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米 州 に お け る 再 生 可 能 エ ネ

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Academic year: 2022

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(1)

米 州 に お け る 再 生 可 能 エ ネ ル ギ ー の 輸 送 に 関 す る 調 査

2008 年 2 月

社団法人 日 本 中 小 型 造 船 工 業 会

助 成

(2)

は じ め に

近 年 、二 酸 化 炭 素 に よ る 地 球 温 暖 化 防 止 の た め 、石 油 に 代 わ る 燃 料 と し て 、 バ イ オ マ ス を 原 料 と す る 再 生 可 能 エ ネ ル ギ ー 、 そ の 中 で も 特 に エ タ ノ ー ル (バ イ オ エ タ ノ ー ル )が 脚 光 を 浴 び て い る 。我 が 国 に お い て も 昨 年 か ら エ タ ノ ー ル 混 合 ガ ソ リ ン の 試 験 販 売 が 開 始 さ れ て い る 。

米 国 に お い て は 「

2005

年 エ ネ ル ギ ー 政 策 法 (

Energy Policy Act of 2005

) に 基 づ き 、国 内 エ ネ ル ギ ー 源 の 開 発 と 原 油 を 中 心 と す る 輸 入 エ ネ ル ギ ー 依 存 の 低 下 に 向 け 、 諸 施 策 が 講 じ ら れ て い る 。 太 陽 光 、 風 力 等 自 然 エ ネ ル ギ ー 、 バ イ オ マ ス 、 家 畜 由 来 メ タ ン 等 再 生 可 能 エ ネ ル ギ ー の 利 用 促 進 に つ い て は 、 こ れ ら の 生 産 を 推 進 す る イ ン セ ン テ ィ ブ の 付 与 、再 生 可 能 エ ネ ル ギ ー の 中 で 主 に エ タ ノ ー ル の 使 用 量 の 拡 大 、代 替 燃 料 補 給 所 等 に 対 す る 税 控 除 等 の 措 置 が 講 じ ら れ て い る 。ま た 、中 南 米 地 域 に お い て は 、例 え ば ブ ラ ジ ル で は 既 に エ タ ノ ー ル と ガ ソ リ ン を ど の よ う な 割 合 で 混 合 し て も 走 行 で き る フ レ ッ ク ス 自 動 車 が

2003

3

月 発 売 さ れ て お り 、現 在 ま で に 累 積

200

万 台 が 販 売 さ れ 、最 近 で は 販 売 台 数 の 約

3/4

を 占 め る よ う に な っ て き て い る 。更 に 、ブ ラ ジ ル に お い て は 自 国 で 消 費 す る 以 外 に 外 国 に 輸 出 す る 計 画 を 有 し て い る 。

こ の よ う な 再 生 可 能 エ ネ ル ギ ー の 利 用 拡 大 な い し は 石 油 か ら の 転 換 は 、従 来 の 石 油 を 中 心 と す る エ ネ ル ギ ー バ ラ ン ス に 大 き な 変 化 を も た ら す も の で あ り 、 海 上 貨 物 輸 送 に も 影 響 を 及 ぼ す も の で あ る 。

今 回 の 調 査 は 、米 州 を 中 心 と す る バ イ オ エ タ ノ ー ル を 中 心 と す る 再 生 可 能 燃 料 の 需 給 見 通 し を 概 観 す る と と も に 、生 産 施 設 、輸 送 経 路 を 調 査 し 、海 上 輸 送 に お け る 必 要 船 腹 量 の 検 討 を 行 い 、エ タ ノ ー ル 輸 送 船 の 建 造 需 要 量 を 想 定 し た も の で あ る 。

こ の 調 査 が 関 係 各 位 の ご 参 考 に 資 す る こ と が で き れ ば 幸 い で あ る 。

ジ ェ ト ロ ・ ニ ュ ー ヨ ー ク セ ン タ ー 船 舶 部

( 社 団 法 人 日 本 中 小 型 造 船 工 業 会 共 同 事 務 所 )

デ ィ レ ク タ ー 小 濱 照 彦

シ ニ ア リ サ ー チ ャ ー 氏 家 純 子

(3)

目 次

第 1部 米 国 エ タ ノ ー ル 事 情 ··· 1

1. エ タ ノ ー ル の 歴 史 的 背 景··· 1

2. 米 国 に お け る エ タ ノ ー ル 生 産 の 現 状 ··· 3

3. エ タ ノ ー ル 需 要 の 牽 引 力··· 8

4. エ タ ノ ー ル 産 業 を 牽 引 す る 主 要 プ レ ー ヤ ー··· 10

5. エ タ ノ ー ル 利 用 に つ い て の 米 国 政 府 の 姿 勢··· 11

6. 米 国 の エ タ ノ ー ル 政 策 の 動 向 ··· 12

第 2部 世 界 の エ タ ノ ー ル 事 情 ··· 15

1. 世 界 の エ タ ノ ー ル 生 産 と 消 費··· 15

1.1 現 在 の 生 産 パ タ ー ン··· 15

1.2 世 界 の エ タ ノ ー ル 生 産 と 消 費 予 測··· 19

1.3 将 来 の エ タ ノ ー ル 生 産 に 影 響 を 与 え る 問 題 ··· 27

2. エ タ ノ ー ル 貿 易 ··· 31

2.1 現 在 の 荷 動 き パ タ ー ン··· 31

2.2 今 後 の 貿 易 量 と 荷 動 き の パ タ ー ン··· 35

3. 将 来 の エ タ ノ ー ル 輸 送 需 要··· 40

3.1 米 国 国 内 エ タ ノ ー ル 輸 送··· 40

3.2 エ タ ノ ー ル 輸 入 輸 送 需 要··· 41

3.3 ブ ラ ジ ル の エ タ ノ ー ル 輸 出 ··· 43

4. エ タ ノ ー ル ・ タ ン カ ー の 建 造 要 件 ··· 43

4.1 エ タ ノ ー ル ・ タ ン カ ー の 特 別 仕 様 要 件··· 43

4.2 現 在 エ タ ノ ー ル を 輸 送 す る こ と の で き る タ ン カ ー 船 腹··· 44

4.3 エ タ ノ ー ル ・ タ ン カ ー の 建 造 予 測··· 45

4.4 建 造 予 測 に 関 す る 注 意··· 45

付 録 1 米 国 の 燃 料 エ タ ノ ー ル 精 製 所 と そ の 生 産 能 力 ··· 46

付 録 2 エ タ ノ ー ル の 物 理 的 、 化 学 的 性 質 の ま と め ··· 50

(4)

第 1 部 米国エタノール事情

1. エタノールの歴史的背景

エ タ ノ ー ル の 歴 史 は 長 く 、 興 味 深 い 。 エ タ ノ ー ル は 新 石 器 時 代 か ら ア ル コ ー ル 飲 料 の 材 料 と し て 使 用 さ れ て お り 、9,000 年 前 の 遺 跡 か ら そ の 痕 跡 が 発 見 さ れ て い る 。 医 療 目 的 の 利 用 は ア ル ラ ジ が 始 め て ア ル コ ー ル を 医 療 消 毒 用 に 利 用 し た 紀 元900年 前 後 の ア バ シ ド 朝 時 代 に さ か の ぼ る 。 エ ン ジ ン 燃 料 と し て 使 用 さ れ た の は 1826 年 に サ ミ ュ エ ル ・ モ ー レ イ が エ タ ノ ー ル と テ レ ビ ン 油 で 走 る エ ン ジ ン を 開 発 し た の が 最 初 で あ る 。1860 年 に ニ コ ラ ス ・ オ ッ ト ー が オ ッ ト ー ・ サ イ ク ル 内 燃 機 関 で エ タ ノ ー ル を 燃 料 と し て 使 用 し た 。1908年 に ヘ ン リ ー・フ ォ ー ド は エ タ ノ ー ル と ガ ソ リ ン 両 用 の フ レ キ シ ブ ル 燃 料 車 と し て モ デ ル Tを 設 計 し た 。

第 一 次 世 界 大 戦 中 に は エ タ ノ ー ル は 主 要 な 燃 料 で あ り 、 需 要 は 1917~1918 年 に 年 間 5,000 万 ~6,000 万 ガ ロ ン(189,300~227,100キ ロ リ ッ ト ル )に 達 し た 。1920年 以 降 は ガ ソ リ ン が 自 動 車 燃 料 の 主 流 と な り 、 米 国 内 で は 基 本 的 に エ タ ノ ー ル は オ ク タ ン 価 向 上 剤 と し て 使 用 さ れ た に 過 ぎ な か っ た 。 米 国 中 西 部 で は 6~12% の エ タ ノ ー ル を ガ ソ リ ン に ブ レ ン ド し た 燃 料 が ガ ソ リ ン ス タ ン ド で 販 売 さ れ 続 け て い た 。 第 二 次 世 界 大 戦 中 に 米 国 の エ タ ノ ー ル 需 要 は 急 増 し た が 、戦 後 は 減 少 し 、1940年 代 末 か ら 1970 年 代 半 ば に 米 国 に お け る 燃 料 源 と し て の エ タ ノ ー ル 利 用 は ほ ぼ 消 滅 し た 。

1974年 の 第 一 次 石 油 シ ョ ッ ク に よ り エ タ ノ ー ル へ の 関 心 が 復 活 し た 。OPECに よ る 石 油 原 産 ・ 禁 輸 に よ り 石 油 の 流 通 が 止 ま っ た こ と か ら 代 替 燃 料 源 の 開 発 に 対 す る 関 心 が 一 躍 高 ま っ た 。代 替 燃 料 の 利 用 を 奨 励 す る た め に 米 国 議 会 は「 太 陽 エ ネ ル ギ ー 研 究 、開 発 、 実 証 法 」 を 可 決 し た 。 同 法 で は セ ル ロ ー ス 、 ゴ ミ 、 そ の 他 の 有 機 物 を 燃 料 に 変 え る 研 究 開 発 が 奨 励 さ れ た 。 こ の 努 力 の 一 貫 と し て 1970 年 代 末 に 米 国 海 事 局 (MarAd) は 昆 布 を 原 料 と し た ア ル コ ー ル 生 産 プ ラ ン ト を バ ー ジ に 搭 載 す る フ ィ ー ジ ビ リ テ ィ 研 究 を 実 施 し て い る 。

1970年 代 末 か ら 1980年 代 初 め に か け て の 期 間 に 代 替 燃 料 開 発 を 奨 励 す る た め の 助 成 金 や そ の 他 の 支 援 を 提 供 す る 様 々 な 法 律 が 成 立 し た 。1984 年 に は 米 国 で 160 以 上 の エ タ ノ ー ル 工 場 が 稼 動 し て い た 。 し か し 合 成 燃 料 は 相 当 な 連 邦 助 成 や そ の 他 の 支 援 を 受 け て い た に も か か わ ら ず 、1980年 代 半 ば に 原 油 価 格 が 暴 落 し た 結 果 、安 価 な 石 油 の 競 争 相 手 に は な ら な か っ た 。多 く の エ タ ノ ー ル 生 産 者 が 廃 業 し 、1985年 末 に は 商 業 エ タ ノ ー ル 工 場 で 稼 動 を 続 け て い た の は 約 半 数 に 過 ぎ な か っ た 。

1970年 代/80 年 代 に 有 鉛 ガ ソ リ ン の 段 階 的 廃 止 が 義 務 付 け ら れ た た め 、 鉛 に 代 わ る オ ク タ ン 価 向 上 剤 が 必 要 と な っ た 。 米 国 環 境 保 護 局 (EPA) は 1973 年 に ガ ソ リ ン に 含 有 さ れ る 鉛 を 減 量 し 、1986 年 に は 米 国 内 で 有 鉛 ガ ソ リ ン の 販 売 を 禁 止 す る こ と を 命 じ た 。 鉛 に 代 わ る オ ク タ ン 価 向 上 剤 と し て エ タ ノ ー ル と 石 油 か ら で き る ETBE( エ チ ル タ ー シ

(5)

ャ リ ブ チ ル エ ー テ ル )と 天 然 ガ ス と 石 油 か ら 抽 出 さ れ る MBTE( メ チ ル タ ー シ ャ リ ブ チ ル エ ー テ ル ) が 存 在 し た 。1990 年 代 末 ま で MTBE が 添 加 剤 と し て は 主 流 で あ り 、 圧 倒 的 な マ ー ケ ッ ト シ ェ ア を 保 有 し て い た 。し か し MTBE は 地 下 の 貯 蔵 タ ン ク か ら 近 隣 の 水 源 へ と 浸 出 す る こ と に よ り 深 刻 な 環 境 汚 染 を 引 き 起 こ す こ と が 判 明 し た 。 環 境 保 護 の 観 点 か らEPAは2000年 に 全 米 でMTBEの 利 用 を 段 階 的 に 廃 止 す る こ と を 勧 告 し た た め 、 ガ ソ リ ン 添 加 物 と し て 残 さ れ た 選 択 肢 は エ タ ノ ー ル の み と な っ た の で あ る 。こ れ に よ り 、 米 国 に お け る エ タ ノ ー ル の 需 要 は 成 長 す る ガ ソ リ ン 需 要 と 結 び つ き 、 エ タ ノ ー ル 生 産 者 は 市 場 基 盤 を 確 保 し た の で あ る 。

1990年 代 に は 一 酸 化 炭 素 排 出 量 を 削 減 し 、代 替 輸 送 燃 料 の 利 用 を 促 進 す る た め の 連 邦 政 府 の イ ニ シ ア テ ィ ブ が エ タ ノ ー ル 産 業 に と っ て 強 力 な 追 い 風 と な っ た 。「1990年 大 気 汚 染 防 止 法 修 正 」に よ り 汚 染 基 準 が 制 定 さ れ 、1995年 か ら 米 国 の 特 定 地 域 で 改 質 ガ ソ リ ン を 使 用 す る こ と を 義 務 づ け ら れ た 。改 質 ガ ソ リ ン は 燃 焼 で 発 生 す る 汚 染 物 質 が 少 な く 、 大 気 中 に 排 出 さ れ 、 ス モ ッ グ の 原 因 と な る 有 害 な 汚 染 物 質 の 減 量 に 役 立 っ た 。 改 質 ガ ソ リ ン は 重 量 に し て 約 2% の ETBE ま た は MTBE を 含 有 し て い た 。2 年 後 に 「1992 年 エ ネ ル ギ ー 政 策 法 」で は 運 輸 燃 料 と し て E85燃 料 の 使 用 が 奨 励 さ れ た 。E85 燃 料 は エ タ ノ ー ル 85% と ガ ソ リ ン 15% を ブ レ ン ド し た も の で あ る 。E85 燃 料 で 走 行 す る 自 動 車 へ の 改 造 ま た は 購 入 に 税 制 優 遇 措 置 が 取 ら れ た 。ま た ETBE を 生 産 す る エ タ ノ ー ル・ブ レ ン ド 業 者 に も 税 制 優 遇 措 置 が 取 ら れ た 。1990 年 末 に 主 要 な 米 国 自 動 車 メ ー カ ー は E85 燃 料 と ガ ソ リ ン の い ず れ で も 走 行 こ と の で き る フ レ キ シ ブ ル 燃 料 車 を 生 産 し て い た 。

図表 1 米国におけるオクタン価向上剤としての MTBEとエタノールの使用量の推移

単 位 :100 万 GGE

0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 3,000 3,500 4,000

1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005

Million GGEs

MTBE Ethanol

Source: AFDC デ ー タ 出 所: EIA 2006 Annual Energy Review

(6)

「2005年 エ ネ ル ギ ー 政 策 法 」で 、代 替 燃 料 と し て の エ タ ノ ー ル の 利 用 が さ ら に 促 進 さ れ た 。同 法 に よ り 特 定 さ れ た 再 生 可 能 燃 料 実 施 基 準 で は 、2006 年 に 40 億 ガ ロ ン(1,514 万 キ ロ リ ッ ト ル ) の 再 生 可 能 燃 料 を 利 用 し 、2012 年 に は 年 間 の 再 生 可 能 燃 料 の 使 用 を 75 億 ガ ロ ン (2,839 万 キ ロ リ ッ ト ル ) に 増 や す こ と と さ れ て い る 。 後 に 論 じ る よ う に 、 ブ ッ シ ュ 大 統 領 の 2007 年 の エ ネ ル ギ ー ・ イ ニ シ ア テ ィ ブ で は こ の 再 生 可 能 燃 料 消 費 目 標 が 大 幅 に 引 き 上 げ ら れ て い る 。

オ ク タ ン 価 向 上 剤 と し て MTBE の 使 用 が 禁 止 さ れ 、政 府 が エ タ ノ ー ル を 代 替 燃 料 と し て 使 用 す る こ と を 奨 励 し た た め 、 米 国 の エ タ ノ ー ル 生 産 量 は 1980 年 の 1 億 7,500 万 ガ ロ ン(662,400キ ロ リ ッ ト ル)か ら2006年 に は 約 49億 ガ ロ ン(1,855万 キ ロ リ ッ ト ル)に 急 増 し た 。 特 に 2000年 に 入 っ て 米 国 に お け る エ タ ノ ー ル の 生 産 は 急 増 し て い る 。

2. 米国におけるエタノール生産の現状

米 国 の エ タ ノ ー ル 年 間 生 産 量 は 49 億 ガ ロ ン(1,855 万 キ ロ リ ッ ト ル )に 達 し 、世 界 最 大 の エ タ ノ ー ル 生 産 国 で あ る 。 米 国 の エ タ ノ ー ル 精 製 所 の ほ と ん ど が 農 業 ベ ル ト 地 域 に あ り 、 ア イ オ ワ 州 、 ネ ブ ラ ス カ 州 、 イ リ ノ イ 州 、 サ ウ ス ダ コ タ 州 、 ミ ネ ソ タ 州 、 イ ン デ ィ ア ナ 州 が 現 在 全 米 で 稼 動 中 ま た は 建 設 中 の エ タ ノ ー ル 精 製 能 力 の 78% を 占 め て い る 。

図 表 2 エ タ ノ ー ル 精 製 所 が 集 中 し て い る 州

再 生 可 能 燃 料 協 会 (RFA) に よ れ ば 、 最 大 85% (E 85 燃 料 ) の エ タ ノ ー ル ブ レ ン ド を 燃 料 と し て 走 行 可 能 な フ レ キ シ ブ ル 燃 料 車 は 米 国 内 に 600万 台 存 在 す る 。RFAは ま た 、 約 1,000 の E 85 燃 料 の 小 売 店 が 営 業 し て お り 、 米 国 で 販 売 さ れ て い る ガ ソ リ ン の 30% 以 上 に エ タ ノ ー ル が 混 合 さ れ て い る と し て い る 。業 界 ア ナ リ ス ト グ ル ー プ で あ る Lipow

(7)

Oil Associates に よ れ ば 、 エ タ ノ ー ル は 現 在 米 国 で 使 用 さ れ て い る ガ ソ リ ン の 約 4% を 占 め る 。

図 表 3 米 国 に お け る エ タ ノ ー ル 生 産 量 の 推 移

単 位 :100 万 ガ ロ ン

175 215 350 375 430 610 710 830 845 870 900 950 1,100 1,200 1,350 1,400 1,100 1,300 1,400 1,470 1,630 1,770 2,130 2,800 3,400 3,904 4,855

0 1000 2000 3000 4000 5000

1980

1982 19 84 198

6 198 8 199

0

1992 19 94 199

6 199 8

2000 20 02 200

4 200 6

出 所 :Renewable Fuels Association

図 表 4 米 国 に お い て エ タ ノ ー ル 生 産 に 使 用 さ れ る ト ウ モ ロ コ シ の 量 単 位 :100 万 ブ ッ シ ェ ル

70 86 140 150 172 244 284 332 338 348 360 380 440 480 540 560 423 500 538 565 627 681 819 1,077 1,260 1,430 1,750

0 600 1,200 1,800

198 0

198 2

1984 198 6

198 8

1990 199 2

199 4

1996 199 8

200 0 200

2 200

4 200

6

出典:National Corn Growers Association 注:2006年の数字は推定

(8)

図 表 5 エ タ ノ ー ル 生 産 に 利 用 さ れ る ト ウ モ ロ コ シ の 割 合 の 推 移

単 位 : パ ー セ ン ト

0.0 5.0 10.0 15.0 20.0 25.0 30.0 35.0 40.0 45.0

1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2007 2008 2009 2010 2011 2012 201 3

2014 2015 2016

下方予測 上方予測

出 所 : 米 国 農 務 省

図表6 年間生産量50Mガロンの乾式粉砕エタノールプラントの年間運転コスト(2006年)

原 材 料

エタノール 1 ガロン当たり のユニット

ユニット価格 (ド ル)

年間コスト (百 万 ド ル)

エタノール 1 ガロン当たり のコスト

(ド ル)

ト ウ モ ロ コ シ(ブ ッ シ ェ ル) 0.364 $2.21 $40.18 $0.804

酵 素(ポ ン ド) 0.035 1.02 1.79 0.036

酵 母&化 学 薬 品(ポ ン ド) 1.126 0.02 0.84 0.017

変 性 剤(ガ ロ ン) 0.030 2.00 3.00 0.060

電 力($/KWh) 0.800 0.06 2.31 0.046

天 然 ガ ス($/Mcf) 0.036 8.46 15.23 0.305

処 理 水(千 ガ ロ ン/ブ ッ シ ェ ル) 0.010 0.37 0.18 0.004

排 水(千 ガ ロ ン/ブ ッ シ ェ ル) 0.008 0.50 0.19 0.004

直接人件費+福利厚生($.032/ガロン) - - 1.60 0.032

保 守&修 理 ($.026/ガ ロ ン) - - 1.30 0.026

販 売 費 一 般 管 理 費 ($.06/ガ ロ ン) - - 3.00 0.060

合 計 - - $69.63 $1.393

出 典 :Study prepared for National Corn Growers Association by LECG LLC, 2006年9月

(9)

砂 糖 を 原 料 と し て エ タ ノ ー ル を 生 産 す る ブ ラ ジ ル と 違 い 、 米 国 で は 原 料 と し て ト ウ モ ロ コ シ が 圧 倒 的 に 主 流 で あ る 。 米 国 の 既 存 の ま た は 現 在 建 設 中 の エ タ ノ ー ル 精 製 所 の 約 95% が ト ウ モ ロ コ シ を 原 料 と し て 利 用 す る も の で あ る 。一 部 の 精 製 所 で 乳 清 、醸 造 廃 物 、 砂 糖/澱 粉 を 原 料 と す る も の も あ る が 、こ れ ら は ほ と ん ど が 小 規 模 経 営 で あ る 。1ガ ロ ン の エ タ ノ ー ル を 生 産 す る た め に 約 2.75~3 ブ ッ シ ェ ル1( 約 70~76kg) の ト ウ モ ロ コ シ が 必 要 で あ る 。( 実 際 の デ ー タ が 得 ら れ る 最 新 年 で あ る )2005年 に は 、エ タ ノ ー ル 生 産 用 に 14 億 3,000 万 ブ ッ シ ェ ル(約 3,575 万 ト ン)の ト ウ モ ロ コ シ が 消 費 さ れ た 。

米 国 農 務 省 に よ れ ば 、 米 国 で エ タ ノ ー ル 生 産 用 に 生 産 さ れ る ト ウ モ ロ コ シ の 割 合 は 今 後 10 年 間 に 大 幅 に 増 加 す る 。 米 国 農 務 省 は 米 国 産 ト ウ モ ロ コ シ の 23~40% が 2016 年 に は エ タ ノ ー ル 生 産 用 と な る と 予 測 し て い る 。 こ の 数 字 は 、 米 国 の エ タ ノ ー ル 需 要 が 下 方 予 測 の 場 合 年 間 80 億 ガ ロ ン (3,028 万 キ ロ リ ッ ト ル ) 、 上 方 予 測 で は 年 間 140 億 ガ ロ ン(5,299 万 キ ロ リ ッ ト ル)に 達 す る と い う 予 測 に 基 い て い る 。

ト ウ モ ロ コ シ が 主 原 料 と な っ て い る た め 、 エ タ ノ ー ル 生 産 の 経 済 性 は ト ウ モ ロ コ シ の 価 格 に 大 き く 左 右 さ れ る 。 米 国 ト ウ モ ロ コ シ 生 産 者 協 会 (NCGA) が 委 託 し た 最 近 の 調 査 で は 、1,810 万 ブ ッ シ ェ ル(約 46 万 ト ン)の ト ウ モ ロ コ シ を 原 料 と し て 年 間 5,000 万 ガ ロ ン(189,300 キ ロ リ ッ ト ル)の エ タ ノ ー ル を 生 産 す る 乾 式 粉 砕 エ タ ノ ー ル ・ プ ラ ン ト の 年 間 運 転 コ ス ト は 6,960 万 ド ル で あ り 、 そ の う ち ト ウ モ ロ コ シ の コ ス ト が 4,020 万 ド ル を 占 め る と し て い る 。原 料 ト ウ モ ロ コ シ の コ ス ト が 工 場 運 転 コ ス ト 全 体 の 58% を 占 め る こ と に な る 。

米 国 内 の エ タ ノ ー ル 生 産 量 が 大 幅 に 増 加 す れ ば 、 ト ウ モ ロ コ シ 価 格 が 高 騰 す る と 考 え ら れ る 。過 去 25 年 間 の 米 国 内 の ト ウ モ ロ コ シ 作 付 面 積 は 5,200万 ~7,500 万 エ ー カ ー で あ っ た 。2005 年 に 、 米 国 の ト ウ モ ロ コ シ 生 産 者 は 7,430 万 エ ー カ ー か ら 110 億 ブ ッ シ ェ ル( 約 2 億 7,940 万 ト ン )の ト ウ モ ロ コ シ を 生 産 し 、収 穫 率 は 1 エ ー カ ー あ た り 148.4 ブ ッ シ ェ ル(37.7 ト ン )で あ っ た 。年 間 80 億 ~140 億 ガ ロ ン(3,028 万 ~5,299 万 キ ロ リ ッ ト ル ) の エ タ ノ ー ル を 生 産 す る た め に は 、 エ タ ノ ー ル 原 料 を と う も こ ろ し だ け に 限 る と 仮 定 す る と 、220 億 か ら 420 億 ブ ッ シ ェ ル(5 億 5880 万 ~10 億 5,000 万 ト ン)の ト ウ モ ロ コ シ が 必 要 と な る 。こ の よ う な 大 量 の 生 産 に は 、(1)エ ー カ ー あ た り の 収 穫 率 を 高 め る た め の 農 地 利 用 の 生 産 性 の 大 幅 な 向 上 、(2)ト ウ モ ロ コ シ 農 地 を さ ら に 大 幅 に 拡 大 、 (3)家 畜 用 飼 料 そ の 他 の 食 用 ト ウ モ ロ コ シ 利 用 の 減 量 、 が 必 要 と な る 。

ト ウ モ ロ コ シ を 原 料 と し た エ タ ノ ー ル 生 産 に 批 判 的 な 人 た ち の 多 く は 、 こ の よ う な 生 産 レ ベ ル を 達 成 す る こ と は 不 可 能 だ と 確 信 し て い る 。 最 も 強 力 な 推 進 派 で さ え も ト ウ モ ロ コ シ 増 産 に は 現 在 よ り も 生 産 コ ス ト か か り 、 エ タ ノ ー ル 生 産 の 経 済 性 に 直 接 影 響 を 与

1 ブ ッ シ ェ ル は 穀 物 の 容 積 の 単 位 で あ り 、1 ブ ッ シ ェ ル は 8 ガ ロ ン で あ る 。U.S. Grains Council の 換 算 表 で は 、 重 量 換 算 で ト ウ モ ロ コ シ 1 ブ ッ シ ェ ル は 56 ポ ン ド (0.0254 メ ー ト ル ト ン ) と さ れ て い る 。

(10)

え る こ と を 認 め て い る 。2007年 1 月 末 の ブ ル ー ム バ ー グ・レ ポ ー ト は「 ト ウ モ ロ コ シ 価 格 が ブ ッ シ ェ ル あ た り 4.50 ド ル で 一 部 の エ タ ノ ー ル 精 製 所 は 利 益 を あ げ ら れ な く な り 、 ブ ッ シ ェ ル あ た り 5.00 ド ル に な れ ば 運 転 を 停 止 す る で あ ろ う 。先 週 シ カ ゴ の 商 品 取 引 所 で ト ウ モ ロ コ シ 価 格 は ブ ッ シ ェ ル あ た り 4.055 ド ル で 引 け た 」 と い う 業 界 ア ナ リ ス ト の 言 葉 を 引 用 し て い る 。 ロ ン ド ン の 天 然 資 源 フ ァ ン ド で あ る Ambrian Partners の ア ナ リ ス ト は 、 「 こ の 部 門 ( エ タ ノ ー ル 産 業 ) の 経 済 性 は か な り あ や し く な っ て い る 」 と 述 べ た と 引 用 さ れ て い る 。 ス イ ス の 投 資 銀 行 で あ る Sarasin and Cie の ア ナ リ ス ト は 、 「 バ イ オ 燃 料 産 業 の 利 ざ や は 圧 迫 さ れ て お り 、 生 産 能 力 拡 大 に ブ レ ー キ が か か る か も し れ な い 」 と し て い る 。

図 表 7 シ カ ゴ 市 場 の ト ウ モ ロ コ シ 現 金 取 引 価 格

1 ブ ッ シ ェ ル 当 た り の 価 格 ( ド ル )

0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5 4 4.5

2002

-912 3 6 2003-912 3 6 20

04-912 3 6 20

05-912 3 6 2006-912 3 6 2007-9 12

Source: USDA, Agricultural Marketing Service, Grain and Feed Market News.

エ ネ ル ギ ー・ア ナ リ ス ト で あ る Sanford C. Bernstein & Co の リ サ ー チ に よ れ ば 、エ タ ノ ー ル 価 格 は 基 本 的 に ガ ソ リ ン 価 格 を 反 映 す る に す ぎ ず 、 「 エ タ ノ ー ル が 収 益 を 上 げ る に は 石 油 価 格 は 70 ド ル を 超 え な け れ ば な ら な い 。 」 原 油 価 格 が 55 ド ル か ら 60 ド ル で 推 移 し て い た 2006 年 末 か ら 2007年 の 始 め に 、エ タ ノ ー ル 業 界 の 収 益 性 は 大 き な 打 撃 を 受 け け た 。エ タ ノ ー ル 価 格 は 過 去 10 年 間 に 1 ガ ロ ン あ た り 1.20 ド ル の 2 年 間 に わ た る 底 値 か ら 、4.00 ド ル の 高 値 ま で 大 き く 変 動 し て い る 。

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図 表 8 エ タ ノ ー ル ・ タ ー ミ ナ ル 価 格 の 推 移

単 位 : セ ン ト/ガ ロ ン

出 典 :Oxy-Fuel News

3. エタノール需要の牽引力

エ タ ノ ー ル 燃 料 へ の 関 心 に は 複 数 の 要 素 が 影 響 し て い る 。 そ の ひ と つ に 、 米 国 の 外 国 産 輸 入 石 油 依 存 体 質 を 改 善 す る 必 要 が あ る と 考 え ら れ て い る こ と が あ げ ら れ る 。2007 年 の 一 般 教 書 演 説 で ブ ッ シ ュ 大 統 領 は 米 国 の エ ネ ル ギ ー 安 全 保 障 の 必 要 性 を 説 い て い る 。

希 望 と 機 会 は 米 国 経 済 活 動 を 維 持 し 、 米 国 の 環 境 を 守 る 安 定 し た エ ネ ル ギ ー 供 給 に か か っ て い る 。 長 い 間 わ が 国 は 外 国 産 石 油 に 依 存 し す ぎ た 。 輸 入 石 油 依 存 は 敵 対 国 家 や テ ロ リ ス ト か ら 見 て わ れ わ れ の 弱 点 と な る 。 石 油 輸 送 に 大 き な 混 乱 を 引 き 起 こ す 、 石 油 価 格 を つ り 上 げ る 、 な ど し て わ が 国 の 経 済 に 多 大 な 害 を 与 え う る の だ 。

現 在 、米 国 は 石 油 需 要 の 59% を 輸 入 原 油 及 び 石 油 製 品 で ま か な っ て い る 。米 国 は 2006 年 に 平 均 1,400 万 バ レ ル/日 の 原 油 と 石 油 製 品 を 輸 入 し た 。こ れ は 毎 日 VLCC7 隻 分 に あ た る 。 過 去 数 十 年 に 輸 入 量 は 大 幅 に 増 大 し た 。10 年 前 に 米 国 は 平 均 950 万 バ レ ル/日 を 輸 入 し て い た 。20 年 前 に は 輸 入 量 は 平 均 620 万 バ レ ル/日 で あ っ た 。 米 国 の 石 油 製 品 需 要 が 拡 大 す る と 同 時 に 国 産 原 油 生 産 量 が 減 少 し た た め に 、 輸 入 増 に 拍 車 が か か っ た 。 現 在 需 要 は 2,060 万 バ レ ル/日 、 国 内 原 油 生 産 量 は 520 バ レ ル/日 で あ り 、 基 本 的 に 輸 入 で 不 足 分 を 埋 め て い る 。

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図 表 9 米 国 の 国 内 原 油 生 産 量 と 石 油 輸 入 量 の 推 移

0 5000 10000 15000

1982 1983 1984 1985 198

6

1987 1988 1989 1990 199

1

1992 1993 1994 1995 199

6

1997 1998 1999 2000 200 1

2002 2003 2004 2005 原油及び石油製品輸入

国内原油生産量 単位:千バレル/日

出 典 :EIA

第 2 の 要 素 は 、 大 気 汚 染 防 止 の た め の 排 出 量 削 減 と 環 境 汚 染 の 抑 制 で あ る 。 エ タ ノ ー ル を ブ レ ン ド し た 燃 料 は 完 全 燃 焼 に 近 く 、排 出 ガ ス が 少 な い 。RFAが 引 用 し て い る 研 究 に よ れ ば ガ ソ リ ン に 10% の エ タ ノ ー ル を ブ レ ン ド す る こ と に よ り 、粒 子 状 物 質 排 出 量 を 50% 、一 酸 化 炭 素 排 出 量 を 最 大 30% 、有 害 物 質 含 有 量 を 最 大 13% 減 ら す こ と が で き る 。

し か し な が ら 、 エ タ ノ ー ル に よ る 代 替 が エ ネ ル ギ ー 自 立 及 び 大 気 汚 染 の 改 善 に 与 え る 影 響 は 不 明 瞭 で あ る 。ニ ュ ー ヨ ー ク・タ イ ム ズ 紙 に 掲 載 さ れ た 記 事 で Paul Krugman は 次 の よ う に 指 摘 し て い る 。

エ タ ノ ー ル 生 産 に は 隠 れ た コ ス ト が あ る 。 比 較 的 楽 観 的 な エ ネ ル ギ ー 省 で さ え 、1 ガ ロ ン の ガ ソ リ ン を エ タ ノ ー ル で 置 き 換 え た 場 合 の エ ネ ル ギ ー 節 約 量 は 約 4 分 の 1 ガ ロ ン に す ぎ な い 、 と し て い る 。 な ぜ な ら ば 、 ト ウ モ ロ コ シ 栽 培 、 輸 送 、 エ タ ノ ー ル ・ プ ラ ン ト 運 転 等 に エ ネ ル ギ ー が 消 費 さ れ る か ら で あ る 。 消 費 さ れ る エ ネ ル ギ ー の ほ と ん ど が 化 石 燃 料 を 原 料 と し て お り 、 エ タ ノ ー ル の 使 用 を 促 進 す る こ と で 一 酸 化 炭 素 排 出 量 を 減 ら す こ と に な る か ど う か は 疑 問 で あ る 。

エ タ ノ ー ル の 利 用 を 駆 り 立 て て い る 第 3 の 、 そ し て 最 も 重 大 な 要 素 は ト ウ モ ロ コ シ 増 産 の 利 益 を 受 け る 特 定 利 益 団 体 の ロ ビ ー イ ン グ で あ る 。 米 国 の 農 業 団 体 は 常 に 強 力 な ロ ビ ー イ ス ト で あ っ た 。MTBE が 環 境 に 悪 影 響 を 与 え る 危 険 性 が あ る こ と を 熱 心 に 訴 え た の は 農 業 従 事 者 を 代 表 す る 特 定 利 益 団 体 で あ る 。 こ れ が 効 を 奏 し て 、 オ ク タ ン 価 向 上 剤 と し て ETBE が 唯 一 の 選 択 肢 と な っ た の で あ る 。 こ れ ら の 特 定 利 益 団 体 は ま た Volumetric Ethanol Excise Tax Credit( 容 量 エ タ ノ ー ル 物 品 税 控 除 ) 制 度 の 成 立 に 成 功 し て い る 。 こ れ は 2004 年 に 成 立 し た も の で あ り 、 ガ ソ リ ン に ブ レ ン ド さ れ た エ タ ノ ー ル 1 ガ ロ ン に つ き 0.51 ド ル の 助 成 金 を 提 供 す る も の で あ る 。 同 じ 利 益 団 体 が エ タ ノ

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ー ル の 燃 料 利 用 を 促 進 し て お り 、 エ タ ノ ー ル 生 産 技 術 を 開 発 し 、 助 成 を 提 供 す る 連 邦 プ ロ グ ラ ム の 成 立 に 向 け て ロ ビ ー 活 動 を 行 っ て い る 。 結 局 、 エ タ ノ ー ル 利 用 拡 大 の 動 機 の 一 部 ( お そ ら く か な り な 部 分 ) は 、 政 府 の 政 策 に 影 響 を 与 え 、 ガ ソ リ ン 代 替 燃 料 と し て の エ タ ノ ー ル の 競 争 力 を 強 化 す る た め ― ― 競 争 相 手 に な ら な い 程 度 を 減 ら す た め と 言 っ た 方 が 正 確 か も し れ な い ― ― に 助 成 金 を 受 け よ う と す る 特 別 利 益 団 体 に よ る ロ ビ ー イ ン グ の 結 果 で あ る 。

4. エタノール産業を牽引する主要プレーヤー

再 生 可 能 燃 料 協 会 (RFA) に よ れ ば 、 現 在 155 の エ タ ノ ー ル 生 産 事 業 者 が 存 在 す る 。 現 在 の エ タ ノ ー ル の 生 産 能 力 は 54 億 ガ ロ ン で あ り 、建 設 中 の 施 設 に よ り さ ら に 62 億 ガ ロ ン の 生 産 能 力 が 追 加 さ れ る 。 運 転 中 、 建 設 中 を あ わ せ た 総 生 産 能 力 の う ち 、 農 業 従 事 者 が 所 有 す る プ ラ ン ト が 55 ヶ 所 で 、25 億 ガ ロ ン 、約 21% を 占 め て い る 。し か し 、こ の 数 字 の 裏 に は 現 在 進 行 中 の 重 要 な ト レ ン ド が 隠 さ れ て い る 。 農 業 従 事 者 が エ タ ノ ー ル 生 産 に 及 ぼ す 影 響 力 が 減 少 し て い る こ と で あ る 。 現 在 運 転 中 の 施 設 の エ タ ノ ー ル 生 産 能 力 の 34% を 農 業 従 事 者 が コ ン ト ロ ー ル す る 企 業 が 占 め て い る の に 対 し て 、現 在 建 設 中 の 施 設 の 生 産 能 力 に 占 め る 割 合 は 11% に す ぎ な い 。高 収 益 が 得 ら れ る と 見 込 ん で 、大 型 企 業 が こ の 部 門 に 参 入 し て い る の だ 。

米 国 の 最 大 手 エ タ ノ ー ル 生 産 企 業 は Archer Daniels Midland で あ る 。ADM は イ リ ノ イ 州 Decatur に 本 社 を 置 く 株 式 公 開 企 業 で あ り 、 創 立 は 1902 年 に さ か の ぼ る 。 同 社 は 世 界 最 大 級 の 農 産 物 製 造 加 工 事 業 者 で あ る 。ADM は 米 国 内 外 で 250 ヶ 所 を こ え る 製 造 加 工 施 設 を 運 転 し て お り 、最 新 の 会 計 年 度 に 366億 ド ル の 売 上 を 記 録 し て い る 。こ れ ら の 施 設 に は 7 つ の エ タ ノ ー ル 生 産 プ ラ ン ト が 含 ま れ て お り 、現 在 ま た は 将 来 の エ タ ノ ー ル 生 産 能 力 は 13 億 ガ ロ ン で 、 業 界 全 体 の 11% を 占 め る 。 こ の 分 野 で 圧 倒 的 な 優 勢 を 保 っ て い る こ と か ら 、CNN は 最 近 、 「 エ タ ノ ー ル が 新 聞 の 見 出 し を 賑 わ す か ぎ り 、 投 資 家 が ト レ ン ド に 乗 る た め の 最 善 の 方 法 の ひ と つ と し て ADM の 名 前 が あ が る で あ ろ う 」 と し た 。

主 要 な エ タ ノ ー ル 生 産 事 業 者 を 以 下 に 挙 げ る 。

• VeraSun Energy Corp.― ― プ ラ ン ト 5 基 を 運 転 、 建 設 中 。 総 生 産 能 力 56 万 ガ ロ ン / 年

• US BioEnergy Corp.― ― プ ラ ン ト 6 基 を 運 転 、 建 設 中 。 総 生 産 能 力 50 万 ガ ロ ン / 年

• Hawkey Renewables― ― 総 生 産 能 力 22 万 ガ ロ ン / 年 の プ ラ ン ト 2 基 を 運 転 。 10 万 ガ ロ ン / 年 の 3 号 プ ラ ン ト を 建 設 中

• ASAlliances Biofuels― ―10 万 ガ ロ ン / 年 の エ タ ノ ー ル プ ラ ン ト 3基 を 建 設 中

• The Andersons― ―55,000ガ ロ ン / 年 の プ ラ ン ト 1 基 が 稼 動 中 。22 万 ガ ロ ン / 年 の プ ラ ン ト 2 基 を 建 設 中

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• Tale & Lyle― ―67,000 ガ ロ ン / 年 の プ ラ ン ト 1 基 が 稼 動 中 。第 2 プ ラ ン ト と 第 1 プ ラ ン ト 拡 張 で さ ら に 143,000ガ ロ ン / 年 の 能 力 拡 大

• Aventine Renewable Energy― ― エ タ ノ ー ル プ ラ ン ト 2基 、総 生 産 能 力207,000 ガ ロ ン / 年

• Abengoa Bioenergy Corp.― ― 総 生 産 能 力 11 万 ガ ロ ン / 年 の プ ラ ン ト 3基 が 稼 動 中 。88,000 ガ ロ ン / 年 の 第 4 プ ラ ン ト を 建 設 中

• Global Eternol― ―95,000ガ ロ ン / 年 の プ ラ ン ト 1 基 が 運 転 中 、さ ら に 57,000 ガ ロ ン / 年 の 第 2 プ ラ ン ト を 建 設 中 。

• Renew Energy― ― 生 産 能 力 13 万 ガ ロ ン / 年 の プ ラ ン ト 1 基 を 建 設 中

• Arkalon Energy― ― 生 産 能 力 11 万 ガ ロ ン / 年 の プ ラ ン ト 1 基 を 建 設 中

• CassCo Amaizing Energy― ― 生 産 能 力 11 万 ガ ロ ン / 年 の プ ラ ン ト 1 基 を 建 設 中

• Golden Grain Energy― ― 生 産 能 力 11 万 ガ ロ ン / 年 の プ ラ ン ト 1 基 を 運 転

• Platinum Ethanol― ― 生 産 能 力 11 万 ガ ロ ン / 年 の プ ラ ン ト 1 基 を 建 設 中

• Southwest Iowa Renewable Energy― ― 生 産 能 力11万 ガ ロ ン / 年 の プ ラ ン ト1 基 を 建 設 中

• Cascade Grain― ―108,000 ガ ロ ン / 年 の プ ラ ン ト 1 基 を 建 設 中 。

付 録 1 に 現 在 米 国 で 運 転 中 ま た は 建 設 中 の エ タ ノ ー ル プ ラ ン ト の 所 在 地 と 、 エ タ ノ ー ル 生 産 用 原 料 、 生 産 能 力 を ま と め た 。

エ タ ノ ー ル 産 業 の 発 展 を 促 進 す る た め に 様 々 な ロ ビ ー 団 体 が 組 織 さ れ て い る 。 エ タ ノ ー ル 燃 料 産 業 の 主 要 ロ ビ ー 団 体 の ひ と つ が 再 生 可 能 燃 料 協 会 (RFA) で あ る 。 同 協 会 の ミ ッ シ ョ ン は 「 燃 料 エ タ ノ ー ル の 生 産 と 利 用 の 増 加 に つ な が る 政 策 、 規 則 、 研 究 開 発 イ ニ シ ア テ ィ ブ を 促 進 す る 」こ と で あ る 。RFA の 会 員 に は エ タ ノ ー ル 燃 料 部 門 の 主 要 企 業 の ほ と ん ど が 名 を 連 ね て い る 。 他 の 重 要 な 業 界 団 体 は 米 国 エ タ ノ ー ル 連 盟 (American Coalition on Ethanol) で あ り 、 「 米 国 エ タ ノ ー ル 業 界 の 世 論 」 と 自 称 し て い る 。ACE は 47 州 に 1,200 以 上 の 会 員 を 抱 え る と 主 張 し て い る 。 同 連 盟 の ミ ッ シ ョ ン は 「 エ タ ノ ー ル 生 産 と 利 用 の 増 加 を 促 進 す る 」こ と で あ る 。第 3 の ロ ビ ー 団 体 は 米 国 ト ウ モ ロ コ シ 栽 培 者 協 会(National Corn Growers Association)で あ る 。同 協 会 は「 会 費 を 納 め て い る 会 員 は 48 州 で 32,300」 と し て い る 。 同 協 会 の ミ ッ シ ョ ン は 「 ト ウ モ ロ コ シ 栽 培 者 の 機 会 を 創 出 し 拡 大 す る 」 こ と で あ り 、 そ れ に は 「 議 員 と 協 力 し て エ タ ノ ー ル 需 要 を 増 や す 」 こ と が 含 ま れ て い る 。

5. エタノール利用についての米国政府の姿勢

過 去 30 年 間 に 代 替 燃 料 と し て の エ タ ノ ー ル の 利 用 を 促 進 す る 様 々 な 法 律 が 成 立 し て い る 。1978年 エ ネ ル ギ ー 税 法 は エ タ ノ ー ル を 10% ブ レ ン ド し た ガ ソ リ ン(Gasohol)に 対 し て 連 邦 ガ ソ リ ン 物 品 税 を 1 ガ ロ ン あ た り 0.04 ド ル 減 額 す る こ と に よ り ガ ソ リ ン の エ タ ノ ー ル 混 合 を 奨 励 し た 。 こ れ は エ タ ノ ー ル 1 ガ ロ ン あ た り 0.40 ド ル の 助 成 金 に 相

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当 す る 。1980年 に は エ ネ ル ギ ー 安 全 保 障 法 に よ り 小 型 エ タ ノ ー ル・プ ラ ン ト の 建 設 に 対 し 政 府 が 融 資 保 証 を 提 供 し た 。 同 年 、 議 会 は 輸 入 を 抑 制 し 国 内 エ タ ノ ー ル 生 産 者 を 保 護 す る た め に 外 国 産 エ タ ノ ー ル に 輸 入 関 税 を か け た 。

1980 年 代 に は 様 々 な イ ン セ ン テ ィ ブ 税 制 に よ り エ タ ノ ー ル 助 成 率 が 変 化 し て い る 。 1983 年 の 陸 路 輸 送 支 援 法 に よ り エ タ ノ ー ル に 対 す る 助 成 は 1 ガ ロ ン あ た り 0.50 ド ル に 引 き 上 げ た ら れ た 。1 年 後 に 1984年 税 制 改 革 法 で 助 成 は 再 び 1 ガ ロ ン あ た り 0.60 ド ル に 引 き 上 げ ら れ た 。 そ の 後 1990 年 の 包 括 予 算 調 整 法 で エ タ ノ ー ル 助 成 率 は 1 ガ ロ ン あ た り 0.54 ド ル に 引 き 下 げ ら れ た 。

1992年 エ ネ ル ギ ー 政 策 法(EPACT)で 特 定 の 政 府 車 両 に E85 で 走 行 で き る 車 両 の 購 入 を 開 始 す る こ と が 義 務 づ け ら れ た 。 同 年 、 修 正 大 気 汚 染 防 止 法 ( ク リ ー ン ・ エ ア 法 ) に よ り 、 一 酸 化 炭 素 の 排 出 が 特 に 深 刻 な 問 題 と な っ て い る 39 の 主 要 地 域 に お い て 冬 季 に 含 酸 素 燃 料 の 使 用 が 義 務 付 け ら れ た 。1995年 に 環 境 保 護 庁(EPA)は ス モ ッ グ の 発 生 が 著 し い 都 市 地 域 で 改 質 ガ ソ リ ン の 使 用 を 義 務 づ け た 。 ま た 1990 年 代 の 半 ば に 、 複 数 の 州 が 地 元 の エ タ ノ ー ル 生 産 者 が 事 業 を 継 続 で き る よ う に 助 成 プ ロ グ ラ ム を 開 始 し 、 自 動 車 メ ー カ ー は E85 燃 料 で 走 行 可 能 な フ レ キ シ ブ ル 燃 料 車 の 大 量 生 産 を 開 始 し た 。

1998 年 に エ タ ノ ー ル 助 成 は 2005 年 ま で 延 長 さ れ た が 、 助 成 額 は 7 年 間 に 0.54 ド ル か ら 0.51 ド ル に 徐 々 に 引 き 下 げ ら れ た 。2004年 に 米 国 雇 用 創 出 法 に よ り 、Volumetric Ethanol Excise Tax Credit( 容 量 エ タ ノ ー ル 物 品 税 控 除 ) 制 度 が 成 立 し 、 エ タ ノ ー ル 1 ガ ロ ン あ た り 0.51 ド ル の 減 税 が 2010年 ま で 延 長 さ れ た 。VEETCは 完 成 品 の ブ レ ン ド・

ガ ソ リ ン に か か る 連 邦 物 品 税 を 減 額 す る 物 品 税 控 除 の か た ち と な っ て い る 。 こ の 物 品 税 控 制 度 で は 、ガ ソ リ ン 販 売 者 は 1 ガ ロ ン あ た り 0.184 ド ル の 連 邦 ガ ソ リ ン 物 品 税 か ら エ タ ノ ー ル 1 ガ ロ ン あ た り 0.51 ド ル に エ タ ノ ー ル 混 合 率 を 掛 け た 金 額 を 差 し 引 く こ と が で き る 。E10 燃 料 は 1 ガ ロ ン あ た り 0.051 ド ル の 物 品 税 還 付 を 受 け る こ と が で き 、E-85 燃 料 で は 1 ガ ロ ン あ た り 0.4335 ド ル の 物 品 税 還 付 と な る 。 こ の 物 品 税 還 付 は 現 在 も 実 施 さ れ て い る 。

6. 米国のエタノール政策の動向

2007 年 の 年 頭 に ブ ッ シ ュ 大 統 領 は 今 後 10 年 間 に わ た り 再 生 可 能 燃 料 の 利 用 目 標 を 大 幅 に 増 大 し 、 こ の 拡 大 し た 目 的 を 達 成 す る た め の 技 術 に 対 し て 連 邦 政 府 の 支 援 を 提 供 す る こ と を 提 案 し た 。2007年 の 一 般 教 書 演 説 で ブ ッ シ ュ 大 統 領 は 次 の よ う に 述 べ た 。

エ ネ ル ギ ー 供 給 の 多 様 化 は 米 国 の 国 益 に と っ て 必 要 不 可 欠 で あ る 。 テ ク ノ ロ ジ ー が 前 進 の か ぎ を 握 っ て い る 。 米 国 に お け る 発 電 の 方 法 を 変 え 続 け な け れ ば な ら な い 。 ク リ ー ン ・ コ ー ル 技 術 、 太 陽 ・ 風 力 発 電 、 ク リ ー ン で 安 全 な 原 子 力 利 用 を 拡 大 し な け れ ば な ら な い 。 プ ラ グ イ ン ・ バ ッ テ リ ー 車 、 ハ イ ブ リ ッ ド 車 向 け の バ ッ テ リ ー 技 術 の 研 究 に 力 を 入 れ 、 ク リ ー ン ・ デ ィ ー ゼ ル 車 や バ イ オ デ ィ ー ゼ ル 燃 料 の 利 用 を 拡 大 す る 必

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要 が あ る 。 ウ ッ ド チ ッ プ か ら 草 、 農 業 廃 棄 物 ま で あ ら ゆ る も の を 使 っ て エ タ ノ ー ル を 生 産 す る 新 た な 方 法 へ の 投 資 を 継 続 し な け れ ば な ら な い 。

ワ シ ン ト ン の 政 策 と 市 場 の 強 力 な 反 応 の お か げ て 、 我 々 は 大 き く 前 進 し て き た 。 そ し て さ ら に 飛 躍 的 な 前 進 の 可 能 性 を 目 の 前 に し て い る 。 私 は 議 会 に 対 し て こ の 目 標 に 向 か っ て 協 力 を よ び か け る 。 こ れ ま で の 実 績 を 基 盤 と し て 、 今 後 10 年 間 に 米 国 の ガ ソ リ ン 消 費 を 20% 削 減 し よ う 。こ れ に よ り 、現 在 中 東 か ら 輸 入 し て い る 石 油 の 4 分 の 3 に 相 当 す る 輸 入 量 を 削 減 す る こ と が で き る 。

こ の 目 標 達 成 の た め に は 代 替 燃 料 の 供 給 を 増 や さ な け れ ば な ら な い 。2017年 に は 再 生 可 能 燃 料 及 び 代 替 燃 料 の 使 用 量 を 350 億 ガ ロ ン に す る 強 制 燃 料 基 準 を 設 定 す る 。こ れ は 現 在 の 目 標 の 5 倍 近 く に な る 。 同 時 に 、 軽 ト ラ ッ ク で 行 っ た の と 同 様 に 自 動 車 の 燃 費 基 準 を 改 革 、 近 代 化 す る 必 要 が あ る 。 そ し て 2017 年 ま で に は ガ ソ リ ン 消 費 量 を さ ら に 年 間 85 億 ガ ロ ン 減 ら す 。

大 統 領 が 概 説 し た エ タ ノ ー ル に よ る 石 油 製 品 代 替 と 穏 健 な 省 エ ネ 政 策 は エ ネ ル ギ ー 自 立 を 達 成 す る に は 不 十 分 と 考 え る 向 き も 多 い こ と を 指 摘 し な け れ ば な ら な い 。 重 要 な こ と は 、 エ タ ノ ー ル が 主 と し て 欧 州 及 び ア ジ ア か ら 輸 入 さ れ る ガ ソ リ ン の 代 替 で あ り 、 政 情 不 安 定 な 地 域 か ら 輸 入 さ れ る 原 油 の 需 要 を 必 ず し も 大 き く 減 ら す わ け で は な い 。 今 後 も 引 き 続 き 米 国 の 外 国 原 油 依 存 度 は 拡 大 す る で あ ろ う 。 エ ネ ル ギ ー 省 は 2030 年 ま で 原 油 輸 入 量 は 年 間 1.4% 増 加 す る と 予 測 し て い る 。

先 述 し た よ う に 、2017 年 ま で に 350 億 ガ ロ ン と い う 行 政 府 の エ タ ノ ー ル 消 費 目 標 を 達 成 す る た め に 十 分 な ト ウ モ ロ コ シ の 生 産 能 力 が 米 国 に 存 在 せ ず 、 こ の 目 標 を 達 成 し よ う と す れ ば ト ウ モ ロ コ シ 価 格 が 急 騰 す る と 考 え る 向 き も あ る 。 ワ シ ン ト ン DC の Earth Policy Institute は エ タ ノ ー ル 原 料 向 け の ト ウ モ ロ コ シ 需 要 は 米 国 の ト ウ モ ロ コ シ 生 産 能 力 を 大 き く 上 回 る と し て お り 、 「 エ タ ノ ー ル 精 製 所 の 新 設 許 可 を 一 時 停 止 」 す る 必 要 が あ る と 説 い て い る 。 批 判 者 の 間 で は エ ネ ル ギ ー 自 立 を 達 成 す る た め に は 積 極 的 な 省 エ ネ プ ロ グ ラ ム で 大 幅 に 石 油 消 費 量 を 減 ら す し か 方 法 は な い 、と い う 見 方 が 一 般 的 で あ る 。

2007 年 12 月 に は 再 生 可 能 燃 料 と エ ネ ル ギ ー 安 全 保 障 の 促 進 を 趣 意 と す る 2007 年 エ ネ ル ギ ー 自 立 ・ 安 全 保 障 法 が 大 統 領 の 署 名 に よ り 成 立 し た 。同 法 の タ イ ト ル II「 バ イ オ 燃 料 増 産 に よ る エ ネ ル ギ ー 安 全 保 障 」 で は 、 バ イ オ 燃 料 利 用 基 準 を 2022 年 に 360 億 ガ ロ ン と 設 定 し て お り 、 ブ ッ シ ュ 大 統 領 が 2007 年 の 一 般 教 書 で 掲 げ た 2017 年 に 350 億 ガ ロ ン と い う バ イ オ 燃 料 利 用 基 準 よ り は 控 え め な 数 字 と な っ て い る が 、 そ れ で も 現 行 水 準 の 約 5 倍 で あ る 。

同 法 で 特 定 さ れ た 2022 年 の 再 生 可 能 燃 料 要 件 の う ち 、210 億 バ レ ル(7,949 万 キ ロ リ ッ ト ル)は 先 進 バ イ オ 燃 料 と さ れ て い る 。

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先 進 バ イ オ 燃 料 に は 以 下 の も の が 含 ま れ る 。

• セ ル ロ ー ス 、 へ ミ セ ル ロ ー ス 、 リ グ ニ ン を 原 料 と す る エ タ ノ ー ル

• 砂 糖 、 ま た は コ ー ン ス タ ー チ 以 外 の 澱 粉 を 原 料 と す る エ タ ノ ー ル

• 作 物 残 渣 、 そ の 他 の 植 物 性 廃 棄 物 、 動 物 性 廃 棄 物 、 生 ゴ ミ 、 庭 ゴ ミ を 原 料 と す る エ タ ノ ー ル

• バ イ オ マ ス ・ デ ィ ー ゼ ル

• 再 生 可 能 な バ イ オ マ ス に 含 ま れ る 有 機 物 の 変 質 に よ り 発 生 す る バ イ オ ガ ス ( 埋 立 地 ガ ス 、 下 水 処 理 ガ ス を 含 む )

• 再 生 可 能 な バ イ オ マ ス に 含 ま れ る 有 機 物 の 変 質 に よ り 発 生 す る ブ タ ノ ー ル を は じ め と す る そ の 他 の ア ル コ ー ル

• セ ル ロ ー ス 系 バ イ オ マ ス か ら 抽 出 さ れ た そ の 他 の 燃 料

2022年 に は 210億 ガ ロ ン(7,949 万 キ ロ リ ッ ト ル )の 先 進 バ イ オ 燃 料 の う ち 160億 ガ ロ ン(6,056万 キ ロ リ ッ ト ル )を セ ル ロ ー ス 系 バ イ オ 燃 料2と す る こ と が 目 標 と し て 定 め れ ら れ て お り 、 穀 物 を 原 料 と し な い バ イ オ 燃 料 へ の 移 行 に 重 点 が 置 か れ て た も の と な っ て い る 。

最 後 に 、 輸 入 エ タ ノ ー ル に 対 し て 1 ガ ロ ン あ た り 0.54 ド ル の 関 税 が 掛 け ら れ て お り 、 少 な く と も 2009 年 1 月 1 日 ま で こ れ が 有 効 で あ る 。こ れ は 前 議 会 で 2006年 12 月 に 包 括 税 制 法 が 可 決 さ れ た 結 果 で あ り 、2007年 10 月 1日 に 失 効 す る 予 定 で あ っ た 輸 入 エ タ ノ ー ル 関 税 が 同 法 に よ り 延 長 さ れ た も の で あ る 。 こ の 輸 入 関 税 の 目 的 は 米 国 エ タ ノ ー ル 生 産 者 向 け に 市 場 を 保 護 す る た め に エ タ ノ ー ル 輸 入 を 抑 制 す る こ と に あ る 。 一 方 、 ブ ラ ジ ル は 今 後 4 年 間 に エ タ ノ ー ル 生 産 量 を 40% 拡 大 す る た め に 82 億 ド ル を 投 資 す る こ と を 最 近 決 定 し た 。 米 国 で エ タ ノ ー ル が 石 油 代 替 燃 料 と し て 必 要 と 考 え ら れ て い る こ と 、 ト ウ モ ロ コ シ の 価 格 上 昇 、 エ タ ノ ー ル の 生 産 を 拡 大 す る ブ ラ ジ ル の 決 定 で 、 今 議 会 で は 2009年 以 降 も 輸 入 関 税 を 継 続 す る か ど う か が 争 わ れ る で あ ろ う 。

2 「 セ ル ロ ー ス 系 バ イ オ 燃 料 」 と は 、 再 生 可 能 な バ イ オ マ ス か ら 得 ら れ る セ ル ロ ー ス 、 へ ミ セ ル ロ ー ス 、 リ グ ニ ン か ら 抽 出 さ れ 、 ラ イ フ サ イ ク ル 温 室 ガ ス 排 出 量 が ベ ー ス ラ イ ン の 温 室 ガ ス 排 出 量 よ り も 少 な く と も 60% 少 な い 再 生 可 能 燃 料 を 指 す 。

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第 2 部 世界のエタノール事情

1. 世界のエタノール生産と消費

世 界 の エ タ ノ ー ル 生 産 量 は 現 在 約 135 億 ガ ロ ン (5,110 万 キ ロ リ ッ ト ル ) と 推 定 さ れ て い る 。 こ の 数 字 に は 全 て の グ レ ー ド ( 医 療 用 、 飲 料 用 、 工 業 用 、 燃 料 ) の エ タ ノ ー ル が 含 ま れ て い る 。過 去 3 年 間 に 世 界 の エ タ ノ ー ル 生 産 量 は 25%増 加 し た 。エ タ ノ ー ル 生 産 量 は 今 後 も 急 速 に 増 加 す る と 考 え ら れ て い る が 、 エ タ ノ ー ル 生 産 の 副 次 的 な 影 響 に 関 し て 論 議 が 高 ま っ て い る こ と か ら 、 今 後 の 成 長 に 影 響 を 及 ぼ す 可 能 性 が あ る 。

1.1 現 在 の 生 産 パ タ ー ン

エ タ ノ ー ル 生 産 は 比 較 的 少 数 の 国 に 集 中 し て お り 、2006年 に は 世 界 の 総 生 産 量 の 69%

を 米 国 と ブ ラ ジ ル の 2カ 国 が 占 め 、5 カ 国 が 世 界 の エ タ ノ ー ル 総 生 産 量 の 82%を 占 め て い る 。 図 表 10 は 2006 年 の エ タ ノ ー ル 生 産 量 上 位 25 カ 国 で あ り 、 こ れ ら の 国 々 が 総 生 産 量 の 99%以 上 を 占 め て い る 。

図 表 10 世 界 の 年 間 エ タ ノ ー ル 生 産 量

(100 万 ガ ロ ン)

国 2004 2005 2006 国 2004 2005 2006

米国 3,535 4,264 4,855 サ ウ ジ ア ラ ビ ア 79 32 52

ブラジル 3,989 4,227 4,491 イ ン ド ネ シ ア 44 45 45

中国 964 1,004 1,017 ア ル ゼ ン チ ン 42 44 45

インド 462 449 502 イ タ リ ア 40 40 43

フランス 219 240 251 オ ー ス ト ラ リ ア 33 33 39

ドイツ 71 114 202 日 本 31 30 30

ロシア 198 198 171 ス ウ ェ ー デ ン 26 29 30

カナダ 61 61 153 パ キ ス タ ン 26 24 24

スペイン 79 93 122 フ ィ リ ピ ン 22 22 22

南アフリカ 110 103 102 ガ テ マ ラ 17 17 21

タイ 74 79 93 韓 国 22 17 16

英国 106 92 74 そ の 他 401 770 952

ウクライナ 66 65 71

ポーランド 53 58 66 合 計 10,770 12,150 13,489

出 典 :F.O. Licht

2大 生 産 国 で あ る ブ ラ ジ ル と 米 国 の エ タ ノ ー ル 生 産 量 は 過 去25年 間 に 大 幅 に 増 加 し た 。 図 表 11 に 示 す よ う に 、 ブ ラ ジ ル の エ タ ノ ー ル 生 産 量 は 1982 年 の 10 億 ガ ロ ン (378.5 万 キ ロ リ ッ ト ル )弱 か ら 2006年 に 約 45 億 ガ ロ ン(1,703 万 キ ロ リ ッ ト ル )へ と 4 倍 以 上 増 加 し て い る 。米 国 の エ タ ノ ー ル 生 産 量 は さ ら に 急 速 に 増 加 し て お り 、特 に 過 去 5年 間 の 成 長 は 著 し い 。2002年 以 来 米 国 の エ タ ノ ー ル 生 産 量 は 2 倍 以 上 に 拡 大 し て い る 。

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図 表 11 ブ ラ ジ ル と 米 国 に お け る 年 間 エ タ ノ ー ル 生 産 量 の 推 移

(100 万 ガ ロ ン )

出 典 : Earth Policy Institute

そ れ ぞ れ の エ タ ノ ー ル 生 産 国 に つ い て 、 使 用 原 料 と エ タ ノ ー ル 生 産 に 影 響 を 与 え て い る 政 策 に つ い て 「 各 国 の エ タ ノ ー ル 生 産 概 要 」 と し て 以 下 に ま と め た 。 中 南 米 の エ タ ノ ー ル 精 製 所 の 主 要 原 材 料 は サ ト ウ キ ビ で あ り 、 北 米 の 精 製 所 の 主 要 原 材 料 は ト ウ モ ロ コ シ で あ る 。他 の 地 域 に つ い て は 、中 国 で は ト ウ モ ロ コ シ と 小 麦 、イ ン ド で は サ ト ウ キ ビ 、 EU で は 穀 類 、 テ ン サ イ 、 南 ア フ リ カ で は ト ウ モ ロ コ シ と サ ト ウ キ ビ が 原 材 料 と し て 使 用 さ れ て い る 。

エ タ ノ ー ル の 燃 料 添 加 物 と し て の 利 用 を 奨 励 す る 各 国 の 政 策 が エ タ ノ ー ル 生 産 に 大 き な 影 響 を 与 え て い る 事 実 が 浮 か び 上 が る 。 エ タ ノ ー ル 添 加 の 義 務 付 け は 国 内 に 専 属 市 場 を 生 み 出 し て お り 、 そ の 他 に エ タ ノ ー ル 生 産 を 奨 励 す る た め の 様 々 な 政 府 助 成 や イ ン セ ン テ ィ ブ が 存 在 す る 。

各 国 の エ タ ノ ー ル 生 産 概 要3 中 南 米

ブ ラ ジ ル サ ト ウ キ ビ

ブ ラ ジ ル 政 府 は 1970 年 代 半 ば に 全 国 燃 料 ア ル コ ー ル プ ロ グ ラ ム を 開 始 し た 。 ブ ラ ジ ル の 自 動 車 燃 料 の 30%以 上 が 現 在 で は サ ト ウ キ ビ を 原 料 と す る エ タ ノ ー ル か ら 得 ら れ て い る 。 ブ ラ ジ ル 政 府 は 最 近 大 規 模 な エ タ ノ ー ル 増 産 奨 励 策 を 発 表 し 、 エ タ ノ ー ル 輸 出 イ ン フ ラ 整 備 を 行 っ て い る 。

3 出 典 : Earth Policy Institute, Ethanol’s Potential, June 2005; USDA Foreign Agricultural Service GAIN Reports そ の 他 の 業 界 出 版 物 、企 業 プ レ ス リ リ ー ス か ら の 情 報 を ま と め た も の 。

0 1000 2000 3000 4000 5000

198 2

1983 1984

1985 1986

1987 198

8 1989

1990 1991

1992 1993

1994 199

5 1996

1997 1998

1999 2000

200 1

200 2

2003 2004

2005 2006

米国 ブラジル

(20)

ペ ル ー サ ト ウ キ ビ

2002年 に ペ ル ー 政 府 は 最 大 20 の エ タ ノ ー ル 精 製 所 を 建 設 し 、内 陸 部 か ら Bajovar港 ま で エ タ ノ ー ル ・ パ イ プ ラ イ ン を 敷 設 す る 計 画 を 発 表 し た 。 同 計 画 は 2010 年 ま で に 3 億 ガ ロ ン (1,136,000 キ ロ リ ッ ト ル ) の エ タ ノ ー ル を 輸 出 す る こ と と し て い る 。 ド イ ツ の MAN Ferrostaal が ピ ウ ラ の 新 エ タ ノ ー ル ・プ ラ ン ト に 1 億 ド ル を 投 資 す る こ と に な っ て い る 。

コ ロ ン ビ ア サ ト ウ キ ビ

2005年 以 来 人 口 50万 人 を 超 え る 都 市 で は 燃 料 の 10%に エ タ ノ ー ル 使 用 が 義 務 付 け ら れ て い る 。 エ タ ノ ー ル 生 産 を 奨 励 す る 優 遇 税 制 や 政 府 プ ロ ジ ェ ク ト が 実 施 さ れ て い る 。 現 在 5 つ の プ ラ ン ト が 稼 動 し て お り 、2009 年 の 運 転 開 始 に 向 け て さ ら に 3 ヶ 所 の フ ィ ー ジ ビ リ テ ィ 研 究 が 実 施 さ れ た 。

中 米 サ ト ウ キ ビ

中 米 諸 国 は 2010 年 に 1 億 3,000 万 ガ ロ ン (492,100 キ ロ リ ッ ト ル ) を 超 え る エ タ ノ ー ル を 生 産 す る 計 画 で あ る 。こ れ は 、エ タ ノ ー ル 10%混 合 ガ ソ リ ン の 義 務 付 け に 充 分 対 応 で き る 量 で あ る 。 中 米 諸 国 は CBI( カ リ ブ 海 諸 国 経 済 復 興 )に よ り エ タ ノ ー ル 混 合 燃 料 を 米 国 に 非 関 税 で 輸 出 す る こ と が で き る 。

北 米

米 国 ト ウ モ ロ コ シ

第 1 部 で 詳 説 し た と お り エ ネ ル ギ ー 自 立 政 策 の 一 環 と し て エ タ ノ ー ル 利 用 を 奨 励 す る 政 府 イ ニ シ ア テ ィ ブ が 進 行 中 で あ る 。 ト ウ モ ロ コ シ 生 産 者 に よ り エ タ ノ ー ル 燃 料 使 用 を 促 進 す る 積 極 的 な ロ ビ ー 活 動 が 展 開 さ れ て い る 。米 国 の エ タ ノ ー ル 生 産 部 門 で は 150以 上 の 企 業 が 事 業 を 行 っ て い る 。 輸 入 エ タ ノ ー ル に は 関 税 が か け ら れ て お り 、 米 国 の 生 産 者 を 保 護 し て い る 。

カ ナ ダ ト ウ モ ロ コ シ 、 小 麦 、 大 麦

全 国 バ イ オ マ ス ・ エ タ ノ ー ル ・ プ ロ グ ラ ム (National Biomas Ethanol Program) に よ り エ タ ノ ー ル 生 産 者 に 融 資 保 証 が 提 供 さ れ て い る 。少 な く と も 6 つ の エ タ ノ ー ル ・ プ ラ ン ト が 建 設 中 で あ り 、 そ れ ら の 生 産 能 力 は 2 億 ガ ロ ン (757,100 キ ロ リ ッ ト ル ) と な る 。カ ナ ダ は ガ ソ リ ン の 35%を E10 ブ レ ン ド で 置 き 換 え る こ と を 義 務 付 け て お り 、年 間 3 億 5,000 万 ガ ロ ン(132,5000 キ ロ リ ッ ト ル)の エ タ ノ ー ル 生 産 が 必 要 と な る 。 エ タ ノ ー ル 部 分 に 関 し て ガ ソ リ ン 消 費 税 の 減 額 措 置 が 取 ら れ て い る 。

ヨ ー ロ ッ パ

EU 穀 物 、 テ ン サ イ

強 制 力 の な い EC指 令 に よ り 、EU 諸 国 は 2010 年 に 自 動 車 燃 料 需 要 の 5.75%を バ イ オ 燃 料 と す る よ う 求 め ら れ て い る 。長 期 的 な 目 標 で は 、2015年 ま で に 8%、2030年 ま で に 25%を バ イ オ 燃 料 と す る こ と が 求 め ら れ て い る 。EU 加 盟 国 は バ イ オ 燃 料 を 石 油 製 品 税 の 対 象 か ら 除 外 す る こ と が で き る 。

(21)

ア ジ ア 太 平 洋 諸 国

中 国 小 麦 、 ト ウ モ ロ コ シ 、 サ ツ マ イ モ 、 キ ャ ッ サ バ

2001年 以 降 、5つ の 都 市 で エ タ ノ ー ル を ベ ー ス と す る 燃 料 が 試 験 的 に 奨 励 さ れ て い る 。 Jilin Tianheエ タ ノ ー ル 精 製 所 は 世 界 最 大 の プ ラ ン ト で あ り 、 年 間 2 億 5,000 万 ガ ロ ン

(946,300キ ロ リ ッ ト ル ) を 生 産 し 、 生 産 能 力 は 3 億 2,000 万 ガ ロ ン(1,211,000キ ロ リ ッ ト ル)で あ る 。し か し 、ト ウ モ ロ コ シ 価 格 が 高 騰 し た こ と か ら 、最 近 中 国 政 府 は ト ウ モ ロ コ シ を は じ め と す る 基 本 的 な 食 用 作 物 を 原 料 と す る エ タ ノ ー ル 燃 料 生 産 プ ロ ジ ェ ク ト を 一 時 停 止 す る 措 置 を 取 っ て い る 。

イ ン ド サ ト ウ キ ビ

2003年 以 来 9 つ の 州 で E5( ガ ソ リ ン に 5%の バ イ オ エ タ ノ ー ル を 混 合 し た 燃 料 )の 使 用 が 義 務 付 け ら れ て お り 、エ タ ノ ー ル に 消 費 税 免 税 措 置 が 取 ら れ て い る 。2008年 10月 に は エ タ ノ ー ル 混 合 率 が E10(10%混 合 ) に 引 き 上 げ ら れ る か も し れ な い 。 イ ン ド 政 府 は サ ト ウ キ ビ を 原 料 と し た エ タ ノ ー ル 生 産 を 積 極 的 に 促 進 し て い る 。現 在 約 300ヶ 所 の 精 製 所 で エ タ ノ ー ル が 生 産 さ れ て い る 。

日 本 食 品 廃 棄 物 、 木 材 、 サ ト ウ キ ビ 、 糖 蜜 ( 研 究 中 )

京 都 議 定 書 の 取 り 決 め に 従 う た め に 、 予 備 計 画 で は 2010 年 ま で に 運 輸 部 門 で 化 石 燃 料 を 50 万 キ ロ リ ッ ト ル の エ タ ノ ー ル で 代 替 す る こ と と し て い る 。 混 合 要 件 に 必 要 と さ れ る エ タ ノ ー ル 需 要 の 大 部 分 を 満 た す た め に は 輸 入 が 必 要 と な る 。 エ タ ノ ー ル 混 合 燃 料 に は 税 制 優 遇 措 置 が 取 ら れ て い る 。

タ イ カ ッ サ バ 、 サ ト ウ キ ビ 、 米

タ イ は カ ッ サ バ を 原 料 と し た エ タ ノ ー ル の 試 験 プ ラ ン ト を 保 有 し て お り 、政 府 は 2008 年 末 ま で に 12 の 本 格 的 な プ ラ ン ト を 建 設 す る こ と を 計 画 し て い る 。タ イ 政 府 は 2007年 か ら 10%の エ タ ノ ー ル 混 合 を 義 務 付 け て い る 。エ タ ノ ー ル 生 産 者 は 複 数 の 優 遇 税 制 措 置 を 受 け て い る 。

オ ー ス ト ラ リ ア 穀 物 、 サ ト ウ キ ビ 、 ソ ル ガ ム

2000年 以 来 、オ ー ス ト ラ リ ア 政 府 は エ タ ノ ー ル 生 産 に 一 連 の 免 税 、助 成 措 置 を 提 供 し て い る 。こ れ に は 、2011 年 ま で 国 産 エ タ ノ ー ル に 消 費 税 を 免 除 す る 措 置 が 含 ま れ て い る 。 最 大 10%の 自 主 的 な エ タ ノ ー ル 混 合 が 行 わ れ て い る 。2010年 ま で に 総 燃 料 供 給 の 1%を エ タ ノ ー ル で ま か な う こ と が 目 標 で あ る 。

ア フ リ カ

南 ア フ リ カ ト ウ モ ロ コ シ 、 サ ト ウ キ ビ

地 元 の ト ウ モ ロ コ シ 生 産 農 家 の コ ン ソ ー シ ア ム で あ る エ タ ノ ー ル ・ ア フ リ カ は 農 作 物 ベ ー ス の 原 料 を 使 用 し た 8 つ の エ タ ノ ー ル ・ プ ラ ン ト の 建 設 を 計 画 し て い る 。 そ の 第 1 号 は 1,125 ト ン の ト ウ モ ロ コ シ か ら 一 日 に 473,000リ ッ ト ル の ア ル コ ー ル を 生 産 す る 能 力 を 有 す る も の と な る 。Thyssenkrupp Engineering の 子 会 社 で あ る Uhde が 第 1 号 プ ラ ン ト を 建 設 す る こ と に な っ て い る 。

(22)

1.2 世 界 の エ タ ノ ー ル 生 産 と 消 費 予 測

将 来 の 世 界 の エ ネ ル ギ ー 需 要 を 満 た す う え で の エ タ ノ ー ル の 役 割 は ご く 小 さ い と 考 え ら れ て い る 。米 国 エ ネ ル ギ ー 情 報 局(EIA)の 最 近 の 予 測 で は 、2030 年 に 世 界 の 石 油 及 び そ の 他 の 液 体 燃 料 の 生 産 量 は 1 日 1 億 1,800 万 バ レ ル に 達 す る 。 こ れ は 2004年 の 液 体 燃 料 の 生 産 レ ベ ル を 42%上 回 る 数 字 で あ る 。2030 年 の 液 体 燃 料 総 生 産 量 の う ち 、 バ イ オ 燃 料 を 含 む 非 在 来 型 液 体 燃 料 の 生 産 量 は 1,050 万 バ レ ル (9%) と 予 測 さ れ て い る 。 図 表 12 に 示 す よ う に 、EIA は 世 界 の バ イ オ 燃 料 生 産 量 が 2004年 の 1 日 40 万 バ レ ル( 石 油 換 算 )か ら 2010年 に は 130万 バ レ ル 、2030年 に は 170万 バ レ ル と 推 定 し て い る 。こ の 数 字 に よ れ ば 、バ イ オ 燃 料 は 2030 年 に お け る 液 体 燃 料 総 生 産 量 の 約 1.5%を 占 め る こ と に な る 。

図 表 12 世 界 の 非 在 来 型 液 体 燃 料 生 産

単 位 100万 バ レ ル(石 油 換 算)/日

0 2 4 6 8 10 12

1980 1990 2000 2004 2010 2015 2020 2025 2030

その他 GTL CTL バイオ燃料 超重質油

カナダ・オイルサンド

バイオ燃料 0.4mboe/d

バイオ燃料 1.3 mboe/d

バイオ燃料 1.7 mboe/d

注 :CTL: コ ー ル ・ ツ ー ・ リ キ ッ ド GTL: ガ ス ・ ツ ー ・ リ キ ッ ド 出 典 : 米 国 エ ネ ル ギ ー 情 報 局 International Energy Outlook 2007

上 の グ ラ フ は EIA に よ る 基 本 ケ ー ス 予 測 で あ る 。 基 本 ケ ー ス で は 2030 年 の 平 均 原 油 価 格 を 2005 年 ド ル 換 算 で 59 ド ル と 想 定 し て い る 。EIAは ま た 原 油 価 格 が 高 い 場 合 と 低 い 場 合 に つ い て 、 バ イ オ 燃 料 生 産 量 を 予 測 し て い る 。 原 油 価 格 が 高 い 場 合 の 予 測 で は 、 2030年 の 原 油 価 格 を 2005年 ド ル 換 算 で 1 バ レ ル 100ド ル と 仮 定 し 、バ イ オ 燃 料 の 生 産 量 が1日240万 バ レ ル に 増 加 す る と 予 測 し て い る 。石 油 価 格 が 低 い 場 合 の 予 測 で は 、2015 年 に 原 油 価 格 が 1 バ レ ル 34 ド ル に 下 落 し 、2030 年 ま で こ の レ ベ ル を 保 つ と 仮 定 し 、バ イ オ 燃 料 生 産 量 は 2010年 に 1 日 120万 バ レ ル に 成 長 し た 後 、20 年 間 で 110万 バ レ ル ま で 減 少 す る と 予 測 し て い る 。

(23)

EIA の 予 測 に よ れ ば 、2030 年 に 米 国 と ブ ラ ジ ル が 世 界 の エ タ ノ ー ル 生 産 量 の ほ ぼ 3 分 の 2を 占 め る 。 米 国 の 生 産 量 は 1 日 60 万 バ レ ル ( 石 油 換 算 ) と な り 、 ブ ラ ジ ル は 50 万 バ レ ル と な る 。他 の 主 要 生 産 国 は 中 国 と イ ン ド と な る と 予 測 さ れ て い る 。2030年 に 中 国 と イ ン ド の エ タ ノ ー ル 生 産 量 は あ わ せ て 1 日 30 万 バ レ ル ( 石 油 換 算 ) と 推 定 さ れ て い る 。

図 表 13 生 産 国 別 エ タ ノ ー ル 生 産 量 予 測

単 位 :100 万 バ レ ル ( 石 油 換 算 )/日

2010 2020 2030

その他 インド 中国 ブラジル 米国 1.3

1.5

1.7

出 典 : 米 国 エ ネ ル ギ ー 情 報 局, International Energy Outlook 2007

米 国 の 生 産 と 消 費

第 1 部 で 論 じ た よ う に エ ネ ル ギ ー 自 立 の 観 点 か ら 、 米 国 は エ タ ノ ー ル 生 産 量 の 拡 大 に 強 い 関 心 を 示 し て い る 。2007年 12 月 に 再 生 可 能 な 燃 料 の 生 産 拡 大 を 要 求 す る 包 括 エ ネ ル ギ ー 法(2007年 エ ネ ル ギ ー 自 立 及 び 安 全 保 障 法 )が 大 統 領 の 署 名 に よ り 成 立 し 、エ タ ノ ー ル 生 産 政 策 は 新 た な 段 階 に 入 っ た 。 同 法 は 国 内 の 再 生 可 能 燃 料 生 産 の 目 標 を 2007 年 の 年 間 47 億 ガ ロ ン(1,779 万 キ ロ リ ッ ト ル )か ら 、2022年 に は 360 億 ガ ロ ン(13,630 万 キ ロ リ ッ ト ル)へ と 拡 大 す る こ と を 定 め て い る 。

参照

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