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日本におけるリサイクルの現状と課題

著者

鈴木 悠

雑誌名

東洋大学大学院紀要

51

ページ

181-205

発行年

2014

URL

http://id.nii.ac.jp/1060/00007319/

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要旨

最大のごみ問題は、最終処分場の枯渇である。現在、最終処分場の残余容量は減少の一途 を辿っており、2012年度には1億1,200万m3で2000年度と比較して5,300万m3も減少している。 しかし、最終処分場はNIMBY施設であり、新設することが極めて困難であるため、最終処 分場の延命化は必須である。 そこで本稿では、日本におけるリサイクルの現状と課題について、一般廃棄物を対象に検 討し、代表的なごみ種である古紙、プラスチック、厨芥類を取り上げ、さらなるごみの減量 やリサイクルを推進するための方策を検討した。 第1に、可燃ごみのなかで最も多い「古紙」のリサイクルの現状と課題について明らかに した。古紙リサイクルの課題として、①禁忌品等の周知不足、②紙分野における古紙利用率 の低さ、③古紙の持ち去り、の3点が挙げられる。この課題を解決するためには、①自治体 や関係各所が精力的に情報を提供すること、②回収方法に経済的手法を採用すること、③条 例による規制、が有効である。 第2に、可燃ごみのなかで2番目に多い「厨芥類」のリサイクルの現状と課題について明ら かにした。厨芥類は生ごみや調理ごみ等を包括する概念であり、その課題として、①家庭や 企業における発生抑制や再生利用の義務付けが無い、②再生利用方法が限定的、③自治体に よっては厨芥類リサイクルシステムが機能しない、の3点が挙げられる。この課題を解決す るためには、①自治体の責務を具体化すること、②再生方法の選択肢を拡大させること、③ 複数の自治体で広域的に処理すること、が有効である。 第3に、可燃ごみのなかで3番目に多い「プラスチック」のリサイクルの現状と課題につい て明らかにした。プラスチックリサイクルの課題として、①分別が困難な製品が多い、②マ テリアルリサイクルの割合が低い、③自治体や消費者の負担が大きい、の3点が挙げられる。 この課題を解決するためには、①製品設計の段階で分別を容易にすること、②マテリアルリ サイクル率を設定すること、③特定事業者に収集業務を行わせること、が有効である。

日本におけるリサイクルの現状と課題

経済学研究科経済学専攻博士後期課程1年

鈴木  悠

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最後に、以上3品目のリサイクルに対する考察から、今後日本のリサイクル推進における 取り組み課題を抽出し、整理した。 キーワード 最終処分場延命化、古紙リサイクル、厨芥類リサイクル、プラスチックリサイクル 目次 1.はじめに 2.リサイクルの目的 3.一般廃棄物の現状 3.1.排出量の推移 3.2.組成 3.3.処理事業経費の推移 4.古紙リサイクルの現状と課題 4.1.古紙リサイクルの現状 4.2.古紙リサイクルの課題 4.3.課題解決のために 5.厨芥類リサイクルの現状と課題 5.1.厨芥類リサイクルの現状 5.2.厨芥類リサイクルの課題 5.3.課題解決のために 6.容器包装プラスチックリサイクルの現状と課題 6.1.容器包装プラスチックの現状 6.2.容器包装プラスチックの課題 6.3.課題解決のために 7.おわりに

1.はじめに

人間の日常生活で「ごみ1」に出会わない日はないほど、身近なものである。しかし、手 から離れたごみの行方を知ったり考えたりすることは少ない。日本では今日まで無秩序な焼 却処理や最終処分場への直接埋め立て処理が多用されてきたからである。この事実は日本だ けではなく、多くの先進国や途上国で行われてきた代表的なごみ処理方法の一つである。 ごみの焼却処理は、以前から広く行われてきた最終処分場への直接埋め立てに変わる方法 として、日本で積極的に導入された。焼却処理によって衛生的な中間処理を行い、最終処分

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場残余容量の急速な減少に歯止めをかけることができた。その一方で、焼却処理は数多くの 問題を顕在化させた。その代表的な問題が、ダイオキシン問題である。しかし、その処理に よって発生する化学物質は、焼却炉製造メーカーでさえも把握できていない2。さらに、ご みの焼却処理によって焼却処理施設周辺の住民らに健康被害を発生させたり、焼却処理施設 の跡地や周辺の土地が有害物質で汚染されていたり等、焼却処理に関する諸問題は数多くあ り、今後も悪影響を及ぼす可能性がある。 また、ごみの無計画な処理によって、ローカルな問題として、不法投棄や焼却灰の埋め立 て処分等、グローバルな問題として、地球温暖化や汚染物質の越境汚染等、地球環境にも悪 影響を及ぼしている。このことから、ごみに起因する問題(処理方法も含む)は、地球環境 問題として位置付けることができる。 そこで、ごみに起因する問題について分析し、解決するにはどうすればよいのかをリサイ クルの視点から考察する。なお、本稿で扱うごみの範囲は日本国内で発生する一般廃棄物3 と資源物とする。なお、グローバル化によって、一国だけの取り組みでは解決することが困 難なごみや資源に関する問題は、本稿では扱わない。

2.リサイクルの目的

リサイクルを推進する理由は、資源の有効利用のほか、ごみとして処理することでさまざ まな問題が発生するからである。例えば、リサイクル可能物をごみとして処理されれば、単 純にごみ量が増加する。ごみは焼却等の中間処理を行い、焼却灰は最終処分場で埋め立てら れる。しかし、最終処分場はNIMBY施設4であり、その新設は容易ではない。その結果、最 終処分場の残余容量は年々減少している(図1)。 ごみが発生し続けている限り、最終処分場の延命化は必要不可欠であると同時に、リサイ クルの必要性も高まる。言い換えると、最終処分場の残余容量が減少すればするほど、リサ イクルが経済的になる。最終処分場を資源として捉えると、埋め立てをすれば残余容量が減 少し、かつ増加することはないから、再生不可能資源5である。最終処分場の残余容量に余 裕があるときは、埋め立てる方が経済的である。また、残余容量が枯渇し始めているときも、 効率的なリサイクルが行える資源以外は埋め立てる方が効率的である。そして最終処分場が 完全に枯渇すると埋め立てができなくなるため、すべての廃棄物をリサイクルしなければな らない6 「リサイクル」には、大きく2つの定義がある。一つは、再生利用(マテリアルリサイク ル)を指す狭義のリサイクルである。もう一つは、狭義の内容や再使用(リユース)や熱回 収(サーマルリサイクル)等を含めた有効利用全般を指す広義のリサイクルである。本稿で は特に断りがない限り、広義の定義を用いる。 リサイクルについて考えるとき、3R7を単独で達成させるのではなく、同時に達成させる

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ことが重要である。例えば、リサイクル品を購入することで相対的に天然資源の使用量が減 少するが、リサイクルを達成するだけではなく、リデュースも同時に達成できることになる。 マテリアルリサイクルを促進させることは、広義の「リサイクル」と同義だと考えられる。 また近年、日本の地方自治体財政は税収の減少や社会保障費の増大等から厳しい状況にあ り、さらに超高齢化社会であることから、さらなる社会保障費の増大が懸念されている。そ のため、社会保障費以外の歳出の削減が喫緊の課題となっている。その一環として、ごみ処 理に関する施設やサービスの経費削減等が多くの自治体で取り組まれている。例えば、家庭 ごみの有料化や集団回収の積極的な導入等である。 以上の観点からリサイクルの目的は、以下の3つに集約されると考えられる。 ① 最終処分場の延命化 ② 希少資源の有効活用 ③ 地球温暖化対策への貢献 ①は、リサイクルを推進することで相対的にごみが減量することで寄与する。②は、全て の資源は有限であることから、リサイクルを推進することで資源が有効的に活用されること で寄与する。③は、可燃ごみの約80%が焼却されていることから、リサイクルを推進するこ とで焼却するごみを減量することで寄与する。この他にも、時代の変遷とともにリサイクル の目的は多様化してきている(表1)。 (出所)環境省「一般廃棄物の排出及び処理状況等について」(各年度)をもとに作成図1 最終処分場残余容量の推移

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しかし、リサイクルの目的が多様化しても、先に挙げた3つが最も重要だと考えられる。 なぜなら、①や③は最優先で解決する必要があるからである。また、②は江戸時代から現在 まで続く目的だからである。ただし、他の目的を無視してもよいということではない。

3.一般廃棄物の現状

ここでは一般廃棄物の現状について、排出量、組成、処理事業経費の3点から概観する。 排出量は一般廃棄物の「量」、組成は「質」として捉えることができ、処理事業経費はごみ 問題の経済面として捉えることができる。 3.1.排出量の推移 毎年度環境省が全国のごみ排出量を集計している(図2)。 図2より、2000年度以降は順調にごみの減量を達成できているが、2011年度に減量のピー クを迎え、2012年度は若干、前年より増加した。その理由として、景気低迷による消費の減 少、平成の大合併による家庭ごみ有料化が一段落したこと、一部の自治体がごみの減量施策 を実施していないこと等が考えられる。家庭ごみの有料化は有料化している市町村とそうで ない市町村とが合併した後、全市で有料化に移行することが多い。 表1 リサイクル目的の変遷(東京) (出典)寄本(1990)p.210.をもとに作成 注1)○は目的が見られる、空白は目的があまり見られないことを示す 注2)「大戦前」は第二次世界大戦前、「戦後」は第二次世界大戦後を指す 注3)‌‌経済的効果とは、収集した資源を売却することで得る効果、国際協力とは、日本のごみ処理や資源化技術の 提供、資源循環の国際間取引の拡大等を指す

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(出所)図1と同じ図2 1人1日あたり一般廃棄物排出量の推移(全国) さらなるごみの減量を達成するには、より多くの市町村で家庭ごみの有料化等を推進する ことが必要である。 3.2.組成 ごみ組成は、各自治体のごみ政策によって大きく異なっている。厨芥類を資源として収集 していれば、一般廃棄物として集計される厨芥類の割合は減少する。また、容器包装プラス チック類の分別収集を実施していれば、同様に減少する。一般廃棄物の組成を知ることは、 ごみの減量を達成するために重要な情報になる。そこで、環境省が調査しているデータを示 す(図3)。 図3をみると、古紙が約38%、厨芥類が約34%と一般廃棄物の大部分を占めている。さら にプラスチックまで含めると80%を超え、これらのまだリサイクル可能な3種類のごみ種が 一般廃棄物の大部分を構成していることが分かる。 3.3.処理事業経費の推移 全国の自治体のごみ処理事業費用(以下、「処理費用」)について、「処理及び維持管理費 (以下、「処理維持管理費」)」、「人件費」、「委託費」に分けた各費用の推移を示す(図4)。 図4をみると、全体の処理費用は、2兆6,000億円で推移しており、2000年度以降大きな変 化は見られない。処理維持管理費は1兆5,000億円前後で推移している。人件費と委託費は 2005年度から逆転しているが、これはごみ処理事業を直営から民間へ委託することが多くな

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ってきたからである。そのため、人件費と委託費の合計を見ると、約1兆1,000億円前後で推 移しており、これも大きな変化が見られない。

4.古紙リサイクルの現状と課題

古紙リサイクルの目的は、ごみ問題解決と古紙需要急増対応のために積極的に行われ、現 在もこの目的は変わらない。なぜなら、最終処分場の延命化や積極的な古紙利用等が求めら れているからである。 古紙リサイクルは「リサイクルの優等生」と呼ばれるほど、回収から再生利用までの制度 や方法が確立されている。平安時代は経典を再利用し、江戸時代は「反故」と呼ばれる古紙 の集荷が行われていた。1960年代は、ごみ量急増や紙・板紙の需要急増による原料確保等か ら、古紙リサイクルが注目された。 家庭ごみから排出される紙類をみると、第二次世界大戦前から高度経済成長期は、ほとん (出所)環境省「容器包装廃棄物の使用・排出実態調査の概要(平成23年度)」をもとに作成 注1)‌‌「古紙」の構成は、「新聞紙」、「書籍・雑誌」、「広告・チラシ・ダイレクトメール」、「段ボール」、「用紙」、 「飲料用紙製容器 アルミなし」、「その他紙製容器包装」、「使い捨ての紙類」「その他の紙類」 注2)‌‌「プラスチック」の構成は、「発泡スチロールトレイ」、「その他のプラスチック製容器包装」、「容器包装以外 のプラスチック類」 注3)‌‌「金属」の構成は、「スチール製容器」、「容器包装以外のスチール」、「アルミ製容器」、「容器包装以外のアル ミ」、「その他の金属容器包装」、「容器包装以外の他の金属」 注4)‌‌「ガラス」の構成は、「無色のガラス製容器」、「茶色のガラス製容器」、「その他色のガラス製容器」、「ほうけ い酸ガラス・乳白色のガラス容器」、「容器包装以外のガラス」 注5)‌‌「その他」の構成は、「繊維類」、「ゴム・皮革類」」、「木・竹・草木の容器包装」、「使い捨ての木・竹・草類」、 「容器包装以外の木・竹・草類」、「その他の可燃物」、「その他の不燃物」、「流出水分等」 注6)すべての数値を合計した場合、100%を超える 図3 一般廃棄物の組成(2011年度、湿重量比率%)

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どの古紙が古物商等に引き取られた。包装紙は保管・再使用され、紙袋もほぼ発生しなかっ た。また、厨芥類や草木類、木製家具等とともに燃料として利用され、焼却灰等は最終的に 各家庭の庭等に埋め立てられた。 高度経済成長期以降は、買い物かごの代わりとして紙袋の利用が急増し、週刊誌をはじめ とする書籍の発行が大量に行われた。さらに新聞や広告も大量に発行され、商品の過剰包装 やコピー紙の使用増加等、紙類の急激な利用拡大が進んだ。 1990年代後半は、バブル崩壊による資源需要縮小を主因とする古紙問屋の余剰在庫がピー クに達したため、古紙回収が中止に追い込まれた。そこから、古紙余剰問題が発生・深刻化 した。2003年に「第一次循環型社会形成推進基本計画」が策定され、そのなかで一般廃棄物 の減量目標が設定されたことを受け、行政による古紙回収が盛んに行われた。2000年代後半 は、リーマン・ショックによる資源需要縮小が発生し、再び古紙余剰問題が懸念された。し かし、中国の古紙需要が旺盛だったため、1990年代後半の古紙余剰問題ほどには深刻化する ことはなかった。 4.1.古紙リサイクルの現状 古紙リサイクルの指標として、「古紙回収率8」と「古紙利用率9」がある。これらの指標を 見ることで、古紙リサイクルの概要を知ることができる。そこで、古紙回収率と古紙利用率 の推移をそれぞれ示す(図5)。 (出所)図1と同じ図4 項目別ごみ処理事業経費の推移

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(出所)古紙再生促進センターHP「古紙回収率推移」及び「古紙利用率推移」をもとに作成図5 古紙回収率と古紙利用率の推移 図5より、2000年は古紙回収率と古紙利用率とに差はないが、2001年以降は両者に乖離が 生じ広がっている。特に、古紙回収率が順調に上昇しているのに対し、古紙利用率は緩やか な上昇となっている。古紙回収率が順調に上昇している背景には、行政による古紙回収が行 われてきたことが考えられる10 紙製品は、「紙」と「板紙」の2種類がある。図5で示した古紙利用率は、紙の古紙利用率 と板紙の古紙利用率とを合計して算出されたもので、紙製品全体を示した指標である。しか し、紙と板紙とでは再生紙の品質要求の違い等から、両者の古紙利用率には大きな開きがあ る。その推移をそれぞれ示す(図6)。 図6をみると、板紙は紙よりも古紙利用率が高い。また、紙の古紙利用率は微々ながら上 昇しているのに対し、板紙の古紙利用率はほぼ横ばいに推移している。紙は板紙よりも高い 古紙品質が求められ、古紙利用率が低い要因の一つになっている。このことから、板紙の古 紙利用率を上昇させることは困難であるが、紙の古紙利用率を上昇させることは可能だと考 えられる。 4.2.古紙リサイクルの課題 4.1.の内容を踏まえたうえで、古紙リサイクルの課題として、以下の3点が挙げられる。 ① 古紙の分別や禁忌品等の周知不足 可燃ごみに再利用可能な紙・板紙が混入していることが多く、61.5%の自治体が多いと回

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答している11。その原因は、紙製品にリサイクルすると、紙製品の品質低下や再資源化設備 に支障をきたす恐れがある紙類である、禁忌品12か否かの判断が難しい点にある。なぜなら、 多種多様な紙製品が存在しているからである。禁忌品には紙類以外のものはもちろん、紙類 であっても禁忌品となるものがある。 また、古紙分別の問題として、経済的なインセンティブが十分でないことである。経済的 なインセンティブが存在しないため再資源化が可能な古紙であっても、ごみとして排出され る。以上から、分別方法の周知とともに、分別を促進するための経済的なインセンティブを 提供することも必要である。 ② 紙分野における古紙利用率の低さ 板紙の古紙利用率は90%を超えており、これ以上古紙利用率を増加させることは難しいが、 紙の古紙利用率は約40%であり、古紙利用率を増加させる余地は残されている。そのため、 古紙から紙へのリサイクルを促進させることが必要である。古紙から紙にリサイクルできる 原料にするには全12工程であるが、板紙のそれは全5工程であることから13、古紙から板紙へ の原料にする方がコストは低い。そのため、紙へのリサイクルを促進するには、紙へのリサ イクルするためのコストを小さくすることが重要である。 ③ 古紙の持ち去り 古紙の分別は、地域コミュニティの活性化を図るうえでも役立っている。集団回収14は地 (出所)古紙再生促進センター(2011)p.45.及び(2013)p.47.をもとに作成図6 古紙利用率の推移(紙・板紙)

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域コミュニティの担い手である多くの団体の活動を支えている。しかし、古紙の持ち去りが 発生すれば、団体活動を維持することが困難になる。なぜなら、団体を維持するには活動資 金が必要だからである。古紙の持ち去りは、地域コミュニティを維持させる資金を奪うこと になるのである。 また、古紙の持ち去りは古紙リサイクルを維持するうえでも重大な問題を引き起こす可能 性がある。東京都23区における新聞古紙の持ち去り率と被害額の推計(2009年度)は、持ち 去り率が27.3%、被害額が15億円に達し15、古紙回収業者が計画した回収量を達成するうえで 大きな障害となっている。 4.3.課題解決のために 4.2.で明らかにした課題を解決するために、どのようなことが必要なのかを議論する。 ① 「古紙の分別や禁忌品等の周知不足」を解決するには 分別者と回収業者とに「情報の非対称性16」がある限り、今まで以上に古紙リサイクルを 推進することは困難である。 古紙リサイクルを推進するためには、家庭部門での分別の徹底が重要であり、「情報の非 対称性」を解消することが必要である。具体的には、古紙と禁忌品との違いや古紙の回収方 法、可燃ごみの古紙混入率等、古紙リサイクルの関する情報を積極的に提供することが必要 である。なぜなら、古紙発生量の少ない部門で分別するほうが、発生量が多い部門で分別す るよりも相対的にコストは小さくなるからである。例えば、中間処理施設ですべての古紙を 分別しようとすれば、広大な施設と多くの人々が分別作業に従事しなければならない。家庭 部門であれば、小さなスペースかつ少人数で分別を行うことができる。 さらに、ごみ減量や古紙分別の経済的インセンティブを与えるために、ごみや集団回収へ の補助金額等の情報周知も重要である。ごみを減量することで処理費用が減少すると知って いれば、資源とごみとの分別を徹底し、古紙の売却益で団体の活動資金が増加すると知って いれば、古紙回収量も増加すると考えられる。 ② 「紙分野における古紙利用率の低さ」を解決するには 紙へのリサイクルを行うには高品質な古紙が要求されるため、紙へのリサイクルに使用で きる古紙は限定的になることから(表2)、この課題を解決するには、古紙の回収方法に経済 的手法を採用することである。 資源保護の観点から、古紙はすべて紙へとリサイクルするほうが賢明だと考えられるが、 板紙へとリサイクルできる古紙の種類が多いことから、紙へとリサイクルするための経済的 インセンティブの提供が必要である。具体的には、紙へのリサイクルが可能な高品質な古紙

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にはそうでない古紙よりも高い引き取り価格設定をすることが考えられる。 また、古紙の発生量が少ない小規模事業所からの回収も重要である。なぜなら、事業系一 般廃棄物として自治体が回収するからである。一般的に資源として回収するよりごみとして 収集する方が効率的であることが多いため、排出量に応じて補助金を与える等、経済的なイ ンセンティブの提供が必要である。 ③ 「古紙の持ち去り」を解決するには 排出された古紙の所有権が不明瞭なため、この課題を解決するには、条例による規制が有 効である。 条例で規制する場合には、排出された古紙の所有権は自治体にあると明記することで、窃 盗罪が成立する要件を備えること、自治体が指定した業者以外が古紙回収することを禁止す ること、両者を組み合わせた方法がある。東京都23区では2013年6月1日現在、17の区が制 (出所)古紙再生促進センター、日本印刷産業連合会(2008)p.6.より作成 表2 紙・板紙へリサイクルできる古紙の判断基準(古紙リサイクル適正ランクリスト)

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定、15の区で罰則を設けている17 条例による規制には、次のような抑止効果があると考えられる。第一に、所有権が明確に なることで、持ち去り行為が犯罪として成立することである。第二に、自治体が指定した業 者のみに資源物の収集や運搬を許可することで、持ち去り行為を容易に行えなくすることで ある。古紙リサイクルの促進のためには、全国で条例を制定することが望ましい。

5.厨芥類リサイクルの現状と課題

厨芥類リサイクルは、リサイクル問題に発展するようなごみ種ではなかった。厨芥類は、 以前は家庭ごみとして排出される量が少なかったからである。 第二次世界大戦以前は、排出ごみの大部分を占めていたが、ごみ量自体が少なかった。さ らに、厨芥類は庭への埋め立てや焚き火への利用等、大部分が自家処理されていた。しかし、 第二次世界大戦後から高度経済成長期にかけて、食事をすます場所が家庭から外食へと変化 した。さらに外食産業が発展してきたことで、厨芥類の主な発生源が家庭からレストラン等 に変化した。ただし、家庭から排出される厨芥類は大きく変化していないため、厨芥類全体 の排出量は増加していると考えられる。 2000年に「食品リサイクル法」(2007年改正)が施行された。この法律は、食品関連事業 者を対象に食品残渣を有効活用することが義務付けられた。しかし、対象は食品関連事業者 のみで、家庭や食品関連以外の事業者等は対象外である。 5.1.厨芥類リサイクルの現状 現在、厨芥類リサイクルの指標は存在していない。参考として環境省の「環境・循環型社 会・生物多様性白書」で公表している再生利用率をみる。そこで、家庭系食品廃棄物の推移 と再生利用率のデータを示す(図7)。 図7から、食品廃棄物の発生量は2007年を除いて減少しており、それに伴い再生利用率は 上昇している。環境省の推定値は、すべての廃棄物の実態調査のなかから食品廃棄物の量を 推定しているため精度が欠けるものの、農林水産省のデータ18から推定した食品廃棄物の量 とほぼ一致しているため、この推計値は信頼度が高いと考えられる19 5.2.厨芥類リサイクルの課題 5.1.の内容を踏まえたうえで、厨芥類リサイクルの課題として、以下の3点が挙げられる。 ① 一般系厨芥類は発生抑制や再生利用の義務がない 食品リサイクル法は、食品関連事業者に再生利用等を義務付けている。しかし、家庭など からの一般系厨芥類には再生利用等の義務はなく、発生抑制や再生利用のインセンティブが

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提供されない。さらに、一般系厨芥類は家庭ばかりではなく事業所から排出される厨芥類も 含まれ、その排出量は家庭系の約3分の1もある。 また、食品廃棄物全体でみると、産業系よりも一般系のほうが多く、そのなかでも家庭系 厨芥類の排出量が多いことから、家庭系厨芥類のリサイクルを促進させることが重要である。 2010年度の食品廃棄物の発生量(再生利用率)は、産業系が290万トン(81%)、一般系のう ち、事業系が351万トン(21%)、家庭系が1,072万トン(6%)である20。家庭系厨芥類の発生 量が最も多いが、再生利用率がわずか6%と最も低くなっている。 ② 再生利用方法が限定的 厨芥類の再生利用方法は主に6つあり21、そのなかで堆肥化が主流となっている。例えば、 多くの自治体がごみ減量の方法として生ごみのコンポスト等の紹介や補助を行ったり、 NPOが小規模の堆肥化事業を行ったりしている。しかし、農業従事者の減少等から堆肥需 要が減少する一方で、厨芥類の減量方法として堆肥化が推進されたことで、堆肥の供給が増 大した。その結果、堆肥の需給バランスが崩壊してきている。また、飼料化(一部)や他の 再生利用方法も初期費用が高い等の課題がある。 ③ 自治体によっては厨芥類リサイクルシステムが機能しない 東京23区等の農地が少ない都市部では、再生後の堆肥や飼料の利用先が少ないため、厨芥 (出典)環境省「環境・循環型社会・生物多様性白書」(各年度)より作成 注)2009年はデータが存在していない 図7 食品廃棄物と再生利用率の推移(家庭系:推計)

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類リサイクルシステムが機能しない可能性が高い。また、その他の再生利用施設は広大な用 地が必要になることが多い。そのため、自治体によっては厨芥類リサイクルシステムが構築 できない可能性がある。 さらに、家庭系厨芥類は発生量が少なく組成が複雑であることから、再生利用すること自 体が難しい。これは、組成が安定的でないと再生利用方法が限定されるからである。例えば、 飼料化は厨芥類の組成が均一でないと、飼料を与えた家畜の品質が変化する可能性がある。 また堆肥化は、不純物が混入していると農作物の出来に影響を与える可能性がある。 5.3.課題解決のために 5.2.で明らかにした課題を解決するために、どのようなことが必要なのかを議論する。 ① 「一般系厨芥類は発生抑制や再生利用の義務がない」を解決するには この課題を解決するには、食品リサイクル法で自治体の責務をより具体的に示すことであ る。なぜなら、一般廃棄物収集は自治体の義務だからである。食品リサイクル法の第6条に 自治体(地方公共団体)の責務として、「その区域の経済的社会的諸条件に応じて食品循環 資源の再生利用等を促進するよう努めなければならない」とあり、各自治体に大きな裁量を 認めている。 しかし、すべての自治体で厨芥類は発生するため、より具体的な再生利用方法を条文に設 けることが重要である。例えば、再生利用施設の建設を義務付けること等が考えられる。そ の再生利用施設は、飼料化やメタン発酵、バイオディーゼルを他の再生利用施設よりも優先 することが重要である。なぜなら、堆肥化や飼料化、ごみ発電やRDFよりも有効的な再生 利用方法だと考えられるからである。 効率性の観点からは、厨芥類をごみ発電やRDFとして用いることが望ましい。しかし、 農産物の生産へ利用することで資源の循環的利用ができる堆肥化が地球の持続的発展の観点 から望ましい。しかし、堆肥需要を超える堆肥供給が存在するため、すべての厨芥類を堆肥 化することは効率的ではない。そのため、堆肥需要が旺盛ではない限り、堆肥化による再資 源化は堆肥需要を賄える程度に留めておくべきである。 厨芥類リサイクルにおいて問題なのが、再生された資源の利用である。堆肥化だけでは堆 肥需要が減少したときに対応することができなくなるため、飼料化やメタン発酵、バイオデ ィーゼル燃料等22の再生利用施設も同時に整備しておくことも必要である。 ② 「再生利用方法が限定的」を解決するには この課題を解決するには、再生利用方法の選択肢を増やすことである。例えば、堆肥需要 が少ない地域で堆肥化施設しか存在しなければ、堆肥需要に見合う量までは効率的であるが、

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さらに製造すると堆肥保管等に追加の費用が発生する。堆肥の需要量によって、堆肥化が効 率的にも非効率的にもなる。つまり、堆肥化が最適な再生利用方法か否かは、堆肥の需要量 に依存すると考えられる。 焼却処理はサーマルリサイクルとして捉えれば再生利用方法の一つであるが、厨芥類ごみ は水分を多く含んでいるため、厨芥類のサーマルリサイクルは熱効率の観点から効率的では ない。 ③ 「自治体によっては厨芥類リサイクルシステムが機能しない」を解決するには この課題を解決するには、複数の自治体で広域的に処理することである。小規模な自治体 では複数の自治体で一部事務組合を設立して、一般廃棄物の処理を行っているところがある。 再生利用施設の建設や運転には多額の費用を要し、かつ地方自治体の財政状況が逼迫してい ること等から、焼却処理施設とは別に再生利用施設の建設は非常に難しい。 再生利用施設を建設するうえで、地域の実情を考慮する必要がある。例えば、農業が盛ん な地域であれば堆肥化、畜産が盛んな地域であれば飼料化等、地域産業との関連で再生利用 方法を検討することも再生利用施設選択の方法として考えられる。また、廃食用油をバイオ ディーゼル燃料に再生利用しローカルバスの燃料として活用するなど、地域活性化策になる 可能性もある。

6.容器包装プラスチックリサイクルの現状と課題

プラスチックリサイクルは、容器包装リサイクル法が完全施行された2000年から本格的な 取り組みが開始された。それ以前は最終処分場へ直接埋め立てるしかなく、多くの自治体が 不燃ごみとして収集してきた。しかし、容器包装プラスチック類(以下、「プラスチック」) はかさばりやすいため、最終処分場の枯渇を早める問題があった。最終処分場が逼迫してき ていることから、直接埋め立てが困難になっている。 2005年に廃棄物処理法の基本方針で、「廃プラについては、まずは発生抑制をし、次に再 生利用を推進する」とし、「なお残る物について、直接埋め立てを行わず、熱回収を行うの が適当である」とした。そのことを踏まえ、不燃ごみで収集されてきたプラスチックを可燃 ごみとして収集するようになった。 6.1.容器包装プラスチックの現状 容器包装プラスチックリサイクルの指標として、有効利用率23がある。この指標を見るこ とで、容器包装プラスチックリサイクルの概要を知ることができる。(図8)。 図8に示すように、プラスチックの有効利用率は年々上昇している。特に、容器包装リサ イクル法が改正された2006年は大幅に増加した。これは、これまでのリサイクル方法(マテ

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リアルリサイクル、ケミカルリサイクル)に加え、廃棄物発電やごみ固形燃料等のサーマル リサイクルが有効利用量に加えられたからである24。さらに、レジ袋有料化の実施等といっ た発生抑制の取り組みの進展も要因の一つだと考えられる。 また、有効利用量をリサイクル方法別ごとに分けることで、どのリサイクル方法で有効利 用量が増加したかが明らかになる。ここでは、リサイクル方法別推移を示す(図9)。 図9を見てみると、マテリアルリサイクル量とサーマルリサイクル量が増加している。特 に、2006年以降はサーマルリサイクル量が大きく増加している。その要因は、廃棄物発電や ごみ固形燃料等がサーマルリサイクルに加えられたことにあると考えられ、その背景には、 マテリアルリサイクルやケミカルリサイクルがサーマルリサイクルよりもコストがかかるこ とに原因があると考えられる。特に、原料・モノマー化には莫大なコストがかかることもあ り、ケミカルリサイクルは低い水準で推移している。 6.2.容器包装プラスチックの課題 6.1.の内容を踏まえたうえで、古紙リサイクルの課題として、以下の3点が挙げられる。 ① 分別が困難な製品が多い レトルトパウチ等のプラスチック製品は複数の素材を使用していることが多い。プラスチ ックをマテリアルリサイクルするには、同一種類のプラスチック素材に分別・使用すること が求められる。例えば、ペットボトルにマテリアルリサイクルするであれば、PET25という (出所)プラスチック循環利用協会(2013)p.5.をもとに作成図8 プラスチックの有効利用率の推移

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単一の素材を使用するということである。ケミカルリサイクルやサーマルリサイクルの場合 は、素材の種類は問われないことが多い。 プラスチックのリサイクル(再商品化)の責任は、プラスチック製造メーカーにあること が容器包装リサイクル法で定められている。ただし、再商品化費用を支払えば再商品化の義 務を再商品化事業者に委託することができる。つまり、再商品化費用を負担すればどのよう なプラスチック製品を製造しても問題にならない。また、プラスチック製品を利用するメー カーは、単一プラスチックの製品より複数の素材を使用した製品の方が高機能であれば後者 を選ぶ。 ② マテリアルリサイクルの割合が低い 図9でみたようにマテリアルリサイクルの割合は、サーマルリサイクルの割合と比較して 約2分の1である。サーマルリサイクルは、焼却処理することでリサイクルと見なせることか ら、コストは小さいと考えられる。なぜなら、リサイクルで最もコストがかかるのは、資源 の選別段階だと考えられるからである。 今まではダイオキシンの問題から、自治体はプラスチックの焼却には消極的であったが、 焼却技術の進展等から問題視するほどではなくなった。また、塩素が含まれるプラスチック の焼却も、焼却した空気から塩素を除去する技術が完成したため、サーマルリサイクルする ことが容易になり、積極的に行われるようになった。しかし、サーマルリサイクルは資源の 浪費になるのと同時に、ごみ減量や発生抑制等が軽視される可能性がある。 (出所)図8と同じ図9 リサイクル方法別の推移

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③ 自治体や消費者の負担が大きい 容器包装リサイクル法によれば、プラスチックの選別を行うのは自治体であり、さらにベ ール状に成形する必要もあり、そのための施設も自治体が負担しなければならない。さらに 日本容器包装プラスチック協会は、自治体と引き取り契約を結ぶだけで選別等にかかった費 用は負担しないため、自治体の財政状態を圧迫している。また、プラスチックの種類は雑多 に存在するため、消費者の分別負担も大きい傾向にある。 2006年の容器包装リサイクル法の改正により、市町村への資金拠出金制度が設けられた。 しかしこの制度は、想定していたリサイクル費用から実際にかかったリサイクル費用を差し 引いた金額のうち2分の1が支払われるため、リサイクル費用の想定内容によっては、拠出金 が支払われない可能性がある。 自治体がサーマルリサイクルを主流とする現状では、プラスチックの分別収集をするイン センティブがない。例えばサーマルリサイクルを積極的に行えば、プラスチックの選別作業 に関わる人件費等を節約することができる。容器包装リサイクル法でサーマルリサイクルを 広く認めることは、多様なリサイクル方法から最適なものを選択することができる反面、低 コストのリサイクル方法を無条件で選択することが多くなる可能性もある。 6.3.課題解決のために 6.2.で明らかにした課題を解決するために、どのようなことが必要なのかを議論する。 ① 「分別が困難な製品が多い」を解決するには この課題を解決するには、プラスチック製造メーカーに分別しやすい製品設計を行うイン センティブを与えることである。プラスチック製造メーカーに分別しやすい製品設計を行う インセンティブを与える方法の一つとして、特定事業者26がプラスチックを回収し、素材ご とに選別させ、再商品化事業者に引き渡しさせることが考えられる。 プラスチック製造メーカーがプラスチックを選別して再商品化事業者に引き渡すことで、 プラスチックの質低下を防ぐことができる。再商品化事業者は、リサイクルするコストが低 いプラスチック製造メーカーを選択できれば、プラスチック製造メーカーは質の高いプラス チックを製造するインセンティブが発生する。もし、選別しやすいプラスチック製品であれ ば、家庭部門でも分別が容易になり、より品質の高いプラスチックリサイクルが可能にな る。 ② 「マテリアルリサイクルの割合が低い」を解決するには この課題を解決するには、マテリアルリサイクル率の目標値を法律などで設定することで

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ある。なぜなら、容器包装リサイクル法は、サーマルリサイクルをマテリアルリサイクルや ケミカルリサイクルの下位に位置付けるだけで、サーマルリサイクル自体を抑制する強制力 がないからである。 サーマルリサイクルは、マテリアルリサイクルやケミカルリサイクルと比較してコストが 低く、プラスチックリサイクル全体に占めるサーマルリサイクルの割合が2000年から2011年 もの間、常に60%を超えている(図10)。 (出所)図8及び図9と同じ 注1)サーマルリサイクル率=(サーマルリサイクル量/有効利用量合計) 注2)マテリアルリサイクル率=(マテリアルリサイクル量/有効利用量合計) 注3)ケミカルリサイクル率=(ケミカルリサイクル量/有効利用量合計) 図10 リサイクル方法別比率の推移 さらに、リーマン・ショックがあった翌年(2009年)以外もサーマルリサイクルの割合が 高い。一般的に再生資源は、景気による需給変化が一般的な財以上に影響を受けやすい。し かし、プラスチックリサイクルではこの現象は起きていないと考えられる。 図8をみると、プラスチックの有効利用量は減少している。しかし、図9をみると、マテリ アルリサイクル量の減少以上にサーマルリサイクル量のほうが大きく減少している。これよ り、サーマルリサイクルは景気の影響を大きく受け、マテリアルリサイクルは景気の影響を 受けにくいと考えられる。 ③ 「自治体や消費者の負担が大きい」を解決するには 資源の収集業務には多大なコストがかかるため、特定事業者に収集業務を行わせることが 必要である。特に、プラスチックはごみに占める容積比の割合が最も高くかさばりやすいた

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め、収集効率を大きく損ねている。さらに、最終処分場に直接埋め立てをすると、最終処分 場の残余容量が大きく減少する。また、850℃以上で焼却することができなければダイオキ シンが発生し、塩素系プラスチックの焼却も塩化水素(HCl)ガス等の有害物質を発生させ る。 容器包装リサイクル法では、特定事業者は再商品化費用を負担すれば、再商品化の義務を 別の再商品化事業者に委託できる。そうすると、金銭的に余裕がある特定事業者は、その負 担が小さくなると考えられる。なぜなら、自ら収集車やストックヤード等を整備すると多額 の費用が発生するからである。収集車も長期に使用すれば劣化するため、更新費用が発生す る。また、素材ごとに選別したりベール状に成形したりする必要があるため、そのためのス トックヤードの設置が必要である。 現在の企業は地球環境問題に真摯に取り組むことで、社会的責任を果たすことが必要不可 欠である。特にプラスチックリサイクルは、プラスチックに携わるすべての企業・業界が取 り組むべき課題であることから、すべての企業が結託して解決する姿勢が大切である。

7.おわりに

以上のまとめとして、日本のリサイクル推進における取り組み課題を抽出し、整理する。 ① 発生抑制の取り組みの実践 一般的に、リサイクル品を生産する場合においても外部からエネルギーや資源を投入する 必要があり、リサイクルすることが必ずしも最善ではない可能性がある。 発生抑制に取り組むには、ごみ量を減らせば減らすほど手数料負担が小さくなる、家庭ご みの有料化が有効である。家庭ごみの有料化によってごみの減量だけではなく、資源化量が 増加する成果もある27。このことから家庭ごみの有料化は、リサイクルを推進するうえでも 必要になる取り組みと考えられる。 ② リサイクルに関する情報の流通円滑化 より品質の高いリサイクルを実施するには、原料となる資源が均一であることや清潔であ ること等が求められる。 しかし、リサイクルに関する情報の多くはすべての人々が持っているわけではない。古紙 リサイクルにおいて可燃ごみにリサイクル可能な古紙が混入するのは、雑紙として排出でき る古紙とそうでない古紙を選別することが困難だからである。厨芥類リサイクルにおいて堆 肥化が進展しないのは、厨芥類由来の堆肥に対する信頼が低いからである。プラスチックリ サイクルにおいてサーマルリサイクルの比率が高いのは、消費者や自治体がマテリアルリサ イクルするために必要な知識がないからである。

(23)

リサイクルに関する「情報の非対称性」が存在する限り、リサイクルを推進するには限界 がある。情報の周知等によって極力非対称性をなくしていくことが重要である。 ③ 再生利用物の需要開拓及び有効活用促進 リサイクルは再生利用品が使用されなければ、ごみとなってしまう可能性がある。いくら 効率的なリサイクル方法だったとしても、余分な費用が発生することも考えられる。厨芥類 リサイクルにおいて堆肥化からバイオガス化に注目されるようになったのは、再生利用品の 需要があるからである。 リサイクルすること自体が重要なのではなく、再生したものを如何に有効的に活用するの かが重要なのである。そうすることで、次第にごみになる可能性が高い再生利用や製品づく りの抑制が期待できる。

参考文献

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(24)

  (http://www.torikyokai.org/pdf/130802motisarikinshi.pdf) 日本容器包装リサイクル協会HP「市町村への資金拠出金制度について」   (http://www.jcpra.or.jp/Portals/0/resource/association/pamph/pdf/kyosyutu_pamph.pdf) ─「特定事業者とは」(http://www.jcpra.or.jp/specified/duty/tabid/104/index.php) プラスチック循環利用協会(2013)「プラスチックリサイクルの基礎知識2013」 細田衛士・横山彰(2007)『環境経済学』有斐閣 山谷修作(2007)『ごみ有料化』丸善 寄本勝美(1990)『ごみとリサイクル』岩波新書 ─(2003)『リサイクル社会への道』岩波新書 ロビン・マレー(グリーンピース・ジャパン訳)(2003)『ゴミポリシー 燃やさないごみ政策「ゼ ロ・ウェイスト」ハンドブック』築地書館 1‌ 本稿では「ごみ」は、「一般廃棄物」と同義として扱う 2‌ ロビン(2003)p.7. 3‌ 家庭ごみや事業所から排出される産業廃棄物以外の廃棄物 4‌ 「Not‌In‌My‌Back‌Yard」の頭文字をとったもので、必要ではあるが身近には存在してほしく ない設備や施設全般を指す 5‌ 一度消費してしまうと資源ストックが減少し、かつ増加や再生されない資源 6‌ 細田・横山(2007)pp.251-252. 7‌ Reduce(リデュース:発生抑制)、Reuse(リユース:再使用)、Recycle(リサイクル:再生 利用)の頭文字3つのRをとったもの 8‌ 古紙回収量/(紙・板紙国内消費量) 9‌ 古紙消費量/製紙用繊維原料消費合計 10‌ 古紙再生促進センター(2013)pp.54-55. 11‌ 古紙再生促進センター(2012)p.30. 12‌ 具体例については、古紙再生促進センター(2009)p.10. 13‌ 古紙再生促進センター(2009)pp.19-20. 14‌ 学校・PTA、町内会、婦人会、子供会、老人会等の各種団体が回収業者と契約し、回収日と 地域を決め、各家庭に回収の通知・予告をして、古紙等の回収を行い、対価として主に現金 を得て活動資金とする。また、回収実績を自治体に報告して報奨金を得ることもある。(古紙 再生促進センター(2013)pp.54-55.) 15‌ 東京都HP 16‌ すべての情報を各主体が持っているわけではないこと

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17‌ 東京都リサイクル事業協会HP 18‌ 農林水産省「食品循環資源の再生利用等の実態調査結果」は、食品廃棄物に限定して調査を するため、信頼度が高い(植田・高月・楠部・新山(2012)p.154.) 19‌ 2010年度の数値を比較すると、環境省の統計は1119万トン、農林水産省(注17)からの推計 は1111万トンであり、8万トンの誤差である(同上、p.155.) 20‌ 環境省(2013)『環境・循環型社会・生物多様性白書』平成25年度、p.183. 21‌ 堆肥化、飼料化、メタン発酵、バイオディーゼル燃料、ごみ固形燃料(RDF:‌Refuse‌Derived‌ Fuel)、ごみ発電(焼却処理で発生する熱で発電を行う)(詳細は、植田・高月・楠部・新山、 前掲書、pp.75-148.) 22‌ 代表例として、新エネルギー・産業技術開発機構(2010)が参考になる 23‌ (有効利用量/廃プラ総排出量)×100 24‌ マテリアルリサイクルとは、プラスチックをそのまま原料として使用し、新たな製品を作る こと。ケミカルリサイクルとは、原料・モノマー化、高炉還元剤、コークス炉化学原料化、 ガス化による化学工業原料化、油化など、プラスチックを化学成分としてリサイクルする方 法。サーマルリサイクルとは、ガス化や油化、ごみ固形燃料(RDF、RPF)、ごみの焼却処理 時の発電(ごみ発電)など、プラスチックを焼却して熱回収する方法 25‌ プリエチレンテレフタラート(Polyethylene‌terephthalate)の略称 26‌ ①「容器」「包装」を利用して中身を販売する事業者、②「容器」を製造する事業者、③「容 器」および「容器」「包装」が付いた商品を輸入して販売する事業者。ただし、小規模事業者 等は適用除外(日本容器包装リサイクル協会HP「特定事業者とは」) 27‌ 詳しくは、山谷(2007)

(26)

ABSTRACT

The‌ most‌ significant‌ waste‌ problem‌ can‌ be‌ considered‌ the‌ depletion‌ of‌ landfill‌ sites.‌ Currently,‌residual‌capacity‌of‌landfill‌sites‌is‌decreasing.‌However,‌as‌typical‌NIMBY(Not‌ In‌My‌Back‌Yard),‌new‌development‌of‌landfill‌sites‌is‌extremely‌difficult.‌Therefore,‌the‌ prolongation‌ of‌ landfill‌ sites‌ is‌ essential‌ for‌ waste‌ treatment.‌ It‌ is‌ necessary‌ for‌ the‌ sustainable‌waste‌management‌to‌promote‌the‌recycling‌and‌reduction‌of‌municipal‌solid‌ waste.

This‌paper‌investigates‌the‌present‌situation‌and‌challenges‌for‌recycling‌of‌municipal‌ solid‌waste‌in‌Japan.‌‌For‌this‌investigation‌recyclable‌paper,‌plastic,‌and‌kitchen‌waste‌ were‌selected‌because‌of‌their‌high‌percentage‌in‌combustible‌waste.‌The‌measures‌for‌ promoting‌ the‌ recycling‌ and‌ further‌ reduction‌ of‌ waste‌ for‌ each‌ waste‌ item‌ has‌ been‌ presented.

Besides,‌ the‌ existing‌ problems‌ in‌ promoting‌ recycling‌ in‌ Japanese‌ municipalities‌ has‌ been‌discussed.

Keyword

Prolongation‌ of‌ landfill‌ sites,‌ Recycling‌ of‌ waste‌ paper,‌ Recycling‌ of‌ kitchen‌ waste,‌ Recycling‌of‌plastic

The present situation and challenges of

recycling in Japan

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