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全文

(1)

新商品の情報も加味した価格指標

(SRI一橋単価指数)に関する研究成果

報告

2015年3月

一橋大学経済研究所

経済社会リスク研究機構

阿部修人

1

(2)

今日の内容

本指数開発の背景

物価・価格指数における商品の選択について

SRI-一橋単価指数の考え方

単価指数と他の価格指数との比較

2

(3)

-1

0

1

2

3

4

5

6

3

6

9

12

3

6

9

12

3

6

9

12

2012

2013

2014

年間変化率(%)

生活意識平均値

公式CPI(総合:前年同期比)

出典: 総務省統計局、日本銀行

SRI一橋単価指数開発の背景(1)

消費者による物価上昇に関する現状認識と物価統計の間に

ギャップが存在。

日本銀行の「生活意識に関するアンケート調査」と公式CPIの

比較

3

(4)

SRI一橋単価指数開発の背景(2)

消費者物価指数や企業物価指数は、ごくわずかの代

表的銘柄の価格動向のみを調査している。一方、

消費や投資、生産データは全商品をカバーしている。

もしも代表的銘柄の価格動向が他の価格動向と異な

っていれば、両者のかい離は深刻な問題となる。

POSデータを用いた価格指数の場合は、利用可能な

全銘柄の価格情報が使われるが、前年同期と今期の

二時点に存在する商品、すなわち継続商品に限定さ

れている。

4

(5)

新商品と継続商品、消滅商品

価格指数

5

=

商品価格の変化率の総和

商品価格の変化を計算

するため、二時点間で価

格情報がある商品に限

定されている。

継続商品

新商

消滅

商品

(6)

平均的な小売店では46-47%の商品は、去年の同じ週には販売され

ていない、新しい商品(売上だと35%)。(ただし、生鮮や日配品除く)

商品入替率が非常に高い

!

6

0.20

0.25

0.30

0.35

0.40

0.45

0.50

0.55

39414345474951 1 3 5 7 9 111315171921232527293133353739414345474951

9 10

11

12

1

2

3

4

5

6

7

8

9

10

11

12

2013

2014

売上に占める割合

商品種類に占める割合

(Ratio)

新商品の割合

(7)

SRI一橋単価指数開発の背景(3)

新商品の中には、前の商品とほとんど変わらないものもある。

単に、容量を減らし、パッケージを変えただけで新商品とし、

実質的な価格調整手段として商品入替を行っている

可能性がある。

7

出典

: INTAGE panel report 15/1/30号

(8)

商品登場からの期間と価格

0.7

0.8

0.9

1

1.1

1.2

1.3

0

1-4

5-8

9-12

13-49

50-99

100-(average unit

price = 1)

(# of weeks after the introduction of a product)

(9)

本研究の目的

消費者物価指数において、新商品登場の重要性を

定量化すること

単価指数(SRI一橋単価指数)を作成し、その変動を

(1)標準的なラスパイレス価格指数

(2)継続商品間の代替効果

(3)新商品入替効果

、に分解。

最近の物価変動の要因を定量化。

9

(10)

主要結果

新商品効果が物価に与える影響は非常に大きい!

継続商品のみに限定すると、価格指数は低く出る。

おそらく、消滅寸前の商品の投げ売りを反映している。

消費税改定後は、新商品入れ替え効果が大きくなって

おり、値上げした新商品の投入が多かったことを示唆。

単価で測った価格指数は、品目を合わせた公式CPIや

継続商品に限定した価格指数よりも高い値となってお

り、1%-1.5%程度で安定している。

10

(11)

単価指数の考え方

11

単価インフレ率

Change Rate of Unit Price

継続商品の代替効果

Substitution Effect

新旧商品入替効果

Product Turnover Effect

その他 e

Cross Term

継続商品の、値上げ・値下げを

反映(一般的な物価指数)

継続商品どうしの、価格の増減に

対応する需要の増減を反映

新商品価格と継続商品、継続商

品と消滅商品間の価格差を反映

= +

標準的価格変化率

(12)

単価分解公式(もしも興味があれば)

12

.

価格効果

代替効果

新商品入れ替え効果

二次項

(13)

商品入替効果の説明

継続商品と消滅商品の価格差

: 新商品と継続商品の価格差

それぞれを、消滅商品および新商品の割合で

加重和をとったもの

!

13

(14)

総合指数

1000以上の詳細な品目に分解し、それぞれに関し

て単価の計算、分解を行う

トルンクビスト(Törnqvist)で価格指数を作成

14

π

exp

1

2 ∑

ln 1

1

(15)

SRI一橋大学消費者購買指数

新日本スーパーマーケット協会の協力を得、

インテージ社の作成するPOSデータ (SRI)を利用。

市場に新たに登場した新商品の情報を素早くデータ

ベースに反映。

日本全体を11ブロックにわけ、各地域における需要の

代表性を確保するようサンプリングされた、全国約4000

店舗に基づく。GMSは約230店舗、スーパーマーケット

が約1200店舗、ドラッグストア約1000店舗、コンビニエン

スストアが約800店舗、その他約600店。

Weightを用いて、日本全体の需要を再現可能

15

(16)

小分類で容量単価を計算

16

中分類

小分類

野菜ジュース

野菜100トマトM

野菜ジュース

果汁入りトマトM

野菜ジュース

野菜ジュ-ス

野菜ジュース

果汁入り野菜

野菜ジュース

人参100%

野菜ジュース

果汁入り人参

野菜ジュース

野菜入り人参

野菜ジュース

青汁ミックス

商品分類の例

(野菜ジュース)

(17)

SRI一橋単価指数とその分解

17

-0.030

-0.025

-0.020

-0.015

-0.010

-0.005

0.000

0.005

0.010

0.015

0.020

0.025

0.030

39 41 43 45 47 49 51 1 3 5 7 9 11 13 15 17 19 21 23 25 27 29 31 33 35 37 39 41 43 45 47 49 51

9 10

11

12

1

2

3

4

5

6

7

8

9

10

11

12

2013

2014

Cross Term

Product Turnover Effect

Price Change Effect

Substitution Effect

Growth Rate of Aggregated Unit Value Price

(18)

結果

新商品入れ替え効果

新商品の価格 > 継続商品の価格

もしくは

継続商品の価格 > 消滅商品の価格

税率改定後の新商品入れ替え効果の増加

税率改定後の商品価格は高かった傾向

税率改定直前に代替効果が急増(マイナス)

駆け込みで割安の商品をまとめ買い

18

(19)

Top10銘柄に限定した単価指数

(スーパーマーケット限定)

19

-0.010

-0.005

0.000

0.005

0.010

0.015

0.020

39 41 43 45 47 49 51 1 3 5 7 9 11 13 15 17 19 21 23 25 27 29 31 33 35 37 39 41 43 45 47 49 51 53 55 57

9 10

11

12

1

2

3

4

5

6

7

8

9

10

11

12

1

2

2013

2014

2015

公式CPI

top 10銘柄に限定した単価指数

(20)

継続商品に限定した単価指数

(スーパーマーケット限定)

20

-0.010

-0.005

0.000

0.005

0.010

0.015

0.020

39 41 43 45 47 49 51 1 3 5 7 9 11 13 15 17 19 21 23 25 27 29 31 33 35 37 39 41 43 45 47 49 51 53 55 57

9 10

11

12

1

2

3

4

5

6

7

8

9

10

11

12

1

2

2013

2014

2015

公式CPI

継続商品に限定した単価指数

(21)

新商品を含む単価指数

(スーパーマーケット限定)

21

-0.010

-0.005

0.000

0.005

0.010

0.015

0.020

39 41 43 45 47 49 51 1 3 5 7 9 11 13 15 17 19 21 23 25 27 29 31 33 35 37 39 41 43 45 47 49 51 53 55 57

9 10

11

12

1

2

3

4

5

6

7

8

9

10

11

12

1

2

2013

2014

2015

公式CPI

新商品含む単価指数

(22)

全比較

(スーパーマーケット限定)

22

-0.010

-0.005

0.000

0.005

0.010

0.015

0.020

39 41 43 45 47 49 51 1 3 5 7 9 11 13 15 17 19 21 23 25 27 29 31 33 35 37 39 41 43 45 47 49 51 53 55 57

9 10

11

12

1

2

3

4

5

6

7

8

9

10

11

12

1

2

2013

2014

2015

公式CPI

top 10銘柄に限定した単価指数

継続商品に限定した単価指数

新商品含む単価指数

(23)

-0.20 -0.15 -0.10 -0.05 0.00 0.05 0.10 0.15 0.20 39 41 43 45 47 49 51 1 3 5 7 9 11 13 15 17 19 21 23 25 27 29 31 33 35 37 39 41 43 45 47 49 51 1 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2013 2014 2015

Laspeyres Paasche Törnqvist

Unit Value Price Official CPI

(y/y chage rate)

-0.10 -0.05 0.00 0.05 0.10 0.15 0.20 39 41 43 45 47 49 51 1 3 5 7 9 11 13 15 17 19 21 23 25 27 29 31 33 35 37 39 41 43 45 47 49 51 1 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2013 2014 2015

Cross Term Product Turnover Effect

Price Change Effect Substitution Effect Growth Rate of Aggregated Unit Price

(y/y chage rate)

23

洗剤

-0.06 -0.05 -0.04 -0.03 -0.02 -0.01 0.00 0.01 0.02 0.03 0.04 0.05 39 41 43 45 47 49 51 1 3 5 7 9 11 13 15 17 19 21 23 25 27 29 31 33 35 37 39 41 43 45 47 49 51 1 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1

Laspeyres Paasche Törnqvist

Unit Value Price Official CPI

(y/y chage rate)

-0.04 -0.02 0.00 0.02 0.04 0.06 0.08 39 41 43 45 47 49 51 1 3 5 7 9 11 13 15 17 19 21 23 25 27 29 31 33 35 37 39 41 43 45 47 49 51 1 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1

Cross Term Product Turnover Effect

Price Change Effect Substitution Effect Growth Rate of Aggregated Unit Price

(y/y chage rate)

(24)

-0.06 -0.04 -0.02 0.00 0.02 0.04 0.06 0.08 0.10 39 41 43 45 47 49 51 1 3 5 7 9 11 13 15 17 19 21 23 25 27 29 31 33 35 37 39 41 43 45 47 49 51 1 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2013 2014 2015

Laspeyres Paasche Törnqvist

Unit Value Price Official CPI

(y/y chage rate)

-0.06 -0.04 -0.02 0.00 0.02 0.04 0.06 0.08 0.10 39 41 43 45 47 49 51 1 3 5 7 9 11 13 15 17 19 21 23 25 27 29 31 33 35 37 39 41 43 45 47 49 51 1 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2013 2014 2015

Cross Term Product Turnover Effect

Price Change Effect Substitution Effect Growth Rate of Aggregated Unit Price

(y/y chage rate)

24

バター

-0.06 -0.04 -0.02 0.00 0.02 0.04 0.06 0.08 0.10 0.12 39 41 43 45 47 49 51 1 3 5 7 9 11 13 15 17 19 21 23 25 27 29 31 33 35 37 39 41 43 45 47 49 51 1 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2013 2014 2015

Laspeyres Paasche Törnqvist

Unit Value Price Official CPI

(y/y chage rate)

-0.10 -0.08 -0.06 -0.04 -0.02 0.00 0.02 0.04 0.06 0.08 0.10 0.12 39 41 43 45 47 49 51 1 3 5 7 9 11 13 15 17 19 21 23 25 27 29 31 33 35 37 39 41 43 45 47 49 51 1 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2013 2014 2015

Cross Term Product Turnover Effect

Price Change Effect Substitution Effect Growth Rate of Aggregated Unit Price

(y/y chage rate)

(25)

25

ビール

-0.03 -0.02 -0.02 -0.01 -0.01 0.00 0.01 39 41 43 45 47 49 51 1 3 5 7 9 11 13 15 17 19 21 23 25 27 29 31 33 35 37 39 41 43 45 47 49 51 1 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2013 2014 2015

Laspeyres Paasche Törnqvist

Unit Value Price Official CPI

(y/y chage rate)

-0.03 -0.02 -0.02 -0.01 -0.01 0.00 0.01 0.01 39 41 43 45 47 49 51 1 3 5 7 9 11 13 15 17 19 21 23 25 27 29 31 33 35 37 39 41 43 45 47 49 51 1 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2013 2014 2015

Cross Term Product Turnover Effect

Price Change Effect Substitution Effect Growth Rate of Aggregated Unit Price

(y/y chage rate)

-0.08 -0.06 -0.04 -0.02 0.00 0.02 0.04 39 41 43 45 47 49 51 1 3 5 7 9 11 13 15 17 19 21 23 25 27 29 31 33 35 37 39 41 43 45 47 49 51 1 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1

Laspeyres Paasche Törnqvist

Unit Value Price Official CPI

(y/y chage rate)

-0.10 -0.08 -0.06 -0.04 -0.02 0.00 0.02 0.04 39 41 43 45 47 49 51 1 3 5 7 9 11 13 15 17 19 21 23 25 27 29 31 33 35 37 39 41 43 45 47 49 51 1 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1

Cross Term Product Turnover Effect

Price Change Effect Substitution Effect Growth Rate of Aggregated Unit Price

(y/y chage rate)

(26)

単価指数の問題点

品質が向上していれば価格上昇を過大評価、逆に

品質が劣化していれば価格上昇を過小評価してい

る(美味しくしました! vs.付録をなくす)。こちらは個々

の消費者の個人的な評価に依存。

まとめてはいけないものをまとめてしまう(プレーンヨ

ーグルトとフルーツヨーグルト、100%オレンジジュー

スと100%ニンジンジュース)。2000種類に分割するこ

とである程度は対応可能。

26

100円

美味しくなって

100円

・ 単価の変化率は

0%

・ ただし、品質の向上を考慮すると、

実質的な値下げ(マイナス)

→価格上昇を過大評価

(27)

長期間の単価分解の結果(未確定)

27

-0.030 -0.020 -0.010 0.000 0.010 0.020 0.030 0.040 0.050 0.060 2 0 0 7 2 0 0 8 2 0 0 9 2 0 1 0 2 0 1 1 2 0 1 2 2 0 1 3 2 0 1 4 2 0 1 5 Cross Term

Product Turnover Effect Price Change Effect Substitution Effect Unit Value Price

参照

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