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Microsoft Word - 【150624提出版】認可地縁団体制度(新国 用地第二課 恩田)

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認可地縁団体制度を活用し

多数共有地の取得を図る取組について

恩田 富明

新潟国道事務所 用地第二課 (〒950-0912 新潟県新潟市中央区南笹口2丁目1番65号) 従来より任意取得が困難であった集落管理の多数共有地について、創設された「認可地縁団 体が所有する不動産に係る登記の特例(地方自治法の一部改正)」を活用し、取得しようとす る取組について説明するものである。 キーワード 多数共有地 認可地縁団体 登記の特例

1. はじめに

公共事業の推進にあたり、公共用地の取得は重要な業 務の一つであり、個々の地権者から理解と協力を得なが ら、必要となる土地を一筆一筆取得していく。そのため、 関係する地権者から協力を得られない状況となれば、多 大な時間と費用を要することになり、事業の進捗そのも のに影響を及ぼしかねない。多数共有地については、関 係者が膨大な人数となる場合や、行方不明者が存する場 合など、事業の進捗に影響を及ぼすリスクが単独所有や 少数共有の土地よりも高く、隘路となるケースが多いこ とから、従前から用地職員の頭を悩ませてきた問題であ ると言える。 今回、「認可地縁団体が所有する不動産に係る登記の 特例(以下『登記の特例』という。)」が創設されたこ とにより、集落管理の多数共有地について、一定の要件 を満たした場合には、共有者全員の関与に代えて市町村 長の証明をもって所有権移転登記が可能となったことか ら、当該制度を活用した迅速な取得について、検討を行 ったものである。

2.認可地縁団体制度とは

我が国の法制上、権利義務の主体となることができる のは自然人と法人に限定され、法人格を持たない自治会、 町内会等の地縁団体の資産は、不動産登記において団体 名義による登記が認められていなかった。このため、実 態としては代表者の個人名義や構成員全員の共有名義に より登記が行われてきたものである(図-1)。 代表者の個人名義で登記されたものは、登記簿上、個 人財産と団体財産との区別がつかないため、登記名義人 図-1 認可地縁団体制度の概要図

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の死亡などにより、その相続人が相続財産と誤解して処 分してしまうケースや、相続人との間で所有権の争いが 生じるケースなど、種々問題も生じていた。 また、構成員全員の共有名義にて登記されたものは、 登記名義人のうち、行方不明者となったり、死亡により 相続人が膨大になるなど、これについても問題となって いた。 こうした問題に対処するため、平成3年の地方自治法 (昭和22年法律第67号)改正により、町区等が一定 の要件を満たすことによって、地縁による団体として市 町村長の認可を受け、法人格を付与され、不動産登記等 が可能となる制度が創設されたものである。

3.「認可地縁団体が所有する不動産に係る登記

の特例」について

(1)創設された背景 認可地縁団体制度が創設されたことにより、地縁団体 名義での登記が可能となった。 しかしながら、制度創設以前に代表者の個人名義や構 成員全員の共有名義により登記がなされている土地につ いては、従前と同様に関係者全員からの承諾を得なけれ ば、地縁団体名義へ所有権を移転することはできなかっ た。権利登記は、登記義務者と登記権利者が共同して申 請する必要があるからである(不動産登記法第60条)。 このため、平成3年の制度創設以降も、①「所有者 (107人)の多くが既に死亡しているため、その相続 人の確定に膨大な手間や費用がかかり、移転登記が困難 な状況となった事例」や、②「道路拡幅のため買収する 必要が生じ用地提供を申し入れたが、関係する登記名義 人は明治生まれで既に死亡しているため、相続人の把握 や同意を得ることができず、やむなく事業計画を変更し た事例」等が全国的に発生していた。 総務省行政評価局はこれを受け、認可を受けた地縁団 体名義への所有権の移転の登記手続を促進する必要があ る等の意見を踏まえ、総務省自治行政局及び法務省民事 局にあっせんを行った1)。これが端緒となり今回の改正 に至ったものである。 なお、施行期日は平成27年4月1日である。 (2)制度の概要 今回創設された登記の特例は、次に掲げる要件を満た すものについて、市町村長が公告手続を経て証明書を発 行することにより、認可地縁団体が単独で当該認可地縁 団体を登記名義人とする不動産の所有権の保存又は移転 の登記の申請をすることが可能となるものである2)(図 -2)。 ① 認可地縁団体が所有する不動産であること ② 不動産を10年以上所有の意思をもって平穏かつ 公然と占有していること ③ 不動産の表題部所有者又は所有権の登記名義人の 全てが認可地縁団体の構成員又はかつて構成員で あった者であること ④ 不動産の登記関係者(表題部所有者、所有権の登 記名義人、これらの相続人)の全部又は一部の所 在が知れないこと 当該特例措置は、認可地縁団体から市町村長への申請 に基づいて行うものであり、市町村長は、申請の際に当 該認可地縁団体から提出される不動産の所有状況等に関 する疎明資料を確認し、当該申請を相当と認める場合に 公告手続に移ることになる。また、市町村長の認可を受 けていない地縁団体が特例適用の対象となる不動産を有 する場合については、認可を受けたうえで、特例適用を 図-2 事業用地の取得を念頭に置いた登記の特例制度の概要図

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申請することが可能となる。 (3)制度活用の流れ 認可地縁団体において、登記の特例制度の活用を図る 場合には、申請要件にかかる疎明資料を添付の上、市町 村長へ申請することになる(図-3)。 市町村長は、申請があった場合に疎明資料の確認を行 い、全ての要件を満たしていることが確認できた場合に 公告手続きを行うことになり、確認できなかった場合に は申請書を返却することになる。 公告期間については、三月を下ってはならないとされ ており、この期間中に異議がなかった場合に、証明書の 交付がなされることになる。 異議があった場合については、異議を申述した者に係 る次に掲げる資格要件に該当するかどうか確認を行い、 資格が認められなかった場合にはそのまま証明書の交付 がなされ、資格が認められた場合には、特例手続きが中 止となり、異議申出があった旨の通知がなされる。 [異議を申述した者に係る資格要件] ① 不動産の登記関係者(表題部所有者、所有権登記 名義人、これらの相続人) ② 不動産の所有権を有することを疎明する者 市町村長より証明書が交付された認可地縁団体は、そ の証明書をもって登記手続きを行い、共有名義であった 不動産の登記を認可地縁団体名義へと移転させるもので ある。 (4)制度を活用した場合の効果 今回創設された登記の特例制度を活用することによっ て、認可地縁団体管理の多数共有地については、一定の 要件を満たすことで認可地縁団体名義へ登記が可能とな った。 そして、当該土地を事業用地として取得する際には、 認可地縁団体名義となった後に当該認可地縁団体と土地 の売買契約を締結することとなる。 登記の特例制度を活用し、認可地縁団体名義となった 土地を取得する場合には、起業者として従来に比べ次に 掲げるような効果があると考えられる。 ① 相続人の確定作業に要する費用・期間・労力の削 減 ② 全関係者から個別に承諾を得るための費用・期 間・労力の削減 ③ 所在不明者が存することにより検討が必要となる、 不在者財産管理人の選任による取得、訴訟による 取得、収用手続きによる取得について、手続きに 要する費用・期間・労力の削減 上記①から③に掲げた効果の背景として、代表者の個 人名義や構成員全員の共有名義により登記がなされてい る土地については、従前、所有者の死亡に伴う相続人の 確定や、その確定した相続人全員からの承諾を得る必要 があり、膨大な手間と費用を要していた。特に、所在不 明者が存する場合には、その所在を確定させるため、各 種手続の検討を行い、必要となれば実際に膨大な費用と 期間をかけて手続を進める必要があった。 認可地縁団体名義への所有権移転がなされることによ り、これらの問題が解消されるものと考えられることか ら、登記の特例制度が施行されたことで、事業の進捗に 大きく貢献するものと期待される。 図-3 登記の特例制度に係るフローチャート

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4.当所事業において登記の特例制度の活用を図

る取組について

(1)事業の概要及び現在の取り組み状況について 当所では、日本海沿岸東北自動車道の一部を構成する 「一般国道7号朝日温海道路」の整備を進めているとこ ろである(図-4)。 この道路は、新潟県の朝日まほろばICから山形県の あつみ温泉ICに至る延長約 40.8 ㎞の自動車専用道路 であり、災害時における緊急輸送と速達性の確保、高速 ネットワーク形成による第三次救急医療施設へのアクセ ス改善、日本海側拠点間の交流・連携強化などの効果が 期待されている。 当該事業については、平成25年度に事業化されてお り、当事務所では全体区間のうち、新潟県側の延長約 34.1 ㎞の区間を担っている。 現在、旧朝日村(村上市上野地区~同市蒲萄地区)の 区間の延長約 16 ㎞において用地測量作業を実施中であ り、当該事業に関係する土地の権利者の確定についても 作業を進めているところである。 多数共有地については、現時点においても様々な形態 のものが存在することがわかっており、今回創設された 登記の特例制度の活用による早期の用地取得を目指して いる。 用地測量作業中の区間における当該事業の関係集落に ついては、概ね認可地縁団体制度による地縁団体の設立 が既に済んでいることから、今後、関係集落が管理する 多数共有地が事業に必要となることが明らかとなった際 には、登記の特例制度を活用し、認可地縁団体名義へと 移転登記を行ってもらうよう協議していくこととしてい る。 既述のとおり、登記の特例制度については、認可地縁 団体より市町村長へ疎明資料を添付のうえ申請すること になり、その後に交付された証明書をもって、認可地縁 団体が法務局へ所有権の移転登記の申請を行うことにな る。その際には登記費用の負担も発生することから、起 業者としては、登記の特例制度に伴う手間や費用の負担 といった点についてもよく説明した上で、該当する認可 地縁団体と協議していかなくてはならないと考える。 関係する認可地縁団体の中には、登記の特例制度が平 成27年4月1日よりすでに施行されることを知り、申 請準備に入っているところもあり、そういった団体に対 しては、当該事業への理解と協力を求めるとともに、反 対者の有無や今後の手続きの確認といった協議を重ねて いるところである。 そのような動きの中で、自治体に対しても協力を要請 し、新しくスタートした登記の特例制度の円滑な活用が 図れるよう、連絡調整を行っているところである。 (2)当該事業において制度を活用した場合の効果 登記の特例制度を活用した場合の効果については既述 のとおりであり、認可地縁団体から申請、市町村長にお いて疎明資料を確認、公告期間を経て証明書を交付、認 可地縁団体名義へ移転登記、その後の土地売買契約に至 るまで、順調に進めば半年程度の期間にて可能となるこ とが見込まれる。従前では取得まで複数年かかっていた ものが大幅に期間を短縮できることになるため、多数共 有地を多く取得することになるであろう当該事業におい ては、その効果は計り知れないものとなる。

5.制度活用にあたっての課題

ここまで、新たに創設された登記の特例制度の効果に ついて説明してきた。事業の進捗に大きく貢献するもの と期待できることがわかったが、当該制度の活用にあた っていくつか課題があることも事実である。ここからは、 申請要件に沿った課題について検討していく。 (1)「認可地縁団体が所有する不動産であること」につ いて 今回創設された登記の特例では、上記のとおり、認可 地縁団体が所有する不動産であることが一つの要件とし て定められている。 これについては、例えば数十名の登記名義人による多 数共有地が存する場合に、それが認可地縁団体の所有す る不動産でなければ、当然ながら当該制度の活用を図る ことができないこととなるため、登記名義人全員からの 承諾を得る必要があり、そのうち死亡している者がいれ ば、その相続人を確定させ、承諾を得る必要がある。 図-4 「一般国道7号 朝日温海道路」事業概要図

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(2)「不動産を10年以上所有の意思をもって平穏かつ 公然と占有していること」について これについては、「10年以上」という一定の期間、 平穏かつ公然と占有していなければ、現時点において認 可地縁団体の所有する不動産であったとしても、当該制 度の活用は認められない旨が示されている。 例えば、認可地縁団体に加入する権限の無い者など、 第三者が長期間に渡り当該不動産を占有しており、認可 地縁団体が実質的に10年に満たない期間しか「平穏か つ公然と占有」していない状況となれば、登記の特例制 度の活用ができないことになる。 (3)「不動産の表題部所有者又は所有権の登記名義人の 全てが認可地縁団体の構成員又はかつて構成員であ った者であること」について これについては、例えば数十名の共有名義にて登記が なされている場合に、1名であっても認可地縁団体の構 成員又はかつて構成員であった者以外の者が含まれてい れば、登記の特例制度の活用ができないことを示してい る。 登記名義人が何らかの理由により認可地縁団体と関係 の無い第三者へ権利を譲渡し、所有権移転の登記が行わ れていた場合などでは、登記の特例制度の活用ができな いことになる。 (4)「不動産の登記関係者(表題部所有者、所有権の登 記名義人、これらの相続人)の全部又は一部の所在 が知れないこと」について 登記の特例制度は、認可地縁団体が所有する不動産の 登記関係者全員又は一部の者の所在が不明である場合に、 申請が認められることとされている。 言い換えれば、例えば共有者が少数で、全員がご健在 で集落に在住されているような状況であれば、登記の特 例制度の活用ができないことになる。 以上、申請要件に沿って課題を検討してきたが、今回 創設された登記の特例については、活用できる場合が限 定的であると言える。 起業者とすれば、登記の特例制度の活用を図ることで、 迅速な事業用地の取得が可能となるため、積極的な活用 を図っていくことになると考えるが、土地の権利調査を 終えた段階で、多数共有地が存在するとわかったとして も、全ての多数共有地において登記の特例制度の活用が 図れると考えることは危険である。 そのため、事業用地として取得する必要が生じた多数 共有地の一つ一つの状況を把握し、登記の特例制度の活 用が図れるのかどうかを事前に見極める必要があると考 える。 申請要件に沿った課題については上記のとおりである が、その他に考え得る課題としては次に掲げるものがあ る。 (5)不動産の登記関係者のうち、異議を唱える者が存す る場合 認可地縁団体が管理する多数共有名義の土地を、認可 地縁団体名義へと所有権移転させることについて、何ら かの理由により異議を唱える者が存する場合には、その 後、市町村にて公告手続きを行っている間に、異議を申 述される可能性がある。当該不動産の登記関係者や、所 有権を有することを疎明できる者である場合には、異議 があれば登記の特例手続きは中止となる。 起業者としては、異議を唱える者が存するという情報 を事前に得ることができた場合には、安易に登記の特例 制度の適用のみを考えるのではなく、特例手続きが中止 となることに備え、共有者及び相続人の所在を予め確定 させておく必要があるものと考える。 (6)事業用地の取得を前提とし、認可地縁団体を設立し て当該制度の活用を図る場合 地縁団体が設立されていない集落の管理する多数共有 名義の土地が、事業用地として必要になる場合について は、制度上、認可地縁団体として認可を受けることで登 記の特例適用を申請することが可能である。 このため、起業者としては、早期事業用地の取得に向 け、地縁団体を設立し認可を受けるよう、当該集落へ協 力の要請をしていくことが考えられる。 しかしながら、認可地縁団体として認可を受けるため には、その集落において規約を定めている必要がある他、 集落の区域が客観的に定められていること、地域的な活 動を行っていると認められること等が必要であることか ら、特に規約については事業用地の取得に合わせて集落 にて整備してもらわなくてはならず、集落側に相当な負 担が掛かるものと考えられる。そのため、集落から必ず しも協力が得られるとは限らず、結果として、当該制度 の活用ができなくなるおそれがある。 更に、将来的には事業用地として取得することが前提 であるため、少なからず金銭のやり取りが発生すること から、多数共有となっている登記名義人の相続人等から 異論が出される可能性もあり、苦労の末、地縁団体を設 立したは良いが当該制度の活用が図れないといった事態 にもなりかねない。 以上から、事業用地の取得を前提として認可地縁団体 を設立し、登記の特例制度の活用を図るためには、その 集落の協力が必須であり、事前に事業について総意とし て了承を得ている必要がある。そのため、十分に協議を 重ねながら慎重かつ丁寧に進めていかなくてはならない と考える。

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6.さいごに

ここまで、登記の特例制度を活用した集落管理の多数 共有地の取得を図る取組について述べてきたが、課題と して挙げたように、当該制度を活用するためには、諸条 件がある程度揃っていることが前提であるとともに、集 落から自治体へ働きかけてもらう必要があることから、 地元関係者の合意形成が必須であると考える。起業者と すれば、登記の特例制度を活用し、事業用地の取得を行 った場合の効果は計り知れないことから、これを積極的 に活用しない手は無い。 詰まる所、登記の特例制度の活用には、地元関係者及 び自治体との密な連携を行っていくことが鍵であり、迅 速な用地取得、即ち事業効果の早期発現に繋がっていく ものと思料する。今後、より一層の協力が得られ、登記 の特例制度の活用による事業効果の早期発現が現実のも のとなるよう、当所一丸となり尽力していく所存である。 参考文献 1)総務省行政評価局「地縁団体名義への所有権移転登記手続の 改善促進(概要)-行政苦情救済推進会議の意見を踏まえた あっせん-」(平成25年2月15日) http://www.soumu.go.jp/main_content/000203515.pdf 2)総務省HP「自治会・町内会等とは」 http://www.soumu.go.jp/main_content/000307324.pdf

参照

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