1
太陽視赤緯,均時差計算に
太陽視赤緯,均時差計算に
関する一考察
関する一考察
Notes on Calculation Methods of the Solar Declination and
Notes on Calculation Methods of the Solar Declination and
Equation of Time
Equation of Time
秋田県立大学
秋田県立大学
松本真一
松本真一
SEED, Akita Pref. Univ.
2
概
概
要
要
(1/2)
(1/2)
•
•
既往の太陽位置計算式に対する疑問点を
既往の太陽位置計算式に対する疑問点を
整理
整理
•
•
松尾の式松尾の式((簡易に過ぎないか?簡易に過ぎないか?))•
•
山崎の式山崎の式((背景にある天文学の理論が古く背景にある天文学の理論が古く なってしまった。時刻系の考え方? なってしまった。時刻系の考え方?))•
•
赤坂の式赤坂の式((山崎の式の簡易化。時刻系?山崎の式の簡易化。時刻系?))•
•
精度の高い海上保安庁「
精度の高い海上保安庁「
水路部の式
水路部の式
」を
」を
紹介
紹介
•
•
水路部の式
水路部の式
を上回る精度のやや簡易な式
を上回る精度のやや簡易な式
を提案
を提案
3
SEED, Akita Pref. Univ.
概
概
要
要
(2/2)
(2/2)
•
•
提案の概説提案の概説 • • 現在の位置天文学の常識を反映現在の位置天文学の常識を反映 • •J2000.0J2000.0元期元期(IAU 1976)(IAU 1976)←←J1900.0J1900.0元期元期 ••LieskeLieskeの歳差式の歳差式を反映を反映←←Newcomb(19c)Newcomb(19c)の理論の理論
• •世界時世界時UT1UT1と力学時と力学時TDTDを区別を区別 • • UT1UT1ととTDTDの差を表わす式を提案の差を表わす式を提案……p.91 p.91 式式(11)(11) • • 視黄経視黄経とと黄道傾斜角黄道傾斜角の計算式を提案の計算式を提案 ( (水路部の式水路部の式++LieskeLieskeの理論の理論))……p.94 p.94 式式(25), (27)(25), (27) • • 上の式,および水路部の視赤経の式を展開した上の式,および水路部の視赤経の式を展開した 視赤緯 視赤緯とと均時差均時差の計算式の提案の計算式の提案 … …p.94 p.94 式式(29)(29)~~p.94 p.94 式式(31)(31)
時刻系について
時刻系について
(1/8)
(1/8)
•
位置天文学ではTD(力学時) を使うのが常識•
TD と JST(日本標準時) を関連づけるには… JST=UTC+9h UTC≒UT1 ∴JST=UT1+9h TD=UT1+(補正値)5
SEED, Akita Pref. Univ.
時刻系について
時刻系について
(2/8)
(2/8)
UT1(
UT1(
世界時
世界時
1)
1)
とは
とは
…
…
•
UT1 はGMST(グリニッチ平均恒星時) と以下の 関係がある (国際天文学連合IAU 1984) …p.90 式(1)•
UT1 はグリニッチの地方平均太陽時である[h]
経
:
[h]
GMST
:
(1)
12
1
UT
h平均太陽の赤
,
ここに
m G m Gα
α
Θ
+
−
Θ
=
6時刻系について
時刻系について
(3/8)
(3/8)
平均太陽の赤経
平均太陽の赤経
α
α
m mとは
とは
…
…
•
平均太陽の赤経ααmm [h]はユリウス世紀数T
u[-] の関数で表現できる (IAU 1984)…p.90 式(2)紀数
元期とするユリウス世
を
日
月
年
は
12UT1)
1
1
(2000
J2000.0
ここに
(2)
2
006
.000
0
104
.093
0
866
.812
8,640,184
41
.548
50
41
18
3 s 2 s s s m h u u u u mT
T
T
T
−
+
+
=
α
7
SEED, Akita Pref. Univ.
時刻系について
時刻系について
(4/8)
(4/8)
ユリウス世紀数
ユリウス世紀数
T
T
uuとは
とは
…
…
•
T
u[-]は2000年1月1日12UT1を基準時点とする 世紀数•
ただし,1世紀の日数を36,525日とする•
ここで用いるユリウス日JD には時刻(UT1系)を 端数として含める(12UT1=0.0, 18UT1=0.25)525
,
36
2,451,545
-JD
=
uT
時刻系について
時刻系について
(5/8)
(5/8)
TD
TD
と
と
UT1
UT1
の関係
の関係
(UT1
(UT1
の補正式の提案
の補正式の提案
)
)
方針 TD = UT1 + ΔT1 /3,600…p.91 式(9)
•
ΔT1 [s]は1日ごとに一定の値 (12UT1時の値) とする (msのオーダーまで採用)• 1800年以前: ΔT1 [s]=7.427sとする
• 1800年~1970年: Schmadel and Zechの式(松本修 正)…p.91 式(10)を用いる
9
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時刻系について
時刻系について
(6/8)
(6/8)
Schmadel and Zech
Schmadel and Zech
の補正式
の補正式
•
1800年~1970年に適用:TD = UT1 + ΔT1 /3,600 (10) 4 .022 7,732 + 4 .678 102,926 + 4 .734 605,853 + 8 .748 2,077,236 + 0 .384 4,601,064 + 8 .492 6,905,686 + 6 .697 7,169,822 + 2 .715 5,167,425 + 2 .923 2,557,073 + 4 .078 844,973 + 8 .524 176,498 + 2 9 20,781S.61 + 0 987S.552 12 S 11 S 10 S 9 S 8 S 7 S 6 S 5 S 4 3 S 2 S 1 S u u u u u u u u u u u u T T T T T T T T T T T T T = Δ − 10時刻系について
時刻系について
(7/8)
(7/8)
本報提案の補正式
本報提案の補正式
•
1971年以降に適用:TD = UT1 + ΔT1 /3,600•
1962年~2000年の実データとの比較結果 • 平均誤差:0.650s • 最大誤差:1.330s (山崎の式では6sを超える)(11)
311
.
0
)
790
4.423
exp(
1
560
0.260
1
08
80.843
1−
−
+
=
Δ
uT
T
ただし,遠い将来まで 適当かどうかは不明11
SEED, Akita Pref. Univ.
時刻系について
時刻系について
(8/8)
(8/8)
以降の計算式で用いるユリウス世紀数
以降の計算式で用いるユリウス世紀数
T
T
とは
とは
…
…
•
T
[-]は2000年1月1日12TDを基準時点とする世 紀数•
ここで用いるユリウス日JD には時刻(TD系)を端 数として含める(12TD=0.0, 18TD=0.25)•
T
による表現は,最近の位置天文学では一般的525
,
36
2,451,545
-JD
=
T
海上保安庁水路部の式
海上保安庁水路部の式
(1/4)
(1/4)
太陽視赤経
太陽視赤経
α
α
および視赤緯
および視赤緯
δ
δ
の計算式
の計算式
(p.93)
(p.93)
•
視赤経 α[h] (係数Ai , Bi , Ciはp.93 表2参照)•
視赤緯 δ [°] (係数Di, Ei, Fiはp.93 表2参照)(21)
)
cos(
)
cos(
32 28 27 1 i i i i i i i iB
T
C
A
T
B
T
C
A
+
+
+
=
∑
∑
= =α
(22)
)
cos(
)
cos(
23 20 19 1 i i i i i i i iE
T
F
D
T
E
T
F
D
+
+
+
=
∑
∑
= =δ
海上保安庁水路部の式
海上保安庁水路部の式
(2/4)
(2/4)
太陽視赤経
太陽視赤経
α
α
および視赤緯
および視赤緯
δ
δ
の計算式
の計算式
(p.93)
(p.93)
•
係数A
i ,B
i ,C
iおよびD
i,E
i,F
i… p.93 表2 14海上保安庁水路部の式
海上保安庁水路部の式
(3/4)
(3/4)
分点差
分点差
E
E
qqおよび均時差
および均時差
T
T
ee•
分点差 Eq [h]: グリニッチ視恒星時とグリニッチ平 均恒星時の差(水路部による)…p.92•
均時差 Te[h]:既出の αm (IAU 1984)と α (水路 部)および上式のEqを用いる(18)
)
235
934
,
1
sin(
29
.000
0
h°
+
°
=
T
E
q(19)
)
(
α
−
α
+
=
q m eE
T
水路部の式(18) IAU(1984)の式(2) 水路部の式(21) 右辺各項は何 れも,T または Tu の関数15
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本報の提案式
本報の提案式
(1/7)
(1/7)
発想
発想
•
水路部の式に対する不満 • 視赤経 αと視赤緯δ が独立した2つの煩雑な近似式で 与えられている ⇒幾何的な関係式…p.94 式(28) を用いて簡略化できないか?•
視黄経ψ [°]と黄道傾斜角² [°] から出発して, 視赤緯δ [°]と均時差Te[h]を計算する方法を提案(28)
cos
sin
sin
cos
sin
sin
cos
cos
cos
cos
⎪
⎭
⎪
⎬
⎫
=
=
=
ε
ψ
δ
ε
ψ
α
δ
ψ
α
δ
本報の提案式
本報の提案式
(3/7)
(3/7)
視黄経ψの計算式
•
水路部の式を適用…p.94 式(25)•
係数は,p.94の表3参照 (25) 2 280.460 5 .769 000 , 36 ) cos( ) cos( 18 16 15 1 + + + + + =∑
∑
= = T R T Q T P R T Q P i i i i i i i iψ
17
SEED, Akita Pref. Univ.
本報の提案式
本報の提案式
(4/7)
(4/7)
真黄道傾斜角
真黄道傾斜角
²
²
の計算式
(提案)
•
Lieskeらの式+水路部の式(章動分)を適用…p.94 式(27)(27)
)
201
002
,
72
cos(
15
.000
0
)
235
934
,
1
cos(
56
.002
0
813
".001
0
59
0".000
0T
46".851
448
".
21
'
26
23
3 2°
+
°
°
−
°
+
°
°
−
−
+
+
°
−
=
T
T
T
T
ε
18本報の提案式
本報の提案式
(5/7)
(5/7)
視赤緯
視赤緯
δ
δ
の計算式
(提案)
•
水路部の視黄経ψ の計算式と真黄道傾斜角²²の提 案式による…p.94 式(29)(27)
sin
sin
1
sin
sin
arctan
2 2⎟
⎟
⎠
⎞
⎜
⎜
⎝
⎛
−
=
ε
ψ
ε
ψ
δ
19
SEED, Akita Pref. Univ.
本報の提案式
本報の提案式
(5/7)
(5/7)
分点差
分点差
e
e
qq[°] の計算式(提案)
•
均時差を計算するために用いる…p.94 式(24), (30)•
黄経の章動の影響項Δψ1[°]:•
光行差の影響項Δψ2[°] = 0.005 7•
分点差e
e
qq [[°°]]の計算式の計算式……p.94 p.94 式式(30) (30)1)
-(24
)
111
002
,
72
cos(
4
.000
0
)
145
934
,
1
cos(
8
.004
0
1°
+
°
°
−
°
+
°
°
=
Δ
T
T
ψ
(30)
cos
)
(
Δ
ψ
1−
Δ
ψ
2ε
=
qe
本報の提案式
本報の提案式
(6/7)
(6/7)
均時差
均時差
T
T
ee[h] の計算式(提案)
•
分点差E
E
qq [h]= [h]=e
e
qq/15/15に赤経差に赤経差αM− α[h][h]を加えたもを加えたも のが均時差 のが均時差T
T
ee [h]である…p.95 式(31)第1段•
αm−α を幾何的な関係から整理すると視赤経を幾何的な関係から整理すると視赤経α [h][h] を用いない表現が得られる を用いない表現が得られる…… p.95 式(31)最終段(31)
cos
tan
tan
1
cos
tan
tan
arctan
15
1
)cos
(
15
1
2 1⎟⎟
⎠
⎞
⎜⎜
⎝
⎛
+
−
+
Δ
−
Δ
=
ε
ψ
α
ε
ψ
α
ε
ψ
ψ
m m eT
ただし,[°]に変換したもの21
SEED, Akita Pref. Univ.
本報の提案式の妥当性
本報の提案式の妥当性
(1/2)
(1/2)
(
(
理科年表の視赤緯との比較
理科年表の視赤緯との比較
)
)
22本報の提案式の妥当性
本報の提案式の妥当性
(2/2)
(2/2)
(
(
理科年表の均時差との比較
理科年表の均時差との比較
)
)
23
SEED, Akita Pref. Univ.
精度の評価
精度の評価
(1/2)
(1/2)
(30
(30
年間の理科年表の視赤緯との比較
年間の理科年表の視赤緯との比較
)
)
0 5 10 15 20 25 30 35 最大誤差 平均誤差 赤坂の式 山崎の式 水路部の式 本報の式 視赤緯の誤差 (”)精度の評価
精度の評価
(1/2)
(1/2)
(30
(30
年間の理科年表の均時差との比較
年間の理科年表の均時差との比較
)
)
0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5 均時 差の誤 差 (s ) 最大誤差 平均誤差 赤坂の式 山崎の式 水路部の式 本報の式25
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