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平成22年度 経済産業省委託事業

平成22年度

戦略的技術開発

(小型化等による先進的宇宙システムの研究開発)

成果報告書

平成24年3月

財団 法人

無人宇宙実験システム研究開発機構

日本電気株式会社

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まえがき 本事業は、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下「NEDO」と する。)のもとで実施してきた「小型化等による先進的宇宙システムの研究開発」プ ロジェクト(「航空機・宇宙産業イノベーションプログラム」の一環として、平成 20 年度から平成 22 年度まで実施)を引き継ぎ、国際競争力の強化のため、我が国の 強みである民生部品及び民生技術等を適用した高機能、低コスト、短納期な、小型化 等による先進的宇宙システムの開発技術を確立し、さらに宇宙での実証を行うことを 目的とする。 平成22 年度/平成 23 年度は、経済産業省の「可搬統合型小型地上システムの研究 開発」と連携し、国際競争力のある地上・宇宙総合システムとして整合性を図るべく 検討を行った。先進的な宇宙システム開発アーキテクチャ(仕組み)作りとしては、 まず次世代衛星機器間標準ネットワーク開発試験環境整備としてスペースワイヤの 試験センターの整備を平成23 年度に行った。これは、これまで宇宙分野への中小企 業の参入障壁が高かったがこれを標準化と標準試験設備により下げるもので、宇宙産 業の裾野拡大を図るものである。また、インタフェース作業部会、民生部品技術作業 部会、自動自律どこでも運用作業部会として、コンソーシアム分科会活動で工期短縮、 低コストなどを実現するための仕組みづくりを行った。衛星バスミッション機器の開 発は、総合システム実現要求を達成するための改修や、製造、試験を進め、実証衛星 完成に向けて準備を進めている。 打ち上げに関しては、打上ロケットの選定を行い、更にインタフェース調整会議を 進めながら、平成24 年度中の軌道上実証への準備を進めている。

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目次

1. 全般 ... 1 1.1 研究開発の目的 ... 1 1.2 研究開発の実施体制 ... 2 1.3 研究開発の実施内容 ... 3 2. 地上・宇宙総合システムの開発 ... 5 2.1 目的 ... 5 2.2 実施内容 ... 5 3. 先進的な宇宙システム開発アーキテクチャの確立 ... 6 3.1 次世代衛星機器間標準ネットワーク開発試験環境整備 ... 6 3.1.1 目的 ... 6 3.1.2 成果 ... 6 3.1.3 今後の展開 ... 9 3.2 先進的な宇宙システム開発アーキテクチャの確立 ... 9 3.2.1 インタフェース作業部会 ... 9 3.2.2 民生部品技術作業部会 ... 14 3.2.3 自動自律どこでも運用作業部会 ... 21 4. 標準的小型衛星バスの開発 ... 29 4.1 目的 ... 29 4.2 実施内容 ... 29 4.2.1 衛星システム概要 ... 29 4.2.2 総合システム要求実現に向けたソフトウェア/ハードウェア改修検討及び 結果 ... 37 4.2.3 搭載機器フライトモデルの製造・リハービッシュ・試験 ... 39 5. 搭載ミッション機器の開発 ... 42 5.1 目的 ... 42 5.2 実施内容 ... 42 5.2.1 ミッション概要 ... 42 5.2.2 ソフトウェア、ハードウェア製造・試験及びリハービッシュ ... 45 6. 軌道上実証準備 ... 48 6.1 目的 ... 48 6.2 実施内容 ... 48 6.2.1 運用準備 ... 48 i

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6.2.2 海外ネットワーク選定 ... 48 6.2.3 打上ロケット選定 ... 48 6.2.4 射場調査及びインタフェース調整 ... 48 6.2.5 輸送検討 ... 49 7. あとがき ... 49 8. 研究発表・講演、文献、特許等の状況 ... 50 8.1 研究発表 ... 50 8.2 文献 ... 50 8.3 特許等 ... 50 8.4 その他の公表(プレス発表等) ... 50 付録1:総合システム開発仕様書 ... 51 1. 範囲 ... 53 2. 適用文書等 ... 53 3. 要求事項 ... 54 3.1 システムの定義 ... 54 3.1.1 適用範囲 ... 54 3.1.2 品目の定義 ... 55 3.1.3 運用 ... 56 3.2 要求機能 ... 62 3.3 特性 ... 64 3.3.1 軌道 ... 64 3.3.2 ミッション運用期間 ... 64 3.3.3 運用特性 ... 64 3.3.4 プロダクト品質特性 ... 66 ii

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1. 全般 1.1 研究開発の目的 大きな技術波及効果を有し、国民の安全にも密接に関わるだけでなく、高度情報 化社会の実現、地球環境の保全、資源開発等多様な社会ニーズに応える基盤となる 宇宙産業の国際競争力の強化を図るため、我が国における宇宙開発利用の産業化を 促進し、自立的な宇宙産業を育成することで、世界の宇宙機器マーケットにおける 我が国のシェア拡大を図ることを目標とする航空機・宇宙産業イノベーションプロ グラムの一環として本事業を実施する。 我が国のこれまでの宇宙開発では、確実な衛星開発を目指す余り極度に高度な信 頼性が求められ、開発の長期化、高コスト化、大型化が進んできた。このような情 勢の中で、世界的には低コスト・短期間で打上げが可能な小型衛星に対する潜在需 要が高まってきている。欧米では、即応型の小型衛星の開発と利用が戦略的に進め られており、高性能化も進み、本格的な中・大型衛星のミッションを一部補完する ように活用されている。また、中国、インド、イスラエル等でも、高機能で低コス トの小型衛星を開発するなど、急速に宇宙産業に参入しつつある。 一方、我が国でも、大学や地域の中小企業等が主体となって、人材育成や地域の 活性化等を目的とした小型衛星開発を進める動きが近年活発になりつつあり、既成 の宇宙産業の枠外からの宇宙開発への参入が促進されることは、宇宙産業の裾野拡 大と新規宇宙利用ニーズを創出し、新たな資本の流入による市場の拡大にも資する ことが期待されるが、本格的な実利用が可能な高機能な小型衛星システムの開発へ の取り組みは進んでいない。 このような状況の中、平成20年8月27日に施行された宇宙基本法、及び平成 21年6月2日に策定された宇宙基本計画では、宇宙産業の国際競争力強化のため、 宇宙機器の低コスト化や小型化等への取組が明記された。また、平成21年4月に 改訂された技術戦略マップ2009においても衛星基盤技術のうち小型・軽量化や 民生部品・民生技術活用が重要技術項目とされている。このように国際競争力の強 化のため、我が国の強みである民生部品及び民生技術等を適用した高機能、低コス ト、短納期な、小型化等による宇宙システムの開発技術を確立することは重要であ る。またこの宇宙システムは、即応性のある地球観測データの取得等に適用可能と なることから、エネルギー安全保障を含む我が国の総合的な安全保障や国民の安 全・安心、国際貢献にも資するものと期待される。 現在の世界商業市場における我が国の衛星は、技術的には世界に比肩するものの 価格競争力では大きく出遅れている。小型衛星は将来の衛星市場を二分するものと 言われており、諸外国に遅れることなく小型化、高機能化、低コスト化、短納期化 に係わる技術開発に着手する必要がある。宇宙は開発から利用の時代を迎えつつあ 1

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る今、我が国の宇宙産業の国際競争力強化、新規市場創出・拡大のためには、実用 に適う機能・性能を備えた上で、コストと納期のブレークスルーを目指した小型衛 星の開発に危機感を持って取り組む必要がある。 本事業は、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下「NEDO」 とする。)のもとで実施してきた「小型化等による先進的宇宙システムの研究開発」 プロジェクト(「航空機・宇宙産業イノベーションプログラム」の一環として、平 成20 年度から平成 22 年度まで実施)を引き継ぎ、国際競争力の強化のため、我が 国の強みである民生部品及び民生技術等を適用した高機能、低コスト、短納期な、 小型化等による先進的宇宙システムの開発技術を確立し、さらに宇宙での実証を行 うことを目的とする。 1.2 研究開発の実施体制 経済産業省より受託した本事業について、財団法人無人宇宙実験システム研究開 発機構(以下「機構」とする)は、当該事業に対して管理・監督を行い、日本電気 株式会社(以下「NEC」とする)は機構との合意のもと、設計、製造、評価試験、 打上げ、軌道上実証等を実施し事業をすすめる。 また、機構及び NEC は年度計画の策定を行い、進捗管理を実施する。機構及び NEC は、開発仕様の調整・設定を行い、これに基づき、NEC は試作品等に係わる製 作設計、製作、試験等を実施する。機構は要求仕様を満たした製作設計ができてい ることを確認する。機構及び NEC により策定された試験実施計画書に基づき NEC は試験を実施する。この間、機構及びNEC は適宜データレビュー、開発仕様に抵触 する不具合処理等を行うとともに、試験終了時には試験結果を審査し、開発仕様を 満たしていることを確認し、合意の上事業を進める。 事業の実施に当たっては、国内有識者からなる委員会を機構内に設け、事業計画、 実施結果等の審議を実施する。また、機構内に、先進的宇宙システム開発アーキテ クチャの検討、開発成果の我が国産業界への公開・共有のために、本開発の趣旨に 賛同が得られた企業等から成るコンソーシアムを立ち上げる。コンソーシアムが実 施するオープンアーキテクチャの構築と民生技術導入システム構築を通じて、中小 企業及び新規企業の宇宙産業への参入を促進し、優れた民生技術の宇宙システムへ の導入と宇宙産業の裾野拡大による活性化を図る。さらに最先端の国際宇宙産業の 動向も把握し、国際競争力の強化を目指す。 小型衛星バスの低コスト・短期開発を実現するための技術開発については独立行 政法人宇宙航空研究開発機構(以下「JAXA」とする)と共同実施を行う。 打上げロケットの選定にあたっては、先進的宇宙システム技術委員会の指導のも とに、機構とNEC と協力して選定する。 契約に当たっては、機構の管理・監督を 2

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受け、機構の合意のもとにNEC が実施する。 総合システムの構築に当たっては、経済産業省の「可搬統合型小型地上システム の研究開発」の委託事業者であるパスコと連携を取り総合システムとしての性能を 確立する。 機構は学識経験者等から構成される技術委員会(全体、システム、ミッション、 開発運用活性化)を開催・運営し、NEC は技術委員会に出席する。機構及び NEC は、本事業に係る開発計画・設計の妥当性、進捗状況、成果等について技術委員会 より助言及び評価を受ける。 1.3 研究開発の実施内容 世界市場へ我が国の産業界による高機能、低コスト、短納期小型衛星の早期展開の 実現を目指して、我が国の宇宙関係機関、企業、大学等の技術を集結し、小型化等 による高機能、低コスト、短納期に資する先進的宇宙システムのアーキテクチャを 構築するとともに、小型衛星の技術開発を通して、すぐに作れてすぐ使える即応型 宇宙システム技術の構築を行う。これらの成果は、我が国の産業界に公開し共有す ることにより、宇宙産業の活性化、裾野の拡大、国際競争力強化を図る。 衛星バスは、広範なミッションへの対応の他、機能の増設、性能向上等が可能な 拡張性を持たせる。また、搭載ミッションは、地上分解能(GSD)0.5m 未満(軌道 高度 500km、パンクロマチックで)を目標とする可視光地球観測センサの開発を行 う。これにより、諸外国の最先端技術に比肩する、バス質量 300kg 程度以下の小型 地球観測衛星の開発技術を獲得する。 本事業では、経済産業省が別途委託する「可搬統合型小型地上システムの研究開 発」の委託事業者である株式会社パスコ(以下パスコとする)と連携・協力し小型 衛星でも最新の市場の需要にこたえることのできる衛星システムを目指し、宇宙で の軌道上実証を行う。 事業の具体的な内容は以下の通り。 ① 地上・宇宙総合システムの開発 付加価値の高い衛星画像を求める最近の市場の需要にこたえることのできる地 上・衛星総合システム(本事業が担当する衛星とパスコが担当する地上系からなるシ ステム)を実現する。総合システムとしての達成目標の選定、宇宙機として実現すべ き機能・性能の設定と達成、地上系への要求の明確化を目標とする。また地上系と 衛星システムを接続し、総合システム試験(適合性試験)を実施する。 ② 先進的な宇宙システム開発アーキテクチャの確立 我が国の宇宙関係機関、企業等の技術が結集できる開発体制を検討し、小型衛星 3

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の高機能化、低コスト化、短納期化のみならず、地上システム、運用、利用容易性 も考慮した上で、先進的な宇宙システムを短期間かつ低コストで実現するための、 オープンなアーキテクチャ、設計、製造、試験等を検討し、これらに基づいた要求 仕様を策定し、次項の標準的小型衛星バスの開発を通じ評価し、先進的な宇宙シス テム開発アーキテクチャを確立する。 ③ 標準的小型衛星バスの開発 付加価値の高い衛星画像を求める最近の市場の需要にこたえることのできる高い 画像プロダクト性能を実現するために、衛星システムに配分された機能・性能の実 現方法を検討する。標準的小型衛星バスをベースに、軌道上実証までに改善が可能 なソフトウェアあるいはハードウェアの具体的な改修案を検討し、必要な対策を実 施する。 またNEDO のもとで実施してきた「小型化等による先進的宇宙システムの研究開 発」の成果に基づき、一部の搭載機器フライトモデルのリハービッシュ及びリハー ビッシュ後の試験、並びにバッテリフライトモデルの製造を実施する。 小型衛星バスとして各種地球観測ミッションに適用可能で、将来のビジネス展開 が出来る300kg クラスの標準的小型衛星バスの開発を実施する。その際、JAXA と共同研究を行い、効率の良い開発となるようにする。 ④ 搭載ミッション機器の開発 NEDO のもとで実施してきた「小型化等による先進的宇宙システムの研究開発」 の成果に基づき、データ通信の符号化機能に関するソフトウェア、ハードウェアの 製造/試験、並びに一部の搭載機器フライトモデルのリハービッシュ及びリハービッ シュ後の試験を実施する。 300kg クラスの小型衛星バスシステムに搭載可能で、パンクロマティック画像に て高度400km にて 0.46m 以下の分解能(GSD)を有する光学センサの開発を行う。 ⑤ 軌道上実証 軌道上実証を実現するための、運用準備を行う。運用手順書作成、運用リハーサ ル、衛星データベース構築を実施する。衛星を低高度周回軌道へ打上げ、軌道上で の性能、運用性を評価する。衛星を周回軌道へ打ち上げるための打ち上げの準備(ロ ケット調達、射場準備、輸送手段準備・調達等)および打ち上げ、軌道上初期性能 確認を経て、搭載ミッション機器による地上撮像を行い実用性の評価を行う。 4

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2. 地上・宇宙総合システムの開発 2.1 目的 付加価値の高い衛星画像を求める最近の市場の需要にこたえることのできる地 上・衛星総合システム(本事業が担当する衛星とパスコが担当する地上系からなるシ ステム)を実現する。総合システムとしての達成目標の選定、宇宙機として実現すべ き機能・性能の設定と達成、地上系への要求の明確化を目標とする。 2.2 実施内容 下記の通り「可搬統合型小型地上システムの研究開発」を担当しているパスコと協 力し、総合システム調整会議の開催、衛星システム・地上システムの合同技術委員会 の開催、地上技術委員会の支援(出席及び質疑応答対応)を行った。調整会議、合同 委員会の成果として「総合システム仕様書(提示案)」(添付資料)を発行し、総合 システムとしての達成目標の設定、宇宙機として実現すべき機能・性能の設定と達成、 地上系への要求を明確化した。また最終的に画像プロダクトのジオメトリ精度を15m 以下(目標CE90:円形誤差 90%)設定し、平成 23 年 9 月の技術委員会(本事業) で妥当な数値目標値であることが確認され更に、地上系の技術委員会でも確認された。 さらに総合システム仕様書の要求に基づき、H24 年度に実施予定の衛星システム/地 上システム適合性試験、打上段階、初期運用段階、画像校正運用段階の実施計画に関 する協議を行った。 (1) 総合システム調整会議の開催 平成23 年 1 月 24 日 総合システム調整会議 (開催場所:機構) 平成23 年 2 月 21 日 総合システム調整会議 (開催場所:NEC) 平成23 年 3 月 23 日 総合システム調整会議 (開催場所:パスコ) 平成23 年 5 月 24 日 総合システム調整会議 (開催場所:機構) 平成23 年 6 月 29 日 総合システム調整会議 (開催場所:NEC) 平成23 年 8 月 3 日 総合システム調整会議 (開催場所:パスコ) 平成23 年 9 月 29 日 総合システム調整会議 (開催場所:機構) 平成23 年 11 月 1 日 総合システム調整会議 (開催場所:NEC) 平成23 年 12 月 14 日 総合システム調整会議 (開催場所:パスコ) 平成24 年 2 月 6 日 総合システム調整会議 (開催場所:機構) 平成24 年 2 月 29 日 総合システム調整会議 (開催場所:NEC) (2) 合同技術委員会開催 平成23 年 6 月 15 日 合同技術委員会 (開催場所:経済産業省) 5

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3. 先進的な宇宙システム開発アーキテクチャの確立 3.1 次世代衛星機器間標準ネットワーク開発試験環境整備 先進的な宇宙システム開発アーキテクチャ開発環境実現のために、小型衛星等に 搭載される次世代衛星機器間の標準ネットワークであるスペースワイヤの開発試験 環境(以下、試験センター)の整備を完了した。スペースワイヤ機器の試験には、 高価な専用試験装置が必要なため、これまでは中小企業の参入が困難であった。試 験センターの整備により、各社が開発した機器を持ち込んで総合的な試験を実施す ることができるようになるため、必ずしも試験環境整備に大きな投資をする必要が なくなり、結果的にプレーヤーの数を増加させ、宇宙産業の裾野を拡げることにつ ながる。 3.1.1 目的 試験センター設置の目的は、以下に示すとおりである。 (1)中小企業新規参入障壁の削減 ・だれでも利用できる高度な装置と設備を設置 ・フライトモデルの試験にも対応できるクリーンルーム ・高速/高機能な試験装置を製作・設置 (2)スペースワイヤ採用の促進(充実した Tutorial 環境) ・テスト環境構築書、ハードウェア解説書、ソフトウェア解説書の整備 ・国内外学生、研究者の実習も可能な廉価なシステムの製作・設置 (3)スペースワイヤ 公開版 FPGA 設計データ(Open IP)の品質向上

・Open 版 FPGA IP と Test Script の整備と公開

・多数ユーザのフィードバックによる品質向上とノウハウの蓄積の場を提供 (4)国産スペースワイヤ関連製品の海外展開 ・海外の主要メーカとの連携を通して、国産製品の海外展開を推進 3.1.2 成果 具体的な成果は以下の通りである。 ・標準試験環境整備:機器(供試体)が実際に衛星に搭載された状態を模擬的に 再現する試験装置を整備した。さらに、クリーンルーム(搭載機器のフライト品を 試験するための、クリーンルームと温度試験用恒温槽)およびスペースワイヤ機器 開発環境(試験の結果明らかになった供試体の問題点をその場で解決するため、ハ ードウェア及びソフトウェアの手直しを行うための開発ツール)を整備した。 ・次世代スペースワイヤ試験環境整備:高速データ伝送に対応した試験を行うた めのスペースワイヤ用通信装置を開発・整備した。 ・教育/学習システムの整備:今後のスペースワイヤへの新規採用・参入を容易に するため、スペースワイヤに関連するハードウエア・ソフトウエアの実習用環境、 各種試験装置のマニュアル類の整備などを行った。 6

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なお試験環境整備のために導入した装置等の一覧を以下に示す。 (1)スペースワイヤ装置

Star Dundee 社: Conformance Tester、Link Analyzer

Router USB

4Links 社: Multi-Link Analyzer

シマフジ電機: SpaceCube、SpaceCubeMK-2、6-PortRouterUnit SpW DIO-Ⅱ

*日本語のテスト環境構築書と試験マニュアルを設置 (2)測定器・開発ツール

Agilent 社測定器: Network Analyzer、Logic Analyzer、Digital Oscilloscope

Space Wire Adapter

FPGA 開発ツール: Xilinx/Altera/Actel 3 社の FPGA 開発ツール

(3)環境試験装置 恒温恒湿槽: -40℃~+100℃ クリーンブース: クラス1000(3m x 3m) また新規に整備した機器・実施した作業の一覧を以下に示す。 (1)スペースワイヤ RMAP 試験装置: ・μTCA スタンダードスペック適合の AMC モジュールで構成 ・Star Dundee 社との連携による海外展開 ・PC 接続タイプとスタンドアロンタイプの 2 種 ・温度テスト、EMC 等の信頼性環境テストを実施 (2)教育/学習システム:

・SpW Reference HOST、SpW Reference Target、SpW Wi-Fi モジュールを製作 ・教材としても使用可能な廉価なシステムを構築 *廉価な部品の使用、スペースワイヤ転送レートは100bps MAX ・回路図、プログラム、FPGA IP の解説書 *サンプルプログラムとスペースワイヤ波形も多数紹介 (3)スペースワイヤバックプレーン: ・将来のフライト品のプロトタイプとしてバックプレーン方式で複数の基板 を実装し、相互接続するシステムを製作 (4)各種 IP の整備と公開: ・Open 版 FPGA IP の整備と公開

・Open 版 Test Script(試験シーケンスを定義したデータファイル)の作成と 公開

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試験センターのレイアウトを図 3.1-1 に、整備状態を表わす写真を図 3.1-2、3 に 示す。

クリーンブース(3mx3m)

図 3.1-1 スペースワイヤ試験センター レイアウト 図 3.1-2 試験・測定室 図 3.1-3 解析室 (クリーンルーム) 8

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3.1.3 今後の展開 平成23 年度で試験センターの整備を完了し、平成 24 年度から実運用を開始する。 導入した装置のみならず、試験手順・Test Script・試験装置マニュアルなどソフトウ ェアや文書類も含めて、効率的な活用を図っていく。その過程で得られる様々なノ ウハウを国内ユーザにフィードバックすることが重要な課題である。また海外展開 については、今回製作した国産機器の世界的に普及につながるよう、引き続き海外 の有力な試験装置メーカとの調整を継続する。 3.2 先進的な宇宙システム開発アーキテクチャの確立 我が国の宇宙関係機関、企業等の技術が結集できる開発体制のもとに、小型衛星 の高機能化、低コスト化、短納期化のみならず、地上システム、運用、利用容易性 も考慮した上で、先進的な宇宙システムを短期間かつ低コストで実現するための、 オープンなアーキテクチャ、設計、製造、試験等を検討し、今後の衛星開発の基準 となる先進的な宇宙システム開発アーキテクチャを確立する。本事業ではこれまで の成果(「小型化等による先進的宇宙システムの研究開発」プロジェクト)を受け、 平成23 年度までの衛星開発および本課題(「先進的な宇宙システム開発アーキテク チャ」)の成果をさらに発展させ、次世代の宇宙システム開発に有効な基準を充実 させる。 3.2.1 インタフェース作業部会 インタフェース作業部会としては、衛星内インタフェースとしてのディジタルイ ンターフェースを検討する「ネットワーク導入」、衛星設計において考慮する必要 のある条件としての「熱構造電気インタフェース基準の策定」について検討した。 新規参入企業に対しては参入障壁を下げ、従来からの宇宙関連企業に対しては効率 的な方法を示した。 3.2.1.1 ネットワーク導入 (1) 目的 国内の中小企業や新規企業などの参入を促すため、衛星システムメーカや機器メ ーカ固有の仕様ではなく、公開された標準ネットワーク方式/電気的インタフェース を導入し、その普及を図るとともに発展させる。特に衛星内データ伝送の世界的な 標準インタフェースであるスペースワイヤを採用し、その基準の導入・共有・普及 による、中小企業等の新規参入を含む産業化促進を図る。さらに機器開発の共通化 を促進することで、機器の低コスト化・高信頼性化、試験期間の短縮化、さらには 新規企業参入の容易化が期待できる。 9

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(2) 実施内容 コンソーシアムのネットワーク導入WG では、設立当初からスペースワイヤの普 及をテーマに活動を実施してきた。その一環として、ネットワーク基準書の作成、 スペースワイヤ試験センターの立ち上げに伴う要求事項の整理、といった具体的な 成果を上げた。このような背景の下で平成23 年度の活動として、今一度スペースワ イヤ導入の意義と問題点を、これらの実績を通して得られた経験・知見を含めて再 整理した。 意見集約の着眼点は大きく二つあり、一方はこれまでの実績を振り返るものであ り、一方は今後を見据えるものである。最初の観点について、スペースワイヤはあ る目的、意図をもって導入されたものであるが、さまざまな実績が上がり始めてい る今、改めて当初の目的、意図に照らし合わせて、果たして期待どおりであったか、 あるいは期待とは外れるものがあったのか、具体的な計画に着手できなかった場合、 どのような原因があったのか等を振り返るものである。もう一つの観点は、このよ うなこれまでの振り返りをベースに、今後のスペースワイヤの導入/普及に向けて当 初掲げた目的を再考すると共に、問題点や、より効果的なスペースワイヤ導入/普及 に向けての方向付けをし、今後のスペースワイヤ普及に向けての活動を考える上で の検討に資することを目的としている。 (3) 成果 a. スペースワイヤ導入の意義と普及に向けての問題点の整理手法 実際に考察をする上での着眼点を以下の五点とした。 ・スペースワイヤ導入で目指すもの、期待するもの ・実作業に基づく現状認識(感想) ・スペースワイヤ導入に向けての問題点、懸念事項 ・スペースワイヤの導入をよりよくする為の施策 ・スペースワイヤの導入に関して官に期待すること また、意見をスペースワイヤ導入/普及におけるプレーヤーとして以下の四つの属 性により分類することを試みた。 ・衛星システムメーカ ・コンポーネントメーカ ・宇宙産業に参入を目指す企業 ・スペースワイヤ関連事業を展開する企業 これらの着眼点とプレーヤーの2 次元マトリクスとして整理することが、スペー スワイヤの全体像をとらえることにつながるものと考える。 10

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b. 整理の結果 前項に示した手法に基づき、整理を行った結果の概要を示す。 ①スペースワイヤ導入で目指すもの、期待するもの 各関係者共通の期待は、インタフェースが標準化されることによる、インタフェ ース条件の明確化・インタフェース調整の簡素化・機器の共通化・設計の共通化で ある。その結果として、機器のコストダウンや開発期間の短縮に加えて、試験条件 の明確化・繰り返し使用による品質の向上などが大きな期待であった。 また、我が国がスペースワイヤの世界標準制定活動にも参画していることもあり、 関連装置の供給元としてのビジネスチャンス拡大(特に海外展開)や衛星利用以外 の分野への展開を期待する声もあった。 ②実作業に基づく現状認識(感想) スペースワイヤ・インタフェースを持つ機器の開発、これらを用いたシステム試 験はまだ開始されたばかりの段階であり、まさに「産みの苦しみ」を味わっている 段階にある。したがって現段階では、期待した効果は必ずしも明確には出ていない。 しかし将来的には期待が具体化するであろうという胎動を感じている。 本当の効果を実感するには、異なる組織で作られたスペースワイヤを採用した機 器同士で期待通りのインタフェースが確立していることを見る必要がある。 一方、日本製のスペースワイヤ関連機器が、海外企業を通して販売される可能性 があり、ビジネスチャンスが拡がりつつある。 ③スペースワイヤ導入に向けての問題点、懸念事項 スペースワイヤ・インタフェースを有する機器、衛星の開発に必要な部品材料(IC やケーブル類)の供給体制の充実が必要との声が最も大きい。さらには、現在規格化 されているスペースワイヤ・インタフェース条件だけで全てのインタフェースが決 まるわけではなく、上位のプロトコルを決めることが必要であり、この部分を共通 化することこそが、本質的な課題であることも判明した。 ④スペースワイヤの導入をよりよくする為の施策 放射性耐性のある安価なデバイス等の関連部品の入手性の向上、回路例、実装例、 ノウハウが容易に得られる環境の整備などハードウェア的整備と、プロトコルレベ ルの標準規格の整備が強く求められており、これまでの本活動がニーズに沿ったも のであることが分かった。引き続き活動を継続していく。 ⑤スペースワイヤの導入に関して国(宇宙開発機関を含む)に期待すること スペースワイヤ関連デバイスの標準部品としてのラインアップ化、部品レベルか ら機器レベルまで事業化に踏み出せるような需要の創出と資金的援助などが期待さ れていることが分かった。 11

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3.2.1.2 熱構造電気インタフェース基準の策定 (1) 目的 国内中小企業や新規企業などの参入を促すためのインタフェース規定の簡易化を 図るとともに、搭載機器インタフェース仕様が、衛星システム/衛星機器メーカ固有 の特殊仕様ではなく公開された標準的仕様となるようインタフェース基準を策定す る。またその基準に基づく、より簡素な試験基準について検討し標準化を図る。 (2) 実施内容 これまでは、従来の搭載機器インタフェース規定を見直しながら関連技術動向を 調査し、インタフェース規定の簡易化を検討してきた。また、小型衛星内部搭載用 機器に関するインタフェース基準案を作成し、海外で策定された基準類との比較検 討等を含め基準案の改善策を検討した。平成22 年度は搭載機器の試験に経験の少な い中小企業等が活用する上でのハードルを下げるべく、前年度制定したインタフェ ース基準案の記述を見直し、補足説明を追記した。また各種商用打ち上げロケット の環境条件を比較整理する資料を作成した。 これらを受けて平成23 年度は、インタフェース基準に基づくコンポーネント試験 項目について、その緩和策に付き検討して試験基準書(案)として制定した。 (3) 成果 a. 「インタフェース基準案」に基づく、試験緩和策の策定 「ASNARO 衛星適用に限定されない幅広なインタフェース基準の検討」として、 具体的には低コスト・短工期の衛星開発技術の実現のために有効となる、より簡素 化されたインタフェース基準を検討した。 リピート品・流用品・新規開発品の3 つに分類し、さらに流用品と新規開発品に ついては1 台目と 2 台目以降というカテゴリを導入することにより、合計 5 種類に 分類した。 b. 試験項目ごとの緩和策の策定とその影響検討 ①機械環境試験 全般的な影響として、機器側ではロバスト性が保証できないことで搭載できる機 種が限定される可能性があるという点と、システム側はその機種のミッション/リ ソース/プロジェクトを取り巻く環境等を含め、戦略的及び総合的な判断(特にリ スク面)が必要であるという点を指摘した。 ②熱環境試験 熱試験は、宇宙環境におけるクリティカルな要素の検証となるため、机上評価の みの完全試験省略は困難と考える。この前提において各項目に関し、試験内容を緩 和できる条件を検討した。 熱平衡試験では、機器熱数学モデルの検証、あるいは機器設計検証の観点で、熱 12

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真空あるいはサイクル試験の温度平衡状態において、温度変動を加味した上で代用 することが可能であると判断できれば、必須ではないと考える。 また熱真空試験では、構成品全てが真空状態における耐性を有していることを同 一設計品、あるいはマイナーチェンジ品で試験検証できていれば、プロジェクトご とのテーラリング(試験省略判断)は可能とは考える。なおこの観点においては、 新規開発品の試験省略は不可と考える。 ③EMC 試験、バーンイン試験 EMC 試験の緩和案:本基準書案での規定は、「類似性・解析で省略可」あるいは 「該当項目に限って適用」としているため、衛星ごとのテーラリングは可能である。 また該当項目においても、試験範囲を限定することは調整可能と考える。 またバーンイン試験では本基準書案での規定は、試験時間 240 時間(10 日)とし ているが、168 時間(7 日)としている海外メーカもあり、テーラリングは可能と考 える。またシステム試験時間も含めて全体の合計値として達成すればよいという考 え方もある。 b. 今後の進め方 平成23 年度は、従来設定した「インタフェース基準(案)」に基づく「試験緩和 策」に付き整理した上で、その影響を検討した。平成24 年度以降は、これを実際に 適用するパイロットプロジェクトを決め、適用条件等を深堀することが課題と考え ている。 13

(20)

3.2.2 民生部品技術作業部会

民生部品技術作業部会としては、民生機器採用基準と信頼性/信頼度に対する 考え方を検討した。具体的には、民生機器採用基準のなかで「HALT 試験(Highly Accelerated Life Test:高加速寿命試験)」、信頼性/信頼度に対する考え方のなか で「HALT 試験結果からの信頼性データ(MTBF)算出」を検討した。 3.2.2.1 HALT 試験 (1) 民生部品技術作業部会で HALT 試験を取り上げた経緯 小型衛星においては、開発コストの低減、開発期間の短縮、広範なミッション要 求の達成、質量および容積低減などの制約の中で確実にミッションを達成すること が必要であるため、従来の衛星開発技術に加えて最新技術を適用した民生機器を有 効活用することが必要となる。 民生部品技術作業部会では十分な信頼性データベースの無い民生機器の評価を短 期間で行う目的でこのHALT 試験が適用できれば有効であるため検討を開始したも のである。 (2) 民生部品技術作業部会が HALT 試験を行う目的 a. 民生機器を宇宙用に搭載可能か否かを判断(スクリーニング)するのに HALT 試験が有効かを評価する。 b. HALT 試験結果から信頼性データを推定する新しい手法があり、それを検証す るためのデータを蓄積する。 (3) HALT 試験成果 小型イオン推進システム搭載用マイクロ波発振器と TCXO(水晶発振器)の HALT 試験を実施した結果、以下の知見(成果)が得られた。 ・設計の弱点・限界点を4日間*の試験中に発見できたことから、上記スクリー ニングに有効と考えられる。<注*ノミナルは5日間であるが、HALT 試験機のオ ペレータ側との調整により4日間への圧縮は可能。> ・上記期間内に機器を改修する過程で機械設計に対する補強策の方向性が確認で きた。 14

(21)

(4) HALT 試験実施例1: a. 供試体:小型イオン推進システム搭載用マイクロ波発振器。数量は5台。供 試体の写真を図 3.2.2-1 に示す。(なお本製品は、-30℃~60℃が設計温度、設計振動 レベルはランダム20G) 図3.2.2-1 小型イオン推進システム等搭載用マイクロ波発振器 b. 試験実施場所 ふくおかアイスト(財団法人 福岡県産業・科学技術振興財団) 社会システム 実証センター 福岡県糸島市東1963-4 c. HALT 試験パターン 図3.2.2-2 に HALT 試験パターンの 5 ステップを示す。 図3.2.2-2 HALT 試験の 5 ステップ d. HALT 試験結果 試験結果を以下に示す。(各ステップでの変化後の安定は10 分確保) 1)冷却ステップ(20℃~-100℃、10℃ステップ):-100℃まで正常動作した。 2)加熱ステップ(20℃~90℃、90℃~140℃、10℃ステップ):90℃の時点で正常 に機能しているものの送信出力電力が1dB 低下した。さらに 140℃では動作停止し た。(ただし、常温では復帰)この結果より上限の限界動作温度を90℃とした。 時間 1.冷却ステップ 温 度 2.加熱ステップ 3.急速な温度変化 4.振動ステップ 5.急速な温度変化と振動(複合) 温 度 温 度 温 度 温 度 時間 時間 時間 時間 振 動 振 動 15

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3)急激な温度変化:上記試験結果を踏まえ、試験設定温度は-90℃~80℃とした。 (限界動作温度の10℃内側)全領域で正常動作した。 4)振動ステップ:周囲温度 20℃で加振モード 6Hz~5KHz のランダム振動を 10G より開始し、最大50G まで 10G ステップで 10 分間ずつ加え、動作を確認した。 ① 1 回目(供試体 A):50G まで加振し、7 分経過したところで突然スペクトラ ムが乱れ、その後出力が大きく変動したため、加振を止め試験を中断した。原因を

調査したところ、目視でGaAs FET 用遅延電源の FET のリードが破断されているこ

とが確認された。図3.2.2-3 参照。 図3.2.2-3 GaAs FET 用遅延電源の破損部位 (リードが破断:右のピンクの紙は破断箇所を強調するために 入れたもの) ②2 回目(供試体 B):対策として、電源基板と FET を接着剤で固着し、1 回目と 同様に試験を実施した。50G まで加振して 10 分経過したが異常なく終了した。 5)複合試験 加振30G、下限温度-90℃の 5 分経過した時点で、出力断となった。加振を中止し 調査したところ出力アイソレータと基板を接続している銀蒸着部分が破断していた。 アイソレータと基板間の銀蒸着部分の破断対策として、銀メッキ板をU 字型に加 工してストレスレリーフを付け、改修を加えた。1 回目と同様に試験を行った結果、 加振50G、下限温度-90℃の 3 分経過した時点で障害が発生した。原因は調査中。 <まとめ> ①小型イオン推進システム等搭載用マイクロ波発振器の機能限界動作温度が -90℃~80℃であることが確認できた。 ② 振動試験では DC/DC コンバータのような質量の比較的大きいものは接着 剤等で固着することにより50G まで耐えることが確認できた。 ③ 本試験では 2 件の破断障害が発生したが、その原因のいずれもがプリント 基板との相関があることがわかった。振動試験で発生したFET のリード破 16

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断は、基板の一方が固定されず、FET のリードに強度を持たせる構造であ った。また、複合試験の 1 回目で発生したアイソレータ部分の破断ではマ イクロ波基板とフライスケースの間に微小な隙間があり、基板が振動したこ とによるものであることが確認された。 ④ 破壊温度は今回の HALT 試験では特定できなかったが、下限は-100℃以下 で、上限は140℃以上であることが確認できた。 (5) HALT 試験実施例2 a. 供試体 供試体は、小型衛星搭載用S バンド送信機及びSバンド受信機の回路の一部であ るTCXO回路部分である。(なお本製品は、-10℃~60℃が設計温度)数量は 3 台。 供試体の写真を図3.2.2-4 に示す。 図3.2.2-4 TCXO(水晶発振器) b. 試験場所:東陽テクニカ HALT 技術センター 神奈川県厚木市森の里若宮 11-1 c. HALT 試験パターン:HALT 試験パターンの 5 ステップを図 3.2.2-5 に示す。 図3.2.2-5 HALT 試験の 5 ステップ 時間 1.冷却ステップ 温 度 2.加熱ステップ 3.急速な温度変化 4.振動ステップ 5.急速な温度変化と振動(複合) 温 度 温 度 温 度 温 度 時間 時間 時間 時間 振 動 振 動 17

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d. HALT 試験結果 1)冷却ステップ(20℃~-100℃、10℃ステップ):特に破損等の問題なし。 周波数が±20ppm を超えた-30℃を稼動限界とした。 2)加熱ステップ(+20℃~+200℃、10℃ステップ):特に破損等の問題なし。 周波数が±20ppm を超えた+80℃を稼動限界とした。 3)急激な温度変化(低温側-20℃、高温側+70℃のサイクル試験を実施):特に破 損等の問題なし 温度範囲は上記低温稼動限界と高温稼動限界からそれぞれ10℃内側とした。 4)振動ステップ:加振後、加振前より周波数が固定的に-2.2ppm 低くなったが仕様 の範囲内であり、特に問題なし。 5)複合試験 ①20Grms、-20℃で周波数が仕様の範囲を超えた。 ②50Grms、-20℃で試験ケーブルが故障した。試験ケーブルを交換し試験再開した。 ③試験再開後50Grms、-20℃で冶具の SMA コネクタが故障。SMAコネクタをは ずして発振器に直接同軸ケーブルをつなぐ応急処置で試験再開した。 ④試験再開後 50Grms、-20℃で水晶振動子のリードが破断し、発振停止した水晶 振動子のリードを応急処置し試験再開した。 ⑤応急処置後は最後まで試験を問題なく実施できた。 <まとめ> 今回の試験において、破壊に至った故障は複合試験時の水晶振動子のリー ドの破断である。この故障が起きた原因は水晶振動子の固着に柔らかめのシ リコン接着材を使用したことが原因と考えられる。 (6) HALT 試験の現状の課題と次年度の予定 今まで4 台の HALT 試験を実施した結果、以下が課題と考えている。 ・現状のHALT 試験手順は自動車や家電製品をはじめとした広い範囲を対象に作 られており、低温から高温まで小刻みに試験を実施しているが、当初から広い 環境条件に対応した宇宙機器あるいは宇宙機器候補の民生機器に対しては項 目や、期間の調整が可能。 ・HALT 試験費用は割高と思われているが、上記試験条件等をテーラリングする ことで試験期間を短縮し、費用削減の可能性がある。 平成 24 年度は上記課題を踏まえ、現在までの HALT 試験の結果を検討し、 宇宙機器に適した HALT 試験ガイドラインを作成し、それを検証するために 18

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HALT 試験を行う予定である。 3.2.2.2 HALT 試験結果からの信頼性データ(MTBF)算出 (1) 経緯 民生部品を使用したプロジェクトでは評価コストの観点等から信頼性データは必 ずしも求められないが、データを要求される場合もあり、民生部品技術作業部会で は信頼性データ算出方法を検討している。 その中の伝統的で有名な手法として、MIL-HDBK-217 から部品を一点一点積み上

げて求める信頼性データのひとつであるMTBF(Mean Time Between Failure:平均故

障間隔)がある。これは保守的に厳しく見積もられ、実態より悪く見積もられる傾 向がある。例えばある日本の部品メーカの算出によると、同社が算出した故障率と MIL による故障率を比較すると,MIL のほうが 10~100 倍程度高く(悪目に)算出 されている。

民生部品技術作業部会では、米国のOps A La Carte 社が所有する HALT/HASS の

試験結果から信頼度を算出する“AFR Estimator(年間故障率推測手法)”による 結果と、MIL-HDBK-217 による結果を比較して信頼性データの算出方法を検討中。 a. HALT 試験実施 ①ロケット搭載用電源制御器(平成21 年度 NEDO 契約)②小型イオン推進シ ステム等搭載用マイクロ波発振器、③TCXO(水晶発振器) c. MIL-HDBK-217 による MTBF を算出 ①、②、③について算出済み d. HALT 試験結果より MTBF を算出 米国のOps A La Carte 社から、①についての MTBF を入手した。 (2) 平成 24 年度の計画 平成23 年度の HALT 試験結果からの MTBF 推定値を入手し、信頼性データの算 出方法を検討していく。 3.2.2.3 信頼性データ関連の情報収集・発信 「信頼性/信頼度の考え方」のガイドラインに反映させることを目的として以下 の情報収集・対外発信を行った。

(1) ASTR2011(IEEE Accelerated Stress Testing & Reliability)

これは、製品に加速したストレスを与えて製品の弱点・欠点を洗い出し、信頼性 をあげようとすることに携わっている人のワークショップである。(サンフランシ

スコで実施)この学会にて民生部品技術作業部会が検討している「宇宙機器のHALT

試験」について発表した。このワークショップでは海外のHALT 試験の事例を入手

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できた。またASTR の事務局のひとりである米国村田製作所の方から、部品のウイ スカ(メッキ皮膜表面に発生するヒゲ状の金属結晶)に関する貴重な写真・データ を入手し、コンソーシアムメンバに配布した。 (2) 軌道上不具合・新しい信頼性の考え方 JAXA の齋藤宏文教授による「衛星の軌道上故障の 2 次分析」、NT スペース三ツ 石氏による「新しい信頼性技術と管理手法」の発表をメインテーマとして、民生部 品技術作業部会を実施した。 斎藤教授の発表では「衛星不具合の半数は軌道上で1 年以内に発生する」ことや、 「低コストな信頼性の確保」、「INDEX の“勘どころ信頼性手法”」等があり、ASNARO 民生部品技術作業部会としては小型衛星を安く、かつ適度な信頼度で作る上で有意 義であった。ガイドラインに取り入れる方法を検討中。 NT スペース三ツ石氏の発表では、同氏が共著者の一人として出版した「新しい 信頼性技術と管理手法」の紹介が有り、「適切に評価するための“新しい信頼性技 術”」等があった。ガイドラインに取り入れる方法を検討中。 (3) 自動車用部品の宇宙転用 民生部品を宇宙用として使う際に以下の要求基準があり車用部品は振動・温度の 環境条件も厳しいことから宇宙用としてはかなり有望と考えられてきた。 「使用する部品の品質については、宇宙環境で予定される運用期間中に不具合を 起こさない品質を有していることが、要求される。これには、一般に大量に使用さ れて不具合、異常等が報告されていないこと、更には、一般に良い品質と認知され ているものを採用することが望ましい。」 このような状況にありながら、従来は車用の部品メーカとの交流は少ない状況で あった。 平成23 年度に車用の CPU を製造している部品メーカとコンタクトを取ることが でき、機構にて説明会を実施し、宇宙転用の可能性を検討した。同社の説明による と、従来宇宙で使用してきた民生部品と比較すると、10 倍程度性能(Speed)が良 いとのことであり、宇宙に転用できれば高性能・低価格・高品質が実現する可能性 がある。今後さらに検討をすすめる。 20

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3.2.3 自動自律どこでも運用作業部会 平成22 年度までの自動自律どこでも運用作業部会(自動自律化による運用の省力 化の考え方、ネットワークによるどこでも運用の考え方)の活動において、必要な 要素技術の洗い出しを行い、それぞれのテーマについて技術的に実現可能であるこ とがわかった。平成23 年度から、それらの検討結果を今後のプロジェクトの特性に 応じた適用判断の材料とすること、また運用省力化の検討の中でどこでも運用の考 え方の適用箇所を判断していくことで、自動自律どこでも運用作業部会としてひと つのテーマを持って活動することとした。 3.2.3.1 自動自律化による省力化及びどこでも運用の考え方 (1) 目的 現在すでに保有する、あるいは近未来(5年程度)に獲得想定の技術要素をベ ースとして、小型地球観測衛星による自動化自律化・どこでも運用を適用した総 合システム(宇宙システム・地上システム)を検討する。 適用ケースとして、小型地球観測衛星(光学・SAR)の総合システムを対象と した運用コンセプトの検討結果をまとめてアウトプットとする。 複数衛星によるコンステレーションの運用コンセプトについても言及、検討し ていきたい。 (2) 実施内容 平成23 年度は、これまでの活動成果(NEDO 契約による活動)について整理 し、その成果に基づく今後2年の活動における開催頻度、活動予定案等について 意見交換を実施した。これからの自動自律運用作業部会はテーマを1つに統合す ることを確認し、そのテーマについてもブレーンストーミングを行った。これま では自動自律化どこでも運用実現の可能性と技術的パーツの洗い出しを実施し たので、これからは5年後程度の近未来における小型地球観測衛星の総合システ ムを検討することとした。 利用者側及び衛星システム側からの要求と提案を基に意見交換し、検討内容に ついて項目整理と分担を設定して、平成23 年度の検討をまとめる目次案を作成 した。課題に沿ってメンバー間で検討結果を発表し意見交換することを繰り返し て、成果としてまとめた。 議題としてはユーザ要求、データ蓄積量、データ需要、伝送時間、全地球アー カイブ、要求対応型アーカイブ、観測要求即応、コマンド送信、地上システム、 ダウンリンク高速化、観測効率、観測頻度と分解能、地上処理、全体構成、光学 地球観測衛星システム、X-band SAR 地球観測衛星システム、要求対応型衛星シ 21

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ステム、アーカイブ型衛星システムなどである。 検討会での打合せ状況を以下に示す。 a. 平成 22 年度までの活動成果について再整理して内容の意識合わせを図った。 今後の活動予定についてブレーンストーミングを実施。検討内容要旨、検討会 開催頻度、スケジュールなどについて案をまとめた。 b. 技術委員会での発表状況について報告し、情報共有を図った。今後、「自動 自律化による運用の省力化の考え方」と「ネットワークによるどこでも運用の 考え方」の活動は、自動自律運用作業部会としてひとつのテーマで活動するこ とにした。本WG の幹事、副幹事を互選により選出した。平成 23 年度の検討テ ーマについてブレーンストーミングを行った。 c. 平成 23 年度の検討テーマは地球観測衛星システムの全体システムとしての運 用コンセプトを考えることにした。近未来として5年後くらいをイメージする こととした。近未来の理想的な衛星システムの運用コンセプトについてブレー ンストーミングを行った。 d. 初めに、衛星メーカからみたトータルシステムの運用コンセプトのイメージ、 次に、利用者側から必要とするトータルシステムの運用コンセプトのイメージ をたたき台としてブレーンストーミングを行った。センサは電波、可視光など を対象とすることとした。次回以後、全地球観測データをアーカイブするタイ プと、ユーザからの要求に対応するタイプについて、衛星/ネットワーク/画 像処理などを検討することとした。 e. 次の各々のイメージについて意見交換を行った。 ・要求対応型地球観測衛星システム ・全球アーカイブ型地球観測衛星システム ・要求対応型衛星システム ・要求対応型地上システム 今後、X バンド SAR による全球アーカイブ型と要求対応型のイメージ検討も 行うこととした。 f. 次の各々のイメージについて意見交換を行った。 ・要求対応型地球観測衛星システム(SAR) ・全球アーカイブ型地球観測衛星システム 22

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・全球アーカイブ型の地上側(地上-地上間)について ・SAR 画像処理について ・要求対応型地上システム 成果をまとめる場合の目次案について検討した。 g. 次の各々のイメージについて意見交換を行った。 ・全球アーカイブの観測頻度と分解能について ・アーカイブのデータ蓄積量について ・全球データの伝送時間、レスポンスタイム、利用率について ・光学衛星システム・アーカイブ型の軌道、伝送データ量について ・光学衛星システム・要求対応型の自動化自律化、軌道について、地上処理 ・地上における画像処理について 運用コンセプトは、アーカイブ型/要求対応型,光学/SAR で、それぞれ分 冊の形でまとめることとした。 h. 次の各々のイメージについて意見交換を行った。 ・光学衛星での運用コンセプトの更新版 ・SAR 衛星での運用コンセプトの原案 i. 小型地球観測衛星総合システムの運用コンセプトとして、アーカイブ型/要求 対応型、光学/SAR の各々について、衛星 23 年度に検討を行った全般について 意見交換を行った。平成24 年度も引き続き検討を継続することとした。 (3) 成果 小型地球観測衛星総合システムの運用コンセプトとして、アーカイブ型/要求 対応型、光学/SAR について、それぞれ分冊の形で平成 23 年度の検討結果を整 理し、「案」としてまとめた。 以下に、4分冊の共通目次と各分冊のイメージを略記する。 a. 共通目次 各4分冊に整理するにあたって、記述項目を検討して共通目次としてまとめ た。 【共通目次】 1. 小型地球観測衛星総合システム 1.1 目的 1.2 概要 23

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2. 要求 2.1 要求頻度 2.2 画像分解能 3. システム要素 3.1 衛星システム 3.2 地上システム 3.3 地上処理 3.4 アーカイブ 4. 運用コンセプト 4.1 要求受付 4.2 衛星システム 4.3 地上システム 4.4 地上処理 4.5 アーカイブ b. 小型地球観測衛星総合システム運用コンセプト(全球アーカイブ型・光学衛星) ① システム要素 分解能 :3m 程度 1 画像データ量 :約 2Gbyte(50km×50km) 更新頻度 :1week 程度 衛星機数 :8 機程度 ② アーストレース アーストレースの一部を図 3.2.3-1 に示す。 図 3.2.3-1 アーストレース(一例) 24

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③ 衛星配置例 衛星配置例の一部を図 3.2.3-2 に示す。 図 3.2.3-2 衛星配置例(一部) ④ データダウンリンク 1周回あたりの画像数を約 280 枚、1画像データ量を約 8Gbit と仮定する と、現在の通信環境では全画像をダウンリンクするまでに至らない。将来の より高速なデータ中継衛星の必要性が見込まれる。 ⑤ 要求受付 全球アーカイブ型の場合は、なるべく多くの地域を撮像することが目的 とし、ユーザからの新規撮像のオーダーは基本的には受け付けないものとす る。 最後に撮像された日時が古い地域を優先的に撮像することによりアーカ イブ画像の鮮度を保つも。ユーザからの受付は、WEB による GUI を利用し て容易にブラウズ画像を表示し、欲しい画像を注文できる仕組みを設ける。 ⑥ アーカイブ 衛星データ受信管制局で受信データの処理および蓄積を行いユーザ要求 発生時に要求に応じてデータ配信することを考慮したシステム構成が必要 となる。保存対象データは RAW データ(L0 画像)のみを対象とし永久保 存とする。年間約 44 ペタ byte(非圧縮時)のデータを蓄積できるアーカイ 25

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ブシステムが必要である。 c. 小型地球観測衛星総合システム運用コンセプト(全球アーカイブ型・SAR 衛星) ① システム要素 分解能 :陸域 3m 程度、海域 6m 程度 1 画像データ量 :約 2Gbyte(50km×50km、70km×70km) 更新頻度 :1week 程度 衛星機数 :8 機程度 ② アーカイブ 保存対象データは RAW データ(L0 画像)のみを対象とし永久保存とす る。年間約 36 ペタ byte(非圧縮時)のデータを蓄積できるアーカイブシス テムが必要。 ③ その他 前述の全球アーカイブ型・光学衛星の場合と同様。 d. 小型地球観測衛星総合システム運用コンセプト(要求対応型・光学衛星) ① システム要素 分解能 :1m 程度(軌道高度 1000km 程度) 1 画像データ量 :約 2Gbyte(10km×15km) 要求応答時間 :1 時間程度(昼間地域のみ対象) 衛星機数 :36 機程度 ② 衛星システムイメージ 衛星システムのイメージを図 3.2.3-3 に示す。 図 3.2.3-3 衛星システムイメージ ③ 要求受付 通常撮像要求の受付は一つの衛星を運用して画像を提供することを前提 としており、ユーザは衛星の軌道位置を意識して撮像計画を立てるのが一般 撮像を指示するた めに最低一機は ユーザ(orコマンド 局)可視である 撮像を実施するた めに最低一機は撮 像箇所が可視であ る 撮像した い場所 指示を出 す場所 撮像を指示するた めに最低一機は ユーザ(orコマンド 局)可視である 撮像を実施するた めに最低一機は撮 像箇所が可視であ る 撮像した い場所 指示を出 す場所 26

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的であるが、多数衛星運用で要求後速やかに撮像・データ提供できるという コンセプトにおいては、撮像領域を指定するだけですぐに撮像要求を完了で きることが重要になると考えられる。 ④ 運用シナリオイメージ 衛星バス運用は、地上局可視時にテレメトリモニタとバス機器へのパラ メータ送信運用を行う。基本的なバス機器情報は、正常時はダウンリンクせ ずアラーム時にダウンリンクすることで地上運用負担を軽減する。 ユーザからWEB による GUI を利用して撮像希望地域、撮像希望時刻等 の撮像要求を受け、衛星が撮像を行う。この情報から最速の撮像可視にある 衛星をセンタ局にて選択し撮像指示を行う。撮像後、もっとも近いダウンリ ンク局等から画像データと必要な情報をダウンリンクする。 ⑤ アーカイブ 要求対応型の場合、データ蓄積容量はデータ利用者からの要求数に依存 するので、データ蓄積容量の増設が容易なアーカイブシステムが必要となる。 e. 小型地球観測衛星総合システム運用コンセプト(要求対応型・SAR 衛星) ① システム要素 分解能 :1m 程度(軌道高度 1000km 程度) 1 画像データ量 :約 2Gbyte(10km×15km) 要求応答時間 :1 時間程度 衛星機数 :36 機程度 ② その他 前述の要求対応型・光学衛星の場合と同様。 f. 地上系 地上システムの各設備は、本システムを構成する全衛星で共用されるものと する。衛星運用設備を分散設置し、冗長化およびサイトダイバーシティの確保 を行う。 ◇ 地上局 ・HK 運用(衛星バス運用)送受信局 ・ミッションデータ受信局 ◇ ネットワーク管制 ・局保全要員の無人化も対応可能なリモート監視・制御の機能 ◇ 地上伝送ネット・衛星管制・局管制用ネットワーク ・衛星管制・局管制用ネットワーク ・ミッションデータ収集・配信ネットワークワーク 27

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◇ 衛星管制 ・複数衛星対応の衛星管制システム ◇ 統合運用計画 ・観測運用計画、衛星運用計画、局運用計画、伝送ネットワーク利用計 画、軌道運用計画等を統合した計画立案 ◇ ミッションデータ処理 ・1 日で約 50,000 シーンの観測データを定常的に処理可能なシステム ◇ 観測要求受付・データ配信 ・要求に応じたアーカイブデータ検索とユーザへの提供 ・画像データが存在しない場合の観測要求作成、観測運用計画への反映 28

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4. 標準的小型衛星バスの開発 4.1 目的 付加価値の高い衛星画像を求める最近の市場の需要にこたえることのできる高い 画像プロダクト性能を実現するために、衛星システムに配分された機能・性能の実 現方法を検討する。標準的小型衛星バスをベースに、軌道上実証までに改善が可能 なソフトウェアあるいはハードウェアの具体的な改修案を検討し、必要な対策を実 施する。 またNEDO のもとで実施してきた「小型化等による先進的宇宙システムの研究開 発」の成果に基づき、一部の搭載機器フライトモデルのリハービッシュ及びリハー ビッシュ後の試験、並びにバッテリフライトモデルの製造を実施する。 小型衛星バスとして各種地球観測ミッションに適用可能で、将来のビジネス展開 が出来る300kg クラスの標準的小型衛星バスの開発を実施する。その際、JAXA と 共同研究を行い、効率の良い開発となるようにする。 4.2 実施内容 4.2.1 衛星システム概要 以下に衛星システムの概要を示す。 (1) システム諸元 ASNARO のシステム諸元を表 4.2.1-1 に示す。 29

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表 4.2.1-1 ASNARO システム諸元 ミッション - 光学センサ - データ記憶量 - データ伝送 パンクロ/マルチ一体型 分解能: 0.5m 以下 (Pan,高度 504km) 観測幅: 10km 120GB 以上 X バンド 16 相 QAM, 約 800Mbps 撮像範囲 アジリティ 直下±45deg のコーン内 ±45deg/90 秒 (平均 1deg/秒) 打上 軌道 平成 24 年度 (予定) 国産のイプシロンロケット、H-IIA,海外の Dnepr、Rockot 等の主要ロケットに適合 太陽同期準回帰軌道(高度 504km) 軌道傾斜角:97.4° 降交点通過太陽地方時刻:11 時 地上局 国内商用地上設備および可搬局、海外局 運用期間 3 年以上(目標5年) 質量 ・バス 250kg (推薬除く) ・ミッション 200 kg(最大搭載可能質量) ・推薬 45kg(最大搭載可能質量) <TOTAL> 495 kg 電力 発生電力: 1300 W (3 年後) ミッション供給電力: 400 W (2) システム構成 ASNARO のシステム構成を図 4.2.1-1 に示す。 30

(37)

電源 系( EPS ) 太陽電 池 パ ネル (SA P ) 衛星 マ ネ ージ メ ン ト ユニッ ト (SM U) ス ペ ース ワイヤルータ 通信系 インタフ ェ ー ス モジュ ー ル ( TC IM ) GPS 受信 機 推進 系( RCS ) 姿勢 軌道制 御系 (AO C S ) 太 陽電池 パド ル系( SP S ) リア ク シ ョン ホ イ ー ル (RW A ) 磁気ト ル カ (MT Q ) 衛星 マ ネ ー ジ メン ト 系 (SM S ) 通信 系( TTC ) S バン ド ハ イブ リ ッ ト (S-HY B) S バン ド フ ィルタ (S-F IL ) S バン ド ダ イ プ レ ク サ( S-D IP ) S バン ド ド ラ ン ス ポ ンダ (S -T R P ) S バン ド ア ンテ ナ ( S-A N T ) バッ テ リ (B A T ) アレ イ パ ワ ー レギ ュ レー タ (A PR ) サッ プブ ロ ッ キ ン グ ダイオ ー ド (SB D ) 電力 制御 器 (P CU ) 恒星セ ンサ (S T T ) 慣性 基準 装 置 (I RU) 粗太 陽セ ン サ (CSA S) 姿勢 系 イ ン タ ー フ ェ ー ス モジュ ー ル (A CIM ) AC ST S AC IR M AC R W H AC MD Z AC V D I ヒ ー タ 制御装 置( HC E ) AOCP 図 4.2.1-1 シ ステム 構 成(バス系 ) 31

(38)

統合 型デ ー タ レコー ダ ( IS S R ) テレ メ ト リ コマ ン ド 装置 ( TC U ) ミッショ ン 制 御 装置 (MC U ) Xバンド ア ン テナ ( X-AN T ): ( 駆動 系 AP M ) Xバンド フィ ル ター ( X-FI L ) Xバンド 増 幅 器 ( X-P A ) Xバンド 変 調 器 ( X-M OD ) 集光 光学 部 (O P T ) フォ ーカ ル プレ ー ン (F P A ) アナロ グ 信 号 処理 部 (A S P ) 光学 セ ン サ電 源部 (O P S -P W R )

光学セン

サ系(

OP

S

ミッシ

(MC

S

直接

伝送

系(

DT

光学情

地上

バス電 源 バス IF 図 4.2.1-1 シ ステム 構 成(ミッ ション 系) 32

(39)

(3) 衛星コンフィギュレーション 衛星コンフィギュレーション設計を行った結果を図 4.2.1-2 に示す。 打上コンフィギュレーション 軌道上コンフィギュレーション 図 4.2.1-2 衛星コンフィギュレーション設計結果 33

(40)

(4) 機器配置 ASNARO の機器配置設計結果を図 4.2.1-3 に示す。 図 4.2.1-3 衛星コンフィギュレーション設計結果 SAP MYパネル PXパネル MZパネル ロケット結合リング MXパネル SAP ミッション 構体モジュールMX PYパネル PZパネル バス部 ミッション部 光学センサカメラ部 ミッション部 X Z Y 衛星座標系 34

(41)

(5) 運用性 ASNARO の運用性の概念図を図 4.2.1-4 に示す。 撮像地域 タスキング受信 ターゲッティング/撮像 データ伝送 撮像要求 プロダクト配信 観測を行うための姿勢駆動制御 タスキング

撮像 / データ蓄積/ データ伝送

図 4.2.1-4 ASNARO 運用概念図 ASNARO では「はやぶさ」などの探査機で採用された自動機能、自律機能を用いて 効率的な運用を行う設計としている。ミッション運用は図 4.2.1-5 の 6 方式の観測方式 があり、観測計画に応じたミッション系の自動コマンドをアップロードすることで、姿 勢駆動制御、撮像、データ蓄積、データ伝送のすべての運用を自動で行うことが可能で ある。 バス系については、ミッションとは別に自動コマンドとしてアップロードすることが 可能な設計としており、たとえば 1 週間分の計画をアップロードすれば、バスについて はその期間人の介在する運用は不要となる。 35

(42)

撮像 を継 続 撮像 を継 続 スナップショット撮像 ストリップマップ撮像 広域撮像 3D撮像 θ θ スキューショット撮像 撮像 を継 続 撮像 を継 続 高S/N撮像 図 4.2.1-5 ASNARO 観測方式 36

表 4.2.1-1  ASNARO システム諸元  ミッション  - 光学センサ  - データ記憶量  - データ伝送  パンクロ/マルチ一体型  分解能: 0.5m 以下 (Pan,高度 504km) 観測幅: 10km 120GB 以上 X バンド 16 相 QAM, 約 800Mbps  撮像範囲  アジリティ  直下±45deg のコーン内  ±45deg/90 秒 (平均 1deg/秒)  打上  軌道  平成 24 年度 (予定)  国産のイプシロンロケット、H-IIA,海外の Dnepr、Ro
図 4.2.3-1  リハービッシュ機器 (1/2)  PCU(EPS)  APR(EPS) HCE(TCS) SWR(SMS)  TCIM(SMS) SMU(SMS)  40
図 4.2.3-1  リハービッシュ機器 (2/2)   図 4.2.3-2  フライトバッテリ  AOCP(AOCS)  ACSTS(AOCS) ACRWH(AOCS)  ACMDZ(AOCS) ACVDI(AOCS) ACIRM(AOCS)  41
表 5.2.1-1  OPS 諸元  項    目  設計結果  備    考  軌道高度  504km  軌道  太陽同期準回帰軌道、円軌道  センサの種類  高分解能パンクロ・マルチセンサ マルチセンサバンド数  6バンド  可視及び近赤外  空間分解能(GSD)  パンクロ:0.5m 以下  マルチ:  2m 以下  400km 換算で 0.4m 以下 観測幅  パンクロ:10km 以上  マルチ:  10km 以上  検出器種類  パンクロ:TDI 型 CCD  マルチ:TDI 型 CCD  (2)
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参照

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