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や 2016 年 末 に 期 限 切 れとなる 予 定 だったソーラー 発 電 への 投 資 税 額 控 除 (ITC)は 2015 年 12 月 ともに 議 会 で 延 長 が 可 決 された( 再 エネ 政 策 の 項 参 照 ) 2. 気 候 変 動 政 策 の 動 向 京 都 議 定 書 か

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米 国

1.エネルギー政策動向 シェール革命 米国は長らく世界最大のエネルギー生産国にして消費国であり、エネルギー輸入大国で もあった。その米国が非在来型の天然ガスであるシェールガスやシェールオイルの登場に よって大きく変貌しようとしている。これまで頁岩(シェール)と呼ばれる固い岩盤層に 含まれる天然ガスや原油は採掘が困難とされていたが、フラクチャリング(水圧破砕)と いう採掘手法の技術革新により採算性が向上、生産が本格化している。これがいわゆるシ ェール革命である。 米エネルギー情報局(EIA)の報告によれば、過去 20 年間エネルギー消費が安定的に推 移しているのに対し、この10 年間にエネルギー生産が大幅に増加したことから、生産と消 費の差が縮小し、2015 年における 9 月までの合計では国内消費に占める純輸入の比率は約 11%にまで低下している。ちなみに 2005 年の同比率は 30%であった。 このシェールガスの増産に伴いLNG 輸出計画も活発化している。米国では LNG 輸出施 設の建設・操業について、連邦エネルギー規制委員会(FERC)の承認を必要とするほか、 自由貿易協定(FTA)締結国以外の国に対する輸出には、エネルギー省(DOE)の承認を 必要とする。DOE は 2015 年 12 月現在、日本への LNG 輸出プロジェクトを含め 12 社の FTA 非締結国向け輸出案件を承認している。主な案件としては、①サビン・パス液化(ル イジアナ州)、②フリーポート LNG(テキサス州)、③レイク・チャールズ LNG(ルイジ アナ州)、④ドミニオン・コーブ・ポイント LNG(メリーランド州)、⑤キャメロン LNG (ルイジアナ州)、⑥ジョーダン・コーブ・プロジェクト(オレゴン州)⑦LNG デベロッ プメント、⑨シェニエール・マーケティング/コーパス・クリスティ液化(テキサス州) など。 クリーンエネルギーの推進 2009 年に誕生したオバマ民主党政権は当初風力、ソーラーといった再生可能エネルギー (グリーンエネルギー)の利用促進や環境関連技術への投資を景気回復、雇用創出の柱の 一つとして位置づける「グリーン・ニューディール政策」を掲げていた。その後これに原 子力、天然ガス、クリーンコールを加えて「クリーンエネルギー」と呼び、それらへの投 資拡大、利用促進を図ることでエネルギー供給の安定化、エネルギー・セキュリティの改 善、雇用の創出を図るとする政策を進めてきた。 その基本戦略は、国内の利用可能な、あらゆるエネルギー資源を活用してエネルギー自 給 率 を 高 め 、 最 終 的 に 外 国 石 油 へ の 依 存 を 軽 減 し て い く と す る エ ネ ル ギ ー 戦 略 (all-of-the-above energy strategy)である。

再生可能エネルギー(以下再エネと略)の利用促進については、連邦レベルの支援策と して優遇税制が適用されている。期限切れとなっていた風力発電への発電税額控除(PTC)

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や2016 年末に期限切れとなる予定だったソーラー発電への投資税額控除(ITC)は、2015 年12 月、ともに議会で延長が可決された(「再エネ政策」の項参照)。 2.気候変動政策の動向 京都議定書から離脱 米国はクリントン政権時に京都議定書に調印し2008~2012 年の期間に 1990 年比で 7% の温室効果ガス(GHG)を削減することになっていたが、ブッシュ政権時の 2001 年に京 都議定書から離脱し、技術開発と企業の自主的取り組みをベースとするGHG 削減政策に変 更した。 2009 年に誕生したオバマ民主党政権は、気候変動問題に対し積極的に取り組む方針を示 した。政権1 年目の 2009 年には、連邦大の CO2 排出量取引制度(キャップ&トレード) の導入を含む気候変動法案を議会に提出したが、野党共和党の反対によって審議が進まず、 2010 年末に廃案となった。その後のオバマ政権は景気回復と雇用対策を当面の最優先課題 とし、有効な気候変動対策を打ち出すに至らなかった。 オバマ政権、GHG 排出規制案を発表 政権二期目に入ったオバマ大統領は、2013年の一般教書演説で市場原理に基づく気候変 動問題への取り組みに再び言及し、2013年6月には気候変動問題に対する新たな行動計画 (Climate Change Action Plan)を発表した。これは当時連邦議会が下院において野党共 和党が多数を占めるねじれ状態が続いていたため、立法措置ではなく大統領の行政権限の 範囲内で実施可能な対策を打ち出そうとしたものである。この行動計画で、①国内のCO2排 出削減、②気候変動に伴う災害への対策、③国際的な気候変動対策への協力、を3本柱とす る今後の気候変動対策ビジョンを示し、GHGの排出量を2020年までに2005年比で17%削減 するとした目標は引き続き維持するとした。また米国では火力発電所からのGHG排出量が 全体の約3分の1を占めていることから、火力発電所に対する排出規制の強化も打ち出した。 この行動計画を受け連邦環境保護局(EPA)は、2013 年 9 月に新設火力発電設備を対象 とした CO2 排出規制案、2014 年 6 月に既設火力発電設備を対象とした CO2 排出規制案(CPP) をそれぞれ発表した。EPA はこれらの CO2 排出規制案について利害関係者から受け付けた膨 大なコメントを考慮、検討した後、最終的に 2015 年 8 月 3 日、既設および新規火力発電所 に対する米国初の CO2 排出規制の最終規則を発表した。 CPPでは州ごとにCO2排出基準(排出原単位)を設定している。各州はこの排出基準を順 守するための実行計画を策定し、EPAの承認を受けなければならない。電気事業全体で2030 年までに2005年比32%のCO2排出削減を見込んでいる。 州実行計画の提出期限は当初案の2020年から2022年に延長された。各州の実行計画は、 すべての対象電源に個別に目標を設定する「排出基準計画」、州全体の包括的な削減計画 を策定する「州の包括的対策計画」いずれも認められる。また計画目標は、原単位ベース、 総量ベースいずれでもよい。各州の単独計画、複数州による共同計画いずれも認められる。

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自州の実行計画を策定しない州、策定した実行計画がEPAの承認を得られない州に対して は連邦政府としての実行計画(FIP:Federal Implementation Plan)が適用されることに なっている。

新設火力発電所のCO2排出規制最終規則は、発電所単位で「利用可能な最善の技術」(Best Available Control Technology)の導入を求める規制となっている。蒸気タービン新設に ついては、超臨界圧微粉炭ユニットに約20%のCO2を回収するCCS技術を組み合わせた設計と なっている。排出基準1,400lb/MWh(0.635kg/kWh)である。 CPPに対しては共和党や石炭関連業界から強い反発が出ている。2015年10月、CPPが正式 に発効した後、議会でCPP反対派によるCPP無効化の試みがなされる一方、石炭依存の比較 的高い27州や石炭関連企業がCPP打倒を目指し訴訟に踏み切っている。 3.再生可能エネルギー導入政策・動向 風力やソーラー発電が大幅増大 米国における再エネ開発、とりわけ風力およびソーラーは近年目覚ましい伸びを示して いる。 2013 年の再エネ発電設備容量(水力を除く)は 2003 年から 4.1 倍増大して 8,827 万 kW となり総発電設備の7.5%を占めた。また 2013 年の同再エネ発電電力量は 2003 年から 2.7 倍増大して2,533 億 kWh となり総発電電力量の 6.2%を占めた。 2013 年の再エネの内訳では、風力発電が発電設備容量で 69%、発電電力量で 66%と圧倒 的シェアを占めている。2014 年における風力発電設備の設置容量は 485 万 kW であり、設 置容量の多い上位 5 州はテキサス州、オクラホマ州、アイオワ州、ワシントン州、コロラ ド州であった。北東部で全米初となる洋上風力発電の開発も進められているが、まだ運転 開始には至っていない。 ソーラー発電(太陽光および熱)については、発電設備容量および発電電力量とも近年 の伸び率は目覚ましいものの、再エネの中でのシェアは2013 年においてそれぞれ 9%およ び3%程度であった。ソーラー発電設備全体の約 5 割はカリフォルニア州が占めており、次 いでアリゾナ州、ニュージャージー州、ノースカロライナ州などが続いている。 連邦の再エネ支援策 連邦レベルの主要な再エネ促進支援策としては、発電電力量に応じて税額控除される発 電税額控除(PTC)や投資額の一定比率を税額控除する投資税額控除(ITC)などの優遇税 制が挙げられる。 PTC は有効期限内に建設を開始した風力を対象としており、2014 年末に期限切れとなっ ていたが、2015 年 12 月に 2017 年まで延長された。控除額は 2.3 セント/kWh で、以後 2020 年まで毎年 20%減額されることになっている。 有効期限が2016 年末までであった ITC も 3 年間延長された。税額控除率は 30%である が、3 年後から 2020 年 26%、21 年 22%と引き下げられ、22 年以降 10%に固定されること

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になっている。 州の再エネ支援策 州レベルでは供給電力の一定割合を再エネ電力で賄うことを義務付ける再生可能エネル ギー利用基準制度(RPS)が再エネの利用拡大に貢献しており、2015 年 12 月現在 29 州お よびワシントンDC で導入されている。 2015 年にはこの RPS の設定目標を引き上げる動きがいくつかの州でみられた。ハワイ州 は2015 年 6 月 8 日、「2030 年までに 40%」のこれまでの目標を「2045 年までに 100%」とす る目標に一気に引き上げた。バーモント州は 2015 年 6 月 11 日、「2017 年までに 20%」とい う従来の拘束力のない目標を「2032 年までに 75%」という拘束力のある目標に改めた。カ リフォルニア州はこれまで野心的といわれた「2020 年までに 33%」とする目標を 2015 年 10 月、「2030 年までに 50%」とする目標にさらに強化した。ニューヨーク州は 11 月 23 日、 「2015 年までに 29%」というこれまでの目標を「2030 年までに 50%」とする新たな目標に 改めた。 一方、一部のRPS 導入州で目標を下方修正する動きもみられた。オハイオ州は、2024 年 までに 12.5%という再エネ目標を 2014 年に 2 年間凍結することを決定した。ウェストバー ジニア州は 2015 年 1 月、2025 年までに 25%という拘束力のない RPS 目標を全米で初めて廃 止した。同州の RPS は Alternative Energy Standard と呼ばれ、目標を満たすための代替 電源には最新石炭技術、コールベッドメタン、石炭ガス化・液化から生成される燃料、廃 石炭など様々な化石燃料発電技術が含まれていた。カンザス州は 2020 年までに 20%という 拘束力のある RPS 目標を設定していたが、2015 年 5 月、これを拘束力のない目標に変更し た。 RPS は KS 州を有力な風力州に押し上げ、2014 年において KS 州は全米第 6 位の風力導入 州となっている。同州の電気事業者は 20%の RPS 目標をすでにクリアしており、RPS 制度の 使命はすでに終わったとの主張もあった。 家庭や企業の自家発余剰電力を電気事業者が小売料金の価格で買い取るネットメータリ ング制度も、ソーラーパネルの価格低下と相まって、ルーフトップ型太陽光発電の設置を 増大させている。しかし、こうした分散型再エネ自家発電源の急激な増大によって電気事 業者の側に費用回収不足や売り上げ減少の問題が顕在化してきたため、余剰電力の買取価 格の引き下げや再エネ自家発需要家向けの基本料金の引き上げが検討され始めている。 4.米国の原子力発電 米国は世界に先駆けて原子力開発を手掛けた国で、現在世界一の原子力発電国である。 2015 年 11 月現在、30 州において 99 基(BWR34 基、PWR65 基)の原子炉が 30 社によ り運転されている。基数は1990 年の 112 基をピークに減少しているものの、出力増強や設 備利用率向上によって発電電力量は2010 年に 8,070 億 kWh(総発電電力量の約 20%)と 過去最高を記録した。その後2014 年は 7,972 億 kWh(同 19%)と若干減少しているが、

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石炭火力の37%、ガス火力の 28%に次ぐ基幹電源の役割を依然として担っている。 新設気運は沈静化 新規建設は1979 年のスリーマイル島(TMI)事故以来、反対運動に加えて電力需要の鈍 化もあって停滞してきた。しかし、2000 年以降のエネルギー・電力需要の増大を受けて、 2001 年にはブッシュ政権が国家エネルギー政策で原子力推進を謳うとともに、2005 年の 「包括エネルギー法」では新規建設に対する財政支援策が盛り込まれ、原子力再始動へと 転換した。 この政府支援を受けて電気事業者の建設計画が相次いだ。2012 年にはボーグル 3、4 号 機(サザン社)およびV.C.サマー2、3 号機(サウスカロライナ E&G 社)に対して建設 運転一括許可(COL)が発給され、34 年ぶりとなる新設許認可が実現した。 しかし一方で、シェールガスの生産増大で天然ガス価格が低下し卸電力価格が低下して いること、経済の停滞で将来の電力需要の鈍化が予想されることなどから、新規建設計画 を取りやめたり、先送りしたりする電気事業者も出てきており、一時の新設気運からは後 退している。 また運転中の原子力発電所についても、経済性低下を理由に出力増強計画をキャンセル したり、閉鎖を発表したりする原子炉もある。2016 年 1 月現在、閉鎖が発表され、すでに 停止した原子力発電所としてはクリスタル・リバー3 号機(デューク・エナジー社)、キウ ォーニ1 号機(ドミニオン社)、サンオノフレ 2、3 号機(SCE 社)、バーモント・ヤンキー (エンタジー社)があり、まだ運転中の発電所としてオイスタークリーク(エクセロン社、 2019 年末まで)、ピルグリム(エンタジー社、2019 年 6 月まで)、フィッツパトリック(エ ンタジー社、2017 年まで)がある。 5.電源開発状況 米国では、豊富な化石燃料の内でも、発電用にはコストが安い石炭を燃料とする石炭火 力が最も多く建設されてきた。前述のように、この石炭火力に加えて、60 年代後半からは 原子力、さらに近年は再エネ電源の開発も行われてきている。また、最近ではガス価格の 低下を受けて、ガス火力の建設も盛んになっている。 2013 年における発電設備容量(銘板容量)は 11 億 7,219 万 kW で、2003 年の 10 億 3,169 万kW から 10 年間で 14%増大した。設備容量に基づく電源構成は、石炭が 33%から 28%、 石油は7%から 5%、天然ガス(その他ガス含む)は 39%から 42%、原子力は 10%から 9%、 水力(揚水含む)は9%から 9%、その他再エネは 2%から 8%へとそれぞれ変化している。 また、2013 年の発電設備を事業者タイプ別でみると、電気事業者 57%、非電気事業者 (IPP)43%となっている。 今後の新規建設は、連邦エネルギー情報局(EIA)の新増設・閉鎖計画(2014 年~2018 年)によると、5 年間で 4,215 万 kW の発電設備の新増設が計画される一方、4,079 万 kW の閉鎖も計画されており、正味の発電設備増分は1,682 万 kW となる。

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計画されている新増設設備のうち、ガス火力が50%を占め、次いで風力 27%、ソーラー 13%となっている。これはシェールガスの登場による近年の天然ガス価格の低下が大きな要 因である。一方、閉鎖が計画されている発電設備の 72%は石炭火力が占めている。前述の ように、気候変動問題に対する対策の一環として、連邦環境保護局(EPA)が CO2排出基 準を州ごとに定めており、石炭火力発電所の閉鎖は、こうした環境規制に対する事業者の 対応策と考えられる。 6.電気事業体制 3,000 社超の電気事業者 自由化市場の新たなプレーヤー 米国には現在3,200 社以上の電気事業者(Utilities)が存在する。これら事業者は所有形 態により私営、連邦営、地方公営、協同組合営事業者に分類される。 私営事業者は200 社程度あり、全米販売電力量の約 6 割を供給している。伝統的に発電・ 送電・配電・小売供給サービスを地域独占体制により一貫運営してきたが、1990 年代の電 力自由化の進展に伴い、それぞれの部門を分社化したり、発電部門を売却して送配電事業 に特化したり、関係会社を通して従来の供給区域外の地域に事業進出したりする事業者も ある。 連邦営事業者は 9 社あり、水力発電開発と発電電力の卸販売を主な事業としている。テ ネシー渓谷開発公社(TVA)やボンネビル電力局(BPA)などが知られている。 地方公営事業者は 2,000 社程度あり、州または地方自治体が所有している。主に配電事 業に従事しており、規模の小さな事業者が大半を占めている。ただし、中にはサクラメン ト電力公社(SMUD)やロサンゼルス水道電気局(LADWP)など、発送配電を一貫して行 う大規模事業者も存在する。 協働組合営事業者は 900 社近くあり、需要密度の低い農村部の住民やコミュニティが組 合員となって設立された事業者で、主に組合員向けに電力供給を行っている。大部分が配 電専業である。 この他自由化に伴い、独立系発電事業者(IPP)やパワー・マーケターなど「非電気事業 者」と呼ばれる事業者も電力事業に携わっている。 系統運用 米国の電力系統は、東部、西部、テキサスの 3 大系統に大別される。送電線の運用制御 については、従来送電線を所有する電力会社が実施する形態が大半であった。1990 年代の 卸電力市場の自由化に伴い、連邦規制当局により広域系統運用機関(ISO/RTO)の設立が 推奨され、ニューイングランド、ニューヨーク、PJM、大陸中央部、南西部、テキサス、 カリフォルニアといった地域では、送電線の所有権を電力会社に残しながら、運用制御機 能をISO/RTO に移管している。 その他の地域では従来通り、地元電力会社が送電線を所有するとともに系統の運用制御 を実施している。

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7.電力自由化動向 卸電力市場の自由化とISO/RTO の設立 1992 年エネルギー政策法により、公益事業持株会社法(PUHCA)の規制を適用免除さ れた新たな発電事業者区分として、適用除外卸発電事業者(EWG)という独立系発電事業 者(IPP)が規定された。これにより卸目的で発電事業を営む EWG は、事業形態および地 理的活動範囲において自由に発電施設を所有、運転し電力を販売することが可能となり、 卸発電市場が全米大で実質的に自由化されることになった。 連邦エネルギー規制委員会(FERC)は、卸電力市場における更なる競争促進を図るべく 1996 年に「オーダー888・889」を発令し、送電部門と発電部門の機能分離および送電線の 第三者利用者への開放を電力会社に義務付けるとともに、送電線の非差別的利用を保証す るための情報ネットワークの構築も義務付けた。 FERC の「オーダー888」では、系統運用の効率化と中立性確保の観点から独立系統運用 者(ISO)の設立が推奨され、いくつかの ISO が設立された。これらには従来から存在し たタイトなパワープールを前身として設立されたISO ニューイングランド(ISO-NE)、ニ ューヨークISO(NYISO)、PJM-ISO があった。FERC はさらに 1999 年 12 月に「オーダ ー2000」を発令し、ISO の不備を補完する形で地域送電機関(RTO)と呼ばれる広域系統 運用機関の設立を電気事業者に要請した。その結果、米国では現在まで7 つの ISO/RTO が 設立され、このうちISO-NE、PJM、MISO、SPP の 4 機関が RTO として FERC の承認 を得ている。 米国の現在の卸電力市場は、地域によって 2 種類の市場構造に大別される。一つは、電 力取引が供給事業者間で直接交渉され、組織化されていない個々の送電線所有者を通して 給電計画が策定される相対取引をベースとする市場で、南東部、南西部、西部山間部、北 西部などにおいて主流の形態である。 もう一つは、広域にわたりすべての送電施設を運用制御する独立系統運用者(ISO)ある いは地域送電機関(RTO)といった広域系統運用機関によって組織的取引市場が運用され ている市場で、北東部、中部大西洋地域、中西部、テキサス、カリフォルニアなどで主流 の形態である。これらの地域の大部分の州では小売市場も自由化され、競争の拡大が図ら れている。米国の電力の約3 分の 2 はこれら ISO/RTO のカバーする地域で消費されてい る。 小売市場自由化は州単位 小売市場が自由化されている、いないにかかわらず、いずれの州においても最終消費者 に供給される電力は、卸電力市場(独立系発電事業者や組織的卸電力市場)からの購入か、 電気事業者の自社発電、あるいはその二つの組み合わせによって調達される。 小売市場が自由化されていない規制州では、電気事業者は州規制当局による伝統的な報 酬率規制を受ける。小売需要家は地元電気事業者以外の小売事業者を選択することはでき

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ない。またこれら電気事業者の大部分は発送配電施設を保持する垂直統合形態をとってい る。 小売電力市場の自由化、競争導入は州単位で進められており、当初は最大24 州およびワ シントン DC で自由化実施に関する法律が成立したり、規則が制定されたりした。しかし その後、2000 年から 2001 年にかけてカリフォルニア州で電力危機が発生し、同州は 2001 年 9 月に小売競争を中断した。アーカンソー州およびニューメキシコ州は、一旦成立した 自由化法を廃止した。オクラホマ州およびウェストバージニア州は、自由化実施を無期延 期とし活動を中止した。 その結果、2016 年 1 月現在、全米 50 州のうち、小売全面自由化を実施しているのは 13 州およびワシントン DC でのみである。このほかオレゴン、ネバダ、モンタナ、バージニ ア、ミシガン、カリフォルニアの6 州は大口需要家に限定した部分自由化を実施中である。 カリフォルニア州は2010 年に家庭用以外の需要家を対象に小売自由化を再開したが、自由 化の上限枠を自由化中断前の水準に設定している。またミシガン州は2008 年に自由化法を 改正して、自由化枠を電気事業者の前年の販売電力量の 10%に限定する変則的自由化を実 施している。 広域系統運用機関(ISO/RTO)が設置されている地域および垂直統合体制を維持してい る地域の市場構造図はそれぞれ下記の「電力供給体制」に示す通りである。 電力供給体制 ・地域送電機関(RTO)を設置している地域など (発電) (送電・卸売) (配電) (小売) 電気事業者(発電部門) ・ IPP 電気事業者(送電部門) 設備所有 系統運用 市場運営 ISO/RTO 取引市場 電気事業者(配電部門) 電気事業者(小売部門)・マーケター 需要家

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・垂直統合体制を維持している地域など 海 外 電 力 調 査 会 作 成 (2016 年 1 月 更 新 ) (送電) (発電) (配電) (小売) 送電部門(所有・運用) 配電部門 電気事業者 発電部門 小売部門 需要家 IPP

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