスタット、A: アロプリノール

a) eGFR30 以下は 40 mg、 b) eGFR30 以下は 200 mg、 c) SCR<1.5 は A300 mg、

SCR1.5-2.0 は A100 mg、 d) グラフより読み取りのため参考値、 e) ベースラインの尿酸値-尿

酸低下値により算出、 f) ベースラインの尿酸値×(1-尿酸低下率)により算出、 g)

人数×達成率により算出、 h) アロプリノールに対して統計学的な有意性あり、 i) アロ

プリノールに対して統計学的に非劣性 

F: Febuxostat、A: Allopurinol、SD: 標準偏差、SEM: 標準誤差 評価項目 論文筆頭者、発行年 1日用量 年齢 平均 (SD) 人数 ベースライン 尿酸平均値 (SD) 結果 安全性 心血管イベント、n (%) H. Ralph Schumacher, 2008 P 52 (12) 134 - 1 (<1%) F80 mg 51 (12) 267 - 5 (2%) F120 mg 51 (12) 269 - 5 (2%) F240 mg 54 (12) 134 - 1 (<1%) A100-300 mg c) 52 (12) 268 - 1 (<1%) 筋骨格系および結合組織の徴候および症状、n (%) Saima Chohan, 2012 P 62 (11) 11 9.7 (1.3) 2 (18%) F40 mg, 80 mg, 120 mg, 240 mg 139 18 (13%) A200/300 mg 76 5 (7%) 関節に関連する徴候および症状、n (%) Saima Chohan, 2012 P 62 (11) 11 9.7 (1.3) 0 (0%) F40 mg, 80 mg, 120 mg, 240 mg 139 13 (9%) A200/300 mg 76 1 (1%) 骨関節症、n (%) Saima Chohan, 2012 P 62 (11) 11 9.7 (1.3) 0 (0%) F40 mg, 80 mg, 120 mg, 240 mg 139 4 (3%) A200/300 mg 76 5 (7%) P: プラセボ、F: フェブキソスタット、A: アロプリノール

a) eGFR 30 以下は 40, b) eGFR 30 以下は 200 mg, c) SCR<1.5 は A300、SCR1.5-2.0 は A100, d)

グラフより読み取りのため参考値 e) ベースラインの尿酸値-尿酸低下値により算出 f) ベ

ースラインの尿酸値×(1-尿酸低下率)により算出 g) 人数×達成率により算出 h) アロ

プリノールに対して統計学的な有意性あり i) アロプリノールに対して統計学的に非劣性

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Vol. 10, 2018 37 -アプライド・セラピューティクス学会の許可なく本誌の転載・転用を禁止します。 200/300 mg(0.1%)より有意に高かった14)。到達尿 酸値に関しては、フェブキソスタット1日 40 mg とア ロプリノール1日 200/300 mg により尿酸値 5.6-6.5 mg/dL まで到達し、フェブキソスタット1日 80 mg 以 上の投与にて尿酸値は5 mg/dL 以下まで到達した。 尿酸値6.0 mg/dL 未満の達成率はフェブキソスタット 1 日 40 mg において 45‐62%、アロプリノール 1 日 200/300 mg に お い て は 42‐47% で あ った13,14,15) Robert L. Jackson らの報告においては、フェブキソス タット1日 40 mg の投与において 62% の尿酸値 6.0 mg/dL 未満の達成率を示し、アロプリノールでは 47% の達成率であり、統計学的に有意な差であった が14)、Michael A. Becker らの報告においてはフェブ キソスタット1日 40 mg とアロプリノール 200/300 mg は統計学的に非劣性を示した13)。フェブキソスタット 1日 80 mg 以上の投与においては尿酸値 6.0 mg/dL 未満の達成率は60%以上を示した10,13,14,15)。  安全性においては、フェブキソスタットが心血 管イベントの発症率を上昇させる可能性が指摘 された10)。フェブキソスタットの尿酸生成抑制 作用により関節炎症状を発症すると考えられ15) 漸増が必要であった。アロプリノールは、重篤な 薬疹の発症率が多く報告されているため16-18)、薬 疹について追加で評価した。アロプリノールの薬 疹の発症に関与する遺伝子は HLA-B*5801 という 事が明らかになっており、その遺伝子を有する日 本人は 1-2%であった16)。薬疹にはアロプリノー ルの活性代謝物であるオキシプリノールの関与 が指摘されていた。重篤な薬疹を発症した患者は 主にアロプリノールの過剰投与者であった。フェ ブキソスタットのリスク管理計画書において、臨 床試験で明らかになった副作用以外に危険性が 指摘されている副作用はなかった19)。アロプリ ノールに関しては、リスク管理計画書が発出され ていなかった。 3.  費用対効果の評価  アロプリノールとフェブキソスタットの費用 対効果を評価した論文は 1 報であった20)。米国 における、慢性的な痛風患者に対するアロプリ ノールとフェブキソスタットの費用対効果の試 験によると、全体のコストはアロプリノールのほ うが 1,882 ドル安かったものの、治療成功率(尿 酸値 6.0 未満達成率)はアロプリノール 42%、フェ ブキソスタット 72%であり、最終的にはフェブ キソスタットのほうが費用対効果は優れている と結論付けられた。以上より、効果のある患者に 対してはアロプリノールのほうが費用を少なく 抑える事ができたと解釈した。なお、本解析には 近年指摘されている心血管イベントの発症リス ク に つ い て は 短 期 間 の 試 験 結 果 で は ア ロ プ リ ノールとフェブキソスタットの両群に統計学的 な差が認められなかったことから組み込まれて いなかった。 4. 適応確認、薬物動態的な特徴付け、特殊病態 下での有効性と安全性 4-1 適応確認  アロプリノールは先発医薬品、後発医薬品とも に「痛風、高尿酸血症を伴う高血圧症の場合にお ける高尿酸血症の是正」が適応であった。フェブ キソスタットは「痛風、高尿酸血症」「がん化学 療法に伴う高尿酸血症」が適応であった。本フォー ミュラリにおいては痛風、高尿酸血症に関するも のであり、適応上の違いは見られなかった。 4-2 薬物動態的な特徴づけ  アロプリノール、アロプリノールの活性代謝物 のオキシプリノール、そしてフェブキソスタット に 関 し て 薬 物 動 態 的 な パ ラ メ ー タ を 収 集 し た (Table 3)21-23)。アロプリノールの活性代謝物で あるオキシプリノールの尿中排泄率は 70%と腎 排泄型薬剤であった。フェブキソスタットは尿中 排泄率 1.1 ~ 3.5%(経口投与)であり、主に肝 臓(複数の CYP や UGT)で代謝された。 4-3 特殊病態下での有効性と安全性 腎機能低下患者にみられる無症候性高尿酸血症 の患者の尿酸値の目標値は明確に定められてい ない。血清尿酸値が 9.0 mg/dL 以上の無症候性高

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Vol. 10, 2018 38 -アプライド・セラピューティクス学会の許可なく本誌の転載・転用を禁止します。 Table 3 薬物動態的パラメータ 5 薬剤 バイオア ベイ ラビリテ ィ (% ) 尿中排泄 率 (% ) 全身クリ アラン ス (m l・ m in -1/k g -1) 分布容積 (l/ kg ) 遊離形分 率 半減期 (h ) ピーク時 間 (h ) 最高濃度 (µg m l −1) 情報源 アロプリ ノール 53 ± 13 12 9.9 ± 2.4 0.8 7± 0. 13 ― 1.2 ± 0.3 1.7 ± 1.0 ✝ (経口 ) 1.4 ± 0.5 ✝ (経口 ) 引用文 献 21 オキシプ リ ノール ― 70 ― ― ― 24 ± 4. 5 4.1 ± 1.4 ✝ (経口 ) 6.4 ± 0.8 ✝ (経口 ) 引用文 献 21 フェブキ ソ スタット 84 -9 4 ✝✝ (経口 )① 1.1 -3 .5 ✝✝ (経口 )① CL/ F 9.3 ± 2. 53 L h −1 ✝✝ (経口 ) ③ Vss /F 44 l ± 16 .0 ✝✝ (経口 ) ③ 0.0 1-0.2 2② 6.1 ± 1.5 7 ✝✝ (経口 )③ 2± 1.2 8 ✝✝ (経口 )③ 2.9 ± 1.4 4 ✝✝ (経口 )③ ① 引用文 献 22 ② 審査報 告書 ③ 引用文 献 23 ✝

アロプリノール

300m

g

を経口投与したとき

✝✝

フェブキソスタッ

80m

g

を経口投与し

たとき

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Vol. 10, 2018 39 -アプライド・セラピューティクス学会の許可なく本誌の転載・転用を禁止します。 尿酸血症患者に対する 14 年間の追跡調査におい て、90% が痛風関節炎を発症したと報告されてい る6)。また、高血圧、虚血性心疾患、糖尿病、メ タボリックシンドロームなどの合併症を有する 患者において、心血管障害のリスクを高める事は 観察研究で証明されている6)。しかし、これらの 患者に対する介入試験おいて、尿酸生成抑制薬が 心血管イベントを抑制するとの報告が少ない現 状では、状況に応じて薬物療法を考慮することと されている6) 5. 同等量の評価   心血管イベントの同程 度の効果 範囲の評 価は Green JB らのシタグリプチンを用いた心血管イベント の非劣性試験の報告をもとに設定した24)。 Green JB らは心血管イベントのプラセボに対するシタグリプチ ンのハザード比の95%信頼区間の上限 1.3 未満を非 劣性マージンとして設定した。心血管イベントの発症 率2% をもとに24)発症率の差を算出すると、0.6% (0.02^1.3=0.6%)となる。以上より心血管イベント(心 血管死、非致死性心筋梗塞)において、±0.6% 以内 の変化であれば同程度であると評価した。尿酸低下 作用の同程度の効果範囲の評価に関して、アロプリ ノールとフェブキソスタットを比較した非劣性試験は 私たちが調査した中には含まれなかったため、アロ プリノールと尿酸生成抑制薬のトピロキソスタットの 非劣性試験を用いた25)。Hosoya Tらの報告において、 アロプリノールに対するトピロキスタットの尿酸値低 下率の差が8%未満を非劣性マージンと設定した25)。 ベースラインでの尿酸値と試験終了時の尿酸値の比 較において、アロプリノール群は尿酸値505.4 μmol/ L から 34.3% 低下し 332.0 μmol/L となり、トピロキ ソスタット群は尿酸値512.5 μmol/L から 36.3% 低下 し332.0 μmol/L となった25)。この結果から8% の尿 酸値低下がアロプリノール群では0.7 mg/dL (40.432 μmol/L /59.48)、トピロキソスタット群では 0.7 mg/dL (41 μmol/L /59.48) であることから、尿酸値の差が ±0.7 mg/dL 以内を同程度と評価した。尿酸値 6.0 mg/dL 未満の達成率に関しては、Michael A.Becker らが尿酸値6.0 mg/dL 未満の達成率の 97.5% 信頼 区間の上限10% 未満を非劣性マージンとして設定し た12)。以上より、尿酸値6.0 mg/dL 未満の達成率に おいて、±10% 以内を同程度と評価した。  臓器障害(心血管死、非致死性心筋梗塞、非致死 性脳梗塞)に関しては、±0.6% 未満の差であること から、ハードエンドポイントにおいてはフェブキソス タットとアロプリノールは同程度であると評価した。 尿酸値6.0 mg/dL 未満の達成率に関しては Robert L. Jacksonらの報告ではフェブキソスタット1日40 mgと アロプリノール1日 200/300 mg では達成率に 15% の 差があり臨床的に価値のある差を示した。一方で Michael A. Becker 2010 と Saima Chohan 2012 の報 告においてはフェブキソスタット1日40 mgとアロプリ ノール1日 200/300 mg では達成率が ±10% 以内であ り同程度であった。到達尿酸値においては、フェブ キソスタット1日40 mg 群の 5.6 mg/dL とアロプリノー ル1日200/300 mg 群の5.9 mg/dLと同程度であった。 尿酸値6.0 mg/dL 未満の到達率は試験によって同程 度な用量の設定が異なるものの、尿酸値の低下効果 が同程度であるフェブキソスタット40 mg とアロプリ ノール1日 200/300 mg を同程度と評価した。 6.  優先順位の作成  ハードエンドポイントである痛風発作予防効 果、臓器障害予防効果ともに両薬剤は同程度の効 果を示した。尿酸値低下効果においては、フェブ キソスタット 1 日 40 mg とアロプリノール 1 日 200/300 mg は臨床的に同程度の効果を示すと評価した。 腎機能低下患者に対するフェブキソスタットと アロプリノールの安全性を比較した臨床試験に おいて、薬疹の発症率に違いはみられず、投与量 を管理することで重篤な薬疹はコントロール可 能であると評価した。効果が同程度であるフェブ キソスタット 1 日 40 mg とアロプリノール 1 日 200/300 mg において、1 日薬剤費はアロプリノー ルの方が安価であった。さらに、アロプリノール において目標尿酸値を達成することができた場 合は、アロプリノールの方がフェブキソスタット よりも費用対効果的であることが示された20) 以上のことから、アロプリノールの投与量を腎機

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Vol. 10, 2018 40 -アプライド・セラピューティクス学会の許可なく本誌の転載・転用を禁止します。 能に応じて適切に管理することで副作用をコン トロールすることができ、アロプリノールにて十 分な尿酸値低下作用を示す例が存在する。以上の ことから、当院のフォーミュラリでは、フェブキ ソスタット 1 日 40 mg 以下にて尿酸値の目標値を 達成している場合、または、新規に高尿酸血症の 治療を開始する場合においては、アロプリノール を選択するとした。 7.  経営判断と周知  病院長と所属長の判断の結果、作成したフォー ミュラリ通りで運用することとなった。2017 年 7 月 28 日の薬事審議会において、本フォーミュラ リの概要(Fig. 4)と説明資料(Fig. 5)を配布 し、腎機能に応じた同等量を持参薬の代替案とし て提案する事を条件に導入した。 8.  再評価  心血管イベント抑制効果について報告があっ た 2018 年 3 月に、構築したフォーミュラリを再 評価した26)。痛風および主要な心血管系の併存 状態の患者を対象として行われた試験において、 フェブキスタットは有害な心血管イベントの発 生 率 に 関 し て ア ロ プ リ ノ ー ル よ り 劣 っ て い な かった。一方で、全原因死亡率および心血管死亡 率はフェブキススタットが(7.8%)、アロプリノー ル(6.4%)よりも高かった。以上のことから、作 成したフォーミュラリにおいて、優先順位に変更 なく継続使用していくこととした。 考察  薬物治療が必要な高尿酸血症患者に関する当 院のフォーミュラリにおいては、まずアロプリ ノールを使用し、尿酸値が目標に到達しない時は フェブキソスタットへ切り替えていくこととし た。  本フォーミュラリ構築に際し、評価項目を臓器 障害予防、痛風関節炎発症率、尿酸値低下度、尿 酸値 6.0mg/dL 未満達成率、安全性とした。精神 神経疾患や患者の利便性を考慮するような疾患 における医薬品の評価項目の中には、医療者が評 価するアウトカムと患者が報告するアウトカム が存在する27,28)。本疾患の医薬品の評価項目には 尿酸値 6.0 md/dL 未満達成率や痛風関節炎の発症 抑制、臓器障害の抑制が主に使用される6)。一方 で、痛風発作は患者の QOL に大きな影響を与える ため、痛風患者における患者報告アウトカムに関 する重要性が示された29)。医薬品の比較におい ては客観的な指標を重視する必要があるが、客観 的な指標が同等である場合の優先度の選択にお いては患者報告アウトカムも含めて検討するこ とも考慮して良いと考える。  本フォーミュラリの対象は高尿酸血症患者とした。 日本において、痛風の有病率は、30 歳以上の男性の 1%を超えると推定されている6)。日常診療における 高尿酸血症・痛風の患者に対する治療において、尿 酸値の変動を効果指標として使用する6)。痛風発作 の既往を有する患者において、血清尿酸値を6.0 mg/ dL 未満に維持することで、膝関節内の尿酸結晶を減 らすことができることが明らかになっている30)。フェ ブキソスタット1日80 mg 以上の投与が必要な患者にお いては、アロプリノール1日200/300 mg の投与より尿酸 値6.0 mg/dL 未満到達率が高いことが示唆された 10,12-15)。そのため、痛風発作の既往がある患者に対して、 アロプリノール1日200/300 mg の投与にて尿酸値 6.0 mg/dL 以下を維持することが出来ない場合には、フェ ブキソスタットが有用であると考える。さらに、腎機 能の低下などによる尿酸排泄能が低下したことにより 生じる無症候性高尿酸血症患者の日本の有病率は明 らかになっておらず、治療の必要性や目標値に関して 明確な指針は出されていない6)。そのため、まずは 治療を開始するのかを判断する必要がある。治療の 開始が必要である場合も、血清尿酸値8.9 mg/dL 以 下の無症候性高尿酸血症の患者の痛風関節炎発症 率は毎年0.5%であり6)、急な尿酸値補正の必要性 は低いと考える。Gandi PKらにより、アロプリノール で効果が認められた場合はフェブキソスタットよりも 総合的な薬剤費が減少することが示されたため20)、 無症候性高尿酸血症の薬物治療開始においてフェブ キソスタットから開始するのではなく、まずはアロプリ

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Vol. 10, 2018 41 -アプライド・セラピューティクス学会の許可なく本誌の転載・転用を禁止します。 Fig. 4 フォーミュラリ同等量換算表 回リハ 推奨 成分名 規格 薬価 (1錠あた り) 用法 用量(日) 相互作用 200(※2 )/300 <30 30-50 50< 50 [3.85] 50-100 [3.85-7.7] 100 -300 [7.7-23.1] フェブキソ スタット 10mg 20mg 40mg 31.7 57.7 108.7 10mg から開始 維持量40mg 最大60mg 禁忌 メルカプトプリ ン アザチオプリン 10 [31.7] 20 [57.7] 40 [108 .7] 60 [166 .4] ※1割線があるもの、最低規格以下は半錠で計算、※2腎機能で調整 201 8.3.15改訂(2 018 年度薬価) 慎重投与 メルカプトプリ ン アザチオプリン 高尿酸血症治療剤 上段;同等量換算表(mg) [下段];1日最低薬価(円)※1 臨床試験データ ◎ アロプリ ノール 100mg 7.70 200 -300 mg 50-200 (※2) ・尿酸値低下作用 ;痛風患者または尿酸値8mg /d L以上の高尿酸血 症患者を対象とした試験であり、主要評価項目とされた尿酸値 6mg /d L未満への達成率はアロプリノールに比べて有意にフェブキ ソスタットが低下させていた。 ・痛風関節炎の予防; 報告なし ・臓器障害の予防; アロプリノール、フェブキソスタットともに腎 機能の悪化は認められなかった。アロプリノールは腎機能に応じて 適切な用量を投与することで、副作用(腎機能低下)はコントロー ル可能であると思われる。心血管イベント抑制効果は明確に示され ていない。 ・副作用; 筋骨格系はフェブキソスタットに多く示された。心血管 イベントは上昇させる可能性がフェブキソスタットに示されたが、 有意な上昇は見られなかった。重篤な副作用については両薬剤とも に違いは見られなかった。 CLcr(※2)

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Vol. 10, 2018 42 -アプライド・セラピューティクス学会の許可なく本誌の転載・転用を禁止します。 Fig. 5 医師への説明用資料 A4 1枚にスライド 2 枚が載るように印刷し、冊子となるように閉じて配布した。なお、実際に配布した資 料において、フェブキソスタットは先発医薬品名を記載した。薬価は 2016 年度薬価のものが記載されている。

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Vol. 10, 2018 43 -アプライド・セラピューティクス学会の許可なく本誌の転載・転用を禁止します。 ノールの適切な用量で治療を開始し、尿酸値が6.0 mg/dL 未満に到達しない場合はフェブキソスタットを 選択することが医療費抑制に貢献できると考える。 投薬効果の判定時期は明確に示されていないが6)、4 週間の投与により尿酸値が低下することは明らかに なっているため11)、尿酸値を効果指標とする場合に は4 週間に一度の判定で良いと考える。  本フォーミュラリ作成の際に観察期間は4 週間か ら52 週間の臨床論文を採用した。到達尿酸値の評 価において4 週間から 24 週間の試験が混在している が、尿酸低下作用は4 週間で認められることから、 尿酸値においては観察期間の影響は受けないと考え る。心血管イベント、痛風関節炎、安全性において は24 週以上の報告のみに記載があった。痛風関節 炎 の 発 症 に お いて、24 週 で 評 価した Robert L. Jackson 2012 の報告ではアロプリノールによる発症が フェブキソスタットよりも低かったものの、52 週を評価 したMichael A. Becker 2005 の報告では両薬剤共に 60%以上だった。治療初期においてはフェブキソス タットの尿酸結晶の溶解速度が速いことの影響によ り、24 週で評価した試験においてはフェブキソスタッ トの痛風関節炎の再発率がアロプリノールより高く なったと考えられる。   ア ロ プ リ ノ ー ル の 代 謝 物 で あ る オ キ シ プ リ ノールは腎機能により用量を調節することで、腎 機能正常患者と同じ血中濃度を維持することが できると推察された。アロプリノールと同様に腎 機能により用量を調節する必要がある腎排泄型 薬剤のシタグリプチンは用量を適切に調節する ことで腎排泄の寄与が少ない他の DPP-4 阻害薬か らの変更においても、HbA1c 値 6.3 ± 0.75%(平 均値± SD、0 か月時点)から HbA1c 値 6.4 ± 0.81% (平均値± SD、6か月時点)と同程度の効果を示 すことができ、薬剤費を抑制することができるこ とが示された31)。安全性が比較的高い、慢性疾 患の治療薬においては、腎機能低下患者に対し て、尿中排泄率の低い薬剤を第一に使用すること よりも薬物動態的な特徴を評価し、腎機能に応じ て用量を調節することで薬剤費を抑制できる医 薬品をフォーミュラリとして選択することも大 切であると考える。  本研究の限界は、対象患者を療養病床における 患者としたことである。急性期病院の入院中患者 の導入に関しては、例えば、入院期間の短縮も考 慮する必要があると考える32)。治療効果の発現 が早い薬に関しては、まず効果発現の早い薬を使 用し、その後病態が落ち着き維持療法に移った段 階で安価な薬剤へ切り替え、長期間使用していく というフォーミュラリも考慮して良いのではな いかと考える。以上のことから、疾患によっては 急性期の病院におけるフォーミュラリと慢性期 におけるフォーミュラリは異なる可能性がある。 今後は急性期の病院におけるフォーミュラリの 構築と効果に関する報告も望まれる。 結論  療養病床における緊急度の低い高尿酸血症に 対して薬物治療が必要な場合においては、まずア ロプリノールの適切な用量で治療を開始し、効果 不足時はフェブキソスタットを選択することで 医療費抑制に貢献できる可能性が示唆された。更 に、肝代謝型の薬剤は適切に調節された腎排泄型 の薬剤に変更することにより、医療費を抑制でき る可能性が示唆された。 利益相反  開示すべき利益相反はない。 謝辞  本報告の一部は第27 回日本医療薬学会年会(2017 年11 月)にて報告した。本論文中の英文抄録は、 カクタス・コミュニケーションズ株式会社のEditage (www.editage.jp) により英文校正された。 著者の貢献度  金井紀仁は研究の着想やデザイン構築、臨床論 文の収集・評価、論文の執筆に関わった。鈴木義 人は臨床論文の収集・評価、論文の修正に関わった。

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Vol. 10, 2018 44 -アプライド・セラピューティクス学会の許可なく本誌の転載・転用を禁止します。 引用文献 1) 厚生労働省、 第三期医療費適正化計画 (2018 ~ 2023)について、医療費適正化基本方針.[http:// www.mhlw.go.jp/f ile/06-Seisakujouhou-12400000 -Hoken kyok u /0000190972.pdf (accessed 2018-6-29)]

2) National Institute for Health and Care Excellence, Developing and updating local formularies, N I C E g u i d e l i n e M e t h o d s , e v i d e n c e , recommendations and appendices October 2015 3) Ghaibi S., Ipema H., Gabay M. ASHP guidelines

on the pharmacist’s role in providing drug information. Am J Health-Syst Pharm, 2015 ; 72 : 573-577.

4) American Society of Health-System Pharmacists. ASH P st at e me nt on t he pha r ma cy a nd therapeutics committee and the formulary system. Am J Health-Syst Pharm, 2008 ; 65 : 2384-2386. 5) 金井紀仁、 松田沙樹子、 大野智裕、 鈴木義人. Formulary System を基に処方提案することによ る薬剤費抑制効果 - レニン - アンジオテンシン 系阻害薬を対象として-. 日本病院薬剤師会雑 誌, 2017 ; 53 : 443-447. 6) 高尿酸血症 ・ 痛風の治療ガイドライン第 2 版、 日本痛風 ・ 核酸代謝学会、2010. 7) 金井紀仁、 大野智裕、 回復期リハビリテーショ ン病棟における入院前服薬調査が入院後の薬 剤費に与える影響、 第 23 回医療薬学会年会、 2014 年 9 月 . 8) 林洋子、 堀内淳子、 中田和宏、 金井紀仁、 山 岡和幸、 佐村優、 緒方宏泰、 医薬品の有効性 評価における問題点 – 統計的有意性と臨床的 に意味のある差− . アプライド ・ セラピューティク ス, 2017 ; 9 : 19-31.

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Table 1 評価論文:主な組み入れ患者、主な除外患者、デザイン、観察期間 論文 (筆頭著者、発行年)主な組み入れ患者主な除外患者試験デザイン
Table 2 評価項目ごとの結果 (続き)

参照

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