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本報告書は 国連総会の要望に応じ MDGs 達成に向けた進捗の定期評価を行うため 国連事務局経済社会局の指導により MDG 指標に関する機関間 専門家グループ (IAEG) が集計してきた一式の原データに基づいたものである IAEG は MDGs 達成に向けた進捗をモニタリングするために適切なものと

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国連ミレニアム開発目標報告

2015

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本報告 書 は、国 連総 会の要望に応じ MDGs 達成に向けた進捗の定期 評価 を行うため、国連 事務 局経 済 社 会 局 の指 導 により「MDG 指 標 に関 する機 関 間 ・専 門 家 グループ(IAEG)」が集 計 してきた一 式 の 原データに基 づいたものである。IAEG は MDGs 達 成に向けた進 捗をモニタリングするために適切 なも のと認 定 された一 連 の統 計指 標 の作 成 にあたる国 際 機 関 の代 表 者 により構 成 されている。機 関 名 は以 下のとおりである。幾 人 かのの政府 統計担 当者 および外部専 門委 員の尽 力があったことも付 記する。 アジア太 平洋 経済 社会委 員会(ESCAP) 西アジア経済 社会 委員会(ESCWA) アフリカ経 済委 員会(ECA) 欧州経 済委 員会(ECE) ラテンアメリカ・カリブ経 済 委員会(ECLAC) 国連食 糧農 業機 関(FAO) 国際労 働機 関(ILO) 国際通 貨基 金(IMF) 国際電 気通 信連 合(ITU) 国際貿 易センター(ITC) 列国議 会同 盟(IPU) 国連合 同エイズ計画(UNAIDS) 経済協 力開 発機 構(OECD) 太平洋 共同 体(SPC) 世界銀 行(WB) 国連児 童基 金(UNICEF) 国連貿 易開 発会 議(UNCTAD) 国連開 発計 画(UNDP) 国連教 育科 学文 化機 関(UNESCO) ジェンダー平 等と女性のエンパワーメントのための国 連 機関(UN WOMEN) 国連環 境計 画(UNEP) 国連気 候変 動枠 組み条 約 (UNFCCC) 国連難 民高 等弁 務官 事務 所(UNHCR) 国連人 間居 住計 画(UN-HABITAT) 国連工 業開 発機 関(UNIDO) 国連人 口基 金(UNFPA) 世界保 健機 関(WHO) 世界貿 易機 関(WTO)

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国連ミレニアム開発目標報告

2015

要約版

国 連 ニューヨーク 2015 年

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はじめに

ミレニ アム 開 発 目 標 ( MDGs)の達 成 に向 けて世 界 の力 を結 集 するこ とにより、歴 史 上 最 も成 功 した貧 困 撲 滅 運 動 を生 み出 しました。世 界 の指 導 者 たち が 2000 年に行った画期 的な誓 約-「極 貧というみ じめで非人 間的な状況 から、仲間 である男 性、女性 、 子 どもを解 放 するため、何 ら努 力 を惜 しまない」—は、 世 界 中 の人 々が自 らの生 活 と将 来 の見 通 しを改 善 することができるよう、人々を奮起させる 8 つの開発 目 標 の枠 組 みと、その後 の幅 広 い段 階 的 行 動 に反 映されました。MDGs は 10 億人以 上の人々を極貧 から救 い、飢 餓 を減 らし、学 校 に通 える女 子 の数 を 今 までで最 も増 やし、地 球 を守 るために役 立 ちまし た。MDGs は新 しい革 新 的 な連 携 を生 み、世 論 を 動 かし、そして、野 心 的 な目 標 を設 定 するこ とに非 常に大きな意味 があることを示しました。MDGs は差 し迫ったニーズを抱える人 々を前面に置 くことで、先 進 国 でも開 発 途 上 国 でも同 様 に意 思 決 定 のあり方 を変えました。 しかし、こうした目 覚 ましい成 果 はあるものの、不 平 等 が根 強 く残 り、進 展 が一 様 でないことを痛 感 して います。世 界の貧困 は圧 倒 的に一部の地 域に集中 しています。2011 年には世 界の 10 億の極 貧の人 々 のうち約 60%がわずか 5 カ国に暮らしていました。あ まりにも多 くの女 性 たちが妊 娠 期 間 中 にあるいは出 産に関 連した合併症 により亡くなることが続いていま す 。 進 歩 は 女 性 た ち や 経 済 の 最 下 層 の 人 々 、 年 齢 ・ 障 害 ・ 民 族 性 などを理 由 に不 利 な立 場 に置 か れた人 々を素通 りしているかのようです。農 村部 と都 市部の格差 は依 然として明 白です。 MDGs を達 成 するための取 組 の経 験 と功 績 から言 えることは、私 たちはなすべきことを知 っているという ことです。しかし、さらなる進展 のためには、揺 るぎな い政 治的 意 志 と総 力 を結 集した長 期 的な取 組 が必 要になります。根本 的原 因 を対処し、持 続可 能な開 発 の経 済 、社 会 、環 境 の側 面 を現 在 よりさらに統 合 するためにさらに働きを強 化する必要があります。明 らかになりつつあるポスト 2015 開発アジェンダは、一 連 の持 続 可 能 な開 発 目 標 を含 むと同 時 に、これま での教 訓 を生 かし、MDG の成 功 に立 脚 して、全 て の国 がより繁 栄 した持 続 可 能 で平 等 な世 界 をともに しっかりと目指すことを意図 しています。 MDGs を振 り返 り、次 の 15 年を見 据えた時、私たち に課 せられた責 任 は必 ず果 たされると確 信 していま す。貧 困 を撲 滅 し、誰 ひとり置 き去 りにすることなく、 すべて の人 々の 尊 厳 が 守 ら れ るよ うな 世 界 を実 現 するという責任を私たちは共有しているのです。 潘 基文(パン・ギムン) 国連事 務総 長

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概 観 ǀ 3

概 観

新 世 紀 の始 まりに世 界 の指 導 者 たちは国 連 に参 集 し、貧 困 との闘 いを多 次 元 的に行 うための壮 大な展 望を描 いた。この展 望は 8 つのミレニアム開 発目 標 (MDGs)という形 を与 えられ、これまでの 15 年 間 、 世界を包括 する開 発の枠 組みとして機 能してきた。 MDG の最 終 年 を迎 え、世 界 の人 々がこれを祝 うだ けの理 由 がある。世 界 、地 域 、国 、地 元 の一 致 した 取 組 が実 を結 び、MDGs は何 百 万 もの人 々の命 を 救 い、それ をはるかに上 回 る人 々の生 活 状 況 を改 善 してきた。本 報 告 書 で提 示 されるデータと分 析 は、 目 標 を定 めた施 策 、堅 実 な戦 略 、十 分 なリソース、 そして政治 的意 志があれば、最貧 国 でさえかつてな いほど劇 的な進 展が果たせることを示している。また、 報 告 書 は目 標 の達 成 は一 様 ではなく、多 くの地 域 で目 標 に達 し ていないこ とも認 めている。取 組 はま だ完 了 し て おら ず、 新 し い 開 発 の 時 代 に 引 き継 が れなければならない。

かつてない取組が計り知れない成果をもたらした

目標 1:極度の貧困と飢餓の撲滅

 極度の貧困 は過 去 20 年 にわたり大 幅に減 少した。1990 年には開 発途上 国の人 口の半 数近 くが 1 日 1.25 ドル未 満で生活していたが、2015 年には その割合が 14%まで低下 した。  世界全 体では、極度 の貧 困の中 で暮らす人の数 は 1990 年の 19 億人から 2015 年 には 8 億 3,600 万人と半数 以 下に減少した。進展 の多くは 2000 年 以降に見られた。  労働者 の中で中流 階級に属する-1 日 4 ドル以 上で生活する-人 々の数 は 1991 年から 2015 年の間にほぼ3倍になった。この層は現在 開発 途上地 域の労 働人口 の半 数を占 めるが、1991 年にはわずか 18%だった。  開発途 上地 域における栄 養不良 の人々の割合 は 1990 年からほぼ半減し、 1990 年 から 1992 年 にかけて 23.3%だったが、2014 年 から 2016 年 にかけ ては 12.9%になる見 通しである。

目標 2:初等教育普遍化の達成

 開発途 上地 域における初 等教育 純就 学率 は 2000 年の 83%から 2015 年 には 91%まで達している。  世界全 体では、初等 教育 就学年 齢の非 就学 児童 数 は 2000 年の 1 億人か ら 2015 年には 5,700 万人とほぼ半減している。  MDGs の設定 以 降、すべての地域の中で初等 教育 に関 して最 大の改 善が 見られたのはサハラ以 南アフリカである。当地 域の純 就学率 は 1990 年 から 2000 年 にかけて 8 パーセントポイントの増 加 であったが、2000 年 から 2015 年にかけては 20 パーセントポイント増加している。  世界全 体で 15 歳 から 24 歳までの若 者の識 字率 は 1990 年から 2015 年の 間に 83%から 91%まで増 加している。男女 間の格差 は狭 まっている。 開 発 途 上 国 における 極 度 の貧 困 比 率 極 度 の貧 困 の中 で暮 らす 世 界 の人 々の数 1990 1999 2015 19 億 2, 60 0 万人 17 億 5, 10 0 万人 世 界 の初 等 教 育 就 学 年 齢 非 就 学 児 童 数 サハラ以 南 アフリカにおける 初 等 教 育 純 就 学 率 1 億 人 5700 万 人

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目標 3:ジェンダー平等の推進と女性の地位向上

 15 年前と比 べ今 日では、はるかに多 くの女子が学校 に通っている。開発 途 上 地 域 全 体 では、初 等 、中 等 および高 等 教 育 においてジェンダー格 差 を 解消するという目標 は達 成 されている。  南アジアでは、1990 年に小 学校に通う女 子 は男子 100 人に対し 74 人に過 ぎなかった。今 日、小学 校 に通う女子 は男 子 100 人に対し 103 人である。  女性 は、今日、非農 業部 門で収 入を得ている労働 者の 41%を占めており、 1990 年の 35%から増 加 している。  1991 年 から 2015 年の間に、全女 性雇 用者 数に占 める不 安定な雇用の割 合 は 13 パーセントポイント減少している。それに対し、男性における不 安定 雇用の割合 は 9 パーセントポイントの減少にとどまっている。  過去 20 年 のデータのある 174 カ国のうち、ほぼ 90%の国で女性の国会 議 員 数 が増 加 している。同 期 間 に女 性 国 会 議 員 の占 める割 合 は平 均 でほぼ 倍増した。しかし、女 性議 員はいまだにわずか 5 人 に 1 人である。

目標 4:幼児死亡率の引下げ

 世界全 体で 5 歳未 満の幼 児死亡 率は 1990 年から 2015 年の間に生児出 生 1,000 人当たり 90 人から 43 人へと半分 以下 に減 少した。  開発途 上地 域での人口 増 があるにもかかわらず、世 界全体 の 5 歳 未満 幼 児死亡 数は 1990 年の 1,270 万人から 2015 年にはほぼ 6 百万人 まで減 少 している。  1990 年代初頭以 降、世界 全体 で 5 歳未 満幼 児死 亡 率改善 のペースは 3 倍以上 加速している。  サハラ以 南アフリカでは、5 歳未満 幼児 死亡 率の年 間 削減率 は 1990 年- 1995 年 と比 べて 2005 年-2013 年 は 5 倍以上 のペースとなった。  はしかの予 防接種 によって 2000 年から 2013 年の間 に 1,560 万人が死を免 れた。同期間 にはしかの症 例報告 数 は世 界全体 で 67%減少した。  2013 年には世 界中 で少なくとも 1 回のはしかワクチンの予防 接種を受けた 子どもの割合 はおよそ 84%となり、2000 年の 73%を上 回った。 南 アジアにおける初 等 教 育 就 学 率 1995 年 以 降 90% の国 で 女 性 国 会 議 員 が増 加 している 74人 100人 100人 103人 世 界 の 5 歳 未 満 幼 児 死 亡 数 世 界 のはしかワクチン接 種 率 1270 万 600 万 人

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概 観 ǀ 5

目標 5:妊産婦の健康状態の改善

 1990 年以降、世 界中 で妊 産婦の死亡率 は 45%減少 し、減少 は主 に 2000 年以降 に見られる。  1990 年 から 2013 年の間に、南アジアの妊 産婦 死亡 率 は 64%減 少 し、サハ ラ以南アフリカでは 49%減 少した。  2014 年には、世界の 71%以上の出産 は熟 練 医 療 従 事者の立会いの下に 行われた。これは 1990 年の 59%から上 昇である。  北アフリカでは、最 低 4 回 の出産 前診察 訪問 を受けた妊婦 の割 合は 1990 年から 2014 年の間に 50%から 89%まで増 加した。  婚姻又 は内縁 関係にある世界中 の 15 歳 から 49 歳 までの女性の間で、避 妊手段 の普及 は 1990 年の 55%から 2015 年には 64%まで増加した。

目標 6:HIV/エイズ、マラリア、その他の疾病のまん延防止

 HIV への新 たな感 染 は 2000 年 から 2013 年の間に約 40%低下し、推定 350 万人 から 210 万人まで減 少した。  2014 年 6 月までに世界 中 で 1,360 万人の HIV 感染 者が抗レトロウイルス 療法(ART)を受けていたが、これは 2003 年の 80 万 人 から飛 躍的な進歩 で ある。ART によって 1995 年から 2013 年の間に 760 万人がエイズによる死 を 免れた。  2000 年 から 2015 年の間に 620 万人以上の人々がマラリアによる死を免れ た。その多 くはサハラ以 南 アフリカに住む 5 歳 未 満 の子 どもたちである。世 界のマラリア発生 率は推定 で 37%低下し、死亡 率は 58%低下した。  2004 年 から 2014 年の間に 9 億 枚 以上 の殺虫 剤処 理された蚊 帳が、マラリ アが風土 病となっているサハラ以南アフリカの国々で配布された。  2000 年 から 2013 年の間 に結核の予防 、診断 、治 療 によって推定 で 3,700 万 人 の命 が救 われた。1990 年 から 2013 年 の間 に、結 核 による死 亡 率 は 45%低下し、結核の有病 率 は 45%低下した。 世 界 で抗 レトロウイルス療 法 を 受 けている人 の数 サハラ以 南 アフリカで殺 虫 剤 処 理 された蚊 帳 の配 付 数 (2004 年 –2014 年 ) 1360万 人 80万 人 世 界 の妊 産 婦 死 亡 率 (生 児 出 生 10 万 人 当 たり死 亡 数 ) 世 界 で医 療 従 事 者 の立 会 いの下 に 行 われた出 産 の割 合 9 億 枚

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目標 7:環境の持続可能性の確保

 オゾン層 破 壊 物 質 は 1990 年 以 来 実 質 的 には除 去 されてきており、オゾン 層は今世 紀半ばまでには回復すると見込 まれている。  1990 年 以 来 多 くの地 域 で陸 上 および海 洋 の保 護 対 象 領域 が大 幅 に拡 大 した。ラテンアメリカ・カリブ海では 1990 年から 2014 年の間に陸上の保護 対 象地域 の範囲 は 8.8%から 23.4%まで拡 大した。  2015 年 には世 界 の人 口 の 91%が改良された飲料 水源を使用している。そ れに対し 1990 年は 76%だった。  1990 年 以降に改良された飲料水 を利 用できるようになった 26 億人のうち、 19 億 人 が 身 近 に 水 道 を 引 くこ と が で き た 。 今 や 世 界 の 人 口 の 半 数 以 上 (58%)がこのような高 い水 準のサービスを享受している。  全世界で 147 カ国が飲料 水の目 標を達 成し、95 カ国が衛 生施設 の目 標を 達成し、77 カ国が両方の目標を達成している。  全 世 界 で 21 億 人 が改 良 された衛 生 施 設 を利 用 できるようになった。1990 年以降 野外 排泄 を慣行 としている人 々の割 合はほぼ半減している。  開発途 上地 域で都市 部のスラムに住む人口の割合 は 2000 年の約 39.4% から 2014 年には 29.7%まで低下した。

目標 8:開発のためのグローバル・パートナーシップの構築

 先 進 国 からの政 府 開 発 援 助 (ODA)は 2000 年 から 2014 年 の間 に実 質 66%増加し、1,352 億ドルに達した。  2014 年 には、デンマーク、ルクセンブルク、ノルウェー、スウェーデンおよび 英国 は、国民総 所得 の 0.7%という ODA 諸 国に対 する国連目 標を引き続き 上回った。  2014 年には、先進 国の開 発途上 国 からの輸 入のうち 79%に非課税 輸入 が 認められ、2000 年の 65%から上 昇した。  開 発 途 上 国 の 輸 出 収 入 に対 する対 外 債 務 返 済 額 の比 率 は 2000 年 の 12%から 2013 年 には 3%まで低下した。  2015 年現在、世界 の人 口 の 95%は携 帯電 話による通話可 能域 にいる。  携帯電 話加 入契 約数 はこの 15 年でほぼ 10 倍に増 加し、2000 年の 7 億 3,800 万 件 から 2015 年 には 70 億 件 を超 えた。  インターネットの普及 率 は 2000 年に世界の人 口のわずか 6%余だったもの が 2015 年には 43%まで増 加し、その結 果、32 億人がグローバル・ネットワー クのコンテンツとアプリケーションにつながっている。 1990 年 以 来 19 億 人 が水 道 水 への アクセスを取 得 1990 年 以 来 オゾン層 破 壊 物 質 の 98%が除 去 23 億 人 42 億 人 政 府 開 発 援 助 (ODA) 世 界 のインターネット普 及 率 810億 ドル 1352 億 ドル

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概 観 ǀ 7

多くの成功の陰で、最も貧しい人々、最も脆弱な人々が置き去りにされている

世界中 で多 くの MDG 目 標について重 要な成 果が 得 られているが、進 展 は地 域 や国 をとおして一 様 で はなく、大きな格 差が残っている。何 百万 もの人々、 とりわけ最 も貧 し い人 々、性 別 、年 齢 、障 害 、民 族 性又 は地理 的 条件 のために不 利な立場 にある人 々 が置 き去 りにされている。最 も脆 弱 な人 々に手 を差 し伸べるためには目 標を定 めた取組が必要 となる。  根 強 く残 る男女 不 平 等 女 性 は仕事 、経 済 的資 産 へのアクセス、ならびに公 私 の意 思 決 定 への 参 加 に おいて差 別 に直 面 し 続 けて いる 。 女 性 は 男 性 よ り 貧 困 の 中 で生 活 する 可 能 性 も高 い。ラテンアメリカ・カリブ海 では貧 困 層 世 帯にいる男女の比率が 1997 年には男性 100 人に 対し女性 108 人だったが、2012 年には、地域 全体 の貧 困 率が低 下しているにもかかわらず、男 性 100 人に対し女 性は 117 人 となった。 女 性 は労 働 市 場 において依 然 として不 利 な立 場 に ある。世界 で就 業年齢 にある男性の約 4 分の 3 が 労 働 に従 事 しているのに対 し、女 性 が労 働 に従 事 し ている割 合 は就 業 年 齢 の女 性 の半 数 にとどまっ ている。世界の女性の所得 は男 性より 24%少ない。 2012 年 から 2013 年 にかけての教 育 水 準 ごとの失 業率のデータを保 有する 92 カ国のうち 85%で、高 等 教 育 を 受 け た 女 性 は 同 水 準 の 教 育 を 受 け た 男 性 より失 業 率 が高 いという結 果 が出 ている。持 続 的 な進 展 があるにもかかわらず、今 日 の世 界 では、公 私 の意 思 決 定 の場 面 においてジェンダーが平 等 に 代表される状 況には遠 く及 ばない。  最 貧 層 世 帯 と最富 裕 層 世帯 の間 および 農 村 部 と都 市 部の間には大 きな格差 がある 開発途 上地 域では、世帯 の下位 20%を占める最貧 層 世 帯 の子 どもたちが成 長 を阻 害 される可 能 性 は、 上位 20%の最富 裕層 世帯 の子どもたちの 2 倍を超 え、学校に通えない可能 性 は 4 倍になっている。最 貧層世 帯の子 どもたちの 5 歳未満 幼児 死亡 率は最 富裕層 世帯の子どもたちのほぼ 2 倍 である。農 村部 では熟練 医療 従事者 の立 会いによる出 産は 56%に とどまっているのに対し、都 市部では 87%である。農 村 部 の人 口 の約 16%が改 良 された飲 料 水 源 を利 用できていないのに対し、都市部 では 4%である。農 村部 に暮らす約 半 数の人 々には改 良された衛生 施 設 がないのに対 し 、都 市 部 で利 用 できない人 々は わずか 18%である。  気 候 変 動 と環 境悪 化 が今までの進 展 を 切 り崩し、貧 困 層が最 大の被 害 者 となる 世界の二酸化 炭素 排出 量 は 1990 年以降 50%以 上 増 加 し ている。緩 和 さ れない温 室 効 果 ガス排 出 増 とその結 果 予 想 される生態 系 の変 容 や異 常 気 象 、 社 会 的 リスクなどの気 候 変 動 の影 響 に対 処 すること は 、 依 然 と し て 地 球 社 会 に と っ て 喫 緊 の 課 題 で あ る。 2010 年には推定で 520 万ヘクタールの森林 が失わ れたが、これはコスタリカの国 土 の広 さに匹 敵 する。 海 洋 漁 業 資 源 の乱 獲 は安 全 な生 物 学 的 利 用 限 界 内にとどまる資源 の割 合を減少させ、これは 1974 年 の 90%から 2011 年には 71%まで低 下している。 生 物の種 は数の面 でも分 布の面 でも全 体 的に減少 している。このことは絶 滅 の脅 威 が増 していることを 意味する。水 不足 は世 界 の人口の 40%に影 響を及 ぼし、今 後 もその傾 向 は増 すと予 測 されている。貧 困 層 は生 計 が天 然 資 源 と直 接 的 に結 び付 くことが 多 く、最 も脆 弱 な 地 域 に 暮 ら すこ とも多 い ため、 環 境悪化 の被害 を最も深刻 に受けることになる。  紛 争 は依 然 として人 間の開発 にとって最 大 の 脅 威 である 2014 年末までに紛争 のために家 を捨 てなければな らなかった人 の数 は約 6,000 万人に達した。この人 数 は第 二 次 世 界 大 戦 以 来 最 悪 の水 準 である。この 人々を一国にまとめたとすると、世界で 24 番目に大 きな国になる。毎 日平均 42,000 人が紛争のために 強 制 的 に 避 難 さ せ ら れ 、 保 護 を 求 め ざ る を 得 な く なっている。この数 字 は 2010 年の 11,000 人のほぼ 4 倍 である。2014 年に国連 難民高 等弁 務官 事務 所 (UNHCR)の庇 護 下 にあった世 界 の難 民 の半 数 が 子 どもである。紛 争 の影 響 を受 けている国 々では非 就学児 童の割 合が 1999 年 の 30%から 2012 年には 36% に 増 加 し た 。 脆 弱 で 紛 争 の 影 響 を 受 け て い る 国々は一 般的に最も高 い貧困率 を有している。

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 何 百 万 人 もの貧 困層 が基本 サービスを利 用で きず、いまだに貧困 と飢 餓の中 で暮らしている 非 常 に大 きな進 展 があったにもかかわらず、今 日 も およそ 8 億もの人 々がいまだに極度 の貧 困の中 で 暮らし、飢餓 に苦しんでいる。1 億 6,000 万人を超え る 5 歳 未 満 の子 どもたちが十 分 な食 糧 がないため 年齢相 応の身 長に達していない。現 在、5,700 万人 の初 等 教 育 就 学 年 齢 の子 どもたちが学 校 に通 えて いない。世 界 の労 働 者 のほぼ半 数 がいまだに不 安 定 な労 働 条 件 下 で働 いており、人 間 ら し い仕 事 に 伴う恩 恵をほとんど享 受していない。毎 日約 16,000 人 の子 どもたちが 5 歳 の誕 生 日 を迎 える前 に命 を 落 としているが、その死 因の大 部 分 は予 防 可 能 なも のである。開 発途 上地 域の妊産婦 死亡 率 は先進 地 域の 14 倍である。開発途 上地域 の妊婦 のうち、推 奨される最低 4 回の出産 前診察 を受けているのは わずか半 数である。開発 途 上地域 の 3,150 万人の HIV 感 染者のうち 2013 年 に ART(抗 レトロウイルス 療 法 )を受 けたのはわずか 36%と推 定 される。2015 年には 3 人に 1 人(24 億 人)がいまだに改 良されな い衛生 施設 を使 用しており、そのうち 9 億 4,600 万 人 がいまだに野 外 排 泄 を慣 行 としている。今 日 、開 発 途 上 世 界 の 都 市 でスラ ム の よう な 環 境 に 暮 ら す 人々は 8 億 8,000 万人を超えると推定される。 グローバルな行動によってこうした数 字を好転させる ことができる。

MDG アジェンダの成功はグローバルな取組が有効であることを物語っている。

新たな開発アジェンダが誰ひとり置き去りにしないためにはグローバルな取組しか道はない。

2015 年、国際社会 は歴史 的な岐 路に立 っています。 MDGs が最 終 期 限 を迎 え、世 界 はその成 功 と気 運 の上 に前 進 する機 会 を得 る一 方 、目 指 すべき将 来 に向 け新 たな希 望 を抱 いています。環 境 を保 護 し、 平 和 を確 保 し、人 権 を実 現 しながら、人 々のニーズ を一 層 満 たし、経 済 の変 化 に対 応 するための力 強 い新 アジェンダが登 場 する兆 しが見 え ます。このア ジェンダの中 心 に据 えられる持 続 可 能 な開 発 は地 球 上 の 1 人 ひとりにとって現 実 のものにならなけれ ばなりません。 本編は MDGs の最後の報告書 です。本 書はミレニ アム宣 言 で提 示 された意 欲 的 な目 標 を達 成 するた めの 15 年間 の取組 を記し、世界 中の多 くの成功 を 浮 き彫 りにしていますが、格 差 が残 っていることも認 めています。我 々は MDGs の経験を通して得られた 多 くの教 訓 を踏 み台 に次 の段 階 に向 かっています。 すべての国 の指 導 者 および関 係 者 は、真 に普 遍 的 で、真 の変 革 をもたらすアジェンダの達 成 に向 け手 を携え一層 の努 力を惜しみません。これが世 界のす べての人 に持 続 可 能 な将 来 を保 証 し、尊 厳 ある生 活を実 現するための唯一 の方法であります。 呉 紅 波(ウ・ホンボ) 経済社 会局 担当 事務 次長

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大切にするものをはかる:持続可能な開発のための持続可能なデータ ǀ 9

大切にするものを測る:

持続可能な開発のための持続可能なデータ

ポスト 2015 開発アジェンダが確立されつつある現 在、 データの作 成 を強 化 し、政 策 決 定 とモニタリングの ためにより良 質 なデータを活 用 することが開 発 の基 本 であるとの認 識 が高 まっている。MDG のモニタリ ング経 験 から明 ら かになったことは、開 発 の取 組 を 活 性 化 さ せ、目 標 達 成 に向 けた施 策 を実 施 し、実 績 を監 視 し 、 説 明 責 任 を 向 上 さ せ る上 でデー タの 効 果 的 な活 用 が役 立 つということである。したがって、 持 続 可 能 な開 発 は、あらゆるレベルで新 しい 2015 開 発 アジェンダの実 施 を支 えるために、いつでも入 手 可 能 な、より上 質 の、タイムリーで、かつ属 性 ごと に細 分 類 可 能 なデータを提 供 すべく、データ革 命 が求められている。

MDGs のモニタリングによってデータは開発 ア

ジェンダに必要不可欠であることが分かった

測 定 されるものは、改 善される MDG の枠 組 みがあることで、多 くの国 が MDGs を 自 国 の 政 策 の 優 先 事 項 と 開 発 戦 略 に 組 み 込 み 、 事 実 に基 づく意 思 決 定 を 行 うためにし っかりとし た 信 頼のおけるデータを活 用 する傾 向が強 化された。 また、MDGs の達 成 に向 け進 捗 を監 視 するために 信 頼 のおけるデータを用 いることによって、国および 小 地 域 のレベルで政 府 が開 発 のための政 策 、計 画 、 施策の重点を効果 的に定 めることが可能 となった。 現 地 レベルでのデータは極 めて有 益 であることが分 かった。小 地 域 で初 等 ・中 等 教 育 の純 就 学 率 をモ ニタリングしたことによって、北 部 ケニアの乾 燥 地 帯 と半 乾 燥 地 帯 の間 に大 きな格 差 があることが明 らか になった。それに応 じ、ケニア政 府 は貧 困 地 域 に目 標 を定 め、学 校 給 食 計 画 を具 体 化 し、低 コストの寄 宿 舎 や移 動 教 室 を創 設 した。コロンビアでは、小 地 域 レベルのデータによって進 捗 率 に 大 きな格 差 が あることが分 かったため、各 自 治 体 がそれぞれの現 地 の 優 先 課 題 に 応 じ て 主 要 な 施 策 を講 じ る よう に なった。例えば、ナリーニョ地域 では目標 3 に重点 を置 き、雇 用 と政 治 参 加 における大 きなジェンダー 格 差 の削 減 を目 指 した。クンディナマルカでは、最 も貧しい自 治体 で目 標 1 の進捗 加速に重点を置い た。  データの需要 と政 策支 援が一致した時、真の データ改善が行われる MDGs によって、開 発 デ ータの作 成 と利 用 拡 大 の 取 組 が活 発 に行 われた。モニタリングを行 う必 要 性 から、各 国 と国 際 双 方 のレベルで統 計 能 力 を強 化 し、統 計 手 法 と情 報 システムを改 善 する必 要 性 があ ることに注 目 が集 まった。こうしたことから時 間 ととも により多 くの良 質 なデータが利 用 できるようになり、 その一 方 で、各 国 の統 計 システムの内 部 調 整 が改 善され、新 たな統計手 法も導かれた。 フィリピンでは MDGs のモニタリングを支援 するため、 国家統 計調 整委 員会(NSCB)が MDG 指標を管理 する国の機関に指定された。委員 会 は MDGs 統 計 整 備 計 画 を 定 め た 。 こ れ に よ り 異 な る 情 報 源 か ら データを集 積 するこ とが可 能 となり、政 策 決 定 のた めの デ ータ の収 集 、 発 信 、改 善 を支 援 する 計 画 と 指 針 が制 定 された。また、現 地 の開 発 計 画 を監 視 ・ 評 価 するためのデータを提 供 する目 的 で、地 域 に 密着したモニタリングシステムも整備された。 MDGs のモニタリングシステムは国 際 機 関 と各 国 の 専 門 家 間 の緊 密 な協 力 に支 えられて劇 的 に改 善 し た。WHO と UNICEF による「水と衛 生共 同モニタリ ング・プログラム」のデータベースに含 まれる国 勢 調 査などの調査 結果 は 2000 年から 2015 年の間 に 6 倍 に増 えた。MDG 公 式 指 標 のうち 22 について、 データが網羅 する国 の数 が 2003 年から 2014 年の 間に飛 躍的に増えた。2003 年には 22 の指標のうち 16 以上 の指 標 について少 なくとも 2 時点のデータを 持 つ 開 発 途 上 国 の 割 合 は わ ず か 2% だ っ た が 、 2014 年 までに 79%に達 した。これはモニタリングの 必 要 条 件 を満 たすために各 国 の統 計 システム能 力 が増 強 され、データ報 告 メカニズムが改 善 された結 果 である。これはまた、国 際 機 関 が各 国 の情 報 源 を 以前より適 切に利 用できていることの恩恵 でもある。

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選 定 された 22 の MDG 指 標 に、各 最 低 2 つのデー タポ イン トを持 つ開 発 途 上 地 域 内 の国 と領 域 の割 合 (2003 年 、2006 年 、2014 年 /パーセント)  開 発 のための政 策 決定 に不 可 欠 なデータは 改 善 されたものの、いまだに不 足している 開 発 の い く つ か の 分 野 で 大 き な デ ー タ の 格 差 が 残 っている。中 でも、質 の悪 いデータ、最 新 データ の欠如 、重 要な属性 による細分 類ができないデータ が、重要 な課 題 として残る。そのため、多 くの国 や地 方 の政 府 は計 画 や決 定 に際 し、古 いデータや質 の 悪いデータに依存し続けている。 世界銀 行の調 査によれば、155 カ国のうちおよそ半 数 の国 で貧 困 を監 視 するための適 切 なデータが不 足 し ており、そ の結 果 、こ うし た国 々では最 貧 困 層 の 実 態 が 見 え な い ま ま に な っ て い る こ と が 多 い 。 2002 年 から 2011 年 までの 10 年間に 57 カ国 (37%) もの国 々では、貧 困 率 の推 定 値 がまったくないか又 は1つしかなかった。サハラ以 南 アフリカは最 も貧 困 の深 刻 な地 域 であるが、61%の国 で貧 困 の動 向 を 監視するための適 切なデータを保有していない。 国 全 体 を対 象 とした住 民 登 録 制 度 が適 切 に機 能 し ていないことも深 刻 なデータ格 差 を生 む原 因 であり、 人 口 動 態 統 計 にとっては特 にそうである。幼 児 死 亡 率 の推 計 に関 する国 連 機 関 間 グループによれば、 そのような制度 を保有しているのはわずか 60 カ国 ほ どであり、他 の大 部 分 の国 々では幼 児 死 亡 率 を推 計するために世帯 調査や国勢調 査に頼 っている。

ポスト 2015 開発アジェンダに向けて、より良質

なデータが必要である

 数 えていなかった人を数えることによってはじ めて、手 を差 し伸 べていなかった人 に手を差し 伸 べることができる 年 齢 や性 別 などの基 本 を越 えた重 要 な属 性 、中 で も移 民 や先 住 民 などの区 別 、民 族 性 、障 害 の有 無 などによる細 分 類 ができる良 質 なデータが、すべて の人 々にとって持 続 可 能 な開 発 を達 成 するための 意 思 決 定 や進 捗 のモニタリングを行 う上 で欠 かせな い。人 口 の少 ない小 集 団 の規 模 を推 計 し属 性 を調 査 するためには、サンプルのサイズを大 きくすること、 または全 人 口 のデータを取 ることが必 要 である。人 口 と世 帯 に関 する国 勢 調 査 は重 要 なデータの情 報 源 となるとともに、脆 弱 な少 数 集 団 の大 きさ を推 定 するための抽 出枠 となる。 ラ テ ン ア メ リ カ で は 、 例 え ば 先 住 民 に 関 す る 詳 細 デ ー タ を 利 用 で き る よ う に な り 、 目 覚 ま し い 進 歩 が あった。ラテンアメリカ 20 カ国のうち 17 カ国の 2010 年 版 国 勢 調 査 に先 住 民 に関 する質 問 項 目 が含 ま れ、当 該 集 団 に関 する詳 細 データが提 供 できるよう になった。妊 産 婦 のケアに関 するデータによって明 らかになったことは、2000 年 前 後 に医 療 従 事 者 の 立 会 いを受 け出 産 した人 口 の割 合 は、先 住 民 の女 性は非先 住民の女性 よりメキシコでは 38 パーセント ポイント低く、ペルーでは 45 パーセントポイント低い ということだった。このように細 分類 されたデータを活 用 できれば、不 平 等 を縮 小 するためにより効 果 的 な 施策を採ることができる。2012 年までには両 国の先 住民女 性の出 産の 80%以 上に医 療従事 者が立会 うようになった。 メキシコおよびペルーで熟 練 スタッフの立 会 いの下 で出 産 した割 合 (特 定 の年 次 /先 住 民 の立 場 /パー セント) 先 住 民 の女 性 非 先 住 民 の女 性 メキシコ ペルー

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大切にするものをはかる:持続可能な開発のための持続可能なデータ ǀ 11  より迅 速 に、より良 い決 定 を行 うためにはリアル タイムデータが必 要である 今 日 のよ う に急 速 に 変 化 する 世 界 で は 、経 済 、政 治 、自 然 および健 康 の危 機 に備 えて対 応 するため には、リアルタイムの情報が必要 である。しかし、多 く の開発データには 2 年 から 3 年の時間のずれがある。 最 近の技 術 革新 の助けにより、この問 題を回 避 する ことが可 能 になっている。例 えば、UNICEF とパート ナーは携 帯 電 話 によるテキストメッセージ(SMS)の 技 術 を用 い、エボラ出 血 熱 の猛 威 についてリアルタ イムの情 報 を集 め、共 有 した。リベリアでは何 百 人 も の医療 従事者 が mHero(携帯電 話による医 療従事 者のエボラ対 応 を支 援するシステム)を用 い、ギニア とシエラレオネでは何 千人 もの若者が U-Report(ユ ニセフ・レポート)を用 いている。こうしたリアルタイム の情 報 は迅 速 に新 しい症 例 を見 つけ、どのような援 助 物 資 が必 要 かを決 め、命 を救 うメッセージを発 信 するのに役に立っている。  地 図 情 報 は、医 療ケアから天 然 資 源 管 理にい たるまで、開 発の多 くの側面 をモニタリングする ことを助ける 人 々と事 物 がどこにあり、互 いにどのような関 係 にあ るかを知 ることが、十 分 な情 報 に基 づく意 思 決 定 に 欠 かせない。総 合 的 な位 置 情 報 の助 けをもって政 府 は戦 略 的 な優 先 事 項 を定 め、決 定 を行 い、結 果 を計 り、モニタリングを行 う。地 図 情 報 がひとたび作 成 されれば、何 回 でも多 様 な用 途 に活 用 することが できる。測 地 基 準 座 標 枠 を用 いれ ば、地 球 上 であ れ ば ど ん な も の で も 高 精 度 の 観 測 と 「 位 置 情 報 ( positioning) 」 が 可 能 であり、精 密 農 業 や 海 面 上 昇の監 視 など、社 会 、経 済 および環 境 に関 する多く の目的に活用 することができる。 例 えば、カリブ海 地 域 一 帯 にチクングンヤ熱 ウイ ル ス(chick-V)がまん延 したとき、地 図 情 報 は医 療 ケ アを支 え 、社 会 的 介 入 策 を決 定 するために用 いら れ た。トリ ニ ダ ード ・ トバゴでは、ス マートフォン の 地 図 アプリケーションを活 用 することによって、保 健 省 が感 染 者 の位 置 を特 定 し、その情 報 を流 行 防 止 に 用いることができた。

新しい開発アジェンダに必要なデータを整備

するには、強い政治的な決意とさらに多くのリ

ソースが求められる

 統 計 能 力 の強 化 が新 しい開 発 アジェンダの進 捗 をモニタリングするための土 台 となる データの有 効 性 、信 頼 性 、適 時 性 、入 手 可 能 性 を 改善し、ポスト 2015 開発 アジェンダを支えるために は、国 を筆 頭 に、あらゆるレベルでの統 計 能 力 の向 上 に持 続 的 な投 資 を行 う必 要 がある。国 の統 計 能 力 の規 模 拡 大 および統 計 システムの強 化 ・近 代 化 のためには、有 効 な制 度 の整 備 と内 部 調 整 、持 続 可能 な人 材の確 保 、持 続 可能 な(内部 と外部 の)財 源 および技 術 協 力 が必 要 となる。統 計 を管 轄 する 政 府 当 局 は関 連 する国 の機 関 間 の調 整 を先 導 し、 モニ タリ ン グのためのデータ拠 点 となるための明 確 な権能 を持つ必要がある。 例えば、国の住 民登 録 制 度や人 口動 態 統計 システ ムを改 善 するには、政 府 の強 い関 与 と行 政 インフラ の強化 のための長 期的 取 組 が求 められる。これまで の 20 年間の進展 は緩慢 だったが、一 部目覚 ましい 進 歩 を遂 げ た国 も あった 。 例 え ば、南 ア フリ カで は 2012 年に生 まれた子 どもの 85%が出生 登録された が、2003 年には 56%に過 ぎなかった。タイでは 1996 年 に取 組 が始 まり、現 在 は 95%以 上 の出 生 と死 亡 について登録が行われている。  新 技 術 によってデータの収集 と発 信 の方法 が 変 化 している 新しい情 報通 信技 術によりデータの収集 、分 析およ び発 信 についてこれまでにない好 機 が訪 れている。 今 日 では世 界 人 口 の 95%が通 信 ネットワークに網 羅される一方 、携 帯電 話・通信機 器の契 約数 は 70 億 件 を超 えるまで成 長 した。インターネットの普 及 は 世界の人口の 43%に達し、32 億の人 々がグローバ ル・ネットワークを通してコンテンツとアプリケーション につながっている。コン ピ ュータを利 用 し た個 別 調 査(CAPI システム)や携帯 メールによる調査(SMS) などの新しいデータ収 集 技 術 、および、ソーシャルメ ディアへの投 稿 、オンラインの検 索 記 録 、携 帯 電 話 の通 話 記 録 などの新 たな情 報 源 によって、以 前 より 迅 速 なデータ収 集 とリアルタイムに近 い情 報 提 供 が 可能 となっている。

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2010 年のブラジル国勢 調 査の運 営にはいくつかの 革 新 技 術 が導 入 された。国 勢 調 査 のデジタル・マッ ピング技 術 が開 発 され、国 が管 理 する住 所 ファイル (National Address File)と統合された。これにより、 国 勢 調 査 のデータ収 集 がより効 率 的 で正 確 なもの とな った 。全 地 球 測 位 シ ス テム ( GPS)受 信 機 の 備 わった CAPI 装置によって現地作 業とリアルタイムの データ編 集 が可 能 となった。また、ブラ ジルでは面 会が困 難 な人々を対 象 とし、インターネットを補 足シ ステムとして用いるデータ収 集を行 った。 しかし、新 しい情 報 源 や新 しいデータ収 集 技 術 は、 裕 福 な人 々や教 育 程 度 の高 い人 々、若 者 や男 性 などに偏 った報 告 とならないように 注 意 深 く利 用 す る必 要 がある。また、こうした革 新 的 な装 置 を用 いる ことは革 新 技 術 を利 用 できる手 段 をより多 く保 有 す る人 々に有 利 に働 き、「データ貧 者 」と「データ富 者 」 の格差を広 げる危 険性もある。  効 果 的 なモニタリングには世 界 標 準 と統 合され た統 計 システムが必 須 である 国 際 標 準 は国 の統 計 能 力 を構 築 する上 で重 要 で ある。「公 的統 計の基 本原 則」の 1 つに、「国際的な 概 念 、分 類 及 び方 法 を各 国 統 計 機 関 が用 いること は、全 ての公 的 レベルの統 計 システムの整 合 性 及 び効 率 性 を向 上 させる。」と記 されている。また、事 務総 長の諮 問機 関 である持続 可能な開 発のための データ革命 に関 する独 立 専門 家 諮問 グループの報 告 書 は 「 デ ー タ に 関 す る 世 界 的 合 意 ( Global consensus on data)」の必 要 性 を強 調 し、法 律 、技 術 、プライバシーの面に配 慮した地 図および統 計に 関する標準 を採用 することにより市民 の利用 や情報 の交 換 を促 す一 方 、人 権 の推 進 と保 護 にも資 する としている。 持 続 可 能 性 の 測 定 は、 経 済 、 社 会 及 び環 境 の 複 雑な相互 作用 を捉えることが求 められる高度 な技 術 的課題 である。したがって、これら 3 つの局面 をまと めて扱 うための指 標 を統 合 する枠 組 みが必 要 であ る。統 合 はデータ利 用 者 のみならず、回 答 の煩 わし さ、エラーの可 能 性 、長 期 的 なコストを低 減 するとい う点 で、データ作 成 者 とデータ提 供 者 の利 益 にもつ ながる。統 計 デー タ統 合 の利 益 を 享 受 する ために は、統 計 標 準 の採 択 、統 計 作 成 過 程 の整 備 と再 編 、 および制度 変更のための投資が必要である。  誰 にでも開 かれ、容易 に入手 できるデータの 普 及 とデータ読解 力 の向上 が、開 発の意 思決 定 のための効 果 的なデータ利 用 の鍵 となる 開 発 のためのデータは公 共 財 であり、一 般 の人 々 が利 用 できるように開 かれた形 で存 在 する必 要 があ る。オープンデータは政 府 の透 明 性 や説 明 責 任 を 裏 打 ちするとともに、賢 い政 策 決 定 を行 なうための 英 知 結 集 を可 能 にし、市 民 参 加 を高 め、行 政 に対 して効 率 性 と有 効 性 を促 す。データの他 にも、定 義 、 デ ー タ の 質 、 デ ー タ 収 集 の た め に 用 い る 方 法 な ど データに関 する重 要 な属 性 情 報 ( メタデータ)につ いても広 く入 手 できるようにする必 要 がある。データ の公 開 に加 え、機 械 で読 み取 り可 能 なデータを開 示 するとともに、無 料 で視 覚 化 と分 析 のツールを提 供するための努力が必要 である。 利 用 可 能 なデータ量 が増 えるに伴 い、利 用 者 には データを正 しく利 用 し解 釈 するためのスキルも必 要 となる。政 府 や国 際 機 関 などの関 係 者 はデータ・リ テラシー・プログラムの実 施 を支 援 し、e-ラーニング の機 会 を提 供 し 、データ・リ テラ シーを学 校 教 育 の 一部に含めるべきである。  皆 で力 を合 わせれば、大 切にするもの測 ること ができる データは、事 実 に基 づく意 思 決 定 と説 明 責 任 の土 台であり、ポスト 2015 開発 アジェンダの欠 かすことの できない支 柱 である。そのために必 要 なデータ革 命 は、政 府 、国 際 機 関 、地 域 機 関 、民 間 部 門 および 市 民 社 会 が共 同 で責 任 を負 うべきものである。新 た な連 携 を築 くことは、利 用 可 能 なデータを確 実 にポ スト 2015 開発アジェンダに提供し、次の 15 年間の 開 発 に向 けた意 思 決 定 を支 えるために不 可 欠 であ る。

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「2015 年は節目となる重要な年です。私たちは

ミレニアム開発目標を達成します。そして今、持

続可能な開発目標を構築し、勇気をもって持続

可能な開発を展望するための一歩を踏み出しま

す。私たちはまた、新たに、気候に関する普遍

的な合意を目指していきます。」

潘 基文(パン・ギムン)

国連事務総長

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