敞:川崎市内河川における魚類・底生動物及び水草 分布調査結果(1996)、川崎市公害研究所年報 第 23 号、35~41(1997) 15) 石田哲夫、村上明美、宮島周二:川崎市内河川にお ける底生動物及び魚類分布結果からみた河川環境 (1997)、川崎市公害研究所年報 第 24 号、23~27 (1998) 16) 喜内博子、村上明美、市瀬博明、佐藤賢二、小清水 正:川崎市内における親水施設調査(1997)、川崎市 公害研究所年報 第 24 号、28~35(1998) 17) 喜内博子、村上明美、市瀬博明:早野聖地公園溜池 調査(1997)、川崎市公害研究所年報 第 25 号、56 ~61(1998) 18) 村上明美、喜内博子、市瀬博明:川崎市内河川にお ける水生生物分布調査結果(1997)、川崎市公害研 究所年報 第 25 号、73~76(1998) 19) 村上明美、喜内博子、漆畑実:川崎市内河川におけ る親水施設調査結果(1998)、川崎市公害研究所年 報 第 26 号、73~76(1999) 20) 丸山朝子、喜内博子、村上明美、漆畑実:川崎市内 河川における水生生物分布調査結果-多摩川魚類 分布調査-(1999)、川崎市公害研究所年報 第 27 号、71~75(2000) 21) 丸山朝子、喜内博子、村上明美、柾一成、張山嘉道: 川崎市内河川の魚類と底生動物分布の推移(1977- 2000)、川崎市公害研究所年報 第 28 号、22~28 (2001) 22) 丸山朝子、柾一成、張山嘉道:川崎市内河川の親水 施設調査(2001)、川崎市公害研究所年報 第29号、 30~36(2002) 23) 柾一成、丸山朝子、張山嘉道:川崎市内河川の魚類 と底生動物分布調査結果(2001)、川崎市公害研究 所年報 第 29 号、37~41(2002) 24) 丸山朝子、柾一成、張山嘉道:早野聖地公園内ため 池調査結果(2001)、川崎市公害研究所年報 第 29 号、42~45(2002) 25) 柾一成、若山朝子、吉田謙一:川崎市内におけるヨ コエビ類の分布(2002)、川崎市公害研究所年報 第 30 号、39~44(2003) 26) 若山朝子、柾一成、吉田謙一:川崎市内河川の親水 施設調査結果(2002)、川崎市公害研究所年報 第 30 号、89~100(2003) 27) 柾一成、若山朝子、吉田謙一:早野聖地公園内ため 池調査結果(2002)、川崎市公害研究所年報 第 30 号 101~105(2003) 28) 柾一成、若山朝子、吉田謙一:川崎市内の希少水生 生物分布調査結果(2002)、川崎市公害研究所年報 第 30 号 106~112(2003) 29) 若山朝子、柾一成、酒井泰:川崎市内河川の親水施 設調査結果(2003)、川崎市公害研究所年報 第 31 号 87~96(2004) 30) 丸山朝子、柾一成、酒井泰:早野聖地公園内溜池水 質調査結果(2003)、川崎市公害研究所年報 第 31 号 97~99(2004) 31) 吉田謙一、岩渕美香、丸山朝子、酒井泰:川崎市内 の希少水生生物分布調査結果(2003~2004)-川 モヅクの生息状況を中心に-、川崎市公害研究所 年報 第 32 号 64~68(2005) 32) 田中利永子、岩渕美香、丸山朝子、酒井泰:川崎市 内河川の親水施設調査結果(2004)、川崎市公害研究 所年報 第 32 号 69~78(2005) 33) 近藤玲子、吉田謙一、田中利永子、岩渕美香:川崎 市内河川の親水施設調査結果(2005)、川崎市公害研 究所年報 第 33 号 56~67(2006) 34) 近藤玲子、田中利永子、吉田謙一:川崎市内河川の 親水施設調査結果(2006)、川崎市公害研究所年報 第 34 号 40~53(2007) 35) 近藤玲子、飯島恵、吉田謙一:川崎市内河川の親水 施設調査結果(2007)、川崎市公害研究所年報 第 35 号 74~86(2008) 36) 永山恵、吉田謙一:川崎市内河川の親水施設調査結 果(2008)、川崎市公害研究所年報 第 36 号 71~ 82(2009) 37) 永山恵、岩渕美香:川崎市内河川の親水施設調査結 果(2009)、川崎市公害研究所年報 第 37 号 59~ 70(2010) 38) 小林弘明、永山恵、岩渕美香:川崎市内河川水生生 物調査結果(2009)、川崎市公害研究所年報 第 37 号 84~95(2010) 39) 永山恵、小林弘明、岩渕美香:川崎市内河川の親水 施設調査結果(2010)、川崎市公害研究所年報 第 38 号 54~65(2011) 40) 永山恵、小林弘明、岩渕美香:川崎市内河川水生生 物調査結果(2010)、川崎市公害研究所年報 第 38 号 66~82(2011) 41) 岩渕美香、永山恵、小林弘明:川崎市内河川の親水 施設調査結果(2011)、川崎市公害研究所年報 第 39 号 34~45(2012) 42) 岩渕美香、永山恵、小林弘明:早野聖地公園内ため 池の生物調査結果(2011)、川崎市公害研究所年報 第 39 号 46~56(2012) 43) 川 崎 市 : 市 政 資 料 水 質 年 報 、 http://www.city.kawasaki.jp/shisei/category/51 -4-11-5-0-0-0-0-0-0.html 44) 川崎市:二ヶ領用水総合基本計画(2013 )、 http://www.city.kawasaki.jp/530/page/000004936 0.html
底生生物及び魚類を用いた水環境評価手法の検討
Examination of the Water Environment index WithAquatic Organisms and Fish of River
小林 弘明 Hiroaki KOBAYASHI 岩渕 美香 Mika IWABUCHI 要旨 川崎市では、「川崎市環境基本計画」及び「川崎市水環境保全計画」に基づき、市内河川に生息する底生生物の調査 を実施している。これらの調査結果は、環境普及啓発冊子「川の生きもの」の基礎資料として用いられる他、川崎市水 環境保全計画における水環境を評価する資料として用いられている。 今回、1979 年より 2011 年までの約 30 年にわたる水生生物調査結果を集計し、結果から市内河川に適応可能な水環 境評価手法を数種検討した。その結果、底生生物を用いた評価手法では、①ASPT 値を用いた手法、②カゲロウ目、カ ワゲラ目、トビケラ目の科数と出現数をカウントする手法、③「川の生きもの」で使われている評価手法、魚類を用い た評価手法では、在来種、又は、希少種の存在するところでは、希少種の種数をカウントする手法が適切だと考えられ た。 キーワード: 水質、魚類、水生生物、底生生物
Key words: Water quality, Fish,Aquatic organisms, Benthic animals 1 はじめに 本研究所では、「川崎市環境基本計画」、「川崎市水環境 保全計画」に基づき、公共用水域の水質評価、水環境評 価、生息生物の情報収集等を目的として、市内河川等に おいて河川水生生物調査等を実施している。これらの調 査結果は、市民への環境普及啓発冊子「川の生きもの」 の作成のため、また、川崎市環境保全計画における水環 境を評価する基礎資料として用いられている。水環境保 全計画に記されている評価方法は、その前身である「川 崎市河川水質管理計画(平成5年策定)」での指標(魚類 のみ)が用いられており、「川崎市水環境保全計画」を策 定する際に、当指標が河川環境評価に対して適切である かの議論もなされていた。 魚類は、餌の不足や河川水質変化などの環境変化が起 きると、回遊し、生息地を移動することが可能であるが、 底生生物は、生息に適した環境でなければ定着すること ができず、また、魚類と比べ移動範囲は狭いため、河川 環境の変化により影響を受けやすい。しかし、「(旧)川 崎市水質管理計画」では、底生生物による評価はしてお らず、今回の「川崎市水環境保全計画」では、「底生生物 (種別個体数)」が指標として示されたものの、評価方法 は提示されていない。 そこで、川崎市が行った 1979 年から 2011 年までの約 30 年に亘る底生生物及び魚類の調査結果を用いて、数種 類の水環境評価方法について検討したので報告する。 2 底生生物及び魚類の経年変化の把握 前報文では、河川環境の主要な項目である水質が向上 することにより、生息する生物科数や種数に増加傾向が 見て取れることを述べた。今回は、先の結果から 1979 年 から2011年までの底生生物科数及び魚類種数の経年変化 について再度まとめた。なお、底生生物は 1979 年から 2011 年までのデータを、魚類は 1980 年から 2011 年まで のデータを用いた。底生生物や魚類の同定は、年度によ って精度が異なるため、底生生物については、科で分類 をしなおした。魚類については、種で分類した。なお、 フナ類、ヨシノボリ類に関しては、分類が非常に困難で あるため、種の分類ではなく、フナ類、ヨシノボリ類と した。1979 年から 2011 年までの底生生物科数及び魚類種 数の経年変化を図1、図2に示した。 底生生物の確認科数は、1979 年から 2011 年まで増減は あるものの、おおよそ増加傾向が確認できる。 0 20 40 60 80 100 120 種 数 ( 種 ) 年度(年) 希少種 外来種 在来種 図1 底生生物科数の経年変化 図2 魚類種数の経年変化 0 5 10 15 20 25 30 1980 1982 1984 1986 1988 1990 1996 1998 2000 2002 2004 種 数 (種 ) 年度(年) 希少種 外来種 在来種
魚類の確認種数は、1990 年まで横ばいに推移し、2000 年にかけて微増したその後は、2~3年毎に増減を繰り 返しているものの概ね増加傾向にある。また、若干希少 種の確認種数が増加している。 生物種や構成比の遷移は、5~10 年で起こる1)とされ ているため、底生生物科数、魚類種数の変遷、構成比を 詳細に把握するために、期間を約5年間隔に分け、底生 生物科数、魚類種数の推移を確認した(図3、図4)。 魚類は、図4のようにおおよそ5年ごとの期間で種数、 構成比が変化しており、底生生物でも、1979 年から 1983 年と比較し、科数が大幅に増加しているなど、現在の川 崎市の河川環境を平成5年に作成された「川崎市水質管 理計画」等の指標を用いて評価するには、必ずしも一致 しない可能性がある。 そこで、これら底生生物科数及び魚種数の 1979 年から 2011 年までの推移と合致し、且つ適切に河川環境を評価 する手法を検討した。 3 評価手法の検討 3.1 検討項目 底生生物、魚類について、以下に示す評価手法が市内 河川評価に適しているかどうかを検討した。 【底生生物】 ・ETP 手法 ・生物多様性指数を用いた評価 ・平均スコア値(以下 ASPT 値と言う) ・水質階級評価 ・「川の生きもの」を用いた評価 ・ヒゲナガカワトビケラを用いた評価 【魚類】 ・魚類種数による評価 3.2 評価手法の検討結果 3.2.1 底生生物 3.2.1.1 ETP 手法を用いた評価 まずは、ETP 手法を用いた水環境評価について検討を行 った。ここで言う ETP 手法とは、カゲロウ目、カワゲラ 目、トビケラ目の種数の合計値を用いて河川を評価する 手法である。即ち、カゲロウ目、カワゲラ目、トビケラ 目の種数が多ければ、河川環境として適切なものである との評価である。 ETP 手法では、カゲロウ目、カワゲラ目、トビケラ目を 種まで同定する必要があるため、ここではこれまで研究 所で同定してきたカゲロウ目9種、カワゲラ目2種、ト ビケラ目 10 種の指数を算出し、5つの期間(1979 年~ 1984 年、1989 年~1994 年、1995 年~1999 年、2000 年~ 2005 年、2006 年~2011 年)にわけ、図5、図6、図7に 示した。ここで言う指数とは、期間内のその生物の確認 回数を同期間中に実施した調査回数で除した値とした。 つまり、当該期間中の1回の調査で見つかる割合である。 図5 カゲロウ目の指数の経年変化 図6 カワゲラ目の指数の経年変化 図3 底生生物科数の経年変化 図4 魚類種数の経年変化 0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 指 数 モンカゲロウ ミズカゲロウ マダラカゲロウ ヒロバカゲロウ ヒラタカゲロウ ヒメシロカゲロウ トビイロカゲロウ タニガワカゲロウ コカゲロウ類 0 0.05 0.1 0.15 0.2 0.25 0.3 0.35 0.4 指 数 オナシカワゲラ カワゲラ類 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 確 認 科 数 ( 科 ) 希少種 外来種 在来種 0 5 10 15 20 25 確 認 種 数 ( 種 ) 希少種 外来種 在来種 図5~図7に示すとおり、カゲロウ目、カワゲラ目、 トビケラ目全てにおいて、1979 年~2011 年にかけて指数 が増加傾向にあることが確認できた。また、カゲロウ目、 トビケラ目では、年度を経ることで確認される科数も概 ね増加傾向を示した。 ETP を用いた評価手法では、年度を経ていくに従って指 数、種数が増加傾向を示していることから、同手法は、 図3で示した生物科数の経年変化と同じ傾向を示してい るため、評価手法として用いることが可能であると思わ れる。 3.2.1.2 ASPT 値と水質 次に ASPT 値を用いた評価手法を検討した。ASPT 値とは、 底生生物の生活環境に対して1から 10 までの点数(スコ ア)を振り分け、調査地点の生物の生息環境を評価する ものである。ASPT 値による評価では、10 点満点で点数が 高いほど、生物にとって適正な生息環境であるとされて いる。まず、ASPT 値と河川水質との関係について調べる ため、各調査地点において ASPT 値を算出し、市内の測定 計画で測定している河川の汚濁指標である BOD との関係 を図8に示した。 ASPT 値と水質汚濁指標である BOD の関係を見ると、図 8に示すとおり、BOD が減少すると ASPT 値が高くなる傾 向があり、概ね反比例の関係であった。BOD は、河川環境 の重要な項目の一つであり、ASPT 値とも上記のような関 係性が見て取れる。そのため、河川環境評価に ASPT 値を 用いることが可能であることが示唆された。 3.2.1.3 ASPT 値と指数の算出 期間毎に底生生物(全 205 科)の指数を算出し、5以 下のスコア生物、6以上のスコア生物の指数、ASPT 値の 期間平均値を算出し、図9 に示した。 6以上のスコア生物は、1989 年から 2011 年まで種数が 増加しており、その比率が増加していることが確認でき る。また、ASPT 値も概ね増加傾向が確認できる。これら のことから、図3で示した確認科数の増加と同じ傾向が 確認できるため、ASPT 値を用いて河川環境評価を行うこ とが可能であると考えられる。 3.2.1.4 「川の生きもの」を用いた評価方法の検討 「川の生きもの」2)を用いた評価手法は、公害研究所 が実施した調査の中で蓄積してきた結果から経験的に作 成した評価方法であり、ASPT 値や出現頻度の算出など煩 雑な作業が必要ないのが特徴である。 現在、川崎市が 発行している「川の生きもの」では、底生生物と水質と の関係を表1のように表している。 そこで、「川の生きもの」で示されている「とてもきれ い」、「きれい」、「やや汚れている」、「汚れている」に記 載されている生物の指数を算出し、各々の指数の合計値 を図 10 に示した。 1979 年~1984 年と比較し、2006~2011 年には「汚れて いる」、「やや汚れている」の生物群の全体に占める割合 が減少し、「きれい」の生物群が増加していることが確認 できる。次に「とてもきれい」、「きれい」に該当する生 物に関し、種ごとに指数を算出し、図 11、図 12 に示した。 汚れている(BODおよそ10mg/L以上) 赤色ユスリカ ホシチョウバエ イトミミズ類 サカマキガイ やや汚れている(BODおよそ5.0~10mg/L) コヤマトンボ ミズムシ シマイシビル モノアラガイ きれい(BODおよそ2.5~5.0mg/L) コカゲロウ類 コガタシマトビケラ ヒメトビケラ オニヤンマ ヨコエビ ガガンボ類 ヒラタドロムシ ハグロトンボ コオニヤンマ サワガニ ウズムシ カワニナ とてもきれい(BODおよそ2.5mg/L) ヒラタカゲロウ ヒゲナガカワトビケラ タニガワカゲロウ オナシカワゲラ カワゲラ類 図7 トビケラ目の指数の経年変化 表1「川の生きもの」の評価手法 図9 スコアと指数の関係 図 10 「川の生きもの」生物割合 0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 指 数 エグリトビケラ イワトビケラ ムネカクトビケラ ヒメトビケラ ヒゲナガトビケラ ナガレトビケラ トビケラ類 シマトビケラ クダトビケラ カワトビケラ 図8 ASPT 値と BOD の関係 0 1 2 3 4 5 6 7 8 0 2 4 6 8 10 12 14 A SP T値 BOD(mg/L) 0 2 4 6 8 10 12 14 指 数 汚れている やや汚れている きれい とてもきれい 0 1 2 3 4 5 6 0 2 4 6 8 10 12 1979-1984 1989-1994 1995-1999 2000-2005 2006-2011 A SP T値 指 数 6以上スコア 5以下スコア ASPT値
魚類の確認種数は、1990 年まで横ばいに推移し、2000 年にかけて微増したその後は、2~3年毎に増減を繰り 返しているものの概ね増加傾向にある。また、若干希少 種の確認種数が増加している。 生物種や構成比の遷移は、5~10 年で起こる1)とされ ているため、底生生物科数、魚類種数の変遷、構成比を 詳細に把握するために、期間を約5年間隔に分け、底生 生物科数、魚類種数の推移を確認した(図3、図4)。 魚類は、図4のようにおおよそ5年ごとの期間で種数、 構成比が変化しており、底生生物でも、1979 年から 1983 年と比較し、科数が大幅に増加しているなど、現在の川 崎市の河川環境を平成5年に作成された「川崎市水質管 理計画」等の指標を用いて評価するには、必ずしも一致 しない可能性がある。 そこで、これら底生生物科数及び魚種数の 1979 年から 2011 年までの推移と合致し、且つ適切に河川環境を評価 する手法を検討した。 3 評価手法の検討 3.1 検討項目 底生生物、魚類について、以下に示す評価手法が市内 河川評価に適しているかどうかを検討した。 【底生生物】 ・ETP 手法 ・生物多様性指数を用いた評価 ・平均スコア値(以下 ASPT 値と言う) ・水質階級評価 ・「川の生きもの」を用いた評価 ・ヒゲナガカワトビケラを用いた評価 【魚類】 ・魚類種数による評価 3.2 評価手法の検討結果 3.2.1 底生生物 3.2.1.1 ETP 手法を用いた評価 まずは、ETP 手法を用いた水環境評価について検討を行 った。ここで言う ETP 手法とは、カゲロウ目、カワゲラ 目、トビケラ目の種数の合計値を用いて河川を評価する 手法である。即ち、カゲロウ目、カワゲラ目、トビケラ 目の種数が多ければ、河川環境として適切なものである との評価である。 ETP 手法では、カゲロウ目、カワゲラ目、トビケラ目を 種まで同定する必要があるため、ここではこれまで研究 所で同定してきたカゲロウ目9種、カワゲラ目2種、ト ビケラ目 10 種の指数を算出し、5つの期間(1979 年~ 1984 年、1989 年~1994 年、1995 年~1999 年、2000 年~ 2005 年、2006 年~2011 年)にわけ、図5、図6、図7に 示した。ここで言う指数とは、期間内のその生物の確認 回数を同期間中に実施した調査回数で除した値とした。 つまり、当該期間中の1回の調査で見つかる割合である。 図5 カゲロウ目の指数の経年変化 図6 カワゲラ目の指数の経年変化 図3 底生生物科数の経年変化 図4 魚類種数の経年変化 0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 指 数 モンカゲロウ ミズカゲロウ マダラカゲロウ ヒロバカゲロウ ヒラタカゲロウ ヒメシロカゲロウ トビイロカゲロウ タニガワカゲロウ コカゲロウ類 0 0.05 0.1 0.15 0.2 0.25 0.3 0.35 0.4 指 数 オナシカワゲラ カワゲラ類 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 確 認 科 数 ( 科 ) 希少種 外来種 在来種 0 5 10 15 20 25 確 認 種 数 ( 種 ) 希少種 外来種 在来種 図5~図7に示すとおり、カゲロウ目、カワゲラ目、 トビケラ目全てにおいて、1979 年~2011 年にかけて指数 が増加傾向にあることが確認できた。また、カゲロウ目、 トビケラ目では、年度を経ることで確認される科数も概 ね増加傾向を示した。 ETP を用いた評価手法では、年度を経ていくに従って指 数、種数が増加傾向を示していることから、同手法は、 図3で示した生物科数の経年変化と同じ傾向を示してい るため、評価手法として用いることが可能であると思わ れる。 3.2.1.2 ASPT 値と水質 次に ASPT 値を用いた評価手法を検討した。ASPT 値とは、 底生生物の生活環境に対して1から 10 までの点数(スコ ア)を振り分け、調査地点の生物の生息環境を評価する ものである。ASPT 値による評価では、10 点満点で点数が 高いほど、生物にとって適正な生息環境であるとされて いる。まず、ASPT 値と河川水質との関係について調べる ため、各調査地点において ASPT 値を算出し、市内の測定 計画で測定している河川の汚濁指標である BOD との関係 を図8に示した。 ASPT 値と水質汚濁指標である BOD の関係を見ると、図 8に示すとおり、BOD が減少すると ASPT 値が高くなる傾 向があり、概ね反比例の関係であった。BOD は、河川環境 の重要な項目の一つであり、ASPT 値とも上記のような関 係性が見て取れる。そのため、河川環境評価に ASPT 値を 用いることが可能であることが示唆された。 3.2.1.3 ASPT 値と指数の算出 期間毎に底生生物(全 205 科)の指数を算出し、5以 下のスコア生物、6以上のスコア生物の指数、ASPT 値の 期間平均値を算出し、図9 に示した。 6以上のスコア生物は、1989 年から 2011 年まで種数が 増加しており、その比率が増加していることが確認でき る。また、ASPT 値も概ね増加傾向が確認できる。これら のことから、図3で示した確認科数の増加と同じ傾向が 確認できるため、ASPT 値を用いて河川環境評価を行うこ とが可能であると考えられる。 3.2.1.4 「川の生きもの」を用いた評価方法の検討 「川の生きもの」2)を用いた評価手法は、公害研究所 が実施した調査の中で蓄積してきた結果から経験的に作 成した評価方法であり、ASPT 値や出現頻度の算出など煩 雑な作業が必要ないのが特徴である。 現在、川崎市が 発行している「川の生きもの」では、底生生物と水質と の関係を表1のように表している。 そこで、「川の生きもの」で示されている「とてもきれ い」、「きれい」、「やや汚れている」、「汚れている」に記 載されている生物の指数を算出し、各々の指数の合計値 を図 10 に示した。 1979 年~1984 年と比較し、2006~2011 年には「汚れて いる」、「やや汚れている」の生物群の全体に占める割合 が減少し、「きれい」の生物群が増加していることが確認 できる。次に「とてもきれい」、「きれい」に該当する生 物に関し、種ごとに指数を算出し、図 11、図 12 に示した。 汚れている(BODおよそ10mg/L以上) 赤色ユスリカ ホシチョウバエ イトミミズ類 サカマキガイ やや汚れている(BODおよそ5.0~10mg/L) コヤマトンボ ミズムシ シマイシビル モノアラガイ きれい(BODおよそ2.5~5.0mg/L) コカゲロウ類 コガタシマトビケラ ヒメトビケラ オニヤンマ ヨコエビ ガガンボ類 ヒラタドロムシ ハグロトンボ コオニヤンマ サワガニ ウズムシ カワニナ とてもきれい(BODおよそ2.5mg/L) ヒラタカゲロウ ヒゲナガカワトビケラ タニガワカゲロウ オナシカワゲラ カワゲラ類 図7 トビケラ目の指数の経年変化 表1「川の生きもの」の評価手法 図9 スコアと指数の関係 図 10 「川の生きもの」生物割合 0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 指 数 エグリトビケラ イワトビケラ ムネカクトビケラ ヒメトビケラ ヒゲナガトビケラ ナガレトビケラ トビケラ類 シマトビケラ クダトビケラ カワトビケラ 図8 ASPT 値と BOD の関係 0 1 2 3 4 5 6 7 8 0 2 4 6 8 10 12 14 A SP T値 BOD(mg/L) 0 2 4 6 8 10 12 14 指 数 汚れている やや汚れている きれい とてもきれい 0 1 2 3 4 5 6 0 2 4 6 8 10 12 1979-1984 1989-1994 1995-1999 2000-2005 2006-2011 A SP T値 指 数 6以上スコア 5以下スコア ASPT値
「きれい」の生物の指数は、上昇しており、「とてもき れい」の生物の指数は、1989~1994 年から 2002~2005 年までは減少しているが、2006~2011 年には再び増加し ていた。種数でみると、「とてもきれい」、「きれい」の生 物種数は 1989 年から増加傾向が見られた。これは、図3 で示した生物科数の増加と似通っており、「とてもきれ い」、「きれい」に該当する生物種の出現率をモニタリン グするだけでも十分に水環境を評価することが可能であ ることが確認された。 3.2.1.5 水質階級を用いた評価方法の検討 環境省では、全国水生生物調査の際に表2に示した「水 質階級」を用いて底生生物から河川環境を評価する手法 を薦めている。この水質階級を用いた評価手法は、各階 級に割振られた生物が出現したものを1点とし、更に、 最も数が多かったものにはもう1点加点し、水質階級ご とに合計し、最も点数が大きい水質階級をその地点の水 質と判定する手法である。 そこで水質階級Ⅰ~Ⅳに示されている底生生物の指数 を算出し、図 13 に示した。 図 13 のとおり水質階級を用いた評価手法では、1995~ 1999 年から 2006~2011 年にかけて水質階級Ⅱ、Ⅲ、Ⅳの 生物指数が増加しているものの、構成比としては 1995~ 1999 年以降ほぼ変化していない。そこでより詳細に生物 種の構成を確認するため、各水質階級の生物種について の指数の経年変化を図 14、図 15、図 16 に示した。 水質階級Ⅳ アメリカザリガニ エラミミズ サカマキガイ セスジユスリカ チョウバエ 水質階級Ⅲ イソコツブムシ タイコウチ タニシ ニホンドロソコエビ ヒル ミズカマキリ ミズムシ コガタシマトビケラ スジエビ ヒラタドロムシ ヤマトシジミ 水質階級Ⅱ イシマキガイ オオシマトビケラ カワニナ ゲンジボタル コオニヤンマ ナガレトビケラ ヒラタカゲロウ ブユ ヘビトンボ ヤマトビケラ 水質階級Ⅰ アミカ ウズムシ カワゲラ サワガニ 表2 水質階級を用いた評価手法 図 13 水質階級の生物割合 図12 「きれい」の生物の指数 図 11 「とてもきれい」の生物の指数 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 指 数 水質階級Ⅳ 水質階級Ⅲ 水質階級Ⅱ 水質階級Ⅰ 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2 1.4 1.6 1.8 指 数 カワニナ ウズムシ サワガニ コオニヤンマ ハグロトンボ カワゲラ オナシカワゲラ タニガワカゲロウ ヒゲナガカワトビケラ ヒラタカゲロウ 0 1 2 3 4 5 6 指 数 ヒラタドロムシ ガガンボ類 ヨコエビ オニヤンマ ヒメトビケラ コガタシマトビケラ コカゲロウ類 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1 指 数 ヤマトビケラ ヘビトンボ ブユ ヒラタカゲロウ ナガレトビケラ カワゲラ ウズムシ アミカ 0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 指 数 ヤマトシジミ ヒラタドロムシ スジエビ コガタシマトビケラ コオニヤンマ ゲンジボタル カワニナ オオシマトビケラ イシマキガイ 0 1 2 3 4 5 指 数 チョウバエ セスジユスリカ サカマキガイ エラミミズ アメリカザリガニ 図 14 水質階級Ⅰの生物の指数 図 15 水質階級Ⅱの生物の指数 図 16 水質階級Ⅳの生物の指数 水質階級Ⅰでは、種数は増加しているものの、指数は 減少、増加を繰り返している。水質階級Ⅱでは、種数、 指数ともに増加傾向を示している。水質階級Ⅳでは、種 数は増えておらず、指数も一定の傾向は見て取れない。 特に水質階級Ⅰ、Ⅱでは、指標生物が市内河川で確認で きず、指数の算出ができないものが多く確認された。本 評価方法は全国的な調査で使用されてはいるものの市内 河川の水環境の評価に用いるには必ずしも適していると は言いがたいと思われる。 3.2.1.6 ヒゲナガカワトビケラの推移を用いた評価手法 次にヒゲナガカワトビケラを用いた評価手法の検討を 行った。ヒゲナガカワトビケラは、営巣形態が特殊であ り、非常に安定した水環境である場合は、多く確認でき、 生物相の極相を示しているといわれている。1)つまり、 ヒゲナガカワトビケラの生息個体数を確認することによ り、水環境の安定を見る指標として用いることが可能で ある。 そこで、1979 年から 2011 年度までのヒゲナガカワトビ ケラの指数の推移を図 17 に示す。 指数で見ると 1989~1994 年と比較して、2006~2011 年では大幅に増加しており、図3の生物種数と類似して いる。しかし、ヒゲナガカワトビケラは、出現数が低い く、ある特定の地点でのみ確認されていること、市内河 川で広く確認されていないことから指標生物として用い ることは不適であると思われる。 3.2.2 魚類種数による評価方法の検討 川崎市水環境保全計画では、表3に示すように河川を 4つの水域に分け、それぞれ指標となる魚類を定め、河 川を評価している。 この評価手法では、魚類が多種であることが水質指標 の評価が高いものとされている。 そこで、コイ、フナ、ドジョウ、モツゴについて底生 生物と同様に指数を算出し、図 18 に示した。 1989~1994 年では、フナ、コイ、モツゴ、ドジョウの 比率が大きかったが、2006~2011 年では比率が減少した。 C目標水域の指標生物であるコイ、特にフナの構成比が 減少し、その他の多くの種が確認できる様になっている ため、河川環境が改善されてきたとも考えられる。1989 年ではフナを水質指標生物として用いることができたが、 出現比率が変わってしまった 2000 年以降は、新しい指標 生物を用いる必要があると考えられる。 そこで、魚類における在来種、希少種、外来種の比率 の変化を図 19 に示した。 1989~1994 年では、全体に占める外来種の割合が高か ったが、徐々に減少している。一方で、希少種の割合が 増えていた。希少種は、1989~1994 年から 2006~2011 年までの間に全体に占める割合はほぼ変わっていないこ と、図3で示した確認種数の変化から、水質指標生物と して希少種を用いることも可能であると考えられる。 そこで、希少種の種類の出現率の変化を図20に示した。 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 希少種 外来種 在来種 図 17 ヒゲナガカワトビケラの指数 表3 川崎市水環境保全計画評価方法 図 18 指標生物の指数 図 19 希少種、外来種、在来種の割合 図 20 希少種の指数の変化 0 0.01 0.02 0.03 0.04 0.05 0.06 1979-1984 1989-1994 1995-1999 2000-2005 2006-2011 指 数 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 指 数 その他種 フナ類 コイ類 モツゴ ドジョウ 0 0.5 1 1.5 2 2.5 指 数 スミウキゴリ マルタウグイ ニゴイ メダカ アブラハヤ ホトケドジョウ ウグイ カマツカ 対象水域 AA目標水域 A目標水域 C目標水域 指標(水生生物) 多様な生物が生息できる水環境 B目標水域 ドジョウ、モツゴ、コイ、フナ等の魚類が生息 できる水環境 コイ、フナが生息でき不快感のない水環境
「きれい」の生物の指数は、上昇しており、「とてもき れい」の生物の指数は、1989~1994 年から 2002~2005 年までは減少しているが、2006~2011 年には再び増加し ていた。種数でみると、「とてもきれい」、「きれい」の生 物種数は 1989 年から増加傾向が見られた。これは、図3 で示した生物科数の増加と似通っており、「とてもきれ い」、「きれい」に該当する生物種の出現率をモニタリン グするだけでも十分に水環境を評価することが可能であ ることが確認された。 3.2.1.5 水質階級を用いた評価方法の検討 環境省では、全国水生生物調査の際に表2に示した「水 質階級」を用いて底生生物から河川環境を評価する手法 を薦めている。この水質階級を用いた評価手法は、各階 級に割振られた生物が出現したものを1点とし、更に、 最も数が多かったものにはもう1点加点し、水質階級ご とに合計し、最も点数が大きい水質階級をその地点の水 質と判定する手法である。 そこで水質階級Ⅰ~Ⅳに示されている底生生物の指数 を算出し、図 13 に示した。 図 13 のとおり水質階級を用いた評価手法では、1995~ 1999 年から 2006~2011 年にかけて水質階級Ⅱ、Ⅲ、Ⅳの 生物指数が増加しているものの、構成比としては 1995~ 1999 年以降ほぼ変化していない。そこでより詳細に生物 種の構成を確認するため、各水質階級の生物種について の指数の経年変化を図 14、図 15、図 16 に示した。 水質階級Ⅳ アメリカザリガニ エラミミズ サカマキガイ セスジユスリカ チョウバエ 水質階級Ⅲ イソコツブムシ タイコウチ タニシ ニホンドロソコエビ ヒル ミズカマキリ ミズムシ コガタシマトビケラ スジエビ ヒラタドロムシ ヤマトシジミ 水質階級Ⅱ イシマキガイ オオシマトビケラ カワニナ ゲンジボタル コオニヤンマ ナガレトビケラ ヒラタカゲロウ ブユ ヘビトンボ ヤマトビケラ 水質階級Ⅰ アミカ ウズムシ カワゲラ サワガニ 表2 水質階級を用いた評価手法 図 13 水質階級の生物割合 図12 「きれい」の生物の指数 図 11 「とてもきれい」の生物の指数 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 指 数 水質階級Ⅳ 水質階級Ⅲ 水質階級Ⅱ 水質階級Ⅰ 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2 1.4 1.6 1.8 指 数 カワニナ ウズムシ サワガニ コオニヤンマ ハグロトンボ カワゲラ オナシカワゲラ タニガワカゲロウ ヒゲナガカワトビケラ ヒラタカゲロウ 0 1 2 3 4 5 6 指 数 ヒラタドロムシ ガガンボ類 ヨコエビ オニヤンマ ヒメトビケラ コガタシマトビケラ コカゲロウ類 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1 指 数 ヤマトビケラ ヘビトンボ ブユ ヒラタカゲロウ ナガレトビケラ カワゲラ ウズムシ アミカ 0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 指 数 ヤマトシジミ ヒラタドロムシ スジエビ コガタシマトビケラ コオニヤンマ ゲンジボタル カワニナ オオシマトビケラ イシマキガイ 0 1 2 3 4 5 指 数 チョウバエ セスジユスリカ サカマキガイ エラミミズ アメリカザリガニ 図 14 水質階級Ⅰの生物の指数 図 15 水質階級Ⅱの生物の指数 図 16 水質階級Ⅳの生物の指数 水質階級Ⅰでは、種数は増加しているものの、指数は 減少、増加を繰り返している。水質階級Ⅱでは、種数、 指数ともに増加傾向を示している。水質階級Ⅳでは、種 数は増えておらず、指数も一定の傾向は見て取れない。 特に水質階級Ⅰ、Ⅱでは、指標生物が市内河川で確認で きず、指数の算出ができないものが多く確認された。本 評価方法は全国的な調査で使用されてはいるものの市内 河川の水環境の評価に用いるには必ずしも適していると は言いがたいと思われる。 3.2.1.6 ヒゲナガカワトビケラの推移を用いた評価手法 次にヒゲナガカワトビケラを用いた評価手法の検討を 行った。ヒゲナガカワトビケラは、営巣形態が特殊であ り、非常に安定した水環境である場合は、多く確認でき、 生物相の極相を示しているといわれている。1)つまり、 ヒゲナガカワトビケラの生息個体数を確認することによ り、水環境の安定を見る指標として用いることが可能で ある。 そこで、1979 年から 2011 年度までのヒゲナガカワトビ ケラの指数の推移を図 17 に示す。 指数で見ると 1989~1994 年と比較して、2006~2011 年では大幅に増加しており、図3の生物種数と類似して いる。しかし、ヒゲナガカワトビケラは、出現数が低い く、ある特定の地点でのみ確認されていること、市内河 川で広く確認されていないことから指標生物として用い ることは不適であると思われる。 3.2.2 魚類種数による評価方法の検討 川崎市水環境保全計画では、表3に示すように河川を 4つの水域に分け、それぞれ指標となる魚類を定め、河 川を評価している。 この評価手法では、魚類が多種であることが水質指標 の評価が高いものとされている。 そこで、コイ、フナ、ドジョウ、モツゴについて底生 生物と同様に指数を算出し、図 18 に示した。 1989~1994 年では、フナ、コイ、モツゴ、ドジョウの 比率が大きかったが、2006~2011 年では比率が減少した。 C目標水域の指標生物であるコイ、特にフナの構成比が 減少し、その他の多くの種が確認できる様になっている ため、河川環境が改善されてきたとも考えられる。1989 年ではフナを水質指標生物として用いることができたが、 出現比率が変わってしまった 2000 年以降は、新しい指標 生物を用いる必要があると考えられる。 そこで、魚類における在来種、希少種、外来種の比率 の変化を図 19 に示した。 1989~1994 年では、全体に占める外来種の割合が高か ったが、徐々に減少している。一方で、希少種の割合が 増えていた。希少種は、1989~1994 年から 2006~2011 年までの間に全体に占める割合はほぼ変わっていないこ と、図3で示した確認種数の変化から、水質指標生物と して希少種を用いることも可能であると考えられる。 そこで、希少種の種類の出現率の変化を図20に示した。 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 希少種 外来種 在来種 図 17 ヒゲナガカワトビケラの指数 表3 川崎市水環境保全計画評価方法 図 18 指標生物の指数 図 19 希少種、外来種、在来種の割合 図 20 希少種の指数の変化 0 0.01 0.02 0.03 0.04 0.05 0.06 1979-1984 1989-1994 1995-1999 2000-2005 2006-2011 指 数 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 指 数 その他種 フナ類 コイ類 モツゴ ドジョウ 0 0.5 1 1.5 2 2.5 指 数 スミウキゴリ マルタウグイ ニゴイ メダカ アブラハヤ ホトケドジョウ ウグイ カマツカ 対象水域 AA目標水域 A目標水域 C目標水域 指標(水生生物) 多様な生物が生息できる水環境 B目標水域 ドジョウ、モツゴ、コイ、フナ等の魚類が生息 できる水環境 コイ、フナが生息でき不快感のない水環境
希少種の種別で見ると、コイの比率は年々下がってい き、希少種の種数が増え、構成比が変わってきているの が確認できる。つまり、川崎市の河川が多種の希少種が 生息できる環境になってきているといえる。そこで、ま た、図3、図 19 から在来種の確認種数も増加しているこ とが確認できる。魚類を用いた河川環境評価を行う際に は、希少種が生息する地点では、生物指標として希少種 の種数を計数することにより評価でき、在来種のみが存 在する地点では、在来種の種数をカウントする手法が適 切であると考えられる。 4 まとめ 市内河川における底生生物及び魚類調査結果から水環 境を評価する手法を検討した結果、次のことがわかった。 (1) 底生生物から水環境を評価する場合は、①ASPT 値を 用いた水環境評価手法、②簡易な評価手法としてカゲロ ウ目、カワゲラ目、トビケラ目の科数と出現を見る方法、 ③専門的な知識が必要ではない「川の生きもの」で示さ れている評価方法が市内河川の評価においては適切であ ると考えられる。 (2) 魚類を用いた評価手法に関しては、希少種及び在来 種数である魚類の種数をカウントすることが市内河川で は評価手法として適切であると考えられる。 今後、市内河川の水環境を評価していく上で、河川水 質の変化や生息する底生生物及び魚類の変化等に合わせ て、評価手法を検討し、時代にあった評価手法を確立し ていくことが必要であると思われる。また、評価手法の 適否を検討するには、生物分布等を適切に把握し、長期 間に亘りデータを蓄積していく必要がある。そのため、 継続的に川崎市内河川の底生生物、魚類の調査を実施し ていく必要がある。 文献 1) 川崎市:川崎市水環境保全計画(平成 24 年 10 月策 定)、第2章 川崎市の水環境の変遷と現状 (3)こ れまでの水環境の取組 2) 川崎市:「みーつけた!川の生きもの」、川崎市環境 総合研究所 平成 21 年3月
川崎市における電力量の需給関係に関する事例研究
Case Studies on theAnnual Supply-demand balance inAmount of Electric Power in Kawasaki
竹内 淨 Jo TAKEUCHI 財原 宏一 Koichi SAIHARA 小塚 義昭 Yoshiaki KOTSUKA 要旨 川崎市における電力量の需給関係について実態を把握するために、市内の電力需要量及び供給量について、2010 年 度を対象に調査を行った。統計資料の収集及びアンケートの実施により推計を行った結果、需要量 99.3 億 kWh に対し て、供給量は 254.6 億 kWh であり、その差は 155.3 億 kWh であった。電力量の収支として、市内の需要量以上の電力量 を市外へ供給していると考えられた。 キーワード: 電力量、需給関係
Key words: Amount of electric power, Supply-demand balance 1 はじめに 2011 年の東日本大震災以降、エネルギー、特に電力の 利用に関して社会的な関心が高まっている1)。エネルギー に関する川崎市の特徴は、臨海部工業地域において、産 業活動に伴う電気、熱、蒸気等のエネルギー利用に関す る高いポテンシャルを有することである。発電に関して、 川崎市経済労働局の調査では、川崎市臨海部の発電施設 の規模は、自家発電設備等を入れると約 600 万 kW 以上で あり、一都三県の一般家庭の消費電力に匹敵すると報告 されている2)。このように、電力(kW)で表される発電施 設の能力が高いことは分かっているが、稼動状況が不明 であるため、実際に流通する総量としての電力量(kWh、 電力を時間で積算した単位)について把握されていない。 また、このような市内の発電量を、市内の電力消費量と 比較した場合の収支、つまり市内における電力量の需給 関係についても把握されていない。 そこで、本研究では、今後の施策に反映するための基 礎データとして、川崎市内における年間の電力需要量及 び供給量について調査を行ったので報告する。 2 方法 統計資料の収集及びアンケートの実施により、市内に おける年間の電力需要量及び供給量について推計した。 電力需要量は、市内の家庭及び事業所等における年間 の電力消費量として考えた。一方、電力供給量は、市内 の主要な発電施設における年間の発電量として考えた。 市内の電力需要量及び供給量を推計するために行ったア ンケート、算出方法の諸条件等の詳細は、以下のとおり である。 2.1 調査対象 電気事業法に定められた電力供給の仕組みを図1に示 した3),4)。電気事業は、電気事業法により規制されており、 各事業者の概要を表1に示した。調査対象は、表1に該 当する市内の事業者とした。表1に示した4種の電気事 業者及び卸供給事業者は、電気事業便覧5)で確認した。そ れ以外の発電事業者は不明であったため、大規模事業所 を有する事業者に対して、発電施設の所有及び稼動実績 卸電気事業者 特定電気事業者 規制部門 (家庭・小規模ビルなど) 一般需要 特定地区 (一般需要から 区分された 限定地区) 特定需要 (発電事業者と 資本など密接 な関係にある 需要家) 自由化部門 (工場・大規模ビルなど) 卸供給事業者 (独立発電事業者(IPP)) 発電事業者 送電網 (系統) 特定供給 一般電気事業者 特定規模電気事業者(PPS、新電力) (需要側) (供給側) 卸電気事業者 特定電気事業者 規制部門 (家庭・小規模ビルなど) 一般需要 特定地区 (一般需要から 区分された 限定地区) 特定需要 (発電事業者と 資本など密接 な関係にある 需要家) 自由化部門 (工場・大規模ビルなど) 卸供給事業者 (独立発電事業者(IPP)) 発電事業者 送電網 (系統) 特定供給 一般電気事業者 特定規模電気事業者(PPS、新電力) (需要側) (供給側) 図1 電力供給の仕組み3),4) 表1 電気事業法における事業者の分類* 事業者 概要 一般電気事業者 一般の需要家に電力供給 東京電力等 10 社 特定規模電気事業者 契約電力50kW 以上の需要家に送電 線を用いて小売 卸電気事業者 200 万 kW 超の発電設備を有して一 般電気事業者に電力供給 卸供給事業者 10 年以上1000kW 超または5 年以上 10 万 kW 超の供給契約により一般 電気事業者へ電力供給 特定電気事業者 限定地区に電力供給 発電事業者(上記以外) 規制外(特定供給を除く) *電気事業法で定める電気事業者は、一般電気事業者、特定規 模電気事業者、卸電気事業者、特定電気事業者の4種である。