『手 首 が 痛 い !』
「手首が痛い!・・・使いすぎなのか!?・・」
仕事でパソコンを頻繁に使う。美容師や理容師ではさみを頻繁に使う。料理で包丁を 頻繁に使う。 演奏、裁縫、趣味など、手先を使う仕事やスポーツを行い、 「手首が痛い・・・」と訴えるほとんどの患者さんは、普通の人より手先を使うこが 多いため、腱鞘炎は“使いすぎ”によるといわれています。 確かに、職業により毎日使えば生身の体ですから故障もします。 しかし、同じ仕事をしていても腱鞘炎にならない人はなりません。 同じように手先を使っているはずなのに・・・いったい何が違うのでしょうか? この書籍は、手首の腱鞘炎の仕組みと、腱鞘炎の改善方法を記載しています。基本を理解し、慌てず確実に行えば、
あなたの手首から確実に痛みが消えるはずです。
手首周辺の骨格と筋肉群 筋肉・骨の数が多くありますから名前を覚える必要はありません。 手の甲(裏) 手の平(表)「腱鞘炎」 とは?
腱鞘(けんしょう) が 炎症 している という状態。 診断名です。 腱鞘とは? 腱(けん)の鞘(さや)のことですが、わかるように説明します。 体を動かす筋肉の両端には、筋肉と骨をつなぎ合わせる 腱 と呼ばれる場所があり ます。 体を動かす筋肉を、骨格筋(こっかくきん)と呼びます。 筋肉と腱の構造の違いはほとんどありませんが、筋肉は収縮を大きく行いますが、腱 の部分での収縮は、ほとんどしません。 腱の役割は、筋肉が収縮した力を確実に骨に伝えることです。 このときに、骨以外の部位を 押す・摩擦を起こす・潰すなどの悪影響を与えてはな りません。 通常の場合、手首を曲げていないときは、筋肉も収縮していませんし、腱も他の部位 に悪影響を与えてはいません。 手のひら側も、手の甲側も力が加わっていない状態のときは、 腱は骨に沿っているため、腱と骨は離れないていないしかし、手首を曲げたときに、腱が他の筋肉や皮膚を外側に押し出してしまうことに なり、この状態になると、摩擦がおきる、または他の部位を引っ張ることになります。 手首を動かしたとき、腱の部分が外側に張り出すため、他の筋肉や皮膚を押しだす、 また、腱の動きにより摩擦が生じ、他の部位(細胞)を破損してしまう。 そこで、腱が外側に押し出されないように、支帯(したい)を利用しています。 ※(支帯は、靭帯とほとんど同じ構造です) 体の関節周辺には、腱により皮膚などを押し出さないように、いたるところに支帯が あります。 腱が骨から離れる 腱が骨から離れる 皮膚が押し出される
支帯があるために、腱の部分は皮膚と持ち上げることはしませんが、その代わりに支 帯と腱が擦れ合い、摩擦が生じますので、炎症がおきる、または、支帯と腱の線維を 傷つけることになります。 そこで、必要になるのが、 腱の鞘 “腱鞘”です。 腱鞘は、腱(けん)の鞘(さや)ですから、腱を保護するために取り巻くパイプの役 割をしています。 腱と腱鞘の間には、すべりを良くし、摩擦を起きなくするための潤滑油の働きをする “滑液”(かつえき)があります。 このため、滑らかに腱は移動できるのです。 摩擦が生じ、炎症 支帯や腱の損傷 腱鞘 腱鞘 滑液があるため、摩擦を受けず、抵抗なく自由に動くことができる 断面
腱鞘炎とは、腱鞘が炎症している状態ですから 『炎症』 について説明します。
「炎症」 とは?
① 細菌、外傷、化学物質、熱などにより、細胞が破壊されている、細胞に障害がお きている状態。 ( 細菌 = ウィルス ) ( 外傷 = 切り傷、すり傷 ) ( 化学物質 = 薬品・ダイオキシンなど ) ( 熱 = やけど ) ② 細胞組織が、正常ではなく、異常な状態。 簡単ですが、このように定義されています。 細胞組織が、正常ではなく、異常な状態 という曖昧(あいまい)な表現では、何か 体に異常があったときには、全て炎症と定義できてしまいます。 普通の患者さんが、“炎症”と呼ぶ、もしくは考える状態は、腫れる、熱を持つ、膿 (うみ)が出ているなど、見た目で判断できる状態だと思いますので、私もこの見た 目で判断できる状態を“炎症”と定義をして、話を進めます。 (図;「臨床のための解剖学」より引用)通常、手首に痛みがあり、筋肉や腱の線維が切断したり、細胞の破損した場合、熱を 持ったり、腫れたりします。 手首に痛みがあるときに、熱を持っている、腫れている状態であれば、直接触ること は控えなければいけません。 しかし、手首から指先まで使う職業を行い、長い間手首が痛い 一般で言う腱鞘炎の 場合は、熱を持ったり腫れたりはしていません。 この状態は、筋肉の緊張状態なのです。 ※ 腫れる・熱を持つ場合、筋肉・腱・靭帯の断裂、毛細血管の破損。
この場合、痛みの場所を直接触ってはいけません!
※ ウィルスによる痛みの場合、病院で調べればわかります。 慢性的な痛みは、一般的に考える炎症ではなく筋肉の緊張状態です。 筋肉・腱・靭帯は、ほとんど同じ構造であり、痛みを感じる神経が存在している部位 になりますので、痛みは、筋肉・腱・靭帯のいずれかから出ています。 そして、手首周辺の痛みの原因は、炎症、緊張を含め 3 つあります。 原因1 老廃物の滞留からの、腱の肥大による炎症 原因2 腱の緊張状態による、血行不良 原因3 支帯と腱鞘 腱と腱 腱と腱鞘 腱と筋肉 骨と腱 の癒着 細かく分ければ、他にもありますが、この3つだけ理解できれば問題ありません。原因1
緊張成分、もしくは老廃物の滞留による、腱の肥大 老廃物の排出がうまく機能していないときは、老廃物が筋肉細胞内に滞留し、筋肉は 肥大(膨らむ・太くなる)します。 ( “むくみ”と同じと考えれば理解しやすい ) この肥大している場所は、筋肉内の細胞レベルの場所になります。 細胞レベルの話は難しいので、簡単に説明します。 筋肉内に老廃物が滞留しているとき、肥大します。 筋肉、腱、靭帯は、ほとんど同じ構造ですので、腱に老廃物が滞留した場合も、同じ ように肥大します。 ( ちなみに、靭帯も肥大します ) 手首周辺の腱は、腱鞘の中を通り、動ける範囲で自由に動いています。 膨らむ 滑液があるため、摩擦を受けず、抵抗なく自由に動くことができる 断面腱の肥大により、腱鞘の内壁との摩擦などにより、腱鞘や腱の細胞が損傷・毛細血管 の断裂により、炎症をおこしている状態です。