71 の隆起のみで,直腸粘膜の変化を伴わなかった.この
腫瘤に対し,TRUS下に針生検を行い平滑筋腫と診
断.手術は経肛門的局所切除術を施行した.摘出標本 は2×2.3×1.1cmの表面平滑な充実性腫瘤で,病理学 的所見はmitosisの少ない,固有筋層原発のhyper ceL lular leiomyomaであった. 2.巨大腹壁膿瘍で発症した横行結腸癌の1例 (第二外科) 曽我直弘 腹壁膿瘍を形成する結腸癌は比較的稀なものであ る.今回我々は腹壁膿瘍で発症した横行結腸癌の1例 を経験したので報告する.症例は31歳の男性.主訴は 発赤野洲を伴う左側腹部の腫瘤およびるい痩,イレウ ス症状もあり,腹部X−P,Echoにて横行結腸腫瘍とそ れに伴う腹壁膿瘍と診断した.まず膿瘍に対し切開排 膿を施行した.イレウス症状が増悪したため入院後3 日目に上行結腸に人工肛門を造設した.全身状態の改 善および精査後,二期的に手術を行った.開腹所見で は,巨大な腫瘍が横行結腸左側に存在し,広汎に腹膜 に癒着し腹壁を穿通,皮下膿瘍を形成,また後腹膜左 腎前面にも強固に浸潤癒着を認めた.左半結腸切除術 を施行.摘出標本では3型の結腸癌であり,病理組織 診断は高分化腺癌であった.またリンパ節転移はなく, 周囲組織への浸潤とみられた部位は炎症性の変化のみ であり癌細胞は認められなかった.3.広汎なリンパ節転移に対し術前FEP療法が著
効を示した進行胃癌の1例 (第二外科) 平井栄一 我々は,広汎なリンパ節転移を伴う胃癌に対し化学 療法が著効を示した症例を経験したので報告する. 症例は67歳男性.胃潰瘍経過観察中,某医にて体中 下部後壁にIIC類似進行胃癌を指摘され当科紹介と なった.当科にてリンパ節の広汎な腫脹を認め,鼠径 部リンパ節生検を施行した.その結果はpleomorphic carcinomaで胃癌の転移と最終診断した.画像診断 上,胃,胃周囲リンパ節と腹部大動脈周囲リンパ節と が一塊となっているため切除不能と判断し,FEP療法 (5−Fu 500mg×5, EPIR 45mg, CDDP 100mg)を3 クール施行したところ,リンパ節の腫脹は著明に縮小 し,手術可能となった.手術時所見でも大動脈周囲の リンパ節の腫脹を認めなかった. 4.単純乳房切断術を必要とした巨大乳腺嚢胞内乳頭腫の1例
(第二外科) 諸井隆一 最近我々は,良性腫瘍として極めて稀な巨大乳腺嚢 一949 胞内乳頭腫の1例を経験した.症例は44歳女性.約5 年前より右乳房腫瘤に気づくも放置.その後徐々に増 大し,菲薄した皮膚からの滲出液も認められるように なり来院.ほぼ乳房全体に境界明瞭で皮膚の変色,乳 頭の変形を伴った10×8、5cmの腫瘤を認めた.マンモ グラフィーでは,右乳房全体を占める辺縁平滑な腫瘤 陰影を認め,エコー所見では右乳房に嚢胞と乳頭状充 実性の部分が混在した腫瘤を認めた.嚢胞内の穿刺細 胞診はclass IIIであった.腫瘍マーカーはCA15−3が 47ng/mlと上昇していた.1992年11月2日全麻下に手 術を施行.術中迅速病理診断にて悪性像が見られず, 単純乳房切断術を行った.術後の組織学的検索では, 乳腺嚢胞内乳頭腫であった.以上,若干の文献的考察 を加え,報告する. 5.術後急激に遠隔転移をきたした膣平滑筋肉腫の 1例 (第二外科) 矢野美弥 膣原発悪性腫瘍は稀で,全婦人科悪性腫瘍の1%, そのうち膣平滑筋肉腫は2%以下である.今回我々は 膣原発平滑筋肉腫の1例を経験したので報告する.症 例は39歳未婚女性.1992年6月1日当院婦人科より膣 後壁腫瘤と直腸との関連を調べるため当科紹介受診. 内診,直腸診,超音波,CT, MRI,で膣平滑筋腫と診 断され当科にて膣部分切除,腹式単純子宮切除術,左 側付属器切除術を施行.術中所見で膣後壁,直腸前面 漿膜に潰瘍形成を伴う小腫瘤を認めた.病理の結果, 膣平滑筋肉腫,断端陽性で2週間後に膣後壁切除,腹 会陰式直腸切断術を施行.術後約2カ月で全身倦怠感 出現.エコーで肝,腹部リンパ節転移を認め,外来通 院中黄疸が出現し,11月4日再入院.約1カ月の入院 期問中に肝,肺,膵,腹部リンパ節と広範囲に巨大な 転移巣を形成した. 6.当センターにおける1)OA患者の実態 (救命救急センター) 久保田英 1987年!月より1992年12月までの6年間に当セン ターで収容したDOA患者は1,267例であった.患者内 容では,内因性876例,外因性308例となる.入浴中症 例または乳幼児例は内外因の区別がつきにくく独立の 群としたが,前者は61例,後者は22例となる.内因性DOAについては心臓発作と脳疾患が2大疾患であ
り,外因性DOAでは交通事故と高位よりの飛び降りが2大原因である.症例の年度別推移では内因性
DOAは65∼76%,外因性DOAは17∼29%,その他6
∼9%で,内因性DOAの増加と外因性DOAの減少
72 が認められる.患者年齢は2カ月の乳児から94歳まで と幅広く,内因性DOAが50歳から80歳にかけて緩や かなピークを有し,外因性DOAは20歳代がピークで ある.来院までの時間経過としては,急変から救急隊 に連絡される時間,救急隊が到着してから病院につく までの時間の平均が各々20分以上となっており,蘇生 の点からおおいに問題となっている. 7.当院における硬化療法の現況 (中野江古田病院外科) 山田葉子・神崎 博・斉藤道顕 肝硬変の3大死因は,肝不全,肝細胞癌,食道静脈 瘤である.このうち,前2者は,肝硬変の末期にみら れるのに対して,食道静脈瘤出血は,肝硬変がまだそ れほど進展していない時期からみられ,肝硬変患者の 治療成績や予後を増悪させる大きな要因となってい る. 食道静脈瘤の治療法としては,内視鏡的硬化療法, 経皮経肝的門脈塞栓療法,手術療法などがあげられる. 今回,当院で過去5年間に33名の食道静脈瘤患者に 対し施行してきた硬化療法について紹介するととも に,最近注目されている静脈瘤造影についても併せて 発表する. 8.同時性多発胃癌の検討 (聖隷浜松病院外科) 荒武寿樹 中谷雄三・阿部展次・伴 覚 影山善彦・金沢裕之・礒垣 淳 稲田直行・町田浩道・鳥羽山滋生 戸田央・神崎正夫・小島幸次朗 多発胃癌は,日常の診断において比較的まれに経験 するものである.近年早期胃癌症例が増加し,術前, 術後の詳細な検索によりその頻度は増加しつつある. 今回,我々は肉眼的に4病巣をもつ早期胃癌症例を経 験したので若干の文献的考察を加えて報告する.症例 は,50歳男性.1990年8月検診を契機に胃前庭部にIIc 病変を発見された.生検でGroup Iにて定期的経過観 察されていた.1992年12月,生検でGroup Vと診断, 手術目的入院後の内視鏡で新たに1病変を認めた.さ らに切除標本では前庭部に3カ所,体部に1カ所,合 計4カ所の病変を認めた. 9.当院における早期胃癌切除症例に関する検討 (聖隷浜松病院外科) 阿部展次 中谷雄三・小島幸次朗・神崎正夫 戸田央・鳥羽山滋生・町田浩道 稲田直行・荒武寿樹・礒垣 淳 影山善彦・金沢裕之・伴 覚 1987年目り1991年12月までの5年間に当院で経験し た胃癌手術症例344例のうち,早期胃癌症例は158例 (45.9%)であった.m癌, sm癌はそれぞれ67例 (42.4%),91例(57.6%)であった.これらを対象に retrospectiveに臨床病理学的検討を行い,当院におけ る早期胃癌の治療法に関して再検討を行ったので報告 する. 10.胃切除後骨代謝障害一興3報一 (東急クリニック) 加藤一彦 骨切除後骨代i謝障害について,これまで報告してき た.本邦では女性に関して非胃切除群と胃切除群と比 較検討した報告はない.今回女性に関して比較検討し たので報告する.並びに胃切除後早期よりの治療例に ついて報告する.東京女子医大第二外科にて胃切除を 受けた女性32名を対象とし,非開腹患者74名と,MD/ MS法により比較検討した.3次回帰曲線から骨塩量 指標ΣGSは, 1.非胃切除群 y=20。263十〇.439x−0.012x2十7.000×10−5x3, p< 0.001 2.胃切除群 y=一12.51十2.323x−0.045x2十2.587×10−4x3, p<0.001 女性では胃切除という要因よりも加齢,閉経という 要因が骨塩引の変化に大きな影響を持つのではないか と思われた.併せて術後早期からの治療例について症 例呈示する. 11.化学療法が奏効した進行性胃癌の1例 (立川中央病院外科) 藤田竜一 藤井不麿・中西明子・木村恒人 今回我々は進行性胃癌に対する多剤併用化学療法が 奏効した1例を経験したので報告する. 症例は59歳男性.主訴は上腹部痛.現病歴としては 1992年5月頃より環帯不快感あるも放置.10月頃より 食思不振,上腹部痛,嚥下障害も出現.10月27日内視 鏡施行し噴門部より胃体部小畔側を中心に,易出血性 の巨大癌性潰瘍を認めた.噴門部狭窄により経口摂取 不能であったので入院となった. 入院後,IVH管理下に多剤併用化学療法(5−FU,エ ピルビシン,CDDP)を4クール施行した.内視鏡的に 癌性潰瘍の平町化と噴門部狭窄の著明な改善がみら れ,全等程度の経口摂取が可能となる等のPSの改善 を認め,退院し自宅療養が可能となった. 950一