衛星搭載ネットワーク・
ソフトウェアアーキテクチャの創生
研究成果のハイライト 成果の社会的意義・価値 成果創出に至る取組・克服状況 衛星シミュレータ構築及び衛星搭載ソフトウェア・衛星搭載ネットワー クのアーキテクチャが整理されることにより、宇宙科学のみならず、 宇宙業界が新たなアプリケーションに容易に適応できるようになり、 競争力が強化される。 ① 極力早い時点の実プロジェクトに適用できるように、メーカ と調整し方向性を定めている。② (国内では)抜本的な変更 となるため、技術を下位から上位レイヤまで一通り整備しデ モしたい。③ プロジェクトでの適用に向けた魅力の向上と標 準化を並行して進めたい。 上記研究成果に関するエビデンス(査読付き論文、学会発表等) 共通様式 ISAS事業 計画No, 研究代表者(所属) 費用(概算で もOK) 3-2-1(例) 事務局記 入 松崎恵一 (JAXA) 7,500千円Target AD/DA
board
RPi3+Space
Pi
SpaceWire
cable
(RJ-45)
SpaceWire 搭載機器を手軽に開発するための環境。組み込み開発キットとして普 及している Raspberry 上で、NASAの宇宙機でデファクトスタンダードとなっている ソフトウェアプラットーフォーム cFE/CFS (Core Flight Executive / Core Flight System) を動作させ、SpaceWire を経由してデータ取得のデモをしているところ。 ・ 研究目的:科学衛星の高性能化を図ると共に、より短期間で 開発し、より確実に運用すること。 ・ 目標:3年先をめどに、①衛星シミュレータ構築及び②衛星搭 載ソフトウェア・③衛星搭載ネットワークのアーキテクチャを刷新 する技術を創生することを目指す。 ・具体的な成果・今年度の研究で達成したこと:① Spacecraft Information Base version 2 (SIB2) に基づく搭載ソフ ト自動生成技術で状態遷移シミュレータを構築する事にした。② 右の写真参照。③ SpaceWire -R プロトコルの性能検証を実施。
・新たに得た知見や評価して欲しい点:
① 想定している技術により、コンポーネント・サブシステム開発と いう従来よりも早い段階からシミュレータが利用可能になる。② cFE/CFS から SBN (Software Bus Network) を経由した SpaceWire の使用は世界初。③ ECSSでの標準化に向け議論を開始。
・次年度以降の研究計画:
① シミュレータ実現に必要な部品を順次検討整備する。② 下位 レイヤから上位レイヤに順次向け検討整備する。③ 実用化に向 け検討整備する。
2
平成30年度戦略的開発研究(工学)報告書
研究課題名 衛星搭載ネットワーク・ソフトウェアアーキテクチャの創生 研究代表者(所属) 松崎恵一 (JAXA) 共同研究者(所属) 坂井真一郎,福田盛介,石田貴行,尾崎正伸,高島健 (JAXA) 高田広章,高田光隆(名大) 能町正治(阪大) 研究協力者(所属) 活動区分 □WG □RG □衛星運用 研究活動期間 平成30 (2018) 年度 から 平成31 (2021) 年度(予定) 平成30年度 研究費 7,500 (千円) 平成31年度 研究費要求額 19,500 (千円) 平成30年度 研究成果① 状態遷移シミュレータについて技術検討し、Spacecraft Information Base version 2 (SIB2) に基づく搭載ソフトの自動生成技術にて状態遷移シミュレータを構築する事とした。
② cFE/CFS (Core Flight Executive / Core Flight System) に対して、Software Bus Network (SBN) が SpaceWire をサポートするよう機能拡張すると共に、開発キット Raspberry Pi へ ポーティングし、また、デモをした。③1対1通信でのSpaceWire-R プロトコルの機能・性能 検証を、ハードウェアを含む複数の実装を用い実施。SpaceWire WGでECSS (European Cooperation for Space Standardization) での標準策定に向けた議論が始まった。
評価ポイント
実プロジェクトの中では変革が困難な、技術搭載ネットワーク、搭載ソフトウェアといった データ処理という技術領域において、数年先という目標を立て、系統的に計画を立て、着 実に研究・開発を進めています。
本研究の背景,目的,意義など (背景) 日本の宇宙科学衛星において、技術搭載ネットワーク、搭載ソフトウェアといったデータ処理や衛星システムと いう技術領域は、プロジェクトを着実に成功させるため、枯れた技術が使われることが多い。一方で、処理能力 の増大や、開発コストの低減、信頼性の向上といった一見相矛盾する要求が高まってきている。 (目的) 本研究では、科学衛星の高性能化を図ると共に、より短期間で開発し、より確実に運用することを目的とし、3 年先をめどに、衛星搭載ネットワーク・ソフトウェア及び衛星シミュレータ構築のアーキテクチャを刷新する技術 を創生することを目指す。 (意義) アーキテクチャが整理されることにより、ミッションの要求に応じ自在に処理能力を確保すると共に、開発コスト の低減・信頼性の向上を両立させるアーキテクチャを提示することで、宇宙科学のアウトプットの増大への貢献 が期待できる。 本研究のゴール 衛星システムに対して、 ① 衛星全体を模擬するシミュレータをミニマムな開発コストで実現する技術 を構築するとともに、搭載ソフトウェア・ネットワークに対して ②搭載アプリケーションソフトウェア構築技術 ③ ネットワーク技術 ④ 信号線インタフェース技術 (来年度以降実施) の各分野において包括的に次世代の技術の研究を進めることで、科学衛星の高機能・高性能化と、開発期間
本研究の目的
4 サブテーマごとの背景・目的・目標 ① 運用訓練、運用シナリオ検討に向けた衛星シミュレータの研究 研究担当者: 松崎恵一,福田盛介,坂井真一郎,高島健 (JAXA) ( 本テーマは、平成29年度革新バスRGで実施されたテーマ 「地上系ツールの高度化による衛星システム試験効率化の検討」 を発展させたものです ) 背景 実用衛星等では、衛星運用に向けた衛星シミュレータを開発することが増えてきている。他方で、科学衛星では、 開発コストが限られていることもあり、ハードウェアを組み合わせたものなど構築されたことはあるが稀であった。 昨今、より信頼性の高い衛星運用が求められてきている。 目的・目標 運用訓練(リアルタイムシミュレーション)や、運用シナリオ検討(加速シミュレーション)で使用する衛星シミュレー タに向け、標準アーキテクチャを設定することで、既存の衛星開発プロセスに対してミニマムな工程の追加で衛 星シミュレータの構築を可能とする技術を確立する。 ( 本研究のアウトプットは、Destiny+以降の衛星の適用を目指すが、可能な部分からSLIM/XARM の衛星シミュ レータの構築にも適用する) ②搭載ソフトウェア構築技術の研究 研究担当者: 高田光隆(名大),松崎恵一,石田貴行,福田盛介,高島健(JAXA),高田広章(名大) (名古屋大組込みシステム研究センターとの共同研究) 背景 国内では搭載ソフトウェアがメーカ毎に歴史的な理由で積み上げられ、未整理の独自なヘリテイジの元に構築 されることが多く、ソースコードの再利用率の向上の疎外要因となっている。 世界的にはオープンな搭載アーキテクチャが公開され実用に至っているが、ハードウェアに近い部分は公開さ れておらず、SpaceWire とのインターフェスが規定されていない。
本研究の目的
サブテーマごとの背景・目的・目標 (つづき) 目的・目標 搭載ネットワーク (SpaceWire) 及びソフトウェアによる衛星シミュレータと親和性のあるオープンなアーキテク チャを導入し、プラットホームとして確立することで、衛星毎の開発項目を極小化を図る。 具体的には、国際的に利用されているソフトウェア開発フレームワークに対して、信頼性の向上を図るため、静 的なリソース割り当ての機能を組み込む。また、科学衛星で標準化を進めている搭載ネットワークインフラへの アクセスや衛星情報ベースに基づくテレメトリコマンド処理についても透過的に組み込む。これらは、①項及び ③項の研究と連携して実施する。(本研究のアウトプットは SOI-SOC3(※)等汎用なCPUボードと共に、今後開発 が着手される衛星搭載機器の開発に適用することを目指す。)
※SOI-SOC3 : 耐放射線性に優れるSOI(Silicon on Insulator)半導体製造技術と、複数の機能を1つのチップに搭載するSOC(System on Chip)設計技術を核に 開発されている、汎用な CPU ボード。SpaceWire インタフェースを有し、高い伝送性能を持つ。 ③ 高速・大容量データ処理用ネットワークの研究 - 搭載ネットワーク 研究担当者: 松崎恵一, 福田盛介, 石田貴行, 高島健(JAXA), 能町正治(阪大), 高田広章, 高田光隆(名大) 背景 科学衛星を構築する手段として、物理的には、搭載ネットワークが導入されたものの、論理的には、時分割でス ター結合のインタフェースが行われているのみで、その時分割の設計検証に衛星システム試験で多くの時間を 割いている。 目的・目標 多量のデータ転送が必要とされるユースケースに対して、専用線の割り当てやあらかじめ時分割したリソース 配分をするのではなく、衛星搭載ネットワークを、真のネットワークとして利用しつつ、より確実にデータ伝送す る技術を確立する。具体的には、SpaceWire-R プロトコルの技術を確立する。
※ SpaceWire-R: GRDDP ( GOES Reliable Data Delivery Protocol) に対して、不備の解消、機能追加を実施した大容量データを高信頼性で伝送するためのプロ トコル。ISAS の山田隆弘が 執筆し、SpaceWire コミュニティに世界標準規格として提案している。
6 サブテーマごとの背景・目的・目標 (つづき) (以下のサブテーマは、実施規模調整の結果本年度は着手しませんでした) ④ 高速・大容量データ処理用ネットワークの研究 - 高速インタフェース 研究担当者: 高島健,松崎恵一,福田盛介,尾崎正伸(JAXA), 能町正治(阪大) 背景: 科学衛星では、搭載機器が生成するデータ量が飛躍的に増大してきている。現状の科学衛星では、標準インタ フェースとして、ネットワーク向けのSpaceWire しか有しておらず、その帯域 (~100Mbs) を超える性能を有する インタフェースの確立が求められている。センサのデータ処理回路は、データ転送のインタフェースも含めて、セ ンサ~データ処理プロセッサまでを一体として、都度都度開発することが多い。伝送異常への対処に標準がな く、個々に実装される現状は、不具合発生の温床となる。
SpaceWire WG (Working Group) において SpaceFibre と呼ばれる SerDes (Serialize/De-serialize) と呼ばれる高速 なシリアルインタフェースを基にした標準規格制定のプロセスが進んでいる。 他方で、標準規格ではないが、ARIAN-6で採用されたTT(TimeTrigger)-Ethernet と呼ばれる技術が登場し、~ 10Gbps伝送を標準でサポートしており、今後の宇宙機における利用や伝送異常に関する規定も順次確立され ていくことが期待される。 目的・目標: データを処理する高性能プロセッサを汎用化が可能なように、標準的に利用可能な高速データ伝送のインタ フェースの技術の方向性を見極める。
本研究の目的
研究計画・方法(開始年度から) 平成30年度(2018年度) (研究費: 7,500千円) ①衛星シミュレータ : 状態遷移技術検討 ②搭載ソフトウェア : SOI-SOC3ポーティング、SpaceWire ⇔ SBN対応 (SpaceWire プロトコル) ③ネットワーク : SpW-R 機能性能実証 (1対1) 平成31年度(2019年度) (研究費:19,500千円)
①衛星シミュレータ : 状態遷移技術確立、テレコマ・RMAP Target / Initiator 技術検討
②搭載ソフトウェア : SOI-SOC3ポーティング、SpaceWire ⇔ SBN対応 (SpaceWire 上位プロトコル) ③ネットワーク : SpW-R 機能性能実証 (1対n)
④インタフェース : SpaceFibre 実装・評価
平成32年度(2020年度) (研究費:25,550千円)
①衛星シミュレータ : テレコマ・RMAP Target / Initiator・シミュレーションエンジン技術確立、加速試験用コンソー ル技術検討 ②搭載ソフトウェア : SIB2テレコマ対応 PC / 搭載ボード対応 ③ネットワーク ④インタフェース : TTEtherNet 実装・評価 平成33年度(2021年度) (研究費: 7,000千円) ①衛星シミュレータ : 加速試験用コンソール技術確立 ②搭載ソフトウェア :性能・開発効率評価複数種ボードの実証
研究計画と方法
研究計画・方法(つづき)
年度展開
研究計画と方法
FY2018
FY2019
FY2020
FY2021
①衛星シミュレータ 400 次々ページ参照 1200 次々ページ参照 1600 次々ページ参照 700 次々ページ参照 ②搭載ソフトウェア 300 SOI-SOC3ポーティング SpaceWire ⇔ SBN対応 (SpaceWire プロトコル) 300 SOI-SOC3ポーティング SpaceWire ⇔ SBN対応 (SpaceWire上位レイヤ) 750 SIB2テレコマ対応 PC / 搭載ボード対応 750 性能・開発効率評価 複数種ボードの実証 ③ネットワーク 50 SpW-R 機能性能実証 (1対1) 250 SpW-R 機能性能実証 (1対n) ④インタフェース 200 SpaceFibre 実装・評価 200 TTEtherNet 実装・評価
合計
750
1,950
2,550
700
単位: 万円 2019/1/31版研究計画・方法(つづき)
研究計画と方法
① 運用訓練、運用シナリオ検討に向けた衛星シミュレータの研究 シミュレーションコンポーネントは、目的に応じて任意の忠実性のものを使用可能な枠組みとする。コンポーネ ント間のインタフェースの標準を規定すると共にライブラリを提供し、搭載機器の開発メーカが自身でコンポー ネントを開発可能とする。特に、高い忠実度が要求される用途に向けては、データ処理系/衛星管理系や姿 勢制御系など搭載ソフトウェアそのものをパソコン上で動作させる。 Data Handling / Spacecraft Management Attitude Control 実時間用コンソール (GSTOS) 優先順位 ③ Environment Model Mission etc … SDTP / CLTU・CADU 変換 優先順位⑥ 標準プロトコル ソフトウェアによる 衛星シミュレータの枠組み 搭載ソフトウェアをそのまま 動作させるシミュレーションコンポーネントの ソフトウェアの内部構造 シミュレーションエンジン (時刻マスタ) 優先順位 ② 状態遷移シ ミュレーション 加速試験用コンソール 優先順位 ④ アプリケーション ---テレコマ処理---RMAP Target / Initiator 優先順位 ⑤
SIB2を定義すれば
動作するシミュレーションコンポーネント [用語]
SDTP :
Spacecraft Data Transfer Protocol 宇宙研標準の地上データ伝送プロトコル CLTU :
Communication Link Transmission Unit テレコマンドの世界標準データ伝送単位 CADU:
Channel Access Data Unit
テレメトリの世界標準データ伝送単位 GSTOS:
Generic Spacecraft Test and Operation Software 近年の宇宙研の衛星で共通的に使
研究計画・方法(つづき)
①運用訓練、運用シナリオ検討に向けた衛星シミュレータの研究の年度展開
研究計画と方法
FY2017
FY2018
FY2019
FY2020
FY2021
FY2022
シミュレーションエンジン (含む時刻マスタ) 優先順位② 5.0 Phase 1 4.0 Phase 2 (6.0) (Phase 3) 状態遷移
優先順位① Phase 14.0 Phase 27.0 (Phase 3)(12.0) テレコマ・
RMAP Target / Initiator 優先順位⑤ 5.0 Phase 1 ※1 7.0 Phase 2 (12.0) (Phase 3) 実時間用コンソール (GSTOS対応) 優先順位③ (3.0) (Phase 2) (6.0) (Phase 3) 加速試験用コンソール
優先順位④ Phase 15.0 Phase 27.0 (Phase 3)(12.0) SDTP / CLTU・CADU変換 優先順位⑥ 合計 Phase 1 ~ Phase 2 ※ 工学委員会予算
5.0
4.0
12.0
16.0
7.0
合計 Phase 3 ※ 他の ISAS 予算を想定(12.0)
(21.0)
(18.0)
(かっこ) で示す値は、工学の戦略経費以外の開発予算での実現を目指すもの。 単位: 百万円研究計画・方法(つづき)
研究計画と方法
②搭載ソフトウェア構築技術の研究 本年度・来年度の実施内容: 搭載ネットワーク (SpaceWire) を標準インタフェースとして使用している科学衛星に対して、国際的なソフトウェ アプラットホームの導入を検討する。候補として、NASAの宇宙機でデファクトスタンダードとなっている cFE/CFS (Core Flight Executive / Core Flight System) の国産宇宙用MPU (SOI-SOC3など) へのポーティングを検討する。 具体的には、SB / SBN (Software Bus / Software Bus Network) の SpaceWire 対応と提案を行う。※ SB/SBN: cFE/CFS のアプリケーションが他のアプリケーションと通信するための汎用なインタフェース。同一の計算機で動作しているか他の計算機で動作しているかなど の区別や、OSの違いなどを意識することなく同一のインタフェースでデータのやり取りができるようにするためのもの。
その後の年度展開:
• 3年目:Spacecraft Information Base version 2 (SIB2) を用いたテレコマ処理の構築への対応を行いで PC (シミュレータ)と搭載向けボードでの動作検証 • 4年目:cFE/CFSを用いた評価(性能、開発効率)、複数プラットフォームへの対応 アウトプットとなるソフトウェアはいずれも 「Phase の定義」 の Phase 1 相当 標準プラット ホーム OS抽象化レイヤ OS・デバイスド アプリケーション ---テレコマ処理
RMAP Target / Initiator
・・・
・・・
ライブラリとSIB2からの自動生成コー ドから構成される。前者が今回のア ウトプット。後者はJAXA情報化予算 及び工学戦略経費 (革新バス) のア ウトプットであり、C-SODA予算で維持 管理されている12 研究計画・方法(つづき)
研究計画と方法
③ 高速・大容量データ処理用ネットワークの研究 - 搭載ネットワーク 本年度の実施内容: SOI-SOC3 など SpaceWire-R の複数の実装を用い、 1対1通信での SpaceWire-R プロトコルの機能・性能検証を実施する。 来年度の実施内容: 1対N通信での SpaceWire-R プロトコルの機能・性能検証を実施する。 ④ 高速・大容量データ処理用ネットワークの研究 - 高速インタフェース 来年度の実施内容: SpaceFiber の技術を誰でも手軽に評価できるように、シングルボードコン ピュータ (Raspberry Pi) 用の拡張ボードを製作し、SpaceFiber 技術の評価を 行う。評価項目案: 低リソースの用途に向け、SpaceFiber が有するレイヤ・ オプションの選択に対して、必要となるリソースの感度を測定する。再来年度の実施内容:
TT-Ethernetの技術を誰でも手軽に評価できるように、シングルボードコンピュータ (Raspberry Pi) 用の拡張ボードを製作し、TT-Ethernet 技術の評価を行う。
評価項目案: SpaceFibre で実現できる機能との過不足を評価することで、TT-Ethernet 技術 を利用する際にアプリケーション側に必要となるリソースの評価する。 SpaceFibre の プロトコルスタック 民生品で広く使われているSerDes 技 術に対し、SpaceWire で問題となった 点を解決するための機能が追加され ている。
平成30年度研究成果の概要
研究成果 ①運用訓練、運用シナリオ検討に向けた衛星シミュレータの研究 衛星システムメーカ (XRISM の衛星シミュレータ) 担当と、状態遷移シミュレータについての技術検討を実施した。 SIB2に基づく搭載ソフトウェアソースコードの自動生成の技術を用いて状態遷移シミュレータを構築するのが良 いという見通しを得た。 ②搭載ソフトウェア構築技術の研究国際的なソフトウェアプラットホーム cFE/CFS に対して、Software Bus Network が SpaceWire をサポートするよう 機能拡張すると共に、SpaceWireを具備する開発プラットフォームSpace Pi へポーティング・デモを実施した。 ③ 高速・大容量データ処理用ネットワークの研究 - 搭載ネットワーク
SOI-SOC3 など SpaceWire-R の複数の実装を用い、1対1通信での SpaceWire-R プロトコルの機能・性能検証を 実施した。 目標の達成状況 本年度想定していた、進捗が得られた。 来年度以降の研究方針 研究計画・方針に記載したように順次研究を進めます。なお、年度展開は、採択された金額に応じて適宜見直 します。
14
平成30年度研究費内訳
①運用訓練、運用シナリオ検討に向けた衛星シミュレータの研究 - メーカ技術検討 3,065 ②搭載ソフトウェア構築技術の研究 - 名古屋大学共同研究 3,037 - 成果公表旅費 332 ③ 高速・大容量データ処理用ネットワークの研究 - 搭載ネットワーク - SpW WG 出席旅費 414 - 性能試験旅費 652 (※1) ※1 SpW WG 出席も含む (未確定、その他国内旅費を含む)平成30年度研究業績(研究発表,特許,表彰など)
②
“Porting cFEto uITRONRTOS on spacecraft onboard with SpaceWire Engine”, Mitsutaka Takada, Hiroaki Takada, Takanori Narita, Masaki Kusano, Seisuke Fukuda, Keiichi Matsuzaki, Takayuki Ishida, Naoki Ishihama, Masaharu Nomachi, Flight Software Workshop 2018, San Antonio, Texas, December, 2018
③
“SpaceWire-R Interoperatbility Test”, Masaharu Nomachi, ITTI and JAXA/NEC, 28thSpaceWire Working Group
Meeting, ESA/ESTEC, March 2018
16
平成30年度研究成果の詳細
非公開希望の有無 無① 運用訓練、運用シナリオ検討に向けた衛星シミュレータの研究
本年度は、衛星システムメーカ (XRISM の衛星シミュレータ) 担当と、状態遷移シミュレータについての技術検討を実施。 これまで、JAXAの情報化予算や ISAS の工学委員会戦略経費などで開発を実施してきた、SIB2に基づく搭載ソフトウェ
アソースコードの自動生成の技術を用いて状態遷移シミュレータを構築するのが良いという見通しが得られた。 • 衛星シミュレータには様々なものがあり、従来使用されてきた状態遷移シミュレータは、衛星システム試験・地上 システム検証・運用手順書検討・運用訓練で使用するものに該当するが、今回検討しているシミュレータは、開発 工程のより早い段階から構築・利用可能であり、コンポーネント・サブシステムを含んだ運用手順の検証にも容易 に適用できることが示された。 ⇒ 衛星情報ベース2 (SIB2) に設計情報を集約させ、開発工程のあらゆる段階で利用するという SIB2 のコンセプトに基 づく。 (既存の状態シミュレータでは、衛星システム試験以降で使用するためのものであり、また、SIBとは別に、シミュ レータ専用のデータベースを定義する必要があり、コンポーネント・サブシステム段階では利用できなかった。今回は、 衛星システムメーカのみならず、コンポーネント・サブシステムメーカも利用できるよう整備する。) • 既存の状態遷移シミュレータと SIB2 に定義可能な情報を比較したところ、既存の状態遷移シミュレータで定義可 能な情報は、すでにSIB2の記述能力で網羅されていることが明らかになった。逆に、SIB2では、既存の状態遷移シ ミュレータでは記述出来ない内容(広義の状態遷移マシーン:狭義の状態遷移マシーンではないが、離散値を持 ち振る舞いが規定されたアトリビュート)を記述出来ることが分かった。 ⇒SIB2 の状態遷移は実プロジェクトにおいて、これまでほとんど使われてきておらず、ほぼ未検証であったが、SIB2 を 設計した際の見通しが妥当であったことが示された。今後、状態遷移シミュレータでの利用に向け、SIB2 の情報を扱う ツール類の拡充が望まれる。 • シミュレーションコンポーネント間で電源や、低レベルなデジタル信号 (バイレベル信号など) を模擬するインタ フェースなど、異なるメーカが開発したシミュレーションコンポーネントを結合する際に、JAXA側で標準化しておくべ きインタフェースが存在することが認識された。 ⇒ 標準化を行う WG の設立に向け、JAXA 安信部との調整を開始した。
平成30年度研究成果の詳細
②搭載ソフトウェア構築技術の研究
• SpaceWire と cFE/CFS を組み合わせた検討が手軽に実施できるように、まず、Space Pi (組み込み機器開発用のプ
ラットフォームであるRaspberry Pi に SpaceWire の I/O を追加したもの) で動作するように cFE/CFS の下位レイヤの ソフトウェアを整備した。
• また、並行して、cFE が規定する抽象化されたインタフェース、SB / SBN (Software Bus / Software Bus Network) の SpaceWire の対応状況を調査した。その結果、対応はほぼ手つかずであることが分かった(つまり、cFE/CFS と SpaceWire は、それぞれ、交流がほぼないコミュニティによって支えられている) 。
• cFE/CFS におけるアプリケーション間通信としては、SB と SBN という二種類の方法があるが、今回は、プロセッサ 間通信を行う SBN による接続方法を選択し、SpaceWire への対応を実施した。具体的には、TCP/IP における SBN の設定方法を、SpaceWire の設定方法に置き換える実装を行った。
• 実際に、2台の SpacePi を接続し、SpaceWire 経由でデータ取得を行うデモを実施し、その結果を Flight Software Workshop にて公表した。
Target AD/DA
board
RPi3+Space
Pi
SpaceWire
cable
(RJ-45)
cFE sample
+ SBN
SpaceWire
App
非公開希望の有無 無18
平成30年度研究成果の詳細
③ 高速・大容量データ処理用ネットワークの研究 - 搭載ネットワーク SOI-SOC3 など SpaceWire-R の複数の実装を用い、 1対1通信での SpaceWire-R プロトコルの機能・性能検証を実施する。 … 3月にポーランドにてハードウェア実装による SpaceWire-R を用い 性能検証を実施し、理論値のどこまで達成できるか確認する。 我々の活動がSpaceWire WGにて評価され、 ECSS標準制定に向けた議論が始まった。 ESAが主催する国際SpaceWire WG等で成果を公表すると共に、最新の SpaceWire技術の動向をキャッチしつつ研究を進めている 左の写真: 昨年度実施した、SpaceWire-R プロトコルの動作確認の様子。この確認で使用したSpaceWire-R はソフトウェアで実装されていた。SOI-SOC3では、ハードウェアにて SpaceWire-R が実装されている。