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家庭内の情報化と省エネルギー

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(1)

家庭内の情報化と省エネルギー

著者

木船 久雄

雑誌名

名古屋学院大学論集 社会科学篇

31

1

ページ

121-134

発行年

1994-07-31

URL

http://doi.org/10.15012/00000787

Copyright (c) 1994 木船久雄

(2)

名古屋学院大学論集 社会科学篇 第 31巻 第 1号 (1994.7) 121

家庭 内の情報化 と省エネルギー

*

次 は じめ に

1.情

報化社会 とエネル ギー

2.情

報機 器の電力消費量

3.情

報化 と省エネル ギーの可能性 お わ り に は じ め に 近年

,地

球規模の環境問題か ら省エネルギーの必要性が声高 に叫ばれてい る。 しか し

,現

実には省エネル ギーは遅々 として進 まず

,こ

こ数年の 日本の エネルギー消費は経済成長率並 に増加す るといった第一次石油危機以前の姿 に戻 って しまった。 とりわけ,家庭部門でのエネル ギー,なかで も電力消費は堅調 な推移 を辿 っ ている。 この最大の理由はエネルギー価格の安値安定である。 グラッ ドな国 際石油市場 と円高の影響で実質エネル ギー価格 は第一次石油危機以前の水準 にある。 しか し

,エ

ネルギーの安値安定だけではこの需要増勢 は説明で きな い。それ以外の構造的な要因がその背景 にはあることを伺わせ ている。 ライフスタイルの変更 を伴 う様 々な社会 トレン ドはまさにこれであろ う。 それ らは

,高

齢化社会

,ア

メニテ ィ志向

,個

人主義化

,生

活の

24時

間化

,情

*

本稿 は1993年度名古屋学院大学研究奨励金 を受 けた研究成果 の一部 を公表 す る もの である。

(3)

報化 といった ものである。 これ らの トレン ドはいずれ もエネル ギー消費機器 の台数普及や一台あた りの能力の拡大 を促 し

,機

器の長時間稼働 をもた らし ている。 本稿 では

,こ

れ らの社会 トレン ドのひ とつである「情報化」をとりあげる。 この理由は

,家

庭 内での情報機器の普及がめ ざましいこと

,情

報機器の発達 で社会 システム を も変革 させ る可能性 があ るこ と

,そ

れ らが及ぼすエネル ギー消費へのインパ ク トは甚大であろうと考 え られ ること

,か

らである。 こ うした問題意識か ら情報化の観点で現在

,将

来 ともにこれが もた らす家庭内 のエネル ギー (電力

)消

費への影響や省エネルギーの可能性 を検討す ること が

,本

稿の 目的である。

1.情

報化社会 とエネル ギー

1.1

家庭内の情報化

(1)情

報化の 目的 近年の社会 トレン ドのひ とつに「情報化」がある。生産現場やオフ ィスほ どではないに して も

,家

庭内において もその影響 を受 けている。家庭内の情 報化 をその 目的か ら仕分 ければ

,つ

ぎの3つになる。それ らは

,①

生活の合 理化

,②

生活範囲の拡大

,③

娯楽・ ビジネスの充実である1)。 ①生活の合理化 とは

,生

活 に必需的な時間や費用 を情報機器利用によって 合理的に使 うことを可能 に して くれ る。電話利用による時間や手間の削減が その典型である。将来的には

,家

庭内のエネル ギー消費機器 を一括管理で き るホーム。オー トメー シ ョン

(HA)も

また, この 目的実現のために期待 され る機器である。 ②生活範囲の拡大では

,社

会 との連絡 に情報機器 を利用す ることで 自己の 生活圏を拡大 させ て くれ る。例 えば

,テ

レフォン・ シ ョッピングでは外出す ることな く

,居

なが らに して買い物 を可能にす る。つ ま り

,情

報機器の利用 1)この分類 は 日本電子機会工業会 (1988)によった。

(4)

家庭内の情報化 と省エネルギー 123 が 自身の生活範囲 を時間的に も距離的に も拡大 させ る。 ③娯楽・ビジネスの充実では

,情

報機器が新 たな娯楽性 を持 っている点や, 家庭の内 と外 とのクロスオーバー領域の拡大 とい う現象面か ら見て取 れ る。 パ ソコンの利用において

,ゲ

ームを使用 している際やパ ソコン通信 によるお しゃべ りはまさに娯楽であろ う。 しか し

,家

庭内に持 ち込んだ書類整理の残 業のために

,ワ

ープ ロやパ ソコンを使用す ることはビジネス・ユースである。 この ような

, 3つ

の側面か ら家庭内に浸透 して きている情報機器 を分類す ると

,次

の ようになる (表 1)。 表

1

情報化 の 目的 と対 応機器 目

白勺 情 報 機 器 ①生活の合理化 ②生活範囲の拡大 ③娯楽・ ビジネスの拡大 情報交換機器, b 情報交換機器 情報交換機器, C ホーム・ オー トメ ンヨン 情報処理機 器

, d.ニ

ューメデ ィア また

,家

庭 内の情報化 を支援す る具体的な機器 をあげれば

,以

下である。

a.情

報交換機器

:①

電話

a)標

準型

, b)留

守番電話

C)コ

ー ドレス電話

②ファクシミリ

,③

パソコン通信

b.ホ

ームオー トメーション

:①

ホームセキュリティ

②ホームコントローラー

C.情

報処理機器

:①

パソコン

,②

ワープロ

,③

コピー機

d.ニ

ューメディア機器

:①

文字放送

,②

ケーブル

TV,③

衛生放送

④キャプテン

(2)情

報機器普及の背景 こうした機器の導入や利用が拡大 した背景 には

,次

の ような理由が存在 し ている。

(5)

第一 には情報機器の利用拡大 とい う消費者側の理由である。 これには

,家

計の所得の増大 と同時 に情報機器価格の実質低下 とい う二つの要因がある。 さらに

,社

会の トレン ドである国際化や女性 の社会進出は

,生

活 に必需的な 時間や手間の削減のために

,情

報機器普及に拍車 をかける。加 えて

,核

家族 化や高齢化社会 は

,家

族間の物理的行 き来 とともに情報のや り取 りを増大 さ せ

,情

報機器普及 を促 している。 第二 には

,低

価格で機器提供 を可能に した供給側の体制である。電気通信 事業の規制緩和 はこの分野への新 たな企業の参入 を呼び起 こ したばか りでな く,情報関連産業の発展 をもた らした。そ して,多様 な通信サー ビス・メニュー と情報機器 を市場 に提供 した。競争原理の導入は

,通

信 コス トや情報機器の 低廉化 と商品の充実化 を もた らしている。ハー ド的 には

,規

模の経済性が大 きな半導体の大幅利用によってコス トダウンが図 られて きた。

1.2

情報機器の普及 と利用

(1)情

報交換機器 ① 電話機 情報交換機器の中心 はなん といって も電話である。世帯当た りの電話機保 有 台数は1982年の1.2台か ら1992年には 1.8台 へ と拡大 している2)。 また, 電話機 の複数設置世帯 は1982年には

17%で

あったが

,1990年

には

39%,そ

して1992年には

49%へ

と,近 年急拡大 している。一世帯で複数の回線 を持 っ ている家庭 は1992年で

7%あ

る。 こうした設置台数急増の原因は

,ア )電

話のパーソナル化

,イ )フ

ァクシ ミリ等の電話の多機能化

,ウ

)パ

ソコン通信用の利用がある。パ ソコン通信 には複数回線設置の

2%分

が利用 されている。 接続 されてい る電話機 の形態 を1992年の数字で見れば次の通 りであ る。 ア)コ ー ドレス電話

27%,イ

)留守番機能付 きが

24%(う

ち単機能分14%), ウ

)両

者の機能 を持つ電話が

10%で

ある。

2)『

通信興業新聞』199211.9 以下,電話機 の利用に関す る統計数値 はこれに よった。

(6)

家庭内の情報化と省エネルギー

125

電話機 の保有台数の増大 とともに,通話回数や通話時間 も増加傾向にある。 住宅電話の一 日当た りの通話回数 は,「一 日3回以上」の人が

45%(1992年

), 「一 日1∼2回」の人が

40%(同

),「ほ とん どかけない」人は

15%(同 )で

ある。10年前の1982年のそれは

,順

27%,39%,34%で

あった。 そ して

,1992年

の通話の中味 についてみ ると

,非

用件が増加 し

,通

話回数 で

31%(1990は

20%),通

話時間で

50%(1990:46%)を

占め る。非用件の 一件 当た り通話時間は19分 (1990年 は16.4分)と され,「用件」の際の

6分

(1990は

5分

)に

対 して

3倍

の時間 を費や している。 ② ファックシ ミリ 1992年のファクシ ミリの普及率は

,経

済企画庁のデータでは

5.6%,中

央 調査社のデータでは

7.4%で

ある。中央調査社データで見 ると

,1993年

には さらに1.2ポイン ト拡大 して

8.6%の

普及率である。 ただ し

,家

庭のファクシ ミリが どれほ どの頻度で利用 されているかは

,充

分調査 されていない。ここでは利 用頻度は月に 15回

,1回

あた り

3分

程度の 通話時間 と

,想

定 している。家庭用のファクシ ミリが純粋 にホーム・ ユース なのか

,個

人商店の業務用なのか も実際には判然 としない部分がある。 ③ パ ソコン通信 前述 したように

,パ

ソコン通信の普及率 は利用回線の

2%程

度 となってい る。ただ し

,そ

の利用頻度や通話時間は不明である。

(2)ホ

ーム 。オー トメーシ ョン

(HA)

ホーム。オー トメーシ ョンとして計上 され る情報機器 は,ここではインター フォン

,ホ

ーム コン トローラーの二つ を扱 う。将来的には

,窓

やカーテ ンの 開閉

,エ

ネルギー消費機器の管理

,セ

キュ リテ ィ装置な どを具備 した住宅全 体 を管理す るシステム まで考案 されているが,実際の普及はまだ まだである。 中央調査社 によるホームコン トローラーの普及率 は

,1993年

3月 で

4.6%

である。ただ し

,こ

の中味が ホームセキュ リテ ィまで達 した ものか否かは不 明である。 また

,イ

ンターフ ォンの普及率は

47.1%で

ある3)。

3)HAの

普及や予測 については矢野経済研究所の資料がある。

(7)

(3)情

報処理機器 家庭内の情報処理機器 としてあげられるのは

,①

パ ソコン

,②

ワープロ, ③ コピー機がある。 ① パ ソコ ン 1993年3月 のパ ソ コ ンの家庭 での普 及率 は

13.4%(経

済 企 画庁

)で

あ る。 パ ソ コ ンの利 用 は 当初 マ ニ ア ックな人間 か ら普 及 が始 ま り

,現

在 で は一 般 ユ ーザ ー に拡大 してい る。 その ため

,家

庭 にお け るパ ソ コ ン利 用 の頻 度や 一 回 あた りの利 用時 間 は

,普

及 当初 に比べ た ら減 少 して い る と想像 され る。 し か し

,デ

ー タ利 用可能性 か ら,こ こで は

,ア

ス キーが1987年に行 った調 査 を と りあげ る4)。 それ に よれ ば

,パ

ソ コ ンユ ーザ ーの年間平均使 用頻度 は186.1回で あ り, 一 回 当たI)の利 用時 間 は113.7分とされ る。 それ ゆえ

,ユ

ーザ ーー 人 当た り 使 用時 間 は352.7時間/年 とな る。 ② ワープ ロ ー方,ワープ ロの普及率はパ ソコン以上で,同 年のそれは

35.4%で

ある(経 済企画庁)。 この利用形態 な どは上記のパ ソコンと同様 と考 えて もよいだろ う。 ③ コピー 1992年の家庭での コピー機普及率 は

,4.9%(中

央調査社)で ある。 これに 世帯数 を乗ず ると全国で280万台 という値が求 まる。 しか し

,次

の理由か ら この値 は実際 よりも随分 と高い とい う感が否めない。それは, コピー専用機 では30万円以下の機種が家庭用の主要機 である。 この機種 の販売量 は1986 年前後 によく売れて

,そ

れで も年間1万台前後であった。それゆえ

,単

純 に

1万

台を7∼

8年

繰 り返 して も280万の普及台数 とは到底 な りえない。普及率

4.9%は

,フ

ァクシ ミリに付属す る機能 を も加味 された値か もしれない。 コピー機 メーカーによれば

,コ

ピー機 の使 い方は

,

トナーの出荷状況か ら 想定 され るとい う。それによれば ビジネス・ユース も合めて ということにな

4)ア

スキー (1987年)

(8)

家庭 内の情報化 と省エネル ギー 127 1978 1980 1982 1984 1986 1988 1990 1992 (資料)経済企画庁 『家計消費の動向』中央調査社 『機器普及調査』から作成 図

1

家庭内の情報機器の普及 るが, 1月 当た り平均200枚

,家

庭用はこの1割∼2割程度か と言われてい る。 これ らの情報機器の普及率の推移 をまとめた ものが

,図

1である。

2.情

報機器 の電 力消費量

2.1

情報機器 の電 力消費推定

(1)推

定 方 法 情報機 器 の電 力消 費量 の推 定 は次 の ような計 算 式 を用 いた。

Et=ΣlSt o Qit o Wit・ Rit

Et :t年

の情報機器 に関す る電力消費量

St it年

の世帯数

Qit :t年

の i機 器の普及率

Wit:t年

のi機器の消費電力容量

(W)

% 50 40 30 20 10 ホームコントローラー コ ピ イ ンター フ ォン __´´ ‐1 ヮー プ ロ ノ`ソ コ ン __‐‐イ‐・ ‐‐ フ ァ ク シ ミ リ │

(9)

2

情報機器 関連 の電 力消費量推計 緒元 1)BBRは 中央 調 査 社,通は F通]:業新 聞 」,経は経 済 企 画 庁 『家 計 消 費 の 動 向 _ 2)容量 の 設 定 は カ タ ロ グ値 を参 考 に した。 3)用頻 度 や 時 間 は 分 か って い る範 囲 につ い て は,時系 列 で 変 化 させ て い る。

Rit :t年

のi機器 の稼働 時 間 具体的 には

,世

帯数は住民基本台帳の値 を用いている。 また情報機器 に関 しては経済企画庁 お よび中央調査社 に よる普 及率 を採 用 した。両者 ともに データがある場合 には

,長

い時系列 を持つデータベースを優先 した。 また

,機

器の消費電力容量

(W)は

メーカーのカタログ値 を参考 に してい る。 さらに

,稼

働時間に関 しては前述 した ような各種のア ンケー ト調査か ら その値 を抽出 している。 これ ら情報機器の電力消費量推計 に用いた諸元 は表2に示 した。

2.2

情報機器の電力消費量 こうした情報機器の普及に ともない

,情

報関連機器が消費す るエネルギー 量 も増大 して きた。エネルギー源か らすれば

,総

てが電力消費の増大 を もた らす ことになる。1992年における家庭 内情報機器の電力消費量 は14億

kWh

,10年

前の11倍に急増 している (図 2)。 \ \ 機 器 普及率 出 所 量 定 容 設 利用頻度等 設 定 備 考 情 報 交 換 機 器 コー ドレス電 話 BBR/i邑 ベ ー ス2W 親 機7W 充 電4W 24時 間/日 │ 23(回/人)*996(分/回)*人 通話h*12/5 1充電時間は12時 間 365日 フアクン ミリ BBR/経 待機10W 送 信30W 受 信40W 24時 間/日 3分/回75回/月 3分/F1751呵/月 365日 12月 12月 コ ピー機 BBR 発光930W 待機130W 10秒/枚 5分/回 40枚/月 40回/月 H A 機 器 情 報 処 理 機 器 インターフォン BBR 待機16W 最 大6W 24時 間/日 5分/日 365日 365日 コン トローラー BBR コ/トローラ5ヽV セキェリティ15珈' モニター15W 24時 間/H 24時 間/日 5分/日 コ ン トローラー とセ キュリ テ イのウエイ トは50:50と し た。 ノヽソ コ ン BBR/経 待機8W 最 大35W 114分*09/回 114分*01/回 186回 /年186回/年 ワ ー フ ロ BBR/糸i パ ソ コ ンに準 ず る

(10)

家庭内の情報化 と省エネルギー 1982 1984 1986 1988 1990 1992 家庭 内情 報 機 器 の電 力消 費量 129 百万

kWh

1600 1400 1200 1000 800 600 400 200 0 1978 その電力消費量の機 器別内訳 を1992年で見 ると

,情

報交換機器の電話や ファクシ ミリが全体 の

63%を

占め

,次

いで イ ンターフ ォンや ホーム コン ト ローラーの初歩的 ホームオー トメーシ ョン機器が

32%を

占め る。こうした機 器 は

,単

品 としての電力容量 は小 さいが

,24時

間通電 されてお り

,待

機 中の 消費量が大 きい という特徴がある。 情報機器の電力消費量 は急拡大 しているが

,家

庭のエネル ギー消費量全体 か らすれば微 々たるもので

,ま

1%に

も満たない。機器がいずれ も小 さな 電力容量であるため

,消

費者 も気 にかけない程度の消費量である。 しか し, コー ドレス電話で さえ一 日当た りの電力消費量 は小型 テ レビの

1時

間稼働 (64 Wh)に 匹敵す るという事実 を認識す る必要があろ う。もちろん

,電

気代 にすればたかだか2円弱/日であるため

,通

常意識 されない。

3.情

報 化 と省 エ ネ ル ギ ーの可能 性 家庭内への情報機器の普及によって

,こ

れにともなう電力消費量 も増大 し ている。ここでは

,情

報機器に絡んだ省エネルギーの方策 を考察 してみたい。 1980 図2 │パソ コ ン・ ワ ー プ ロ │ │ │ ‐― ‐ ―‐‐ ‐ ‐‐ ‐ ― r‐ ― ―‐ ‐ ‐ ‐ ‐ │‐ ‐… ― ― ‐ ― ・ フ ァ ク シ ミ リ

(11)

3.1

情報機器の省電力

(1)ハ

ー ド面 ハー ド的にみれば,個別の機器は半導体やLSI,液品の利用によって省電力 が進め られて きた といえる。例 えば

,パ

ソコンの一つをとってみて も

,情

報 処理能力あた りの電力量 は10年前の10分の

1程

度で済んでいる。同様 に, 一般 に普及を始めた留守番電話で も

,録

音 をカセ ッ ト・テープの利用か らIC 基盤への変換で

,電

力消費量 は半分以下になった。 ただ し

,情

報機器が電力多消費になる方向にあるの も一つの トレン ドであ る。その際に見 られ るハー ド的な傾向は

,新

製品は従来の機器 に比べ機能が 追加 され, よ り多機能商品 となっていることである。例 えば

,ノ

ー トパ ソコ ンで も① モノ トー ンか らカラー化へ

,②

画面解像度の高度化

,③

計算速度の 上昇

,④

大容量のメモ リー

,

といったように古い機種 と同一規準で比較す る ことを困難 に している。 こう した事情 もあるが

,あ

えて情報機器のハー ド的な省エネル ギーの方策 をあげれば

,以

下であろ う。 ① 待機 中の消費電力 を抑制す る技術の検討 ② 半導体素子の より低電力負荷の材料変換 ③ ドライブ等の駆動エネル ギーの減少

記憶装置の負荷軽減

静電気の発生減少化

本体に省エネルギールーチンの組み込み

(2)ソ

フ ト(使い方

)に

よる省エネル ギー また

,情

報機器の使 い方による省エネル ギーは次の ような手段があげ られ る。 ① 情報処理機器 ・使わない時間にはこまめに消す 。画面の明るさを適正な ものにす る 。本体 に組み込 まれている省エネルギールーチンの利用 ② 電話

(12)

家庭 内の情報化 と省エネル ギー 131 情報通信機器の使 い手による省エネルギーの得策 はない。逆 に

,機

器 その ものが無駄 な電力 を削減す る機能 を持つべ きで

,そ

うした機能 を消費者が実 際に使 うことが重要であろ う。 この点はハー ドの項 目に も指摘 した待機 中の 消費電力の抑制技術の利用が鍵 を握 ることになる。

(3)情

報機器の利用 による家庭の省エネル ギー 情報機器の有効利用は家庭全体のエネル ギー消費の合理化 をもた らす可能 性がある。将来の ホームオー トメーシ ョンがそれである。 ただ し

,現

状ではその情報化 に伴 う電力消費量増大のインパ ク トの方が大 きい。例 えば

,ホ

ームコン トローラー本体で

10W(①

), コン トローラーに

CRT(ブ

ラウン管

)を

付加 させ て

+20W(②

),窓

や扉

,主

要な照明や家電 機器 にセ ンサーを付 け

,各

セ ンサー1個あた り

lW,そ

れ らを20個つけて十

20W(③

)。 以上の①

+② +③

50Wの

制御機器 とな り

,こ

れを

24時

間稼 働 させ ることになる。 これは

,冷

蔵庫 1台 分 (月間

37kWh)に

匹敵す る5)。 それゆえ

,現

段階ではこの制御機器 は冷蔵庫1台分以上の電力を浪費 してい る家庭 においてこそ省エネルギーに資す るツール とい うことになる。 しか し一方で

,合

理的なエネルギー利用 とい う観点か らは, さらに高度な 情報機器の導入可能性が支持 され る。例 えば

,将

来的に電力料金の季節別時 間帯別料金制度が導入 され るとすれば

,料

金水準 によってエアコンの温度 を 自動的 に制御す るといったプ ログラムを利用す る方法 もある6)。 そうした利用 を講ずれば

,情

報機器その もので消費 され るエネルギー量 は 微量であ り

,こ

の機器 を有効利用す ることによる省エネルギー効果 は大 きい と考 え られ る。エネル ギーが派生需要であることを前提 とすれば

,需

要家が 無意識の うちに省エネル ギーを実行 している, という姿が望 ま しい。 それ を 実現化能 とす る触媒 は

,ま

さに情報機器が もってるセ ンサーや 自動制御機能 とい うことになろ う。

5)各

種 のメーカー・ カタログか ら推計 した値。

6)f列えば米国のAEP(American Electric Power)で行 ってい る

AEM(Advanced

Energy―Management System)の ような例。E″ε′″

(13)

3.2情

報機 器 利 用 と社会 システム また

,情

報機 器 が もた らす省 エ ネル ギーの効果 を家庭 内 とい う場 に限定 し て測 るべ き もので はない。情報化 の 目的でみた ような

,合

理化 され る もの は 生活 全般 の行為 で あ る。 情 報 交換機 器 で用 い られ る電話や フ ァク シ ミ リで消 費 され るエ ネル ギー量 は

,そ

の代替手段 に比べ て明 らか に省 エネル ギーで あ る。使 用頻度 に もよる が

,フ

ァクシ ミリは郵便 に比べ て

2分

1-10分

の1のエ ネル ギー消費量 で あ る とされ る。 また

,電

子新 聞や 電子書籍 は紙 を節約 して

,エ

ネル ギー効率 を

20倍

40倍

高 め るこ とを可能 とす る7)。 さ らに

,情

報機 器の利用が輸 送需要 の代替 に資すれ ば

,輸

送 用エネル ギー の節約 に大 きな効果 をあげ る。

1人

キ ロ当た りのエネル ギー消費原単位 は最 も効率 の良 い輸 送 手段 で あ る鉄道 で も47 kcalであ る(自家 用乗 用車 で は 519 kcal,1992年 度)。 一 方

,A4版

1枚の情報量 をフ ァクシ ミリで送 る際 に必要 なエ ネル ギー量 は 34 kcalと 推計 され る。それ ゆ え,資料 の受 け渡 しの ため に 人間が移動 して出向 くとい う方法 は, きわめ てエ ネル ギー 多消費の手段 とい うこ とにな る。 実際の フ ァクシ ミリ利 用 は時 間が持 つ機 会費用 とい う価値判 断 か ら行 われ て い るのだ ろ うが

,フ

ァクシ ミリとい う情報機 器 が もた らす省 エ ネル ギー量 は大 きい。 また,情 報機 器 の導 入が就業形態 を変化 させ,それが もた らす省 エネル ギー 効 果 も看過 で きない。具体 的 には

,在

宅勤務や サ テ ライ ト・ オ フ ィスでの就 業 形 態 で あ る。在 宅勤務やサ テ ライ ト・ オ フ ィス利 用 は道路 混雑 の解消や大 気 汚染 の減 少 に加 えて

,輸

送 用のエ ネル ギー消費 を減少 させ

,な

おかつ 高速 道路 での事故の減 少

,道

路 イ ンフ ラの必要性 を も減 少 させ る。米 国の調査 に よれ ば

,こ

の 勤務 形 態 に よって輸 送 用 の 省 エ ネル ギー量 は1992年で67万

kl,1997年

で 180∼234万

kl,2002年

で 318∼636万 klと 推計 されてい る8)。 以上 の ように

,情

報機 器の活用が社会 の シス テム を変化 させ

,そ

れが 高効

7)槌

屋 (1994)20-22頁 8)US,OST(1993)pp.73-74

(14)

家庭内の情報化 と省エネルギー 133 率 。省エネル ギー型社会 を実現 させ る可能性がある。現段階では

,家

庭 内で の情報化が家庭 内の増エネル ギーにつなが っている。 しか し

,家

庭 内の合理 的なエネルギー利用 を実現す る制御 システムの導入(将来の

HA),情

報機器 を介在 した家庭 内 と家庭外 とい うエネルギー利用の場の トレー ド・ オフを通 じて

,情

報化が社会 システム全体 を省エネル ギー型に再構築す る可能性 を秘 めている。 お わ り に 近年

,情

報機器の普及はめざましい。 これ までのことろ

,情

報機器が もた らすエネル ギー消費の影響 は電力多消費の方向にある。 うえで見て きた よう に

,家

庭 内にあっては情報機器単体の消費電力容量 は小 さい ものの

,通

電時 間が24時間に渡 ることか ら,電力消費 を増加 させ る機器 として位置づ け られ る。1992年度のデータでは家庭用電力消費量の約

1%が

これに相 当す るもの として推定 された。 将来 にわた り

,情

報機器の普及は高 まり家庭内での消費電力量 も増大 して ゆ くことだろう。 しか し

,こ

れが更 に一段進んだ段階で

,家

庭 内お よび社会 システムの変革 を通 じて

,情

報機器の普及が社会全体の省エネル ギーを もた らす可能性 を秘めている。 参考文献 (1)E′′σ′″εα′″4ο夕´′グ,April,1990

(2)US,OST(Office of the Secretary of Transportation),T%α πs,ο″α″οπ f,%ψ′グια′グο″s

ο

/雲

′厖θο″″%′グπg,US GPO,April,1993 (3)アスキー「パ ソコンの使用時間調査結果」1987年 (4)植草康仁「情報化社会 とエネルギー」『工不ル ギー経済』1987年10月 号 日本エネル ギー経済研究所

(5)NHK

放送文化研究所 『

NHK放

送文化調査年報』1992年版 (6)経済企画庁国民生活 局 『情報化時代 の消費者政策』大蔵省 印刷 局 1985年

(7)NTT未

来予測研究会編『2005年の社会 と情報通信 人間性 の実現 にむ けて』

NTT

出版,1991年

(15)

情報通信総合研究所 『情報通信年鑑』1992年12月 『通信興業新聞』「

NTT住

宅電話の利用実態を調査」(1992.11.9) 槌屋治紀「身のまわ りの資源・エネルギー分析」『省エネルギー』1994年5月号 省エ ネルギーセンター 手塚政仁 『ホームオー トメーシ ョンー 日常生活がこんなに変わる』電気書院,1987 年 日本電子機械工業会 民生国内ビジョン委員会『家庭内の情報化による

HA需

要の長 期展望』1988年 宮沢健一『業際化 と情報化一 産業社会へのインパ ク ト」有斐閣 リブレ,1989年 郵政省『通信自書』1993年 版 (8) (9) (10 (11) (10 (1)

表 2  情報機器 関連 の電 力消費量推計 緒元 1)BBRは 中央 調 査 社 ,通 は F通 信 ]:業 新 聞 」 ,経 は経 済 企 画 庁 『家 計 消 費 の 動 向 ̲ 2)容 量 の 設 定 は カ タ ロ グ値 を参 考 に した。 3)用 頻 度 や 時 間 は 分 か って い る範 囲 につ い て は ,時 系 列 で 変 化 させ て い る。 Rit :t年 の i機 器 の稼働 時 間 具体的 には ,世 帯数は住民基本台帳の値 を用いている。 また情報機器 に関 しては経

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