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伊豆大島で採集したウオノエ類未成熟個体の記載

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Cancer 24: 53-62 (2015) Caγr:inologicalSociety

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1

Japan

伊豆大島で採集したウオノエ類未成熟個体の記載

Descriptions of immature stages of Cymothoidae (Crustacea: Isopoda) collected from Izu・Ohshima

Pacific coast of central Japan

粛藤暢宏

l

・ 星 野 修

2 Nobuhiro Saito and Osamu Hoshino

ABSTRACT:Threejuveniles of cymothoidisopods (Crustacea) の口腔,鯨腔,体表や,体腔内に寄生する (Brusca, infecting buccalcavities of t恥eeimmaturespecimens of fol- 1981).ふ化個体はマンカ幼体と呼ばれ海中を遊泳 lowing coastalfishes: Yellowtail clownfish Amphiprion して宿主を探索するものと思われるが,詳しい生態 clarkii (Bennett, 1830), Neon damselfish Pomacenlrus は分かっていない (Saitoet al., 2014). coelestis Jordan & Starks, 1901, and NagasakidamselP. na- 著者らは伊豆大島沿岸をフィールドとして,潮下 gasakiensis Tanaka, 1917, respectivel払werefound from 帯における寄生性・共生性甲殻類の調査を行ってき lzu-Ohshima, Sagami sea, Pacific coast of central Japan. た(粛藤・星野, 2011; Saito, 2012; Saitoet al., 2014). Thesecymothoids couldnot be耐ntl自edto species because 今 回 , ク マ ノ ミ Amphiprionclarkii (Bennett, 1830), they have nosome impo此anttaxonomic characters. Howev- ソラスズメ夕、イPomacentruscoelestis Jordan& Starks, er, it isrevealed that these cymothoids can be characterized 190I.および,ナカ、サキスズメ夕、イP.nagasakiensis by following features: bodyshapes, sizes of eyes, posterior Tanaka, 1917の口腔内に寄生するウオノエ類の標本 margins of cephalon, setations on pereopods, and length of が本海域で採集された(図1).また,同海域から uropodal rami. And yet, an additional morphotype of什ee- ウオノエ類の浮遊期マンカ幼体の追加標本が得られ swimming form of cymothoid manca collected from this た.得られた標本はいずれも幼体であり種同定には おIdare described andillustrated herein いたらなかったが,知見の乏しいウオノ エ類幼体の Key Words: Cyomothoidisopods,仕ee-swimmingform of 標本に基づく記録となるため,この観察結果を報告 manca, Amphiprion clarkii, Pomacentrus coeleslis, Pomaー する. centrus nagasakiensis, lzu-Ohshima, Japan . は じ め に ウオノエ科等脚類は魚類寄生性の甲殻類で,宿主 l株式会社水土舎 干214-心038 川崎市多摩区生田 8-11-11 Suido-sha Co. Ltd., lkuta 8-11-11, Tama-ku, Kawasaki, Kanagawa 214-0038, Japan E-ma1i: [email protected] . 2 ダイビングサービス チャ ッ プ 干100-引02 東京都大島町岡田新開118-2 Diving Service Chap, Shinl正ai118-2, Okata, Ohshima, Tokyo 100-0102, Japan .材料および方法 伊豆大島北東岸“秋の浜" (34047' 14"N139024' 44" E)地先で SCUBA潜水によって確認した,口腔 内にウオノエ類の見られるクマノミ,ソラスズメダ イとナガサキスズメダイ,および自由遊泳していた マンカ幼体をハンドネットにて採集した.得られた 宿主魚類は,凍結後研究室にて口腔内からウオノエ 類 を 摘 出 し , ウ オ ノ エ 類 と 宿 主 魚 類 を 70%エタ ノールで、保存した.同様にマンカ幼体も凍結した後 70%エタノールで保存した.解剖観察は実体顕微鏡 (Olympus X-II) によって行い,描画装置付き生物 日本甲殻類学会 Report

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図1. 伊豆大島“秋の浜"で確認された口腔寄生性 ウオノエ類 (Unidentifiedjuveniles 1 ~3, KMNH IvR-500,803~500, 805)の宿主魚類. A,クマノミ Amphiprionc/arldi幼魚,標準体長25.0mm; B,ソ ラスズメダイPomacenlruscoeleslis幼魚,標準体 長30.0mm ; C,ナガサキスズメダイPomacentrus nagasak.附 SlS幼魚,標準体長39.4mrn. 顕微鏡 (OlympusBHB-Tr)によって形態のスケッ チを行った.ウオノエ類の計測部位および形態学的 名称については下村・布村 (2010)に,宿主魚類に 54

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Can掲 r24 (2015) クマノミ寄生個体 Unidentified juvenile 1 (infecting Yellowtailc1ownfish) (図2A-B,3) 観 察 材 料 幼体 ( 体 長6.3mm), KMNH lvR -500,803, 2014年11月12日,伊豆大島秋の浜,水深 5 m,クマノミ幼魚(標準体長25.0mm)口腔内. 記載 体型(図2A)は円筒形で細長く,体長は 最大体幅の2.8倍.体色は淡褐色で体側に濃褐色の 斑点が分布する ;眼は黒色. 頭部(図3A,B)は半円形;頭部後縁は直線的. 眼は大きい.第l触角は9節で第l胸節に達する ; 基部は左右接する.第2触角は9節で第l胸節中央 に達する. 胸部(図2A)は第4・第5胸節が長く,第十 第7 胸節は短い.体幅は第5胸節で最大.各胸節は「一」 字 様.底 板 は一様に小さく,前 後 端 は 丸 い ( 図 2B). 第I~第3胸脚(図3C) は短い;第4~第7胸 脚は細長く,第7胸脚基節前縁は広く張り出す(図 3D).胸脚はいずれも把握的;全胸脚とも指節内縁 に鋸歯を欠く. 腹 部 は胸部と区別で き る が,やや連続的(図 2A).第l腹 肢 (図 3E)は原節内縁に4本の鈎刺を 備える ;内肢は長方形で内縁に小刺毛を備え,先端 は二文形;外肢は楕円形.第2腹 肢 (図 3F)は交尾 針を備え,先端は内肢を越える.尾肢(図3G)内 肢は三角形;外肢は内肢より短い ;内・外肢とも腹 尾節末端を越え,後縁は刺毛に縁取られる,原節は 台形.腹尾節(図3G)は半円形で長さは隔の約0.56 倍. 宿主魚類 クマノミは,千葉県以南,イ ンド・太 平洋域, ペルシャ湾に分布し,浅海の大型イソギン チャク類と共生する(益田ら,1984).本海域では 多くはサンゴイソギンチャクEntacmaeaquadricolor (Leuckart, 1828)との共生がみられ,イソギンチャク !個体から 1-4個体のクマノミが観察される.本海

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伊豆大島で採集したウオノエ未成熟個体 図 2. 伊豆大島“秋の浜"で確認されたウオノエ類幼体.A-B,クマノミ寄生個体unidentified juvenile 1 (体長 6.3mm), KMNH IvR-500,803, 2014年I1月12日,水深5m,クマノミ Amphiprion clarkii幼魚(標準体長 25.0 m m)口腔内

:

c

ーD,ソラスズメダイ寄生個体unidenti自edjuvenile 2 (体長4.2mm), KMNH IvR-500,804, 2014年l月21日,水深10m,ソラスズメダイPomacentruscoelestis幼魚(標準体長 30.0mm)口腔内:E,ナガ サキスズメダイ寄生個体unidenti日edjuvenile 3 (体長3.8mm), KMNH IvR-500,805, 2014年12月 26日,水深 10m,ナガサキスズメダイPomacenlrusnagasakiensis幼魚(標準体長39.4m m)口腔内 :F

G,浮遊期マンカ幼 体タイプ4manca type 4 (体長2.9mm), KMNH IvR-500,806, 2014年11月12日,水深4m. A, C, E, F,背面;B, O,G,左側面. 域で繁殖しており,標 準 体 長100mm前後の成魚も 観察される.今回,被寄生魚3個 体 が 見 ら れ,これ らはいずれも標準体長約25mmの幼魚であった(図 lA). 日本近海には6種のクマノミ類が知られるが(中 坊, 2013), 本 海 域 で は 本 種 の み が 見 ら れ, 他のク マノミ類は確認されていない.また,クマノミの口 腔内にウオノエ類を確認したのは,今回がはじめて C制 僧r24(2015)

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図3.クマノミ寄生個体Unidentifiedjuvenile I (体長6.3mm),陥fNH IvR-500,803, 2014年11月12日,伊豆大島秋 の浜,水深5m,クマノミAmphiprionclarkii幼魚(標準体長25.0mm)口腔内.A,頭部背面;B,同腹面:c, 第l胸脚;D,第7胸脚;E,第l腹肢;F,第2腹肢 ;G,腹尾節背面. であった. 備考 このウオノエ類幼体は,胸脚の発達状態か らみて,マンカ幼体からしばらく成長したものと思 われる.本個体の全胸脚指節内縁に鋸歯を欠く特徴 は, Saitoet a/. (2014)によるmancatype 2と類似す る.しかし,本個体は眼が大きく発達する;第l触 角基部は左右接する ;体型は円筒形で胸部と腹部の 境界がやや連続的である等, manca typ巴2と大きく 異なる特徴も見られた. 56

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Can関r24 (2015) ソラスズメダイ寄生個体 Uniden雌edjuvenile2 (infecting Neon damselfish) (図2C-D,4) 観 察 材 料 幼 体 ( 体 長4.2m m), KMNH IvR -500,804, 2014年l月21日,伊 豆 大 島 秋 の 浜 , 水 深 10m,ソラスズメダイ幼魚(標準体長30.0mm) 口 腔内. 記載 体型(図2C)は楕円形;体長は最大体幅 の2.4倍.体色は淡褐色で濃褐色の斑点が分布す る;眼は黒色. 頭部(図4A,B)は半円形;頭部後縁は第l胸節 に若干湾入する.眼は中程度の大きさ.第l触角は

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伊豆大島で採集したウオノエ未成熟個体

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図 4. ソラスズメダイ寄生個体 Unidenti自edjuvenile2 (体長4.2m m), KMNH IvR-500,804, 2014年l月 21日,伊豆大 島秋の浜,水深10m,ソラスズメダイ Pomacenlruscoeleslis幼魚(標準体長30.0m m)口腔内.A,頭部背面, B,同腹面 ;

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,第l胸脚;0,第6胸脚;E,第l腹肢原節及び内肢;F,同外肢;G,第2腹肢;H,腹尾節背面. 8節で短い.第2触角は8節で頭部末端を越える. 胸部(図 2C) は第l胸節が長い;第 2~ 第 5 胸節 はほぼ等長;第7胸 節 は 短 く , 側 縁 は 後 方 に 反 る ; 体 幅 は 第4胸節で最大.底板は一様に小さく,前後 端 は 丸 い ( 図20).胸 脚 ( 図4C,0)はいずれも把 握的;全胸脚とも指節内縁に鋸歯を欠く;第6胸 脚 基節前縁は広く張り出す (右第6胸 脚 と 左 第7胸 脚 は未発達であった). Can伺 r24 (2015)

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し,先端付近に少数の刺毛を備える;J京節は台形. 腹尾節(図4H)は半円形で長さは幅の約0.56倍. 宿主魚類 ソラスズメダイは,千葉県,新潟県以 南の南日本の岩礁性海岸の転石地帯やサンコ、礁の外 側斜面に見られる普通種である(益田ら, 1984). 本魚種の生態については鈴木ら(1985)に詳しい. 本海域では海面付近から水深 30mくらいまで確認 され,水深 3-15mでよくみられる.単体から 200 個体以上の群れの形態まで,さまざまな状態で生息 する.クリーニングステーション(峯水, 2000)な どではウオノエ類に寄生された個体を高い頻度で観 察することができるが,フィールド全体ではソラス ズメダイの全様把握が困難なことから,正確な寄生 率を算出することは難しい.また,卵を守るソラス ズメダイの口腔奥にウオノエ類の寄生を確認したこ ともあるが,ウオノエ類の寄生が宿主の繁殖に影響 を及ほ、さないのか,産卵後に寄生したのか,興味深 い事例と思われる. 備考 このウオノエ類幼体は,胸脚の一部が未発 達であったことから,マンカ幼体から少し成長した 状態と思われる.本個体はクマノミ寄生個体と同 様,全胸脚指節内縁に鋸歯を欠く特徴から,Saito et a.l(2014)によるmancatype 2と類似した.なお, 楕円形の体型と眼が中程度の大きさであることから クマノミ寄生個体と区別できる. ナガサキスズメダイ寄生個体 Unidentifiedjuvenile 3 (infectingNagasaki damsel) (図2E,5) 観 察 材 料 幼 体 ( 体 長 3.8m m), KMNH IvR -500,805, 2014年 12月26日,伊豆大島秋の浜,水深 10 m, ナ ガ サ キ ス ズ メ ダ イ 幼 魚 ( 標 準 体 長 39.4 m m)口腔内. 記載 体型(図2E)は楕円形で,体長は最大体 幅の2.5倍.体色はi淡褐色で濃褐色の斑点が分布す 58

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Can伺 r24(2015) の節で最大;第7胸節は短く,側縁は後方に反る. 底板後端は強く突出する.胸脚(図5C-E) はいず れも把握的,ただし第7胸脚は未発達;第 6胸脚基 節前縁は広く張り出す;全胸脚とも指節内縁に鋸歯 を欠く. 腹部は胸部と区別される(図 2E). 第l腹肢(図 5F) は原節内縁に4本の鈎刺を備える;内肢は長楕 円形;外肢は卵円形.第 2腹肢は左右とも欠落して いた.尾肢(図 5G) 内肢は楕円形で腹尾節を超え る;外肢は内肢より長く,末端に4刺毛を備える; 原節は四角形.腹尾節(図5G) は半円形で長さは 幅の約0綿倍. 宿主魚類 ナガサキスズメダイは,千葉県および 長崎県以南の南日本の岩礁域やサンゴ礁外縁部に 沿ったやや深所に見られる普通種である(益田ら, 1984).本海域では通年見られるものの,やや南方 系のようで冬期は数が減少する.成魚は標準体長 100mm前後であり(田中ら, 2002),大島でも確認 できる.今回の被寄生魚は標準体長 39.4m mの幼魚 であった(図IC). 備考 このウオ/エ類幼体は,第 7胸脚が未発達 であったことから,マンカ幼体直後の成長段階のも のと思われる.本個体は前2個体 (クマノミ寄生個 体およびソラスズメダイ寄生個体)と同様,全胸脚 指節内縁に鋸歯を欠く特徴から, Saitoet al. (2014) によるmancatype2と類似した.また,楕円形の体 型と眼が中程度の大きさであることからソラスズメ ダイ寄生個体に類似していたが,底板後縁が大きく 突出するという差異がみられた. 浮遊期マンカ幼体タイプ4 酢1ancatype 4 (図2F-G, 6) 観察材料 マンカ幼体 5個体(体長 2.7-2.9m m), KMNH IvR-500,806, 2014年 11月12日,伊豆大島秋

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伊豆大島で採

したウオノエ未成

個体

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図5.ナガサキスズメダイ寄生個体Unidentifiedjuvenile 3 (体長3.8mm), KMNH IvR-500,805, 2014年12月26日, 伊豆大島秋の浜,水深10m,ナガサキスズメダイPomacenlrusnagasakiensis幼魚(標準体長39.4mm)口腔内 A,頭部背面;8,同腹面:C,第l胸脚:D,第6胸脚:E,第7胸脚;F,第l腹肢:G,腹尾節背面. の浜,水深4m. 記載 体型(図2F)は構円形で細長い ;体長は 最大体幅の2.5倍.体色は無色;眼は黒色. 頭部(図6A,B) は台形で,前縁は直線的 ;頭部 後縁は第l胸節に湾入する.眼は中くらい.第l触 角は8節で短い.第2触角は12節で長く,第4胸節 中央に達する. 胸部(図2F)は第4胸節が長く,体幅も最大;第 6胸節は短い;第い 第2胸節側縁は前方にやや反 る.底板は小さい(図2G). 胸脚は細長く,いずれ も把握的;第1-第3胸脚指節内縁に鋸歯を備える (図6C,D). 腹部は第7胸節と連続的(図2F).第l腹肢(図 6E) は原節内縁に4本の鈎刺を備える ;内肢は長楕 円形;外肢は卵円形 ;内・外肢とも後縁を羽状刺毛 で縁取られる.第2腹肢(図6F,G)は交尾針を欠 く.尾肢(図6H)内肢は楕円形で長い;外肢は内 肢より短い;内肢縁辺および外肢内縁に刺毛を備え

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図 6. 浮遊期マンカ幼体タイプ4Manca type 4 (体長2.9mm), KMNH IvR-500,806, 2014年 II月12日,伊豆大島秋の 浜,水深 4m.A,頭部背面;B,同腹面;

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,第l胸脚;D,第6胸 脚 ;E,第 l腹肢;F,第 2腹肢 (右側,原節内 縁の鈎刺が未発達); G,同左側原節内縁;H,腹尾節背面.

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る;原節は長く,腹尾節を超える.腹尾節(図 6H) は半円形で長さは幅の約 0.60倍. 備 考 このマンカ幼体は,第2触角が非常に長 く,第4胸節中央まで達する;尾肢原節が長く,腹 尾節を超えるという特徴から, Saitoetal.(2014) によって報告された3タイプのマンカ幼体とは明ら かに異なっていた.なお,これらの特徴はRichard -son (1905)に掲載されるのmothoaoestrum (Linnae -us, 1758)の第い 第 2期幼体に類似する.ただし C O釘trumの幼体の第 2触角は非常に長く,おそらく 腹 部 に ま で 達 す る . 今 回 得 ら れ た 個 体 は Saitoet al.(2014)にない新たなタイプのマンカ幼体であ るため,本報告では 「浮遊期マンカ幼体タイプ4 “Manca type 4"

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と呼称する.

クマノミとソラススメダイの口腔内寄生ウオノエ 類は,昨今のダイビングブームによる海洋生物愛好 家等によって,八丈島,伊豆大島,高知県柏島など で確認されている(石野, 重城,田中,松野私信)• 今回伊豆大島から得られたこれらウオノエ類は,い ずれも幼体であり種同定にはいたらなかった.同様 にナガサキスズメダイに寄生していたウオノエ類も 未同定である.これらの魚種を宿主とするウオノエ 類の知見は見当たらない. ウオノエ類には,マルア ジDecapterusmaruadsi (Temminck & Schlegel, 1843) に寄生するナミオウオノエ Ceratothoacarinata (Bi -anconi, 1869)のように宿主特異性の非常に高い積が 知られるが(Nagasawaetal., 2014),各地で確認され ているこれらウオノエ類が魚種ごとの単一種である か,海域ごとに異なる種であるかは今後調査してい く必要がある. 今回得られたウオノエ類同様,各地で観察されて いるクマノミとソラスズメダイの口腔内寄生ウオノ エ類もそのほとんどは幼体である.寄生された幼魚 は口部が半聞き状態であり,また,不自然な開聞を 繰り返すことから,観察時に被寄生の白星がつく が,口を完全に閉じることのできる成魚については フ ィ ー ル ド で の 確 認 が 難 し い . ク ロ ダ イ Acan -thopagrusschlegelii(Bleeker, 1854)では幼魚期にのみ 鯨腔にエラヌシ属 Mothocyaの幼体の寄生が見られ, 伊豆大島で採集したウオノエ米成熟個体 宿主の成長とともにこの寄生がみられなくなるが (粛藤・米司, 2000),口腔内寄生種では宿主聞の移 動は困難なように恩われ,今後は成魚への寄生の有 無を確認していく必要がある.なお, レンベ(イン ドネシア)では,標準体長 100mm程度に成長した クマノミの口腔内に寄生する,成長したウオノエ類 が撮影されている(和田私信). 八 丈 島 で は ク ロ メ ガ ネ ス ズ メ ダ イ Pomacentrus vaiuliJordan& Seale, 1906C標準体長約 50mmの幼 魚)1個体の口腔内からウオノエ類が確認されたが, このウオノエ類は3日後の観察では姿を消していた (石野私信).本来の宿主への寄生ではない場合,ウ オノエ類は正規の宿主を求めて魚体から離脱するの かもしれない.あるいは何らかの方法で魚によるウ オノエ類の排除に成功したのかもしれない.ウオノ エ類と宿主の関係には未解明な問題が多く,海域や 宿主魚種を拡大しながら,今後も調査を続けていく 必要がある. また,今回 Saitoet al. (2014)にないタイプの浮遊 期マンカ幼体が確認された.本邦からは約 50種の ウオノエ類が知られるが,これらのほとんどはマン カ幼体が不明である.Saitoetal. (2014)の指摘のよ うに,今後は種同定された成熟雌からマンカ幼体を 得て形態の観察を行い,これらの種の特徴を把握し ていく必要がある.また,成長とともに変化する特 徴,および成長段階に関係なく安定した特徴につい ても特定していく必要がある.

証 言

本稿を草するにあたり,粗稿を御校聞いただい た,山内健生博士(兵庫県立大学 自然・環境科学 研究所),フィールドにおけるウオノエ類の寄生情 報をお寄せいただいた,石野昇太氏 CRegulusDiv -ing;八丈島),重城のり子氏(千葉県袖ヶ浦市), 白石拓己氏 CAquariusDivers),田中幸太郎氏(コ ンカラー;八丈島),松野和志氏 CAQUAS;高知県 柏島),和田たか子氏 (J11崎市),並びに SNSコミュ ニティ“ParasiteLovers"のメンバーの皆さんに記し て謝意を申します.

C8

ncer24

015)

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61

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会,東京,466 pp., 247 pls.

峯 水 亮,2000.海の甲殻類.文一総合出版,東京,

344 pp.

Nagasawa, K., Fukuda, Y.,& Nishiyama, M., 2014. Further record of Ceratothoa carinata (lsopoda: Cymothoidae) parasitic on Decapterllsmarlladsi in Japanesewaters. Biogeographぁ16・59-61 中坊徹次 (編),20日. 日本産魚類検索:全種の同定 (第三版).東海大学出版会,秦野, xlix+xxxii+ xvi+2428 pp. Richardson, H., 1905目Amonograph on the isopodsofNorth America.Bulletinof theUnited States National Muse-um, 54:i-liii十1-727. Saito, N., 2012. A new species of cirolanid isopod, ElIrydice nllnomllrai (Crustacea) fromIzu-Ohshima Island, Saga -62

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Cancer 24 (2015) formsof cymothoidisopods(Crustacea: Peracarida) collectedintwo waters ofJapan.CrustaceanResearch, 43: 1-16 粛藤暢宏・米司 隆,2000.クロダイ稚魚に寄生する MOlhocya属(等脚目・ウオノエ科)について.う み う し 通 信 (財団法人水産無脊椎動物研究所), 29:牛6 下村通誉・布村 昇,2010. 日本産等脚目甲殻類の分 類(1).海洋と生物, 186: 78-82 鈴木克美・日置勝三・柏原正尚, 1985.駿河湾におけ るソラスズメダイPomacenlrlls coe/ω,tisの生活史. 東海大学紀要海洋学部, 21: 99-114 田中洋一・山田一幸・坂入智子・鹿川真知子,2002. 水槽飼育下におけるナガサキスズメダイの繁殖と 育成.東海大学海洋研究所研究報告,23: 27-39.

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