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書評 : 加茂直樹編『社会哲学を学ぶ人のために』(世界思想社、2001年)

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書 評

加 茂 直 樹 編

『 社 会 哲 学 を 学 ぶ 人 の た め に 』

       (世 界 思想社 、2001年)

初瀬龍平

1、 は じ め に   本 書 を 手 に し て 最 初 に 浮 か ぶ 疑 問 は 「 社 会 哲 学 っ て な ん な の で あ ろ う か 。 哲 学 に そ う い う ジ ャ ン ル が あ る の か 」 で あ る 。 法 哲 学 、 歴 史 哲 学 、 科 学 哲 学 な ら ば 、 そ の 内 容 が ま っ た く 分 か ら な く と も 、 本 を 手 に し た と き 、 な ん と な く 安 心 で き る 。 政 治 哲 学 、 宗 教 哲 学 、 仏 教 哲 学 で あ れ ば 、 前 三 者 ほ ど で は な い が 、 そ れ で も そ の 本 が 何 を 論 じ よ う と し て い る か 、 あ る 程 度 予 見 で き る よ う な 気 に な る 。 し か し 、 社 会 哲 学 と な る と 、 そ う は い か な い 。 ま ず 哲 学 と い う の が 、 知 的 に 憧 れ の 対 象 と は な る が 、 ど う い う 種 類 の 学 問 な の か は 、 あ ま り よ く 知 ら れ て い な い 。 そ れ で い て 、 哲 学 は す べ て の 学 問 の 上 に 立 っ 最 高 の 学 問 で あ る こ と に な っ て い る 。 次 に 社 会 哲 学 で 対 象 と す る 「 社 会 」 と は 、 な に を 指 す の か が 気 に な っ て く る 。 し か し 、 よ く 分 か ら な い こ と は 分 か ら な い ま ま に し て 、 本 書 を 読 み 始 め る こ と に し よ う 。   編 者 の 加 茂 直 樹 は 、 自 ら の 専 門 を 社 会 哲 学 と 名 乗 っ て お り(http:11www.cs.kyoto-wu.ac.jp/%7e kamo12001年7月20日)、10年 以 上 前 か ら 社 会 哲 学 と 名 の つ く 本 を 上 梓 し て い る(『 社 会 哲 学 の 諸 問 題 』 晃 洋 書 房 、1991年 。『 社 会 哲 学 の 現 代 的 展 開 』世 界 思 想 社 、1999年)。 「社 会 哲 学 」に つ い て 、 編 者 の 意 気 込 み を 買 い た い の だ が 、 上 記 の 社 会 」 哲 学 の 疑 問 が 、 本 書 を 評 価 す る に 当 っ て 、 最 後 ま で 問 題 点 と し て 残 り そ う で あ る 。   編 者 の 序 論 な ぜ 社 会 哲 学 か 」か ら 判 断 す る と 、 社 会 哲 学 の 対 象 と す る 「社 会 」 と は 、 現 在 の 社 会 で 問 題 と さ れ る 「社 会 的 問 題 」 の す べ て を 指 す と 理 解 し て よ い ら し い 。 そ れ は 、 具 体 的 に は 環 境 、 医 療 、 ジ ェ ン ダ ー 、 情 報 を は じ め 、 本 書 の 各 論 で 取 り 上 げ る 種 々 の 問 題 で あ る 。 編 者 に よ れ ば 、 こ の よ う な 現 代 社 会 の 諸 問 題 を 解 決 す る た め に 、 社 会 政 策 が 必 要 に な る が 、 政 策 の 基 本 的 枠 組 み 、 政 策 と し て の 妥 当 性 、 有 効 性 、 整 合 性 な ど に 関 し て 、 倫 理 的 判 断 以 外 が 関 与 し て く る 。「 世 の 中 の 重 要 な 問 題 に 正 面 か ら 取 り 組 む の が 哲 学 で あ り 」 (本 書6頁)、 「価 値 に つ い て 合 理 的 な 議 論 を 展 開 し 、 立 場 の 違 い を 乗 り 越 え て 共 通 認 識 を 深 め て い く こ と が 必 要 な の で あ る 。 そ の た め に は 、 一 般 市 民 、 非 専 門 家 に も 理 解 で き る よ う な 平 明 な こ と ば で 語 る こ と 、 細 部 に こ だ わ ら ず 大 き な 筋 道 と 全 体 的 な 構 造 を 明 ら か に す る よ う に 努 め る こ と が 重 要 に な る 」(8頁)。 こ れ が 本 書 の 基 本 的 狙 い で あ る 。   こ の 書 評 の 内 容 は 、 評 者 の 専 門 分 野 と 関 係 す る の で 、 こ こ で 私 の 自 己 紹 介 を し て お こ う 。 私 の 専 門 は 国 際 関 係 論 で あ る 。 そ の た め に 、 本 書 の 各 論 に 対 す る 私 の 基 礎 知 識 に は 、 か な り の 濃 淡 が あ る 。 環 境 も ジ ェ ン ダ ー も 情 報 も 、 今 日の 国 際 関 係 論 で 主 要 研 究 課 題 と な っ て い る 。 医 療 に つ い て は 、 国 家 間 を 流 れ る 臓 器 売 買 や 国 際 的 医 療 協 力 は 、 確 か に 国 際 関 係 論 の テ ー マ で あ る 。 し か し 、 国 内 に お け る 臓 器 移 植 、 ヒ ト ・ ゲ ノ ム の 解 析 と 応 用 、 代 理 母 の 問 題 と な る と 、 国 際 関 係 論 の 守 備 範 囲 か ら 離 れ て い く 。 要 す る に 、 本 書 の 一 部 の 論 題 、 た と え ば 国 家 と か 民 族 の 問 題 で は 、 私 の 専 門 と 重 な っ て く る が 、 そ の 他 の 論 題 に つ い て は 、 素

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人 の 議 論 と な ら ざ る を 得 な い 。 実 は 、 こ の こ と が 各 論 の 評 価 に 強 く 関 係 し て く る 。 す な わ ち 、 私 の 専 門 に 近 い ほ ど に 、 私 の 評 価 は 厳 し く な っ て し ま う 。 そ の 反 対 に 距 離 が 離 れ る ほ ど に 、 初 心 者 と し て の 素 直 な 感 想 と な る 。 こ の よ う な 意 味 で 、 こ の 書 評 は 公 正 さ を 欠 く の で 、 あ ら か じ め 、 皆 さ ん (本 書 の 著 者 、 書 評 の 読 者)に お 許 し を 得 て お き た い 。 2、 本 書 の 構 成 と 論 題   本 書 の 執 筆 者 は 、 京 都 生 命 倫 理 研 究 会 に 集 結 す る28人 で あ る 。 各 著 者 に 与 え ら れ た 字 数 は 、8千 字 程 度 で あ る 。 各 人 が 担 当 す る テ ー マ は 、 そ れ ぞ れ 重 厚 な も の で あ る の で 、 そ れ を こ の 限 ら れ た 字 数 で 論 じ る こ と は 、 き わ め て 難 し い こ と で あ る 。 そ の 点 で は 、 執 筆 者 は 大 変 な 苦 労 を さ れ た で あ ろ う 。 し か し 、 短 い か ら こ そ 、 執 筆 者 の 議 論 の 展 開 が 鋭 く な る と い う 利 点 も あ る 。 短 け れ ば 短 い ほ ど に 、 良 い 文 章 は も っ と 良 く な る と も 言 え る 。   本 書 の 全 体 は6部 か ら 構 成 さ れ て い る 。   1は 「社 会 哲 学 の 基 礎 」 で あ る 。 そ れ は 「共 同 体 の 意 義 」(浜 岡 剛)、 「 社 会 統 制 と 自 由 」(江 崎 一 朗)、 「 平 等 」(長 岡 成 夫)、 「 道 徳 的 な 不 一 致 と 合 意 」(平 石 隆 敏)、 「 人 権 概 念 の 変 容 」(山 崎 康 仕) の5章 か ら な っ て い る 。 こ の よ う に 、1で は 、 自 由 、 平 等 、 人 権 、 合 意 、 共 同 体 な ど 、 社 会 的 人 間 の 基 礎 的 概 念 に つ い て 、 現 代 的 意 味 が 問 い 直 さ れ て い る 。   IIは 「社 会 哲 学 の 現 代 的 論 点 」 で あ る 。 こ れ は 「 自律 を め ぐ る 諸 問 題 」(樫 則 章)、 「効 率 と 公 正 一 個 人 の 厚 生 を い か に 評 価 す る か 一 」(大 山 明 男)、 「組 織 と 責 任 」(品 川 哲 彦)、 「 権 力 と 暴 力 」(丸 山 徳 次)、 「 寛 容 一 自 由 な 社 会 を 保 障 す る も の 一 」 (谷 本 光 男)の5章 か ら な っ て い る 。 こ のIIで は 、 個 人 と 社 会 の つ な ぎ 方 が 、 自律 、 効 率 、 公 正 、 厚 生 、 責 任 、 暴 力 、 権 力 、 寛 容 な ど か ら 議 論 さ れ て い る 。   IHは 現 代 的 問 題 の う ち 「 家 族 ・性 ・ 教 育 」 に 焦 点 を 当 て て い る 。 議 論 ぱ 家 族 の 危 機 と そ の 行 方 」 (河 野 勝 彦)、 「 性 と 家 族 一 構 造 主 義 か ら 言 え る こ と 一 」(田 村 公 江)、 「ジ ェ ン ダ ー と セ ク シ ュ ア リ テ ィ ー 社 会 哲 学 に お け る 語 り 方 一 」(宮 地 尚子)、 「 学 校 教 育 の 危 機 と そ の 克 服 一 環 境 教 育 の 視 点 か ら 一 」(今 村 光 章)の4章 で 展 開 さ れ て い る 。   IVは 、 現 代 的 問 題 の う ち で 医 療 ・福 祉 ・環 境 」 を 取 り 上 げ る 。 各 章 の 論 題 は 「 先 端 医 療 一 ゲ ノ ム 医 学 と 再 生 医 学 一 」(伏 木 信 次)、 「 現 代 医 療 一 人 体 の 資 源 化 ・ 商 品 化 と 人 間 の 尊 厳 一 」(粟 屋 剛)、 「福 祉 社 会 の 哲 学 」(徳 永 哲 也)、 「循 環 型 社 会 の 意 義 と 課 題 」(高 津 融 男)、 「 環 境 と 経 済 一 効 率 と 公 正 の 視 点 か ら 一 」(夏 目隆)で あ る 。   Vは 「科 学 ・ 技 術 ・ 情 報 」 で あ る 。 こ れ も 現 代 的 問 題 で あ る 。 こ こ で は 「 科 学 と 社 会 一 科 学 技 術 の リ ス ク 評 価 と ア カ ウ ン タ ビ リ テ ィ ー 」(蔵 田伸 雄)、 「 技 術 と 社 会 一 工 学 倫 理 の 観 点 か ら 一 」(伊 勢 田 哲 治)、 「 知 的 所 有 権 の 正 当 化 」(江 口 聡)、 「マ ス メ デ ィ ア と プ ラ イ バ シ ー 」(北 尾 宏 之)の4 章 で 、 議 論 が 展 開 さ れ る 。   最 後 にVIぱ 国 家 ・ 民 族 ・ 宗 教 」と な っ て い る 。 こ こ で は 「 国 家 一 『 公 共 性 』 あ る い は 『 公(と い う こ と)』 を め ぐ っ て 一 」(安 彦 一 恵)、 「 国 家/民 族 一 〈境 界 〉 の ポ リ テ ィ ッ ク ス 」(魚 住 洋 一)、 「宗 教 と 法 一 欧 米 と 日本 の 法 文 化 の 比 較 」(角 田猛 之)、 「 国 際 関 係 の 論 理 と 倫 理 」(柳 澤 有 吾)の4 章 立 て と な っ て い る 。   以 上 の よ う に 、 本 書 は 、 現 代 社 会 の 問 題 で も 、 と り わ け 現 代 的 な 諸 問 題(ジ ェ ン ダ ー 、 先 端 医 療 、 循 環 型 社 会 、 科 学 技 術 、 情 報 、 プ ラ イ バ シ ー な ど)に つ い て 原 理 的 考 察 を す す め る と と も に 、 自 由 、 平 等 、 人 権 、 自律 、 寛 容 、 公 正 な ど の 基 礎

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的 概 念 に つ い て 、 現 代 的 意 味 を 問 い 直 し て い る 。 限 ら れ た 紙 幅 の な か で 、 き わ め て 野 心 的 な 試 み で あ る の が 、 本 書 の 特 色 で あ る 。 い ず れ の 章 も 、 良 心 的 な 議 論 展 開 と な っ て い る 。 3、 本 書 か ら 学 ん だ こ と   本 書 の 性 格 か ら し て 、 読 者 の 関 心 や 専 門 性 が 違 え ば 、 学 べ る こ と 、 疑 問 に 思 う こ と も 違 っ て き て 、 当 然 で あ る 。 国 際 関 係 論 の 視 点 か ら 現 代 社 会 に 興 味 を も っ て い る 評 者 と し て は 、 つ ぎ の5点 の 議 論 が 、 と く に 興 味 深 か っ た 。   第1に 、1の 「人 権 概 念 の 変 容 」 が 、 人 権 の 制 約 と し て 、 リ バ タ リ ア ニ ズ ム 、 共 同 体 論 、 ジ ェ ン ダ ー 、 生 命 倫 理 規 範 、 環 境 倫 理 規 範 、 序 列 化 を 挙 げ て い る こ と で あ る 。 こ の 議 論 を も と に し て 、 人 権 の 絶 対 化 と 、 人 権 の 序 列 化 を 組 み 合 わ せ る こ と で 、 た と え ば ア ジ ア 的 人 権 論 の 構 造 を 解 明 す る の に 役 立 っ の で な い か 、 と 思 わ れ る 。   第2に 、IIの 「 自律 を め ぐ る 諸 問 題 」 が 、 行 為 の 自 由 、 選 択 の 自 由 、 合 理 的 意 思 決 定 能 力 を 分 別 し 、 自律 尊 重 の 根 拠 を ① 自律 そ れ 自体 が 道 徳 的 価 値 を も っ こ と 、 ② 自律 は 人 間 幸 福 の 主 要 な 構 成 要 素 の 一 つ で あ る こ と 、 ③ 各 自 が 自分 な り の 価 値 を も っ こ と に 求 め 、 そ の う え で 問 題(他 者 へ の 思 い や り ・配 慮 、 共 同 体 主 義 者 ・ フ ェ ミ ニ ス ト か ら の 批 判 、 合 理 的 な 意 思 形 成 能 力 、 自律 的 意 思 決 定 に 必 要 な 情 報 量 ・ 理 解 の 程 度 、 社 会 的 順 応 、 他 者 の 自律 へ の 積 極 的 援 助 、 自 己 自身 の 自律 に 対 す る 尊 重 、 何 が 自分 の こ と か)を 整 理 し 、 解 決 を 選 好 的 功 利 主 義 で 考 え て い る の も 、 私 に 役 に 立 ち そ う な 考 え 方 で あ る 。   第3に 、HIの ジ ェ ン ダ ー と セ ク シ ュ ア リ テ ィ 」 の 鋭 利 な 語 り 口 は 、 衝 撃 的 で あ る 。「 何 を 語 る か で は な く て 、 ど の よ う な 位 置 か ら 誰 が 誰 に 語 る の か 、 ど の よ う な 枠 組 み の も と で 語 り が 始 ま る か 」 を 問 題 と す る こ と か ら 、「 関 係 性 に お け る 不 均 等 が か す か な 痕 跡 か ら あ ぶ り 出 さ れ 、 明 確 な も の と し て 現 出 し て く る1150-1頁)と い う 指 摘 は 鋭 い 。 著 者 は 「 ト ピ ッ ク で は な く て 、 何 か を 当 然 と み な す 自 分 自 身 の 思 考 を 批 判 対 象 に さ せ ら れ る 」 苦 痛 に 言 及 し 、「 個 人 的 な こ と は 政 治 的 で あ り 、 政 治 的 な こ と が 個 人 的 で あ る こ と は 、 既 得 権 益 の 大 き い 人 ほ ど 『 攻 撃 』 の 前 で 察 知 せ ざ る を え な い だ ろ う 」 こ と を 指 摘 す る(151頁)。 私 は こ の 章 を 読 む と す ぐ に 、 著 者 の 別 論 文 「 難 民 を 救 え る か?」 を 読 み た く な り 、 図 書 館 に 向 か っ た 。 そ の 間 、 こ の 作 業 は 中 断 と な っ た 。   第4に 、IVの 「先 端 医 療 一 ゲ ノ ム 医 学 と 再 生 医 学 一 」 と 「 現 代 医 療 一 人 体 の 資 源 化 ・ 商 品 化 と 人 間 の 尊 厳 」 は 、 生 殖 医 療 、 発 症 前 遺 伝 子 診 断 、 遺 伝 子 治 療(補 完 、 付 加 、 修 復)、ES細 胞 、 幹 細 胞 と か 、 移 植 医 療 、 医 学 実 験 ・ 研 究 、 医 薬 品 製 造 、 薬 物 試 験 用 の 人 体 の 資 源 化 ・ 商 品 化 、 人 体 全 体 、 臓 器 、 組 織 、 細 胞 、 遺 伝 子 の レ ベ ル 分 け と か 、 私 に と っ て 不 断 か ら 気 に し て い た こ と が 、 適 切 に 解 説 さ れ て い て 、 有 益 で あ っ た 。 し か し 、 「 現 代 医 療 」 の 章 で 、 功 利 主 義 的 身 体 感 と 区 分 し た 「 人 体 の 尊 厳 」 と い う 考 え は 示 唆 的 で あ る が 、 「 人 体 の 尊 厳 」 と 「 人 間 の 尊 厳 」 の 関 係 に つ い て の 議 論 は 、 も う 少 し 精 緻 に で き る よ う に 思 わ れ る 。   第5に 、Vの 「知 的 所 有 権 の 正 当 化 」 と 「 マ ス メ デ ィ ア と プ ラ イ バ シ ー 」 が 、 私 に は 興 味 の あ る 議 論 展 開 と な っ て い る 。 前 者 で は 、 知 的 所 有 権 で 正 当 化 の 議 論 と し て 、 労 働 取 得 説 と イ ン セ ン テ ィ ブ 理 論 を 紹 介 、 整 理 し て い る 。 後 者 で は 、 先 端 医 療 と 犯 罪 報 道 に つ き 、 マ ス メ デ ィ ア の 報 道 が 正 当 な の は 、 報 道 の 受 け 手 に と っ て 当 事 者 性(人 生 設 計 や 行 為 選 択 で の 必 要 性)を 持 つ と き で あ る が 、 そ こ に 出 来 事 、 事 件 の 当 人 だ け で な く 、 背 景 、 コ

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ン テ ク ス ト の 情 報 ま で が 含 ま れ る か ど う か で は 、 賛 否 の 両 論 が あ る こ と が 指 摘 さ れ る 。 両 者 の 議 論 と も 、 要 点 を 的 確 に 整 理 、 提 示 し て い る 。 し か し 、 ど ち ら の 章 と も 、 そ れ ぞ れ 議 論 の 分 か れ る2 つ の 説 を 越 え て 、 著 者 が ど の よ う な 立 場 に 立 と う と し て い る の か が 、 提 示 さ れ て い な い 。 読 者 と し て は 、 最 後 に 肩 透 か し に あ っ た よ う な 気 が す る 。   こ の 他 に も 、 私 は 本 書 か ら い ろ い ろ と 学 ぶ こ と が で き た 。 た と え ば 、1で は 、「 個 人 の 自 由 」 の 実 現 の た め に の み 「 社 会 統 制(法 的 、 倫 理 的)」 を 認 め る と い う 説 明(「 社 会 統 制 と 自 由 」)、 ロ ー ル ズ の 第2原 理 の 明 快 な 説 明(「 平 等 」)、 道 徳 的 不 一 致 の 不 可 避 性 か ら 合 意 志 向 的 プ ロ セ ス へ の 発 展 の 説 明(「 道 徳 的 な 不 一 致 と 合 意 」)で あ る 。11 で は 、 パ レ ー ト 効 率 的 な 資 源 分 配 が 必 ず し も 社 会 的 望 ま し さ を 意 味 し な い こ と の 確 認(「 効 率 と 公 正 」)や 、 不 寛 容 は そ の 対 象 者 の 自律 性 を 尊 重 し な い か ら 道 徳 的 に 不 正 で あ る と の 指 摘(「 寛 容 」) が 、 新 鮮 で あ る 。IIIで は 、 核 家 族 の 危 機 と 「複 合 家 族 」 の 可 能 性(「 家 族 の 危 機 と そ の 行 方 」)と 構 造 主 義 の 「 分 節 」 手 法(「 性 と 家 族 」)が 面 白い 。 IV、 本 書 で 疑 問 に 感 じ る こ と   こ こ で は 、 本 書 の 議 論 で 疑 問 に 感 じ た こ と を 述 べ て お こ う 。   第1に 、 各 章 の 結 論 部 で 、 も っ と 議 論 を 詰 め て か ら 、 結 論 と し て 欲 し い こ と が 、 散 見 さ れ る こ と で あ る 。 た と え ば 、「 自 ら の 生 活 の 場 に 望 ま し い 共 同 体 」 と は 具 体 的 に な に か(22頁)。 社 会 化 の 中 心 を な す 公 共 性 に つ い て 、 基 準 を 明 確 に 示 す こ と が ま す ま す 困 難 に な る と い う の は 、 ど う い う こ と か(31頁)。 合 意 志 向 的 プ ロ セ ス が 実 効 的 に 機 能 す る に は 、 な に よ り も 社 会 的 な 信 頼 が 必 要 と 言 う が 、 そ れ で は 、 議 論 が 堂 堂 巡 り に な る の で な い か(52頁)。 寛 容 こ そ が 自 由 な 社 会 、 自 由 の 維 持 を 保 障 す る と い う が(117頁)、 こ の 章 の 前 半 の 議 論 と の 関 連 で は 、 主 張 が 空 転 し て い る よ う で あ る 。 性 、 家 族 の 問 題 で は 、 せ っ か く 構 造 主 義 の 分 節 手 法 で 提 起 し た 議 論 が 、 最 後 に 「 解 答 が な い こ と を 証 明 し た に と ど ま るf140頁)と 言 わ れ る と 、 読 者 と し て は 、 そ ん な こ と を 言 わ ず に 、 も っ と 積 極 的 に 解 答 の 試 み を し て も ら い た く な る 。 教 育 問 題 に つ い て 、 手 放 し の 快 楽 主 義 の 批 判 か ら 最 後 に 「新 た な る 物 語 」 と し て の 環 境 教 育 に 結 論 が 行 く の(164頁)は 、 明 か に 議 論 の 飛 び す ぎ で あ る 。 福 祉 国 家 の 一 般 論 か ら 介 護 保 険 へ の 議 論 が 飛 ぶ の は(196-9頁)、 議 論 の 位 相 が ず れ て い る か ら 、 目 く ら ま し の よ う な 立 論 で あ る(紙 幅 の 関 係 な ら ば 、 介 護 保 険 の こ と だ け を 論 じ て 欲 し か っ た)。 循 環 型 社 会 の 議 論 で 、 結 論 の と こ ろ で 「 主 体 的 な 市 民 の 形 成 」(215頁)が 言 及 さ れ る が 、 本 論 で は 市 民 の 議 論 は な か っ た か ら 、 唐 突 な 結 論 で あ る 。   以 上 の 問 題 点 は 、 各 章 の 結 論 の 出 し 方 に 関 係 し て い る 。 結 論 と さ れ て い る こ と の 多 く が 、 い わ ば 中 間 的 結 論 な の で あ る 。 言 い か え る と 、 そ れ 自 体 が 、 も う 一 度 哲 学 的 に 考 察 す べ き 対 象 の は ず で あ る 。 そ の 場 合 、 社 会 一 般 の 通 念 が 無 媒 介 に 議 論 や 結 論 に 入 り 込 ん で く る こ と は 、 絶 対 に 避 け ね ば な ら な い 。 そ れ に は 、 心 組 み が 必 要 で あ る 。 社 会 哲 学 は 、 個 々 の 場 合 に 、 社 会 的 常 識 を 少 な く と も い っ た ん は 疑 う こ と か ら 始 ま る の で は な い か 。   第2に 、 政 治 学 と そ れ に 近 い 議 論VI、   II 4章) に つ い て は 、 私 と し て は 、 な ん と 言 っ て よ い の か 、 か な り 戸 惑 っ て し ま う 。 た と え ば 、 リ ア リ ス ト と し てE.H.カ ー を 選 ぶ の は 妥 当 か(「 国 際 関 係 の 論 理 と 倫 理 」)、 エ ス ニ シ テ ィ に 言 及 し な い で 今 日 の 民 族 問 題 を 議 論 で き る の か(「 国 家/民 族 」)、あ る い は 現 代 国 家 の 機 能 を 説 明 し な い で 、 国 家 論 を 展 開 で き る の か(「 国 家 」)で あ る 。 さ ら に 、 ア イ ン シ ュ タ イ ン 、 シ ラ ー ド が 、 原 爆 が 実 戦

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で 使 わ れ た ら ど う な る か を イ メ ー ジ し て い な か っ た か の よ う な 記 述 が あ る(232頁)。 本 文 で こ こ の 箇 所 の 記 述 は 、 十 分 に は 鮮 明 で な い の で 、 私 が 文 意 を 誤 解 し て 、 解 釈 し て い る の か も し れ な い 。 し か し 、 両 人 が ナ チ ス ・ ド イ ツ の 原 爆 開 発 を 恐 れ て い た こ と 、 ま た ナ チ ス ・ ド イ ツ 崩 壊 後 に は 、 彼 ら は 対 日原 爆 投 下 に 反 対 し た こ と を 勘 案 す る と 、 原 爆 の 実 戦 的 効 果 を 彼 ら が 予 測 で き な か っ た か の よ う な 表 現 に は 、 問 題 が あ る よ う に 思 わ れ る 。   こ の よ う な 疑 問 点 を 敷 衍 す る と 、 社 会 哲 学 の 発 展 の た め に は 、 専 門 家 と の 対 話 が も っ と 必 要 と い う こ と で あ ろ う 。 他 の 学 問 分 野 に つ い て は 、 口 出 し す る こ と は 控 え た い が 、 少 な く と も 政 治 学 に 関 し て は 、 相 互 対 話 が 絶 対 に 必 要 と 思 わ れ る 。 V、 最 後 に   本 書 は 全 体 と し て 、 読 み 甲 斐 の あ る 面 白 い 本 で あ る 。   第1に 、 私 は 、 本 書 か ら 多 く の こ と を 学 ば せ て い た だ い た 。 そ れ な の に 、 こ こ で は 、 大 小 の 問 題 点 を 拾 い 集 め て い る か の よ う な 書 評 と な っ て い る 。 し か し 、 編 者 の 意 図 さ れ る 社 会 哲 学 と い う も の は 、 こ れ ら の 問 題 点 に 正 面 か ら 取 り 組 ん で く れ る 学 問 で あ る 。 著 者 の 方 々 が 、 次 の 機 会 に い っ そ う 緻 密 な 議 論 を 展 開 し て い た だ く の に 、 幾 分 か で も お 役 に 立 て れ ば と 思 っ て 、 あ え て 疑 問 点 を 列 挙 し て お い た 。   第2に 、 社 会 哲 学 の 発 展 の た め に は 、 各 学 問 分 野 の 専 門 家 と の 対 話 が も っ と 必 要 な の で は な い か 。 さ も な い と 、 原 理 的 考 察 と 常 識 的 通 念 が 並 列 す る と い う ア ン バ ラ ン ス が 放 置 さ れ る 恐 れ が あ る よ う に 思 わ れ る 。   第3に 、 社 会 哲 学 で い う と こ ろ の 「 社 会 」 と は な に か の 問 題 に 戻 っ て く る 。 本 書 か ら 全 般 的 に 感 じ る 印 象 な の で あ る が 、 社 会 の 全 体 性 、 歴 史 性 に つ い て 、 も う 少 し 配 慮 が な さ れ て よ い よ う に 思 わ れ る 。 個 別 の 社 会 問 題 を 集 積 し て も 、 特 定 社 会 の 全 体 性 、 歴 史 性 は 捉 え ら れ な い か ら で あ る 。   以 上 は 、 私 の き わ め て 偏 頗 な 主 観 的 な 評 価 で あ る 。 最 後 に 、 他 の 専 門 家 で あ れ ば 、 本 書 に 対 し て 、 ま っ た く 異 な る 評 価 が あ り う る こ と を 再 確 認 し て お き た い 。

現 代社 会 の 諸課 題 に 取 り組 む

社 会 哲 学

    初瀬龍平氏の書評に答えて

加茂直樹

  拙 編 著 『 社 会 哲 学 を 学 ぶ 人 の た め に 』(世 界 思 想 社 、2001年)に つ い て 、 初 瀬 龍 平 教 授 が 懇 切 な 書 評 を し て 下 さ っ た 。 そ の 批 判 的 評 価 の 内 容 に つ い て は 、 ほ と ん ど 異 存 は な い 。 た だ 、 反 論 の 機 会 を 与 え ら れ た の で 、 編 者 と し て の 意 図 等 に つ い て 、 少 し 説 明 を 加 え る こ と に す る 。 時 間 的 制 約 も あ り 、 断 片 的 な 形 に な る こ と を 、 了 承 し て い た だ き た い 。 (1)ま ず 、 評 者 は 、 社 会 哲 学 は 何 か よ く わ か ら な い 、 と 述 べ る 。 こ れ は も っ と も な 疑 問 で あ る が 、 こ の 問 い に 手 短 か に 答 え る こ と は で き な い 。 私 と し て は 、 さ し あ た っ て は 、 こ の 書 物 に 含 め た よ う な 内 容 の も の を 社 会 哲 学 と 称 し て い る 、 と し か 言 え な い 。 も っ と 異 な る 内 容 の 社 会 哲 学 が 何 種 類 か あ る こ と は 承 知 し て い る が 、 そ れ と は 無 関 係 に 、 こ の よ う な 社 会 哲 学 を 構 想 す る こ と は 意 味 を も ち う る と 考 え る 。   そ の 構 想 は 、 具 体 的 に 表 現 す れ ば 、 社 会 の 現 実 的 な 諸 課 題 の 総 合 的 な 把 握 を 目指 す こ と で あ る 。 そ れ が 必 要 で あ る と 考 え た 理 由 は 、 編 者 と し て の 序 論 に 述 べ た の で 、 繰 り 返 さ な い 。 こ の よ う な 具 体 的 な 課 題 に 取 り 組 む 学 問 領 域 と し て 近 年 、 応 用

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倫 理 学 が 盛 ん に な っ て き て い る が 、 社 会 的 に 重 要 な 課 題 に は 、 倫 理 的 な 要 因 以 外 に も 、 さ ま ざ ま な 要 因 が あ る 。 哲 学 の 関 与 を 倫 理 的 な も の だ け に 限 定 す る 理 由 は な い と 考 え 、 敢 え て 応 用 倫 理 学 で は な く 、 社 会 哲 学 と 称 し て い る の で あ る 。 (2)個 々 の 論 文 に つ い て の 評 者 の 論 評 に は 、 立 ち 入 ら な い 。 た だ 、 批 判 さ れ て い る 内 容 に よ っ て は 、 執 筆 者 だ け で な く 、 編 者 に も 責 任 が あ る と 感 じ て い る 。 例 を 挙 げ る な ら ば 、 結 論 の 出 し 方 に 飛 躍 が あ っ た り 、「 社 会 一 般 の 通 念 が 無 媒 介 に 議 論 や 結 論 に 入 り 込 ん で く る 」 こ と が あ る と い う 指 摘 に は 、 編 者 と し て も 、 耳 が 痛 い 。 今 の と こ ろ で は 、 こ れ へ の 有 効 な 反 論 を 見 出 す こ と も で き な い で い る 。 こ こ に 見 出 さ れ る 結 論 の 多 く は 暫 定 的 な 性 格 の も の で あ っ て 、 今 後 こ れ を 改 め て い く 努 力 を 続 け る と 言 う の み で あ る 。 (3)「 社 会 哲 学 は 、 個 々 の 場 合 に 、 社 会 的 常 識 を 少 な く と も い っ た ん は 疑 う こ と か ら 始 ま る の で は な い か 」 と い う 評 者 の 指 摘 は 、 そ の 通 り で あ る 。 た だ 、 少 し 論 点 が ず れ る が 、 そ の こ と に 関 連 し て 述 べ て お き た い の は 、 従 来 の 哲 学 ・倫 理 学 研 究 者 は 、 現 実 的 な 問 題 に つ い て 発 言 す る と き に 、 疑 問 を 出 し 、 批 判 的 な 姿 勢 を 示 す だ け で 、 自 ら 積 極 的 、 具 体 的 な 提 言 を す る こ と が ほ と ん ど な か っ た こ と で あ る 。 自ら は ア カ デ ミ ズ ム と い う 安 全 な 場 に 身 を お い て 、 高 踏 批 評 を す る だ け で あ れ ば 、 事 態 の 進 展 に よ っ て 自分 の 主 張 の 見 当 外 れ が 暴 露 さ れ る こ と は な い 。 ま た 、 抽 象 的 、 一 般 的 な 主 張 に 留 ま っ て お れ ば 、 そ れ を 具 体 化 し た と き に ど の よ う な 形 を と る か に つ い て 、 多 様 な 解 釈 が 可 能 に な り 、 自 ら の 責 任 を 感 じ な く て も す む 。 私 自 身 は 、 哲 学 も 現 実 的 な 課 題 に 関 わ る 以 上 は 、 そ の 妥 当 性 や 有 効 性 に つ い て 責 任 を 感 じ ざ る を え な い よ う な 明 確 な 主 張 を す べ き だ と 考 え る 。 (4)「 社 会 哲 学 の 発 展 の た め に は 、 専 門 家 と の 対 話 が も っ と 必 要 と い う こ と で あ ろ う 」 と い う 指 摘 に は 、 ま っ た く 賛 成 で あ る 。 さ い わ い 、 わ れ わ れ の 研 究 会 主 体 で13年 度 か ら3年 間 、 科 学 研 究 費 を 受 け る こ と に な っ た の で 、 こ れ か ら は 諸 科 学 の 専 門 家 を 招 い て 、 教 え を 乞 い 、 論 議 を 交 わ す 機 会 を 設 け る こ と が 可 能 に な っ た 。 現 代 社 会 学 部 の ス タ ッ フ の 方 々 に も 、 協 力 を お 願 い し た い 。 (5)最 後 に 、 評 者 が 、 本 書 の 全 般 的 な 印 象 と し て 、 社 会 の 全 体 性 、 歴 史 性 に っ い て も っ と 配 慮 す べ き だ と 指 摘 し て い る 点 に つ い て 、 少 し 弁 明 し た い 。 最 近 は 哲 学 関 係 の 学 会 の シ ン ポ ジ ウ ム 等 で 、 現 代 的 な テ ー マ を 取 り 上 げ る こ と が 多 く な っ た が 、 そ の 際 に も 、 こ の テ ー マ に つ い て プ ラ ト ン は ど う 言 っ た か 、 カ ン ト は ど う 書 い て い る か な ど の 論 議 に 時 間 と 労 力 を 費 や し て し ま い 、 問 題 の 核 心 に は 近 づ け な い と い う よ う な こ と が よ く あ る 。 歴 史 性 は 重 要 で あ る が 、 哲 学 研 究 者 が 歴 史 に 深 入 り す る と 、 現 実 か ら の 逃 避 と い う 結 果 に な っ て し ま う 可 能 性 が あ る 。   編 者 と し て は 、 こ の よ う な 小 著 に 歴 史 的 な 内 容 ま で 盛 り 込 む と 「 虻 蜂 取 ら ず 」 に な る と 考 え 、 敢 え て こ の よ う な 一 面 的 な 構 成 に し た 次 第 で あ る 。 歴 史 性 を 重 ん ず る 研 究 が 価 値 を も つ こ と は 認 め る が 、 わ れ わ れ の よ う な ア プ ロ ー チ も あ り う る の で は な い か 。 特 に 、 文 学 部 以 外 の 学 部 に お け る 哲 学 関 係 の テ キ ス ト と し て は 、 活 用 で き る の で は な い か 、 と い う の が 編 者 の 勝 手 な 判 断 で あ る 。

加茂 直樹氏 の反論を読んで

初瀬龍平

  編 者 の 反 論 を 読 ま せ て 頂 い て 、2つ だ け 感 じ た こ と を 述 べ さ せ て い た だ き た い 。   第1点 は 、 私 の 頭 で は 、 哲 学 と 倫 理 学 が 区 分 さ れ な い ま ま に 、 曖 昧 で あ る こ と が 痛 感 さ れ た 。 こ

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の 点 で は 、 深 く 反 省 し て い る 。 で も 、 哲 学 か ら 倫 理 学 を 引 い て 残 る の は 、 何 で あ る の か 。 こ れ に つ い て は 、 案 外 哲 学 者 の 問 で も 意 見 の 一 致 が な い の で な い か 、 と い う 気 も す る 。   第2点 は 、 編 者 の 反 論 の 第5点 に 関 し て で あ る 。「 歴 史 性 」 と い う 言 葉 に つ い て 、 編 者 と 評 者 の 間 に 、 理 解 が ま っ た く 違 う の で あ る 。 私 と し て は 、「 歴 史 性 」 と い う 言 葉 で 、 現 代 社 会 が 人 間 の 歴 史 の な か で も っ 時 代 的 特 性 を 表 現 し た つ も り で あ っ た 。 プ ラ ト ン や カ ン ト の 言 明 だ け を 問 題 と す る の は 、 私 の 考 え で は 、「 歴 史 性 」 が な い と い う こ と に な る 。 こ の よ う に 、 編 者 と 評 者 は 、「歴 史 性 」 と い う 同 じ 言 葉 を 使 い な が ら も 、 ま っ た く 反 対 の こ と を イ メ ー ジ し て い る 。 そ れ で い て 、 両 者 が 実 際 に 言 お う と し て い る こ と は 、 同 じ な の で あ る 。 専 門 を 越 え て 対 話 す る こ と が 、 ひ じ ょ う に 難 し い こ と が 、 よ く 分 か っ て 、 面 白か っ た 。

参照

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