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2.1 の気温の長期変化 の年平均気温平年差の推 移を図 に示す の年平均気温は 100 年あ たり 1.3 の割合で上昇している 長 期変化傾向を除くと 1900 年代後半 と 1920 年代半ばから 1940 年代半ば までは低温の時期が続いた 1960 年 頃に高温の時期があり 1

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2.1 東北地方の気温の長期変化

2.1.1 世界と日本の気温の長期変化 気候変動に関する政府間パネル(I PCC(脚注1))第5次評価報告書(IPC C,2013)によると、19世紀後半以降の 世界の平均気温は、長期的には1880 ~2012年において0.85℃上昇してお り、また、北半球では、1983~2012 年は過去 1400 年において最も高温 の 30 年間であった可能性が高い(中 程度の確信度(脚注2))としている。 更に、人間による影響が20 世紀半ば 以降に観測された温暖化の支配的な 原因であった可能性が極めて高いと している。 図2.1-1に示すように、日本の年平 均気温は、100年あたり1.19℃の割合 で上昇している。世界と日本の年平均気温の長期変化には、数年~数十年程度の時間規模で繰り返さ れる自然変動に加え、二酸化炭素などの温室効果ガスの増加に伴う地球温暖化を示す長期的な気温上 昇が重なっていると考えられる(気象庁,2016a)。 2.1.2 東北地方の年平均気温の長期変化 気候変化には地域的特性があるため、世界や日 本の平均的な傾向が必ずしも東北地方に当ては まるわけではない。そこで、東北地方の気温の長 期的な変化傾向を捉えるため、120年以上の観測 記録が残る東北地方の6地点(青森、秋田、宮古、 石巻、山形、福島)を対象として気温の長期的な 変化傾向を調査した。 観測地点の移転に伴って周囲の環境が大きく 変化すると、その前後のデータに気象以外を要因 とする不連続が見られることがあり、その場合は 気候変動を正しく把握できない。調査に用いた観 測地点のうち、青森は1928年1月、1939年8月、1956 年1月に、秋田は1896年12月、1926年12月に、宮 古は1939年1月に観測場所を移転しており、移転 の 影 響 を 取 り 除 く 補 正 を 施 し て い る ( 大 野 ら,2011)。

第 2 章 東北地方の気候の変化

図2.1-1 日本の年平均気温の推移(1898~2016年) 青線は観測データの均質性が長期間維持され、かつ都市化な どによる環境の変化が比較的少ない国内15地点での年平均気 温の基準値からの偏差を平均した値(℃)。赤線は偏差の5年移 動平均値、直線は長期変化傾向を表す。基準値は1981~2010年 の30年平均値。 変化率:1.19℃/100年 日本

脚注1)気候変動に関する政府間パネル(Intergovernmental Panel on Climate Change:IPCC)は、世界気象機関(WMO)及び 国連環境計画(UNEP)により1988年に設立された組織で、人為起源による気候変化、影響、適応及び緩和方策に関し、科 学的・技術的・社会経済学的な見地から包括的な評価を行っている。 脚注 2)知見の妥当性の確信度;これは証拠の種類、量、品質、一貫性(例えば、メカニズムの理解、理論、データ、モデ ル、専門家の判断)及び見解の一致度に基づいている。確信度は、「非常に低い」、「低い」、「中程度の」、「高い」、「非常 に高い」の 5 段階の要約用語を用い、定性的に表す(IPCC,2013)。 宮城県 一目千本桜と蔵王連峰 大河原町の白石川堤に約1200本の桜のトンネルが 続く。4月中旬、遠くに残雪を頂いた蔵王の山並みを 望み、ソメイヨシノが満開を迎えた。桜の便りは、4 月から5月初めにかけて、東北地方を足早に北上して 行く。 信頼度水準 99%で有意

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- 6 - 東北地方の年平均気温平年差の推 移を図2.1-2に示す。 東北地方の年平均気温は、100年あ たり1.3℃の割合で上昇している。長 期変化傾向を除くと、1900年代後半 と、1920年代半ばから1940年代半ば までは低温の時期が続いた。1960年 頃に高温の時期があり、1960年代半 ばから1980年代後半の低温の時期を 経て、1990年頃から高温の時期が続 いている。なお、図2.1-2の地点の観 測記録は、都市化の影響を多少受け ている可能性があるが、これらの特 徴は、日本の年平均気温(図2.1-1) と一致している。 1990年以降、東北地方で高温とな る年が頻出している要因としては、世界・日本の平均気温と同様、温室効果ガスの増加に伴う地球温 暖化に、数年から数十年程度の時間規模の自然変動が重なっているものと考えられる。なお、1980年 代末から1990年代半ばは北極振動指数が顕著な正(北極周辺の大気の流れが蛇行しない状態)となっ ており、寒気が放出されにくい大気の流れであったことが、冬期を中心に東北地方の平均気温を押し 上げた要因の一つと考えられる(2.1コラム「ジェット気流とエルニーニョ現象・ラニーニャ現象、北 極振動」参照)。 図2.1-2 東北地方の年平均気温の推移(1890~2016年) 青線は、青森、秋田、宮古、石巻、山形、福島の年平均気温の平年差 (平年値との差)を平均した値(℃)。赤線は平年差の5年移動平均値、 直線は長期変化傾向を表す。平年値は1981~2010年の30年平均値。青森、 秋田、宮古は観測場所を移転したため、移転の影響を取り除く補正を行 っている。 東北地方 変化率:1.3℃/100年 火山噴火によって生じた 成層圏内のエーロゾル※は、 火山の噴火後数年間にわたっ て気候に大きな影響を及ぼし うる(IPCC,2013)。20世紀最大規模の噴火と言われる1991年のピナトゥボ火山(フィリピン)噴 火の場合、対流圏の全球平均気温は1991年の終わり頃から下降し、翌年の1992年は平年よりも 低い状態が続いた。将来、成層圏に大量のエーロゾルが注入されるほどの大きな火山噴火が起 きれば、一時的な気温低下が生じる可能性がある。 気象庁は、札幌、つくば、福岡、石垣島、南鳥島の5地点で直達日射量を観測し、大気混濁係 数を算出している。図では、1982~85年と1991~93年に極大が見られるが、これは、それぞれ 1982年3~4月のエルチチョン火山噴火(メキシコ)、1991年6月のピナトゥボ火山噴火によって 硫酸塩エーロゾルの生成につながる二酸化硫黄が成層圏に大量に注入され、成層圏が長期間に わたって混濁した結果である。 ※エーロゾルは大気中に浮遊するちりなどの微粒子で、大きさは半径0.001~10マイクロメートル程度である。エー ロゾルは、太陽放射を散乱・吸収して地上に到達する日射量を減少させ、気温を低下させる日傘効果を持つ一方で、 地球からの赤外放射を吸収・再放射するという温室効果も持つ。さらに、雲粒の核となる微粒子としても、地球の放 射収支を変える効果も持つ。大気混濁係数は、大気中のエーロゾル、水蒸気、オゾン、二酸化炭素などの吸収・散乱 による日射の減衰を表す指標で、値が大きいほど減衰が大きいことを示す。

まめ

コラム

火山噴火が 気温を下げる 図 大気混濁係数の推移(1960~2015年、気象庁,2016a) 水蒸気や黄砂の影響を取り除くため、全国5地点の月最小値 を平均したものを年平均した。 信頼度水準 99%で有意

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- 7 - 2.1.3 東北地方の季節別平均気温の長期変化 東北地方の季節別平均気温の推移を図2.1-3に示す。 東北地方ではすべての季節で平均気温が上昇しており、春の上昇率が最も大きく、夏の上昇率が最 も小さい。これと整合して、東北地方では、各季節の平均気温が上昇している地点が多い一方、太平 洋沿岸を中心に夏の気温に変化傾向が見られない地点がある。また、長期変化傾向を除くと、春は1910 年代から1940年代、1970年代から1980年代にかけて低温の時期があり、1984年の低温が顕著である。 夏は年ごとの変動が大きいが、1890年代後半から1910年代前半までの約20年間は低温が続き、特に1902 年、1913年の低温が顕著である。これらの年は東北地方全域で凶作に見舞われている。その後も十年 から二十年ごとに顕著な低温が現れている。秋の変動幅は他の季節に比べ小さいが、1980年代の終わ りに大きく気温が上昇した。冬は1920年代から1940年代にかけて低温の時期があり、特に1945年の低 温が顕著である。また、1949年以降、十年程度の間隔で顕著な高温が現れており、1989年以降は二、 三年に一回程度の頻度で顕著な高温が現れている。 季節 統計期間 長期変化傾向 備考(観測所移転等に伴う統計切断等) 春 1890~2016年 1.5℃/100年 青森、秋田、宮古は観測場所を移転したため、移転の影響を 取り除く補正を行っている。 夏 1890~2016年 0.9℃/100年 秋 1890~2016年 1.3℃/100年 冬 1891~2016年 1.4℃/100年 図2.1-3及び付表 東北地方の季節別平均気温の推移 図の折線は青森、秋田、宮古、石巻、山形、福島の季節別平均気温の平年差(平年値との差)を平均した値(℃) とその5年移動平均値、直線は長期変化傾向を表す。春は3月~5月、夏は6月~8月、秋は9月~11月、冬は前年12 月~2月の3か月平均値である。平年値は1981~2010年の30年平均値。付表の長期変化傾向で、*を付加した値は信 頼度水準95%で統計的に有意な値、**を付加した値は90%で有意な値、無印の値は99%で有意な値を示す。「-」と あるものは、統計的に有意な長期変化傾向が見出せないことを示す。 岩手県 変化率:0.9℃/100年 東北地方 東北地方 変化率:1.5℃/100年 変化率:1.3℃/100年 東北地方 東北地方 変化率:1.4℃/100年 信頼度水準 99%で有意 信頼度水準 99%で有意 信頼度水準 99%で有意 信頼度水準 99%で有意

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- 8 - 2.1.4 異常高温・異常低温の出現数の長期変化 東北地方の1890~2016年における異常高温と異 常低温の年間出現数の推移を図2.1-4に示す。 ここでは、異常高温・異常低温を「上記127年間 で各月における月平均気温の高い方・低い方から1 ~4番目の値」と定義している。ある地点のある月 に、1~4番目の値が出現する割合は127年間に4回 で、つまり31.75年に1回(約0.031 回/年)となり、 30年に1回程度とされる「異常気象」の頻度に相当 する。また、ある年の異常高温・異常低温の出現 数とは、6地点において異常高温・異常低温と判断 された観測値の年間総数を地点数の総数(欠測値 を除く)で割った値で定義され、1地点あたりの平 均年間出現数を意味する。年間の出現数の期待値 (図2.1-4の横破線)は1地点あたり0.031回×12 か月=約0.4回となる。 東北地方の月平均気温における異常高温の年間出現数は100年あたり0.6回の割合で増加している。 19世紀末から20世紀初頭の30年間(1890~1919年)で平均した出現数が0.2回であるのに比べて、最近 の30年間(1987~2016年)の平均出現数は0.8回と4倍になっている。異常高温の出現数は1940年代の 終わりに増え始め、1980年代半ば以降、顕著に増加した。 一方、異常低温の出現数は100年あたり0.5回の割合で減少している。19世紀末から20世紀初頭の30 年間の平均出現数が0.6回であるのに比べ、最近の30年間は0.1回と6分の1に減少した。異常低温は1940 年代までは比較的多く出現したが、その後は少なくなっている。 要素 統計期間 長期変化傾向 備考(観測所移転等に伴う統計切断等) 異常高温 1890~2016年 0.6回/100年 青森、秋田、宮古は観測場所を移転したため、移転の 影響を取り除く補正を行っている。 異常低温 1890~2016年 -0.5回/100年 図2.1-4及び付表 東北地方の異常高温・異常低温の年間出現数の推移 左図は青森、秋田、宮古、石巻、山形、福島の月平均気温の各月における高い方から1~4番目(異常高温) の値の年間出現数。右図は、同様に低い方から1~4番目(異常低温)の値の年間出現数。棒グラフはその年の 異常高温あるいは異常低温の年間総数を地点数の総数(欠測値を除く)で割った値で、1地点あたりの出現数 を意味する。折線は11年移動平均値、直線は長期変化傾向。横破線は異常高温・異常低温の平均的な年間出現 数(0.4回)。横実線は19世紀末から20世紀初頭の30年間と最近の30年間の平均出現数。付表の長期変化傾向で、 *を付加した値は信頼度水準95%で統計的に有意な値、**を付加した値は90%で有意な値、無印の値は99%で有意 な値を示す。「-」とあるものは、統計的に有意な長期変化傾向が見出せないことを示す。 宮城県 三本木ひまわりの丘 大崎市三本木の丘の斜面いっぱいを、42万本のひま わりが埋め尽くす。真夏の太陽が照りつけるほど、地 上の太陽の花はいきいきとして見える。 変化率:-0.5回/100年 東北地方 変化率:0.6回/100年 東北地方 信頼度水準 99%で有意 信頼度水準 99%で有意

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- 9 - 2.1.5 真夏日・真冬日などの階級別日数の長期変化 東北地方の1890~2016年における夏日(日最高気温25℃以上)、真夏日(日最高気温30℃以上)の年 間日数(6地点の平均)の推移を図2.1-5に示す。 用いた観測地点は、2.1.2項と同じ6地点(青森、秋田、宮古、石巻、山形、福島)である。このう ち、青森、秋田、宮古は観測場所を移転しているが、平均気温のように移転の影響を補正できないた め、これらの中で最後の移転(青森の1956年1月)以降の変化傾向を調べた(以下、熱帯夜、猛暑日、 冬日、真冬日についても同じ)。 東北地方の夏日日数は10年あたり2.3日の割合で増加しており、真夏日日数にも、増加傾向が明瞭に 現れている。1890年代後半から1910年代前半までの約20年間は夏日日数、真夏日日数とも少ない時期 が続いた。また、1993年は真夏日日数が極端に少なく、記録的な冷夏となった。 要素名 統計期間 長期変化傾向 備考(観測所移転等に伴う統計切断等) 夏日日数 1890~2016年 2.3日/10年 観測所の移転に伴う統計切断のため、長期変化傾向は1956 ~2016年を調べた。 真夏日日数 1890~2016年 1.5*日/10年 図2.1-5及び付表 東北地方の夏日(日最高気温25℃以上)・真夏日(日最高気温30℃以上)の年間日数の推移 左図は夏日(日最高気温25℃以上)、右図は真夏日(日最高気温30℃以上)の青森、秋田、宮古、石巻、山形、 福島における1地点あたりの年間日数、折線はそれぞれの5年移動平均値、直線は長期変化傾向、破線は統計切 断時期を示す。付表の長期変化傾向で、*を付加した値は信頼度水準95%で統計的に有意な値、**を付加した値 は90%で有意な値、無印の値は99%で有意な値を示す。「-」とあるものは、統計的に有意な長期変化傾向が見出 せないことを示す。 東北地方の熱帯夜(脚注)、猛暑日(日最高気温 35℃以上)の年間日数の推移を図2.1-6に示す。 東北地方の熱帯夜日数は10年あたり0.3日の割合 で増加している。熱帯夜の出現数は1980年代半ばか ら顕著に増え始め、全国的に記録的な猛暑となった 2010年に最多となった。一方、猛暑日日数にも増加 傾向が明瞭に現れており、最近では、1985年、1994 年、1999年、2010年、2012年、2015年と、数年から 十年程度の間隔で猛暑日日数の多い年が見られる。 東北地方 東北地方 変化率:2.3 日/10 年 変化率:1.5 日/10 年 信頼度水準 99%で有意 信頼度水準 95%で有意 山形県 棚田の秋 山辺町大蕨(おおわらび)の棚田は、農林水産省の 「日本の棚田百選」に選ばれている。刈り取った稲を 干す杭掛けが、日射しを浴びて金色に輝く。機械乾燥 が増え、この風景も次第に消えつつある。 脚注)夜間の最低気温が25度以上のこと。ここでは日最低気温が25℃以上の日を便宜的に熱帯夜と呼ぶ。

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- 10 - 要素名 統計期間 長期変化傾向 備考(観測所移転等に伴う統計切断等) 熱帯夜日数 1890~2016年 0.3日/10年 観測所の移転に伴う統計切断のため、長期変化傾向は1956 ~2016年を調べた。 猛暑日日数 1890~2016年 0.4*日/10年 図2.1-6及び付表 東北地方の熱帯夜(日最低気温25℃以上)・猛暑日(日最高気温35℃以上)の年間日数の推移 左図は熱帯夜(ここでは日最低気温25℃以上とする)、右図は猛暑日(日最高気温35℃以上)の1地点あたりの 年間日数、折線はそれぞれの5年移動平均値、直線は長期変化傾向、破線は統計切断時期を示す。付表の長期変化 傾向で、*を付加した値は信頼度水準95%で統計的に有意な値、**を付加した値は90%で有意な値、無印の値は99% で有意な値を示す。「-」とあるものは、統計的に有意な長期変化傾向が見出せないことを示す。 東北地方の1890~2016年における冬日(日最低気温0℃未満)、真冬日(日最高気温0℃未満)の年間 日数の推移を図2.1-7に示す(脚注)。 東北地方の冬日日数は10年あたり3.0日の割合で減少している。冬日は、記録的な暖冬であった1989 年から1993年にかけて急減し、その後も少ない年が続いた。2015年は、春まで気温が高く推移し12月 も気温がかなり高かったため、これまでで最も少なくなった。一方、真冬日日数は、減少する傾向が 現れている。青森の観測場所が現在と大きく異なるものの1945年の真冬日日数は突出しており、その 後、1969年、1977年、1984年も真冬日日数が多くなっているが、1990年代以降は真冬日日数の少ない 年が多い。 要素名 統計期間 長期変化傾向 備考(観測所移転等に伴う統計切断等) 冬日日数 1890~2016年 -3.0日/10年 観測所の移転に伴う統計切断のため、長期変化傾向は1956 ~2016年を調べた。 真冬日日数 1890~2016年 -0.7**日/10年 図2.1-7及び付表 東北地方の冬日(日最低気温0℃未満)・真冬日(日最高気温0℃未満)の年間日数の推移 左図は冬日(日最低気温0℃未満)、右図は真冬日(日最高気温0℃未満)の1地点あたりの年間日数、折線は それぞれの5年移動平均値、直線は長期変化傾向、破線は統計切断時期を示す。付表の長期変化傾向で、*を付 加した値は信頼度水準95%で統計的に有意な値、**を付加した値は90%で有意な値、無印の値は99%で有意な値 を示す。「-」とあるものは、統計的に有意な長期変化傾向が見出せないことを示す。 変化率:0.3日/10年 変化率:-3.0日/10年 変化率:0.4日/10年 信頼度水準 99%で有意 信頼度水準 95%で有意 東北地方 東北地方 東北地方 東北地方 信頼度水準 99%で有意 脚注)日最低気温の日界(1日の区切り時刻)は現在では00時であるが、1939年までは日界を22時としており、1953~1963 年は09時としていた。09時日界及び22時日界による冬日日数は、00時日界によるものと比べて北日本平均でそれぞれ6.7 日/年と2.3日/年少なく、09時日界及び22時日界による熱帯夜日数は、00時日界によるものと比べて北日本平均でそれぞ れ0.1日/年と0.02日/年多いと指摘されている(藤部,2000)。 変化率:-0.7日/10年 信頼度水準 90%で有意

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- 11 - 東北地方の夏が 涼しくなった? 地球温暖化の進行に伴い、東北地方の 年平均気温は上昇している。しかし、季 節別に見ると、夏の上昇傾向は他の季節 に比べて小さい。図に、東北地方の各地 点における8月の日最高気温平均値の50年 あたりの変化率を示す(統計期間を揃え、 1940年から2015年までの期間で検討した)。各地点の8月の日最高気温は、統計的に有意では ないものの、低下傾向を示すものが比較的多く見られる。北海道でも同様の傾向があるが、 東日本以西ではこのような傾向は見られず、北日本の特徴である(気象庁,2008a)。この原 因については現時点では明らかではない。

まめ

コラム

図 8月の日最高気温平均値の50年あたりの変化率 棒グラフは各地点の50年当りの気温変化率を表 す。統計期間は1940年から2015年まで。すべての地 点で統計的に有意ではない。青森、秋田、宮古、小 名浜は観測場所を移転したため、移転の影響を取り 除く補正を行っている。

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ジェット気流とエルニーニョ現象・ラニーニャ現象、北極振動

北半球の北緯30度から40度の上空 約1万2千mには亜熱帯ジェット気流 が、その北側の中緯度帯の上空約9千 mには寒帯前線ジェット気流が流れ、 熱帯の暖気、中緯度の温暖な空気、寒 帯の寒気の境界が形成されている。東 北地方の天候はこれらのジェット気 流の位置や強さに左右され、亜熱帯ジ ェット気流が日本の北を流れるよう な夏は、太平洋高気圧が発達して暑く なる。亜熱帯ジェット気流と寒帯前線 ジェット気流が合流する冬の日本付 近で、ジェット気流が南に下がるとき は、寒気が流れ込んで寒くなる。そし て、ジェット気流のこのような変動と 関係が深い現象がエルニーニョ現象・ラニーニャ現象と北極振動 である。 エルニーニョ現象とは、太平洋赤道域の日付変更線付近から南 米沿岸にかけて海面水温が平年より高くなり、その状態が1年程 度続く現象で、逆に同じ海域で海面水温が平年より低い状態が続 く現象がラニーニャ現象である。熱帯域の海面水温が平常時とず れる状態が続くことで、積乱雲が盛んに発生する海域が移動し、 この変化がジェット気流の位置や強さを変動させる。エルニーニ ョ現象発生中、東北地方の春は平年並か高温の傾向、夏と秋は平 年並か低温の傾向があり、ラニーニャ現象発生中、東北地方の夏 は平年並か高温の傾向がある(図1)。 北極振動とは、北半球の高緯度域と中緯度域における海面気圧 がシーソーのように一方が高いと一方が低くなる現象(図2)で、 寒気の動向と関連している。北極振動に伴って、寒気が北極域に 蓄積されて中緯度域に南下しにくいパターン(寒帯前線ジェット 気流が緯線に沿った流れとなり、極渦が強く引き締まるパターン) と、寒気が北極域から放出されて中緯度域に 広く南下するパターン(寒帯前線ジェット気 流が蛇行するパターン)が繰り返される。北 極振動の周期は、10日程度、年から十数年規 模など様々である。東北地方の冬の気温も北 極振動の影響を受けて変動し、北極域に寒気 が蓄積されるパターンになれば暖冬に、北極 域から寒気が放出されるパターンになれば 寒冬になりやすい(図3に青森の気温との対 比を示す)。エルニーニョ現象やラニーニャ 現象については気象庁(2005b)、北極振動に ついては山崎(2004)に詳しい説明がある。 エルニーニョ時 ラニーニャ時 図1 エルニーニョ現象・ラニーニャ現象発生中の東北地方の天候(平 均気温)の出現傾向 左図はエルニーニョ現象発生中、右図はラニーニャ現象発生中。青 は平年より低い階級、白は平年並の階級、赤は平年より高い階級を表 す。統計期間は1958年~2012年(冬は1958/59年~2012/13年)。長期 的変化傾向を除去して統計した。黒太枠と縦軸の季節にハッチがかか ったものは、統計的に有意な傾向が見られることを示す。 図2 北極振動のパターン 冬(12月~2月)平均の北半球海面 気圧場において最も卓越する変動 パターン(1958/59~2011/12年)。 図の中心が北極である。北極振動指 数が正の時に北極域で低気圧偏差 (青い領域)、中緯度で高気圧偏差 (橙色の領域)となり、負の時はそ の逆の偏差となる。 図3 北極振動と青森の気温との関係(1959~2015年) 青は冬(前年12月~2月)の北極振動の強さを表す指 数で平年値(1981/82~2010/11年の平均)で規格化され ている。正のときは中緯度に寒気が南下しにくい。赤は 青森の冬(同期間)の平均気温で平年値との差(℃)。

参照

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