Title
超高速精紡機の開発( 内容の要旨(Summary) )
Author(s)
加藤, 久明
Report No.(Doctoral
Degree)
博士(工学) 乙第044号
Issue Date
2004-03-25
Type
博士論文
Version
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12099/1716
※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。氏 名(本籍) 学 位 の 種 類 学位授与番号 学位授与日付 専 攻 学位論文題目 加 藤 久 明(滋賀県) 博 士(工学) 乙第 44 号 平成16 年 3 月 25 日 生産開発システム工学専攻 超高速精紡機の開発 (Thedevelopmentofsuperhighspeedspinningmachine) 学位論文審査委員 (主査)教 授 岡 村 政 明 (副査)教 授 丸 井 悦 男 教 授 三 輪 葺
論文内容の要旨
紡績工業は,日本の近代工業化め先駆けとして多くの先人達の努力により目覚ましい発 展を遂げ,国民生活の向上に寄与してきた.しかし,それは,大きな原綿の塊から太くて長いロープ状の繊維の束を作り,それを何度も引き伸ばして細くし撚を加えて糸とするた
め,非常に多くの工程が必要である.また,後工程になるほど生産速度が遅く,生産機械 の台数を多く必要としている.特に,精紡工程は生産速度が最も遅く,膨大な数の機械 を必要とするとともに,糸製造コストは精紡工程とその前後の粗紡,巻返し工程で,全体 の80%を占めている.したがって,精紡工程の高速化と,その前後の粗紡,巻返し工程の 省略化を実現することが紡績工業の最も重要な課題となっている・ 本研究は,この課題を解決するために,現在の主流であるリング精紡機の30倍以上で ある500m/minの生産速度を可能とする独自の超高速フリクション精紡機を開発するこ とを目的とした. 第1章では研究の背景及び目的を示した.高速化の最も重要なポイントは,糸端に如何 に多くの撚を入れるかであり,それには加撚効率の向上は勿論のこと,高速で多量の繊維 を処理できる開織部,多量の繊維を安定して移送できる繊維移送乱最適な繊維集束状態 になるように設計された繊維集束部が必要であることを述べている. 第2章では,高加撚が可能なフリクション精紡機の設計思想と,製作した精紡機の各部概要を示す.つぎに,実際に糸の紡出を行い,最適な繊維集束部を実験によって決定する・
繊維集束臥特に,多孔ローラに内在するサクションパイプの形状は,・繊維集束めための空気の流れの状態を決定し,可紡性や糸特性に強い影響を与える.この形状を最適にする
ことにより,飛躍的に加撚効率が向上し,糸特性も向上することを示す. 第3章では,最適な繊維移送チャンネルの形状とサクションパイプとの相対位置につい て実験的に決定する.つぎに,繊維移送チャンネル各部の空気流速の測定結果と数値シミ ュレーション結果から,空気流れの状態と可紡性や糸特性の関係を考察する.これより, 繊維集束のための空気流れの状態は,サクションパイプだけでなく,繊維移送部の形状に-104-密接に関係していることを明らかにする. 第4章では,加撚に影響する要因(ゴムローラの振れ,ゴムの材質,ローラ間隙など)
について,最適な設計や選定を行うと,高加撚が実現できることを示す・まず,ゴムロー
ラの振れは,その支持構造を片持構造から両持ち構造へ変更することにより減少すること を有限要素法と実際の測定結果で示す.そして,ローラの振れが減少すると加撚量が増加 することを実際の紡出結果から示す.つぎに,ゴムローラの材質が,加撚効率,糸特性に 大きく影響することを示す.さらに,ローラ間隙等の加撚部分の構成条件を最適にすれば, 30万撚/分の加撚が可能であることを示す. 第5章では,紡出糸の構造の特徴と,糸構造と糸特性の関係を明らかにする・2色スラ イバやトレーサ繊維を利用して糸中の繊維の状態を検討した結果,糸中の繊維の位置は供 給スライバ中の繊維の位置によって決まること,リング糸と異なったマイグレーションを 持つこと,ファイバーエクステントが小さいことなどを示す.つぎに,紡出条件を変えたときの紡出状態の違いと糸構造,糸特性の関廃を示す.
第6章では,本精紡機で500m/minの超高速精紡が可能であることを示し,紡出速度と 糸特性の関係を明らかにする.ついで,紡出番手と糸特性の関係を検討し,さらに,綿, アクリル,ポリエステルを用いて紡出し,蘭維原料の違いと糸特性の関係を検討して,多 様な番手および繊維原料が利用できることを明らかにする・第7章では,各章で得られた結果をまとめて結論とした.
論文審査結果の要旨
紡績における精紡工程は生産速度が最も遅く,、膨大な数の機械を必要とするともに・ 糸製造コストは精紡工程とその前後の粗紡,巻返し工程で,全体の80%を占めている・したがって,精紡工程の高速化と,その前後の粗紡巻返し工程の省略化を実現することが
紡績工業の最も重要な課題となっている・ 本研究は,この課題を解決するために,現在の主流であるリング精紡機の30倍以上でぁる500m/minの生産速度を可能とする独自の超高速フリクション痛紡機を開発するこ
とを目的とした.第1章でほ研究の背景及び目的を示した.高速化の最も重要なポイントは,糸端に如何
に多くの撚を入れるかであり,それには加撚効率の向上は勿論のこと,高速で多量の繊維 を処理できる開織部,多量の繊維を安定して移送できる繊維移送部,最適な繊維集束状態 になるように設計された繊維集束部が必要であることを述べている・ 第2章では,高加撚が可能なフリクション精紡機の設計思想と・製作した精紡機の各部 概要を示す.特に,多孔ローラに内在するサクションパイプの形状は,繊維集束のための 空気の流れの状態を決定し,この形状を最適にすることにより,飛躍的に加撚効率が向上し,糸特性も向上することを示す.
第3草では,最適な繊維移送チャンネルの形状やサクションパイプとの相対位置を実験 的に決定する.つぎに,繊維移送チャンネル各部の空気流速の測定結果と数値シミュレー ション結束から,繊維集束のための空気流れの状態は,サクションパイプだけでなく,繊維移送部の形状に密接に関係していることを示す・ 第4章では,加撚に影響する要因(ゴムローラの振れ,ゴムの材質・ローラ間隙など) について,最適な設計や選定を行うと,高加撚が実現できることを有限要素法と実際の測 定結果で示す.そして,ローラ間隙等の加撚部分の構成条件を最適にすれば,30万撚/分 の加撚が可能であることを示す.