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意味記憶:語意、概念、知識の脳内表象

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Academic year: 2021

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(1)

意味記憶:語意、概念、知識の

脳内表象

(2)

メンタルレキシコンと概念

• 語意と概念がどのように心と脳で表象されて いるか

(3)

古典的意味論

• 意味は感覚経験から切り離され、抽象化され た(amodalな)記号として心の中に存在する • 生得的にかつ普遍的に人間が持っている原 素的概念(semantic primitives)の必要にして 十分な集合である • 語の意味は一般的な概念と区別され、言語 固有の閉じたモジュールの中で表象されてい る

(4)

Questions

• 意味記憶の研究は古典的意味論を支持して いるのだろうか? • 意味と概念は別なのだろうか? • 意味はほんとうに感覚から切り離された amodalなものなのだろうか? • 意味とは何だろうか? • 概念とは何だろうか?

(5)

Q1:概念カテゴリー固有性

• 異なる種類のことば(概念)は脳の「異なる」 部分に存在するのだろうか?同じ種類の概 念は同じ部位に「まとまって」記憶されている のだろうか? – 抽象名詞と具体名詞 – 動詞と名詞 – 道具と自然物

(6)

具体名詞と抽象名詞

• 失語症患者

-オレンジ、りんご→思い出せない

-part, supplication などの抽象語は思い出せ る -“salad”を“federation”と表現してしまう

(7)
(8)

損傷部位と障害のある意味領野との

関係

• 生物と人工物で特異的に障害がみられる場 合がある。

(9)

2011/6/28

Category-Distinction

‐Damasio,H et al.,(1996) 「実験1(損傷研究)」 ・ 被験者:脳損傷患者30人(*1) ・ 刺激:著名人/動物/道具の三カテゴリーに 属する写真(視覚提示) ・ 手順:上記の刺激がどのような名前である かを答えてもらう(*2)

(10)

Damasio,H et al.,(1996)

• 実験1結果 : personにのみ欠損を生じる患者=7名、 animalにのみ欠損を生じる患者=5名、 toolにのみ欠損を生じる患者=7名、 全てのカテゴリー=4名、 person & animal = 2名、 animal & tool=5名、

(11)

2011/6/28

Damasio,H et al.,(1996)

• 実験1;Map-3 results 1. Personに欠損を生ずる患者はleft TP (temporal pole) に損傷を負っている傾向有り 2. Animalに欠損を生ずる患者はleft IT (inferotemporal) に損傷を負っている傾向有 り 3. Toolに欠損を生ずる患者はleft IT+ (posterolateral) に損傷を負っている傾向有り ⇒ Fig.2

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2011/6/28

Damasio,H et al.,(1996)

「実験2(PET study)」 • 被験者:右利き成人9名 • 手順:実験1と同様に、person/animal/toolカ テゴリーの写真に対してNamingをしてもらい、 その際のrCBFをPETで測定する。(*1)

(14)

Damasio,H et al.,(1996)

• 結果(test condition – control) ‐ 実験1の結果と並行的に・・・

1. Personをretrieveする際は、TP領域に顕著な rCBFが確認される。

2. Animalをretrieveする際は、IT領域(foruth and inferior temporal gyri)に顕著なrCBFが確認され る。

3. Toolをretrieveする際は、IT+領域(posterior middole and inferior temporal gyri)に顕著な rCBFが確認される。

(15)

Q2:意味(概念)は脳のある一か所に

概念の種類ごとにまとまって記憶され

(16)

分散表象を示唆するデータ(1)

• 動物の名前に関する障害 →物体認識の場所に近いところに損傷がある 場合が多い(動物は人工物に比べカテゴリー 成員を決定する際に細かい知覚特性に注目 しなければならない) • 人工物の名前に関する障害 →運動前野など、事物の操作(運動)にかか わるところに損傷が見られる場合が多い

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2011/6/28

健常者によるPETを用いた研究

• Martin et al. (1996) • 人工物と動物の絵を提示、こころの中でネーミング させる。 • 動物の名前では視覚の初期段階の処理をおこなう 左後頭葉の内側部分が、工具のネーミングでは左 半球の運動前野がそれぞれ選択的に活動 • ある対象を認知、同定して単語としてあらわす際に はその対象に内在する性質を処理する神経機構も 同時に働くと考えられる

(18)
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Q4: Category specificity vs. Word class

specificity

• 動詞と名詞の処理において賦活部位が異な る • Action wordsなのか動詞なのか • →概念なのか統語クラスなのか?

(20)

名詞と動詞に特異的な障害

• 脳損傷の部位によって名詞と動詞で特異的 に障害が現れる • 名詞の障害→左側頭葉の損傷が多い • 動詞の障害→左前頭葉、頭頂葉の損傷が多 い

(21)

2011/6/28

動詞のプロセス→左前頭葉、頭頂葉

の共役

• 健常者におけるPET study - 動詞を視覚提示した場合は、名詞を視覚 提示した場合よりも、左前頭葉、頭頂葉の 活性が大きくなる(Perani.D et al.,1999)

(22)

Fig.1 from Perani.D et al.,(1999)

(VC+VA+NC+NA)-LS

Commonalities

(VC+VA)-(NC+NC)

(23)

動詞のプロセス→左前頭葉、頭頂葉

の共役

• TMS study - 前頭葉に対し集中的な 磁場を当てた場合に動 詞のプロセスが有意に 遅くなる(Shapiro,K et al.,2001)

• Fig.2 from Shapiro,K et al.,(2001)

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2011/6/28

Q3: Embodied vs. Amodal

representations

• Hauk et al.

→Somatotopic patterns of actions and reading action words are compared.

• The postulated specific cortical topographies are best illustrated using the case of action words that refer to different body parts.

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(27)

Q5: 知覚・感覚的ではない概念の特

徴はどこでどのように表象されている

のか?

• (Multi-modalではなく)Amodalに概念を表象 する部位があるのではないか?

Patterson, Nestor, & Rogers, 2007

(28)

Mr. Mの特徴

• 車の運転中、何年も前の記憶を頼りに、どこを左に曲がれば いいかがわかる • しかし、そばにいる羊の群れを何と呼べばいいのかわからな いし、それが何なのかもわからない • ウールのジャケットを着るし、ラムを食べるが、それらが、窓 から見えるものたちからできているとはわからない • 「横から撮影した羊」と「前から撮影した羊」をマッチングする ことはできる(→視覚の知覚能力のみでできる) • 羊の写真が動物かと聞かれれば、YESと言えるが、他のどん な動物が羊に似ているかは答えられない

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(36)

Why the anterior temporal lobe?

• 霊長類の研究より:一次感覚野や運動野などがATLにつな がっている →しかしこれは、ATLに特筆したことではない 例:‘tri-state’ junction (側頭葉、後頭葉、頭頂葉の結合部) は様々なモダリティの情報を統合しているかもしれないが、 ハブに相当するamodalな機能はない →cross-modal≠a-modal ATLの特徴: 1.扁桃体や他の辺縁系、更に眼窩前頭皮質(感情や報酬の 処理に重要だとされる)と近い位置にある。 どんな知覚にも 情緒がある程度関係するため、ATLは、情緒と運動や言語と いったもののつながりを算出するのに適している? 2.側頭葉内側部の記憶システム(新しいエピソード記憶の学 習に必要不可欠とされる)に隣接。エピソードは、段階的な概 念の学習に寄与しているため、エピソード記憶と意味システ ムの領域が隣接していることも納得がいく

(37)

なぜハブが必要なのか?

モデリングによる検証

モデル1:Gating Architecture • 異なる特性は、別々の神経経路によって処理される (例:物体の形と名前を結ぶ経路、形と動きの経路) • 同じ刺激でもタスクによって処理経路が変わる • 音韻や形の類似性をいくら学んでも梨とぶどうの類似性はわからない →それぞれの特性に重み付けすればいい? →普遍的な重み付けはできない 例:色は、レモンとライムには重要だが、おもちゃには重要でない モデル2:Convergent Architecture • 単一のハブが全てのモダリティからの情報統合を仲介する • 概念の構造がより深く表せ、その類似性がわかる • モデルが学んだ元の情報から単純に導き出せない類似性も見出せる 例:このモデルは、果物や野菜は、動物よりも人工物に近いと判断する。 SDの患者は、果物や野菜を植物と動物と人工物に分類する時、同じよう な間違いをする。しかし、果物・鳥・動物といった分類の際には、ほぼ間 違わない

(38)

Q6: 概念と語意は等しいのか?

• 語の運用、collocationなどの知識はどのよう に表象されているのだろうか? – ボトルとビンをどうやって言い分けるか – ビンと缶をどうやって言い分けるか – これらは「一般的概念」と同じように脳内で表象さ れているのか、別の種類の表象なのか

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(40)

Q7: 意味記憶はどうやってつくられる

のか?

• エピソード記憶がどのように意味記憶になる のか? • 語や概念の意味記憶と事実の意味記憶は違 う性質のものなのか

(41)

Q8: レキシコンについてのメタ知識は

脳のどこにどのような形であるのか

(42)

Q9

• 知識とメタ知識は区別されるべきなのか • 記憶と知識は区別されるべきなのか

• 「知識が構造化される」というのは、脳内でど こで何が起こることなのか

参照

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