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劇症肝炎の予後に影響を及ぼす因子に関する臨床的検討

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Academic year: 2021

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Title

劇症肝炎の予後に影響を及ぼす因子に関する臨床的検討( 内

容の要旨(Summary) )

Author(s)

越野, 陽介

Report No.(Doctoral

Degree)

博士(医学)乙 第1081号

Issue Date

1996-11-20

Type

博士論文

Version

URL

http://hdl.handle.net/20.500.12099/15188

※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。

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氏名 (本籍) 学位の種類 学位授与番号 学位授与日付 学位授与の要件 学位論文題目 審 査 委 員 越 野 陽 介(岐阜県) 博 士(医学) 乙第 1081 号 平成 8 年11月 20 日 学位規則第4条第2項該当

劇症肝炎の予後に影響を及ぼす因子に関する臨床的検討

(主査)教授

藤 泰 敏 (副査)教授 高 見 剛 教授 野 間 昭 夫 論 文 内 容 の 要 旨 劇症肝炎は,1946年にLuck占らによって致死的な肝炎として報告されて以来,死亡率の高い疾患として知ら れている。我が国では,1974年∼1977年の全国調査の時点で平均生存率は16.6%であり,以後,診断および治 療法の進歩により生存率が上昇する傾向にあるものの依然として予後不良であり,1989∼1992年の厚生省難治 性の肝炎調査研究班の劇症肝炎全国集計においても生存率は30.3%である。これに対して,諸外国においては 肝移植が数多く行われており,我が国においても近い将来,肝移植などの新たな治療法が導入されると予想され るが,肝移植を行うためには劇症肝炎の発症早期にドナーの確保などの準備を開始しなければならず,したがっ て早期の予後予測が不可欠と考えられる。 そこで,申請者は自験例を用いて劇症肝炎の各種因子と予後との関連を明らかにすることを目的として臨床的 検討を行った。 対象と方法 1979年より1992年までの問に岐阜大学第1内科に入院した劇症肝炎47例を対象とし,パラセクモールが原 因と考えられる急性肝不全例は除外した。初発症状発現後10日以内に昏睡Ⅱ度以上の脳症を来す劇症肝炎急性 型(FHA)は28例,初発症状発現後11日以降に昏睡Ⅱ度以上の脳症を来す劇症肝炎亜急性型(FHS)は19例 であった。また,対象症例47例中,生存16例,死亡31例で全体の生存率は34.0%であった。 成因は,薬剤の既往歴がなくIgM型HA抗体陽性かつ1gM型HBc抗体陰性のものをA型,1gM型HA抗体 陰性かつIgM型HBc抗体陽性のものをB型,いずれも陰性のものをnAnB型とし,IgM型HA抗体.IgM型 HBc抗体がいずれも陰性でt 疑わしい薬剤歴のあるものは薬剤性とした。 プロトロンビン時間(PT),へパブラスチンテスト(HPT),血清総蛋白量(TP),アルブミン(Alb),総ビ リルビン(T.Bil.),直接ビ1)ルビン(D.Bil.),GOT,GPT,コリンエステラーゼ(ChE),総コレステロー ル(TC).クレアチニン(Cre).アンモニア(NH3),血柴遊離アミノ酸濃度の測定は自動分析器により,血清

a-fetoprotein(AFP)濃度の測定はRIA法により,血清human hepatocytegrowth factor(hHGF)濃度の 測定はhHGF測定キットにより測定した。グルカゴン負荷試験は.負荷前の採血の後.グルカゴン1mgを静注 し15分後に採血し,血祭cAMP濃度をRIA法にて測定し,CAMPの増加量(△cAMP15)を求めた。全肝CT 総値(ICTN)は,腹部CTで得られた各スライス毎の肝の面積とその平均CT値を計測し数値積分を行って求め た。早期集中治療スコアは,1)昏睡Ⅱ度以内の特殊療法の開始,2)早期のfVH管理,3)早期のprotease inhibitorの投与開始,4)入院ないし診断から24時間以内の血祭交換療法の開始,5)早期からのグリセオール あるいはマンニトールの投与など,の5項目の中,4項目以上(4点以上)のものを"早期集中治療"施行とみな した。 結果と考察 1)初発症状から脳症発現までの日数は3∼43日で,10日以内に脳症が発現した症例が死亡群で48.3%であっ

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ー81-たのに対し生存群で81.3%と有意に多かった(P<0.05)。また,初発症状から肝性脳症発現までの日数ごとの ROC曲線を描くと10日以内の群(すなわち急性型)と11日以降の群(すなわち亜急性型)で予後に差異が認 められた。 2)背景因子では.年齢が死亡群で48.9±20.0歳であったのに対し生存群で39.3±15.3歳と若い傾向が認め られた。重篤な基礎疾患の有無には差が認められなかった。成因では,生存群でA型が多く,死亡群でnAnB型 が多い傾向が認められた。 3)脳症発現時の検査成績では,血清T.Bil濃度,D/T.Bil比に生存・死亡群間で有意差が認められた。 PTが10%未満を示した症例の比率は,生存群に比し死亡群で有意に高かった。経過中の血清AFP濃度および 血清hHGF濃度の最高値には生存・死亡群問で有意差が認められた。 4)入院時の腹部CTから求めたICTNは,死亡群の28.9±15.1P・Huに対し生存群では41.8±13.O B・Hu と有意に高かった(P<0.05)。 5)ロジスティック・モデルによる多変量解析を用い脳症発現時点において予後に寄与する因子の推定を行っ た結鼠 年酪 臨床病型,PT,D/T.Bil比の4変数からなるモデルを作成した。このモデルにおいて,死亡 のリスクは,年齢が10歳増加するごとに1.4倍,臨床病型が亜急性型の場合に11.8倍,PTが10%減少するごと に3.2倍,D/T.Bil比が0.1減少するごとに1.8倍になるという結果が得られた。このモデルを使用した場合 の予後の正診率(predictive accuracy)は0.809と良好な予後判別結果が得られた。 6)経過中に発生した合併症や各種治療法をも含めて予後に影響を及ぼす因子についてロジスティック・モデ ルを用いて検討した結果,年齢,臨床病型,PT,D/T.Bil比とともに,各種治療法のなかでば`早期集中治療'' 施行の有無が予後に影響を及ぼしていた。 7)治療経過の推移をみると,脳症発現5日後の肝性脳症およびPTの改善の程度には生存群と死亡群の問で 有意な差異が認められたことから,脳症発現5日後の昏睡度とPTの推移は予後予測の上できわめて有用と考え られた。 以上より,ロジスティック・モデルによる多変量解析の結果から,劇症肝炎の治療に際しては"早期集中治療" で挙げた各項目を確実に実施することが生存率の向上につながると考えられた。また.同時に多変量解析より得 られた予後予測式を用いること,および脳症発現後5日間の昏睡度とPTの推移を観察することが,早期に劇症 肝炎の予後予測を行う上で簡便かつ有用性が高いことが示唆された。 論文審査の結果の要旨 申請者 越野陽介は,多数の劇症肝炎症例の検討により,脳症発現時点での予後予測に有用な因子とそのリス クの程度を明らかにし,さらに昏睡度とPTの経目的推移が重要な予後の指標になることを示した。これらの新 知見は,消化器病学とくに肝臓病学の進歩に少なからず寄与するものと認める。 〔主論文公表誌] 劇症肝炎の予後に影響を及ぼす因子に関する臨床的検討 岐阜大医紀 44(4):497∼509,1996

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