著者
森 透
雑誌名
教師教育研究
巻
12
ページ
279-297
発行年
2019-06
URL
http://hdl.handle.net/10098/10878
教 育 学 と看 護 学 の質保 証 をめ ぐる議 論 とそ の課 題
福井医療大学 森透
1は じめ に 平 成20(2008)年3.月 中央 教 育審 議 会 の 大 学 分 科 会 にお い て 、 高等 教 育 の グ ロー バ ル 化 の な か で 学 習 成 果 が重 視 され 分 野別 質 保 証 の必 要 性が 強調 され た 。 同年5月 文 科 省 高 等 教 育 局 長 か ら 日本 学 術 会 議 会 長 へ 、学 士力 の保 証 を含 む 大 学 教 育 の 分 野 別 質 保 証 が必 要 で あ る との 認 識 か ら質 保 証 の在 り方 の 検 討 依 頼 が 出 され た 。 そ れ を受 け て 、 同年6 月 に 日本 学 術 会 議 内 に課 題 別 委 員 会 を設 置 し 「大 学 教 育 の分 野 別 質 保 証 の在 り方 検 討 委 員 会 」 に3 分 科 会 を置 き検 討 を 開 始 した 。3分 科 会 とは 、① 質 保 証 枠 組 み 検 討 分 科 会 、 ② 教養 教 育 ・共 通 教 育検 討 分 科 会 、 ③ 大 学 と職 業 との 接 続 検 討 分 科 会 で あ る。 日本 学 術 会 議 は2年 後 の7月 に く 回答 〉 「大 学 教 育 の 分 野 別 質 保 証 の在 り方 につ い て」(平 成22 (2010)年7.月22日)を 公 表 した 。(1)こ の 回 答 に つ い て は以 下 に検 討 す るが 、 看 護 学 と教 育 学 に お い て も こ の分 野 別 質 保 証 が 課 題 とな り看 護 学 は 「参 照 基 準 」 を2017年9 .月に公 表 して い るが 、 教 育 学 は 現 在 作 成 中 の段 階 で あ る。(2) 平 成29(2017)年12.月 段 階 で 「参 照 基 準 」 を公 表 して い る領 域 は31分 野 で あ り、 以 下 に 関連 す る 分 野 を紹 介 す る。 <経 営 学 分 野2012年8.月/言 語 学 分 野2012 年11.月/法 学 分 野2012年11.月/家 政 学 分 野 2013年5.月/(略)/経 済 学 分 野2014年8.月/ (略)/社 会 学 分 野2014年9.月/心 理 学 分 野 同 前/地 理 学 分 野 同 前/政 治 学 分 野 同前/( 略)/文 化 人 類 学 分 野 同前/歴 史 学 分 野 同 前 /社 会 福 祉 学 分 野2015年6.月/(略)/哲 学 分 野2016年3.月/薬 学 分 野(4年 制)2016年8 月/歯 学 分 野2017年9.月/看 護 学 分 野 同前/ 医学 分 野 同前 〉*下 線 は森 。 看 護 学 に お け る質保 証 を め ぐる議 論 で は 、超 高 齢 化 社 会 に な り、 ま す ま す 看 護 ・福 祉 の領 域 が 社 会 的 に要 請 され て い る現 状 か ら、看 護 系 の 大 学 ・ 大 学 院 が増 加 して い る背 景 が あ る。 現在 、看 護 学 の モ デ ル ・コア カ リキ ュ ラ ム が議 論 され て い るが そ れ は看 護 の 質保 証 ・水 準 の維 持 が 目的 で あ り、 どの よ うな看 護 師 を育 て る の か とい う課 題 が認 識 され てい る と考 え られ る。 医学 ・歯 学等 の領 域 で はモ デ ル ・コア カ リキ ュ ラ ム はす で に確 立 して お り看 護 学 は現 在 検 討 中 とい う状 況 で あ る。 他 方 、 教 育 学 に お け る質 保 証 を め ぐ る議 論 で は 「参 照 基 準 」 は 現 在 検 討 中で あ る。2019年3月 に 公 開 シ ン ポ ジ ウム が 開 催 され 「参 照 基 準 」 の 第1 次 案 が提 案 され た が 、 文 科 省 か ら提 起 され て い る 教 職 科 目の コア ・カ リキ ュ ラ ム につ い て は 、 い く つ か検 討 す べ き 問題 が あ る が詳 し くは後 述 す る。 で は以 下 に 、看 護 学 と教 育 学 の質 保 証 をめ ぐ る議 論 を検 討 して い く。 II看 護 学 の 質保 証 を め ぐる議 論 1内 布 敦 子 報 告(兵 庫 県 立 大 学 副 学長) 平成29(2017)年3.月 に 日本 学 術 会 議 の健 康 ・ 生活 科 学 委 員 会 の看 護 学 分 科 会 ・連 携 会 員 で あ る 内布 敦 子 が 、 「参 照 基 準 の 作成 手順 と看 護 学 教 育 の参 照 基 準 案 につ い て 」 を報 告 した 。 報 告 で は 、 最 初 に 日本 学 術 会 議 の く 回答 〉 「大 学 教 育 の分 野 別 質 保 証 の 在 り方 につ い て 」(平 成22(2010)年 7.月22日)を 引 用 して 解 説 して い る。 (1)「 参 照 基 準 」 とは何 か 「参 照 基 準 」 は 、教 育課 程 の 編 成 の適 切 な プ ロセ ス(理 念 → 学 習 目標 → 学 習 内 容 → 学 習 方 法 → カ リキユ ラム へ 反 映→ 評 価)を 経 て な され るべ き で あ る と の 認 識 の 下 に 教 育 課 程 を編 成 す る プ ロセ ス 全 体 の 参 考 とな る よ う提 示 す る もの で あ る こ と。 ま た 、 「 参 照 基 準 」 は 、 あ くま で 一 つ の 「出発 点 」 と して 、 分 野 の 理 念 ・哲 学 並 び に 中核 的 要 素 の 同 定 に 留 ま る もの で あ り、それ に どの よ うな 肉付 け を し、具 体 化 を 図 っ て い くか は 各 大 学 の 手 に 委 ね られ る も の で な けれ ば な らな い こ と。 (2)「 参 照 基 準 」 の性 質 ・と らえ方 具 体 的 に どの よ うな授 業 科 目を 開設 す べ き か を 示 す も の で は な く、 ま た個 々 の 授 業 科 目の 直接 的 な 開 設 指 針 と して供 す る もの で は な い こ と。 教 育 課 程 の 編 成 は あ くま で も、 各 大 学 とそ の教 員 が 責 任 を負 うべ き で あ る こ と。 さ らに、 「参 照基 準 」 は標 準 化 を進 め るた め の 「模 範 」 や 「合 否 」 を検 証 す るた め の基 準 の よ うな 規 制 的 な性 格 を有 す る もの で は な い こ と。 (3)「 参 照 基 準 」 の役 割 と位 置 づ け 〉 「参 照 基 準 」 の基 本 的 な役 割 と して は 、教 育 プ ロ グ ラ ム のデ ザ イ ン等 に 関 与 す る人 々 の役 に 立 て て も ら う こ とや 、進 学希 望者 や 雇 用 主 に対 して 専 門 分 野 の学 位 が意 味す る もの につ い て理 解 を促 す こ と。 ま た 、専 門職 の養 成 課 程 に 関す る質 保 証 と の 関 わ りで は 、専 門職 教 育 と して の 質 保 証 は社 会 に 対 して 直 接 的 な質 保 証 の た め必 要 で あ る が 、 専 門職 教 育 で な い学 士課 程 で あ って も学 生 が意 義 あ る もの を身 につ け る こ とが 重 要 との 考 え で 「参 照 基 準 」 が 作 成 され る こ と。 さ らに、 す べ て の 関係 者 の利 用 に供 す る公 共 的 な 基盤 と して の位 置 づ け と して 、 「各 分 野 の教 育 にお け る最 低 限 の共 通 性 」 の 確 保 を公 的機 関 で あ る 日本 学 術 会 議 が行 な う こ とは 一 種 の社 会 的 イ ン フ ラス トラ ク チ ャ ー と し て の 役 割 を果 たす こ とに な る との 考 え が示 され て い る。 (4)「 参 照 基 準 」 の 主 な構 成 要 素 構 成 要 素 と して 、① 各 学 問 分 野 に 固有 の特 性 、 ② す べ て の学 生 が身 に付 け るべ き基 本 的 な素 養 で 、 単 な る学 問上 の知 識 や理 解 に留 ま る の で は な く 人 が 生 き て い く上 で重 要 な 意 味 を持 つ もの を 学 び を通 して 身 に付 け て い く とい う観 点 が示 され て い る。 (5)教 養 教 育 との 関 わ り一 学 士 課 程 教 育 全 体 の 質保 証 日本 の 大 学 の学 士 課 程 教 育 に は 、 教 養 教 育 とい うも う一 つ の重 要 な構 成 要 素 が あ り、 教 養 教 育 を 考 慮 せ ず に学 士 課 程 教 育 全 体 の 質保 証 枠 組 み を構 想 す る こ とはで き な い の で あ り、 学 士 課 程 教 育 の 質 保 証 は 、 教 養 教 育 も含 め た 学 士課 程 全 体 の観 点 か ら行 な わ れ る必 要 が あ る と述 べ られ て い る。 以 上 が 、 日本 学 術 会 議 の く 回 答 〉 に示 され た考 え方 を 内館 牧 子 報 告 を も とに ま とめ た も の で あ る 。 「参 照 基 準 」 が 各 大 学 の 自主性 ・主 体 性 を制 限 す る もの で は ない とい うこ とが 強調 され て い る こ とを確 認 して お き たい 。 さて 以 下 に 「看 護 学 」 の 「参 照 基 準 」 を紹 介 す る が 、 これ に至 る看 護 学 分 野 で の 作 成 経 過 につ い て は 、 文 部 科 学 省 ・看 護 学 教 育 の在 り方 に 関す る 検 討 会 に お い て 継 続 的 に議 論 され 、2004(平 成16 )年3月26日 「看 護 実 践 能 力 育成 の 充 実 に 向 け た 大 学 卒 業 時 の到 達 目標 」 、2011(平 成23)年 「学 士課 程 に お い て コ ア とな る看 護 実 践 能 力 と卒 業 時 到 達 目標 」(5つ の 能 力 群 と20の 看 護 実 践 能 力) 、 同年3月11日 文 部 科 学 省 「大 学 にお け る看 護 系 人 材 の在 り方 に 関す る検 討 会 最 終 報 告 」 、 平 成23 年 度 日本 看護 系 大 学 協 議 会 「大 学 卒 業 時 到 達 度 の 評 価 手 法 開 発 のた め の調 査 研 究 報 告 書 」 が ま とめ られ て い る。 こ の よ うに看 護 学 分 野 で は2004年 か ら質 保 証 の 議 論 を行 な っ て い た こ とが 判 明す る。 2〈 報 告 〉平 成29(2017)年9.月29日 「大 学 教 育 の 分 野 別 質 保 証 の た め の教 育課 程 編 成 上 の参 照基 準 看 護 学 分 野 」(看 護 学 分 科 会)の 検 討 以 下 で は 、 〈報 告 〉に基 づ い て 、 内容 の要 約 を 通 して 「看 護 学 」 の 『参 照基 準 』 を考 え てい き た い。 (1)は じめ に 日本 に お け る看 護 学 の大 学教 育 は 、1952年 に高 知 女 子 大 学 家 政 学 部 看 護 学 科 に 始 ま り、1975年 に 6大 学 。1986年 以 降設 立増 加 した。1992年 「看護 婦 等 の 人 材 確 保 の促 進 に 関す る法 律 」 お よび 「看 護 婦 等 の 確 保 を促 進 す る た め の 措 置 に 関す る基 本 的 な 指針 」 が 策 定 され 、背 景 に は看 護 系 大 学 の急 激 な増 加 が み られ た。2017年 に は看 護 系 大 学265 校 、 国 家 試 験 に合 格 した看 護 師 の約31%を4年 制 大 学 卒 業 者 が 占 め る こ とに な るが 、 現 在 で も看 護 師 の 多 くは3年 制 の専 修 ・各種 学 校 で 養 成 され て
い る。 本 報 告 書 は4年 制 大 学 にお け る看 護 学 教 育 の 「参 照 基 準 」 を示 して い る も ので あ る。 (2)看 護 学 の 定義 と領 域 ① 看 護 学 の 定義 看 護 は人 間 の尊 厳 と権 利 擁護 を基 盤 に した ヒ ュ ー マ ンケ ア の理 念 に基 づ き、 人 が 人 間 と して の 尊 厳 を維 持 す る こ とを 支 え、 人 間が 示 す 環 境 な どへ の 反 応 を手 が か りに そ の 人 ら しい 健 康 な 生活 を 送 れ る よ うに支 援 す る こ と。 支 援 に 当 た っ て は 、 人 間 が 本 来 持 っ て い るセ ル フケ ア 能 力 を最 大 限 に 引 き 出 し、 当事 者 の能 力 に 沿 うこ とを基 本 と し、 人 々 が 健 康 の維 持 ・増 進 、 予 防 等 を志 向す る生活 を 構 築 で き る よ うに 支援 す る。 個 人 だ け で は な く家 族 や 集 団 、 地 域 の状 態 もそ の 人 の健 康 な 生活 に お い て は 重 要 な要 素 とな るた め、 健 康 維 持 に 向 け て この よ うな集 団 レベ ル へ の働 きか け が必 要 とな る こ と。 さ らに 、制 度 構 築 や 政 策 提 言 な ど も看 護 学 が ア プ ロー チす る範 疇 と して 重 要 で あ る と述 べ ら れ て い る。 看 護 学 は 、全 て の発 達 段 階 、 多 様 な健 康 な 状 態 に あ る個 人 、家 族 、集 団 、 地 域 の 固有 の健 康 問題 や健 康 問題 に対 す る人 間 の 反 応 を探 究 し、健 康 の 維 持 ・増 進 に 向 け て人 との 相 互 作 用 を基 盤 と した 援 助 的 専 門 的 ア プ ロー チ を探 究 す る学 問 で あ る。 ま た 、 看 護 及 び 看 護 学 は 、 他 のす べ て の 学 問 と同 じく、 人 類 の平 和 と幸福 を希 求 して い る こ と。 ② 看 護 学 の対 象 とな る範 囲 ア 人 間 とそ の健 康 一連 続 性 、多 面 性 、生 活 を基 盤 と した 視 点一 看 護 学 は人 間 を 生活 者 と して と らえ 、健 康 問題 を と らえ る際 も生 活 の視 点 か らの理 解 を探 究す る。看 護 学 が と らえ る人 間 の健 康 も、同 じ く複 合 的 な概 念 で あ り、身 体 、心 理 、社 会 のい ず れ の側 面 もが 融 合 され た 全 人 的存 在 で あ る。看 護 学 に お い て は 、小 児 期 、成 人 期 、老年 期 等 の 発 達 段 階 ご との 特徴 に 関す る知 識 を基 に 、健 康 ニ ー ズ を アセ ス メ ン トす る。発 達 段 階 とい う軸 を 常 に 考 慮 し、発 達 段 階 特 有 の健 康 問題 を熟 知 して 、疾病 な どに よ っ て発 達 課 題 の 達 成 が 阻 ま れ て い な い か を検 討 す る。人 間 の健 康 を と ら え る視 点 は複 雑 で あ るた め に、看 護 学 の領 域 もま た 複 雑 な 構 造 を持 っ て い る。 イ 多 様 な健 康 の状 態 へ の 関 心 とア プ ロー チ 看 護 学 は 、健 康 か ら死 に 至 る多 様 な健 康 の状 態 に あ る人 間 に 関心 を持 つ 学 問。 看 護 実 践 にお い て は 、 身 体 の 状 態 を基 軸 と して健 康 の 状 態 ご とに 特 定 の 健 康 課 題 が 何 で あ る か を判 断 し、状 態 に応 じた健 康 へ の ア プ ロー チ を行 な う。a健 康 生 活 の保 持 増 進 や 予 防 が課 題 とな る状 態 、b急 激 な 健 康 破 綻 と回復 の 状 態 、c慢 性疾 患 及 び 慢 性的 な 健 康 課 題 を伴 う状 態 、d終 末 期 の状 態 ウ 看 護 の 活 動 の場 の広 が り 看 護 は 基 本 的 に 個 と して の 人 間 に 関 わ る活 動 で あ るが 一 方 で 世 界 規 模 の健 康 に か か わ る 問題(飢 餓 、感 染 、環 境 の 問 題 な ど)を 認 識 し集 団 を対 象 と し た活 動 へ と拡 張 して い る。他 の 専 門職 と協 働 す る 中 で看 護 の 専 門性 は 、広 が りや 細 分化 を見 せ て い る。 (3)看 護 学 固有 の特 性 ① 人 間 、 健 康 を と らえ る視 点 看 護 学 は 健 康 とい う視 点 で他 者 へ の 援 助 実 践(看 護)を 探 究 す る学 問。 看 護 の受 け手 は人 間 で あ り、 焦 点 は健 康 問題 。 健 康 の状 態 を と らえ,ケ ア リ ン グ の原 理 に 基 づ き、主体 で あ る人 間 を尊 重 し健 康 に 対 して援 助 を行 う。 ② 方 法 論(ア プ ロー チ)の 独 自性 看 護 学 は健 康 問 題 に 関 わ る 人 間 の 反 応 を理 解 す る こ とに 始 ま り、それ ら を科 学 的 エ ビデ ン スや 臨床 知 を 用 い て 論 証 し、健 康 とい う視 点 か ら包 括 的存 在 と して の人 間 を 描 き 出す とい っ た 学 問 的 ア プ ロー チ を行 な う。科 学 的 基 盤 に た つ サ イ エ ン ス(一 般 原 理 や エ ビデ ン ス)と して の側 面 とア ー ト(そ の 時 そ の場 で しか創 出 しえ な い現 象)の 両 側 面 の性 質 を も つ 学 問 と して 発 展 して き た。 ③ 関 連 学 問領 域 との つ な が り 「人 間 」 とい う複 雑 系 を理 解 し、健 康 に 関連 した ア プ ロー チ を体 系 化 す る に 当 た っ て 、看 護 学 は人 間 理 解 や 援 助 に か か わ る複 数 の 学 問領 域 で 蓄 積 され て き た 知 識 体 系 を取 り込 む。 医 学 は も ち ろ ん 、心 理 学 、行 動 学 、社 会 学 、文 化 人 類 学 、教 育 学 、 生活 科 学 な どの 関 連 諸 科 学 。患者 な どの 当事 者 自身 の 体 験 世 界 か ら学 ぶ 知 見 は看 護 に とっ て極 めて 重 要 。 ④ 社 会 にお け る看 護 の役 割 と看護 学 看 護 学 は真 理 を追 求 す る一 般 学 問 とい うだ け で は な く職 業 と して の 看 護 を支 え る実 学 と して の役 割 。看 護 学 は看 護 専 門職 の 学 問 的 基 盤 と して必 要 な
学 問 で あ る と同 時 に 、社 会 に対 して ケ ア の理 念 を発 信 す る学 問 と して重 要。 (4)看 護 学 士課 程 で 学 ぶ 全 て の学 生 が 身 に つ け る べ き基 本 的 素 養 ① 看 護 学 士 教 育 を 通 して 学 生 が 獲 得 す べ き知 識 と理 解 ② 看 護 学 士 教 育 課 程 を 通 して 学 生 が 獲 得 す べ き 基 本 的 能 力 ア 全 人 的 に対 象 を と らえ る基 本 的 能 力 イ ヒュー マ ン ケ ア を提 供 す るた め に必 要 な 基本 的 能 カ ウ根 拠 に基 づ く看 護 を展 開 で き る た め に必 要 な 基 本 的能 力 工 健 康 課 題 に対 応 した看 護 を展 開 で き る基 本 的 能 力 オ ケ ア環 境 とチ ー ム 体 制 を整 備 し看 護 を展 開 で き る基 本 的能 カ カ 生 涯 専 門職 と して研 鑛 を継 続 して い く基 本 的 能 力 ③ 人 々 の健 康 の維 持 増 進 に必 要 な ケ ア社 会 を 志 向す る態 度 (5)学 修 方 法 及 び 学修 成 果 の評 価 方 法 に 関 す る 基 本 的 な考 え方 ① 学 修 方 法 項 目だ け挙 げれ ば 、① 講 義 、② 演 習(グ ル ー プ ワ ー ク、事例学習、カ ンファ レンス)、 ③演習(実 技 演 習 、 シ ミュ レー シ ョン教 育 、実 習 室 演 習)、 ④ 臨 知 実 習 、⑤ 研 究 的 取 り組 み 。 ② 評 価 方 法 これ も項 目だ け挙 げ る。① 評 価 の視 点 、②評 価 の在 り方 (6)市 民 性の酒 養 をめ ぐ る専 門教 育 と教 養 教 育 との 関 わ り ① 専 門教 育 と して の看 護 学 を支 え る もの と し て の教 養 教 育 ② 教 養 教 育 の 一 部 を構 成 す る も の と して の看 護 学 ③ グ ローバ リズ ム の 中で の看 護 学 教 育 と教養 教 育 との 関 わ り (7)看 護 学 を学 修 して修 得 で き る主 な資 格 と能 力 以 上 の よ うに 、看 護 学 の 学 問 と して の意 義 や在 り 方 が 示 され てい る。特 に 人 間 の発 達 に深 い 関 心 を寄 せ 人 間 の健 康 と さ ら に は 世 界 の 平 和 ま で 希 求 す る とい う学 問 関心 は 、非 常 に教 育 学 と深 い つ な が りが あ る と認 識 で き る。 「関連 学 問 領 域 とのつ な が り」 の箇 所 に、教 育 学 が あ げ られ て い る こ と も非 常 に重 要 で あ る。 で は 、次 に 教 育 学 の質 保 証 の議 論 を 見 て い く こ とに したい 。 皿 教 育 学 の 質保 証 を め ぐる議 論 前 述 した 「看 護 学 」 の質 保 障 で も紹 介 した が 、 再 度 、議 論 の 背 景 を確 認 してお き た い。 平 成20( 2008)年3月 中央 教 育 審 議 会 ・大学 分 科 会 にお い て 、高 等 教 育 の グ ロー バ ル 化 の な か で 学 習 成 果 が 重 視 され 、 分 野別 質 保 証 の必 要 性が認 識 され 、 平 成20(2008)年5月 文 科省 高 等 教 育 局 長 か ら 日本 学 術 会 議 会 長 へ 、 学 士 力 の保 証 を含 む 大 学 教 育 の 分 野 別 質 保 証 が 必 要 で あ る との認 識 か ら質 保 証 の 在 り方 を検 討 して ほ しい とい う依 頼 が 出 され た 。 そ して 、 平成20(2008)年6月 日本 学 術 会 議 内 に 課 題 別 委 員 会 設 置 し、 「大 学 教 育 の 分 野 別 質 保 証 の在 り方 検 討 委 員 会 」 の3分 科 会 で検 討 す る こ と とな っ た。3分 科 会 とは 、 ① 質保 証 枠 組 み検 討 分 科 会 、② 教養 教 育 ・共 通 教 育 検 討 分 科 会 、 ③ 大 学 と職 業 との接 続 検 討 分 科 会 の3つ で あ る。 そ して 日本 学 術 会議 は 、 平 成22(2010)年7,月22日 に く 回答 〉 日本 学 術 会 議 「大 学 教 育 の 分 野 別 質 保 証 の在 り方 に つ い て 」 を公 表 した。 平成29(2017) 年12.月 現在31分 野 が 「参 照 基 準 」 を公 表 して い る が 、 「教 育 学 」 は現 在 作 成 中 で あ る。31分 野 は以 下 の とお り。 経 営 学 分 野2012年8月/言 語 学 分 野2012 年11.月/法 学 分 野2012年11.月/家 政 学 分 野 2013年5.月/(略)/経 済 学 分 野2014年8月 /(略)/社 会 学 分 野2014年9月/心 理 学 分 野 同前/地 理 学 分 野 同前/政 治 学 分 野 同 前/( 略)/文 化 人 類 学 分 野 同前/歴 史 学 分 野 同前 /社 会 福 祉 学 分 野2015年6.月/(略)/哲 学 分 野2016年3.月/薬 学 分 野(4年 制)2016年8 ,月/歯 学 分 野2017年9.月/看 護 学 分 野 同前/ 医学 分 野 同 前
上記 の よ うに教 育 学 に近 い 心理 学 は2014年9 .月、薬 学 は2016年8,月 、歯 学 ・看 護 学 ・医学 は 2017年9月 に公 表 して い る。 〈教 育 関連 学会 連 絡 協 議 会 ・公 開 シ ン ポ ジ ウム 〉が2019年3月16日 に 学習 院 大 学 で 開催 され 、 テ ー マ は 、 「教 育 学 教 育 の あ り方 と教 職 課 程 カ リキ ュ ラム の 再 検 討 一教 育 学分 野 の 参 照 基 準 の作 成 に 向 け て 一 」 で あ っ た 。(3)報 告者 は、 ① 松 下佳 代(京 都 大 学)「 教 育 学 分 野 の 参 照 基 準 の全 体 構 想 」 、② 油 布 佐 和 子( 早 稲 田大 学)「 教 職 課 程 コア カ リキ ュ ラ ム の課 題 」 、③ 深 堀 聡 子(九 州 大 学)「 教 育 学 分 野 の参 照 基 準 の活 用 法 」 、 司会 者 は 吉 田 文(早 稲 田大 学 )。 1松 下佳 代 報 告 「教 育 学 分 野 の参 照 基 準 の全 体 構 想 」 (1)日 本 学 術 会 議 にお け る参 照 基 準 の作 成 前 述 した よ うに、 中教 審 答 申 「学 士 課 程 教 育 の 構 築 に 向 けて 」(2008年12月24日)に お い て 、 学 士課 程 教 育 の 質 保 証 の課 題 が提 起 され 、 文 科 省 か ら 日本 学術 会 議 へ 「大 学 教 育 の分 野 別 質 保 証 の 在 り方 に つ い て 」 の審 議 依 頼(2008年5.月22日 )が 行 わ れ た 。 そ して 、 日本 学 術 会 議 の 中 に 「大 学 教 育 の 分 野 別 質 保 証 の在 り方 検 討 委 員 会 」 の3 つ の分 科 会 を設 置 世 知 。 ① 質 保 証枠 組 み 検 討 分 科 会 、② 教 養 教 育 ・共 通 教 育 検 討 分科 会 、 ③ 大 学 と 職 業 との 接続 検 討 分 科 会 の3分 科 会 で あ る。2年 後 に 日本 学 術 会 議 よ り回答 「大 学教 育 の分 野 別 質 保 証 の在 り方 につ い て」 が公 表 され た(2010年7 .月22日)。 そ れ を踏 ま え て各 分 野 で 「参 照 基 準 」 が作 成 ・公 表 され た(2012年8月31日 ∼)。 「教 育 学 」 は現 在 作 成 中 で あ るが 、2017年12月 ま で に 「参 照 基 準 」 を公 表 して い る領 域 は31分 野 で あ る。 「教 育 学 分 野 の参 照基 準(試 案)」( 広 田照 幸 氏 に よ る)が 各 分 野 で の 作 業 のた め のサ ンプル と して 作 成 ・活 用 され た が教 育 学 分 野 の参 照 基 準 の 作 成 に は至 らな か っ た との こ とで あ る。 (2)教 育 学分 野 で の 分 科 会 の設 置 「教 育 学 分 野 の参 照 基 準 検 討 分 科 会 」 の設 置 期 間 は2017年12月22日 か ら2020年9.月30日 で あ り、 現 在 進 行 形 の分 科 会 で あ る。 設 置 目的 は教 育 学分 野 の 「参 照 基 準 」 を作 成 す るた め の分 科 会 で あ るが 、 教 育 学 分 野 の大 学 ・学 部 に は教 育 学 研 究 を 目的 とす る も の と教 員 養 成 を 目的 とす る も の が あ り、教 育 学 分 野 の参 照 基 準 の作 成 には独 特 の 困難 さが っ きま と うこ と、 一 方 で 、 教員 養 成 につ い て はす で に 文 部 科 学 省 に よ っ て 「教職 課 程 コア カ リキ ュ ラム 」 が 作 成 され る な どの 動 き も あ り、 これ ら全 体 を視 野 に入 れ た 作 成 作 業 が 必 要 な こ と が 認 識 され て い る。 分 科 会 の組 織 と して は、 日本 学 術 会 議 第 一 部 会 員 か らは教 育 学 分 野3名 、 社 会 学 分 野1名 、 日本 学 術 会 議 連 携 会員 か らは分 科 会 参 加 希 望 者14名 、 特 任 連 携 会 員 は 会 員 ・連 携 会 員 外 か ら推薦2名 で あ る。 メ ンバ ー 上 の 問題 と して は委 員 の 専 門分 野 にや や 偏 りが あ り、 日本 教 育 史 の 専 門 家 は ゼ ロ の現 状 で あ る。 (3)教 育 学 分 野 の作 成 プ ロセ ス 今 ま で の経 過 は 、 第1回 会 合(2018.3.30)で は 、① 参 照基 準 の 主 要 な構 成 要 素 と作成 上 の 留 意 点 、お よび参 照 基 準 のサ ン プル と して 示 され た 教 育 学 分 野 の 『試 案 」(広 田照 幸 連 携 会員)、 ② Tuningに お け る教 育分 野(教 育 学/教 員 養 成)の 参 照 基 準(深 堀 聡 子 委 員)、 ③ 教 職 課 程 コア カ リ キ ュ ラ ム(高 野 和 子 委 員)の3報 告 に も とづ き、 教 育 学 分 野 の 参 照 基 準 の作 成 の方 向性 と課題 につ い て議 論 した。 第2回 会 合(2018.6.17)で は、 ① 「言 語 ・文 学 分 野 の参 照 基 準 の作 成 につ い て 」 (塩川 哲 也 東 京 大 学名 誉 教 授)、 ② 「薬 学 分 野 の 参 照 基 準 に つ い て 」(赤 松 昭紀 和 歌 山県 立 医 科 大 学 客 員 教授)の2報 告 に も とづ き 、 各 分 野 に 固有 の特 陛 の整 理 、 モ デ ル ・コ ア カ リキ ュ ラム と参 照 基 準 との 関係 な どにつ い て 議 論 した。 そ の 後 、 委 員 か らの意 見集 約(∼2018.8.14)を 行 い 、 広 田 試 案 を含 め参 照 基 準 につ い て の意 見 を委 員 か ら集 約 し、第3回 会 合(2018.9.10)に お い て 、 各 委 員 か らの意 見 に も とつ い て 、 論 点 を整 理 し、 大 ま か な作 成 方 針 を 立 て た 。 そ して 、幹 事 会 案 の 提 案 (2018.12.26)と 第 一 次 案 の作 成 に 至 っ た。 今 後 の 予 定 と して は 、2019年4月 か らAppendixの 作 成 、 ステ ー ク ホル ダ ー 調 査(利 害 関係 者)、2010 年5.月 か ら最 終案 の 学 術 会 議 へ の提 出 、2020年9 .月に 「報 告 」(教 育 学 分 野 の参 照 基 準)の 発 出 と い う予 定 で あ る。 2「 大 学 教 育 の分 野 別 質 保 証 の た め の 教 育 課 程 編 成 上 の 参 照 基 準 教 育 学 分 野(第 一 次 案)2019年3月16日 」 の検 討(4)
第1次 案 の 最 初 に次 の こ とが述 べ られ て い る。 「教 職 課 程 コア カ リキ ュ ラ ム 」 に 関 して は、 内容 、策 定過 程 、 運 用 方 法 等 につ い て批 判 も提 起 され て お り再 検 討 の 余 地 が あ る。 本 参 照 基 準 は、 教 育 学 分 野 に 関 連 す る教 育 課 程 を編 成 す る際 の参 照 基 準 で あ り、 この 教 育 課 程 に は 、本 来 〈教 育 研 究 に 関す る教 育課 程 〉 とく教 員 養 成 に 関 す る教 育 課 程 〉の 両方 が含 ま れ るべ き と考 え られ て い る。 しか し、後 者 に つ い て は 、教 育 職 員 免 許 法 や そ れ に基 づ い て作 成 され た コ ア カ リキ ュ ラム が す で に存 在 す る こ とか ら、 本 参 照 基 準 は前 者 を 中心 に作 成 さ れ て い る。 しか しく教 員 養 成 に 関す る教 育 課 程 〉 を考 察 の 対 象 か ら除 外 した わ け で は な く、 本 参 照 基 準 が教 員養 成 を行 う際 の理 論 的 土 台 とな る こ と 、教 職 課 程 コア カ リキ ュ ラ ム を相 対 化 し今 後 改 訂 され る 際 の 足 が か りを提 供 す る こ と を企 図 してい る。 教 員 養 成 にお い て 、理 論 と実 践 を包 括 す る最 先 端 の教 育 学 が 適 切 に活 用 され て い くこ とが 、 ま た 、教 育 学 が 教 員 養 成 とい う要 素 を付加 的 に で は な く本 来 的 な 要 素 と して位 置 付 け る こ とが 、 よ り 望 ま しい 教 育 学 お よび 教 員 養 成(教 職 課 程)の 構 築 に お い て 求 め られ る。 (1)教 育 学 の 定 義 教 育学 とは 、 あ る社 会 ・文 化 に お け る人 間 の生 成 ・発 達 と学 習 の過 程 に意 図 的 に働 きか け る教 育 とい う営 み を対 象 とす る さま ざま な 学 問領 域 の総 称 。 ① 教 育 とい う営 み 教 育 を行 うの は人 間 だ けで は ない 。 例 え ば 、 動 物 行 動 学 で は 自分 の た め だ け に な らばや らな い 特 別 な 行 動 を 、 自分 の メ リッ トに は直 接 な らな い に もか か わ らず 、 わ ざわ ざ他 者 の学 習 の た め に行 う とき、 そ の行 動 を 「教 育(teaching)」 と定義 す る 。 しか し、複 数 の教 育行 動 か らな る 「教 育活 動 」 や 、 さ らに教 育 活 動 を意 図 的 ・計 画 的 に組 織 化 し た 「教 育 制 度 」 は人 間(ヒ ト)だ け で あ り教 育( education)は き わ め て 人 間 的 な営 み で あ る。 教 育 は 、 生 まれ て か ら死 ぬ ま で 人 間 の生 涯 に わ た っ て 、 ま た 学 校 、家 庭 、 地域 、 職 場 な どお よそ人 間 が 生 活 す る あ らゆ る場 所 で行 わ れ る。 学 校 は 、 学 習 を促 す こ と 自体 を 目的 に 、 日常 生 活 とは異 な る時 間 ・空 間 を設 定 して 計 画 的 に教 育 を行 う場 で あ り 、 学 校 教 育 は教 育 学 の 中で も と りわ け重 要 な位 置 を 占め 、 ま た そ こ で教 育 を行 う教 員 を養 成 す る た め の教 育 課 程 が 整 備 され て き た。 一 方 で 、 教 育 学 に お い て は 、 現 在 私 た ち が経 験 して い る教 育 を 、 西 洋 近代 とい う特 殊 な 時代 ・社 会 の 産 物 とみ な し 、19世 紀 後 半 以 降 に 国 民 国家 の誕 生 に伴 っ て 学 校 教 育制 度 と共 に世 界 中 に広 ま っ た歴 史 的 な事 象 と して相 対 化 す る見 方 も作 られ て きた 。 ② 教 育 学 分 野 に包 括 され る諸 学 問領 域 教 育 学 の研 究 対 象 は 、近 代 に 特徴 的 な教 育 あ る い は 学校 教 育 だ け で は な く、教 育 が 行 わ れ る あ ら ゆ る時 間 、 あ らゆ る空 間 に及 ん で い る。 教 育 学 は そ う した 教 育 とい う営 み の 目的 、 内 容 、 方 法 、機 能 、制 度 、 歴 史 な どにつ い て 、 規範 的 、 実 証 的 、 実 践 的 に ア プ ロー チ す る学 問分 野。 教 育 学 を構 成 す る諸 学 問領 域 は 、<基 盤 とな る学 問 を何 にお い て い るか 〉 と〈何 を対 象 領 域 と して い る か 〉 に よ っ て 分類 。 (a)基 盤 とな る学 問 に よ る分 類 教 育 哲 学 、 教 育 史 学 、教 育社 会 学 、 教 育 心 理 学 、教 育 工 学 、 教 育 行 政 学 な ど。 (b)対 象 領 域 に よ る分 類 教 育 方 法 学 、教 師 教 育 学 、 教 育 経 営 学 、 学校 教 育 学 、幼 児 教 育 学 、 高 等 教 育 学 、教 科 教 育 学(各 教 科 を含 む)、 特殊 教 育 学 、 社 会 教 育 学 、 比 較 教 育 学 、 環 境 教 育 学 、 キ ャ リア教 育 学 な ど。 (a)の 分 類 は 、 教 育 学 を構 成 す る諸 学 問領 域 が 哲 学 、 史学 、社 会 学 とい った 基 盤 とな る学 問 の 概 念 や 方 法 を 用 い て 教 育 とい う営 み に ア プ ロー チ して い る とい う特 徴 が あ り(b)の 分 類 は 、 教 育 の 対 象(幼 児 教 育 、 特殊 教 育 な ど)・ 段 階(学 校 教 育 、 高 等 教 育 な ど)・ 内容(教 科 教 育 、 環 境 教 育 、 キ ャ リア教 育 な ど)な どの下 位 分 類 を含 ん で い る。 教 育 研 究 の 多 く は(a)と(b)の 交 差 に よ って 特 徴 づ け られ る。 通 常 、 「教 育 学 」 とい う場合 は 、 教 育 哲 学 、教 育 史 学 、 教 育 社 会 学 、教 育 方 法 学 、 教 育 行 政 学 、社 会 教 育 学 な どを さ して い るが 、 これ らの領 域 が 古 くか らあ る教 育 学 の領 域 で 、 こ れ らの領 域 名 を名 称 に用 い た 科 目が 、教 員免 許 取 得 の た め の必 須 科 目 と して 文 科 省 の認 定 を得 て い る。 しか し、教 育 学 は学 校 教 育(あ るい は 近 代 教 育)に 制 度 的 に 支 え られ な が らも 、 学校 教 育(あ るい は近 代 教 育)を 対 象 化 ・相 対 化 し、 そ れ を改 善 した り、 それ とは 異 な る(オ ル タ ー ナ テ ィブ な
)教 育 の 形 を示 そ う と した りして きた 学 問分 野 で もあ る。 (2)教 育 学 に 固有 の特 性 ① 人 間 と社 会 の 可 変 性 へ の 関心 教 育 学 に 固有 の特 性 は 、 教 育 とい う営 み を研 究 対 象 と し教 育 学 が 、 〈人 間 の 可 変 性 へ の 関 心 〉 を 持 っ とい う こ とに他 な らな い 。 〈人 間 の 可変 性 へ の 関 心 〉 は 、通 常 、発 達 可 能 性 ・学 習 可 能 性 ・教 育 可 能 性 とい う語 で表 され て い る。 た だ し、発 達 可 能 性 ・学 習 可 能 性 ・教 育 可 能 性 とい うの は 無制 約 で 無 限 の 可能 性 を意 味 す るわ けで は な い。 教 育 学 の 考 察 は 、発 達 の制 約 性 、 学 習 の 困難 さ、 教 育 の 限 界 を 、 同 時 に 見 き わ め る も ので も あ る。 教 育 学 にお け る く人 間 の 可 変性 へ の 関心 〉 は 、 さ らに く社 会 の可 変 性 へ の 関 心 〉 に もつ な が っ て い る。 教 育 とは、 先 立っ 社 会 に よ る次 世 代 育 成 の た め の 働 きか け で あ る と同 時 に 、 教 育 され た人 々 に よ る 新 た な 時 代 ・社 会 の建 設 で あ る とい う二 重 性 を持 つ。 〈人 間 の可 変 性 へ の 関 心 〉が 、 発 達 の制 約 性 、 学 習 の 困難 さ、教 育 の 限 界 を見 き わ め る こ と を 求 め る も の で あ っ た の と同 様 に、<社 会 へ の 可 変 性 へ の 関心 〉も教 育 の社 会 的 、 歴 史 的規 定性 や 制 約 を認 識 す る こ とを 求 め る。 ② 研 究 ア プ ロー チ の 多様 性 教 育学 は 、 人 間 と社 会 の 可変 性 、 そ して そ の変 化 を 引 き お こす 教 育 とい う営 み を 、 多 様 なア プ ロ ー チ で考 察 す る 。 規 範 的 ア プ ロー チ 、 実 証 的 ア プ ロー チ 、 実 践 的 アプ ロー チ が あ り、 これ らの ア プ ロー チ は 教 育 学 の研 究 方 法 と研 究 テ ー マ の両 方 に 関 わ っ て く る。 ア規 範 的 ア プ ロー チ この ア プ ロー チ は 、教 育 を通 して 、 何 が 、 どの よ うに 実 現 され るべ き か を考 察 す る も の。 教 育 と い う営 み は 、 人 間 の生 成 ・発 達 と学 習 の過 程 に意 図 的 に働 きか け る も の で あ る か ら、 価 値 の 問題 と 切 り離 す こ とは で き な い。 イ 実証 的 ア プ ロー チ この ア プ ロー チ は 、教 育 が 、 事 実 と して 、 どの よ うに行 わ れ て きた か 、行 われ て い るか 、 行 われ て い くか を、 実 証 的 に記 述 ・説 明 し よ う とす る も の。 教 育 とい う営 み は 、 あ る社 会 ・文 化 にお け る 人 間 の 生成 ・発 達 と学 習 の過 程 に働 きか け る も の で あ る か ら、 一 定 の 時 間 的 スパ ン で 人 間 の 生成 ・ 発 達 と学 習 の過 程 を把 握 した り、特 定 の歴 史 的 時 点 の社 会 ・文 化 に お け る教 育 の実 態 に つ い て 明 ら か に した りす る こ とが 不 可 欠 で あ る。 この よ うな 実 証 的 な研 究 に よっ て 、 よ り確 実 な 知 の 基盤 の 上 に教 育 を組 織 化 す る こ とが 可 能 に な る。 ウ実 践 的 ア プ ロー チ こ の ア プ ロー チ は 、 教 育 の対 象 とな る人 間 、 あ るい は教 育 とい う行 為(行 動)・ 活 動 ・制 度 を、 そ の可 変 性 へ の信 頼 の も とに、 い か に して 、 現 在 の状 態 か ら よ り望 ま しい 状 態 に変 え て い くか を検 討 ・構 想 す る もの 。 教 育 とい う営 み は 、 人 間 の 生 成 ・発 達 と学 習 の過 程 に意 図的 に働 き か け る もの で あ る か ら、 そ れ は どの よ うに働 き か け るか とい う技(テ クネ ー)を 必 要 とす る。 近 代 教 育 学 の 成 り立 ち の局 面 ま で さか の ぼ る と、人 間 が 特 定 の 未 来 構 想 の 下 で 、 次 世 代 の 人 間 を意 図 的 ・計 画 的 に 作 り出そ うとす る実 践 的 関心 で あ る。 そ れ は 、 よ り円滑 で 、 よ り効 果 的 な教 育 の あ り方 を追 求 す る ア プ ロー チ と して 発 展 して き た。 特 に 、 教授 学( ペ ダ ゴ ジ ー)の 長 い 伝 統 は、教育 とい う営み をよ り成 功 裡 に達 成 しよ う とす る実 践 的 関 心 を背 景 に して い る。 学校 教 育 制 度 が 形 成 され た後 は 、 教 授 場 面 、 す な わ ち 教 育 内容 や 教 育 方 法 の 考 察 に と ど ま らず 、 教 育制 度 や 教 育 政 策 、 学 校 経 営 に 関 わ る 主 題 も ま た 、 実 践 改 善 の 関心 の も とで 考 察 され て き た。 ③ 技 術 知 と反 省 知 の 両 面性 教 育 目標 の 定 立 か ら、 教 育 の た め の制 度 や組 織 の設 計 と運 営 、 教 育 内容 と教 育 方 法 の選 択 と構 成 、 実 施 され た教 育 の 効 果 や 意 図せ ざ る結 果 の 考 慮 にい た る教 育 の 全過 程 が 、 常 に価 値 対 立 的 ・論 争 的 な主 題 で あ る こ とは明 らかで あ る。 教 育 は他 者 の学 習 を組 織 化 しよ う とす る営 み で あ るた め 不 確 実 性 、未 来 性 、価 値 選 択 性 を持 っ て い る。 ま た 、 ま さに 同 じ理 由 か ら、 暴 力 性 や 排 除性 を原 理 的 に は らん で もい る。 教 育 は人 間 の 自由 を増 大 させ 、 平 等 を促 進 し、社 会 の 豊 か さを増 進 させ る こ とが で き る もの で あ る と同時 に、 他 者 の 自 由 を抑圧 し 、 不 平 等 を 固 定化 し、 他 者 の生 存 を 脅 か す 活 動 と して も機 能 し うる。 そ れ ゆ え 、 教 育 学 にお い て 「よ りよい 教 育 」 を 目指 す こ とは 、 単 に 技 術 的 ・実 践 的 な課 題 解 決 を
意 味す るの で は ない 。 そ の よ うな技 術 知 の側 面 と 並 ん で 、 教 育 学 で は反 省 知 の側 面 が 重 視 され る。 教 育学 の根 幹 に は、 人 間 の性 質 や 社 会 の過 去 や 現 状 につ い て の 科 学 的 な知 見 と、 人 間 や 社 会 の理 想 に 関す る諸 理 念 につ い て の注 意 深 い 吟 味 とを前 提 と した反 省 的 な 認 識 が存 在 しな けれ ば な らな い。 教 育学 に お い て 、 規 範 的考 察 と実証 的 考 察 が 不 可 欠 な要 素 で あ る の は 、 こ の反 省 的 な 認 識 を必 要 と して い るか らで あ る。 ④ 教 育 学 の再 帰 性 教 育 学 を 学 ぶ 学 生 はす で に 自 らの成 育 史 にお い て さま ざま な 教 育 を経 験 して お り、 か つ 、 大 学 教 育 を通 して 教 育 学 を学 ぶ とい う経 験 を行 って い る 。 教 育学 は 、 教 育 者 ・被 教 育者 の双 方 が 自 らの教 育 経 験 を 相 対 化 す る と と もに 、 現在 進 行 形 の教 育 それ 自体 を問 うこ とも求 め られ る点 に、 他 の学 問 分 野 とは 異 な る再 帰 性 を有 す る。 教 育 学 は、 い わ ゆ る研 究 機 関 に属 す る者 の み が 特権 的 に担 い うる もの で は な くむ しろ 、現 実 の教 育 とい う営 み を担 っ て い る実 践 者 に よ る反 省 的 な研 究 も重 要 な位 置 づ け を持 つ の で あ る。 だ か ら こそ 、 教 育 学 は、 実 践 者 を 育 て る教 員 養 成 とい う要 素 を付加 的 に で は な く本 来 的 な 要 素 と して位 置 づ け る必 要 。 ⑤ 他 の諸 学 との 協働 教 育学 を構 成 す る諸 学 問領 域 は 、<基 盤 とな る学 問 を何 に お い て い る か 〉 とく何 を対 象 領 域 と して い る か 〉に よ って 分 類 。 基 盤 とな る学 問 とい う視 点 で 、諸 学 との 協 働 に よ り、教 育 とい う営 み を 、 哲 学 、歴 史 学 、 社 会 学 、心 理 学 、 工 学(テ ク ノ ロ ジ ー)、 行 政 学 、 法 学 な どの分 野 の概 念 や 方 法 に よっ て 多 面 的 に照 ら し出す こ とが で き る、 対 象 領 域 とい う視 点 か らは 、例 え ば 、教 科 教 育 学 は、 人 間 が創 造 ・蓄 積 して き た様 々 な 学 問(人 文 学 ・社 会 科 学 ・自然 科 学)や 文 化(芸 術 ・ス ポ ー ツ等) を学 校 教 育 を通 じて 次 世 代 へ 伝 達 ・継 承 す る た め に 、各 教 科 の 目標 ・内容 ・方 法 を 考 察 す る領 域 。 環 境 教 育 や 多 文 化 教 育 も 同様 。 教 育 学 以 外 の 学 問分 野 の側 で も、 教 育 学 との協 働 の必 要 性 が 認 識 され て い る。 例 えば 、 言 語 ・文 学 分 野 の 参 照 基 準 や 歴 史 学 分 野 の参 照 基 準 にお い て 、初 等 ・中等 教 員 養 成 の重 要 性 が 述 べ られ てい る こ とに も明 らか で あ る。 (3)教 育学 を 学 ぶ す べ て の学 生 が身 に 付 け る こ とを 目指 す べ き基 本 的 な要 素 ① 基 本 的 な知 識 と理 解 教 育 学 が本 来 的 に複 眼 的 な視 点 か ら研 究 す る こ とを求 め られ る分 野 。 教 育 学 を学 ぶ 学 生 に は 、 非 常 に幅 の広 い領 域 を横 断 した 基 本 的 な 知識 と理 解 が 求 め られ る。 教 育 学 に 固有 な特 性 で あ る実 践 的 志 向性 をふ ま え るな らば こ こで の知 識 と理解 には 、 自 らの教 育経 験 の 相 対 化 を伴 う知 識 の獲 得 、 理 論 知 と実 践 知 を包 括 す る理 解 、 教 育 を 考 え る視 点 の差 異 につ い て の 理解 とい った 内容 が含 ま れ る。 ア教 育 の原 理 と基 本 概 念 の理 解 人 間 の歴 史 の 中で 成 立 して き た教 育 事 象 を貫 く 原 理 に 関す る理 論 的 諸 命 題 を理 解 し、説 明 す る こ とが で き る よ うに な る こ とは、 教 育 学 の 学 び にお い て必 須 の事 項。 例 え ば、 「教 授 」 や 「学 習 」 、 「養 育 」 や 「保 育 」 とい った 「教 育 」 を構 成 す る 諸 概 念 を理 解 した り、 そ の 歴 史 性 を 学 ん だ りす る こ とは、 教 育 学 を学 ぶ 上 で 必 要 。 教 育 の歴 史 的 展 開 の 中 で生 み 出 され て きた 、 教 育 学 に お け る 「生 成 」 、 「発 達 」 、 「成 長 」 、 「進 歩 」 とい っ た 概 念 群 の理 解 も重 要 。 イ 教 育 の 目的論 的 探 究 の 理 解 これ ま で の 教 育 が 、 どの よ うな 目的 を有 し、 実 践 され て き た の か を、 思 想 的 、 歴 史 的 、 文 化 的 、 社 会 的 な視 点 か ら学 ぶ 必 要 が あ る。 教 育 は 、 た だ 教 え られ る か ら、 ま た はた だ 学 び うるか ら行 わ れ る とい う教 育 可能 性 ・学 習 可 能 性 の 次 元 で の み 論 じる こ とが で き な い 営 み 。 どの よ うな 営 み で あ っ て も 、何 らか の 「よ き」 人 間像 や 教 育 目標 を設 定 し、 そ の人 間像 や 目標 に 向 けて 営 まれ て い る。 そ の 目的 論 的性 格 を、過 去 の 教 育 実 践 や 教 育 言説 か ら読 み 解 き 、 これ ま で の 教 育 が どの よ うな 目的 を 有 して き た の か を知 る こ とは これ か らの 教 育 の 目 的 を考 え る 上 で欠 か せ ない 知 識 とな る。 ウ教 育 の 歴 史 的 ・制 度 的展 開 と社 会 ・文 化 的 多 様 性 の 理 解 実 際 の教 育 とい う営 み は、 特 に近 代 以 降 は 、 制 度 化 され た さま ざま な体 系 の も とで行 わ れ て きた 。 そ の典 型 例 は 、 「国 民 国 家 」 、 「学校 」 や 「近 代 家 族 」 で あ る。 国 民 国 家 、 学 校 や 近代 家族 とい うき わ め て特 殊 な歴 史 的 構 築 物 を理 解 しな けれ ば
、現 代 の 教 育 事 象 を理 解 す る こ とは 困 難 で あ る。 現 代 の教 育 事 象 に まつ わ る諸 課 題 の 多 くは、 学 校 や 近 代 家 族 との 関 わ りにお い て 現 出 して い る とい っ て よい。 そ う した 諸 課 題 の根 本 的 な 理 解 の た め に も、教 育 の 歴 史 的 ・制 度 的展 開 に つ い て 理 解 し 、説 明 で き る よ うに な る必 要 。 教 育事 象 は 、 同時 代 的 に 見れ ば 、 多 様 な社 会 の あ り方 や 文 化 的 多 様 性 に よっ て 、 そ の 現 出 の仕 方 が さま ざま で あ る こ とが見 え て く る。 自身 が 生 ま れ 、生 き て きた 社 会 や 文 化 の 中 で 営 ま れ て き た教 育 の あ り方 が す べ て で は な い こ と を 自覚 し、 教 育 の構 築 の され 方 の本 来 的 な 多様 性 と、 そ の多 様 性 の背 後 に あ る教 育 の異 な る 可能 性 を理解 す る必 要 が あ る。 工 学 習 過 程 とそれ へ の 教 育 的 介 入 の理 解 教 育 とい う事 象 を ミク ロな レベ ル で 見 れ ば 、教 育 者 と被 教 育 者 との相 互 作 用 に お け る学 習 過 程 へ の介 入 と して 理 解 す る こ とが で き る。 近 年 で は 、 心 理 学 の み な らず 、 社 会 学 、文 化 人 類 学 、 脳 科 学 な ど関連 諸 科 学 が 積 極 的 に活 用 。 さま ざ ま な学 習 理 論 が提 案 され て い る状 況 。 それ らの 学 習 理 論 の 知 見 を学 び 、 学 習 が い か に して成 立 す るか 、 教 育 的介 入 が 学 習 をい か に促 して い るの か(あ るい は 妨 げ て い るの か)、 そ の介 入 行 為 が 被 教 育 者 の 自 発 的 な学 習 活 動 を組 織 す る もの に な って い る か な どを考 察 す る こ とは 、 ミク ロな 実践 と して の教 育 を理 解 す る上 で 必 要 。 オ 教 育 事 象 と社 会 的 事象 との 相 互 関係 の理 解 教 育 とい う事 象 を メ ゾ レベ ル ・マ ク ロ レベ ル で 見 た とき に 、 他 の社 会 的事 象 との 関係 にお い て成 立 して い る こ とが 見 え て くる。 現代 社 会 にお い て 教 育 は 、 教 育 者 ・被 教 育 者 とい うミ ク ロ な レベ ル だ け で成 り立 つ も の で は な く、 それ を取 り巻 く組 織 や 集 団 、 さ らに はそ れ らの組 織 や 集 団 を包 括 す る よ り広 範 な 社 会 との 関係 に条 件 づ け られ て 営 ま れ て い る。 教 育 を成 り立 たせ て い る条 件 と して の 組 織 や 集 団 の あ り方 、 さ らに は社 会 や 制 度 の あ り 方 ま で視 野 を広 げ る こ とで 、 よ り十 全 に現 代 的 な 教 育事 象 の構 造 が 見 え て くる。 この 関係 を理 解 し 説 明 で き る こ とが 教 育 学 の学 び で必 要 で あ る。 ② 基 本 的 な能 力 教 育 学 は数 多 くの学 問領 域 か ら成 り、 そ れ ぞ れ に 多様 な 学 習 内容 ・方 法 が あ るた め 、 学 生 が どの 領 域 を深 く学 ん で い くか に よ っ て 、獲 得 可 能 な 具 体 的 能 力 は異 な る。 規 範 的 な ア プ ロー チ を深 く学 ん だ者 は 、教 育 に 関 わ る事 象 の複 雑 性 とそ こ に見 られ る矛 盾 の本 質 を理 解 し、 対 立 す る さま ざま な 見 解 や 主 張 を論 理 的 に吟 味 す る こ とが 可 能 に な る 。 実 証 的 な ア プ ロー チ を深 く学 ん だ者 は 、 教 育 に 関 わ る事 象 を 実 証 的 な観 点 か ら検 討 し、 必 要 に応 じて 自 ら調 査 ・観 察 す る こ とが で き る よ うに な る 。 実 践 的 な ア プ ロー チ を深 く学 ん だ者 は 、 具 体 的 な教 育 実 践 の 現 実 を的 確 に把 握 し、適 切 な 内容 や 方 法 で 関 与す る こ とが 可 能 に な る。 教 育 実 践 に 関 わ る対 象 領 域 で 教 育 学 を深 く学 習 した者 は 、 自 ら実 践者 と して ふ る ま う際 に 何 を ど うす るべ き か に つ い て 、 多 くの技 術 的知 識 と十 分 な反 省 的 思考 を 有 す る こ とに な る。 教 育 制 度 や 教 育 政 策 、社 会 と教 育 との 関 わ りな どに つ い て深 く 学 習 した者 は 、 マ ク ロ な制 度 構 築 や 社 会 設 計 にお け る教 育 の位 置や 役 割 につ い て 、適 切 な 理解 と判 断 が で き る よ うに な る。 a教 育 学 に 固 有 の 能 力 こ の よ うな 多様 性 は あ る も の の 、教 育 学 を学 ん だ 者 は 、教 育 学 に 固 有 の 能 力 を獲 得 す る こ とが 期 待 され る。 教 育 学 に 固有 の 能 力=① 市 民 生 活 上 求 め られ る能 力 、② 職 業 上 求 め られ る能 力 、 の 二 つ に分 け て整 理 で き る。 ア 市 民 生 活 上 求 め られ る基 本 的 な能 力 教 育 とい う営 み は 、 人 の 生 活 に密 に根 ざ して 成 立 してい る。 私 た ち は、 社 会 の成 員 と して 、 そ れ ぞ れ 異 な る 立場 や 場 面 で 、 教 育 とい う営 み に 寄 与 して い る。 そ の 際 、 教 育 学 的 知 見 に よ らず に 経 験 的 に対 処 す るの と、 教 育 学 の知 見 を活 用 して よ り よい 教 育 の あ り方 を模 索 す る の とで は 、 そ の過 程 や 帰 結 に お い て 異 な る様 相 を持 つ こ とに な る。 教 育 学 が 目指 す の は 、 この うち、 後 者 の教 育 学 の 知 見 を活 用 して よ りよい 教 育 の あ り方 を模 索 す る市 民 性 の酒 養 で あ る。 具 体 的 に は 、次 の能 力 を想 定 してい る。 ○ 教 育 事 象 に つ い て 十 分 な根 拠 を持 っ て 主 体 的 な意 見 を述 べ る こ とが で き る。 ○ 特 定 の教 育課 題 につ い て 、適 切 な 文 献 や デ ー タ を収 集 ・分析 し、加工 ・整理す ることを通 じ て 、考 察 す る こ とが で き る。
○ 教 育 事 象 に 関す る他 者 の 異 な る意 見 に対 し て 、適 切 に 理 解 し、 評 価 し、 自分 との 相 違 を位 置 づ け る こ とが で き る。 ○ 教 育 学 とは 何 か につ い て 、 それ を専 門 と し な い他 者 に説 明 で き る。 ○人 間 と社 会 の可 変 性 を前 提 と しつ つ 、 求 め ら れ る教 育 の あ り方 を考 察 す る こ とが で き る。 ○ 教 育 とい う営 み の価 値 選 択 性 とそ れ に伴 う 暴 力 性 や 排 除 性 とい う二 面 性 に 自覚 的 で あ る。 ○ 家 庭 や 地 域 等 にお け る教 育 の担 い 手 と して 、教 育 を 実 践 す る こ とが で き る。 イ 職 業 上 求 め られ る基 本 的 な能 力 教 育 学 を 専 門 的 に学 ぶ こ とに よっ て 、 職 業 上 の 課 題 解 決 に 結 び つ く場 合 が あ る。 学 校 にお い て教 員 とな る者 や 保 育 者 、教 育 行 政 に 関 わ る公 務 員 、 生 涯 学習 に 関 わ る社 会 教 育 施 設 の 専 門 職 員 等 の直 接 的 に教 育 学 の 専 門性 が求 め られ る場 合 や 、 ス ク ー ル ソー シ ャル ワー カー や ス ク ール カ ウ ンセ ラー 、地 域 コー デ ィネ ー ター 、企 業 内 の研 修 担 当者 等 の教 育 関係 者 と して 教 育 学 の 専 門性 が 重 要 とな る 場 合 が あ る。 こ う した人 た ち に は 、 前 述 の市 民 生 活 上 求 め られ る教 育 学 の基 本 的 な能 力 に加 え て以 下 の能 力 の 酒養 が 求 め られ る。 ○ 人 間 へ の 深 い 理 解 に基 づ き 、 人 間 は変 わ る こ とが で き る とい う可 変 性 を信 頼 す る とい う観 点 か らの社 会 的 問 題 の解 決 法 を導 き 出 す こ とが で き る。 ○ 教 育 に 関わ る制 度 的 、経 営 的 、 法 的 根 拠 の 理 解 に基 づ い た 教 育 実 践 を構 想 しそ の 計 画 を構 築 で き る。 ○ 構 築 した 計 画 を 、他 の教 育 関係 職 者 と共 通 理 解 を 図 り、 協働 して実 践 す る こ とが で き る。 ○ 現 行 の 教 育 の あ り方 の意 義 や 積 極 的 な価 値 を理 解 し、職 業 倫 理 ・意 識 を持 っ て 被 教 育 者 に対 す る こ とが で き る ○ 現行 の 教 育 の 限界 を理 解 し、 そ れ を改 善 し た り、 あ り うる他 の教 育 の あ り方 を具 体 的 に構 想 した りす る こ とがで き る。 ○ 現行 の 教 育 を担 いつ つ も、 来 るべ き将 来 に 向 け て 、 他 の 選 択 可 能 な(オ ル タ ー ナ テ ィ ブ な) 教 育 の あ り方 を探 究 し、現 実化 す る手 立 て を生 み 出す こ とが で き る bジ ェネ リッ クス キル どの よ うな ア プ ロー チ 、 学 習 内容 ・方 法 で あれ 、 教 育 学 を 学 ぶ者 は 、 既 存 の議 論 を相 対 化 しつ つ 、 テ キ ス トを批判 的 に解 読 し、 自 ら情報 を収集 し て 整 理 ・吟 味 し、 適 切 な形 に加 工 し、 自 らの 見 解 を と りま とめ て発 信 す る過 程 を経 験 す る こ とに な る。 教 育 学 が 考 察 の 対 象 とす る教 育 とい う営 み は 、 そ れ 自体 、相 互 作 用 を通 した人 間 の 変 容 とそ れ を通 した社 会 の 改 善 ・変 革 を含 ん で い る。 教 育 学 を学 ぶ 過 程 は 人 間 が こ の社 会 をす で に完 成 され た 与 件 と して捉 え るの で は な く、 自 らが社 会 の 一 員 と してそ の 再解 釈 や 再 創 造 に 関与 す る存 在 で あ る こ とを学 ぶ こ と を含 ん で い る。 特 に 、教 育 の 諸 問題 に は正 答 が見 つ か らな い 問 題 や 、原 理 的 に 正 答 の ない 問題 が多 い た め 、 学 習 者 は必 然 的 に 、 人 間 と社 会 の複 雑 さに 直 面 す る こ とに な る。 教 育 学 を深 く学 ん で い く過 程 で 、 「ど うす れ ば よい の か わ か らな くな っ た 」 とい う思 い を抱 く こ とが しば しば あ る の は 、 ま さに 人 間 と社 会 の複 雑 さに つ い て 目が 開 かれ て い くか らで あ る 。 そ うした過 程 を経 て 、 教 育 学 の学 習者 は 、 適 切 な批 判 精 神 や 自 らを相 対 化 す る能 力 と、 現 実 の 一 般 的 な諸 課 題 に 取 り組 む 際 に必 要 な 、 さま ざま な 知 的 ス キル を身 に付 け る こ とに な る。 以 上 か ら、 獲 得 す る こ とが 期 待 され る具 体 的 な ジ ェネ リッ ク ス キル と して 、 以 下 の よ うな能 力 を 挙 げ る こ とが で き る。 ○ 社 会 的 課 題 につ い て 、適 切 な 情 報 を収 集 し、 加 工 ・整 理 す る こ とを通 じて 、 自分 の意 見 を発 信 で き る。 ○ 社 会 的 課 題 にっ い て 、 量 的 ・質 的 デ ー タ を適 切 に 分析 ・解 釈 す る こ とが で き る。 ○ 社 会 現 実 を批 判 的 に検 討 す る と とも に 、 そ の オル ター ナ テ ィ ブ を模 索す る こ とが で き る。 ○ 人 間 や 社 会 の あ り方 に つ い て の原 理 的 な考 察 をす る こ とが で き る。 ○ 異 な る価 値 観 を有 す る他 者 と共 に活 動 を創 り 上 げ るた め の コ ミュ ニ ケ ー シ ョンが で き る。 参 照 基 準 に お け る ジ ェネ リ ック ス キル とは 、 「 分 野 に 固有 の 知 的 訓 練 を通 じて獲 得 す る こ とが 可 能 で あ る が 、 分 野 に 固有 の知 識 や 理 解 に依 存 せ ず 、 一 般 的 ・汎 用 的 な 有 用 性 を持 つ 何 か を行 うこ と
が で き る能 力 」 で あ る。 上 記 の能 力 も、 最 初 か ら 汎 用 的 で あ る とい うよ り も、 当初 は 、 教 育 学 分 野 の知 識 や 理解 に根 ざ した形 で獲 得 され るが 、 多 様 な文 脈 で 用 い られ る こ とに よ り、 次 第 に汎 用 性 を 獲 得 して い く も の と考 え られ る。 (4)学 修 方 法 お よび 学 修 成 果 の評 価 方 法 に 関す る基本 的 な考 え方 ① 学 修 方 法 教 育 学 を 学 ぶ た め の学 修 方 法 は 、 そ の 目的 に応 じて さま ざま に あ り得 る。 「教 育 」 とい う事 象 の 多 様 性 を 考 慮 した とき に 、学 修 方 法 も多 様 な も の を組 み合 わせ て 、 学 生 の学 修 経 験 の 多 様 性 を確 保 す る こ とが 必 要 。 教 育 学 の学 修 方 法 は 、 「教 え る 学ぶ 」 に 関 連 す る理 論 と実 践 に つ い て 、 言 語 、 身 体 、感 覚 の す べ て を視 野 に含 み つ つ 考 察 を行 う こ とをべ 一 ス とす る。 教 育 学 は 再 帰 性 とい う特 性 を持 っ こ とか ら、 教 育 学 を学 修 す る学 生 は、 自 ら の 学修 過 程 そ の も の も ま た 、教 育 学 的観 点 の熟 達 に応 じて 分析 的 に捉 え て い く視 座 を磨 い て い く こ と とな る。 大 学 で の学 び そ の もの も、 教 育 の営 み そ の もの を、 教 育 学 的観 点 か らい わ ば フ ィー ル ド 研 究 の よ うな 形 で 捉 え て い く こ とで 、 大 学 で の 自 らの学 修 を 自己設 計 、デ ザ イ ン して い く と とも に 、教 育 とい う営 み を見 る 眼 そ の もの を養 って い く とい う二 重構 造 に な っ て い る。 ア 講 義 基 本 的 な 知 識 か ら最 先 端 の研 究動 向 まで 、 教 育 学 の 多様 な研 究 成 果 を 、学 生 は講 義 を通 じて 学 ぶ 機 会 が 与 え られ る必 要 が あ る。 これ は 、 他 の学 修 方 法 に よ る学 修 の基 礎 を形 成 す る。 講 義 の類 型 と して は 、 ① 教 育 学 の基 礎 的 な概 念 ・命 題 を段 階 的 に理 解 させ る も の、 ② 教 育 学 の研 究 方 法 を事 例 に 基 づ い て 理解 させ る も の 、③ 学 生 に 「教 育 」 問題 につ い て 考 え させ 、 現 状 の あ り方 を批 判 的 に考 察 す る こ と を促 す も の等 、様 々 あ り うる。 講 義 の方 法 と して は 、(a)常 識 的 な 範 囲 内 で の 予復 習 を想 定 し、 基 本 的 に は講 義 時 間で 必 要 な 知 識 の理 解 を図 る方 法 、(b)反 転 学 習 的 に 、予 習 の 時 間 を十 分 に持 たせ て 、講 義 で は そ の活 用 や 発 展 を 中心 に取 り扱 う方 法 、(c)復 習 に重 点 を 置 き 、講 義 で 学 び 得 た知 識 を基 に して 、 講 義 後 の 振 り返 りを重 視 す る方 法 等 、 この 点 につ い て も様 々 あ り得 る。 イ 演 習 ・実 習 教 育 学 の教 育 に あ た って は、 研 究 の方 法 や 教 育 の方 法 を体 験 的 に 学 ぶ た め の演 習 や 実 習 が よ く用 い られ る。 演 習 ・実 習 に は、 次 の例 に示 す よ うに さま ざま な もの が あ り、 目的 に応 じて使 い 分 け る 必 要 が あ る。 ○ 研 究 方 法 の基 礎 を学 ぶ 演 習 教 育 学 に お け る基 本 的 な知 識 ・理 解 を図 り、 ま た 基 本 的 な能 力 を育 む 上 で 、 学 生 が 自律 的 に 問 い を立 て 、 そ の 問 い に解 答 を 出す た め に種 々 の 情 報 を集 め 、分 析 ・整 理 し、 問 い へ の解 答 と して 結 論 を 出す 研 究活 動 は 、 有 効 な方 法 の一 つ で あ る。 学 修 の殺 階 の初 歩 的 な 時 期 に、 比 較 的 素朴 な 問 い に 対 して、 教 員 の支 援 を受 け な が ら研 究活 動 を行 う 場 合(研 究 基 礎 演 習)は 、 そ の活 動 を 通 して 、 よ り高 度 な 問 い を 立 て るカ を育 む こ とを 目指 す こ と に な る。 講 義 や 演 習 で 一 定 程 度 の教 育 学 的 な 知 識 や 能 力 を 育 ん だ 学 生 が 、 そ の応 用 と して研 究 活 動 を行 う場 合(課 題 研 究)は 、 そ の後 に よ り発 展 的 な卒 業 論 文 に結 び っ く よ うな重 要 な 問 い を立 て 、 そ の解 決 に 向 け た 学 修 活 動 を展 開す る こ とに な る O O講 読 演 習 講 読 演 習 で は 、 教 育 学 にお け る一 つ の 方 法 で あ る文 献 調 査 の基 礎 を学 ぶ 。 そ こ で は 、 テ キ ス トを 十 分 理 解 しな が ら、確 実 な言 明 とそ うで な い 言 明 とを 区別 しつ つ批 判 的 に解 読 す る こ と、解 釈 の 多 様 性 や 再 解 釈 の創 造 性 な どを経 験 す る こ と、討 議 に参 加 し、 多様 な 考 え方 に触 れ な が ら他 者 の 意 見 を理 解 し、 自 らの 考 え を論 理 的 に展 開 で き る こ と な どが学 ばれ る こ と とな る。 ○ 量 的 ・質 的研 究 法 に 関す る実 習 教 育 に 関連 す る事 実 を把 握 す る た め に 、 量 的 ・ 質 的 研 究 法 に 関 して 体 験 的 に学 ぶ 実 習 も意 義 深 い 。 適 切 な研 究 を設 計 ・実 施 し、 結 果 を ふ ま えて 報 告 書 を作 成 す る力 を身 に付 け る こ と とな る。 そ の 際 に、 単 な る技 法 を学 ぶ だ けで な く、 問題 解 決 の た め の方 法 論 、 そ れ ぞ れ の 研 究 法 の意 義 と限 界 、 倫 理 的 配 慮 ・考 察 の 重 要 性 を併 せ て 学 ぶ こ とが 求 め られ る。 統 計 的 な 処 理 を伴 う量 的研 究 に は 、 心 理 学 実 験 や 質 問紙 調 査 な どが あ る。 そ こで は 、 仮 説 を設 定 し、 実 験 ・調 査 を設 計 ・実 施 し、 デ ー タ を分 析 ・解 釈 す る こ とに よ って 、仮 説 の検 証 が 行
われ る。 質 的研 究 に は 、面 接 調 査 、 参 与 観 察 、 事 例 研 究 な どが あ る。 現 場 に お け る実 地 調 査 は、 フ ィ ール ドワー ク と言 われ る。 質 的研 究 にお い て は 、仮 説 を検 証 す る こ と以 上 に 、複 雑 な 現 実 にっ い て厚 み の あ る記 述 を生 み 出す こ とが 重 視 され る。 ○ フ ィー ル ド等 にお け る実 践 的演 習 教 育学 が 実 践 志 向性 とい う固有 の 特 性 を持 つ 学 問 で あ る以 上 、 教 育 学 の実 践 性 を 実感 し得 る教 育 の機 会 を 提 供 す る こ とは大 き な意 義 を持 つ 。 教 育 に 関す る フ ィー ル ド等 にお け る実践 的 演 習 や 教 育 実 習 は 、 そ の た め の有 効 かつ 必 要 な 方 法 の一 つ で あ る。 ア ク シ ョン リサ ー チ 、 サ ー ビス ラー ニ ン グ 、学 習 支 援 ボ ラ ンテ ィ ア活 動 、模 擬 授 業 ・教 育 実 習 、 イ ン ター ン シ ップ な どが想 定 され る。 単 に体 験 す る だ け に と どま らず 有 意 義 な 学 修 を実 現 す る に は 、何 らか の 課 題 に沿 っ て 自 ら情 報 を収 集 した り、体 験 を省 察 した り して 、意 義 深 い 考 察 を導 き 出 し、 そ れ らを レポー トや 発 表 な ど に よ って 伝 え る作 業 と組 み 合 わせ る こ とが有 用 で あ る。 新 た な 教 育 実践 や 教 育 制 度 の設 計 と運 用 、 組 織 的 な教 育 活 動 へ の 参加 な ども ま た 、有 効 な 学 修 の機 会 とな り うる。 十 分 な 学 問 的準 備 の も と、 自 ら教 育 の担 い 手 とな っ て 実 践 してみ る こ とは 、 教 育 学 の専 門 的 な知 見 を深 め る上 で非 常 に有 意 義 で あ る。 と り わ け教 師 と して 教 育 現 場 で の 実 践 に 取 り組 む 教 育 実 習 は 、 学 生 た ち に とっ て大 き な意 義 を持 つ 学 修 機 会 とな っ て い る。 十 分 な学 問 的 準備 の も と、 自 ら教 育 の 担 い 手 とな っ て実 践 して み る こ とは 、教 育 学 の 専 門 的 な 知 見 を深 め る 上 で 非 常 に有 意 義 で あ る。 教 師 と して 教 育 現 場 で の 実 践 に取 り組 む 教 育 実習 は 、 学 生 た ち に とっ て大 き な 意 義 を持 つ 学 修 機 会 とな って い る。 ウ 卒 業論 文 卒 業論 文 で は、 そ れ ま で の教 育 学 にお け る学 び の成 果 を 生 か し、 学 問 的 に重 要 な 問 い を立 て 、可 能 な 限 り必 要 な 情 報(先 行 研 究や 関 連 文 献 、 事 例 、デ ー タ等)を 収 集 し、分 析 ・整 理 し、 設 定 した 課 題 に つ い て の 結 論 を論 理 的 に 導 き 出す 。 これ ま で 学 ん で きた 教 育 学 の知 識 や 、 身 に 付 けて き た教 育 学 の能 力 を、 自己 の活 動 の 中 で 体 系 化 す る こ と を 目指 す 。 この 方 法 に よ っ て 、 学 生 に教 育 学 の知 識 や 方 法 を総 括 す る深 い理 解 と論 理 的 な思 考 力 が 身 に付 く と と もに 、 教 育 学 へ の主 体 的 な 学 び が 生 まれ る こ とが期 待 され る。 エ そ の他 教 養 科 目や 他 分 野 の 専 門的 学 修 、授 業 以 外 の 大 学 生 活 の 多様 な側 面 にお け る豊 か な経 験 や 注 意 深 い 省 察 な どが 、 教 育 学 にお け る洞 察 を深 め る契機 に な り うる。 課 外 活 動 へ の 取 り組 み も、 教 育者 ・ 研 究 者 と して の 主 体 性 を身 に付 け る 上 で 重 要 な 学 修 機 会 を提 供 す る もの で あ る。 ② 評 価 方 法 評 価 方 法 は 、 す べ て の 学 生 に とっ て 学修 を促 進 す る も の で な け れ ば な らない 。 評 価 行 為 は あ くま で も手 段 で あ っ て 目的 で は ない 。 重 要 な の は 、 教 育 学 の学 び に よっ て 、 学 生 が 自律 的 な 学 習者 へ と 育 っ こ とで あ る。 評価 とい う行 為 自体 も、 教 育 学 の学 問的 探 究 の範 囲 で あ る。 教 育 学 の 学修 に お け る評 価 は 、何 よ りも、 評 価 者 が学 術 的 な 見識 の 上 に立 ち、 多様 な観 点 を組 み 合 わせ て 専 門 的 な 判 断 を下 す とい う点 に こそ 、 妥 当性 の根 拠 を持 つ べ き で あ る。 それ と同 時 に、 教 育 学 を教 授 す る者 は 、 自身 が評 価 とい う行 為 を担 う者 で あ る こ と を 自覚 し、 よ り良 い評 価 の あ り方 を模 索 す る とい う反 省 的 態 度 が要 請 され る。 評 価 方 法 は 、 教 育 課 程 や 個 々 の科 目の 目的 ・目 標 や 方 法 と一 致 す る もの で あ る必 要 が あ る。 学 修 結 果 の評 価 方 法 と して は、 筆 記 試 験 や レポ ー ト課 題 、教 育 的 な 実 践 に 取 り組 む 課 題 、 学修 ポ ー トフ ォ リオ 、論 文 作成 等 が 用 い られ て い る。 評 価 方 法 につ い て は 、教 育 目的 ・目標 や 教 育 方 法 に 照 ら し て 適 切 な もの を適 切 な重 み づ け で選 定 しな くて は な らない 。 評 価 の 計 画 に あ た っ て は 、 学 生 の 多 様 性 に も配 慮 が 必 要 で あ る。 個 々 の学 生 に は 、 自分 の知 識 ・理 解 や 能 力 等 を最 大 限 、発 揮 す る機 会 が 与 え られ る こ とが 望 ま しい 。 評 価 の 実施 に あ た っ て は 、教 育 目的 ・目標 、 評 価 方 法 、評 価 基 準 が 明 確 に示 され る必 要 が あ る。 評 価 に よっ て 学 生 の 学 修 を拘 束 す るの で は な く、 学 生 の 自律 的 な 学修 を 喚 起 す る よ うな 配 慮 が 求 め られ る。 評 価 に よ って 捉 え られ た 実 態 をふ ま えて 、 学 生 の 学修 を さ らに 促 進 す る よ うな 教 育 の 改 善 を 図 る こ とが 必 要 で あ る。 こ の こ とに は 、 学 生 に対 す る フ ィー ドバ ッ ク の提 供 や 、指 導 の 改 善 、 教 育 課 程 や 教 育 条件 の 改 善 な どが含 ま れ る。