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看護師のメンタルヘルス向上のための認知行動療法によるメンター教育プログラムの効果

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Academic year: 2021

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日本認知・行動療法学会 第44回大会 一般演題 P2-31 358

-看護師のメンタルヘルス向上のための認知行動療法による

メンター教育プログラムの効果

○大植 崇1)、免田 賢2) 1 )兵庫大学看護学部看護学科、 2 )佛教大学教育学部臨床心理学科 < は じ め に >2015年 度 の 常 勤 看 護 職 員 離 職 率 は 10.9%で、前年度比0.1ポイント増である。2010年度に 11.0%を記録して以降、ほぼ横ばいの状況が続いてい る。今後、2025年問題を抱えるわが国にとって、この 看護師の離職問題は、現代社会における大きな問題で ある。看護師の離職には、業務量の過剰に加え、バー ンアウトが長期欠勤や離職率の高さと関連している。 厚生労働省が発表している「脳・心臓疾患と精神障害 の労災補償状況」(平成26年度結果)」によると、看護 職を含む医療・福祉は、精神障害の労災請求件数の多 い職種と報告されている。特に、20代の若い看護師に メンタルヘルスの不調が多く、若い世代のサポート体 制が重要と考えられる。わが国では、労働時間を問題 視し、看護職のワーク・ライフ・バランスの実現を目 指してきた。しかしながら、メンタルヘルス不調者は 減少しておらず、新しいシステムが必要でないかと考 えられる。プリセプター制度は,1980年代後半に日本 に紹介され,新卒看護師のリアリティショックの緩和 やプリセプター自身の成長,新卒看護師の指導の一貫 性を図ること,実践力の強化,新卒看護師の思考力や 判断力の強化と技術力の統合を図ることなどが導入目 的とされている。平成12年度には,全国で3286施設中 1763施設(53.6%)がプリセプター制度を導入してい るという報告がある。しかし,プリセプター制度にお いては,プリセプターと新卒看護師双方の期待と価値 観にずれがあることや,就職後まもなくの時期に,新 卒 看 護 師 は 必 ず し も プ リ セ プ タ ー を リ ア リ テ ィ ショック軽減のためのサポーターとして十分に活用し ているとは限らないなどの問題が生じている。そこ で、新たなサポートシステムとして、メンター制度が 必要と考えた。メンター制度とは、豊富な知識と職業 経験を有した病院内の先輩看護師(メンター)が、後 輩看護師(メンティ)に対して行う個別支援活動のこ とである。今回、Ohue et al(2015)のバーンアウト に焦点をあてた認知行動療法プログラムに基づくト レーニングプログラムを開発し、それをまず、臨床経 験年数 5 年以上の中堅看護師(メンター)を対象にス タッフトレーニングを実施し、その効果を明らかにす ることを目的とした。<目的>本研究の目的は看護師 のメンタルヘルス向上につなげるために、認知行動療 法に基づく、メンター制度を取り入れた看護師のメン ターの教育プログラムの効果を検証することである。 <研究方法>研究対象は、急性期病院に勤務する 5 年 目から15年目の中堅看護師50名とした。リクルート方 法は、対象となる病院の看護師において,関西圏内に 位置する中・大規模の急性期病院を無作為に抽出し, 研究協力の依頼を行った.そこで,同意が得られた病 院にて,対象病院主催の看護師を対象とした研修会に 赴き,その場で臨床経験年数 5 年目以上の中堅看護師 に研究参加の依頼を行った.プログラムの概要は、 1 回目:看護師のストレスとバーンアウトの理解・カウ ンセリングマインドとカウンセリングの諸技法、 2 回 目: 認知行動療法に関する基礎知識の習得・認知再 構成法に基づく介入、 3 回目:問題解決技法に基づく 介入 まとめ、心理教育15分,グループワーク45分, まとめと課題10分で構成した。評価指標は、積極的傾 聴態度評価尺度(「傾聴の態度」「聞き方」)、コミュニ ケーション・スキル尺度(「自己統制」「解読力」「他 者受容」「関係調整」)、多次元共感性尺度(「被影響性」 「視点取得」「自己指向的反応」「他者指向的反応」)、 Maslach Burnout Inventory (MBI)(「情緒的消耗感」 「脱人格化」「個人的達成感」)、KCBT(Knowledge of cognitive-behavioral therapy) であった。以上の評 価指標を介入前と介入後、介入後 3 か月で比較をし、 スタッフトレーニングの効果を評価した。分析方法と して、介入前と介入後、介入後 3 か月で各尺度の下位 尺度ごとにFriedman検定を行った。<倫理的配慮>本 研究は,兵庫大学研究倫理委員会の承認を得たのちに 実施した。また,目的,方法,匿名性の保持について 説明し同意を得た。<結果>介入前と介入後、介入後 3 か月のすべてに回答があった44名を分析対象とした (表 1 )。介入前と介入後、介入後 3 か月でFriedman検 定を算出したところ、認知行動療法の知識が有意に向 上した(χ2=8. 89,p<0.01)。また、バーンアウト の「情緒的消耗感」(χ2=8.58,p<0.01)「脱人格化」 (χ2=6.75,p<0.01)「個人的達成感の低下」(χ2= 10.55,p<0.01)が低下した。さらに、「解読力」(χ 2=8.53,p<0.01)、「表現力」(χ2=10.63,p<0.01) といったコミュニケーション能力が向上した。そのほ か「共感的理解」「積極的傾聴」「コミュニケーション」 においても、平均値の向上が確認された。<考察>中 堅看護師を対象に看護師のバーンアウトと離職の意思 低減に向けた認知行動療法によるスタッフトレーニン グプログラムの効果が検証された。また、スタッフト

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日本認知・行動療法学会 第44回大会 一般演題 P2-31 359 -レーニングは、バーンアウトの低減とコミュニケー ション能力の向上に効果がある。<結論>メンターを 対象にした認知行動療法による教育プログラムは有効 であったと考えられる。

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