パ
ル
ス
反
応
法
の
速
度
論
的
解
析*
豊
田
研
二**・ 越 後 谷 悦 郎***
東京工業大学 資源化学研究所†
緒 言 バ ル ス反 応 法 は,そ の簡 便 さか ら触媒 の活 性 試験 に広 く利 用 され て い る。 しか し1次 以 外 の反 応 に つ い て実 験 的 解析 例は ほ とん ど見 当 ら な い。 そ こで触 媒 層 入 口波 形 の 測定 を行 な い,こ れ に よ りバ ル ス 反応 法 に よ る速 度 定 数,速 度 次 数 を 求 め,こ れ と定 常反 応 法 に よ り求 め た 結 果 とを 比 較 検 討 しパ ル ス反 応 法 の 特 徴を 明 らか にす る こ とを 目的 とした 。1次 以外 の反応 例 として す で に報 告 し た ニ ッケル ・シ リカ触 媒 に よ るベ ンゼ ンの水素 化反 応5), そ の逆 反 応 で あ る シ ク ロヘ キサ ンの脱 水 素 反応,さ らに 典 型 的1次 反 応 で あ るシ リカ ・ア ル ミナ触 媒 に よる ク メ ンの接 触 分 解反 応 を と りあ げ た。 1. 固定 層 定 常 反応 法 によ る 実験 定 常反 応 法 の実 験 方 法 に つ い ては す で に報 告 した5)。 反 応 生 成物 の 分析 には ガス ク ロマ トグ ラ フを用 い,分 離 カ ラム にはD. O. P. (Dioctyl phtahte)を 内径4mm , 長 さ1mの 銅 パ イ ブに充 填 して 使 用 した 。 ペ ンゼ ン,シ ク ロヘ キサ ンの 分 析 で は カ ラ ムの 温 度70℃ と し,ま た クメ ンの 接 触 分解 反 応 では120℃ として 使 用 した 。 1.1 シ ク ロヘ キサ ンの 脱 水 素反 応 につ い て ベ ンゼ ンの 水 素 化反 応 に 用 い た もの と同一 ニ ッケ ル ・ シ リカ触 媒 で,500℃,3時 間 水 素 で還 元 した の ち,反 応 に 使 用 し た 。 この反 応 は300℃ を越 え る と水素 化分 解 反 応 が 起 こ り,ま た低 温 側 で は平 衡 論 的 な理 由の た め ベ ンゼ ンへ の脱 水素 反 応 は 起 こ りに く くな る ので,反 応 温 度 として250∼300℃ の範 囲を 選 ん だ 。 水 素 とシ グ ロヘ キ サ ンだけ 供給 して 反応 を 行な った ところ,ほ ぼ反 応 初 期 か ら触 媒 活 性は 一 定 とな り経 時 変 化は 認 め られな か っ た 。 少 量 の触 媒 を 用 い た場 合 は,Fig.1に 示 す よ うに W/FTとxの 関 係 が原 点 を 通 る直 線 で 示 され る こ と よ り,微 分反 応 操 作 として 取 り扱 え る こ と が 解 る。 い ま a=10Fig.1 Relationship between contact time, W/FT and conversion, x
Table 1 Data obtained from the continuous flow method for cyclohexane dehydrogenation
Fc=2.86x•~10-5 [mol/sec]
* <Analysis of Reaction Rate in a Pulse Reaction Method> Received on March 10, 1967
化学工学協会第31年 会(昭 和41年)お よび化学工学協会第6回 反 応工学 シソポ ジウム(昭 和41年)に て講演発表
•õ Research Laboratory of Resources Utilization, Tokyo
Institute of Technology, Tokyo, Japan ** Kenji Toyocla (Research Institute
, Ishikawajima-Harima Heavy Industries Co., Ltd.)
*** Etsuro Echigoya (Dept
. of Chem. Eng., Tokyo Institute of Technology)
Fig. 2 Verification of the Langmuir equation
Fig. 3 Temperature dependence on kz, and Kcr
Eq.(1)の よ うなLangmuir型 の 速 度 式 が 適 用 で き る と す れ ば,Eq.(2)の よ う に 変 形 で き る 。
(1)
(2)
実 験 結 果 を1/Pcと1/rに つ い て整 理 しプ ロ ッ トす る と Fig.2と な り,直 線 関 係が 得 られ る の で,実 験 結 果 は Eq.(1)で 整 理 され る。 な お各 温 度 に おい て モ ル比aを 変 えた 実験 結果 をTable 1に 示 した 。Fig.2の 直 線 の切 片 と勾 配 よ り,Kcr, kLを 求 め,ア レニ ウス プ ロ ッ トし た の がFig.3で あ る。 ま た簡 単 のた め に反 応 速 度 を 次 数 型 で表 現 す る と,Eq.(3)の よ うに シ ク ロヘ キ サ ンの 分圧 にほ ぼ0.5次 とし てあ らわ す こ とが で きた 。(3)
そ の結 果 はFig.4に 示 す よ うに 近 似的 にEq,(3)が 適用Fig. 4 Arrhenuis plot of rate constants calculated, assuming 0.5 th order reaction
Fig. 5 Temperature dependence on kb, obtained from the continuous flow method
で き る こ とが解 る。 1.2 クメ ンの 接 触 分 解 反 応 につ い て 触 媒 は 触媒 化成 の シ リカ ・ア ル ミナ 触 媒,粒 径100∼ 150meshの もの を600℃,3時 間 空 気を 通 し な が ら 焼 成 後,反 応 に供 した 。 原 料 ク メ ンは 市 販 の 特 級 品 を 用 い ク ロマ ト用 シ リカ ゲル で 過 酸 化 物 を 除 去 した 後 ,反 応 に 使 用 した3)。 この原 料 を 水 素 で 希 釈 し,モ ル 比a=20∼ 30で 反 応 を行 な った と ころ 反 応 時 間4∼5時 間 の 間 は ほ とん ど活 性 低 下 は 認 め られ な か った 。 した が って この条 件 で 反 応 を 行 な い 速 度論 的 デ ー ター を 求 め る こ と に し た 。 この 反 応 を ク メ ンに1次 とす れ ば,速 度 式 はEq.(4) で あ らわ され る。 これ を 流 通 法 の 基 礎 式Eq .(5)に 代 入 す れ ばEq.(6)が 得 られ,こ れ に よ り速 度 定数kσ σが 求 ま る。
(4)
(5)
Table 2 Injected volume of the pulses at the various condition
, hma. (0) and Pmax (0) for benzene
Fig. 6 Flow sheet of the pulse reaction method
(6)
反 応 温 度 と して副 反 応 の 起 こ ら な い400∼500℃ を 選 び,求 め た 速 度 定 数kcuと 温 度 の関 係を ア レ ニ ウ ス プ ロ ッ トす る とFig.5と な り,原 料 モ ル 比a,お よび 流 量 に無 関 係に す べ て の値 が 一直 線 上に の るので,こ の反 応 は クメ ンに1次 とし て あ らわ す こ とが で き る。 2. パ ル ス反 応 法 にお け る 触媒 層 入 口の パ ル ス波 形 の 測 定 1次 反 応 の場 合 に は,パ ルス 反応 法 で も,ま た定 常 反 応 法 で も,W/FTと 転 化 率 が 決 まれ ば 濃 度 に関 係な く速 度 定数kを 求 め る こ とが で きる。 しか し1次 以外 の反 応 の 場 合 は濃 度 項 の考 慮 が 必 要 で あ る。 ところ で ここで い うパ ル ス反 応 法 とは 触 媒 反 応装 置 とガス ク ロマ トグ ラ フ を 直結 し,反 応 試 料 を パ ル ス とし て注 入 し直 ち に反応 生 成 物 を ガス ク ロマ トグ ラフ で分 析 す る方 法 で あ る9)。 こ の場 合 に 測 定 可 能 な値 は 触媒 層 入 口で の波 形 とガス ク ロ マ トグ ラ フで 分 析 した触 媒 層 出 口で の転 化率 で あ る。1 次 以 外 の 反 応 の 場 合,速 度 定 数k,お よびW/FTが 一 定Fig. 7 The pu1se size at the inlet of the catalyst bed
の条 件 で 入 口波 形(濃 度)を 変 化 させ れ ば 出 口転 化 率 は 異 な るの で,入 口波形 の 測 定 が必 要 とな る。 入 口波 形 の 測 定 装 置 をFig.6に 示 す 。試 料 注入 口(Sample inlet) (A),(B)は同一 構造 とした 。試 料 注 入 口(A)から触 媒 層 入 口 まで の 長 さ(1)は 試 料 注 入 口(B)から熱 伝 導 度 セ ル まで の長 さ(II)に 等 し く とって あ る。 した が って(B)より仁 丹(Jintan)MS-50マ イ ク群 シ リンジを 用 い て試 料 を 注 入 す れば 触 媒 層 入 口波 形 を測 定 す る こ とが で きる 。ベ ン ゼ ンの場 合,そ の一 例 をFig.7に 示 す 。 各 波 形 は本 来 す べ て0分 か ら現 わ れ るが,重 な るた め2μ 以 後 はず ら し て表 現 した 。Fig.7よ り注 入 量5μ 以 下 で は波 形 は ほ ぼ三 角 波 とみ なす こ とが で き る。10μ 以 上 で は その 波 形が くず れ て台 形 に近 くな り,波 形 の ピー クの値 は 一 定値 に 達 し,そ れ を越 え る こ とは ない 。 この 波形 よ り触 媒 層 入 口に おけ るベ ンゼ ン濃 度CBと 記 録 計 応 答 △Vp との関 係 を
(7)
とす れ ば,Eq.(7)を 時 間 に つ き積 分 して 次式 を 得 る。(8)
い まチ ャー ト面 積5,と 注 入 量 と の 関 係 はFig,8の よ うに 直線 関 係 とな り,勾 配 よ り βは 計 算 で きる。 なお Fig.8で 直 線 が 横軸 とマ イ ナ ス側 で交 わ るの は試 料 注入 口を 予熱 して い るため,マ イ ク ロシ リン ジ注 射針 内 に残 存 す る試 料 が 蒸 発 し て余 分 に 注 入 され るた め で あ る。 Table 2に はベ ンゼ ンパ ルス の 波 形 の ピ ー ク 高 が示 す モ ル 分率hmax(0)と 注 入量 の関 係 を 示 し た。 最 高 到 達点Fig. 8 Pulse injected volume vs. Sp で の ベ ンゼ ンの 分圧Pmax(0)は90℃ の 場 合 に は ほ ぼ 全圧 に等 しい 。 シ クロヘ キ サ ンの場 合 に も,同 様 の結 果 が得 られ た。 注 入 量 が5μ 以下 では 三 角 波 とな り,温 度 70∼90℃,流 量0.6∼1.9cc/secの 範 囲 では,hmax(0) は 注 入 量 に よ り変 わ り。温 度,流 量 には 関 係 しな い。 な お ク メ ンの接 触 分 解 反応 は1次 反応 で あ るの で 入 口波 形 の 測 定 を 行な う必 要が ない 。 3. パル ス 反 応法 の 解 析 の ため の計 算 線 形 理 想 ガ ス ク癖マ トグラ フ ィー と入 口波 形 の デ ー タ ーを 組 合 わ せ て,次 の よ うな仮 定 を設 け 計 算 を 行 な っ た 。 (1) 気体 は 触 媒 層 内を ピス トン流 れ で 流 れ る。 (2) 気 相 と固 相(触 媒 相)の 間 に は瞬 時 的 に 吸 着 平衡 が 成立 ち,ヘ ン リーの 法 則 が成 立 す る。 (3) 固 相 に あ る吸 着 分 子 は固 体 表 面を そ のま ま移 動 す る こ とな く,気 相 に 脱 離 して 気相 の 物 質移 動 に よ り運 ば れ る。 (4) 反応 は固 相 で 起 き,表 面 反応 律 速 で あ る。 (5) 反 応 に よ る体 積 変化 は 無視 で き る。 仮 定(1)∼(5)を用 い物 質 収 支 を とれ ば,注 入試 料 に つ い て 次式 が 得 られ る。
(9)
無次元化すれば
(10)
さ ら に ζ=ξ,Θ=θ-(1+μ)ξ と し て 座 標 変 換 す れ ば, Eq,(11)が 求 ま る 。(11)
Eq.(11)よ り時 間 を 無視 してhを 距 離 ζだ け の 関 係 と して解 くこ とが で きる。Eq.(11)を 使 用 し入 口波形 ,出 口波形 の関 係 を そ れ ぞれ3つ の 反応 例 に つ き求 めた。 3.1 注入 試 料 に0次,キ ャ リヤ ー ガ ス に1次 の 場 合Fig. 9 Pulse at the inlet of the catalyst bed
パ ルス 反 応 法 で は,吸 着 の強 い成 分 は ゆ っ く り触 媒 煙 をす す み,吸 着 しな い場 合 は キ ャ リヤ ー ガス と同 じ速 唇 で す す む 。 したが って ベ ンゼ ン の 水 素 化 反 応 の 場 合 に は,原 料 ベ ンゼ ン と生 成 物 シ ク ロヘ キ サ ンに 吸 着 力 の違 い が あ れ ば,触 媒 層 を 進 む 間 に 両 成 分 は 分 離 し て く る8,10)。こ こ で分 離 が起 こ らな い場 合,す なわ ち,KB= Kcと す れ ば,ベ ンゼ ンお よび シ ク ロヘ キサ ンは 同一 速 度 です す み,生 成 し た シ ク ロヘ キサ ンは 減 少 した ペ ン卍 ンに 相 当 す る の で,物 質 収 支 よ りCB(0 ,Θ)=CB(ζ,Θ) +Cc(ζ,Θ)が 成 立 す る。 した が って,反 応 に 有 効 な水 素 はCH(ρ,Θ)=CT-CB(0,Θ)と な り,h=CB/CTの 関 係 を 用 い無 次 元 化 す れ ば,r=kCH=kCT{1-h(0,Θ)}と な る。 この 式 をEq.(11)に 代 入す れ ば,次 の無 次元 化 され たEq.(12)が 求 ま る。
(12)
h(0,Θ)は ζ に 無 関 係 で あ る か ら,Eq.(12)を 用 い れ ば 出 口 波 形h(1,Θ)と 入 口 波 形h(0,Θ)の 関 係Eq .(13)が 求 ま る。(13)
と ころで 未 反 応 率 はEq.(14)で 定 義 され る。(14)
した が っ てEq.(14)の 右 辺 分 子 はEq.(13)よ り 次 式 と な る 。(15)
こ こで 入 口 波 形h(0,Θ)がFig.9に 示 す よ う に ,ピ ー ク高hmax(0)の 三 角 波 で あ りそ の ピ ー ク を は さ ん で 波 形 の 存 在 す る 時 間 を △θ1(0),△ θ2(0)と す れ ば,そ の 波 形 の 左 側 で は4Θ1dh(0,Θ)=△ θ1(0)/hmax(0) ,右 側 で は dΘ/dh(o,Θ)=-△ θ2(0)/hmax(0)と な る の で 恥(15) の 右 辺 の Θ をh(0,Θ)で 置 換 し,積 分 す る とEq .(16) が 求 ま る 。Eq.(16)に お い て 積 分 の 上 限 はh(0 ,Θ)= hmax(0)と な る 。 ま た 出 口波 形h(1,Θ)の 値 は つ ね に 正で あ る か ら,Eq .(13)でh(1,Θ)=0と な る 点,す な わ ちh(0,Θ)=k /W F
/
(1+k
W / F)
が積 分 の下限 とな る。(16)
Eq.(14)の 右 辺 分 母 はEq.(16)と 同 様 にEq.(17)と な る 。
(17)
し た が っ てEq.(14),(16),(17)よ り,4θ1(0)+△ θ2(0) が 消 去 さ れ てEq.(18)に 示 す よ う にXは k(W/F)と hmax(0)の 関 係 式 と し て 求 ま る。(18)
Eq.(18)よ り反 応 速 度 定 数 を 求 め た 。 3.2 注 入 試 料 に0.5次 の 場 合r=kCe0.5と し てEq.(11)に 代 入 し,Eq.(18)を 求 め る 場 合 と 同 様 に し てEq.(19)が 求 ま る 。
(19)
Eq.(19)を 利 用 して,シ ク ロヘ キ サ ンの 脱 水素 反応 の速 度 定 数 を 求 め た 。 3.3 注 入 試 料 に1次 の場 合 これは ク メ ンの 接触 分解 反 応 に 相 当 し,r= KcuをEq.(11)に 代 入す れ ば,従 来 か ら知 ら れ て い る よ うに 次 式 が 求 ま る。(20)
こ の式 に は 入 口パ ル ス濃 度 が 入 って こな いの で,簡 単 に 速 度 定数 を算 出す る こ とがで き る。 4. パ ルス 反 応 法 によ る 実験 パ ル ス 反応 法 の実 験 装 置 は,Fig.6に お いて 銅 パ イ プ(II)の 部分 を カ ラ ム(9)に置 きか え た もの で あ る。反 応 管 に は 銅 パ イ プ(外 径6mm, 内 径4mm)のU字 管(7)を用 い,そ の加 熱 に は 流 動 浴 を使 用 した。 4.1 ベ ン ゼ ンの 水 素化 反 応 につ い て 銅 パ イ プU字 管 だけ で は 反応 の起 こ らな い こ とを 確 か め,ま た 触 媒 は 定 常反 応 法 と同一 の もの を用 い,同 一条 件 で 還元 を行 な った後,反 応 に供 した 。一 定 温 度,一 定 流 量,一 定 パ ル ス注 入量 に お いて 何 回 パ ル スを 注 入 して も,転 化率 は 不 変 であ った 。 触 媒 は20-200mgを 使用 し,20mg程 度 の 少量 の と きは原 料 ガス の吹 き抜 け が起 こ らな い よ うに 十 分 留 意 し て,触 媒 層 の両 側 に 石 英砂 (100∼150mesh)を そ れ ぞ れ50mg程 度つ め た。 触媒 量 が 多 く,ま た 低 温側 に な るに した が って触 媒 層 を 通過 し た 後 の ガス ク ロマ トグ ラム で検 知 され る シ ク ロヘ キサ ン とベ ンゼ ンの 波 形は 拡 が りを見 せ,と くに200mgを 使 用 した場 合 で は反 応 温 度70℃ の 低 温 では 波 形 は重 な り 合 うため 転 化率 を測 定 す る こ とが で き なか った 。 し たが って パ ルス 反 応 法 では 触媒 量 が 少 な い 方が 実 験 し易 い。Table 3 Reaction rate constants calculated from Eq.(17)
Fig. 10 Comparison between the pulse reaction method and the continuous flow method in Arrhenuis plots for the ben. zene hydrogenation
Table 4 Data obtained from the pulse reaction method for cyclohexane dehydrogenation
Table 5 Data obtained from the pulse reaction method for cumene cracking
Fig. 11 Comparison of the results from the pulse reaction method with those from the con-tinuous How method for the cyclohexane dehydrogenation ion Tahle 3に 示 し て あ る 反 応 速 度 定 数 庵 はEq .(18)と Table 2中 のhmax(0)の 平 均 値 を 用 い 求 め た も の で あ り,注 入量 の増 加 と ともに 転 化率 は減 少 す るが,kHの 値 は 一定 に 得 られ ず,逆 に大 き くな る傾 向 が あ る。 これ は ベ ンゼ ンの次 数 が反 応 速 度 に 関与 す る た め と思 わ れ る。 した が ってFig.10に 示 したkHの プ ロ ッ トは 各 温 度 で の注 入 量 に対 す る平 均 値 を とった もの で あ る。Fig 10中 の実 線 は前 報 の固 定 層 定 常反 応 法 の値 であ り,高 温 側 で は パ ル ス反 応 法 の 結 果 は触 媒 量,流 量 に無 関 係 に,ほ ぼ 一 定 とな るが,低 温 側 で は触 媒 量 が大 き い とか な り定 常反 応 法 の値 か らず れ 触 媒 量 が 少 な い場 合 は,定 常反 応 法 の値 に か な り よ く一 致 した 。 4.2 シ ク ロヘキ サ ンの 脱 水素 反 応 に つ い て ベ ンゼ ンの 水素 化反 応 で は ,触 媒 量 が 少 な い とき定 常 反 応 法 とパ ル ス反 応 法 が よ く一 致 した の で,こ の場 合 は
Fig. 12 Comparison of the results obtained from the pulse reaction method with those from the continuous flow method for cumene cracking
少 量28mgを 用 い 実験 を 行 な った 。Eq.(18)を 用 い 反応 速 度 定 数 を 求 めた 結 果 をTable 4に 示 す 。Table 4よ り 低 温 で は 注 入量 に 無 関 係 に 速 度 定 数 は 一 定 に求 ま るが, 高 温 で は 注 入量 の増 加 と ともに 速 度 定 数 は 多 少大 き くな る傾 向 が あ る。Fig.11に 示 す よ うにパ ル ス反 応 法 か ら 求 め た速 度 定 数 は 高 温 で は 定 常 反 応 法 の場 合 よ り大 きな 値 とな るが,低 温 で は 一 致 す る。 4.3 ク メ ンの 接 触 分 解 反 応 に つ い て パ ル ス反 応 法 に 用 い た触 媒 は ,定 常 反 応 法 の触 媒 活 性 と同一 に な る よ うに あ らか じめ 原 料 ク メ ンを 定 常 的 に 流 し処 理 した もの を 用 い,実 験 を 行 な った 。 そ の パ ル ス反 応 法 の結 果 をTable 5に 示 した 。 な おTable 5中 の0μl とあ る のは マ イ ク ロ シ リン グの 目盛 を0に 合 わ せ て 注 入 した 場 合 で,そ の場 合 で も注 射バ リの残 存 試料 が 予 熱 さ れ て 蒸 発 し反 応 した 結 果 で あ る。Table 5よ り一 定 温 度 で は 注 入 量 を 種 々変 化 さ せ て も転 化率 は変 わ らず,こ の 反 応 が 典 型 的 な1次 反 応で あ る こ とが 解 る。 す な わ ち Eq.(19)を 満 足 す る。Fig.12は パ ル ス反 応 法 と定 常 反 応 法 を比 較 し た結 果 で あ り,両 法 の 速 度 定 数 の値 が 非 常 に よ く一 致 して い る こ とが わ か る。
結 論 (1 )1次 以 外 の パ ル ス反 応法 の解 析 に は,触 媒 層 入 口 波 形 の測 定 が 必 要 で あ る。そ こで1次 以 外 の反 応 例 とし て ベ ンゼ ンの 水 素 化反 応,シ ク ロヘ キサ ンの脱 水 素反 応 を と りあ げ,そ の 入 口波 形 の測 定 を 行 な い反 応 速 度定 数 を 求 め た 。 (2) ベ ンゼ ンの 水素 化 反 応 の場 合 には ,触 媒 量 の 多い ときは パ ル ス反 応 法 の結 果 は 定 常反 応 法 の結果 か らは ず れ るが,触 媒量 を少 量 用 いた と きは両 者 が か な りよ く一 致 した 。 触 媒 を少 量 用 いた パ ル ス反 応法 で は ,シ クロヘ キ サ ンの脱 水素 反 応,お よび クメ ンの接 触 分解 反 応 に つ い て もか な りよ く定 常 反 応 法 と一 致 し た 結 果 が 得 ら れ た 。 触媒 量 が 多 い場 合,と くに低 温 域 の 反 応で は 波 形 の 拡 が りが認 め られ,線 形 理想 ガ ス クロマ トグラ フ ィー の 条 件(仮 定(1)∼(3))か らの ず れが 大 き くな る。 した が っ て この場 合は 波 形 の 拡 が り効 果 を考 慮 した モ デル に よ り さ らに 速 度 を 解 析 す る必要 が あ る。 (3) パ ル ス 反 応 法 に よるベ ンゼ ン の 水 素 化 反 応 で は Table 4に 示 した よ うに ベ ンゼ ン次数 を考 慮 す る必 要 が あ るが,定 常 反 応 法 では 水 素 に1次 として 整 理 さ れて い る。 これ は 定常 反 応 法 に お い て は,ベ ンゼ ン濃度 が 大 き くな るほ ど触 媒 の活 性 劣 化 が 大 き くな り11),そ のた め 転 化 率 は小 さ くな り,反 応 速 度 が水 素 に1次 として 求 ま っ て くる も の と判 断 され る。 しか しパ ル ス反 応 法 は 初 期活 性 の点 が 求 まる ため,濃 度 の高 い 点,す なわ ち 注 入量 の 大 きい点 で の転 化 率 は 定 常反 応 法 に 比 較 し て 大 き くな る。 そ の た めパ ルス 反 応法 と定 常 反応 法 に よ って 求め た んの値 に 多 少差 が で きた と考 え られ る。 また シ ク ロヘ キ サ ンの脱 水素 反 応 の場 合 も 同様 に定 常 反 応 法 では 活 性 劣 化 のた め速 度 定 数kの 値 は パ ル ス反 応 法 に比 べ 小 さ く求 ま った もの と判 断 され る。 と ころが ク メ ンの接 触 分解 反 応 で は 定常 反 応 法 で使 用 した触 媒 を そ の ま まパ ル ス 反 応 法 に 用 い て い るの で両 法 か ら求 め た 結 果 はか な りよ く一 致 して い る。 した が って パ ル ス反 応 法 と定 常 反 応 法 を比 較 す る場 合 に は,両 法 で 同一 活 性 を示 す よ うな触 媒 を使 用 す る必 要 が あ る。 (4) 入 口波 形 を三 角 波 とし て取 扱 い 濃 度 パ ラ メ ー タ ー hmax(0)を 用 い解 析 した場 合Table 3, 4に 示 す よ うに 次 数 と速 度 定 数 の関 係 を 求 め る こ とが で き る。 し か し,さ らに精 度 を上 げ るた め に は ビア ソ ン分布 等 に よ り波 形 を 近 似 し,よ り現実 的 な モ デ ルに よ り解 析 す る 必 要 が あ る。 [付 記]本 研究に際 し,終 始 御指導いただ き ました森川 清 教授 および シクロヘキサンの脱水素反応実験 の三室脩君に感謝 す る。 Nomenclature
a:
mole ratio of hydrogen to objective reactant
in the feed [-]
C: concentration of objective reactant in gas
phase [mol/cc]
E: activation energy of cyclohexane
dehydro-genation
[kcal/mol]
f(a, x): rate factor, fici, .r)=kcri- WI Fr
[—]
F:
feed rate
[cc/sec]
h: dimensionless concentration, h=C/Cr [-]
k: reaction rate constant
kL: reaction rate constant of cyclohexane
dehydrogenation for Langmuir type [mol/g.sec]
kp: reaction rate constant of cyclohexane
dehydro-genation on the basis of pressure
[mol/g.sec-atm 0.5]
K: adsorption equilibruim constant of objective
reactant between gas and solid phase
[cc/g]
Kr:
adsorption equilibruim constant available for
cyclohexane dehydrogenation
[atm-1]
l
: arbitrary length of catalyst bed
[cm]
L: total length of catalyst bed
[cm]
NB: injected moles of benzene pulse [mol]
P: pressure
[atm]
Q: heat of adsorption in cyclohexane
dehydro-genation
[kcal/mol]
r:
reaction rate
[mol/g.see]
S: cross-sectional area of catalyst bed [cm2] Sp: peak area recorded on the chart paper ,
Sp =
∫
∞ 0 (△Vp)dtp t: time [sec]tp: time recorded on the chart paper (cm) dtpicit: chart speed of gas-chromatographic recorder
[cm/see]
T: absolute temperature [•‹K]
u: linear velocity in the catalyst bed [cm/sec] Ve: void volume in the catalyst bed , V= SL (cc)
•¢ Vp: electric volt recorded on gas-chromatographic
recorder [cm]
W: catalyst weight [g]
x: conversion for the continuous flow method [-] X: conversion for the pulse reaction method [-]ƒÀ
: proportional constant [mol/cc.em]ƒÃ
: void fraction of catalyst [-] Ā
: substituted variable, ƒÄ=ƒÌ [-]
0: dimensionless time, ƒÆ=t•E/Vc [-]ƒ¦
: substituted variable, ƒ¦=ƒÆ-(1+ƒÊ)ƒÌ [-]ƒÊ
: retarding ratio of objected reactant, ƒÊ
=K. W/ Vc [-]
ƒÌ : reduced length of catalyst bed, ƒÌ=1/L [-]
Subscripts B: benzene C: cyclohexane CU: cumene H: hydrogen T: total value max: peak value of pulse
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12) Nozaki, F., Nishiyama, M., Echigoya, E. and Morikawa, K.: J. Japan Petroleum Institute, 7, 36 (1964)
13) Ross, R. A. and Valentine, J. H.: J. Catalysis, 2, 39 (1963) 14) Saito, H., Murakami, Y. and Hattori, T.: Kagaku Kagaku
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15) Schwab, G. M. and Watson, A. M.: J. Catalysis, 4, 570 (1965) 16) Tamaru, K.: Nature, 183, 319 (1959)
回 転
ド ラ ム に よ る 湿 潤 粉 体 の 凝 集 性 に つ い て*
―
造
粒
物
の
分
布
則―
関
口
勲**・ 東 畑 平 一 郎**
中央大学 理工学部**
1. 緒 言 湿 潤粉 体 は一 般 に 自由 な転 動 な い しは 混 合 の 作用 を与 え る と球 状 に 近 い凝 集塊 を 生 成 す る性 質 を 有す る。 この 湿潤 粉 体 の 凝 集 に基 づ く造 粒 物(凝 集 塊)の 粒 度 お よび 粒 度 分 布 は,固 体 処 理 とし て の造 粒操 作 にお い て 最 も基 本 的 な 特 性表 示 の 一 つ とな る。 す で に,水 平 式 回転 ドラ ムを利 用 した 砂,珪 砂,石 灰 石 な どの湿 潤粉 体 の凝 集 に よる造 粒 に 関 して は,Newittら8),Danckwertら3),Kap-urら6)な どに よ って報 告 され て い るが,造 粒 物 の粒 度 の 解 析 に つ い て十 分 で な く,ま た 造 粒 に 影響 しや す い造 粒 前 の 原 料 状態 が 不 明 確 で あ る。 本 報 で は 湿潤 粉 体 の材 料調整に留意 し,こ れを水平式回転 ドラムの転動作用を利
用して造粒 を行ない,粉 砕3)でも試み られている統計力
学的 な考え方を導入して湿潤粉体 の凝集に おける造粒物
の分布則について理論 と実験 とに よ り検討 を行な
った。
2. 分 布 則 の 理 論
強 く圧密 されていない湿潤粉体 は一般 にその構成粒 子
群が湿分 のために弱い凝集状態 にあ り,微 視的にはラン
ダムに湿潤 され,か つ外的条件 に ようて部分的 にやや強
く凝集 してい るもの と推定 され る。 この種 の湿潤粉体は
転動の作用を与 える と徐 々に強 く凝集 した球状に近 い造
粒物 とな る。 この凝 集に基づ く造粒物の分布則 の解析に
は,ま ず次の ようにモ デルを設定 して検討を行な う
。
2.1
モデルの設定と考 え方
実際に造粒前の原料状態 は綿 くず状 にモグモグしてお
*<On the Agglomeration of Damp Powders ina Rotating Drum—Size distribution of agglomerates->
Received on December 28, 1967
一部は昭和42年 第6回 総合 シンポジウムにて発表
**Isao Sekiguchi and Heiichiro Tohata (Faculty of Science and Engineering, Chuo University, Tokyo)