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燃料電池車の今後は:(株)渡商会/佐藤昭彦

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水素エネルギーシステム Vol.28,No.1(2003) 読者の広場 -109-

「読者の広場」

燃料電池車の今後は

株式会社 渡商会 佐藤昭彦

自動車ビジネスは、「環境」というキーワードを軸 に大きな進展をしようとしている。その一つがハイ ブリッド車の市販であり、もう一つが燃料電池車の 登場である。つい2年ほど前の計画では、燃料電池 自動車の導入数値目標として2010年に5万台、 2020年に500万台が掲げられていたが、最近 の雑誌には、2007年で5万台と、目標を前倒し した記事も掲載され、燃料電池車への期待はますま す高まっている。 昨年の12月2日に、トヨタとホンダが世界で初 めて市販の燃料電池乗用車を内閣官房などに納入し た。これを契機に両社は今後、コスト削減や耐久性 の向上といった量産化の課題に取り組み、「究極の低 公害車」といわれる燃料電池車の事業化に挑むこと となった。報道されたように、両社は共にリース方 式で販売する。リース料金はトヨタの「FCEV」が 月額120万円、ホンダの「FCX」が80万円であ る。ただし、1台の製造コストが1億円以上と自動 車の価格としては非常に高く、事業化には、まだ道 のりがあるというのが実情のようである。国内で出 遅れていた日産自動車も2003~2004年には 市販化するとの発表を行い、さらに、航空機エンジ ンなどを手がける米国ユナイテッド・テクノロジー ズ(UT)グループと「スタック」と呼ばれる燃料電 池本体およびシステムを共同で開発することも発表 した。これは、「現時点で使い勝手がよいバラード製 品よりも、独自スペックで開発できる環境を整備す ることによりオリジナルな製品を生み出すことによ り、量産段階でアプリケーションの幅を広げられる」 という考えがあるからである。普及期にメーカ主導 で燃料電池自動車を開発するという、選択の自由度 を重視する考えが根底にはある。 一方アメリカでも、今年2月にブッシュ大統領が ワシントンで米国自動車会社の関係者を前にして演 説を行い、米国が「水素社会」の実現を2020年 までに目指すと宣言し、開発やインフラ整備を5年 間に17億ドル投入すると表明している。「アメリカ がとうとう本気になって日本を追いかけ始めた」と 国内の関係者は身構えているようである。ゼネラ ル・モーターズ(GM)は燃料電池自動車の燃料で ある水素を700気圧で貯蔵できるタンクを世界で 初めて開発したと発表している。さらにその場で、 燃料電池自動車を2015年に年間100万台規模 で生産することも明らかにしている。また、ダイム ラーの燃料電池乗用車は小型車「A クラス」をベー スに開発を行っている。このような急激な変化がお きている状況の中で、日本は、政府の援助を基に、 首都圏に5ヶ所の水素ステーションを整備し、燃料 電池車の市場投入を促進しようとしている。 「環境」というキーワードが自動車会社の開発方 向を著しく変化させているという状況の中で、ガス を取り扱い販売している当社は、燃料電池車向け水 素供給システムが商品として実現化しようとしてい る現在、どのような展開を行うか、商品として相応 しいものはどのようなものになるか、興味深く進展 を見守っている。ナフサ、脱硫ガソリン、液化石油 ガス、メタノール、液化水素、製鉄所からの余剰水 素などが今後の商品と予測している。当社としては、 水素を取り出す際に環境への負荷が小さく、コスト 面でもガソリンに対抗できる供給方式の実現を目指 す所存である。 業界の試算では、2010年度で180ヶ所、2 020年度で2400ヶ所程度の水素供給拠点が必 要となる。設置拡大に向け、政府は2005年度に 規制緩和を実施する方針を打ち出している。原稿の 冒頭に記した内閣官房向けの燃料電池自動車の水素 供給は、経済産業省中庭に設置した移動式の「水素 スタンド」によって行われている。ただ規制も多く、 午後4時過ぎには水素カードルがトラックで日本酸 素の工場へ運ばれ、翌日同じ場所に戻されるといっ た、実質2時間だけのこの「即席」燃料補給基地で 燃料電池自動車を稼動させている。燃料である水素 は、現行の法律では危険物扱いであり、水素を製造 する水素スタンドは指定された工業区域内にしか設 置できないという法的な規制に関する問題がある。 このように、燃料電池車を取り巻く環境は、高い

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水素エネルギーシステム Vol.28,No.1(2003) 読者の広場 -110- コスト、インフラの問題、電池本体の出力の不安定 さ、氷点下での水の凍結問題を始めとして、社会的 あるいは法的な問題に至るまで、まだまだ問題が山 積みされている。しかし、携帯電話のように、十数 年前までほんの一部の人しか持っていなかったもの が、現在ではほとんどの人が所持しているという例 もあり、十数年後には、ほとんどの自動車が燃料電 池自動車に変わっていることも夢ではないように思 われる。その時代が到来したときには、水素という 商品が燃料電池ビジネスでの主役の一端になってい てもらいたいと願っている。 (本原稿の著者) 株式会社 渡商会 営業部 部長 佐藤 昭彦 〒221-0021 横浜市神奈川区子安通 2-234 TEL:045-441-1327 E-mail:[email protected]

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