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発展途上国へのソフト技術協力 —インドネシア共和国エネルギー需給データバンク設立のための技術協力について—

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事例研究

発展途上国へのソフト技術協力

一一インドネシア共和国エネルギー需給データ

パンク股立のための技術協力について一一

小川芳樹

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はじめに

1970年代における 2 度の石油危機を中心としたエネル ギー情勢のめまぐるしい変動は,エネルギーが人聞社会 を制約する重要な因子の 1 つであることを,われわれに 深く認識せしめた.水や空気と異なって有限で高価な資 源と L 、う基本認識のもとで,われわれはエネルギーの関 与するさまざまな問題の解決を今後追られることになる であろう.このようなエネルギー問題の解明には,信頼 度の高いエネルギ一関連のデータが整合性をもって整理 されることが基本的な条件の 1 つとなっている.エネル ギー・データパンクを必要とする最も根本的な理由はこ こにある. エネルギーに関するデータは,従来各国あるいは国際 的にそれぞれ統計として収集整備され,分析や論策に利 用されてきている.エネルギー・データと L 、う概念は決 して新しいものではないが, 1970年代に入ってから米国

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さない.また,ォベレーションズ・リサーチ (OR) の手

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おがわよしき 日本エネルギー経済研究所 図 1 エネルギー需給データパンク・システムの全体像

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(42) © 日本オペレーションズ・リサーチ学会. 無断複写・複製・転載を禁ず. オベレーションズ・リサーチ

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問題の分析,エネルギー需給の予測といった分野で、も, である.発展途上国が世界の国々と伍して経済発展をと この種の技法はいち早く適用されており [7 , 8J ,大きな げるには,豊富なデータにもとづいて適切な国家エネル 役割を果たすにいたっている.したがって,データの蓄 ギ一計画を策定し,効率的なエネルギーの管理・運営を 積からデータの分析・応用まで一貫した流れの中で行な 行なうことが必要である.最近では,発展途上国を対象 うためにも,コンピュータ上へのエネルギー・データパ としたエネルギー需給計画策定の方法論も研究が進めら ンクの構築は必要である. れてきている [9,

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すでに述べたように,エネルギー・データベースの整 日本エネルギー経済研究所は,国際協力事業団の委嘱 備は,先進国を中心として行なわれてきている.先進国 を受け,インドネシア鉱山エネルギー省およびプルタミ が今後もエネルギー・データベースの整備に努力を払わ ナに協力して,インドネシア共和国にエネルギー需給デ ねばならないことはいうまでもないが,発展途上国は先 ータパンク・システムを設立するための技術協力を 1978 進国以上にエネルギー・データベースの整備に大きな努 年以来実施してきた.本データパング・システムは, 力を払う必要があると考えられる.というのは,先進国 クロ・レベルのエネルギー・データの蓄積からエネルギ が安価な石油資源のもとである程度成しとげた経済発展 ーの需給予測まで一貫したコンピュータ処理を志向した という目標に,発展途上国は有限で高価という厳しい束 ものである.本稿では,技術協力によって設立したエネ 縛条件のもとでこれから挑戦してし、かねばならなし、から ルギー需給データパンク・システムの概要を報告する. エネノレギー・

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類 分 表 1 エネルギー・データ群の分類

エネルギー需給データパンク・シス

テムの概要

図 2

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利用することである. 図 2 に示すように,細かし、レベルの原データ群は,エ ネルギー源,データ・カテゴリー,消費セクターなど異 なった視点から種々に分類することができ,一種の階層 構造となっている.このデータパンクでは,そこで表 i に示すいくつかの視点から各種のキーコードを準備し て,データ特性を分類するのにふさわしいキーコードを データに付加してデータ格納を行なっている.データパ ンクに登録するデータは,システム全体の最も基礎とな るものである.データ・コーディングはすべて手作業で 行なわれるので二重三重のチェック体制をしき,エラー の修正にあたっている. データ入力ソフトウェアは,データをキーコードごと にチェーンして,データパンク内にキーコードのリスト 構造を形成するようになっている.したがって,データ 検索ソウトウェアを用いれば, t 、くつかのキーコードを 指定してクロスさせることにより,目的のデータを容易 に抽出することができる. ミクロ・レベルのエネルギー 需給データパンクでは,こうしたキーコードによる検索 の他に,集計したマクロ・レベルのエネルギー・データ を定まった様式の統計表として出力する機能をもって L 、 る.インドネシア共和国の場合は,原油,石油製品,天 然ガス,石炭,電力に関連する総計 111 の統計表を出力 するデータ編集ソフトウェアが開発された.このデータ パンクには, 1974年からのデータ蓄積が開始されてお り,データ件数は現時点まで、で総計20万件に達する予定 インドネシア共和国に設立されたエネルギー需給デー タパンク・システムは,次の 6 シス、テムを連繋すること により,有機的に機能する. ①ミクロ・レベルのエネルギー需給データパンク・シ ステム ②マクロ・レベルのエネルギー需給データパンク・シ ステム ③エネルギー・コスト/エネルギー技術データパンク .システム ④エネルギー・パランス計算システム ⑤エネルギー需要予測システム ⑥エネルギー供給計画システム これらの計算システムは,プルタミナがもっ IBM大 型コンピュータ上に構築された.図 1 に全体フローを示 し,以下で各システムの内容を述べる.

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ミクロ・レベルのエネルギー需給データ パンク・システム エネルギーに関するデータは,きわめて細か L 、レベ ル,たとえば油井別,製油所別,プラント別,販売地域 別といったレベルで,多種多様にわたっている. ミクロ ・レベルのエネルギー需給データバンク・システムを設 置する目的は 2 つある.第 1 は,上述のような細かL 、レ ベルでのデータを蓄積し,国家レベルのエネルギ一計画 を検討するために必要なマクロの基礎データを集計する ことである.第 2 は,これらのデータを時系列分析など 種々の分析にかけ, ミクロ・レベルのエネルギ一分析に オベレーションズ・リサーチ

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である.

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マクロ・レベルのエネルギー冊給データ パンク・システム マクロ・レベルのエネルギー需給データパンクを設置 する主目的は, ミクロ・レベルのエネルギー需給データ パンク・システムと後述するエネルギー・パランス計算 システムあるいはエネルギー需要予測システムとの有機 的に連関を効率ょくするためである.エネルギー・パラ ンス計算システムやエネルギー需要予測システムにおい て基礎なるデータは,国家レベルのオーダーに集計され たマクロなエネルギー・データである.したがって,こ れらのシステムを作動させるたびに, ミクロ・レベルの エネルギー需給データパンク・システムを用いて集計を くりかえすのは,きわめてわずらわしい操作となる.こ のような問題を解消するため,マグロ・レベルのエネル ギー需給データパンクが設定された. このデータパンクを構成するデ}タの大半は, ミクロ ・レベルのエネルギー需給データパンクのデータを集計 したものである.後述するエネルギー・パランス表のデ ータもこのデータパンクに登録し,エネルギー需要予測 システムの基礎データとして使用したり,各種の時系列 分析に利用したりすることができる.エネルギー需要予 測システムでは,基礎データとしてマグロ経済データを 欠くことができない.マクロ経済データは,コーディン グ作業を経て,直接このデータパンクに登録されるよう になっている. ミクロ・レベルのエネルギー需給データパンクは,各 データ値に多彩なキーコードを付加して整理したが,マ クロ・レベルのエネルギー需給データバンクでは,各デ ータを変数名で分類し,時系列にチェーンすることで整 理している.データパンクの構造は, ミクロ・レベルの エネルギー需給データパンクに比べれば,はるかにシン プルである.必要なデータを抽出した L 、場合は,変数名 を指定すればよく,:iE確な変数名の指定では 1 種類のデ ータを検索することができる.変数名の中に“* "を入 れることにより,“* "以外の文字が合致するすべての変 数を検索する機能も設けられているので,複数の変数を 1 回の検索で呼び出すこともできる. マクロ・レベルのエネルギー需給データパンク・シス テムには,四則演算を用いてデータを加工する機能や時 系列でデータをプリントしたりプロットしたりする機能 もついている.したがって,主目的で‘述べた役割を果た す他に,マクロ・レベルのエネルギー・データの分析を 行なうことも可能である. このデータパンクには,手作業での入力も含めて 1969 表 2 コスト・データ/技術データの分類

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データ・カテゴリー 2. フィールド 3. 会社 4. 期種 5. データ属性 年から現時点までのエネルギー需給データ,エネルギ一 価格データ,一般マクロ経済データが蓄積された.

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エネルギー・コスト/エネルギー技術 データパンク・システム コスト・データと技術データは,エネルギ一関連のデ ータの中で,エネルギー需給データとならんで重要なデ ータの一群を形成している.池田,ガス回,炭固など (1 次エネルギ一生産)や製油所, LNG プラントなど (2 次エネルギ一転換)の投資コスト,オベレーション・コ ストなどがコスト・データに該当する.技術データとし ては次エネルギ一生産源、や 2 次エネルギ一転換プラ ントの能力,得率,稼動率,熱効率,自家消費率などが 掲げられる.これらのコスト・データおよび技術データ は,エネルギー供給フローにおけるコストの総和を最小 化して最適解を求めるエネルギー供給モデルの重要な基 礎データの 1 っともなるものである. 本データパンクで・は, コスト・データおよび技術デー タを表 2 に示すような 5 種の観点から大分類して整理し ている.各大分類は,それぞれさらに細かし、中分類,小 分類をもっており,これらの分類情報がキーコードとな って各データに付されている.データパンクの検索は, ディスプレイ端末を利用して会話形式で行なうことがで きる.データ検索のためのキーコードは必ずしも覚えて いる必要はなく,コマンドで指示すればディスプレイ上 に表示されるようになっている. 検索したデータの編集に関しても,行と列に並べたい データのキーコードを端末から与えてやることにより, 検索者の希望する形のテープルに編集することが可能で ある.データパンクに登録している単位とは異なった単 位で、の出力が指示された場合,変換可能であればシステ ムで自動的に単位変換が行なわれるようになっている. データの加工機能としては,検索・編集した生データの 2 次元マトリックスをベースにして,①構成比の計算, ②伸び率の計算,③四郎演算,④数値のプロットと L 、っ たことが行なえるようになっている. エネルギー・コスト/エネルギー技術データパンク・ システムでは,以上述べた検索機能や加工機能を駆使し て,コスト・データあるいは技術データの時系列変化や

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訂版 コ石 屯| l 油| ーーー+ ク 製ー圃ー+ 炭 j由 ス品 jJ るようになっている. 図 4 にインドネシア共和国で作成し たエネルギー・バランス表の例を示す. インドネシア共和国の場合,石炭,原 油,石油製品,天然ガス, LNG ,薪, 農業廃棄物,電力など総数で 52個のエ ネルギー源を合計の欄も含めて行に配 しており,列には図 4 に示すような 61 個のさまざまな経済活動部門を配して いる.こうした 52行 x61 列のマトリッ クスを用いて表示することにより,生 産あるいは輸出入による 1 次エネルギ ー供給の動き次エネルギーの投入 による 2 次エネルギーの産出などエネ ルギ一転換の動き,エネルギ一転換の ための自家消費の動き,需要家による エネルギーの最終消費の動きが,国全 体といったマクロな視点から整理でき るようになる. f J

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今回の技術協力では, 1969 年から 1980年まで過去 12年間のエネルギー・ パランス表が作成された.エネルギー ・パランス表はこれまで先進国を中心 民生)

L一一__-.-L 図 3 エネルギー・パランス表の概念様式 各種の比較といった分析を行なったり,エネルギー供給 モデルで利用するデータの抽出を行なったりできるよう になっている.

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エネルギー・バランス計算システム 一国のエネルギー経済を概観,分析するためには,エ ネルギーの生産,輸出入,転換,消費などエネルギー・ フローの全体をおさえ,異なるエネルギ一間の相互関係 を把揮する必要がある.このようなエネルギー・フロー を統計表として表示するには,縦行に種々のエネルギー 資源を配し,横列に経済活動の各部門を配するマトリッ クスの型をとって共通単位で整理することが最適であ る.この概念様式を図 3 に示す. エネルギー・バランス計算システムの目的は,エネル ギー・パランス計算式にしたがって,マクロ・レベルの エネルギー需給データパンクから基礎データを呼び込 み,エネルギー・バランス表を作成することである.エ ネルギー・パランス表の共通単位には, 石炭換算トン ( 7 X 106 kcal で定義)を用いている.計算システムは, エネルギー・バランス表の他に,各エネルギー源を固有 単位で表示した物量バランス表,行と列を集約した簡約 エネルギー・バランス表も計算し,出力することができ

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(46) として整備されてきており,イギリス [11, 12J ,西ドイツ【 13 , 14J ,日本 [15, 16J といった 国々では継続的に作成されている.国際的には,国際エ ネルギ一機関 (1 EA) が,標準的なフォーマットにも とづいて比較的簡約なエネルギー・バランス表の整備を 長年努力してきている [17J. 発展途上国に関しては,し かしながら十分なエネルギー・バランス表の整備は行な われておらず, 1 EA が単発的に実施した単純なエネル ギー・パランス表の作成を掲げることができるだけであ る [18]. 図 4 に示したようにかなり複雑なエネルギー・ パランス表の整備が行なわれたのは,発展途上国の中で は,インドネシア共和国がはじめてのことである.

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エネルギー需要予測システム 1 章でも述べたように,エネルギー需給データパンク ・システムを設置する目的は,正確なデータにもとづい て過去・現在を分析し,将来を適確に予測し,将来への 考え方を整理するための最も有効な道具として使用する ことである.この目的のために,本節で述べるエネルギ ー需要予測システムと次節で述べるエネノL ギー供給計画 システムが設けられている. エネルギー需要予測 γ ステムは,過去の実績値を回帰 分析し,構造式を求める作業を行なう回帰分析ソフトウ オベレーションズ・リサーチ © 日本オペレーションズ・リサーチ学会. 無断複写・複製・転載を禁ず.

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1 次エネルキ 供給 図 5 エネルギー需要モデルのフロー ェアと構造式群と定義式群をくみあわせてモデリンク し,計量経済学的手法で予測作業を行なう計量モデル・ ソフトウェアを装備している.インドネシア共和国の場 合,このシステムを用いて比較的単純なエネルギー需要 予測モデルを構築し,中長期のエネルギー需要予測を試 行した.図ラにエネルギー需要モデルのフローの概要を 示す. エネルギー需要モデルで,エネルギ一部門の基礎とな るデータは,エネルギー・バランス表である.しかしな

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(48) がら,インドネシア共和国の場合,図 4 に掲げた詳細な エネルギー・パランス表を用いてエネルギー需要モデん を構築するには,産業別の鉱工業生産指数がないなど一 般マクロ経済データの整備が不十分であった.そこで, エネルギー・ハランス表の行と列を集約した 27行 x20列 の簡約エネルギー・パランス表を作成して,エネルギー 需要モデルの構築を行なった. 回帰分析ソフトウェアでは般マクロ経済データ間 あるいは一般マクロ経済データと簡約エネルギー・ノミラ オベレ}ションズ・リサーチ © 日本オペレーションズ・リサーチ学会. 無断複写・複製・転載を禁ず.

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ンス表の最終消費部門との間の構造式の推計を行なって いる.回帰分析により求めた構造式と定義式をくみあわ せて,計量モデル・ソフトウェアでは部分テスト,全体 テスト,最終テストをくりかえし,エネルギー需要モデ ルを改修できるようになっている.テストに必要な実績 データは,マクロ・レベルのエネルギー需給データパン クから呼び込まれてくる. エネルギー需要予測は,予測指示データにしたがっ て,外生変数を推定伸び率あるいは推定値の形で与え, 計量モデル・ソフトウェアで行なっている.外生変数の 伸び率あるいは値は容易に変更できるようにしてあり, 種々のモデル・シミュレーションが可能である.エネル ギ一部門の予測結果は,エネノレギー・パランス表の形に まとめて表示される.図 6 に, 1980年の実績と 1990年の 予測結果を例示する.

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エネルギー供給計画システム エネルギー供給計画システムは,エネルギー需要予測 システムあるいは別の視点から推計されたエネルギー需 要見通しに合致するエネルギー供給を実現するために は,どのような資源の供給,転換などが必要であるかを 分析するシステムである.分析手法として,本システム では線形計画法を採用しており次エネルギー供給か らエネルギー最終消費までの各種コスト( 1 次エネルギ ー・コスト,転換コスト,国内輸送コストなど)の総和 を最小化することを目的関数として,エネルギー供給の 分析ができるようになっている.図 7 にエネルギー供給 モデルのフローの概要を示す. エネルギー供給モデルは次のエネルギーの価格お よび運賃,エネルギ一生産設備の固定費と変動費,エネ ルギ一生産設備の機能,最終エネルギー製品別輸出入価 格および運賃,国内輸送経費,最終エネルギー製品の熱 量換算係数,最終エネルギー製品の最終需要セクターへ の行き先などデータにもとづいて構築されている.エネ ルギー供給モデルに対して,有界条件として 1 次エネル ギーの生産上限,輸出入のアベイラビリティ,エネルギ 一生産設備の既設能力,セクター別の最終需要などを入 力すると,技術的な束縛条件なと.種々の制約を加味しな がらコスト・ミニマムで最適なエネルギー供給パターン を求めることができる.エネルギー供給モデルからの基 本的な出力情報は,必要な i 次エネルギー供給量,エネ ルギ一生産設備の新・増設スケジューノレおよび投資額, 最終エネルギー製品の評価額,最終エネルギー製品の輸 出入量などである. インドネシア共和国の場合,①スマトラ,ジャワ,そ の他と 3 つの地域に分け,エネルギー需給の地域特性を 織り込むようにしたこと,②20年から 25年の分析期間全 体に対して 5 年ごとのマトリックスを連結して,設備寿 命,設備投資などを受け渡し時系列で分析できるように したこと,③石炭ガス化・液化,パイオマス,パイオガ スなど新エネルギーの選択枝も豊富に仕組んだことなど が,エネルギー供給モデルの大きな特徴となっている.

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おわりに 2 章で詳述したような形で,日本エネルギー経済研究 所は,インドネシア共和国に対して,エネルギー需給デ ータパンク設立のための技術協力を行なってきた.本デ ータパンク・システムを利用して分析した成果は,イン ドネシア・エネルギー需給データパンク・システム作業 チームにより ASEAN 諸国の ASCOPE 会議で報告さ れ [19J ,大きな反響を呼んだ.インドネシア共和国は, 1983年からスタートした第 4 次国家経済開発計画で,① 潜在エネルギー源の開発,②省石油,エネルギー源の多 様化,③省エネルギー,④エネルギー利用の効率化をエ ネルギーの政策目標として掲け.ているが,本データバン ク・システムは,エネルギー需給計画策定のための基礎 解析にも大いに利用された.いささか手前味噌ではある が,本技術協力はインドネジア側からも高く評価され, 深い感謝の意をもって受け入れられたしだいである.こ のようなソフト技術協力が発展途上国への技術協力の中 で,なぜ相手国側から,かくも高い評価を受けたのかを 考えてみることは,今後のわが国の対外技術・経済協力 のあり方を占ううえできわめて重要であろう. 多くの西欧各国が軍事援助,兵器供与を援助の柱とし て発展途上国に接近する中で,日本にとっては,経済援 助や技術協力が,加工貿易国に必要な原料資源を確保し ていくためにも,有効な武器の 1 つとなって L 、くはずで ある.発展途上回への日本の技術協力は, これまでダ ム,発電所,石化プラントの建設などハード面での技術 協力が中心であった.しかし,中国でのプラント建設中 止問題などにもみられるように,広い意味でのソフト函 の技術協力を抜きにしたハード面だけの技術協力が必ず しも良好に機能するとは考えられない.相手国の経済計 画や産業計画などとの有機的な連関を深く配慮しないハ ード技術の協力には問題があるといえよう. 本稿で報告したエネルギー需給データパンク技術協力 は, ソフト面での技術協力の典型的な事例である. ダ ム,道路,プラント建設といった華々しさはないが,相 手国側の人材を育て,相手国側に計画策定のための重要 な道具立てを提供する地道な協力である.冒頭で述べた ように,発展途上国が,現在のようなエネルギ一事情を 束縛条件として,先進国と同様の経済発展をとげること

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図 B エネルギー需要予測の結果例(1 974年,部分,単位 1000石炭換算トン)

(10)

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図 7 エネルギー供給モデルのフロー は至難のわざである.このような現実を切実に感じれば 感じるほど,人材を育て,合理的な計画のもとで将来に 立ち向かいたい,という発展途上国の要請も強いもので あろう.インドネシア研修生の熱心さに,そのことを深 く感じたしだいである. ソフト面を中心とした発展途上国への技術協力にも力 を注ぐべき時期がきているのではなかろうか.ソフト技 術の協力が,ダムやプラントの建設に比べて,巨額の援 助費用を要するものであるとは到底考えられない.この 協力の利点は,相手国の中枢部との間に深い人的交流が 形成されていくことである.もちろん,このような技術 協力は,単独で採算の合うものではないし,予想外に長 い年月を要するものとなろう.したがって,形成された 人的交流を通して種々の計画を推進し, トータルとして 収支を勘定する広い視野をもつことが必要である. 幸いにも,最近はコンピュータのコンパクト化が急速 に進展し,パーソナル・コンヒロュータがかつての大型コ ンビュータの役割を果たすようになってきている.コン ビュータの価格も小型化にともない急速に低下してお り,タイプ・ライターと向じようにコンピュータの大衆 化が激しい勢いで進みはじめている.パーソナル・コン ピュータによるエネルギー・データベースの整備こそ今 後発展途上国で考慮されるべき方向性を示しているとい えよう. 参芳文献

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図 4 エネルギー・バランス表の出力表(1 979年,部分,単位 1000石炭換算トン)
図 B エネルギー需要予測の結果例(1 974年,部分,単位 1000石炭換算トン)

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