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Microsoft Word - 退職給付サーベイ 2011.doc

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日本における退職給付債務の現状

2009 年 3 月期-2011 年 3 月期)

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1. はじめに ... 3 2. 退職給付債務 ... 5 A. 1 人あたり退職給付債務... 5 3. 勤務費用 ... 9 A. 1 人あたり勤務費用... 9 B. 1 人あたり DC 掛金 ... 15 4. 積立比率(退職給付債務÷保有資産) ... 16 5. 積立不足÷自己資本、未認識債務÷自己資本 ... 19 A. 積立不足÷自己資本 ... 19 B. 未認識債務÷自己資本 ... 22 6. 期待運用収益率 ... 25 7. 割引率 ... 33 8. おわりに ... 36 【氏名】門田伸一(もんでんしんいち) 【電話】03-3237-6096 【電子メール】[email protected] 【所属】トータルベネフィットソリューションチーム, シニアコンサルタント 【略歴】2011 年 4 月エーオンヒューイットジャパン入社。主たる業務は、退職給付制度の債務計算、制度 設計、資産運用戦略等。 入社以前は千代田生命、大同生命、野村證券に勤務。保険数理、年金数理、資産運用業務に従事し た。 1988 年 3 月東京理科大学理学部応用数学科卒業(理学士)、2004 年 3 月一橋大学大学院国際企業 戦略研究科修了(修士・金融戦略MBA), 2009 年 9 月筑波大学大学院ビジネス科学研究科修了 (博士・経営学)。日本アクチュアリー会正会員、日本年金数理人正会員、日本証券アナリスト協 会検定会員、国際公認投資アナリスト。現在は非常勤講師として、法政大学理工学部で保険数理及 び数理ファイナンスの講義を担当している。

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1. はじめに

本サーベイは日本経済新聞デジタルメディア社が提供するNEEDS の財務確報データを基礎とし、 日経メディアマーケティング社が提供する『退職給付関連データ(上場・未上場会社版)』を年度 別・業種別等に集計した結果である。 2011 年 8 月に公表された直近版における収録企業数は 5,174 社に達しているが、当該数のカバー 率を最初に確認しよう。企業年金資産全体の統計は、生命保険協会・信託協会等が毎事業年度末後に 発表している。収録データには年金資産が含まれているので、当該統計値と比較することによりカバ ー率を評価することができるだろう。 結果は表1 に示すとおりである。収録データの年金資産は概ね 8 割をカバーしていると解釈できる。 表 1 企業年金の保有資産と収録データの比較 (単位)億円, % 確定給付企業年金 厚生年金基金 適格退職年金 合計 収録データ 資産合計 カバー率 2004年3月 80,700 499,711 209,767 790,179 2005年3月 217,229 384,557 171,828 773,614 2006年3月 330,358 375,382 172,718 878,458 2007年3月 368,879 388,608 156,253 913,740 2008年3月 366,504 326,940 117,433 810,878 654,775 80.7% 2009年3月 328,753 255,524 81,319 665,596 528,483 79.4% 2010年3月 390,377 290,031 64,031 744,439 593,180 79.7% 2011年3月 419,721 278,538 30,998 729,258 582,029 79.8% (出所)企業年金の資産統計は、社団法人生命保険協会の公表値。

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一方、証券取引所の上場会社数と登録データ数を比較すると、表2 のとおりとなる。東京証券取引 所の上場企業については、概ね9 割をカバーできているが、大阪証券取引所の上場企業については 6 割程度であり、名古屋・福岡・札幌の新興市場上場分については未反映のようである。 表 2 証券取引所の上場会社数と登録データ数 基準日 上場数 単独上場数 登録データ 東京証券取引所 1部 2011年9月15日 1,677 1,509 2部 431 387 Mothers 174 50 大阪証券取引所 1部 2011年9月16日 513 78 2部 210 176 JASDAQ 972 730 名古屋証券取引所 1部 2011年9月8日 203 7 7 2部 106 68 73 Centrex 23 23 福岡証券取引所 既存市場 2011年8月31日 119 27 28 Q-Board 10 10 札幌証券取引所 既存市場 2011年7月20日 65 10 12 Ambitious 10 10 471 3,521 (出所)上場数は各証券取引所のホームページにて取得。 (備考)登録データは2010年度決算分。 取引所名称 未上場 合計

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2. 退職給付債務

表3 は収録データの退職給付債務を、確定給付型年金制度の有無を基準として区分した結果である。 確定給付型年金制度を持たない企業は件数基準では全体の20%程度、金額基準では同 1%程度の状況 である。 次に退職給付債務の水準を比較してみよう。平易な手段の一つとしては人数により基準化し、『1 人あたり退職給付債務』を求めることが考えられる。 a. 1 人あたり退職給付債務 表 3 収録データにおける退職給付債務 (単位)億円, 件 件 数 金 額 件 数 金 額 件 数 金 額 2010年3月 3,812 89,119,980.0 908 676,957.0 2,904 88,443,023.0 2010年3月 3,683 88,332,112.0 736 497,470.0 2,947 87,834,642.0 2011年3月 3,520 87,502,617.0 730 576,602.0 2,790 86,926,015.0 年 金 制 度 : 有 年 金 制 度 : 無 全 体 図 1 1 人あたり退職給付債務の比較 -2 4 6 8 10 12 14 -2 4 6 8 10 12 14 2 009 年 3 月 2 010 年 3 月 2 011 年 3 月 2 009 年 3 月 2 010 年 3 月 2 011 年 3 月 2 009 年 3 月 2 010 年 3 月 2 011 年 3 月 一人あた り退職 給付債務 (百万円 ) 全体 年金制度:有 年金制度:無

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表3 に示すようにデータは複数件存在するため、当該グループ内では散らばりが生ずることになる。 当該値の5%タイル値と 95%タイル値を「ヒゲ」に、25%タイル値と 75%タイル値を「ハコ」に、 平均値を「ハコ内部のドット」とすると、『1 人あたり退職給付債務』の分布を図 1 に示すローソク 足として表示することができる。 年金制度を有する企業、一時金制度のみの企業及び全体分を時系列に並べてみると、同一グループ 内では大きな変化は見られず、1 人あたり退職給付債務の水準は比較的安定している様子が確認でき る。また、年金制度を有する企業と一時金制度のみの企業では、同水準に顕著な差異が存在すること も確認できる。同水準の差異は、業種間においても存在するかもしれない。そこで、証券コード協議 会の定める業種別分類項目の中分類33 業種1に基づき、確認してみることとする。 図2 及び図 3 は『1 人あたり退職給付債務』の業種別分布について、2011 年 3 月期分及び 2010 年 3 月期分を示したものである。図 2(2011 年 3 月期)において業種別水準を俯瞰すると、「石油・ 石炭製品」及び「その他金融業」はヒゲ部分が長い。これは当該業種グループ内では、1 人あたり退 職給付債務水準のボラティリティが比較的大きいことを意味している。また、「石油・石炭製品」で はハコから平均値が出ているが、これは他に比べて突出した値が存在することを示している。 製造業2間で比較してみると、「医薬品」「石油・石炭製品」の債務水準が他製造業よりも高くな っている。「ゴム製品」から「その他製品」の10 業種では概ね同水準であり、ボラティリティも低 くなっている。「食料品」から「化学」の4 業種では債務水準は先の 10 業種と概ね同水準であるが、 ボラティリティはやや大きくなっている。 運輸・通信業3では「情報・通信業」のボラティリティがやや大きくなっているが、ハコ部分は概 ね同水準である。製造業と比較しても、債務水準は近いものとなっている。 比較的債務水準の高い業種は「電気・ガス業」「銀行業」である。右端に示す全業種平均と比較す れば、明白であろう。平均値は何れも2 倍を超えている。「保険業」「石油・石炭製品」がこれに続 いている。 1 いわゆる「東証 33 業種」である。 2 「食料品」から「その他製品」までの 16 業種。 3 「陸運業」「海運業」「空運業」「倉庫・運輸関連業」「情報・通信業」の 5 業種。

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図 2 業種別『1 人あたり退職給付債務』の比較:2011 年 3 月 -5 10 15 20 25 30 35 40 45 -5 10 15 20 25 30 35 40 45 水産・農 林業 鉱業 建設業 食料品 繊維製品 パルプ・ 紙 化学 医薬品 石油・ 石炭製品 ゴム製品 ガラス ・土石製品 鉄鋼 非鉄金属 金属製品 機械 電気機器 輸送用機 器 精密機器 その他製 品 電気・ガ ス業 陸運業 海運業 空運業 倉庫・ 運輸関連業 情報・通 信業 卸売業 小売業 銀行業 証券、 商品先物 取引業 保険業 その他金 融業 不動産業 サービス 業 その他 全体 一人あた り退職給付 債務(百 万円)

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図 3 業種別『1 人あたり退職給付債務』の比較:2010 年 3 月 -5 10 15 20 25 30 35 40 45 水産・ 農林業 鉱業 建設業 食料品 繊維製品 パルプ・ 紙 化学 医薬品 石油・ 石炭製品 ゴム製品 ガラス ・土石製 品 鉄鋼 非鉄金属 金属製品 機械 電気機器 輸送用 機器 精密機器 その他 製品 電気・ ガス業 陸運業 海運業 空運業 倉庫・ 運輸関連 業 情報・ 通信業 卸売業 小売業 銀行業 証券 、商品先 物取引業 保険業 その他 金融業 不動産業 サービ ス業 その他 全体 一人 あた り退 職給付債 務( 百万円) -5 10 15 20 25 30 35 40 45

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3. 勤務費用

a. 1 人あたり勤務費用 業種間の比較を可能とするため、同様に『1 人あたり勤務費用』を確認する。 確定給付型年金制度を持たない企業においては、直近3 年間の推移に大きな変化は見られない。一 方、確定給付型年金制度を有する企業においては2010 年 3 月期に減少が確認できる。そこで、対前 年比での増減率を確認する。 図 4 1 人あたり勤務費用の比較 -0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 -0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 20 09 年 3 月 20 10 年 3 月 20 11 年 3 月 20 09 年 3月 20 10 年 3 月 20 11 年 3 月 20 09 年 3 月 20 10 年 3 月 20 11 年 3 月 一 人あた り勤務 費用(百 万円) 全体 年金制度:有 年金制度:無

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図5 は 1 人あたり勤務費用の対前年比増減率のうち、減少分のみを抽出したヒストグラムである。 横軸の目盛りは切り捨てた数値であるので、例えば「1 割減」は「1 割以上 2 割未満」が該当する。 前掲図4 では 2010 年 3 月期に減少が確認されたが、割合別に見てみると、「2 割減」以降では全 てにおいて前年よりも件数が多くなっている。また、2011 年 3 月期には減額変更が前2年よりも少 なくなっている。 「9 割減」の要因の一つとしては確定給付型年金制度から確定拠出型年金制度への変更が考えられ るが、この背景には適格退職年金制度の移行が影響しているのかもしれない。 図6 及び図 7 は『1 人あたり勤務費用』の業種別分布について、2011 年 3 月期分及び 2010 年 3 月 期分を示したものである。 「電気・ガス業」「金融・保険業」「石油・石炭製品業」では退職給付の水準が他業種よりも高い ということが見て取れる。 原子力損害賠償支援機構の創設検討に際し、海江田万里経済産業大臣(当時)は東京電力のみなら ず、原子力発電所を保有する他電力会社にも資産売却などのリストラを求める考えを表明している4 2011 年 7 月 26 日、衆議院東日本大震災復興特別委員会(黄川田徹委員長)にて原子力損害賠償支 援機構法案及び原子力損害賠償仮払い法案が可決されたが、前掲発言は原子力事業者から機構への負 担金相当額が電力料金にそのまま転嫁されることを懸念しての指摘である。納税者の感覚からすれば ごく当然の発言といえよう。 4 2011 年 4 月 30 日読売新聞社 WEB ページ「発賠償負担、電力各社リストラで…海江田氏」 (http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20110429-OYT1T00774.htm)。 図 5 1 人あたり勤務費用の対前年比減少率確認 0 50 100 150 200 250 300 350 400 1割減少 2割減少 3割減少 4割減少 5割減少 6割減少 7割減少 8割減少 9割減少 企業数 2009年3月期 2010年3月期 2011年3月期

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象徴的な前例として、我々は2010 年 1 月に会社更生法を申請した日本航空株式会社を思い浮かべ るかもしれない。図8 は「電気・ガス業」「銀行業」「空運業」「全業種平均」における 1 人あた り退職給付債務の過去3 年における時系列推移を示したものである。空運業における顕著な変化を確 認することができるだろう。 空運業カテゴリに含まれる企業は2009 年 3 月には 7 社であったが、2010 年 3 月以降は日本航空 及び日本航空インターナショナルが対象外となる。その結果、平均値は全業種平均水準に低下してい る。すなわち、当該カテゴリの中で、日本航空と日本航空インターナショナルの退職給付債務の水準 は、突出して高い水準にあったということである。 図9 は電力会社とガス会社について、横軸に「一人あたり退職給付債務」、縦軸に「保有資産5÷ 退職給付債務(積立比率)」をとり、散布図として示したものである。当該図を見ると、電力会社は 前掲例のように一部の会社が突出して高い退職給付債務を持っているわけではなく、業界平均が高水 準にあることが確認できる。海江田万里経済産業大臣(当時)の指摘は的を得たものといえよう。た だし、当該債務の構成には留意する必要がある。 2011 年 3 月期の平均勤続年数を確認すると、全業種平均の 13.33 年に対し、電力会社は 20.26 年 である。20 歳で入社し、60 歳で定年になると仮定すれば、全ての勤務年数に同じ人数が在籍してい れば平均勤続年数は20 年になる。つまり、当該業界においては、入社後ほとんどの人材が定年退職 まで勤務するものと考えられる。各社の年金制度を把握していないが、過去において終身給付が行わ れていたとすれば受給者等も多く存在しているだろう。 確定給付企業年金法施行規則第5 条「給付減額の理由」、同規則第 6 条「給付減額の手続き」に則 れば、受給者等の給付削減を実施するには『実施事業所の経営状況悪化』『掛金の大幅な増額』を理 由とし、『受給者等の三分の二以上の同意』が要求されている。2010 年 3 月に認可された JAL 企業 年金基金の減額については、私見としては疑問を持つところではあるが、当該基金の設立母体は前掲 のとおり、会社更生法の適用を受けた後のことであり、要件を満足しているものと考えられる。一方、 電力会社について制度運営を純粋に考えるとき、更正手続きを経由することなく、受給者部分の給付 減額が可能であるのか否か、筆者には現行制度におけるロジックが思い浮かばない。当該事例が認め られた場合、労働債権の弁済順位が一般債権及び株式に劣後することになるためである。減資や一般 債権の放棄を伴わずに退職者の退職給付債務を削減することになれば、悪質な株主が自らに都合のよ い前例として活用することが懸念される。 もっとも、年金部分にのみ目を向ける必要は無い。積立比率が低い場合には、退職給付債務におけ る一時金部分の割合が高い可能性もある。世代間の公平性は失われ、現役世代の負担が重くなるが、 一時金部分に限定した対応を実施することも考えられる。 5 保有資産とは、年金資産と退職給付信託の合計である。

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図 6 業種別『1 人あたり勤務費用』の比較:2011 年 3 月 0.00 0.10 0.20 0.30 0.40 0.50 0.60 0.70 0.80 0.90 1.00 水産・ 農 林 業 鉱業 建設業 食料品 繊維製品 パルプ・ 紙 化学 医薬品 石油・ 石炭製品 ゴム製品 ガラス ・土石製 品 鉄鋼 非鉄金属 金属製品 機械 電気機器 輸送用 機器 精密機器 その他 製品 電気・ ガ ス 業 陸運業 海運業 空運業 倉庫・ 運輸関連 業 情報・ 通 信 業 卸売業 小売業 銀行業 証券 、商品先 物取引業 保険業 その他 金融業 不動産業 サ ー ビス業 その 他 全体 一人あた り勤務費用 (百万円) 0.00 0.10 0.20 0.30 0.40 0.50 0.60 0.70 0.80 0.90 1.00

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図 7 業種別『1 人あたり勤務費用』の比較:2010 年 3 月 0.00 0.10 0.20 0.30 0.40 0.50 0.60 0.70 0.80 0.90 1.00 水産・ 農林業 鉱業 建設業 食料品 繊維製品 パルプ・ 紙 化学 医薬品 石油・ 石炭製品 ゴム製品 ガラス ・土石製 品 鉄鋼 非鉄金属 金属製品 機械 電気機器 輸送用 機器 精密機器 その他 製品 電気・ ガス業 陸運業 海運業 空運業 倉庫・ 運輸関連 業 情報・ 通信業 卸売業 小売業 銀行業 証券 、商品先 物取引業 保険業 その他 金融業 不動産業 サービ ス業 その他 全体 一人あた り勤務費用 (百万円 ) 0.00 0.10 0.20 0.30 0.40 0.50 0.60 0.70 0.80 0.90 1.00

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図 8 3 業種における 1 人あたり退職給付債務の比較 -5 10 15 20 25 30 2009 年 3 月 2010 年 3 月 2011 年 3 月 2009 年 3 月 2010 年 3 月 2011 年 3 月 2009 年 3 月 2010 年 3 月 2011 年 3月 2009 年 3 月 2010 年 3 月 2011 年 3 月 一 人あたり 退職給付債 務 (百万 円) -5 10 15 20 25 30 空運業 銀行業 電気・ガス業 全業種平均 図 9 電力会社とガス会社 -0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 1.2 0 5 10 15 20 25 30 一人あたり退職給付債務(百万円) 年 金資産 / 退職給 付債務 東京電力 電力会社 ガス会社 全業種平均 電力会社平均 ガス会社平均

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b. 1 人あたり DC 掛金 図10 は企業が確定拠出型年金制度への払い込んだ一人あたりの金額を示したものである。 確定給付型年金制度の有無により、確定拠出型年金制度への払い込み額に差異が生ずる様子が確認できる。 確定給付型年金制度を満たない企業の払い込み額は、制度を有する企業のそれよりも大きくなっている。 然るに、上限値に対する割合はどうなっているだろうか。確定給付型年金制度を有する企業型の拠出上限 は年額30 万 6 千円である。これに対し、2011 年 3 月期の平均値は 64,128 円であるので、21.0%の水準で ある。一方、確定給付型年金制度を有さない場合の拠出上限は61 万 2 千円、同時期の平均値は 94,538 円 と15.4%の水準である。上限値に対する比率を見た場合、後者の方が低くなっている。 図 10 一人あたり DC 掛金の比較 -50,000 100,000 150,000 200,000 250,000 300,000 2010年3月 2011年3月 2010年3月 2011年3月 2010年3月 2011年3月 一人 あた り DC 掛金 (円 ) -50,000 100,000 150,000 200,000 250,000 300,000 全体 年金制度:有 年金制度:無

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4. 積立比率(保有資産÷退職給付債務)

当該企業の退職給付債務に対し、保有資産がどの程度留保されているかを積立比率により確認する ことができる。なお、保有資産は年金資産と退職給付信託の合計である。 図11 は 2009 年 3 月から 2011 年 3 月における積立比率の推移である。世界金融危機の影響を受け たであろう2009 年 3 月期からの市況に伴い 2010 年 3 月期には回復を見せている。2010 年 3 月から 2011 年 3 月期には概ね横ばいで推移しており、東日本大震災の影響はまだ顕在化していないようで ある。 図12 及び図 13 は『積立比率』の業種別分布について、2011 年 3 月期分及び 2010 年 3 月期分を 示したものである。積立比率水準の最も高い業種は「銀行業」である。受託業務に携わっていること を鑑みれば、当然の結果であろう。 平均値で見たとき、「医薬品」「石油・石炭製品」がこれに続いている。平均値が0.5 以上の業種 は「鉄鋼」「その他金融」を含む5 業種の状況である。 図 11 積立比率の推移 0.00 0.20 0.40 0.60 0.80 1.00 1.20 0.000 0.200 0.400 0.600 0.800 1.000 1.200 2009年3月期 2010年3月期 2011年3月期 保 有資産 / 退 職給付債務

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図 12 業種別『積立比率』の比較:2011 年 3 月 -0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 1.2 1.4 -0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 1.2 1.4 水産・ 農林業 鉱業 建設 業 食料 品 繊 維製品 パルプ・ 紙 化学 医薬 品 石油・石 炭製品 ゴ ム製品 ガラス・ 土石製品 鉄鋼 非 鉄金属 金 属製品 機械 電 気機器 輸送用機器 精 密機器 その他製品 電気・ ガス業 陸運 業 海運 業 空運 業 倉庫・運 輸関連業 情報・ 通信業 卸売 業 小売 業 銀行 業 証券、 商品先物取 引業 保険 業 その他金融 業 不 動産業 サービス業 その 他 全体 保有資 産 / 退職給付債 務

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図 13 業種別『積立比率』の比較:2010 年 3 月 -0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 1.2 1.4 -0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 1.2 1.4 水産・ 農林業 鉱業 建設 業 食料 品 繊 維製品 パルプ・ 紙 化学 医薬 品 石油・石 炭製品 ゴ ム製品 ガラス・ 土石製品 鉄鋼 非 鉄金属 金 属製品 機械 電 気機器 輸送用機器 精 密機器 その他製品 電気・ ガス業 陸運 業 海運 業 空運 業 倉庫・運 輸関連業 情報・ 通信業 卸売 業 小売 業 銀行 業 証券、 商品先物取 引業 保険 業 その他金融 業 不 動産業 サービス業 その 他 全体 保有資 産 / 退職給付債 務

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5. 積立不足÷自己資本、未認識債務÷自己資本

a. 積立不足÷自己資本 図11 を見ると 2011 年 3 月期の積立比率は、95%タイル値が 1.0 を下回っている。すなわち、 95%以上の企業は退職給付債務に対して保有資産だけでは『積立不足』状態にあるということである。 当該金額が自己資本に対し、どの程度の水準にあるかを確認したものが図14 である。 2009 年 3 月から 2011 年 3 月期を眺めると、95%タイル値の低減傾向が顕著である。2011 年 3 月 における75%の企業が有する積立不足は、自己資本の 15%以内の水準にある。当該水準の高低につ いて議論することは困難であるが、将来において内部留保から財源調達する可能性を鑑みれば、低い ことが望ましいといえるだろう。 図15 及び図 16 は当該指標の業種別分布について、2011 年 3 月期分及び 2010 年 3 月期分を示し たものである。 2011 年 3 月期を見ると、商業や金融業では 75%タイル値が概ね 0.1 までの範囲に収束する一方、 製造業では同範囲が0.2 近傍まで拡大、陸運業や空運業の範囲は更に拡大している。 図 14 「積立不足÷自己資本」の推移 -0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 2009年3月期 2010年3月期 2011年3月期 積立 不足 / 自己 資本 -0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6

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図 15 業種別『積立不足÷自己資本』の比較:2011 年 3 月期 -0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1.0 水産 ・ 農 林 業 鉱業 建設 業 食料 品 繊維 製品 パル プ・紙 化学 医薬 品 石油 ・石炭 製 品 ゴム製品 ガ ラ ス ・ 土石 製品 鉄鋼 非鉄 金属 金属 製品 機械 電気 機器 輸送 用機 器 精密 機器 その 他製 品 電気 ・ ガ ス 業 陸運 業 海運 業 空運 業 倉 庫 ・運 輸関 連業 情報 ・ 通 信 業 卸売 業 小売 業 銀行 業 証券、 商品先 物取 引業 保険 業 その 他金 融業 不動 産業 サービス業 その 他 全体 積立 不足 / 自 己資本 -0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1.0

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図 16 業種別『積立不足÷自己資本』の比較:2010 年 3 月期 -0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1.0 水産 ・農林 業 鉱業 建設 業 食料 品 繊維製 品 パル プ・紙 化学 医薬 品 石油・石炭製 品 ゴム 製品 ガ ラ ス・土石製 品 鉄鋼 非鉄金 属 金属製 品 機械 電気機 器 輸 送用機 器 精密機 器 そ の他製 品 電気 ・ ガ ス 業 陸運 業 海運 業 空運 業 倉 庫 ・運 輸関連 業 情報 ・通信 業 卸売 業 小売 業 銀行 業 証 券 、商 品先 物取引 業 保険 業 その 他金融 業 不動産 業 サービス 業 その 他 全体 積立 不足 / 自己資 本 -0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1.0

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b. 未認識債務÷自己資本 積立金のみならず、退職給付引当金も考慮した上で、退職給付債務の手当てがなされていない部分 は、潜在的な債務として企業価値評価で参照されることがある。 2009 年 3 月期には 25%タイル値が△0.05 を超えているが、2010 年 3 月期には当該値が△0.05 内 に収束する一方、5%タイル値も△0.20 内に収束している。 図18 及び図 19 は当該指標の業種別分布について、2011 年 3 月期分及び 2010 月期分を示したも のである。 いずれの業種においてもローソク足の形状は上下対象ではなく、上部に偏った形状になっている。 ハコ部分は25%タイル値から 75%タイル値を示し、下ヒゲ部分に該当するサンプルは 25%タイル値 未満を示すものであることから、自己資本に対する潜在的債務の水準が比較的大きな企業は当該グル ープの下位25%以内と見ることができる。個別銘柄の選定に際し、キャッシュフローの創出能力が 同程度であれば、当該範囲に含まれる銘柄を投資対象から除外する等の対応もできるかもしれない。 図 17 「未認識債務÷自己資本」の推移 -0.25 -0.20 -0.15 -0.10 -0.05 -2009年3月期 2010年3月期 2011年3月期 未認識 債 務 / 自己 資本 -0.25 -0.20 -0.15 -0.10 -0.05

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-図 18 業種別『未認識債務÷自己資本』の比較:2011 年 3 月期 -0.45 -0.40 -0.35 -0.30 -0.25 -0.20 -0.15 -0.10 -0.05 -水産 ・ 農 林 業 鉱業 建設 業 食料 品 繊維 製品 パル プ・紙 化学 医薬 品 石油 ・石炭 製 品 ゴム製品 ガ ラ ス ・ 土石 製品 鉄鋼 非鉄 金属 金属 製品 機械 電気 機器 輸送 用機 器 精密 機器 その 他製 品 電気 ・ ガ ス 業 陸運 業 海運 業 空運 業 倉 庫 ・運 輸関 連業 情報 ・ 通 信 業 卸売 業 小売 業 銀行 業 証券、 商品先 物取 引業 保険 業 その 他金 融業 不動 産業 サービス 業 その 他 全体 未 認識債 務 / 自己資 本 -0.45 -0.40 -0.35 -0.30 -0.25 -0.20 -0.15 -0.10 -0.05

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-図 19 業種別『未認識債務÷自己資本』の比較:2010 年 3 月期 -0.45 -0.40 -0.35 -0.30 -0.25 -0.20 -0.15 -0.10 -0.05 -水産 ・ 農 林 業 鉱業 建設 業 食料 品 繊維 製品 パル プ・紙 化学 医薬 品 石油 ・石炭 製 品 ゴム製品 ガ ラ ス ・ 土石 製品 鉄鋼 非鉄 金属 金属 製品 機械 電気 機器 輸送 用機 器 精密 機器 その 他製 品 電気 ・ ガ ス 業 陸運 業 海運 業 空運 業 倉 庫 ・運 輸関 連業 情報 ・ 通 信 業 卸売 業 小売 業 銀行 業 証券、 商品先 物取 引業 保険 業 その 他金 融業 不動 産業 サービス 業 その 他 全体 未 認識債 務 / 自己資 本 -0.45 -0.40 -0.35 -0.30 -0.25 -0.20 -0.15 -0.10 -0.05

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-6. 期待運用収益率

確定給付企業年金法第69 条は事業主に対し、加入者等への、また、同法第 70 条は基金の理事に 対し、基金への忠実義務を要求している。いずれにおいても「自己または第三者への利益を図る目的 で資産管理運用契約を締結すること」「積立金の管理及び運用の適正を阻害する行為」を禁じており、 更に同法第70 条第 3 項では積立金の管理及び運用業務については、基金の理事に対して連帯責任を 課している。 財政運営においても、継続基準及び非継続基準に基づく検証が要求され、積立金が一定水準を下回 れば追加拠出を余儀なくされる。良識のある運営担当者にとっては、胃の軋む思いであろう。 当該背景を受けた期待運用収益率の分布は図20 に示すとおりである。2009 年 3 月期と 2010 年 3 月期を比較すると、期待収益率の引き下げが行われ、2011 年 3 月期には前期水準が維持されている。 図 20 「期待運用収益率」の推移 0.5% 1.0% 1.5% 2.0% 2.5% 3.0% 3.5% 4.0% 4.5% 2009年3月期 2010年3月期 2011年3月期 期待収益率 0.5% 1.0% 1.5% 2.0% 2.5% 3.0% 3.5% 4.0% 4.5%

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期待運用収益率の変化について、保有資産を基準として集計した結果が次掲図である。2010 年 3 月期には、企業年金資産(表 1 参照)の 33%程度が期待運用収益率の引き下げを行っている。また、 「引き下げ」の構成比は5%程度にとどまり、対前期の三分の一程度となっている。一方、2011 年 3 月期には「引き上げ」は2009 年 3 月期をやや上回り、「引き下げ」は同水準程度に戻っている。市 況の好転を期待したということかもしれない。そこで、次の段階として、実際の変更幅を確認してみ よう。 図21 期待運用収益率の変化 16.9% 5.3% 20.3% 64.4% 60.9% 60.3% 18.7% 33.8% 19.4% 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 2009年3月期 2010年3月期 2011年3月期 引き上げ 維持 引き下げ

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期待運用収益率の変更幅は図22 に示すとおりである。2010 年 3 月期に引き下げられた様子が確認 できる。 図23 及び図 24 は期待運用収益率の変更幅について、2011 年 3 月期分及び 2010 年 3 月期分を示 したものである。2010 年 3 月期は「空運」「石油・石炭製品」を除くほとんどの業種で期待収益率 の引き下げが行われている。2011 年 3 月期はローソク足が上方向にシフトしており、現状維持若し くは引き上げが行われた様子が確認できる。 図22 期待運用収益率の変更幅 -3.0% -2.0% -1.0% 0.0% 1.0% 2.0% 3.0% 2009年3月期 2010年3月期 2011年3月期 期待収益率 の変化幅 -3.0% -2.0% -1.0% 0.0% 1.0% 2.0% 3.0%

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図 23 業種別『期待運用収益率の変更幅』の比較:2011 年 3 月 -5% -4% -3% -2% -1% 0% 1% 2% 3% 4% 5% 水産・ 農 林 業 鉱業 建設業 食料品 繊維製品 パルプ・ 紙 化学 医薬品 石油・ 石炭製品 ゴム製品 ガラス ・土石製 品 鉄鋼 非鉄金属 金属製品 機械 電気機器 輸送用 機器 精密機器 その他 製品 電気・ ガ ス 業 陸運業 海運業 空運業 倉庫・ 運輸関連 業 情報・ 通 信 業 卸売業 小売業 銀行業 証券 、商品先 物取引業 保険業 その他 金融業 不動産業 サ ー ビス業 その 他 全体 期待運用収 益率 の変更 幅 -5% -4% -3% -2% -1% 0% 1% 2% 3% 4% 5%

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図 24 業種別『期待運用収益率の変更幅』の比較:2010 年 3 月 -5% -4% -3% -2% -1% 0% 1% 2% 3% 4% 5% 水産・ 農 林 業 鉱業 建設業 食料品 繊維製品 パルプ・ 紙 化学 医薬品 石油・ 石炭製品 ゴム製品 ガラス ・土石製 品 鉄鋼 非鉄金属 金属製品 機械 電気機器 輸送用 機器 精密機器 その他 製品 電気・ ガ ス 業 陸運業 海運業 空運業 倉庫・ 運輸関連 業 情報・ 通 信 業 卸売業 小売業 銀行業 証券 、商品先 物取引業 保険業 その他 金融業 不動産業 サ ー ビス業 その 他 全体 期待収益率 の変更幅 -5% -4% -3% -2% -1% 0% 1% 2% 3% 4% 5%

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期待運用収益率の引き下げは、ポートフォリオのリスク水準を引き下げているのだろうか。それと も、市況見通しを引き下げただけなのだろうか。残念ながら、日本基準における退職給付会計では年 金資産の資産構成比は開示されていない。然るに、企業年金全体の投資行動は、日本銀行の資金循環 統計6から把握することができる。 図25 は 1997 年 12 月期から 2011 年 6 月期における企業年金の保有資産全体及び国債・国内株 式・外国証券の資産構成比推移を示したものである。 国内株式は1997 年から 2000 年までは占率を伸ばすものの、その後は減少している。2005 年に上 昇に転ずるも、以降は一貫して引き下げられている。金額で見ても、2000 年のピーク時には 30 兆円 に迫っていたが、現在ではその三分の一、10 兆円程度にまで圧縮されている。 一方、顕著に残高を積み上げている資産は国債と外国証券である。とりわけ注目すべき点は、 2008 年 12 月期以降の国債残高が平均値で 22 兆円、2011 年 6 月期では 23 兆円と国内株式残高の 2 倍強に達しており、外国証券残高の19 兆円をも上回っていることである。退職給付債務評価に適用 される割引率が円金利に連動するのであるから、円金利資産をコアとする投資行動はごく常識的とい えるだろう。 6 http://www.boj.or.jp/statistics/sj/index.htm/ 図 25 投資資産構成比の推移:1997 年 12 月期-2011 年 6 月期 10% 15% 20% 25% 30% 35% 40% 1997 年 12 月 1998 年 6 月 1998 年 12 月 1999 年 6 月 1999 年 12 月 2000 年 6 月 2000 年 12 月 2001 年 6 月 2001 年 12 月 2002 年 6 月 2002 年 12 月 2003 年 6 月 2003 年 12 月 2004 年 6 月 2004 年 12 月 2005 年 6 月 2005 年12 月 2006 年 6 月 2006 年 12 月 2007 年 6 月 2007 年12 月 2008 年 6 月 2008 年 12 月 2009 年 6 月 2009 年 12 月 2010 年 6 月 2010 年 12 月 2011 年 6 月 資産構成比 600,000 650,000 700,000 750,000 800,000 850,000 900,000 950,000 1,000,000 企 業年 金 保有資産 ( 億 円 ) 保有資産合計 国債 国内株式 外国証券

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さて、「将来においてインフレが発生した場合に損失が発生するから債券を保有すべきではない」 という主張を耳にすることがあるが、当該内容を検証してみよう。 財務省ホームページ「国債トピックス」の物価連動国債のコンテンツには『ブレーク・イーブン・ インフレ率』が示されている7。図26 に示すとおり 2008 年 6 月以降、当該指標は負値の状態にある。 また、図27 に示すとおり、日本は国債の国内消化率が極めて高く、債券の保有動向、すなわち債 券価格及び金利に格付の影響を受けにくい環境にあると考えられる。然るにリスク管理においては、 想定される全ての事態を検証する必要がある。そこでインフレが実現した場合を想定してみよう。 このとき、年金資産のみならず、払い込まれている掛金及び給付水準の実質価値は低下する。同時 に、市中金利の上昇に伴う割引率の上昇により負債価値も低下することになるだろう。そもそもとし て、インフレが発生しなければ、保険契約や年金制度における計算基礎率の保証行為には課金する必 要がある。超長期のスワップやスワップションを無償提供する背景は、インフレを前提にすることで 当該保証価値を無視しているということである8 払い込まれる掛金の実質価値が減少しているのであるから、従前の水準にまで掛金の実質価値を戻 してやれば、給付水準を従前の水準に戻すことは可能であろう。すなわち、増額変更すればよいだけ のことである。必ずしも資産運用で対処する必要は無いのである。 7 http://www.mof.go.jp/jgbs/topics/bond/10year_inflation-indexed/index.htm 8 このため、デフレが発生すると計算基礎率の保証価値が実現し、逆ザヤとして認識されることになる。 図 26 ブレークイーブン・インフレ率の推移 (出所)財務省ホームページより転載。

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もちろん、財政収支が負の状態で、年金資産の取り崩しが発生している状況であれば、憂慮すべき 事態が顕在化するかもしれない。しかるに「リスクの市場価格」が負値をとる円金利資産は、収益率 が低くとも、それだけで保有する意味がある。分散投資効果に貢献する可能性があるためである。ま た、インフレ時にリスク性資産の価値が上昇するという根拠はどこにもない。結論として、円金利資 産を保有しないことはなんら肯定されないということである。 むしろ、インフレの発生が強く予想される環境であれば、投資行動を云々するのではなく、制度内 容を再検証することが肝要である。例えば、市場金利に連動する再評価率を持つキャッシュバランス プランであれば、金利上昇に伴い負債が増価することになる。負債価値が増加して、資産価値が減価 するような事態は回避しなければならない。再評価率を固定化する等、負債と給付の金利感応度がゼ ロとなるような給付再設計を行うことを検討すべきである。 表4 収録データにおける確定給付型・確定拠出型年金の状況 (単位)百万円, 件 件数 残高 件数 残高 件数 掛金支払額 2010年3月 2,124 59,318,043 146 9,483,304 918 227,650 2011年3月 2,452 58,202,886 173 9,918,126 1,249 293,577 (構成比) 7.1% 17.0% 確定拠出型制度 内 キャッシュバランス・プラン 確定給付型制度 図 27 債券(国債)の保有構造 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% Gr ee ce Ita ly Ne th er la nd s P ortug al Au st ria Fi nl and S loveni a Irel and S w ed en Sp ai n Hu nga ry German y Fr an ce Li th uan ia P ol and Cyprus Belg iu m Denm ark C ze ch Rep ubl ic S lo vak Re pub lic Bu lg aria Eston ia R om ani a Uni ted K in gdo m Un ited S ta tes Au st ra lia Ne w Zea la nd No rw ay Can ada Croat ia Tai w an Provi nce of Chi na Sw itzerl and Isr ael Ja pan 構成 比 非金融機関 金融機関 一般政府 家計等 海外 (出所)各国の資金循環統計より作成。

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7. 割引率

図28 は債務評価に適用される割引率の 2009 年 3 月から 2011 年 3 月における推移である。 平均勤続年数の範囲は直近3 年間では大きく変化しておらず、適用金利も変化が少ない様子が確認 できる。 図29 及び図 30 は割引率について、2011 年 3 月期分及び 2010 年 3 月期分を示したものである。 電気機器及び精密機器の範囲が他業種に比較し大きいことが際立っているが、グループ企業の一部が 高い割引率を適用していることが要因である。 図 28 「割引率」の推移 1.0% 1.2% 1.4% 1.6% 1.8% 2.0% 2.2% 2.4% 2.6% 2.8% 3.0% 2009年3月期 2010年3月期 2011年3月期 割引 率 1.0% 1.2% 1.4% 1.6% 1.8% 2.0% 2.2% 2.4% 2.6% 2.8% 3.0%

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図 29 業種別『割引率』の比較:2011 年 3 月 0.5% 1.0% 1.5% 2.0% 2.5% 3.0% 3.5% 4.0% 4.5% 5.0% 5.5% 水産・ 農林業 鉱業 建設業 食料品 繊維製品 パルプ・ 紙 化学 医薬品 石油・石 炭製品 ゴム製品 ガラス ・土石製品 鉄鋼 非鉄金属 金属製品 機械 電気機器 輸送用機 器 精密機器 その他製品 電気・ ガス 業 陸運業 海運業 空運業 倉庫・ 運輸関連業 情報・ 通信業 卸売業 小売業 銀行業 証券 、商品先物 取引業 保険業 その他金 融業 不動産業 サービス 業 その他 全体 割引 率 0.5% 1.0% 1.5% 2.0% 2.5% 3.0% 3.5% 4.0% 4.5% 5.0% 5.5%

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図 30 業種別『割引率』の比較:2010 年 3 月 0.5% 1.0% 1.5% 2.0% 2.5% 3.0% 3.5% 4.0% 4.5% 5.0% 5.5% 水産・ 農林業 鉱業 建設業 食料品 繊維製品 パルプ・ 紙 化学 医薬品 石油・石 炭製品 ゴム製品 ガラス ・土石製品 鉄鋼 非鉄金属 金属製品 機械 電気機器 輸送用機 器 精密機器 その他製品 電気・ ガス 業 陸運業 海運業 空運業 倉庫・ 運輸関連業 情報・ 通信業 卸売業 小売業 銀行業 証券 、商品先物 取引業 保険業 その他金 融業 不動産業 サービス 業 その他 全体 割引 率 0.5% 1.0% 1.5% 2.0% 2.5% 3.0% 3.5% 4.0% 4.5% 5.0% 5.5%

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8. おわりに

本サーベイは設立母体企業の財務データを俯瞰するという手法を採っている。すなわち、公開され た会計情報を積み上げたものである。従って、当データに基づき算出される諸指標は、ベンチマーク としての機能を果たすことができるだろう。例えば、積立比率や1 人あたり勤務費用、1 人あたり退 職給付債務等について、自社の全体及び業界内における序列を確認することが可能である。業界内の 情報交換は、人事担当者及び組合関係者を経由して実施可能かもしれないが、本サーベイでは全業種 の情報をも提供可能である。ベンチマークを設定すれば、当該指標に対する乖離を縮減するための具 体的な目標水準を定め、当該目標を達成するための戦略を実践する等の対応もできよう。 今後の課題は、第一に投資行動の情報蓄積である。現状で最も広範囲をカバーしているサーベイは おそらく企業年金連合会が毎年発表する『資産運用実態調査結果と解説』である。然るに2009 年版 を見ると、確定給付企業年金の回答数は742 件(基金型 547 件、規約型 195 件)であり、2011 年 9 月1 日現在の総件数 11,419 件(基金型 611 件、規約型 10,808 件)の 6%程度に過ぎない。基金型は 概ね9 割をカバーしているものの、規約型は 2%弱のカバーであり、抽出対象も偏っている。例えば 我々が『確定給付型企業年金の投資行動調査』を実施し、当該調査に企業年金連合会のサーベイより も多くの参加がいただけるのであれば、確定給付企業年金全体及び業界平均の投資行動を確認するこ とができるだろう。更に「上場・非上場」「規約型・基金型」「国内資本・外国資本」等ベンチマー クの細分化も可能となる。 『確定拠出型年金の運営』に関しても同様である。確定給付型年金に比較し、公開情報が少ない感 があるが、データを集約する環境を整えれば、制度を提供する企業だけではなく、従業員の方々にも 資するものと考える。拠出上限に対する充足度の確認のみならず、加入者の投資動向を集約し、図 25 に準じた時系列情報が確保できれば、より精緻な需給動向を示すことができる。機関投資家がま とまった量を売却しているプロダクトを購入してしまうような事態を回避することもできるかもしれ ない。 第二には制度情報である。給付水準の変化、退職給付債務の内訳(年金制度と一時金制度、加入者 と受給者の区分等)、確定給付型から確定拠出型への移行、キャッシュバランス・プランの再評価率 等の情報は公開されていない。将来の給付設計を検討する上で、基準となる指標や他社動向は経営判 断に必要であろう。 第三には会計基準別の細分化である。2010 年度実績では SEC 基準を採用する企業が 32 件(退職 給付債務の合計額は 20 兆 979 億円)、IFRS 基準を採用する企業が 3 件(同 2,415 億円)存在した。 当該グループを別途抽出し、異なる会計基準間の比較を行うことも意味があるものと考えられる。 更に発展させることができれば、日本における企業年金制度のリスク特性をまとめることもできる かもしれない。ALM や LDI を通じ、負債特性の分析は行なわれる。割引率や再評価率に対する債務 の感応度、積立比率の分布、継続基準・非継続基準に対する抵触の可能性、現役世代の平均給与に対 する受給者の平均年金額等の情報が集約されれば、プラン・スポンサーは制度運営の参考指標として 使うことができる一方、運用会社は負債特性に対応したプロダクト開発の参考情報とすることができ るだろう。 以上

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