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産婦の体温変動パターンによる分娩経過の特徴

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Academic year: 2021

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J.Jpn.Acad.Mid.,Vol.14,No.2,pp.48-58,2001.2

原 著

産婦 の体温 変 動 パタ ー ンに よる分 娩 経過 の特徴

The

Relationship

between

Maternal

Temperature

Variations

and

Delivery

Progress

岡 村 晴 子(Haruko OKAMURA)* 要 約 正 常 分 娩 経 過 中 の 体 温 変 動 パ タ ー ン と分 娩 経 過 の特 徴 を明 らか にす る こ とを 目的 に本 研 究 を行 っ た。 深部 温 モ ニ タ ー を使 用 し,経腟 分 娩 の 産 婦33例 の 中枢(前 額)・ 末 梢(足 背)深 部 温 を継 続 測 定 した。 そ の結 果,主 に3つ の パ ター ンが確 認 され た。 1.「 中 枢 ・末 梢 と もに下 降」 グル ー プ;こ の グ ル ー プ の分 娩 経 過 は,静 か に経 過 し確 実 に進 行 す る と い う特 徴 が あ った 。 2.「 中 枢 上 昇 ・末梢 下 降」 グ ル ー プ;こ の グ ル ー プの 分 娩 経 過 は,痛 み の 訴 え の 強 い緊 張 タ イ プ とい う特徴 が認 め られ た。 3.「 中 枢 ・末梢 と もに上 昇 」 グ ル ー プ;こ の グル ー プ の 分 娩 経 過 は,子 宮 口 の 開 大 が停 滞 し た り,努 責 時 間 が長 い な どの運 動 量 の 多 い 特徴 が あ っ た。 以 上 よ り,分 娩 進 行 中 に は体 温 変 動 が み られ,タ イ プ別 の助 産 授 助 を考 え る必 要 が示 唆 さ れ た 。 キ ー ワー ド 分 娩 経 過,体 温,変 動 パ ター ン Abstract

The perpuse of this study is to explain the relationship between maternal temperature vari-ations and delivery progress in normal delivery. I measured 33 women's temperatures who experienced a vaginal delivery. This was done using a deep skin temperature monitor. (the forehead was used as the central deep skin temperature, and the instep as the peripheral deep skin temperature). As a result, I noticed 3 variation patterns:

1) The central and the peripheral temperature both decreased; This group's delivery progress was quiet and steady.

2) The central temperature increased and the peripheral temperature decreased ; This group's delivery incidents included high tension, appeal strong pain.

3) The central and the peripheral temperature both rise ; This group's delivery incidents included too much exercise for prolonged (stagnant) dilating cervix or a long time

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産 婦 の体 温変 動パ ター ンに よる分 娩経 過 の特徴

ing.

Childbearing women's temperature is varied and the midwife must individualize their approach each woman.

Key words delivery progress, temperature, variation pattern

Iは じ め に 1.研 究 の 背 景 昔 か ら,冷 え性 の人 は難 産 に な る とか妊 産 婦 は 足 腰 を冷 や す な とい う言 い伝 えが あ る。 しか し実 際 に冷 え性 と分 娩経 過 の関 連 を調 べ た研 究 は見 当 た らな い。 一 方,こ の よ うな中 枢 と末梢 の温 度 差 は循 環 動 態 を反 映 す る と言 わ れ てお り,術 中 の管 理 で は重 視 さ れ て い る。 辻1)は,「 前 額,足 踵 深 部 温 変 動 とそ の臨 床 的意 義 」 と して 心臓 手 術 後 患 者 の体 温及 び血 行 動 態 の管 理 か らの 知見 を ま とめ て い る。 そ れ に よ る と,前 額 深 部 温 の 正 常 域 は 37.0±1.0℃ で あ り,そ れ を越 えた 場 合 に は治 療 が 必 要 で あ る。 さ らに,前 額 深 部 温 と足踵 深 部 温 の 動 態 に つ い て ま とめ,と もに上 昇 す るの は発 熱 の 通 常 の パ タ ー ン,前 額 が上 昇 し足 踵 が下 降 す る の は血 行動 態 悪 化 の 徴候,と もに下 降 す るの は通 常 の 解 熱 の パ タ ー ンな ど と述 べ てい る。前 額 が 上 昇 し足 踵 が下 降 す るパ タ ー ンに つ いて は,シ ョッ ク症状 との指 摘 もあ る2)。 筆 者 は これ まで の研 究 で,分 娩 時 の 末梢 ・中枢 深部 温 は と もに変 動 が認 め られ,そ のパ タ ー ン は 個人 に よ り上 昇 ・下 降 と もに あ りう る こ とを確 認 して い る3)。そ こで 今 回 は,体 温 の変 動 パ タ ー ン と分娩 経 過 に は何 らか の関 連 や 特 徴 が み られ るの か ど うか に注 目 して研 究 を行 う。 2.研 究 の 目的 分 娩 進 行 にお け る体 温 変 動 の 有無 とパ タ ー ン を 分 類 し,体 温 変 動 パ タ ー ン に よ る分 娩 経 過 の 特 徴 を探 る。 II文 献 検 討 分 娩 時 の 中 枢 ・末梢 温 の研 究 で は,高 橋 ら4)が 分 娩 前 後 平 均5時 間 に わ た っ て産 婦24人 の 深部 温 変 化 を観察 した と ころ,末 梢(足 背)は 分娩 中 下 降 し,中 枢(前 額)は 有 意 に上 昇 した との 結果 を 得 て い る。 中 で も,子癇 前 症 や 弛 緩 出 血 を起 こ し た 産 婦 で は,中 枢 ・末 梢 温 の較 差 が7℃ 近 く まで 拡 大 して い た と報 告 して い る。 一 方,滝 口 ら4)は,分 娩 室 入 室 か ら分 娩 後6時 間 まで20例 を観 察 し,前 額 部 深部 温 は分 娩 の30前 に軽 度 下 降 す るが ほぼ 一 定 で あ っ た の に比 し,足 背 深部 温 は分 娩 前30分 よ り下 降 し,分 娩 後1時 間 まで低 値 を示 し,そ の 後緩 や か に 回復 す る とい う 結 果 を得 て い る。 さ らに亀 山 ら6)は,分 娩 時 の体 温 変 動(中 枢 ・ 末梢)を 調 べ,児 の娩 出時 刻 を予 測 す る検 討 を し て い る。 しか し8例 の産 婦 の体 温 変 動 を検 討 した 結果,特 定 の傾 向 は得 られ な か っ た。 産 婦 の 体 温 に つ い て は,Williams Obstet-rics7)やEffective Care8)の よ う な教 科 書 的 文 献 を見 て も,正 常 範 囲 や変 動 傾 向 に つ い て の記 載 は な い。 III研 究 方 法 本 研 究 は,生 理機 器 を用 い た体 温 測 定 と参 加 観 察 に よ る記 述研 究 で あ る。 1.対 象 経腟 分 娩 目的 にて入 院 した正 期 産 の産 婦 で,体 温 測 定 と参加 観 察 に承 諾 の得 られ た 者 で あ る。 研 究 を依 頼 す る時 点 で,① 陣 痛 発 来 して い る こ と, ② 持 続 的 な医療 処 置 を して い な い こ と,③ 子 宮 口 開大 は5cm以 内,④ 無 痛 分 娩 を希 望 して い な い こ と,⑤ 今 回 の 分娩 に影 響 を及 ぼ す よ うな要 因 が な い こ と(既 往 帝 王切 開術,多 胎,子 宮 口 開大 を 伴 う切 迫 流 早 産,胎 児 異 常,重 度 貧 血 等),⑥ 明 らか な 感 染 徴 候 が 確 認 さ れ て い な い こ と(体 温 38℃ 以 上,白 血 球 増 加:1万/μ1以 上,CRPの 上 昇:1.0以 上,破 水 か ら24時 間 以 上 経 過,羊 水 混 濁,等 が複 数 見 られ な い),⑦ そ の 他,極 端 な 睡 眠 不 足,疲 労 な どの見 られ な い こ と,を 条 件 と 日本助 産学 会誌 第14巻 第2号(2001.2)49

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産 婦 の体 温 変 動パ ター ンに よ る分娩 経過 の特徴 した 。 2.調 査時 期 平 成10年6月19日 か ら11月1日 3.調 査場 所 都 内 の総 合 病 院1施 設 4.測 定 用 具 深 部 体 温 計 コ ア テ ン プ(R)CTM-205(テ ル モ 社 製)は,体 表 か ら計 測 部 位 直 下 の組 織 温 を連 続 的 に計 測 で きる装 置 で あ る。 プ ロー ブ を前 額 部 あ る い は胸 部 に装 着 した とき,口 腔 温,鼓 膜 温,直 腸 温,中 枢 の血 液 温 な ど と良 く一致 す る こ とが示 さ れ て い る9)。 今 回 は,前 額 深 部 温 の 測 定 にPD-11(45mm 径),足 背 深 部 温 測 定 にPD-31(25mm径)プ ロ ー ブ を使 用 し,粘 着 テ ー プ で 固定 した。 深 部 温 プ ロー ブ は,外 径 が40mmあ れ ば0.1℃ 以 内 の 精 度 で6mm下 の温 度 を検 出 可 能 で あ り,外 径25mm で は2mmの 深 さ を 検 出 可 能 で あ る10)。記 録 は 測 定 温 度 レ ン ジ を30∼40℃ に設 定 し,30秒1打 点 で縦 軸 が 温 度(一 目盛 り1℃),横 軸 が 時 間(一 目盛 り15分)で 行 った。 測 定 開始 か ら温 度 平 衡 に 達 す る まで の10∼20分 は デ ー タ か ら除 外 し,温 度 が安 定 し,変 動 が0.1℃/min以 内 に な っ た 時 点 か ら測 定値 と して採 用 した。 5.デ ー タの 収集 方 法 と観 察 項 目 1)観 察項 目 ① 皮 膚 深部 温(前 額 ・足 背) ② 分娩 進 行 状 況(陣 痛 間歇 ・発 作 時 間,強 度 な ど) ③ 体 温 影響 要 因(室 温,腋 窩 検 温,被 服 寝 具,体 位,飲 食 の有 無 な ど) ④ 産 婦 の訴 え(痛 み,温 熱 感 等 の 自覚) ⑤ カ ル テ や助 産 記 録(パ ル トグ ラム) 2)体 温 測 定 部 位 につ いて 中枢 温 と して前 額 また は前 胸 部,末 梢 温 と して は足背 で測 定 を行 った 。 前 額 部 深 部 温 の 測 定 は 前 額 部 の 中央 で 行 った 。 足 背 深 部 温 は,第 一指 間上 方 で,直 下 に血 管 の 走 行 の な い部 位 を選 択 して プ ロ ー ブ の装 着 を行 った 。 既 存 文献 で左 右 の 区 別 は な く,ま た 左 右 の 位 相 は一 致 して い て相 関 が 高 い との報 告11)が あ る た め,特 に 左 右 は 定 め ず に 装 着 可 能 な ほ う と した。 3)測 定 環 境 につ いて 既 存 研 究 にお け る分 娩 時 の 測 定 環 境 は定 か で な い 。 その た め 運 動 時 の 体 温 変 動 調 査 を参 考 に測 定 環 境 を設 定 した 。 分 娩 時 に は,子 宮 筋 の収 縮 と弛 緩,そ れ に伴 う呼 吸 法,補 助 動 作,努 責 な ど,さ まざ まな運 動 が行 わ れ て い る。 分 娩 を運 動 と考 え る こ と も可 能 だ と思 わ れ る。 運 動 に よ る深 部 体 温 の上 昇 は運 動 強 度 の み に依 存 す る と言 わ れ,気 温5∼30℃ の 間 で は同 一運 動 強 度 に よ る体 温 の上 昇 は一 定 で あ る こ とが確 認 さ れ て い る12)。そ の た め,環 境 温 度 に 関 し て は5 ∼30℃ の範 囲 で あ れ ば体 温 変 化 に あ ま り影 響 が な く,本 研 究 に お い て環 境 温 度 の設 定 は必 要 な い と 考 え られ る。 一 方,測 定 時 間 帯 は体 温 変 動 に影 響 を及 ぼ す可 能 性 が あ る。 ヒ ト体 温 に は 日内 変 動 が あ る こ とが 知 られ,腋 窩 で は午 前4∼6時 に最 も低 く,午 後 2∼6時 に最 も高 い と言 わ れ て い る13)。ま た, 運 動 時 の 体 温 上 昇 と体 温 の 日内 変 動 に は関 連 が あ る と考 え られ て い る。 中 山 ら14)は,同 一 運 動 強 度 に よ る体 温 上 昇 は体 温 最 低 期 に最 も大 き く,最 高 期 に最 も小 さい と述 べ て い る。 つ ま り,同 一 運 動 強 度 で も時 間 帯 に よ って 体 温 上 昇 程 度 は異 な る と考 え られ る。 そ の た め,測 定 時 間 帯 を記 録 す る と と もに,測 定 開始 時 間 を体 温 が 上 昇 傾 向 に あ る 6:00∼14:00と して調 整 した 。 陣 痛 につ い て は研 究 者 自身 が 触 診 に よ り評 価 し た 。 間歇 時 間 を7段 階,発 作 時 間 を2段 階,強 度 を5段 階 で評 価 し,3項 目 を加 算 して 合 計 得 点 で 評 価 した(得 点 が 高 い ほ ど 陣 痛 が 強 い)。 また, 本 人 に 痛 み の 自覚 を10段 階 で 評 価 して もら い,全 く痛 み の な い状 態 を0,こ れ 以 上 耐 え られ ない 最 高 の痛 み を10と して,口 頭 で 答 えて も ら った 。 6.対 象 者 へ の倫 理 的 配慮 調 査対 象 の権 利 を守 るた め に,以 下 の 配 慮 を行 っ た 。 1)産 婦 に研 究 の 主 旨 を文 書 お よ び 口頭 で 説 明 し,協 力承 諾 の 意 思 を確 認 して か ら実 施 した 。 2)説 明 で は 必 ず 以 下 の 内 容 を伝 えた 。① 研 究 の 参加 は 自由 で あ り,承 諾 後 で も断 る権 利 が あ る

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産婦 の体 温 変動 パ ター ン によ る分娩 経過 の特徴 こ と,希 望 時 に はい つ で もモ ニ タ ー を除 去 す る こ と,② 測 定 用 具 は対 象 に害 を与 え る もの で は な い こ と,③ 研 究 者 は助 産 婦 で あ り,調 査 は施 設 の ケ ア理 念 に沿 っ て行 う こ と,④ 施 設 助 産 婦 の ケ ア は,研 究 協 力 の有 無 に か か わ らず他 の産 婦 と同様 に受 け られ る こ と。 3)研 究 の途 中 で,緊 急性 の あ る身体 的 激 変 が あ り,研 究協 力 が 困 難 だ と判 断 した 場 合 に は,研 究 者 の 側 か ら研 究 の 中止 を 申 し出 た 。 4)調 査 終 了 後 に,調 査 デ ー タ を研 究 に使 用 す る こ とへ の了 承 を再 度 確 認 し,同 意 書 に署 名 を し て も らっ た。 7.デ ー タの 分析 方 法 分 娩 経 過 と生 理 機 器 に よ る体 温情 報 か ら,個 別 的 に 経 過 図 を 作 成 し た 。 児 娩 出 時 を 基 準(O min)と して 経 過 時 間 を さか の ぼ り,マ イ ナ ス 時 間 で表 示 した。 温 度 変 化 は,記 録 か ら5分 値 を換 算 して温 度 変 化 と時 間 経 過 で相 関 図 を作 成 ・検 定 し た 。 統 計 的 分 析 に は 統 計 ソ フ トHALWIN

(HALBAU for windows)5,22を 用 い,p<

0.05を 有 意差 あ り と した。 IV結 果 1.対 象 の 概 要 分 娩 まで 継 続 測 定 で きた の は33例 で あ る。 初 産 婦22名,経 産 婦 が11名 で,平 均 年 齢 は29.9±3上6 歳 で あ った 。 対 象 は全 員 経腟 分 娩 で,吸 引分 娩 が 1例,測 定 中 に促 進 剤 を使 用 した 者 は7例 で あ っ た。 弛 緩 出血 や子癇 発 作 な ど,出 血 性 シ ョ ッ クや 循 環 不 全 で体 温 に影 響 を及 ぼす と考 え られ る産 科 異常 を起 こ した者 はい なか った 。 出生 児 に つ い て は,神 経 学 的 予後 を反 映 す る と言 わ れ る5分 後 の ア プ ガ ー ス コア が7点 の 軽 度 仮 死 が2例 あ っ た が,胎 内 感 染 が疑 わ れ る もの は特 に な か っ た 。 測 定値 の範 囲 は,中 枢 深 部 温 が34.2∼37,9℃, 末 梢 深 部 温 が25.7∼36.7℃ で あ っ た。 2.体 温 変 動 パ タ ー ン と分 娩 経 過 対 象33名 の うち,測 定 時 間 が1時 間未 満 の2例 を除 く31例 に つ い て,個 人 別 に温 度 変 化 と分 娩 進 行 の時 間 経 過 との 相 関 を調 べ 分 類 を試 み た。 有 意 差 の あ っ た もの の うち,相 関係 数 が プ ラ ス にな る もの は上 昇 パ タ ー ン,マ イ ナ ス の もの を下 降 パ タ ー ン と して分 類 した。 中枢 ・末梢深部温 の変動パ タ ー ンを組 み合 わ せ て分 類 を試 み た 結果,主 に3 つ の グ ル ー プ に分 け られ た 。 また,3グ ル ー プ に 分 類 さ れ な か っ た もの は 便 宜 上 そ の 他 と し て い る。 な お,グ ル ー プ 間 で デ モ グ ラ フ ィ ッ ク デ ー タ に有 意差 は認 め られ な か った(表1)。 1)中 枢 ・末 梢 と もに 下 降 グル ー プ ー 例 と し てcase30の 分 娩 経 過 を示 す(図1) 初 産 婦 で,初 覚 陣 痛 か ら子 宮 口4cm開 大 ま で は 6時 間 経 過 して い た が,そ の 後 中枢 温 が 下 降 し始 め,2時 間 で 児 娩 出 に 至 っ た 。分 娩 前110∼70分 で は,中 枢 温 が 下 が る に従 い 「痛 い」 とい う訴 え が な くな った 。 一 見 反 応 性 が 低 下 し自分 の 中 に こ もっ た よ うで あ り,触 診 に よ る 陣痛 も弱 ま った感 じで あ っ た が,そ の間 に分 娩 は確 実 に 進 行 した 。 表1グ ル ープ別対象 の特性(平 均 値 ±標準偏 差) 日本 助産 学会 誌 第14巻 第2号(2001.2) 51

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産 婦 の体 温変 動 パ ター ンに よ る分 娩経 過 の 特徴 図1中 枢 ・末 梢 とも に下 降例 この よ う に,分 娩 進 行 の 時 間 経 過 に伴 っ て 中 枢 ・末 梢 深 部 温 が と もに 下 降傾 向 を示 した ケ ー ス は10例 で 最 も多 く,全 対 象 の3分 の1に み られ た。 初 産 婦4例 に対 し経 産 婦 が6例 で,全 体 比 (初 産2:経 産1)に 対 し て 経 産 婦 で 多 くみ られ たパ ター ン で あ る。 この グル ー プ の分 娩 は静 か に 進行 した もの が 多 く,「痛 い 」 とい う訴 え 自 体 が 少 な か っ た。 分 娩 所 要 時 間 自体 は他 の グル ー プ と差 は な い が,経 過 の途 中 まで は ウ トウ トして過 ご した り しな が ら, 確 実 に分 娩 が 進 行 した とい う特 徴 が あ った 。 全 体 と して産 婦 自身 に余裕 が あ り,本 人 に コ ン トロー ル が 可 能 な分 娩 とい う印 象 だ っ た 。 2)中 枢 上 昇 ・末 梢 下 降 グル ー プ 一 例 と してcase22に つ い て 述 べ る(図2) 。 測 定 開 始 時 点 で 子 宮 口 開 大 は1cmで あ っ た が, す で に疼 痛 得 点 は10で,「 今 まで で 最 高 の 痛 み」 を 訴 え て い た 。6時 間 経 過 し,「 も う 限 界 」 とな っ た 時 点 で 子 宮 口 開 大 は3.5cmだ っ た 。 無 痛 処 置 ま た は 帝 王 切 開 を 強 く希 望 し 続 け た た め,7 cm開 大 時 点 で 痔 痛 緩 和 に 鎮 痛 ・鎮 け い 剤(ペ チ ロ ル フ ァ ン(R):塩 酸 ペ チ ジ ン)の 筋 肉 注射 を使 用 した 。 その 後 急 激 に分 娩 が進 行 し,1時 間半 で児 娩 出 に 至 った 。

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産 婦 の体 温変 動 パ ター ンに よ る分 娩経 過 の特 徴 図2 中枢 上昇 ・末梢 下降 例 この よ う に,分 娩 進 行 の 時 間 経過 に伴 って 中枢 深部 温 が 上 昇 し,末 梢 深部 温 は下 降傾 向 を示 した ケ ー ス は初 産 婦 が6例,経 産 婦 が2例 の 合計8例 で あ っ た 。 この グ ル ー プ で特 徴 的 な の は 末梢 深 部 温 の下 降 が 大 き く,測 定 開始 か ら児 娩 出 まで の 中枢 深 部 温 と末 梢 深 部 温 の差 が拡 大 して い た こ とで あ る。 最 大 で11.0℃ 離 開 して い た。 一 方,下 肢 の温 度 の低 下 に対 し て冷 感 の 訴 え は な く,分 娩 まで暑 い と訴 え続 けて い た 。 分 娩 経過 の特 徴 と して は 痛 み の 訴 えが 強 く,8 例 中7例 は測 定 開始 時 点 で す で に疼 痛 得 点5以 上 と訴 えて い た。 満 点 の10点 も2例 あ り,疼 痛 緩 和 の 医療 処 置 ・帝 王 切 開 を希 望 す る声 が 聞 か れ た 。 痛 み へ の恐 怖 と緊 張 が 強 く,更 な る痛 み に つ な が っ て い る よ うな 印 象 で あ っ た 。 コ ン トロ ー ル 可 能 とい う印 象 だ っ た 中枢 ・末 梢 と もに下 降 グ ル ー プ とは,測 定 開始 時 点 で 疼 痛 得 点 に有 意 差 が認 め ら れ た。 この グ ル ー プ で み られ た 産 科 異 常 と して は,常 日本助 産 学会 誌 第14巻 第2号(2001.2) 53

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産 婦 の体 温変 動 パ タ ー ンに よ る分娩 経 過 の特 徴 図3 中枢 ・末 梢 とも に上 昇 例 位 胎 盤 一 部 早 期 剥 離 が あ り,破 水 と児 娩 出,胎 盤 娩 出 が す べ て 同 時 に 起 こ っ た 。 そ の た め 出 生 直 後,児 は低 ア プ ガ ー ス コア で あ った が,5分 後 の 回 復 は よ く,ま た 胎 児 心 拍 モ ニ ター 上 は 胎 児 仮死 の 徴 候 は認 め られ な か っ た。 3)中 枢 ・末 梢 と もに上 昇 グル ー プ 次 に 示 すcasel(図3)で は,子 宮 口 全 開 大 まで は順 調 に進 ん だ が,全 開大 か ら児 娩 出 まで3 時 間以 上 要 し,そ の 間 努 責 が続 け られ た。 努 責 の 開始 に伴 い 中枢 ・末 梢 深 部 温 と もに上 昇 傾 向 とな り,児 娩 出 まで そ の 傾 向 が 続 い た。 この よ うに分 娩 進行 の 時 間 経 過 に伴 っ て 中枢 ・ 末 梢 深 部 温 が と も に上 昇 傾 向 を示 し た ケ ー ス は6 例 で,全 例 が初 産 婦 で あ った 。 この グ ル ー プで は,全 体 的 に陣 痛 の割 に 子 宮 口 が 開大 しな か った り,努 責 時 間 が 長 い な ど,運 動 量 の大 きい 分 娩 の 様 相 を示 して い た。 自然 破 水 か らの分 娩 で,オ キ シ トシ ン注 射 薬(ア トニ ンO(R) 5u)の 点 滴 で陣 痛 を 追 加 した 後,児 頭 の 下 降 ・本 人 の努 責 感 に 比 べ て子 宮 口 の軟 化 ・開 大 が 進 ま ず, 鎮 け い 剤(ブ ス コパ ン(R):臭 化 ブ チ ル ス コ ポ ラ ミ ン)を2回 使 用 し て分 娩 に至 った ケー ス等,あ る 程 度 まで子 宮 口が 開 大 して か ら停 滞 し,分 娩 進 行 を促 進 す る た め の 援 助 が 行 わ れ た ケー ス が 多 い 。 有 意 差 は な い が,分 娩 時 出 血 は132±76kgと 最 も多 か っ た。 新 生 児仮 死 で低 ア プ ガ ー ス コ ア の2 例 は この グ ル ー プだ っ た。

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産 婦 の体 温 変動 パ タ ー ンに よ る分娩 経 過の 特徴 表2 グル ープ別 中枢深部 温変 化(平 均値 ±標 準偏差) (単 位:℃) *p<0.05.**p<0.01 表3 グルー プ別 深部温 変動 幅 *p<0.05,**p<0.01 4)そ の 他 他 の7例 で は,中 枢 も し くは末 梢 に有 意 差 が み られず,「 その 他 」 と した。 「その 他 」 で 変 動 に 有 意 差 が な か っ た原 因 と して は,実 際 に ほ とん ど変 動 が な か っ た もの と,こ ま め に変 動 し,バ ラ ンス が 保 た れ て い た もの の2つ に分 け られ る。 この グ ル ー プ に特 徴 的 な分 娩 経 過 はな く,他 の グ ル ー プ に類 似 した もの が す べ て 含 まれ て い た 。 3.変 動 パ ター ン ご との体 温 の 特徴 中 枢 深 部 温 の 上 昇 し た 「中枢 ・末 梢 と も に上 昇 」 「中枢 上 昇 ・末 梢 下 降 」 の2グ ル ー プ と,中 枢 深 部 温 の 下 降 した 「中枢 ・末梢 と もに下 降 」 グ ル ー プ で は,一 元 配 置 分散 分析 の結 果,分 娩1時 間 前 よ り中枢 深部 温 に は有 意 差 が認 め られ た(表 2)。 中 枢 深 部 温 で は,個 人 内 の変 動 幅 で も グ ル ー プ 間 に差 が み られ ,「 中枢 ・末梢 ともに上昇」 グ ル ー プの 変 化 が 最 大 で あ った(表3)。 一 方, 末 梢 深 部 温 に は い ず れ も差 は な か っ た。 V 考 察 中枢 ・末 梢 深 部 温 の 変 動 を組 み合 わ せ た結 果, 「中 枢 ・末 梢 と も に 下 降 」,「中 枢 上 昇 ・末 梢 下 降 」,「中枢 ・末梢 と も に上 昇 」 とい う特 徴 的 な3 つ の タ イ プ が認 め られ た 。 また,そ れ ぞれ の分 娩 経過 に も特徴 の あ る こ とが 明 らか に な った 。 1.中 枢 ・末 梢 と もに 下 降 グル ー プ 「中 枢 ・末梢 と もに 下 降 」 とい う体 温 変 動 は, 既 存 の 分 娩 時 の 研 究 で は 明 確 に 認 め ら れ て い な い。 測定 時 間 帯 は,日 内変 動 で は 上 昇 傾 向 に あ る と考 え られ,中 枢 深 部 温 の 下 降 は通 常 の 生 理 的 体 温 変 動 に よ る もの とは考 えに くい 。 辻15)の 循 環 動 態 の 指標 か ら考 え る と,「 中 枢 ・ 末 梢 と もに下 降」 は通 常 の解 熱 の場 合 や 意 識 の な い状 態 で室 温 に暴 露 し,放 置 した場 合 にみ られ る 傾 向 で あ る。 この こ とか らは,体 温 調 節 機 能 失 調 の可 能 性 が考 え られ る。 しか し,こ の グル ー プ は 分 娩 経 過 と して は最 も順 調 で 経 産 婦 に多 く,循 環 異 常 を示 す徴 候 は な か っ た こ とな どか ら,機 能 の 失 調 とは結 び付 け に くい。 分 娩 時 に体 温 が下 降 す る要 因 と して は,呼 吸 の 促 進(過 呼 吸),発 汗 な ど の蒸 泄 に よ る もの,排 泄 や 破 水 ・出血 な どの 体 液 喪 失 な どが 考 え ら れ る。Goodlin 16)は, 疼 痛 コ ン トロー ル の な さ れ な か っ た産 婦 に体 温 の下 降 が 認 め られ た こ とか ら, 疼 痛 に よ る過 呼吸 が体 温 下 降 の 原 因 で は な い か と の説 を 出 して い る。 しか し本 研 究 に お い て は,全 例 持 続 的 な 疼 痛 コ ン ト ロー ル は 行 わ れ な い 状 態 日 本 助 産 学 会 誌 第14巻 第2号 (2001.2) 55

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産 婦 の体温 変 動 パ ター ン に よる分娩 経過 の特徴 で,中 枢 深部 温 の 上昇 す る もの と下 降 す る ものが 認 め られ た 。 中枢 深 部 温 の下 降 した もの は,そ の 中 で も落 ち 着 い た 分娩 経 過 が多 か っ た。 過 呼 吸 に よ っ て この グル ー プ だ け 中枢 深 部 温 の下 降 を生 じ た とは考 え に くい 。本 研 究 結 果 に お け る 中枢 深 部 温 の 下 降 は過 呼 吸 に よ る もの で は な い と思 わ れ る。 この グル ー プ の 分娩 経 過 か ら考 え られ る の は, 他 の グル ー プ よ りも運 動 量 が少 な か っ た の で は な い か とい う こ とで あ る。"静 か な 分 娩"だ っ た と い う印 象 は,単 に痛 み の訴 えが少 な か っ た だ け で は な く,体 動 や 補 助 動 作 も少 な か っ た と思 わ れ る。 今 後,運 動 量 の 測 定 を行 っ て評 価 す る必 要 が あ る。 2.中 枢 上 昇 ・末 梢 下 降 グル ー プ 「中 枢 上 昇 ・末 梢 下 降」 は,高 橋 ら17)の報 告 に 一 致 す る。 高 橋 ら は さ ら に,中 枢 と末 梢 の7℃ 以 上 の離 開 は子癇 発 作 や 弛 緩 出血 な どの リス ク ア セ ス メ ン トとな る と報 告 して い る。 この グ ル ー プ は 中枢 と末 梢 に最 も温 度 差 が 生 じや す く,8例 中4 例 で7℃ 以 上 の 離 開 が み られ た。 しか し弛 緩 出 血 ・子癇 発 作 を起 こ した 者 はい な い。 この こ とか ら,分 娩 進 行 中 の 中 枢 と末 梢 の 温度 差 だ け で は リ ス ク ア セ ス メ ン トは で き な い と考 え る。 ち な み に,こ の グ ルー プ以 外 で も一 時 的 な もの を含 め る と7℃ 以 上 離 開 した ケー スが5例 あ り,33例 中9 例 と高頻 度 で あ っ たが 産 科 異 常 は認 め られ な か っ た 。 大 貫 ら18)は,運 動 時 の 深 部 体 温 と前 腕 皮 膚 温 (末梢)の 関 係 を調 査 して お り,発 汗 が 関 与 せ ず, しか も比 較 的 高 い皮 膚 温 を保 持 した と こ ろで運 動 負荷 が加 わ る と,前 腕 皮 膚 温 は特 に下 降 した と報 告 して い る。 そ の上 で,運 動 時 の 深部 体 温 上 昇 の 一 因 は皮 膚 温 下 降 に よ る熱 放 散 の減 少 で あ ろ う と の 示唆 を示 して い る。 今 回 は発 汗 に関 して は調 査 を行 って い な いが,7℃ 以 上 離 開 した 前 述 の4例 は,測 定 開始 時 の皮 膚 温 は比 較 的 高 く,大 貫 の 見 解 に一 致 す る もの と考 え られ る。 さ らに,こ の グル ー プの 分 娩 特 徴 として 緊 張 が 強 い こ と もあ る。 運 動 負 荷 だ けで な く,緊 張 か ら も末梢 血 管 は収 縮 し,末 梢 温 の下 降 と中 枢 深 部 温 の上 昇 に つ なが っ た と考 え る。 「中 枢 上 昇 ・末 梢 下 降 」 タ イ プ に対 して は,足 浴 な ど を行 っ て末 梢 血 管 を拡 張 させ る こ とで 体 温 の上 昇 を緩 和 す る こ とが で きる と考 え られ る。 ま た,緊 張 型 の分 娩 が多 い た め,温罨 法 に よ る リラ ック ス効 果 も期 待 で きる と思 わ れ る。 足 浴 の援 助 が 最 も効 果 的 と思 わ れ る タ イ プ で あ る。 3.中 枢 ・末 梢 と もに上 昇 グ ル ー プ 「中枢 ・末 梢 と も に上 昇 」 は 既 存 の 分 娩 時 の 研 究 で は報 告 さ れ て い な いパ タ ー ン で あ っ た 。前 述 の循 環 動 態 的 に み る と,両 者 の上 昇 は通 常 の発 熱 パ タ ー ンで あ る。 実 際,児 娩 出時 の 中枢 深 部 温 の 平 均 値 は37.2℃ と最 も高 く,変 動 幅 も平均1.88℃ と最 も大 き い(表3)。 運 動 時 の体 温 上 昇 とい う点 か ら述 べ る と,体 温 上 昇 は運 動 強 度 に比 例 す る と言 わ れ て い る。 単 純 に考 え る と,こ の 「中 枢 ・末 梢 と もに上 昇 」 タ イ プ は分 娩 に よ る運 動 量 や 身 体 疲 労 が最 も大 きい こ とが 推 測 され る。 陣 痛 自体 が 激 しい の か,補 助 動 作 を含 め た運 動 か,ま た他 に原 因 が あ る の か は 明 らか で は な いが,こ の グ ル ー プ へ の分 娩 時 の援 助 と して は,水 分 ・エ ネル ギ ー の補 給 を十 分 に行 う 必 要 が あ る だ ろ う。 代 謝 の亢 進 か ら,産 婦 は不 感 蒸 泄 が増 加 して い る。 分 娩 時 の体 温 上 昇 に よ る発 汗 は著 し く,水 分 の補 給 が な けれ ば脱 水 状 態 に移 行 しや す い 。一 方 で,疼 痛 に よ り食 欲 は抑 制 さ れ,自 己管 理 で は補 給 は不 足 し が ち に な る。 分 娩 は通 常 の運 動 の場 合 と異 な り,本 人 の意 思 で 中 断 す る こ とが で きな い た め,産 婦 の負 担 を軽 減 す る た め の働 きか け は重 要 で あ る。 藤 島 ら19)や菅 原 ら20)に よ る と,運 動 に よ る 体 温 上 昇 を抑 制 す る た め に は,身 体 の 一 部 を冷 や す こ とが有 効 で あ り,冷 や す こ と に よっ て 温 度 の 上 昇 は緩 や か に な り,持 続 力 が 増 強 す る ら しい 。 分 娩 時 に は保 温 の重 要性 が 強 調 され て い るが,こ の グ ル ー プ に 限 って は冷 や す こ と も考 慮 され るべ き だ ろ う。 本 研 究 の 結 果 か ら胎 児 へ の 影 響 を考 え る と,ア プ ガ ー ス コア5分 値 が7点 の 軽 度 仮 死 で生 まれ た 2例 は この グ ル ー プ で あ っ た 。 「中枢 ・末 梢 と も に上 昇 」 タ イプ は産 婦 自身 の運 動 量 や疲 労 が大 き い だ けで な く,胎 児 へ の負 担 も大 きい可 能 性 が あ

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産 婦 の体温 変動 パ ター ンに よる分娩 経過 の特 徴 り,十 分 な観 察 と援助 が必 要 で あ る。 4.本 研 究の 助 産 援 助 へ の適 用 今 回,体 温 変 動 パ タ ー ン と分 娩 経 過 に は関連 が あ る こ とが示 唆 され た 。産 婦 の運 動 量 や 緊 張状 態 な どを観 察 し中枢 ・末梢 の温 度 差 を測 る こ とで援 助 の 方 向性 が 示 され る とい う,分 娩 時 ケア の重 要 性 を再 認 識 す る もの で あ っ た。 緊 張型 の分 娩 で は末梢 温 の下 降 が 大 きい こ とが 明 らか に な った 。 これ まで臨 床 的 に は感 じて きた こ とで あ るが,実 際 の測 定 か ら も確 認 され た。 過 緊 張 タ イ プ の 「中 枢 上昇 ・末 梢 下 降 」 で は,末 梢 温 は平 均 で5.5℃ 下 降 して お り,触 診 で十 分 推 測 可 能 と思 わ れ る。 本 人 の 自覚 と して は末梢 冷 感 を もち に くい た め,援 助 者側 が注 意 して い く必 要 が あ る。特 に 中枢 温 が 上昇 して い る場合 に は,緊 張 緩 和,末 梢 血 管 拡 張 に よ る熱 放 散 な ど を 目的 に, 温 罨 法 を施 行 す る と有 効 で あ る こ とが 予 想 され た 。 子 宮 口 開大 の停 滞 や努 責 時 間 が 長 く,運 動 量 の 多 い 「中枢 ・末 梢 とも に上 昇 」 タ イ プで は,産 婦 の 疲 労 だ け で は な く胎 児 へ の影 響 もあ る こ とが 示 唆 され た。 疲 労 が み られ触 診 で 下肢 まで温 か く感 じ るケ ー ス に は,身 体 の一 部 を冷 や した り水 分 補 給 を促 す な どの 積極 的 な援 助 が 必 要 で あ る。 VI結 論 分 娩 進 行 中 には個 人 内 に体 温変 動 が み られ,そ の傾 向 は中枢 ・末 梢 深 部 温 の組 み合 わ せ で 大 き く 分 け て3つ また は それ 以 上 あ る こ とが わ か った。 また,そ れ ぞ れ の分 娩 進行 に は特 徴 が あ る こ とが 明 らか にな っ た。 中枢 ・末梢 深 部 温 の 組 み 合 わ せ は,「 中 枢 ・末梢 と もに下 降 」 「中 枢 上 昇 ・末 梢 下 降」 「中枢 ・末梢 と もに上 昇 」 の3つ に大 別 され, さ ら に3つ に は分 類 され な い ケ ー ス も認 め られ た。 1.中 枢 ・末 梢 と もに下 降 グル ー プの特 徴 分 娩 経 過 に従 っ て中 枢 ・末梢 深 部 温 が と もに下 降 傾 向 だ っ た ケ ー ス は,経 産 婦 に 多 く認 め られ た。 分 娩 経 過 は静 か に経過 し確 実 に進 行 す る特徴 が あ った 。 2.中 枢 上 昇 ・末 梢 下 降 グ ル ー プ の 特 徴 分 娩 経 過 に 従 っ て 中 枢 深 部 温 は 上 昇 し,末 梢 深 部 温 が 下 降 傾 向 に あ っ た ケ ー ス で あ る 。 分 娩 経 過 は 痛 み の 訴 え の 強 い 緊 張 タ イ プ と い う特 徴 が 認 め られ た 。 3.中 枢 ・末 梢 と も に 上 昇 グ ル ー プ の 特 徴 分 娩 進 行 に 伴 っ て 中 枢 ・末 梢 深 部 温 が と も に 上 昇 傾 向 に あ っ た ケ ー ス で あ り,全 例 が 初 産 婦 で あ っ た 。 分 娩 経 過 は 子 宮 口 の 開 大 が 停 滞 し た り,努 責 時 間 が 長 い な どの 運 動 量 の 多 い 特 徴 が あ っ た 。 以 上 の 結 果 か ら,今 後 は タ イ プ 別 の 助 産 援 助 を 考 え る必 要 が 示 唆 さ れ た 。 謝 辞 調 査 に ご協 力 い た だ い た 産 婦 の 皆 様 に 感 謝 い た し ます 。 長 時 間 に わ た っ て ご協 力 い た だ き,ま た 出 産 とい う貴 重 な 体 験 に 参 加 さ せ て い た だ き あ り が と う ご ざ い ま した 。 調 査 場 所 を提 供 し て い た だ き,調 査 に ご協 力 い た だ い たS病 院 産 科 棟 の ス タ ッ フ の 皆 様 に も感 謝 い た し ま す 。 そ し て 研 究 の 最 初 か ら最 後 ま で ご指 導 い た だ い た,聖 路 加 看 護 大 学 母 性 看 護 ・助 産 学 教 授,堀 内成 子 先 生 に感 謝 い た し ます 。 この 論 文 は,1999年 度 聖 路 加 看 護 大 学 大 学 院 修 士 論 文 の 一 部 を抜 粋 し,加 筆 修 正 した も の で あ り,本 論 文 の 要 旨 は第19回 日本 看 護 科 学 学 会 学 術 集 会 に て 発 表 して い る。 引用 文 献 1) 辻 隆之: 前額 ・足踵 深部 温変 動 とその臨 床 的意 義, 臨 床体 温, 2, 71-75, 1982. 2) 辻 隆 之, 中 島一 巳, 他: 身 体 各 部 の 深 部 温 とそ の 特 徴, 自律 神経, 13 (4), 220-226, 1976. 3) 岡村 晴子: 分 娩進 行 に よ る体 温 変動, 日本 看護 科学 学 会誌 投稿 中. 4) 高橋 文子, 井 口登 美子, 他: 分娩 時 深部 温度 の 変動 に つ いて, 医用 電子 と生体 工学 特別 号, 343, 1976. 5) 滝 口雅博, 福 田美 知代, 他: 分娩 前 後 にお け る深部 温 の変 化, 臨床 体温, 8(1), 26-33, 1988. 6) 亀 山峰子, 他: 産 婦 の体 温変 動 と分 娩進 行 との関係, 愛知母 性 衛生 学会 誌, 11, 41-50, 1993.

7) Cunningham F. Gray, MacDonald Paul C. et al: Williams Obstetrics 20th edition, APPLETON &

LANGE, 1997.

8) Enkin Murray, Keirse Marc J. N. C . et al: A Guide to Effective Care in Pregnancy & Child-birth second edition, Oxford University Press

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産婦 の体 温 変動 パ タ ー ンに よ る分 娩 経過 の特 徴 Inc.,1995. 9) 戸 川 達 男: 体 温 モ ニ タ ー 機 器, 臨 床 モ ニ タ ー, 1(3), 181-187, 1990. 10) 根 岸 鉄, 田 村 俊 世, 他: 深 部 体 温 計 の プ ロ ー ブ の 体 表 接 触 面 積 に よ る 特 性 の 比 較, 東 京 医 科 歯 科 大 学 医 用 器 材 研 究 所 報 告, 11, 89-95, 1977. 11) 山 崎 と よ: 深 部 体 温 計 に よ る身 体 各 部 深 部 温 の 連 続 監 視 法 と そ の 臨 床 的 評 価-基 礎 編-,東 京 女 子 医 科 大 学 雑 誌, 51(10), 144-1445, 1981. 12) 中 山 昭 雄編: 温 熱 生 理 学, 理 工 学 社, 425-437, 1981. 13) 本 郷 利 憲, 廣 重 力, 他 編: 標 準 生 理 学 第4版, 医 学 書 院, 760, 1996. 14) 中 山 昭 雄, 入 来 正 躬 編: 新 生 理 学 大 系22 エ ネ ル ギ ー 代 謝 ・体 温 調 節 の 生 理 学, 医 学 書 院, 309, 1987. 15) 前 掲 論 文1)

16) Goodlin, R. C. and Chapin, J. W. . Determinants of maternal temperature during labor, American Journal of Obstetrics and Gynecology, 143, 97- 103. 1982. 17) 前 掲 論 文4) 18) 大 貫 義 人, 他: 暑 熱 順 化 過 程 に お け る 運 動 時 深 部 体 温 上 昇 と前 腕 皮 膚 下 降 の 関 係, デ サ ン トス ポ ー ツ 科 学, 9, 224-233, 1988. 19) 藤 島 和 孝, 他: 運 動 時 の 身 体 冷 却 が 生 理 的 反 応 に 及 ぼ す 影 響, デ サ ン トス ポ ー ツ 科 学, 7, 231-239, 1986. 20) 菅 原 正 志, 他: 運 動 時 の 前 腕 部 冷 却 が 体 温 調 節 性 反 応 に 及 ぼ す 影 響, デ サ ン トス ポ ー ツ科 学, 13, 185-192, 1992. 58 日本 助産 学 会誌 第14巻 第2号 (2001.2)

参照

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