障害者就労支援と理学療法士とのかかわり
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(2) 障害者就労支援と理学療法士とのかかわり 「以後気をつけます」のような対策は却下され再検討する。 提案制度ではやりにくい作業,ミスしやすい作業について作. 843. 障害者の管理・監督職へも積極的に登用し,現在では部長 (下肢障害者 1 名),課長(下肢障害者 3 名),職場長・係長(下. 業方法,治具・道具を工夫できないかなどの観点で改善点を提. 肢障害者 4 名,聴覚障害者 1 名),リーダー(下肢障害者 3 名,. 案し,月次での実施賞,年間の最多提案,最優秀提案を表彰し. 聴覚障害者 4 名,視覚障害者 1 名)が障害者で,日常の生産活. ている。. 動はすべて障害者が中心に運営されている。. このような取り組みから生まれた改善も交えて以下に一例と. 肢体不自由の社員の例. して示すように障害に応じた職場環境を整備している。 (1)下肢障害:建屋のバリアフリー化,エレベーター,トイレ など。. A さんは両下肢機能全廃(進行性筋ジストロフィー)で支 援学校・障害者職業能力開発校修了後 1995 年入社した。入社. (2)上肢障害:ワッシャなど厚みのない部品をテーブルの平面. 時は手動車椅子で車通勤し,空気清浄機エレメント組立作業を. に置くのではなく溝部分に立てて組立作業時つまみやすく. 担当して他の社員と同じように上から部品挿入していた。その. する。(図 1 参照). 後次第に腕が上がりにくくなり水平方向にから部品挿入するよ. (3)聴覚障害:聴覚障害者以外の手話の習得,手話よりも伝え. う特別な道具を考案し組立作業を担当していたが,それもでき. ようとする意欲が大切である。検査装置では音声信号をラ. なくなり,電動車椅子,リフト付きワゴン車で通勤するように. ンプ表示など視覚による信号に変更したり,緊急避難指示. なった。1998 年には製造課から業務課に転籍し,発注生産計. のためフラッシュライトをトイレに設置などしている。. 画担当した。ここでは電話やパソコン操作の業務が多いため電. (4)視覚障害者(弱視・視野狭窄):見やすいようにパソコン. 話をイヤホン・マイク付携帯電話に変更し,パソコンもボール. 拡大画面や白黒反転表示を採用している。また通路には視. ペンでキーボード・マウスを操作することで腕が上がらなくて. 野狭窄・弱視でも通路中央を歩行できるように中央部のみ. も業務可能となった。2005 年自動車の運転ができなくなり電. 違った色のガイドラインを設置している。. 車・電動車椅子で通勤していたが,2012 年からは家族が自動. (5)知的障害:ランプが点灯した個所の部品を順次ピッキング. 車で送迎している。ときには休日も出勤している。. したり,1 台分の部品が入る箱を用意し事前にこの箱に入. 重い障害があっても働きたいという強い思いがあれば願いが. れて間違いを防止している。. 叶い,周りの人の支援も得られる例である。. (6)精神障害:. むすび. ・相談しやすい雰囲気づくり,1 日 1 回声かけ ・報告・連絡・相談を気軽に聞く職場で怒鳴り声を発しない. 現在理学療法でリハビリテーションに努めている障害者は訓. ・病気のことをよく聞いて把握しておく. 練中は将来への不安がいっぱいであると思うが,このように障. ・できないときは責めるのではなく,的確なアドバイス. 害種別にかかわらず働いている障害者がいることの紹介を通じ. ・本人・医療機関・支援機関・企業が連携して指導. て,訓練すれば健常者と同じように社会の一員として役割を. などを心がけている。. 担って就職・働いている,将来への希望をもてる,そのような. また組織として職場定着推進を進めており,月 1 回の職場定. 社会へ踏みだす一助になれば幸いである。. 着推進会議を開催したり,2 号職場適応援助者(ジョブコーチ). 今後,需要が高まりさらに促進されていく障害者雇用におい. 11 名・職業生活相談員 20 名の資格取得者を配置している。業. て,より多くの障害者がその潜在能力を活かして就労できるこ. 務に必要な資格は障害の種別を問わず,冷媒回収,フォークリ. とを願い,当該分野で活躍する理学療法士と就労支援関係者・. フト運転,有機溶剤取扱者,ガス溶接資格,毒物劇物取扱者な. 雇用企業などの連携が深まり,障害者就労支援の充実につなが. どの資格を取得している。. ることを期待している。. 図1.
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三〇.
保坂 幸司: NPO 法人 大阪精神障害者就労支援ネットワーク(JSN) 事務局長. 堀川 洋 : NPO
大曲 貴夫 国立国際医療研究センター病院 早川 佳代子 国立国際医療研究センター病院 松永 展明 国立国際医療研究センター病院 伊藤 雄介
また、視覚障害の定義は世界的に良い方の眼の矯正視力が基準となる。 WHO の定義では 矯正視力の 0.05 未満を「失明」 、 0.05 以上
いしかわ医療的 ケア 児支援 センターで たいせつにしていること.
平成 支援法 へのき 制度改 ービス 児支援 供する 対する 環境整 設等が ービス また 及び市 類ごと 義務付 計画的 の見込 く障害 障害児 な量の るよう
イ小学校1~3年生 の兄・姉を有する ウ情緒障害児短期 治療施設通所部に 入所又は児童発達 支援若しくは医療型 児童発達支援を利
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