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今日お話しすること 1 重症心身障害児の摂食嚥下機能における問題 2 摂食嚥下機能の評価 ( 正常を知る ) 3 症例 4 まとめ

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全文

(1)

重症心身障害児(者)の摂食嚥下について

神奈川県立こども医療センター

作業療法室

柳川 智志

(2)

今日お話しすること

① 重症心身障害児の摂食嚥下機能における問題

② 摂食嚥下機能の評価(正常を知る)

③ 症例

(3)

重症心身障害児(者)の摂食嚥下障害

先天性の問題(染色体異常、脳奇形)周生期の問題(低酸素性脳症)後天 性(脳炎など)に起因する脳障害 運動障害、異常筋緊張、呼吸障害、運動発達や精神運動発達遅滞 摂食嚥下機能の未獲得 歯列や口蓋裂など の構造上の問題 過敏などの 感覚異常 側弯などの 変形や拘縮 摂食嚥下障害 食事姿勢や食形態 などの食環境 胃逆流現象 (GER ) 便秘

(4)

呼吸の問題

摂食嚥下

を促す前にその原因や状況に応じた対応取ることが優先される

原因

対応策

上気道狭窄

(閉塞性換気障害)

※1 気道の通過障害があり、息が吐きづら い状態

(混合性換気障害)

※1※2の合併した状態

扁桃・アデノイド肥大、

下顎の後退、舌根沈下、

披裂部の陥入、分泌物

の貯留、誤嚥、感染、

筋緊張の亢進・低下

扁桃摘出

術、下顎

支持、経

鼻エア

ウェイ

胸郭運動障害

(拘束性換気障害)

※2 肺の膨らみ制限され肺活量が制限される状態

呼吸筋活動の低下、変

形拘縮(側弯、胸郭変

形、胸郭扁平)、繰り

返す誤嚥性肺炎

気管切開、

補助呼吸

中枢性低換気

呼吸器

呼吸不全、無気肺、肺性心

消化器通過障害(GER)や 筋緊張の亢進が関係する 図 田角 勝 向井美恵 著 :小児の摂食・嚥下リハビリテーション 医歯薬出版

(5)

覚醒‐睡眠の問題

◇ 覚醒ー睡眠リズムの乱れ

重篤な脳障害があることによる概日リズムの崩れ、運動障害による活

動性の低さや刺激に対する反応性の弱さなども影響し、睡眠‐覚醒リズム

は乱れやすくなっている。

また、覚醒‐睡眠のリズムの不調はけいれんや筋緊張異常、呼吸障害に

もつながり摂食‐嚥下機能においても重要な要素となる

きちんと覚醒はしているか、睡眠リズムは

整っているかということも食べることには重要

(6)

筋緊張、姿勢の問題

頭部や姿勢の崩れは摂食嚥下に必要な機能(顎や唇、舌の運動)を十分

に発揮することが難しくなり、誤嚥などのリスクにつながりやすくなる

(7)

姿勢の調整

◇骨盤(臀部)がきちんと奥まで 入っているか ◇骨盤が、左右に傾いていないか ◇テーブルやタオルで 手が落ちないように工夫

(8)

構造上の問題(高口蓋、咬合不全など )

高口蓋 舌で十分に圧をかけることが難しくなる 口蓋にたべものがはりつく 咬合不全 口が閉じられない 前方からたべものが出やすくなる 十分な圧が作れず送り込みが困難

(9)

誤嚥とは?

気管内に食物あるいは唾液、プラーク、胃の内容物などの異物が入った状態

気道の閉塞 「呼吸困難」 「窒息」 気管支の攣縮 「喘息状態」 慢性気管支炎 誤嚥性肺炎 無気肺

誤嚥から気管支や肺を守る防御システム

① 咳嗽反射 →喉頭や気管に異物が入ると咳で異物を気管外へ排出 ② 線毛運動 →気管や気管支壁の細胞の線毛運動により異物を排除 空気が乾燥すると繊毛運動低下 ③ 免疫機能 →栄養状態が低下すると免疫機能低下 あしあとてらす 特別編集 重症心身障害児支援者向けテキスト 一部改変

(10)

不顕性誤嚥( silent aspiration )とは?

気管内

や肺に異物が入っても咳嗽やむせが出現しない誤嚥

観察

からでは判断がつかなくVF 検査のみで明らかになる

重心児

(者)で VF 検査上誤嚥を認めた32 名中 20 名の全例で silent aspiration があっ

た.

(浅野一恵, 日本摂食・嚥下リハビリテーション学会雑誌 15(2): 183-189, 2011. )

問題

なく全経口摂取しているにもかかわらず, 呼吸器感染を反復する重症心身障害

児・者8名

にビデオ嚥下透視(VF)検査を行い, 嚥下動態を解析した. 8例全例に液体の

不顕性誤嚥

を認めた

(石塚千恵 脳と発達 32(5): 383-389, 2000)

やむせがないからといって誤嚥していないとは限らない!!

(11)

今日お話しすること

① 重症心身障害児の摂食嚥下機能における問題

② 摂食嚥下機能の評価(正常を知る)

③ 症例

④ まとめ

(12)

摂食嚥下におけるこどもの特殊性を考えて評価する

発達的な要素

摂食嚥下機能

(13)

正常な摂食嚥下の順序や発達の順序を知る!

◇正常な嚥下パターン

藤島一郎:脳卒中の摂食・嚥下障害,第2版,医歯薬出版,東京.2005;P29.改変 ①先行期(たべものを認識) ②準備期(取り込み、咀嚼、唾液と混ぜ合わせ食塊を形成) ③口腔期(喉の奥に送り込む) ③口腔期 ④咽頭期(喉頭が持ち上がり、気 道が喉頭蓋によって閉じ、食道が 開く) ⑤食道期

(14)

正常な摂食嚥下の順序や発達の順序を知る!

◇重心児(者)場合

図 藤島一郎:脳卒中の摂食・嚥下障害,第2版,医歯薬出版,東京.2005;P29.改変 ①先行期(たべものを認識) 食べ物を認識できない 口が開かない、拒否 過敏 ③口腔期(喉の奥に送り込む) 口が開いたまま 嚥下運動が始まらない 鼻への逆流 ③口腔期 ④咽頭期 食物の一部が気管に入り込む 喉付近に食べ物が残る 食道の蠕動運動が低下⑤食道期 ②準備期(取り込み、咀嚼、唾液と混ぜ合わせ食塊を形成) 唇で取り込まない、スプーン咬み、口を動かそうとしない、 丸のみ、舌がでてくる

(15)

摂食嚥下におけるこどもの特殊性を考えて評価する

発達的な要素

摂食嚥下機能

(16)

正常な摂食嚥下の発達の特徴的な動きを知る!

障害児の場合、順序通りに発達しないこともある。

(捕食が出来ていなくても、咀嚼はできるなど)

(17)

正常な摂食嚥下の発達の特徴的な動きを知る!

経口摂取準備期

◇ 原始反射

◇ 指しゃぶり

◇ おもちゃ舐め

原始反射が強く残存している場合は摂食嚥 下が難しくなる場合がある 舌の使い方、口や口周 囲の感覚を育てることに とても重要です。

原始反射

(18)

正常な摂食嚥下の発達の特徴的な動きを知る!(口の機能に形態を合わせる)

食形態 ペースト食 押しつぶし食 すりつぶし食 形状の 内容 やわらかい 粒がなく、滑らかなペースト状 舌でつぶせる程度 つぶの大きさはゴマ粒状程度 粒が口の中に広がらないようトロミ剤などでま とまりやすく 歯茎でつぶせる程度 粒の大きさは食品による 嚥下、捕食機能獲得期(5~6カ月) 押しつぶし機能獲得期(7~8カ月) 咀嚼機能獲得期(9~11カ月)

(19)

発達の特徴

障害された時

経口摂取準備期

哺乳反射、指しゃぶり、玩具なめ、舌突出、等。 拒食、過敏、接触拒否、誤嚥原始反射の残存等。

嚥下機能獲得期

下唇の内転、舌尖の固定、 舌の蠕動様運動での食塊移 送など。 むせ、乳児嚥下、逆嚥下、食塊 形成不全、流涎など。

捕食機能獲得期

顎・口唇の随意的閉鎖、上 唇での取り込み(擦り取 り)など。 こぼし(口唇からのもれ)、過 開口、舌突出,スプーンかみな ど。

押しつぶし機能獲得期

口角の水平の動き(左右対 称)舌尖の口蓋皺襞への押 し付けなど。 丸のみ(軟性食品)、舌突出、 食塊形成不全(唾液との混和不 全)など。

すりつぶし機能獲得期

口角の引き(左右非対称)、 頬と口唇の協調運動、顎の 偏位など。 丸のみ(硬性食品)、口角から のもれ、処理時の口唇閉鎖不全 など。

食べる機能が獲得できていない、食形態があっていないと…

発達的な要素も考慮しこどもの摂食嚥下機能をみてゆくことが大切!

(20)

今日お話しすること

① 重症心身障害児の摂食嚥下機能における問題

② 摂食嚥下機能の評価(正常を知る)

③ 症例

(21)

摂食嚥下機能評価

◇観察での評価 ① 口腔機能の評価:咬合不全、上唇の引きあがりあり 高口蓋(+) ② 感覚面:頭部、口周囲に過敏性(+) 口腔内の過敏(-) ③ 姿勢:側弯や緊張、上肢の動きで姿勢は左方向へ崩れやすい ④ 覚醒:変動あり。 興奮気味であったり、ぼーっとしていたりなど適度な覚醒状態を保ちにくい ⑤ 摂食嚥下機能 先行期: 食物の認識 においを嗅がせると目が大きく開く、視覚的に食物をとらえることは困難 準備期: 捕食(-) 舌の運動 前後方向 舌の動きは誘発されにくい 口外への流出 口腔期: 口腔内の停留(+) 嚥下運動がなかなか始まらない 残渣(+)鼻腔への流入(-) 咽頭期: 嚥下時や嚥下後のむせこみ(±) 食道期: 逆流などはなし。 嚥下後: ゼロつき(+)

(22)

VF検査

水分(トロミ)、ホットケーキ(牛乳を加えてミキサー)、車いす姿勢で評価 ◇評価 口腔期: 口腔内への停留 送り込み不良 咽頭期: 咽頭部に食物が停留 嚥下反射の遅延 嚥下中、嚥下後の気管への流入(+) 大量に誤嚥しないとむせ込まない 食道期: 食道口の開口、食道通過などは問題なし ◇ 食物による違い 水分(トロミ):薄いトロミ 口腔内への広がり、口外への流出、咽頭への流れ込み↑ 気管への流入↑ 中等度のトロミ 気管への流入が少なく、口腔内への留まりが良い ミキサー:嚥下後も口腔内に残りやすく(残渣)、舌は動くが送りこみしにくい ◇ 姿勢による違い 前傾座位 口外への流出 ↑ 嚥下時の誤嚥は少ない リクライニング座位 送り込みはしやすいが、嚥下時の誤嚥がみられる

(23)

主治医と相談し、

◇誤嚥はあるが最近の体調が安定している、

◇親御さんの希望や本人のQOL(食べることが好き)

(24)

摂食嚥下リハの方針

◇目標

おやつの時間を利用した安全な経口摂取の中で、摂食嚥下能力を維持し、

味わう事や食べることを継続して楽しめる

(25)

過敏

に対するアプローチ

接触面を大きく、少し圧をかけて、動かさない

受入れの良いところから無理せず行う。

本人の動き(手)を使う

(26)

舌での送り込み

↑ ミキサー状のものでも摂取可能、

摂取量

↑(10~15口)

(27)

今日お話しすること

① 摂食嚥下におけるこどもの特殊性

② 重症心身障害児の摂食嚥下機能における問題

③ 摂食嚥下機能の評価(正常を知る)

④ 症例

⑤ まとめ

(28)

まとめ

重症心身障害児(者)の摂食嚥下障害は、発達の障害(脳障害など)に起因する摂食嚥下

機能の未獲得な状態であり、構造上の問題や過敏など感覚障害、呼吸の問題、食環境(姿

勢や不適な食形態や介助)など様々な要因が影響している

そのため、障害像は複雑化しており、問題も見えづらいため、個々に合わせた対応が必要

基本的には安全第一を考え

本人も介助者も無理がなく、楽しくできることが大切

(体調や呼吸状態などが安定していることが第一条件)

経口で食べることは栄養の摂取ということでなく、楽しみ、コミュニケーション、

発達(運動や感覚など)を促すという意味でもとても重要な要素になる

(29)

正常な嚥下に必要な要素

1.静かな呼吸、呼吸を止められること

(呼吸との協調性)

2.食物をひとかたまりにできること

(舌の動き、食塊の形成)

3.素早い、1回での飲み込み

(喉頭挙上、嚥下反射)

困難な場合は、対応が必要(医療的な処置、練習、介助、道具 etc… )

平井孝明 摂食嚥下障害 チームで実践 小児臨床栄養マニュアルより 一部改変 体調、呼吸状態、覚醒状態、姿勢 舌の運動、口唇(顎)閉鎖、食形態 etc.

(30)

参照

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