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第17回日本助産学会学術集会集録ポスターセッション

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外来助産師の役割充実 をめざ して

総合病院北見赤十字病院産婦人科 ○ 池 下 晴 枝 田 中 和 子 清 水 ミユ キ I 緒言 K病 院 は、青森 県 と同等 の大 き さを持つ網 走支 庁 に あ り、オ ホー ツ ク圏の ほ ぼ 中央 に位 置 し 病 院 の定床 は695床 で、地 域セ ンター病 院 として一 次、 二次 、三次 救急 を行 って い る。 分 娩 数 は年 間約700件 あ り、周 産期母 子セ ンター を有 してい るた め 、ハイ リス ク妊 婦 が母 体搬 送 され 、外来 にお いて も様 々な妊婦 が来 院 してい る。我 国 にお いて 、長年 助産 師外 来 の必 要 性 が問 われ てい るが 当院 の特 徴 、施設 設備 な どの問題 も多 く開設 には至 ってい ない 現状 であ る。 近年 、少子 化傾 向 にあ り妊 婦 のニー ズ も多 様化 し、外 来 にお け る助 産 師の役 割 も 日々重要性 を増 して い る。 平 成13年 度 の妊婦 健 診 にお ける満 足度 調 査 で妊 婦 健診 に対 す る満 足群 は 55%、 そ の うち、時 間 はかか って い るが満 足 して い るが21%、 中に は時 間が多 少 かか って も 疑問や 心配 を解 消 して帰 りた い とい う意 見が あっ た。 健診 時 の 医師 ・助 産 師 の説 明が わ か り ず らい、 聞 きたい こ とが きけ ない とい う意 見 があ り、そ のた め、 質問 しや す い態 度や 環 境作 りが必 要 であ る とい う結果 が でた。 ま た、予約 時 間通 りに終 了す るほ ど満 足度 が 高い とい う 結果 もで てい た。 そ こでK病 院 で従 来行 われ てい る妊婦 健診 にお い て現状 を理 解 し、 不安 ・ 疑 問 を軽減 して帰宅す る こ とを め ざし、医師 中心 に行 う妊 婦健 診 に加 え、全 妊婦 へ の面談 を 行 う事 で保健 指導 の充実 を図 る よ う努 めた。 その結 果 、助産 師 の保 健指導 に よ り満 足 度 が高 ま る とい う結 果 が 出た の で報告 す る。 II 方 法 平成14年5月1日 か ら従 来 の妊 婦健診 の-連 に続 き、医師 の説 明終 了後 全例 の妊 婦 に助 産師 がマ ンツーマ ン形式 で面 談 ・保 健指 導 を実施 した。 所 要時 間 は一人 に対 し内容 に よって 個人 差 はあ るが 、5分 か ら30分 で あ る。 産科受 診 の妊 婦 に対 し、満 足度 につ い て平成14年 度2週 間ア ンケー ト調査 を実 施 し平成13年 度 と比較 検討 した。 調 査 法 は無記 名 で多 項 選択 法 と した。(対 象150名 回 収率87.3%) III結 果 予約時 間 の綿 密な設 定 によ り待 ち時 間 は短 縮 して い る。 平成14年 度 に実 施 した妊 婦健診 にお ける満 足度 調査 は満 足群81%、 助産 師 の保健 指 導 に対 す る満 足群85%と 高 値 を しめ し て い る。妊婦 健診 に満 足 してい る 中で助産 師 の保健 指導 に対 して、満 足95%や や 満足3%普 222 日本 助 産 学 会 誌 第16巻 第3号(2003.3)

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通2%と 保 健 指導 を不満 に思 ってい る人 はい なか った。保健 脂導 実施 の結果 、現在 の状態 を 把 握す るこ とが で きた59.3%、 注意 点が わか った47%、 助産 師 が親 しみや す くな り相 談で き るよ うにな った30、6%、 不安 が軽減 した26%、 疑 問 につ い て解 決 で きた18%な どの意見 が きかれ た。 また、妊 婦 自信 が現 状の把握 が で きた こ とよ り保 健 指導 内容 をいか して個 々の 生活 に組 み 入れ る様 子が面 談 を と うして実 感す るこ とが で きた。 さらに、看護記 録 をSOA Pで 記載 す る こ とに よ り個別 的 で継 続 した保 健 指 導 をす るこ とが で きた。 w考 察 従来 の妊 婦 健診で は、 医師 の診 療 が 中心 で あ り待 ち時 間が長 く診療 時間 が短い 中で 、質 問 も しに く く妊婦 が疑 問や 心配 を十分 に解 消 され ない でい た。 しか し、全例 に保健 指導 を実施 し助産 師 が妊婦 と医師の仲 介役 とな りスムー スに妊婦 の思 い を伝 える事 に よ り、妊 婦 は安 心 感 を増 す ことが出来 た。また 、予約 時 間の設 定 を変 えた こ とに よ り待 ち時間 が減少 した こ とも 満 足度 を高 め る要 因 に なっ た と考 え られ る。 村 上1)は 多 くの外 来利 用者 が不安 に思 うのは 、 順 調 に経過 してい て も 「それ でい いの よ」 とい う保証 が ない こ とで あ り、不満 に思 うのは 、 待 ち時間 が長 く診 療 時間 が短 い こ とや 診察 室の話 しづ らい雰 囲気 に対 して であ り、継 続 的 に 一貫性 を もって、親 しみや す く、時 間 をかけ てかか わ るこ とが 出来 るのは助 産師 で ある と述 べ てい る。診療時間が長 くなるにも関わ らず面談 を受けたいとい う妊婦が増えてお り、妊婦 の 情報 を把 握 す る事 は個 々の 生活 に そ った よ り充実 した ケア がで きる よ うに なっ てい る。 様 々な 問題 に よ り、助 産 師外来 を 開設 で きない現 伏の中で 、医師 と助産 師 はそれ ぞれ の専 門 性 を最 大 限に発揮 しな が ら連携 を取 り妊婦 に対応 してい る。妊 婦 の不安 を軽減 し満 足 で きる よ うにす るた めの援助 は多少 の時間 を費 した として も必 要不 可欠 な ものに なって くる と考 え られ る。妊 婦 が 自分 自身 の妊娠 経過 を理解 し、現 在 の健 康状 態の維 持 や増進 に向 けて生活 を 振 り返 り、不 安や 疑 問を感 じた時受 診行 動が 取れ る よ うにす るのが外 来助産 師 の役 割 で ある。 この様 に妊 婦 との 関わ りを深 め る事 は信頼 関係 がで き るだ けでな く、 自己 の解 決能 力 を高 め て行 く事 につ なが る。 一 貫 性のあ る看 護 を継 続 してい くた めには 、病 棟や 地域 の保健 師 との 連 携 を とる事 が必要 で あ り、妊 娠 、出産 、育児 を安心 して行 う事 に よ り、個人 の人 生 の達 成 感 に もっ なが り、私 達助 産 師 のや りがい感 を増す 事 に な る。 V結 論 1妊 婦 が 医 師 の 診 察 終 了 後 、 助 産 師 と マ ン ツ ー マ ン形 式 で 面 談 を 行 っ た 。 2妊 婦 が 自 分 自身 の 現 在 の 状 況 を 理 解 す る こ とが で き た 。 3妊 婦 が 不 安 や 疑 問 を 軽 減 す る こ とが 出 来 た 。 4待 ち 時 間 が あ っ て も 、 満 足 した 診 療 を 受 け る妊 婦 が 増 え た 。 5妊 婦 健 診 終 了 後 の助 産 師 に よ る面 談 は 、妊 婦 の 自 己 管 理 に 向 け た ケ ア に 有 効 で あ る。 VI文 献 1) 村上 明美: 21世 紀の助産婦外来,助 産婦 雑誌56(4)医 学書院,2002年 2) 室 田明美: 勤務助 産婦の更なるステ ップアップ。担 当助産婦が継 続ケア,助 産婦雑誌56(4)医 学書 院,2002年 一 般 演 題 (ポ ス タ ー ) 日本 助 産 学 会 誌 第16巻 第3号(2003.3) 223

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開 業 助 産 婦 の分 娩 介 助 時 の 工 夫

-先 達助産婦7名 のインタビューか

ら-岐阜医療技術短期大学看護学科 ○ 加 藤 直 子 I 緒 言 日本 の助 産 婦 に は正 常 分 娩 にお い て す べ て の 責任 が課 せ られ て い る。 しか し保 助 看 法 で は 助 産婦 に対 しい くつ かの 医療 行 為 を制 限 して い る。 した が っ て 日本 の 開 業 助 産 婦 は 、 そ の長 い歴 史 の な か で嘱 託 医 との協 力 関係 を大切 に しな が ら 自 らの 責任 に お い て 、知 識 と知 恵 を駆 使 し、 さま ざま な 工夫 を こ ら し分 娩 介 助 を行 っ て きた。 それ は 専 門 知 識 と確 か な技 術 を もっ た 心 強 い ドゥー ラ とな り分 娩 は 温 か く人 間 味 あ ふ れ る もの で あ っ た に ち が い な い。

1996年WHOは"Carein Normal Birth: a practical guide"の 中 で 近 年 の 産 科 医療 に 過 剰 な 医療 介 入 が な いか1つ1つ の ケ ア に つ い て科 学 的根 拠 を検 証 して い る。そ して 「21世 紀 の産 科 医療 はつ つ ま しい医 療 とあた た か い サ ポ ー ト」 だ と言 っ て い る。 私 は こ の報 告 書 を 手 に した 時 、 そ こに提 言 され て い る内 容 が 昔 か ら 日本 に あ る開 業助 産 婦 の 自然 の 経 過 を大 切 に す る助 産術 に近 い も ので は と感 じた。 そ こで 開業 助 産 婦 の助 産 経 験 に つ い て 聞 き取 り調 査 を実 施 し、 そ の 技 術 や 工夫 を知 る と共 に そ の 根 拠 を 考 察 した。 II 方 法 あ らか じめ 了解 の得 られ た 調 査 対象 者 の 自宅 に て 半構 成 的 面 接 法 で実 施 。 調 査 内 容 を 「分 娩進 行 へ の介 助(体 位 の工 夫 ・努 責 の時 期 ・薬 剤 の使 い方 ・浣腸 剃 毛)」 「会 陰保 護 」 「出血 へ の 対応 」「そ の他 の 注意 点 」の 項 目で分 類 した。調 査 期 間 は 平成13年7月 か ら8月 で あ っ た。 (調査 対 象) (年齢 順) 224 日本 助 産 学 会 誌 第16巻 第3号 (2003.3)

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III 結 果 ・考 察 結 果 ・考 察 ()内 イニ シ ャル は発 言 者 下線文字は考察 文献 分 娩進 行 へ の 介 助(体 位 の 工 夫 ・努 責 の 時期 ・薬 剤の 使 い方 ・浣腸 剃 毛 ・そ の他) 分娩 第1期 の始 め 頃は横 にな らない方 が進 行 は早 く(MKUH,SS)、 また腹 部 へ の温 湿布 は有 効 な陣 痛 を促 す (MK)。 体位 の変 換 で回旋 を矯 正 して い く(TA,MH)。 無理 な努 責 は 自然 の回旋 に悪 影響 を与 える(TS,TH)。 人 工破 膜 や分娩 第2期 の早 い時期 か らの努 責 は膣壁 裂傷 の原 因 とな る(TA)。"積 極 的 にい きむ時 間"を 最 小 限にす る事 は 母子 共 に有益 で あ る(TK,AI,TS)。 助産 婦 はいつ も傍 に いて産 婦 に心配 させ ない(TS,SS)。 分娩 進行 へ の介助 につ い ては 、そ の根 拠 が書 か れ た既 存 の文 献 が多 くあ った 。 会陰保護 妊娠 中か ら骨盤 底筋 を伸 ばす運 動 を してお くと裂 傷 が少 ない(AI)。また 会陰 を温 め ると伸展 が良 くな る(TK)。 排 臨 発露 で 自然 に会 陰 を伸 ばす よ うにす る。 内診 指 で会陰 を伸 ばす 事 は極力控 える(AI,TK)。 発露状 態 で2回 位 陣痛 を や り過 ご し、3回 目で娩 出 させ る と切れ な い(TA)。 ど うして も切 れそ うな場合 、膣 口の左 右 に5mm位 の切 開 を3つ 4つ いれ る と 自然 に治癒 し出血 もない(MK)。 会 陰保護に つ いて は 会 陰切 開の有 害性 は 明 らかに なっ てい るが温 湿布 の効 果 に つ いて の先 行 文献 を見 つ ける こ とが で きな かっ た。 出血 へ の 対応 緊急 時に備 え約 束処 方 があ り、薬 剤 ・氷 等準 備 してお く(AI,TA)。また 腹部圧 迫 がいつ で もで き るよ うに分娩 時 も 腹帯 をゆ る く着 け てお く(MK)。 大 出血時 、火 急 の対応 と して直接 子宮 を冷や す事 もあっ た(MK)。 薬剤 を投与 し双 合圧 迫等 緊急 対応 して か ら嘱 託 医に連 絡す る(AII)。点 滴 で補 液 がで きない 場 合は産婦 自身 が水 分 を欲す る よ うな濃 度 の濃 い飲 み 物 を与 え てお き水 を飲 ませ る(MK)。 その他 の 注意 点 取 り扱 う産 婦 に対 し注 意深 く選 定す る事 が大切 で ある(TA)。 産 婦 との人 間関係 も分 娩進行 に 大 き く影響 す る(SS)。 高度 な観 察力 の も と、異 常に移 行す ると予測 され る場 合は母 子共 に状態 が 良い うちに 、なるべ く早 く病院 に連 れ て 行 く(TA)。 1)2) 3)4) 5) 6) 1) 3)5) 2)3) 1)5) IV 結 論 調 査 内 容 か ら 「先 達 助 産 婦 の 技 術 や 工 夫 」 を 知 る 事 が で き た 。 そ の い くつ か は 先 行 文 献 か ら根 拠 づ け る こ と が で き た 。 V 文 献 1) 戸 田律 子 訳 「WHOの59ヶ 条 お産 の ケア 実践 ガイ ド」農産 漁 村文 化協 会 2) 北 井啓 勝 監訳 マ レー ・エ ンキ ン他 著 「妊娠 ・出産 ケ アガ イ ド」 医学 書院MYW1999年6月 3) 大 谷美 恵 子他 著 「助 産技 術 の考 察-開 業助 産婦 の聴 き取 り調査 を通 じて-」 大 阪府 立助 産 婦 学院 学 生研 究業 績 集1997年2月 4) 鈴 木誠 子他 著 「助 産 技術 の 考察-開 業助 産 婦 の聞 き取 り調 査 を通 じて-」 大 阪府 立 助産 婦 学院 学 生研 究 業績集1997年2月 5) 宮 里和 子他 著 「会 陰保 護 術 の科 学的 実証 を求 めて 」 助 産婦雑 誌Vol.44 No.11 1990年11月 6) 井上 裕美 他著 「過 去10年 間のお 産の リフォー ム・湘 南鎌 倉総合 病院 の取 り組 み-」助産 婦雑 誌Vol. 55 No.10 2001年10月 日本 助 産 学 会 誌 第16巻 第3号 (2003.3) 225

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助産所 におけ る会陰裂傷 の実態

国立公衆衛生院専攻課程看護コー ス13年 度 中 窪 優 子 国立保健医療科学院疫学部 〇 三 砂 ち づ る I 緒 言 WHOの 「正 常産 のケ ア:技 術 的指 針」 では 、会陰切 開 の多用 は有 益 な効果 は ない こ とを 示 してお り、実施 率20%を 越 え るべ き ではな い と報 告 され て い るが1)、現 在 も 日本 の初産 婦 の約30∼100%、 経産 婦の約10∼70%に 会 陰切 開が実 施 され てい る2)。会 陰切 開 は胎 児仮 死 対応 な どの理 由以外 に も慣 例 的理 由 と して高度会 陰裂 傷(発 生率=0.4%)の 予防 の た め とも 言 われ てル テ ィー ン化 した。これ らの 「証拠 に もとづ か ない」ル テ ィー ンケア に よ る問題 は、 む しろ多 くの女 性の健康 を損 ねかね ない と考 えたた め、 まず は今 回 、会 陰切 開 しない 助産 所 での 会 陰裂 傷 の実 態 を 明 らか にす る こ とを 目的 に調 査 を実施 した。 II方 法 1対 象:都 内 の開 業助 産所1施 設 1)2001年9∼12月 に 正常 分娩 した妊 産 褥婦(71名) 2)同 期 間内 に 直接 分娩 介助 した助 産 師(3名) 2デ ー タ収集 方 法 1)産 科学的 デ ー タ:助 産 所の診 療記 録 よ り収集2)妊 産 褥婦:分 娩体 験お よび裂 傷の 不快 感 や 予後 につい て 、産 後2週 間 以 内 に構成 的 質 問票 を用 い て面 接 を行 った。 3)直 接 介 助 の助 産 師:会 陰 伸 展へ の対 応 等 、半構 成 的質 問 票 を用 い て 面接 を行 っ た。 4)対 象者 へ の倫理 的配慮:全 対象 者 に対 し研 究依頼時 に、研 究 の主 旨 ・守 秘 義 務 ・発言 者 を特 定 で きない よ うにす る こ とを説 明 し調 査 の 同意 を得 た。 3分 析方 法:Epi info2000を 用 い て 単純 集 計お よび各 項 目の ク ロス集 計 ・x2検 定 を行 っ た。 面接 中に得 られ た 自由発言 は分析 時の補 足的 な 質 的デ ー タ と して使 用 した。 III結 果 1対 象(妊 産褥婦)の 背 景 と会陰裂 傷 の程度:回 答 率98.6%、71名 の うち裂 傷群 は13名 (18.3%)、 無 傷 群 は58名(81.7%)、 会 陰裂 傷 の程度 は全 例 会陰 裂 傷1度 で あ った 。 2 会 陰 裂傷 の不快 の程 度 分娩 後数時 間 の会 陰裂 傷の疼痛 の程度 につい て 「痛 い 」 と回答 した者 が4名(36%)、 「痛 くない」 が9名(64%)で あった。 また 、各対 象 が不快 を感 じな くな るまで に必 要 な期 間は 226 日 本 助 産 学会 誌 第16巻 第3号 (2003.3)

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平均48日(範 囲 は1∼10日)で あ った。 困難 さを感 じた生活 動作 は、排 尿 時:46%、 排 便 時:31%、 シャ ワー 時:15%、 授 乳 時:8%で あ った。 また 、動静 では 半数 以上が 困難 さを感 じてい た が 、 「正座 がつ らか った」 な どで あ った。 睡 眠 に支 障 が あ った者 は い なか っ た。 3 裂 傷群 と無 傷群 の 比較 妊娠 中の増加 体重 別 に裂 傷の有無 を比較 す る と、13kg以 上 の裂傷 群 が4名(5τ1%)な のに 対 して無傷群 が3名(42.9%)と 、13kg未満 の者 と比べ て裂 傷の発 生率 が高か った(P=0.04)。 ま た、分娩 体位 を 自分 で選 択 したか ど うか と裂 傷の有無 に 関 して両者 に 関係 性 が認 め られ た (P=0.03)。また、排 臨発 露 で会 陰の伸展 を感 じたか どうか と裂 傷の有 無 に関 して両者 に統計 学的 な差 は認 め られ なか ったが(P=0.14)、 割合 でみ る と裂 傷群 で会 陰の伸 展 を感 じた者 は9 名(15.3%)、 無傷 群 で会陰 の伸展 を感 じた者 は50名(84.7%)で あ り、会 陰の伸 展 を感 じ た者 は裂 傷発生 の割 合が若 干少 なか っ起 また 、妊 娠 中に あ ぐらの姿 勢 を行 って い る者 は裂 傷 の発生 が低 か った(R=0.4)。 分 娩 介助者 へ の面接 では、 「リラ ックス、介 助者 に よる呼吸 な どの誘 導、本 人 の姿勢 、室温 を調 整す る と産婦 の身 体 が開 く」 とい った発言 が得 られ た。 IV考 察 1会 陰 裂傷 の発 生率 と予後 につ いて 本 調査 の結果 、会 陰裂 傷の発 生は18.3%で あった。これ を病産 院で産 後 に会陰 に傷 を有 す る割 合 だけ につい てみれ ば、今 回の会 陰裂傷 発生率18.3%は それ だ け産 後 に不 快 を感 じる褥 婦 が相対的 に少 な いので はない か と考 えた。 また 、今 回 は全 例会 陰裂 傷I度 で あ り、高度 会 陰裂 傷 の発生 はみ られ てい ない。 会 陰裂傷 の予後 につい ては、痛 み か ら回復 を要す る期 間 は 平均4.8日 で 、面接 時 の産後約2週 間で は 目常生活 に影 響 して いない ことか らも予 後 は良い と考 えた。また 、体重 増加 が13kg以 上で あ る場 合、裂傷 の発 生 は多 くな る こ とが示唆 され た。 2 会 陰 裂傷 の有 無 に 関連 す る助 産 ケ ア 分娩 体位 を 自分で 選択 したか ど うか と裂 傷 の有無 に関係 性 が認 め られ た理 由 と して 、ケア 提 供者 に よる事前 の情報 提 供 と、「こ うい う姿勢 で産み たい」と感 じられ るよ うな リラ ックス した 出産 環 境 を作 り出 した こ とが 裂傷 発生 の少 な さにつ なが っ た可能 性が あ る とい え る。 V結 論 1.今 回、高度裂 傷予 防 のた めの会 陰切 開が され な くて も産婦 は安全 で安楽 に経過 してい た。 2.産 婦 が会 陰 の伸 展 を感 じる と裂傷 は少 な くな る傾 向 が ある。 そ のた めには産婦 の気持 ち に添 う姿勢 でサポー トし、産婦 自身 が体の変化 に気付 くよ う援 助 す る ことが重要 で ある。 3.自 分 で分 娩 姿 勢 を決 定 し、 そ の姿勢 で 分娩 した者 は裂 傷発 生 の割 合 が 少 な い。 4.骨 盤底 筋 を予 め柔 軟 に して お くこ とや 体重 増加 管 理 の重 要 性が 再確 認 で き た。 VI 文 献 1) 戸田律子(訳)(1997).WHOの59力 条 お産のケア実践ガイド121-121.東 京,農文協 2) 河合蘭 (2001).お産選びマニュアル.172-179.東京,農文協 日本助 産 学 会 誌 第16巻 第3号 (2003.3) 227

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分 娩 時 の 会 陰 部 損 傷 に よ る後 遺 症 の 比 較 に 関 す る研 究

-産 褥早期における会陰切開術を受けた褥婦 と第二度会陰裂傷 とな った褥婦

の産後の後遺症に焦点をあてて-東京都立保健科学大学 ○ 島 田 真 理 恵 I緒 言 会 陰 切 開 術 は 、病 院 で の 経 膣 分 娩 時 に ル チ ー ン の 処 置 と して 行 わ れ て い る こ とが 多 い 。 こ れ ま で 会 陰 切 開 の 効 果 検 討 に 関す る研 究 が 数 多 く行 わ れ て い る が 、 そ の効 果 は 検 証 され て い な い 。 ま た 、 会 陰 切 開 を受 け た 褥 婦 と裂 傷 とな っ た褥 婦 の 産 後 の 後 遺 症 に 関 す る比 較 調 査 で は 、 裂 傷 群 の ほ うが 、 産 後 の 後 遺 症 が軽 度 で あ る こ とが 報 告 され て い る1)2)。 これ ま で の研 究 で は 、 裂 傷 群 は 第 ∼ 度 お よび 第 二 度 裂 傷 の 者 が 混 在 した集 団 で あ り、 対 照 群 で あ る切 開 群 と は会 陰 損 傷 の 程 度 が 軽 度 で あ り、後 遺 症 に差 が 生 ず る こ とは 予 測 で き うる と も 考 え られ る。 本 研 究 で は 、 会 陰 切 開(正 中 側 切 開)を 受 け た 褥 婦 と損 傷 の 程 度 が 同 程 度 で あ る第 二 度 会 陰 裂 傷 とな っ た 褥 婦 の 後 遺 症 に は 、 差 が あ る の か ど うか を 明 らか に す る こ と を 目的 とす る。 II方 法 研 究 対 象 は 、 首 都 圏 に位 置 す る総 合 病 院 お よび 産 院3施 設 で 正 期 産 で 経 膣 分 娩 し、 会 陰 切 開 を受 け た 初 産 婦 な らび に 第 一 度 、 第 二 度 裂 傷 と な っ た 初 産 婦 と した(第 一 度 裂 傷 の 褥 婦 の デ ー タ も比 較 対 象 と して 必 要 と考 えた)。 本 調 査 は 、 平 成13年6月 ∼9月 に行 っ た 。 分 娩 時 デ ー タ は 、 入 院 カ ル テ よ り情 報 を 得 た 。 産 褥 期 の 後 遺 症 に 関 す るデ ー タ収 集 は 、 研 究 者 が 作 成 した褥 婦 に 対 す る 自記 式 質 問 紙 を用 い て 行 っ た。 産 褥4、5日 目の 褥 婦 に調 査 に 対 す る説 明 文 書 を 提 示 しな が ら、 目的 、 内 容 、 倫 理 的 配 慮 等 を 説 明 し、 承 諾 の 得 られ た 者 に 質 問 紙 を 配 布 した 。 分 析 は 、 統 計 ソ フ トSPSSを 用 い た 。 III結 果 ・考 察 対 象 者165名 の うち 、 有 効 回 答 を得 られ た の は 、147名(89%)で あ っ た 。 有 効 回 答 者 の 内 訳 は 、第 一 度 裂 傷 とな っ た者43名 、第 二 度 裂 傷 とな っ た 者32名 、会 陰 切 開 を受 け た 者71 名 で あ っ た 。 1)対 象 の 背 景 対 象 の 褥 婦 の 平 均 年 齢 は28.0歳 で あ り、 児 体 重(平 均3137g)児 頭 囲(平 均33.7cm)、 1分 後 ア プ ガ ー ル ス コ ア(平 均8.8点)、 分 娩 時 出 血 量(平 均420g)な ど に3群 間 の 有 意 差 は 認 め られ な か っ た 。 分 娩 所 用 時 間 の 平 均 値 は11.6時 間 で 、3群 間 に有 意 差 は な か っ た 228 日本 助 産 学 会 誌 第16巻 第3号(2003.3)

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が 、 分 娩II期 所 用 時 間 に つ い て は 、 切 開 群(66.5分)は 裂 傷 群 の2群(第 一 度 裂 傷 群:97.9 分 、 第 二 度 裂 傷 群97.3分)と 比 較 して 有 意 に短 時 間 で あ り、 約30分 の 短 縮 が 認 め られ た 。 2)会 陰 損 傷 の 痛 み(違 和 感 含 む)の 認 識 に つ い て 各 群 に お け る 分 娩 当 日か ら1日 目、 さ らに3日 目の 推 移 を ビジ ュ アル ア ナ ロ グ ス ケ ー ル で 示 して も ら っ た 結 果 で は 、切 開 群 は 分 娩 当 日か ら1日 目に か け て の 痛 み の 自覚 に 変 化 が 認 め られ な か っ た が 、 裂 傷 群 は と も に 痛 み の 認 識 が 有 意 に 軽 減 して い た(表1)。 痛 み は 対 象 者 そ れ ぞ れ の 主 観 に よ る と こ ろ が 大 き い が 、切 開群 は 、同程 度 の損 傷 で あ る第 二 度 裂 傷 群 よ り、 分 娩 翌 日に お け る痛 み の 軽 減 を感 じに くい 傾 向 が あ る こ とが 推 測 され る。 3)会 陰 損 傷 に よ る 産 後 の 生 活 で の 支 障(産 褥4,5日 目に お け る 支 障) 産 後 の 日常 生 活 の 支 障 を ポ イ ン トで 示 して も らっ た(1点:支 障 あ り、2点:ど ち らで も な い 、3点:支 障 な し)結 果 で は 、 会 陰切 開 群 は 、 第 一 度 裂 傷 群 と比 較 し、 立 っ た 姿 勢 か ら 座 る動 作 、 お よび 睡 眠(安 静 に 臥床 して い て 気 に な る)に 関 し、 支 障 を生 ず る度 合 い が 有 意 に高 か っ た 。第 二 度 裂 傷 群 は そ の 中 間 で あ り、切 開 群 との 有 意 差 は認 め られ な か っ た(表2)。 この結 果 よ り、第 二 度 裂 傷 群 と切 開 群 の 生 活 上 の 支 障 に そ れ ほ ど差 が な い こ とが 考 え られ る。 IV 結 論 会 陰切 開 術 を受 け た 褥 婦 と第 二 度 会 陰 裂 傷 とな った 褥 婦 の産 後 の後 遺 症 に 差 が あ る の か ど うか を 明 ら か に す る た め に調 査 を行 っ た。 そ の結 果 、 産 褥 早 期 の 創 部 痛 の 推 移 にお い て は 、 第 二 度 裂 傷 群 の ほ うが 分 娩 翌 日に お け る痛 み の減 少 の 自覚 が 有 意 に強 か っ た が 、 日常 生 活 上 の支 障 に つ い て は 、 両 群 に 有 意 差 は 認 め られ な か っ た 。 これ らの 結 果 か ら 、 第 二 度 裂 傷 群 は 切 開群 と比 較 し、 産 褥 早 期 に お け る創 部 痛 の 軽 減 感 覚 は 強 い も の の 、 日常 生 活 の 支 障 に 関 し て は あ ま り差 が な い こ とが推 測 され た 。 V 引用文献 1) 大久保功子他: 会陰部の損傷による産後の 日常生活への支障, 日本助産学会誌,14(1), 35-44, 2000 2) 山崎 いつ子他: 会陰切開を しない出産のために, 助産婦雑誌, 48(2), 53-58, 1994. 表1.会 陰損 傷 の痛 み(違 和 感)の 推 移 注:各 産 褥 日数 の 群 間 の 有 意 差 は な し **:p<0.01 表2.日 常 生 活 上 の 支 障(産 褥4,5日 目) 日本 助 産 学 会 誌 第16巻 第3号 (2003.3) 229

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沖 縄 地 域 に お け る 産 後 の 伝 統 的 慣 習 に つ い て

-産 後の慣習 「

ジール(地

炉)」にみる地域比較-東邦大学医学部看護学科 ○ 鈴 木 琴 子 I緒 言 現 代 の 日本 を含 む先 進諸 国で は、妊 娠 ・出産 は 医療 に よっ て管理 され て お り、安 全 に産 む た めの行 動 の指針 とな るのは医 学 とい う科 学 の結果 よ るもので あ るの は、周 知 の事 実 で あ る と思われ る。 一方 で 、現代社 会 の 中で も、わ が国 の例 を あげ る と妊 娠 中の腹 帯す る こ とで あ る とか、 さま ざま な言 い伝 え を信 じる こ とな ど伝 統 的 な慣 習 も息 づ い てい る1)。 過去 にお い て出産 とい う行 為み る と、そ の ほ とん どが 家庭 でお こなわれ てお り、 日常生活 の 中で の行為 で あった。 そ して 、妊娠 中 ・産後 の食 事や 行動 上 の タブ ーな どの様 々 な慣 習 が それ ぞれ の社 会 に固有 の生活 様 式 として存在 して いた。 ま た、途 上 国 な ど今 だ伝 統 的 な生活 観 の残 る社会 にお いて は、 出産 にか かわ る慣 習 は 、現 在で も根強 く残 され て お り、行 動 規範 として機 能 してい るこ とが認 め られ てい る。筆者 が 、1989年 に タイ 山岳 民族 リスの フ ィール ドワークで をお こな った際 に も、産後 に食 事 の制 限 を行 うこ とや 産褥 の期 間 を定 め 、そ の期 間 中の行 動 を規制 す る伝 統 的 な慣 習 が あ り、必 ず実 施 され てい た。 また施 設 な どで 出産 した 場 合で も同様 に行 われ て い る こ とが 明 らか に され た2)。 しか しなが ら、 医療 ケア を実行す るに側 おい ては 、伝 統 的 にお こなわれ て きた慣 習 にっ い て は、そ の ほ とん どが科 学 的で はな い と して 、重要 視 して いな いの も現状 で あ る。 また 、 ほ とん どの民 俗史 におい て も、歴 史 を記 録す る 目的 のた め、伝 統的 慣習 は その社 会 に語 り伝 え られ た事 実 の記載 が主 体 とな ってい る。 その ため 、そ の対象 とな る個 人 が、 そ の慣 習 を実 際 に 日常生 活 にお いて どの よ うにお こな っていた の か とい う詳 細 な内容 は 、 ほ とん ど記 録 され て い ない とい う状 況 であ る。 筆者 は、伝 統的 な慣 習 を聞 き取 り、分析 す る こ とに よっ て、 医療 ケア の なか った状 況 にお い て どの よ うに して妊 娠 ・出産 とい う一種 の危 機的 状況 を回避 した のか とい うこ とが理 解 で きるの では ない か と考 え る。 伝統 的 慣習 を、歴 史お よびそ の社会 の属 す る環境 の 中で培 われ た 一っ の ケ ア方 法 とみ る こ ともで き るの で はな い か とい う視 点 に基 づ くも ので あ る。 本 研 究で は、沖縄 地方 に広 く伝承 され て きた 「ジ ール(地 炉)」 とよばれ てい る 「産後 に母 体 を温 め る慣 習」 に着 目 し、 フィ ール ドワーク を通 して伝統 的慣 習 の再 構築 を行 うこ とを 目 的 とす る。 「産 後 に母体 を温 め る習慣」 とは、産 後 の母親 が火 の側 で 一定 の期 間過 ごす とい う 慣 習 で あ り、現在 の 日本 で は全 くみ られ ない が、過 去 にお いて 特 に奄美 群 島 か ら琉 球 ・八 重 山地 域 にか けて集 中 して記 録 され て い る慣 習 で あ る3)4)。 今 回 は、沖縄 全地 域 を対 象 に、そ 230 日本 助 産 学 会 誌 第16巻 第3号 (2003.3)

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の 民俗 的呼称 お よび方 法 につ いて 、地 域的 に異 な って い る ことが示唆 され た ので報 告す る。 II方 法 2002年 まで に沖縄県 内の 自治体 か ら出版 され てい る 「市 町村 史」 「字 史」 を もとに、産 育 にかかわ る項 目を抽 出 した。 それ らに2002年3月 に沖縄 本 島お よび8月 に波 照 間島 にて複 数 のイ フォ ーマ ン トを得 て行 った聞 き取 り調 査 の結果 も含 めて、 その呼称 ・方 法 につ いて 分 析 を行 っ た。 III結 果 お よび考 察 沖縄 の各 地域 にお い て、「産後 に母 体 を温 める慣 習 」が沖縄 全 地 域にみ られ る こ とがわ か っ たつ ま た、その行 為 につい て の民俗 的呼称 は 「ジール(地 炉)」 とい うだ けでは な く、サ シカ (石垣 島)な どの 呼称 があ る こ とがわ か った。 慣 習が 実際 にお こな われ た 時期 では 、地 域に よって全 く異 な ってお り、例 えば、那覇 で は昭和20年 代 には ほ とん ど行 われ てな くな った が、 国頭や 波照 間 な どの離 島で は、昭和40年 代 まで行 われ てい た こ とが認 め られ た。 さ ら に 「ジール(地 炉)」の基 本的 な方法 は、同 じ形式 を とる ものの、そ の作 り方 、行 う期 間 、薪 と してつ か う植 物 な どが地域 に よって異 な る こ とが明 らか とな った。 また、 この慣 習 を行 っ た理 由 として 、 「腰 が痛 くな らない様 に」や 「産褥 熱 を予防す るため」とい った ことが聞 き取れ た。 地域 に よ る呼称 や 利用す る植 物 の差異 は、生活 様式 として 、その地 域 に固有 の社 会状 況や 環 境 に影 響 され るため と考 え られ る。 そ うい った意 味で は、慣習 とは伝 え られ た現 象 とい う だけ では な く、歴 史 的 に生態学 的 にそ の社 会 の中 で経 験的 に選択 され た 、一っ の方 法論 とい え るもの と考 え られ る。 さらに、助産 学 的な視 点 にお い て もそ の妥 当性 を評 価す る必 要性 が あ る。 IV 文献 1) 松 岡悦 子 出産 の文 化人 類 学 一産婆 と儀 礼-海 鳴社1991 2) 鈴 木琴 子 タイ 山岳 民族 リスの 産 育 慣習 と出産 民 族 衛 生 Vol.61 No.61995 3) 池 浩 三 祭儀 の空 間 そ の 民俗 現象 の諸 相 と原 型 相 模 書房1979 4) 小 島理 禮 琉 球 学 の視 角 柏 書房1983 日本 助 産 学 会誌 第16巻 第3号(2003.3) 231

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WHO/ユ

ニ セ フ 「

母 乳 育 児 成功 の た め の10か

条 」 の

実践 をめざす分娩 当 日同室の有効性 について

国家公務員共済組合連合会 東北公済病院7階 南病棟

○山田

志枝

佐藤

梅子

豊島紀代子

I緒 言

昨年 当院 はBabyFriendly Hospita1の 認 定 を受 け る ことを 目標 に 、WHO/ユ ニセ フ が推進 す る 「母乳 育児成 功 のた めの10か 条 」を実践 す る こ とにな った。そこで5%ブ ドウ糖水 を与 えな い よ うにす る こと、分娩 当 日か ら母 子 同室 を行 うこ とが課題 とな った。 この2点 を実施 す る にあ た り、分 娩 直後 か らの母 の疲 労度 や児 の発 熱 や黄 疸 の増加 が懸 念 され 、 また母 の疲 労 が児 へ の 感 情や 母乳率 に悪影 響 を与 え るのでは ない か と考 えた。そ の ため極 力母 乳以 外 を児 に与 えず に 分娩 当 日か ら母 子 同室す る ことは可能 か ど うか 、ま た分娩 当 日の 同室 が母 の疲 労感 や児 へ の感 情 に どの よ うな影 響 を与 え る のか調 査 を行 った の で報 告す る。 II方法 【調査 内容 と方 法 】児 の生理的 体重 減少 の程度 、発 熱 の頻度 、黄 疸 で光線 療 法 を必要 と した児 の頻 度につ いて はカル テ調査 を行 った。 また母親 の疲 労感 、児 へ の感情 に関す る調 査 は質 問 紙 に よ る調査 とし①②、 分娩2時 間後 と毎 日午前 中に記入 して も らい退 院 時 に回収 した。 分析 はSPSSを 使 用 し、検 定 の有 意水 準 は5%と した。 【調 査 で採 用 した 測定 尺度 】① 日本 産 業衛 生学 会産 業 疲労研 究 会編 「自覚症 状 調べ 」;1群 は眠 気 とだ る さ、II群 は 注意集 中 の 困難 、 III群は身 体 部位 へ の投射 を表 し、 それ ぞれ10項 目で構 成。 ②花 沢成 一 式 「対児感 情評 定尺 度」;児 へ の感 情を接近 得点 、回避 得 点、拮 抗指数 に分 けて算 出。 【対 象 】翌 日同室群:2001 年8∼9月 に 出生 し、産褥1日 目か ら同室 した母 子50組 、ブ ドウ糖 水 を 出生8時 間 後 よ り3 時間 ご とにス プー ンで哺 乳 した。 当 日同室群:2002年3∼5月 に出生 し、分 娩直 後 か ら同室 した母 子53組 、原 則 的 にブ ドウ糖水 を与 えない こ とに した。 両群 とも分 娩 時 出血 量 は5009 未 満 で分娩2時 間後 に歩行 し、平均年 齢 、分娩 歴 、在胎 週数 、 分娩様 式、児 の平 均 出生 時体 重 に差 は なか っ た。 III結果 1.直 接授 乳回数 とブ ドウ糖 水追 加量:当 日同室 群 では直 接 授乳 回数 は産褥2日 目9 .53回 、産褥 3日 目9・63回 と、1日2回 以 上増加 し、 当 日か ら2日 目まで のブ ドウ糖 水 追加 量 は40cc程 度 減 少 した。2・ 児 の体 重減 少:両 群 と も産褥2日 目におい て最 も減 少 した。 減少 率 は 翌 日同室 群-6.2%±1.9、 当 日同室群-6.7%±1.4で 、そ の後 は大差 な く経過 した。3 .児 の発熱 と黄 疸 出現 の頻 度:37.5℃ 以 上 に熱 が 上が った児 は 、翌 日同室群9名 に対 し、当日 同室 群23名 と多 232 日本 助 産 学 会 誌 第16巻 第3号(2003.3)

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く見 られ た。 しか し入 院 中に医学 的 な治 療 を必要 と した児 はい なか った。 ま た、黄疸 が 出現 し た児 の人数 に差は なか った。4.疲 労度:両 群 ともI群 が2.37∼4.42ポ イ ン トで一番 高 く、III 群(1.4∼1.94ポ イ ン ト)II群(0.34∼1.04ポ イ ン ト)の 順 に低 くなって いた。 また1日 目の II群(注 意 集 中の 困難)に おい て、当 日同室群 の方が0.55ポ イ ン ト低 かった。5.対 児感 惰 【接 近得 点 】翌 日同室群 が32.26ポ イ ン トで1日 目に2.41ポ イ ン ト高 かった が、 その後 差 は無 く、 ほぼ横 ばい で経 過 した。【回避 得 点 】当 日同室群 が 当 日5.35ポ イ ン トで1.58ポ イ ン ト高か った が 、産褥3日 目よ り徐 々 に減 少す る傾 向 が見 られた。翌 日同室群 はほ ぼ横 ば いで あった。【拮 抗 指数 】当 日同室群 がや や高い傾 向に あった が、徐 々 に減 少 して い く傾 向 にあ った。6.母 乳率: 当 日同室 群 の ほ うが3週 検 診 時84.6%で7.5%、1か 月検 診 時86.4%で1.9%高 か った。 IV考 察 以上 の結果 か ら、児 に母乳 以外 を原則 与 えず に母 子 同室 を分娩 当 日か ら行 うこ とは可能 であ り、 また母子 同室 が早 ま る ことで直接授 乳 回数が増加 し、 当 日同室群 におい て母乳 率が上 昇す る傾 向 にあ っ たの で は ない か と考 え られ る。 また 分娩 当 日同室 群 の方 が疲労 度 は低い傾 向 にあ り、両 群 ともに精 神 的作 業に よ る疲労 パ タ ー ンを示 してい た こ とか ら 、児 を預 か る看護 で はな く、分娩 直後 か らの母 子 同室 を十分 にサ ポー トで き る看護 を検討 してい く必 要 が あ る。 分 娩 当 日同室群 の ほ うが初 め は児 を拒 否す るよ うな感情 を抱 いて いた が、経日 的 に児 に対す る否 定 的な感 情や葛 藤 は減少 してい く傾 向にあ った。 母 親 としての成 長過程 の中で 、出産 後1 ∼2日 目の褥 婦 は依 存 的で 自分 に必要 なセル フ ケアで精 一杯 の時期(受 容期)で ある とい われ てい る4)。その ため分 娩 当 日同室 群 は、出産直 後か ら児 と「 緒 にい る ことに とま どい を感 じるも のの 、授 乳 な どの児 との接触 よ り、 スムー ズに母親 としての成長 過程 を進 む こ とが で きるの で はない か と考 え られ る。 また同時 に児 に対 す る否定的 な感 情を減 少 させ るた め、児や 育児 につ いて の事 前 教育 を充実 させ る必 要 が あ る。 V結 論 1.児 に母 乳 以外 を原 則 与 えず に母 子 同室 を分 娩 当 日か ら行 うこ とは 可能 であ り、直接 授乳 回数 を増加 させ 、母 乳率 の 上昇 につ なが る可 能性 が あ る。 2.当 日同室群 が精神疲 労 パ ター ンを示 してい た ことか ら、児 を預か る看護 で はな く、分 娩 直後 か らの 母子 同室 を十 分 に サポ ー トで き る看 護 が 必要 で あ る。 3.分 娩 当 日か らの 同室 は母親 と しての成長 過程 を よ りス ムー ズ に進 ませ る可能 性が あるが 、分 娩 当 日同室 群 が児 に対 して少 なか らず 否定的 な感 情を持 っ ていた こ とか ら、新 生児 の生理 や 育 児 につ いて の事 前 教 育 を充 実 させ る必 要 が あ る。 VI文 献 1)労 働基準調査会:産 業疲労ハン ドブック 日本産業衛生学会 ・産業疲労研究会 編P164-1751988. 2)WHO/ユ ニセフ:母 乳育児の保護、推進、支援 母乳育児成功のために 3)花 沢成一:母 性心理学 医学書院p65-70 4)系 統看護学講座 専門23:母 性看護学2母 性看護学各論 医学書院P340-3421997 日本 助 産 学 会 誌 第16巻 第3号(2003.3) 233

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バ ング ラデ シ ュのICMH(Institute

of Child and Mother Health)

に おけ る母乳 育 児 セル フヘ ルプ グ ル ープ が母 親 に もた らす 変 化

-ICMHで

母乳育 児セル フヘ ルプグル ープ立 ち上げ に関わ

って-日赤看護大学院修士課程 久 保 伊 都 子 I諸 言 筆 者 は1996年 にバ ン グ ラデ シ ュ母 乳財 団 の 要 請 に よ り、 現 地 の 医 師 及 び 助 産 師 に桶 谷 式 手 技 を広 く紹 介 す る とい う機 会 に恵 まれ た 。 バ ン グ ラデ シ ュの 乳 児 死 亡 率 は人 口千 に対 して 58(1999年)で あ り、乳 児 が人 工栄 養 に よ り下 痢 を起 こ し死 亡 して い る状 況 が 生 じて い る。 バ ン グ ラデ シ ュで 完 全母 乳 が少 な い理 由 と して 、女 性 た ち の90%が 自宅 出 産 で あ る た め 、「赤 ち ゃ ん に優 しい 病 院 」等 の 指針 が 国 内 の隅 々 に まで 行 き渡 って い ない こ とが挙 げ られ て い る。 近 年 国策 と して 母 乳 育 児 の推 進 を 図 っ てお り、ICMHな どにお い て も 医療 者 の た め の 母 乳 に 関す る研 修 が 盛 ん に 企 画 され て い る。 しか しそ の方 法 は 医 師 や 助 産 師 か ら母 親 へ の 母 乳 カ ウ ンセ リン グ とい う個 別 的 な 対応 で 、母 親 同士 の学 習 の場 や 交 流 の場 が な い こ と を知 った 。 そ こで母 乳 育 児 を体 験 して い る母 親 が 、相 互 交 流 を しなが ら母 乳 育 児 につ い て学 び あ え る よ う な(セ ル フヘ ル プ グル ー プ)企 画 を立 案 した。本 企 画 は 、現地 の助 産 師Fの 協 力 を得 て 行 い 、 そ こ に参 加 した母 親 に どの よ うな 変 化 を もた らす か を 目的 に研 究 を 行 っ た の で 報 告 す る。 II方 法 1.研 究 デ ザ イ ン:ア クシ ョン リサ ー チ

2.研 究対 象:ICMHのLMC(Lactation Management Center)で 開催 され るセ ル フヘ ル プ グル ー プ に参 加 したバ ン グ ラデ シ ュの 乳児 を持 つ 母 親3名(SH、AC、JA)と 、母 親 に 関 わ った 助 産 師1名(F助 産 師) 3.調 査期 間:予 備 調 査 と して2001年3月11日 か ら25日 迄 の14日 間 バ ン グ ラデ シ ュ の ICMHを 訪 れ 、母 乳 育児 の援 助 の実 態 を調 査 した。6月 ∼7月 に か け てF助 産 師 と連 絡 を取 り合 い 、母 乳 育 児セ ル フヘ ル プ グル ー プ の 企 画 に つ い て の 準備 を行 い 、7月26日 に バ ン グラ デ シ ュ を訪 れ 、F助 産 師 と共 同 でセ ル フヘ ル プ グル ー プ を立 ち上 げ た。 グル ー プ で の 話 し合 いはF助 産 師 に ベ ンガル 語 を英 語 に通 訳 して も らい、6名 の参 画 状 況 を観 察 した 。 翌 日協 力 の 得 られ た3名 の母 親 の所 感 をイ ン タ ビュー した。1ヶ 月半 後 の9月 に 、母 親 の 変 化 を知 る た め に再 度 バ ン グ ラデ シ ュ を訪 れ イ ン タ ビュー を行 っ た。 又 、セ ル フヘ ル プ グル ー プ に参 画 したF助 産 師 に も イ ン タ ビ ュー を行 った 。 4.分 析:セ ル フヘ ル プ グル ー プ の 開催 の場 面 と、2回 の イ ン タ ビ ュー の情 報 か ら、 母親 の 変 化 の 内 容 を分 析 した 。 234 日本 助 産 学 会 誌 第16巻 第3号(2003.3)

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III結 果 セ ル フヘ ル プ グル ー プ 参加 メ ンバ ー の3名 の うち1名(SH)は 当初 か ら母 乳 栄養 で あ っ た。 2名(AC、JA)は い ず れ も 自宅 分 娩 で あ り、周 囲 に適 切 な指 導 者 が い な か っ た こ とか ら、 母 乳 に つ い て の 知識 が な く混 合 栄養 で あ っ た。 しか しセ ル フヘ ル プ グル ー プ に参 加 後 、 完 全 母 乳 に移 行 して い た。3名 が母 乳栄 養 が継 続 で きた 理 由 と して 、相 互 の話 し合 い を通 して母 乳 栄 養 の 意 義 が認 識 で きた とい うこ とが あ る。 そ して 母 乳 育 児 が で き る こ とで 、周 囲 の人 々 に そ の努 力 が 認 め られ 、 か つ評 価 され た こ とで 自信 に結 び つ い て い っ た。 ま た周 囲 の 人 々の 評価 は夫 の喜 び とも な って い った 。ACとJAの 夫 は 妻 の 育児 に 協力 的 とな り、JAの 夫 は妻 の体 験 を多 くの 友 人 達 に語 り、 妻 の母 乳 育児 を助 け る よ うに助 言 を始 め て い た。3名 は 自分 の 体験 を通 して地 域 で 乳 児 を持 つ 母親 に母 乳 の意 義 を伝 え、努 力 す る必 要 性 を伝 えて い っ た。 他 に妊 婦 やLMCに 定 期 的 に通 っ て来 る他 の母 親 に も母 乳 育児 実 践 者 の立 場 か ら支 援 を行 っ てい た。 更 にLMCに 通 院 す る母親 同 士 が相 互 に話 し合 い 支 え あ え る よ うな グル ー プ の リー ダー役 も果 た してい た。彼 女 達 を通 してF助 産 師 は母 親 た ちが 自由 に話 し合 う場 を もつ こ と の重 要 性 に気 づ き、 母 親 の グル ー プ で の話 し合 い を度 々企 画 す る よ うに な っ て い っ た 。 IV考 察 今 回 の企 画 に参 加 した母 親3名 は10∼15歳 とい ず れ も早婚 で あ り、教 育 も十 分 に 受 け る こ とが で き な か った 人 々で あ る。 夫 以 外 の人 達 とは身 近 に話 す 機 会 の な か った 母 親 が今 回 の グル ー プ に参 加 し、 同 じ母 乳 育 児 につ い て悩 ん でい る仲 間 の存 在 を知 り、 自 らの 工 夫 を紹介 し、 参加 者 の助 言 と励 ま しに よ って 完 全母 乳 に切 り替 え る とい う変 化 が認 め られ た 。 そ の 背 景 に は母 親 同 士 の 自由 な話 し合 い が 、 母乳 育 児 の体 験 を生 か した多 くの知 識 や 情 報 を提 供す る場 とな っ た こ とが考 え られ る。 コー ラ ンに述 べ られ て い る母乳 栄 養 はイ ス ラ ム伝 統 社 会 で 認 め られ てお り、 自 らの母 乳 育 児 の 実 践 と他 の母 親 を 「助 け る こ と」 で周 囲 の 人 々 か らの 尊 敬 の念 を受 け た こ とが 、彼 女 達 の 自らの 誇 りとな り 自信 に つ な が っ て い っ た。 これ らの 誇 り と自信 が学 習 意 欲 へ とつ な が って ゆ き、 自己 の使 命 感 を もっ て他 の母 親 に母 乳 育 児 を浸透 さ せ る変化 を起 こ して い っ た。 妻 の この よ うな変 化 は夫 の 妻 へ の 協 力 と励 ま し、 他 の 夫 へ の助 言 とい っ た夫 の意 識 や 行 動 に変 化 を もた ら した。 この よ うな 夫 の存 在 は男 性 支 配 の バ ン グ ラ デ シ ュに お い て 、男 性 の立 場 か ら母 乳 推進 を活 動 す る一 端 に な っ た と考 え られ るが 、 今 回 の 企 画 に継 続 参 加 で き な か っ た3名 につ い て は 、夫 の協 力 が 得 られ な か っ た とい う問 題 が 残 さ れ た 。 V結 論 自宅 分 娩 に よ り母 乳 の 知 識 を も って い な か っ た2名 の 母親 は 、 グル ー プ に参 加 す る こ とに よっ て母 乳 の意 義 を認 識 し、混 合 栄養 か ら母 乳 栄 養 へ と移行 した。3名 は 自 らの体 験 を他 の 母 親 に語 り、支 援 す る こ とで 、他 の母 親 を母 乳 育 児 へ 導 くとい う行 動 の変 化 を起 こ して い た 。 VI文 献 1)井筒俊彦訳(1957).コ ーラン(上),岩 波文庫 2)Kabber.R.(1999)/大岩豊訳(2000).7人 の女の物語-バ ングラデシュの農村か ら-.連 合出版 日本 助 産 学 会 誌 第16巻 第3号(2003.3) 235

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先 天 性 食 道 閉鎖(Gross

A型)・

鎖 肛 を もつ 児 の

退 院 へ 向 け て の ケ ア につ いて の一 考 察

杏林大学医学部付属病院 総合周産期母子医療セ ンター

○木下

千鶴

北川

知世

清水

砥石

和子

福井 トシ子

I緒 言 今 回,先 天 性 食 道 閉鎖 症GrossA型 ・鎖 肛 の 子 ど もが,一 年 半 の入 院 を 経 て,頸 部 食 道 痩 形 成 ・鎖 肛 根 治 術 後 、様 々 な ケ ア を 要 しな が ら在 宅 ケ ア へ 移 行 で き た 事 例 を経 験 した 。Gross A型 の 発 現 頻 度 は 低 く、 これ ま で 摂 食 援 助 に 関 す る事 例 報 告 が 散 見 され る の み で あ る。 さ ら に頸 部 食 道 痩 形 成 、鎖 肛 合 併 例 は稀 で あ り、在 宅 ケ ア へ の 移 行 に 関 す る ケ ア も 明 確 で は な い 。 本 事 例 を 振 り返 り,在 宅 ケ ア へ の移 行 を促 進 した 要 因 ・問 題 点 な ど を 明確 に す る こ とは, ケ ア を見 直 す こ と、 長 期 入 院 ・疾 患 に 関連 した在 宅 ケ ア の継 続 が 必 要 な 事 例 へ の 教 育 的 か か わ りにつ い て 再 考 す る機 会 と な る と考 え た 。 II方 法 対 象 の看 護 記 録 よ り、 入 院 か ら退 院 ま で の 看 護 実 践 、 両 親 の言 動 に つ い て 情 報 を 得 る 。 そ こ か ら、 退 院 を 促 進 した 要 因 と問 題 点 を 明確 に す る。 倫 理 的 配 慮:両 親 に 、研 究 目的 ・方 法 ・意 義 、プ ライ バ シ ー 保 護 等 を 説 明 し、承 諾 を得 た 。 III結 果 1対 象 とな っ た 子 ど もの 経 過 在 胎33週5日 、 出 生 体 重1702g。 先 天 性 食 道 閉 鎖(GrossA型)・ 鎖 肛 。 日令1胃 痩 ・人 工 肛 門 造 設 術 、修 正8ヶ 月 肛 門 形 成 術 。10ヶ 月 食 道 吻 合 術 、術 後 癒 合 不 全 に て 再 手 術 し頸 部 食 道 痩 形 成 。 状 態 安 定 後 、 経 口摂 取(嚥 下練 習)開 始 。1歳3ケ 月 人 工 肛 門 閉 鎖 術 。 術 後 排 便 調 節 の た め の 院 腸(1回/日)開 始 。 各 痩 孔 等 、疾 患 に 関 連 した ケ ア は 、 状 態 に 応 じ工 夫 ・変 更 を 要 した 。 両親 は 、 積 極 的 に ケ ア に 参 加 、 看 護 者 は,ケ ア 方 法 を 随 時 説 明 、 両親 の 意 見 を 取 り入 れ な が らケ ア を 確 立 して い っ た 。 両 親 と子 ど もの 関 係 性 発 達 も 良 好 で あ っ た 。 術 後 経 過 が 良 好 で,ケ ア ・栄 養 方 法 も確 立 した 為,退 院 可 能 と判 断 、決 定 後 約3週 間 で 退 院 とな る。 2ケ ア の経 過 退 院 へ 向 け て の ケ ア の 目的 ・ケ ア の 内容 ・両 親 の 反 応 に つ い て は 表 に 示 す 。 IV考 察 退 院 決 定 後 約3週 間 で の 退 院 は 、 在 宅 ケ ア の 質 量 か ら考 え る と、短 期 間 で あ っ た。 こ れ に は 、退 院 決 定 以 前 か らの 、両 親 の ケ ア 参 加 の あ り方 が 最 も 関 連 して い る と考 え られ る。患 者 参 236 日本 助 産 学 会 誌 第16巻 第3号(2003.3)

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加 型 看 護 計 画 の 必 要 性 な ど 、 患 者 家 族 と共 に ケ ア を考 え る こ と重 要 性 は,す で に述 べ られ て い る。 しか し、 そ の 実 践 は 、 専 門 的 知 識 技 術 の 必 要 度 が 高 い 状 況 で は,困 難 で あ る こ と も現 実 で あ る。 本 事 例 に お け る 関 わ りか ら、 改 め て 、 共 に 考 え る とい う姿 勢 の 重 要 性 や 、 そ の 実 践 の 可 能 性 が 明 らか に され た とい え る。 表 中 に記 した 同 室 は,親 子 だ け の 、 よ り家 庭 に 近 い 環 境 を 提 供 す る こ とで,日 常 生 活 を イ メー ジ し,自 らの 力 で ケ アす る こ とへ の 自信 を深 め る こ とに 繋 が っ た と考 え られ る。 ま た 、 特 に小 児 で は 、単 に 知 識 ・技 術 の 獲 得 だ け で は な く、長 期 間 の 親 子 分 離 、特 殊 な 環 境 、様 々 な 処 置 に よ るス トレス 等 、 親 子 関 係 や 子 ど もの 成 長 発 達 も考 慮 す る こ とが 必 要 で あ る。 同 室 を 実施 し、病 棟 以 外 の 環 境 で 、親 子 の 時 間 を体 験 す る こ とで 、環 境 の変 化 に よ る子 ど も の反 応 、 親 子 関係 が ス ム ー ズ に 形 成 され て い る こ と を確 認 す る機 会 とな っ た。 これ らは 、在 宅 ケ ア が で き る とい う確 信 を 得 る た め に 有 用 で あ っ た と考 え られ る。 一 方 ,退 院 後 の フ ォ ロ ー ア ップ は 十 分 で は な い の が 実 情 で あ る。 周 囲 の サ ポ ー トカ を 査 定 す る こ と,入 院 中 の経 過 を 良 く知 る も の が 、継 続 して フ ォ ロー で き る 体 制 を作 る こ とな どが 、 退 院 後 の 心 配 を軽 減 す るた め に も 必 要 で あ る と考 え られ た 。 V結 論 在 宅 ケ ア へ の 移 行 に は 、 家 族 と共 に ケ ア す る こ と 、家 庭 に近 い 環 境 で 、 親 子 だ け の 時 間 を 提 供 す る こ と等 が 重 要 で あ る。 退 院 後 の フ ォ ロー ア ップ 体 制 に課 題 が 残 る。 表 退 院 へ 向 け て の ケ ア の 経 過 日本 助 産 学 会 誌 第16巻 第3号(2003.3) 237

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幼 児 を もつ 親 の性 ・性 教 育 の と らえ方 とそ の 実 践

―父母の比較 ―

杏林大学保健学部看護学科

○竹内千恵子

佐 々木裕子

土屋有利子

佐藤喜美子

I緒 言:性 教 育 は人 格 形 成 教 育 とい わ れ 、 そ の 基 盤 とな る幼 児 期 か らの 性 教 育 の 有 効 性 が 最 近 注 目 され て い る。 しか しそ の 効 果 は 、幼 児 に と っ て 基 本 的 な 生 活 の場 で あ る家 庭 環 境 に 大 き く影 響 を受 け る た め 、父 母 の 性 ・性 教 育 へ の 考 え方 ・態 度 が 重 要 とな る。 今 回 、 幼 児 を もつ 親 の性 ・性 教 育 の と らえ 方 と そ の 実 際 に つ い て 父 母 間 で 比 較 検 討 した の で 報 告 す る。 II方 法:調 査 対 象 は 、 研 究 の 趣 旨 を 説 明 し了 解 の 得 られ た 都 市 近 郊 に あ る33の 保 育 園 と 幼 稚 園 に通 う3∼5歳 の 幼 児 を もつ 父 母 で 、調 査 項 目は性 ・性 教 育 の と ら え 方 、性 教 育 の 必 要 性 及 び 実 施 状 況 な ど15項 目で あ る。 質 問紙 は 保 育 園 ・幼 稚 園 を通 じて 配 布 し回 収 した。 統 計 解 析 に は カ イ2乗 検 定 を 用 い 有 意 水 準 を5%と し た 。 III結 果:配 布 数:4618部 、 回 収 数:1709部(37.0%)、 有 効 回 答 数:1686部(98.7%)、 父 親657部(39.0%) 母 親1025部(60.8%)、 不 明4部(0.2%)で あ っ た 。 1.対 象 の 背 景:父 母 の 年 齢 構 成 は 図1の と お りで あ る 。 子 ど も の 数 は 、 平 均2.1人(SD=0.8)で 、 有 職 者 は 、 父 親99.2%、 母 親70.0%で あ っ た 。 2.性 ・性 教 育 の と ら え 方:本 研 究 で は 、 性 ・性 教 育 を 、 生 命 尊 重 の 考 え を 基 盤 と し 、 男 女 の 身 体 の 違 い や 月 経 に つ い て 教 え る だ け で な く 、 人 間 教 育 、 愛 、 思 い や り等 を 含 め て 教 え る こ と を 「広 義 」、 性 を 性 別 ・性 器 ・セ ッ ク ス の こ と で あ る と し、 性 教 育 は 男 女 の 身 体 の 違 い 、 初 潮 ・精 通 、 避 妊 等 生 理 的 側 面 に 偏 っ て 教 え る こ と を 「狭 義 」 と した 。 性 ・性 教 育 の と ら え 方 を 尋 ね た と こ ろ 、父 親 で は 、 「広 義 」 に と ら え て い る 者58.7%、 「狭 義 」37.6%、 そ の 他3.7%で あ っ た 。 母 親 で は 、 「広 義 」70.3%、 「狭 義 」28.1%、 そ の 他1.6%で あ り 、 母 親 が 父 親 に 比 べ 「広 義 」 に と ら え て い る 者 が 多 か っ た(P<.01)(図2)。 3.性 教 育 の 必 要 性:性 教 育 の 必 要 性 に つ い て 尋 ね た と こ ろ 、 父 親 で は 、 性 教 育 を 必 要 と 回 答 し た 者94.6%、 不 要5.4%、 同 様 に 母 親 で は98.0%、2.0%で あ り 、 母 親 が 父 親 に 比 べ 、 性 教 238 日本 助 産 学 会 誌 第16巻 第3号(2003.3)

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育 を 必 要 と 回 答 し た 者 が 多 か っ た(P<.01)(図3)。 性 教 育 を 必 要 と 回 答 し た 者 の 実 施 状 況 は 、 父 親15.5%、 母 親25.7%で あ り 、 母 親 が 父 親 よ り実 施 し て い る 者 が 多 か 教 っ た(P<.01)。 ま た 父 母 の 多 く は 、 「家 庭 」 を 中 心 と し て 「両 親 」 が 行 な う こ と が 望 ま し い と 回 答 し て い た 。 4.性 教 育 の 開 始 時 期:性 教 育 を 必 要 と 回 答 し た 者 に 性 教 育 の 適 切 な 開 始 時 期 を 尋 ね た と こ ろ 、 父 親 で は 就 学 前14.0%、 就 学 後86.0%、 同 様 に 母 親 で は24.0%、76.0%で あ り 、 母 親 が 父 親 に 比 べ 就 学 前 か ら性 教 育 は 必 要 で あ る と 回 答 し た 者 が 多 か っ た(P<.01)(図4)。 性 教 育 を 就 学 前 は 不 要 と 回 答 し た 者 に そ の 理 由 を た ず ね た と こ ろ 、 父 母 共 に 「時 期 が 早 い 」 が 最 も 多 く(父 親75.8%、 母 親78.6%)つ い で 、 「自 然 に 分 か る 」 等 で あ っ た 。 5.就 学 前 の 性 教 育 の 実 施:就 学 前 に 性 教 育 を 必 要 と 考 え て い る326名 の う ち 、 就 学 前 か ら 実 施 し て い た の は 、 父 親39.5%、 母 親46.7%で あ っ た が 、 父 母 間 で 差 は な か っ た 。 ま た 平 均 開 始 年 齢 は 、3.4歳(SD=1.9)、 実 施 内 容 は 、 男 女 の 身 体 の 違 い 、 命 の 大 切 さ 、 身 体 の 清 潔 等 で あ っ た。性 教 育 に 関 して 期 待 す る支 援 内 容(自 由 記 載) は 、教 え 方 が 分 か らな い の で 親 ・親 子 で 学 べ る場 の 提 供 、 相 談 で き る環 境 の 整 備 、年 齢 に合 わ せ た教 材 の紹 介 等 が あ っ た IV考 察:性 ・性 教 育 に つ い て 父 母 間 で比 較 検 討 した。 母 親 は父 親 よ り性 ・性 教 育 を 「広 義 」 に 捉 え て い た 。 これ は 、 母 親 が 青 春 時 代 を 過 ご した 社 会 環 境 や 自身 の 妊 娠 ・出 産 ・育 児 の経 験 が影 響 して い る と考 え られ る。 ま た 、 母 親 は 父 親 に 比 べ 性 教 育 を 必 要 と考 え 実 際 に行 な っ て い た。 さ らに 、性教 育 開始 時 期 は 就 学 前 が適 切 と考 え て い る者 が 多 く 、 実 際 に 行 な っ て い る者 は 父親 よ り多 い傾 向 を認 め た。 子 ど も は3∼5歳 に 性 別 に つ い て の 認 識 が 生 まれ 、 純 粋 な 知 的 好 奇 心 か ら他 の 事 柄 と同 様 に性 に 関 す る 質 問 を発 す る。 そ こ で の 大 人 の 対 応 が そ の 後 の性 意 識 や 性 行 動 の発 達 に 大 き く影 響 す る と考 え られ る こ とか ら、 子 ど も の理 解 に合 わ せ た 性 に 関 す る適 切 な 関 わ り が 必 要 だ と考 え る。 特 に 性 教 育 は必 要 と しな が ら、家 庭 で は 具 体 的 な 対 応 に躊 躇 して い る父 母 に 、 性 教 育 に よ り積 極 的 な母 親 を 窓 口 と した 幼 児 期 か らの 「性 の健 康 教 育 」 実 施 に む け た 支 援 が 有 効 で あ る と考 え る。 V結 論:1.多 くの 父 母 が 性 教 育 は必 要 だ と しな が ら も、 開 始 時 期 に つ い て は 就 学 後 が適 切 と考 え て い る者 が 多 か っ た 。2.幼 児 期 に性 教 育 が 必 要 だ と した 者 も、 そ の 具 体 的 な方 法 につ い て 戸 惑 っ て い た 。3.母 親 は 父 親 よ り性 ・性 教 育 につ い て 、積 極 的 に 捉 え て い た 。 4.幼 児 期 か らの 「性 の健 康 教 育 」 実 施 に は 、母 親 を窓 口 と した 支 援 の 必 要 性 が 示 唆 され た VI文 献:小 林臻、育児 と性教育 、小児科臨床48(増)、1995黒 川義和、人間の性 と教育、一風社 、1985 田上時子 、子 どもへの性 的虐待 を防 ぐために、現代性教育研 究月報19(5)、2001、 日本助 産 学 会 誌 第16巻 第3号(2003.3) 239

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母性看 護学 実習での学生の学び の過程

-母 性看護学実習 を終えた学生の半構造面接調査 よ

り-国立病院九州医療センター附属 福 岡看護助産学校 看護学科

○ 中西真美子

国立病院九州医療センター附属 福岡看護助産学校 助産学科

新地

裕子

I緒 言 基 礎 看護 教 育 の 中 の 母 性 看護 学 実 習 に お い て は 、産 褥 期 の 対 象 を受 け持 ち 、看 護 を 展 開 す る こ とが 中 心 で あ る。 そ こで 、産 褥 期 の 特 徴 的 な看 護 を 学 ん で い く に あ た り、 どの よ う 過 程 を た ど り、学 生 が 学 ん で い る か を 明 らか に し、今 後 の 教 育 に生 か して い き た い と考 え 、 半 構 造 面 接 調 査 を行 な っ た 。 そ の結 果 、 学 び の 過 程 は 、 まず 、 ① 対 象 の ア セ ス メ ン ト、② 学 生 の 内 発 的動 機 と な る 対 象 や 看護 に 対 す る興 味 ・関 心 、③ 解 決 方 法 へ の ア プ ロー チ 、④ 援 助 活 動 の 実 践 、⑤ 援 助 の 効 果 を フ ィ ー ドバ ッ クす る こ とが 挙 げ られ た 。 そ して 、 こ れ ら 学 生 の 学 び の 過 程 に お い て 、指 導 者 が 如 何 に 関 わ るか が 学 び 自身 に影 響 す る こ とが 明 らか に な っ た 。 II方 法 1.目 的:母 性 看 護 実 習 で の 学 生 の学 び の過 程 を 構 造 化 し、 今 後 の 学 生 指 導 に 生 か す 。 2.研 究 方 法 1)調 査 研 究:学 生 の 母 性 看 護 実 習 で 学 生 は どの よ うな 学 び の過 程 を た ど る か を 明 らか にす る た め に 「ウエ ル ネ ス の視 点 」、 「生 理 的 変 化 を促 す 援 助 」、 「産 後 の 全 身 の 回 復 」、 「愛 着 形 成 や 育 児 技 術 習 得 な ど親 役 割 移 行 へ の援 助 」、 「不 安 緩 和 な ど精 神 面 へ の援 助 」等 の 点 か ら、 どの よ うな時 に 「理 解 で き た 」 体 験 が あ っ た か 自由 に述 べ て も らっ た 。 ま た 、 理 解 す るた め の どの よ うな過 程 をた どっ た か を 、 自 由 に 述 べ て も ら っ た 。 面 接 時 間 は 、30分 程 度 で あ っ た。 2)調 査 対 象:3年 課 程 の 看 護 学 生 で 母 性 看 護 学 実 習 を終 了 した3年 生5名 。研 究 目的 を伝 え 、同 意 を得 、調 査 結 果 は評 価 に 影 響 せ ず 、情 報 と して 処 理 す る こ と を 事 前 説 明 した 。 3)分 析 方 法:面 接 で 得 た 結 果 をKJ法 を 用 い て 要 素 を ま とめ た。 ま た 、 学 び の 過 程 に お い て は 、経 時 的 な 変 化 を面 接 か ら聞 き取 っ た 。 III結 果 学 生 の 学 び の 過 程 に お い て 、初 め に 、挙 げ られ る の は 、① 対 象 の ア セ ス メ ン トで あ っ た 。 対 象 が今 ど の よ うな 状 態 で あ る か 、ま た 、 どの よ うな 問題 を抱 え て い る か を 的 確 に 捉 え ら れ る こ とが 学 び の 過 程 の ス ター トに な る。例 え ば 、褥 婦 が 母 乳 不 足 で は な い か と不 安 に な 240 日本 助 産 学 会 誌 第16巻 第3号(2003.3)

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っ て い る こ とや 、身 体 の 回 復 状 況 が 順 調 に経 過 して い る か ど うか な どで あ る。 ま た並 行 し て次 の 過 程 は ② 対 象 ま た は看 護 に 対 す る 興 味 ・関 心 で あ っ た 。 これ は 対 象 に 対 す る好 意 や 「何 とか して あ げ た い 」と い う想 い 、看護 に対 して知 りたい とい う気 持 ちや 責任感 で あ る。 これ らの想 い が 学 生 の 内発 的 動 機 付 け とな っ た 。 次 に ③ 解 決 方 法 の ア プ ロ ー チ で あ っ た 。 これ は 、既 習 の 知識 を 想 起 す る 、新 た に 知 識 を得 る 、解 釈 す るな ど思 考 を 再 構 成 す る た め の働 き で あ る。 そ の た め に 、 考 え る、 文 献 検 索 を行 な う、 学 生 同 士 で 検 討 す る、 指 導 者 よ りア ドバ イ ス を も ら うな どの 行 動 を とる こ とで あ る。次 の 過 程 は 、解 決 へ の 援 助 方 法 を ④ 実 際 の 場 面 で 実践 す る 行 動 で あ る。 そ して 、そ の 行 動 を 評 価 す る た め の 過 程 と して ⑤ 援 助 の 効 果 を フ ィ ー ドバ ッ クす る こ とで あ っ た 。この 過 程 の 中 で② の 対 象 ま た は看 護 に 対 す る 興 味 ・関 心 は 、 学 び の 過 程 で 常 に顕 在 化 ・潜 在 化 され 持 続 す る も の で あ る。 例 え ば 、 「学 び の 途 中 に 挫 折 感 を感 じた 時 に 、対 象 へ の好 感 が 継 続 へ の意 欲 を 奮 い た た せ た 」な どが こ れ に あ た る。この よ うな5つ の 段 階 を相 互 に 関連 させ な が ら、学 生 は 学 び の過 程 を た ど り、 母 性 看 護 を学 ん で い た 。 IV考 察 学 生 の 母 性 看 護 学 実 習 に お け る学 び の過 程 の① は 、学 生 に とっ て 観 察 力 や 判 断 力 、洞 察 力 に加 え 、今 ま で の 知 識 や 経 験 が 重 要 とな る。そ の 知 識 が 定 着 して い な い と この 時 点 で 学 び は 、半 減 して しま う。 ま た 、② の 対 象 ま た は看 護 へ の 興 味 ・関心 は 内 発 的 動 機 づ け と し て 、学 び の 過 程 の 一 連 に顕 在 化 ・潜 在 化 しな が ら も学 生 が 内 面 に持 ち続 け る もの で あ っ た。 看 護 へ の 興 味 ・関 心 が 低 くて も、対 象 へ の 関心 が 強 い こ と が学 び の 過 程 に影 響 を 与 えて い た こ とで 、 この2つ は 影 響 を もつ 要 素 で あ っ た 。③ の ア プ ロ ー チ は 、学 生 の 人 間 関係 作 り が 影 響 し、学 生 同 士 の検 討 、指 導 者 へ の働 き か け は 関係 性 が 良 好 な 学 生 ほ どス ムー ズ に行 え た。 これ は 、学 び の 過 程 で 学 び の ス ピー ドを 上 げ る な どの 効 果 が あ っ た。④ 援 助 場 面 で 実 践 す る行 動 で は 、学 生 の状 況 判 断 能 力 や 行 動 力 、自信 な どが影 響 し、実 践 行 動 へ 繋 が る。 ま た 、⑤ 援 助 の 効 果 を フ ィー ドバ ッ ク で き る と、学 生 は 学 び を 自分 の 中 に取 り込 め 、次 の 改 善 に つ な が る。そ して 、これ ら5つ の要 素 へ 指 導 者 が効 果 的 に 関 わ る こ とが 学 び の 過 程 へ 影 響 を 与 え る。例 え ば 、対 象 との 関係 性 作 りへ の 配 慮 、 対 象 理 解 の た め の 助 言 、看護 に 対 す る 興 味 ・関 心 を 引 き 出す 介 入 、援 助 方 法 の 実 践 や ア ドバ イ ス な ど も効 果 的 で あ る。 ま た 、 カ ン フ ァ レン ス な どで 学 び を統 合 、 フ ィー ドバ ッ クす る こ と も効 果 的 な 介 入 で あ る。 V結 論 1.母 性 看 護 学 実 習 に お け る学 生 の 学 び の 過 程 に は 、① 対 象 の ア セ ス メ ン ト、② 対 象 や 看 護 に対 す る 興 味 ・関 心 、③ 解 決 方 法 へ の ア プ ロー チ 、④ 援 助 活 動 の 実 践 、⑤ 援 助 の 効 果 を フ ィー ドバ ッ クす る こ との5つ の 段 階 が 挙 げ られ た 。 2.5つ の 過 程 は 、 段 階 的 に相 互 に 影 響 しな が ら学 生 の 学 び を 進 め る。 VI文 献 1)土 屋世都子他;看 護学生3年 生の 自己教育力の構造 とそれに影響す る実習方法 、第29回 日本 看護学会集録(看 護 教育)p39∼41,1999. 日本 助 産 学 会 誌 第16巻 第3号(2003.3) 241

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IBLに

よ る 褥 婦 ・新 生 児 の 学 習

-助 産 コー ス専 攻学 生へ

の応用-沖縄県立看護大学

○玉城

清子

賀数いづみ

井上

松代

西平

朋子

加藤

尚美

園生

陽子

I.諸 言 社 会 の進 歩 に 従 い 知 識 ・技 術 の 刷 新 も著 し く、 学 生 時 代 に 学 ん だ こ とが 将 来 も通 用 す る わ け で は な い 。 専 門職 と して 生 き 残 る に は 最 新 の 正 しい 知 識 を 持 つ こ とが 求 め られ 、 そ の 習 得 法 や 真 実 か ど うか の 見 極 め が 学 生 に は要 求 され る。IBL(lnquiry Based Leaming)は 、PBL

(Problem Based Leaming)を 元 に ハ ワイ 大 学 で 開発 され た 教 育 方 法 で 、 学 生 の 探 求 心 や 自 己 学 習 能 力 、 批 判 的 思 考 力 を 向上 させ 、 学 習 者 同 士 で お 互 い に成 長 して い く こ と を ね らい と し て い る1)。 今 回 、 本 大 学 助 産 コー ス 専 攻 学 生 へ 「助 産 診 断 ・技 術 学I」 の 科 目の 中 の 「褥 婦 ・新 生 児 の 助 産 診 断 及 び ケ ア 」 の 単 元 でIBLを 取 り入 れ た授 業 を 行 っ た 。IBLに よ る授 業展 開 の 前 に 、IBLの 特 徴 、 進 め方 、 グル ー プ ワー ク で の 役 割 に つ い て 、 オ リエ ンテ ー シ ョン を 行 い 、 学 生 の デ ィ ス カ ッ シ ョン 中 は 、 チ ュ ー ター が1人 つ い た。 この 研 究 の 目的 は 、 学 生 のIBL学 習 法 の効 果 を 明 らか に す る こ とで あ る。 II.研 究 方 法 IBLは 「討 議 、個 人 学 習 、発 表 」 の学 習 形 態 で 、 産 褥 期 の 母 体 の 復 古 、 乳 房 の 変 化 と母 乳 栄 養 、 産 褥 期 の 心 理 ・社 会 的 特 徴 、 褥 婦 に 必 要 な 知 識 ・技 術 に つ い て 計4回 行 っ た 。IBL で は 学 習 終 了 時 毎 回 、 自己 評 価 表 の 記 入 が あ る。 本 学 で は 三 枝2)の 評 価 表 を参 考 に 、 ① 他 人 の 意 見 に 耳 を 傾 け た 、 ② 建 設 的 に 意 見 が い え た 、 ③ 批 判 的 思 考 を した 、 ④ グル ー プ と して う ま く機 能 した 、 ⑤ 討 論 に 十 分 に 参加 した 、 ⑥ 課 題 に 対 す る 個 人 学 習 が で き た 、 ⑦ 他 の メ ンバ ー の 学 習 は 十 分 で あ っ た の7つ の 視 点 で 自 己評 価 し、評価 尺度 は 「優 れ てい る」 か ら 「非常 に 悪 い 」 ま で の5段 階 法 を用 い 、 「優 れ て い る 」 に5点 を 配 し漸 次 減 点 し 「非 常 に 悪 い 」 は 1点 と した 。 ま た 、 評 価 表 に 自由 記 載 欄 を設 け 、IBL授 業 中感 じた こ とを 自由 に 記 載 で き る よ うに した 。 III.結果 1.自 己評 価 4回 の 平 均 点 が 最 も高 か っ た 自己 評 価 項 目は 「他 の メ ン バ ー の 学 習 で あ っ た(以 下 『他 メ ンバ ー の 学 習 』)」で 、 続 い て 「他 人 の意 見 に 耳 を傾 け た(以 下 『意 見 の傾 聴 』)」、 「課 題 に 対 す る個 人 学 習(以 下 『個 人 学 習 』)」とな っ て お り、最 も低 か っ た の は 「批 判 的 思 考 を した(以 下 『批 判 的 思 考 』)」で あ っ た 。 1回 目か ら4回 目ま で の7項 目の 得 点 の 推 移 をみ る と 、『批 判 的 思 考 』 『個 人 学 習 』 『他 メ ン バ ー の 学 習 』 は 漸 次 得 点 が 上 昇 して い た 。 特 に 『批 判 的 思 考 』 は4回 目は1回 目や2回 目 に 比 較 し有 意 に 高 い得 点 で あ っ た。 242 日本助 産 学 会 誌 第16巻 第3号(2003.3)

参照

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