2020 年度鳴門教育大学小学校英語教育センターシンポジウム報告 本年度も鳴門教育大学小学校英語教育センターシンポジウムを 10 月 17 日に開催しまし た。 今回のシンポジウムは,「新しい小学校外国語教育がスタート!~よりよい実践を求め て~」をテーマに,琉球大学名誉教授の大城賢先生による基調講演とともに,パネルディ スカッションを通して,新学習指導要領にもとづく外国語教育に先進的に取り組んでこら れた小学校の先生方にそのご報告をいただき,「よりよい実践とするために大切にすべき ことは何か」について,参加者のみなさんとともに考えることを主旨としました。 基調講演では,大城賢先生に「学習指導要領が求める言語活動」と題し,言語活動の再 定義と小学校外国語における評価の意味合いについてお話しいただきました。特に,言語 活動を考えるにあたり,外国語は「言葉の学習」であり,お互いの考えや気持ちを伝え合 うことや,人と人とをつなぐということを意識する必要性を学ばせていただきました。 続くパネルディスカッションでは,まず,徳島県名東郡の佐那河内小・中学校の外国語 教育について,堀井晴美先生(現在は神山町神領小学校)と段本みのり先生より,「子供と 教師がともに伸びる小学校外国語教育」と題してご発表いただきました。同校は,平成 30 年度に策定された「佐那河内村英語教育戦略ビジョン」と新学習指導要領の趣旨を受け, 特に「学級担任主導の授業」と「主体的・対話的で深い学びの実施」の2点を研究課題と した取り組みを行ってきました。学級担任がワークショップ形式研修で外国語授業の理解 を深め,スモールステップで授業を実施することで,授業に対する自信を得るとともに指 導力が向上し,また,他教科との関連づけや小中学校の交流を行ったり,単元の目標を明 確にしたりすることで,児童の学習意欲が高まり,見通しをもって主体的に学ぶ児童の姿 が見られるようになったなどの成果を得ています。 次に,徳島県勝浦郡の生比奈小学校の外国語教育について,同校の戸村美幸先生と秋田 佳世先生より,「主体的にコミュニケーションを図ろうとする児童の育成~豊かな言語活 動をとおして~」と題してご発表いただきました。同校は,平成 30 年度に徳島県外国語部 会の研究指定を受けて,2年間,外国語教育の実践的な研究を行ってきました。児童の自 他理解と自信を育むことを通して主体的にコミュニケーションを図ろうとする態度を育成 することを目的に,①ゴールの明確化,②教材・教具の開発,③他教科等との関連,④言 語活動の設定といった授業づくりの指針を立て,それを実現すべく①体験の場の設定,② 校内環境の整備,③職員研修に取り組んでこられました。その結果,児童の自己理解や他 者理解が深まり,地域の良さを再認識するとともに,外国語に対する興味関心の高まりが 見られるなどの成果を得ています。 以上の実践報告の後,大城先生とともに参会者の皆さまと意見交換と質疑応答の時間を もちました。私が最も印象に残ったことは,いずれの実践においても,地域や学校の特色 を活かした場面設定が行われ,基調講演にて大城先生が強調されていた,お互いの考えや 気持ちを伝え合い,人と人とをつなぐ生きた言語活動が行われているということです。ま た,2 つの実践報告から提起された課題(教師の英語使用や評価のあり方など)は,これ から私たちがそれぞれの現場に持ち帰り,共有の課題として実践の中で検討し,また,さ まざまな機会において議論を積み重ねていくべきものと考えます。 今回のシンポジウムでは,新型コロナウイルス感染予防対策のため,基調講演をインタ ーネット配信により行い,当日のシンポジウムの模様を動画配信する形で行いました。初 めての試みであったにもかかわらず,県内外の現職教員,教育関係者及び学生など 100 名 近くの方々(97 名。会場:44 名,オンライン:53 名)に参加いただきました。 最後に,本シンポジウムに登壇いただいた先生方をはじめ,ご参会の皆さまに,お忙し い中,新しい小学校外国語教育について,ともに理解を深め,また,課題を共有していた だいたことに,この場を借りて,心より感謝の意を表します。ありがとうございました。 (山森 直人) − 87 −
2020年度小学校英語教育センター主催シンポジウム報告
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