2016 京都大学(文系)前期日程 問題
-1-
1 解答解説のページへ xy 平面内の領域 x2+y2≦2, x ≦ で1 , 曲線C y: =x3+x2- の上側にある部分x の面積を求めよ。
2016 京都大学(文系)前期日程 問題 -2- 2 解答解説のページへ ボタンを押すと「あたり」か「はずれ」のいずれかが表示される装置がある。「あ たり」の表示される確率は毎回同じであるとする。この装置のボタンを 20 回押した とき, 1 回以上「あたり」の出る確率は 36%である。1 回以上「あたり」の出る確率 が 90%以上となるためには, この装置のボタンを最低何回押せばよいか。必要なら 10 0.3010 log 2 0.3011< < を用いてよい。
2016 京都大学(文系)前期日程 問題
-3-
3 解答解説のページへ n を 4 以上の自然数とする。数 2, 12, 1331 がすべて n 進法で表記されているとし
2016 京都大学(文系)前期日程 問題 -4- 4 解答解説のページへ 四面体OABC が次の条件を満たすならば, それは正四面体であることを示せ。 条件:頂点A, B, C からそれぞれの対面を含む平面へ下ろした垂線は対面の重心 を通る。 ただし, 四面体のある頂点の対面とは, その頂点を除く他の 3 つの頂点がなす三角 形のことをいう。
2016 京都大学(文系)前期日程 問題 -5- 5 解答解説のページへ 実数を係数とする3 次式 f( )x =x3+ax2+bx c+ に対し, 次の条件を考える。 (イ) 方程式 ( ) 0f x = の解であるすべての複素数に対し, 3もまた f( ) 0x = の解である。 (ロ) 方程式 ( ) 0f x = は虚数解を少なくとも1 つもつ。 この2 つの条件(イ), (ロ)を同時に満たす 3 次式をすべて求めよ。
2016 京都大学(文系)前期日程 解答解説 © 電送数学舎 2016 -1- 1 問題のページへ 曲線C y: =x3+x2- に対して, x 2 3 2 1 y¢ = x + x- =(3x-1)(x+1) これより, 増減は右表のようになる。 さて, 領域 x2+y2≦2, x ≦ で1 , 曲線 C の上側にある部分は, 右図の網点部となる。 ここで, A (1, 1) , B( 1, 1)- とおき, 網点部の領域 について, 線分 AB より上側の面積をS , 下側の面積1 をS とおくと, 2 AOB 90= から,
(
)
2(
)
2 1 14 2 12 2 S = - =2-1 1 3 2 2 1{1 ( ) } S x x x dx -=ò
- + -1 2 0 2 ( x 1)dx =ò
- + 2(
1 1)
3 = - + 4 3 = よって, 網点部の領域の面積 S は, 1 2 S=S +S 1 4 2 3 = - + 1 2 3 = +[解 説]
微積分の基本問題です。計算も簡単です。 x … -1 … 13 … y¢ + 0 - 0 + y 1 -275 O x y A B 1 1 2 -2 -2 2 1-2016 京都大学(文系)前期日程 解答解説 © 電送数学舎 2016 -2- 2 問題のページへ ボタンを 1 回押したとき, はずれの確率を p ( 0≦ ≦p 1)とおくと, あたりの確率は 1 p- となる。ここで, 条件から, ボタンを 20 回押したとき, 1 回以上あたりの出る確 率は36%であるので, 1-p20=0.36となり, 20 0.64 p = , 10 0.8 4 5 p = = ,
( )
4 101 5 p = ………(*) さて, ボタンを n 回押したとき, 1 回以上あたりの出る確率が 90%以上となるのは, 1-pn≧0.9, 0.1p ≦n (*)を代入すると,( )
4 10 1 5 10 n ≦ となり, 両辺に対数をとり10n log1045≦log10101 から, 10 10 ( 2log 2 1 log 2) 10 n - + ≦- , n -(1 3log 2) 1010 ≧ よって, 10 10 1 3log 2 n -≧ である。 ここで, 0.3010 log 2 0.3011< 10 < から, 0.0967 1 3log 2 0.0970< - 10 < となり, 10 10 103.0<1 3log 2<103.5 -したがって, 104n≧ となり, ボタンを最低 104 回押せばよい。[解 説]
よく見かけるタイプの確率と対数計算の融合です。なお, 初めは, あたりの確率を p としていましたが……。2016 京都大学(文系)前期日程 解答解説 © 電送数学舎 2016 -3- 3 問題のページへ 4 n≧ のとき, n 進法を十進法に直すと, ( ) 2n =2, 12( )n = +n 2, 1331( )n =n3+3n2+3n+1 すると, 条件より, n 進法で212=1331から, 十進法では, 2 3 2 2n+ =n +3n +3n+1, 2n+2=(n+1)3 ここで, l= + とおくと,n 1 l は 5 以上の自然数となり, 2l+1= ………(*) l3 (*)を満たす l は 5 以上の 2 の累乗数になり, 最小のl =23= のときは, 8 1 8 1 9 2l+ =2 + =2 , l =3 ( 2 )3 3=29 よって, (*)は成立している。 そこで次に, 9l≧ のときは, 2l+1> であることを数学的帰納法で証明する。 l3 (i) l = のとき 9 2l+1=210=1024, l =3 93=729より成立。 (ii) l= のとき k 2k+1>k3と仮定すると, 2k+2>2k3………① ここで, 2k3-(k+1)3=k3-3k2-3k- より,1 x を 9 以上の実数として, 3 2 ( )x =x -3x -3x-1 f 2 ( ) 3x x 6x 3 ¢ = - -f =3(x2-2x-1)=3 (
{
x-1)2-2}
これより, 9x≧ で ( ) 0f¢ x > となり, f( )x ≧f( 9 ) 2 9= ⋅ 3-103>0である。 よって, k3-3k2-3k- >1 0, すなわち2k3>(k+1)3………② ①②より, 2k+2>(k+1)3となり, l= + のときも成立する。 k 1 (i)(ii)より, 9l≧ のとき, 2l+1> である。 l3 以上より, (*)を満たす l はl = だけとなり, このとき n の値は8 n = である。 7[解 説]
記数法を題材とした整数問題です。詰めの部分は, 指数関数と 3 次関数のグラフを 対応させて明らかとするとアバウトすぎると思い, 数学的帰納法で, しかも関数まで 設定して無理やり押さえ込んでいます。2016 京都大学(文系)前期日程 解答解説
© 電送数学舎 2016 -4-
4 問題のページへ
まず, 四面体 OABC の面 OBC, 面 OCA, 面 OAB の重 心を, それぞれG , 1 G , 2 G とおく。 3 また, OA=a, OB b=, OC=cとすると, 1 1 1 OG 3b 3c = + , すると, AG1= - +a 13b+13c 1 ( 3 ) 3 a b c = - + + ここで, 条件より, A から面 OBC に下ろした垂線の足が 1 G なので, AG1^OB かつAG1 ^OCとなり, 1 AG OB⋅ =0 , -3a b ⋅ + b 2+ ⋅ =b c 0………① 1 AG OC⋅ =0 , -3a c b c ⋅ + ⋅ + c 2=0………② 同様に, BG2 =13(a-3b c+ ) から, BG2^OA かつBG2^OC なので, 2 BG OA ⋅ =0, a 2-3a b a c ⋅ + ⋅ = 0………③ 2 BG OC 0 ⋅ = , a c⋅ -3b c ⋅ + c 2=0………④ さらに, CG3=13(a b+ -3 )c から, CG3 ^OA かつCG3 ^OB なので, 3 CG OA ⋅ =0, a 2+ ⋅ -a b 3a c ⋅ =0………⑤ 3 CG OB 0 ⋅ = , a b ⋅ + b 2-3b c ⋅ =0………⑥ すると, ①⑥より a b b c ⋅ = ⋅ , ②④より a c b c ⋅ = ⋅ , ③⑤より a b ⋅ = ⋅a c となり, k を 定数として, a b b c ⋅ = ⋅ = ⋅ = a c k………⑦ これより, ①⑥は b 2=2k, ②④は c 2=2k, ③⑤は a 2=2kとなり, 2 a = b = c = k ………⑧
ここで, b c ⋅ = b c cos BOC から, ⑦⑧を代入すると, k=
(
2k)
2cos BOC 1cos BOC =2, BOC 3 = 同様にすると, COA AOB 3 = = となり, 四面体 OABC の面はすべて合同な正 三角形である。すなわち, 四面体 OABC は正四面体である。
[解 説]
空間ベクトルの四面体への応用問題です。連立方程式をまとめていくのがポイント です。 O A B C 3 G 1 G 2 G2016 京都大学(文系)前期日程 解答解説 © 電送数学舎 2016 -5- 5 問題のページへ 実数係数の3 次方程式 ( )f x =0の虚数解を とすると, その共役複素数 も解とな る。そして, もう 1 つの解をとおくと, 解と係数の関係より, a + + = - , = - -a ( + ) よって, は実数となり, ( )f x =0は実数解, 虚数解 , をもつ。 さて, 条件から, 3, 3,
( )
3も f( )x =0の解であり, 3¹とすると, 3¹ , 3 ¹ から, ( ) f x =0の解が少なくとも4 個存在することになり不適である。 よって, 3= (=0, 1)である。また, は虚数より3¹ である。 (i) = のとき 0 f( )x =0の解は0, , , 3,( )
3となり, (i-i) 3= のとき 0 = となり不適である。 0 (i-ii) 3= のとき 両辺に共役複素数をとると( )
3= となる。 そこで, p, q を実数として = +p qi(q ¹0)とおくと, 3 (p qi+ ) = -p qi, (p3-3pq2) (3+ p q q i2 - 3) = -p qi これより, p3-3pq2= ……①, p 3p q q2 - 3= - ……② q ①よりp = または0 p2-3q2=1, ②より3p2-q2= - ……1 ②¢となる。 (a) p = のとき 0 ②¢からq = となり2 1 q = 1 このとき, ( )f x =0の解はx=0, であり, i ( )x =x x i x i( + )( - ) f =x x( 2+1) =x3+x (b) p2-3q2= のとき 1 ②¢から3(3q2+1)-q2= -1, 8q + = で不適。2 4 0 (ii) 1= のとき f( )x =0の解は1, , , 3,( )
3となり, (ii-i) 3= のとき 両辺に共役複素数をとると1( )
3= となる。 1 すると, ( -1)(2+ + 1) 0= となり, 1 ¹ から 1 3 2 i =- このとき, ( )f x =0の解は 1, 1 3 2 i x= - であり,(
1 3)(
1 3)
( ) ( 1) 2 i 2 i x = x- x-- + x- -f =(x-1)(x2+ +x 1)=x3-1 (ii-ii) 3= のとき (i-ii)と同様にすると, ( )f x =0の解はx=1, であり, i ( ) (x = x-1)(x i x i+ )( - ) f =(x-1)(x2+1) =x3-x2+ -x 1 (iii) 1= - のとき f( )x =0の解は-1, , , 3,( )
3となり, (iii-i) 3= - のとき 両辺に共役複素数をとると1( )
3= - となる。 1 すると, ( +1)(2- + 1) 0= となり, 1 ¹ - から 1 3 2 i = このとき, ( )f x =0の解は 1, 1 3 2 i x= - であり,2016 京都大学(文系)前期日程 解答解説 © 電送数学舎 2016 -6-