順天堂大学スポーツ健康科学部
Faculty of Health and Sports Science, Juntendo University 責任著者木藤友規 Email: t.kito@juntendo.ac.jp
〈実践報告〉
授業の録画ファイルの共有作業における省力化の一例
木藤
友規
An example of labor saving in the operation for sharing class recordings
Tomonori KITO
Abstract 本稿は,スクリプト言語を用いて,授業の録画ファイルを履修者と共有するための作業の一部を 自動化した実践例を報告するものである.具体的には,共有フォルダへのコピー,ダウンロードの 防止設定および履修期間後の共有設定の解除を自動化した.また,履修者変更に伴う共有対象者の 変更をスクリプトで処理した例についても示す.履修者とのファイル共有に当たっては,設定を間 違えると履修者がファイルを閲覧できないだけでなく,著作物の不適切な利用につながるリスクが 高まる.著作物を正しく利用するために必要な作業などを自動化することで,手作業では発生しや すい設定ミスを回避することや,その手間を省くことができた.Key words: 自動化,Web アプリケーション,自動公衆送信
.は じ め に
新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い,大 学における教育研究のオンライン化が急速に進ん だ6).特に教育活動については,2020年 7 月時点で 858校5)が遠隔授業を実施しており,10年前の2011 年時点での119校2)と比べると約 7 倍もの大学にお いて,大学設置基準第25条第 2 項に定める「多様 なメディアを高度に利用」した遠隔授業が導入され たことになる.ここでいう遠隔授業とは,大学通信 教育設置基準第 3 条第 1 項に定める「印刷教材そ の他これに準ずる教材を送付若しくは指定し,主と してこれにより学修させる授業(印刷教材等による 授業)」とは区別されるものであり4),「通信衛星, 光ファイバ等を用いることにより,多様なメディア を高度に利用して,文字,音声,静止画,動画等の 多様な情報を一体的に扱うもの1)」,いわゆる情報通信技術(Information and communication technol-ogy,以下「ICT」という)を活用した授業が想定 されている. 我が国では,今後の大学教育について,「時間・ 場所にとらわれず,社会人のリカレント教育も含 め,多様な学修者が学び合い,高め合うことのでき る知的創造空間の提供」や「対面とオンラインとの ハイブリッドによる学修者本位の効果的な教育実践 と学修の実質化」といったデジタル化やオンライン 化の方向性が示されている7).これから大学の教育 環境が大きく変化していく中で,教育現場を担う教 員には,ICT の活用スキルの向上や新たな教育方 法を実施する上でのルールの理解が求められる. 順天堂大学スポーツ健康科学部(以下「本学部」 という)では,2020年度から Zoom ビデオコミュ ニ ケ ー シ ョ ン ズ 社 の Web 会 議 シ ス テ ム ( 以 下 「 Zoom 」 と い う ) や Google 社 の Google
Work-space で 提 供 さ れ る ク ラ ウ ド ス ト レ ー ジ ( 以 下 「Google ドライブ」という),Web アプリケーショ ン等を活用した遠隔授業が実施されるようになっ た.試行錯誤の 1 年が過ぎ,今後,ICT を活用し た教育の効果や効率を高めるためには,様々な事例 を共有することが大切になるであろう.特に,人的 資源が限られる中で,教育のデジタル化やオンライ ン化に関連した作業の省力化を図ることは重要な課 題であると思われる. 本学部では,遠隔授業の実施に当たって,授業の 録画ファイルを Google ドライブ上で共有して履修 者が閲覧できるようにする取組も行われたが,不要 なファイルを誤って共有してしまったり,一連の処 理に時間を費やしたりする場面が散見された.そこ で本稿では,著作権法上の留意点にも触れながら, Google Apps Script(以下「GAS」という)を用い てファイル共有作業の省力化を図った例を報告する.
.実 践 内 容
. 録画ファイルの共有作業における課題 Zoom での授業の録画については,教員のコンピ ュータに直接保存する「ローカル記録」ではなく 「クラウド記録」を選択すれば,エンコード処理に 教員のコンピュータが長時間占有されることはな い.このような初期設定さえ適切に行えば,ICT に慣れていない教員にとっても録画ファイルの作成 に苦労することはないであろう.もちろん,録画し た内容を編集する場合には技術が必要となり,時間 もかかるが,高度な編集技術を身に付けるよりもリ アルタイムで遠隔授業を行うときに編集が不要又は 少ない編集で済むようにしておく方が効率的であ る.本稿では録画ファイルの編集方法については触 れない.なお,Zoom のクラウド記録上でも簡単な 編集は可能であり,クラウド記録のリンクを知らせ ることでも学生は録画ファイルを視聴できるので, 編集内容やバックアップの必要性,学生の視聴期間 などの利用目的に合わせて録画ファイルの共有方法 を選択することも考えられる. さて,授業の録画ファイルを入手した後,そのフ ァイルを Google ドライブ上で履修者が閲覧できる ようにするまでには,◯Google ドライブへのファ イルの保存,◯履修者との共有設定,◯閲覧可能に なったことの履修者への通知という 3 つのステッ プがある.これらの作業を毎回の授業後に行うこと は教員にとって大きな負担となる.とりわけ◯履修 者との共有設定については,設定を間違えると履修 者がファイルを閲覧できないだけでなく,不適切な 著作物の利用につながるリスクが高まる. 「学校その他の教育機関における複製等」を定め た著作権法第35条第 1 項では,「学校その他の教育 機関(営利を目的として設置されているものを除 く.)において教育を担任する者及び授業を受ける 者は,その授業の過程における利用に供することを 目的とする場合には,その必要と認められる限度に おいて,公表された著作物を複製し,若しくは公衆 送信(自動公衆送信の場合にあつては,送信可能化 を含む.以下この条において同じ.)を行い,又は 公表された著作物であつて公衆送信されるものを受 信装置を用いて公に伝達することができる.」と一 定の条件を満たす場合に,著作権者の許諾を得るこ となく複製などができると定めている.遠隔授業は 公衆送信であり,授業の録画ファイルを履修者と共 有するためにサーバー上へ保存することは送信可能 化,そして共有された録画ファイルに履修者がアク セスしてこれを閲覧することは自動公衆送信に当た る.条文にある「必要と認められる限度」に関連し て,その複製物を継続して利用できる期間について は,「履修者等の当該授業履修期間終了まで送信可 能化する場合は権利者の権利を不当に害しない可能 性が高いと思われる(当該履修者等の受信権限が解 除されていれば削除することまでは求めない)8)」 と指摘されている.つまり,著作権法第35条第 1 項に基づいて著作物を利用した授業の録画ファイル を履修者が履修期間終了後も閲覧できる状態にして おくことは適切ではない.したがって,録画ファイ ルを共有する場合には,履修者に限定することはも とより,履修期間終了後に共有を解除する作業やダ ウンロードさせない設定が必要となる.図 1 Google ドライブでのフォルダの配置例 フォルダ A とフォルダ B は,授業クラスごと に録画ファイルなどを保存しておくための教員 の保管用フォルダである.また,フォルダ a と フォルダ b は学生の閲覧用フォルダであり,フ ォ ル ダ A の 中 で 履 修 者 と 共 有 す る フ ァ イ ル ( VideoA.mp4) は フ ォ ル ダ a に , フ ォ ル ダ B の 中 で 履 修 者 と 共 有 す る フ ァ イ ル ( VideoB. mp4)はフォルダ b にコピーされる. 履修者との録画ファイルの共有に当たっては,煩 雑な手作業による設定ミスを回避するため,また省 力化を図るために作業を自動化することが考えられ る.本稿では,一部の作業を自動化して,録画ファ イルの共有を行った実践例を示す. . GAS を用いた録画ファイルの共有 1) 概要 初回の授業までに,Google ドライブに保存用と 共有用のフォルダを作成し,また,GAS で作成し たプログラムをサーバー上で定期的に実行するよう に設定した.これらの作業によって,教員は,授業 終了後に録画ファイルなどの保存したいファイルを Google ドライブに作成した保存用フォルダにアッ プロードするだけで,その後は自動的に必要な設定 を加えた共有用の録画ファイルが用意され,履修者 だけが共有ファイルを履修期間に限定して閲覧でき る状態にした. このような GAS を利用した共有処理の自動化を 6 つの授業クラスで行った. 2) 録画ファイルの共有手順と GAS のコード Google ドライブ上のフォルダの配置 図 1 は,Google ドライブに作成したフォルダの 配置例である.フォルダ A とフォルダ B は,それ ぞれ授業クラス A と授業クラス B のファイルを保 存する場所である.また,フォルダ a とフォルダ b は,それぞれフォルダ A とフォルダ B の中から, 履修者と共有する録画ファイルのコピーを保存する 場所である.フォルダ A やフォルダ B に保存され ているファイルを履修者と共有することもできる が,コピーを用いることでファイルのバックアップ になり,また,特定のファイルだけを閲覧させたい 場合に処理しやすいため,履修者との共有用フォル ダを別に設けた. 共有用フォルダには,それぞれの履修者のメール アドレスを予め登録した.GAS による共有者の変 更方法については後述するが,はじめの一括登録に ついては,GAS を用いなくても,Google ドライブ の共有設定画面で履修者のメールアドレスを一括し て登録した方が簡単である.ただし,履修者が多い 場合には共有設定画面で一括登録できないことがあ ったので,そのような場合には GAS を使って登録 することが考えられる.共有するユーザーの種類に は,「オーナー」,「編集者」,「閲覧者」または「閲 覧者(コメント可)」の 4 種類があるが,履修者の 権限を録画ファイルの閲覧に限定するために「閲覧 者」を選択した. スプレッドシートの作成 GAS でのプログラムの実行結果を可視化した り,プログラムの実行時に取得する情報を記録した りするために,Google 社のスプレッドシートを利 用した. このスプレッドシートのファイルは,授業クラス ごとに作成した.ワークシート「シート 1」の 1 行 目は見出しとして利用し,A 列から順に,ファイ ルの識別番号を記録する File ID の列,ファイルの 名前を記録する File Name の列,そのファイルの 種類(拡張子)を記録する Format の列,共有処理 対象であるかの判別結果を記録する Target の列お よびファイル共有の処理が完了した日時を記録する Finish Time の列とした(図 2).プログラムの可
図 2 授業期間中に main 関数を実行したときの記録のイメージ図 読性の向上やメンテナンスのためには,余計な処理 の記述を避けるべきであるため,これらの見出し名 については手入力した.また,ワークシート「シー ト 2」は,共有者の一括登録や一括変更のために使 用した. GAS の作成 ◯ 作成した関数の概要 スプレッドシートと連携した GAS を作成するた めには,スプレッドシートのメニューから「ツー ル」,「スクリプトエディタ」の順に選択し,GAS コードを入力する画面(エディタ)へと移動する. また,エディタに移動した後,メニューの「リソー ス 」 に あ る 「 Google 拡 張 サ ー ビ ス 」 の 一 覧 で 「Drive API」を有効にして,Google ドライブでの 処理ができるように設定した.なお,2020年12月 にアップデートされた新しいエディタを使用する場 合には,メニューが廃止されているので,画面上に ある「サービス」から「Drive API」を有効にする. 今回は,main, setTargetFiles, ˆleCopy, remove-Viewers お よ び changeremove-Viewers と い う 5 つ の 関 数 を作成した.本稿の各図で示したコードは,授業ク ラス A の例である. 図 3 の main 関数を実行することで,予め定めた 期日までは録画ファイルを共有する処理を行い,期 日になるとファイル共有している閲覧者を全て削除 するようにした.なお,図 3 に示したコードは, 期日を2021年 1 月30日とした例であるが,「月」に ついては,ゼロ(1 月)から11(12月)までの数字 を入力するため「2021, 0, 30」となっている. ◯ 保存用フォルダ内のファイル情報の取得 Zoom ではビデオファイル(本稿でいう「録画フ ァイル」)以外の記録も残すことができる.今回は, ビデオファイル(mp4),映像がない音声ファイル (m4a)およびチャット記録(txt)の 3 種類のファ イルを記録し,これらの全てのファイルを Google ドライブ上の保存用フォルダにアップロードした. 図 4 の setTargetFiles 関数は,フォルダ A の中 にある全てのファイルの ID と名前を取得し,ワー クシート「シート 1」の一覧にないファイルが追加 されていた場合には「シート 1」に当該ファイルの 情報を記録するものである.また,拡張子の部分に 当たるファイル名末尾の 3 文字が mp4 であった場 合には,共有する対象として「yes」の文字が Tar-get 列に入力されるようにした. ◯ 共有用フォルダへの録画ファイルのコピー 図 5 の ˆleCopy 関 数 は , Target 列 に 「 yes 」 が 入力されている行に示されたファイルの ID を基 に,共有する録画ファイルをフォルダ a へコピー し,ダウンロードさせないように制限を加えるプロ グ ラム で ある .こ の 共有 処 理が 完了 し た日 時を
図 3 自動実行を行うメインの関数のコード コピー元の保存用フォルダ A の「●●AAA●●」と共有用フォルダ a の「●●aaa●●」の部分には,それ ぞれのフォルダの ID を入力する.フォルダの ID は,Google ドライブでそれぞれのフォルダにアクセスす ると表示される URL「https://drive.google.com/drive/u/0/folders/XXXXXXXXXXXXXXXXXX」のうち, 「folders/」に続く「XXXXXXXXXXXXXXXXXX」の部分である.「リンク取得」のメニューで URL を表 示した場合には,「XXXXXXXXXXXXXXXXXX」の後ろに「?usp=sharing」が続くが,この部分は不要 である.なお,実際に授業期間中に実行したコードでは,変数の宣言は全て var であったが,本稿では,新 しく使えるようになった const や let に書き換えている.
Finish Time 列に入力し,「yes」の文字を「done」 に変更することで次回以降のプログラム実行時に共 有処理の対象から除外するようにした.
共有期間中(例では2021年 1 月30日まで)は, main 関数を実行すると,setTargetFiles, ˆleCopy の順に処理が進められ,図 2 のような実行結果が ワークシート「シート 1」に記録された. ◯ 閲覧者の削除 図 6A の removeViewers 関数は,共有フォルダ の閲覧者を削除するものである.定めた期日までは 実行されないが,期日以降はこの removeViewers 関数が実行され,閲覧者として登録されている履修 者のメールアドレスを削除することでフォルダ内の ファイルを閲覧できない状態にした. 現在の Google ドライブでは,例えば,共有用フ ォルダ a に履修者を閲覧者として登録しておけば, フォルダ a の中に既にある録画ファイルだけでな く,新たに追加される録画ファイルについても履修 者が閲覧者として自動的に設定される.そして,フ ォルダ a の閲覧者から履修者を削除した場合には, 自動的にフォルダ a にある録画ファイルの閲覧者か らも削除される.しかし,履修者をフォルダ a とフ ォルダ内にある録画ファイルのそれぞれで閲覧者と して登録した場合には,フォルダ a の閲覧者から履 修者を削除しても,フォルダ内の録画ファイルでは 閲覧者から削除されない場合がある.このようなと きには,図 6B のように,それぞれの録画ファイル の閲覧者を削除してから,フォルダ a の閲覧者から も削除するという処理が必要になる.この図 6B の 処理では,大人数クラスの場合や共有フォルダ内の ファイルが多い場合に GAS の実行時間が長くな り,実行時間制限を超えた場合に処理が中断されて
図 4 main関数から呼び出されるサブの関数 setTargetFiles のコード ワークシート「シート 1」に情報がない新しいファイルが保存されている場合には,そのファイルの情報を 追記する. しまうことがある.そのため,閲覧者については, 録画ファイルごとではなく,共有フォルダのレベル だけで登録し,閲覧者の削除時には図 6A のように 共有フォルダだけで処理する方が GAS 実行時のト ラブルは少なくなる. ◯ 閲覧者の変更 図 7 の changeViewers 関数は,履修者に変更が あった場合に閲覧者を登録し直すプログラムであ る.共有フォルダの全ての閲覧者を一旦削除した 後,ワークシート「シート 2」の A 列に入力され ている履修者のメールアドレスの一覧を取得して閲 覧者として登録する.この changeViewers 関数は, main 関数とは独立して実行するものであり,はじ めに履修者を一括登録する際にも利用できる. なお,Google ドライブでのファイル共有には600 人まで(例えば,履修者600人と教員 1 人で共有す る場合は計601人となって超過した 1 人を登録でき ない)という制限があるため,大人数クラスの場合 には履修者を 2 つのグループに分けてグループご とに共有フォルダを作成したり,個人のメールアド レスではなくグループアドレスを利用したりする工 夫が必要となる.現在の順天堂大学のシステムで
図 5 main 関数から呼び出されるサブの関数 ˆleCopy のコード ワークシート「シート 1」の Target の列に「yes」と入力されているファイルを共有フォルダへコピーし, ダウンロードさせないように設定する. は,教員が Google グループの機能を使ってグルー プアドレスを自由に作成することはできないが, Google Classroom で生成されるグループアドレス ( Classroom API を 使 う な ど し て courseGroupE-mail を取得する)を使用すれば600人を超えるファ イル共有も可能である. トリガーの設定 GAS の自動実行にはトリガー機能を用いた.授 業期間中は,授業の録画ファイルをアップロードし た後に速やかに共有処理を行うために 1 時間の間 隔で main 関数が実行されるように設定した. また,授業期間終了後は,トリガーを削除して自 動実行を停止した. . 実践結果 初回の授業で共有フォルダのアドレスを通知して おくことで,履修者は,その共有フォルダ内に追加 される録画ファイルを履修期間中に閲覧することが できた.共有した録画ファイルのアドレスを毎回通 知する必要がないため,教員の作業を省力化でき, また履修者にとっては,Google ドライブ上に表示 される授業クラスのフォルダに各回の録画ファイル が配置されるので管理が容易になった. 2020 年 度 の 本 学 部 の 後 期 授 業 開 始 日 で あ っ た 2020年 9 月28日から後期授業終了後の2021年 1 月 31日まで,トリガー機能を使って main 関数を自動 実行した.この期間中に,サーバーエラーなどの一 時的な実行エラーの通知が64回あった.しかし, 一時的に GAS が動作しないエラーが発生しても, 1 時間後の自動実行時に未処理の共有対象ファイル が処理されたため,履修者が録画ファイルを閲覧で
図 6 main 関数で指定した期日以降に実行されるサ ブの関数 removeViewers のコード A)共有フォルダに「閲覧者」として登録され ている全ての履修者のメールアドレスを削除す るコード.B)共有フォルダだけでなく,共有 フォルダ内の全てのファイルの閲覧者も削除す る場合のコード. きない状態が続くことはなかった. また,2021年 1 月30日時点の main 関数の自動実 行で,登録されていた全ての履修者が閲覧者から削 除されたため,それ以降は履修者が録画ファイルに アクセスできない状態になった.
.お わ り に
履修者とのファイル共有作業のうち,共有フォル ダへのコピー,ダウンロードの防止設定および履修 期間後の共有設定の解除を自動化することによっ て,設定ミスの回避や作業の省力化ができた.特 に,著作物の適切な利用に関連して,共有設定の人 的ミスを回避できることの利点は大きかった.外部サービス連携用の Zoom API を使って Goo-gle システムとの連携を図り,作業の自動化の割合 を更に高めることも考えられるが,作業の自動化の 割合を必要以上に高めると反対に効率が悪くなる場 合もある.例えば,Zoom で不要な録画ファイルが 記録されてしまった場合,人間であれば簡単に判別 して共有すべき録画ファイルだけを処理できるが, GAS のようなプログラムでその判別を行わせるこ とは難しい.これを実現することに時間を費やすよ りも,ファイルのアップロードを手作業で行った方 が労力は少なくなるであろう.作業の自動化は,人 的ミスを回避するために必要な部分や省力化が見込 める部分について導入すべきである. 我が国では,教育の情報化が進む中で,初等教育 や中等教育を担う教員には,ICT を活用した指導 力の向上が求められるようになった3).ここで注意 すべきことは,本稿で紹介したようなプログラムを 書く能力といった ICT スキルではなく,「ICT を活 用した指導力」が求められていることである.これ は大学教員についても当てはまり,全ての教員が ICT の詳細な仕組みまでを理解する必要はない. 大学の教育現場においても,活用事例を蓄積すると ともに,ICT の苦手な教員も無理なく気軽に活用 できる組織的な支援体制を整えることが ICT の活 用を促進し,結果として教員の「ICT を活用した 指導力の向上」につながるものと思われる. 利益相反 本稿に関して,開示すべき利益相反関連事項はな い.
図 7 共有者を変更するための関数 changeViewers のコード main 関数と同様に,共有用フォルダ a の「●●aaa●●」の部分には,フォルダの ID を入力する.ワーク シート「シート 2」の A 列に対象となる授業の全ての履修者のメールアドレスを入力してから,この関数を 実行する.閲覧者を変更するときだけでなく,はじめに閲覧者を一括登録するときにも使用できる.
文
献
1) 文部科学省(2001)平成13年文部科学省告示第51号 (大学設置基準第二十五条第二項の規定に基づき,大学 が履修させることができる授業等について定める件). 2) 文部科学省(2015)遠隔教育関連データ.https:// www.mext.go.jp/component/b_menu/shingi/toushin/ _icsFiles/aˆeldˆle/2015/01/05/1354256_2.pdf(閲覧 日2021年 3 月 8 日). 3) 文部科学省(2016)教育の情報化加速化プラン~ ICT を活用した「次世代の学校・地域」の創生~. https: // www.mext.go.jp / b _ menu / houdou / 28 / 07 / _ icsFiles / aˆeldˆle / 2016 / 07 / 29 / 1375100 _ 02 _ 1.pdf (閲覧日2021年 3 月18日). 4) 文部科学省(2020)大学等における学事日程等の取 扱い及び遠隔授業の活用に係る Q&A の送付について ( 5 月 22 日 時 点 ). https: // www.mext.go.jp / content / 20200525-mxt_kouhou01-000004520_2.pdf(閲覧日 2021年 3 月 9 日). 5) 文部科学省(2020)新型コロナウイルス感染症の状 況を踏まえた大学等の授業の実施状況(令和 2 年 7 月 1 日時点) .https://www.mext.go.jp/content/20200717-mxt_ kouhou01-000004520 _ 2.pdf ( 閲 覧 日 2021 年 3 月 8 日). 6) 文部科学省(2020)科学技術・学術審議会学術分科 会 コロナ新時代に向けた今後の学術研究及び情報科 学技術の振興方策について(提言),https://www.mext.go.jp / kaigisiryo / content / 20201217-mxt _ jyohoka01-000011710_05.pdf(閲覧日2021年 3 月17日). 7) 内閣官房(2020)教育再生実行会議 高等教育ワー キング・グループ―主な論点―https://www.kantei.go. jp/jp/singi/kyouikusaisei/jikkoukaigi_wg/koutou_wg /dai1/siryou4.pdf(閲覧日2021年 3 月 8 日). 8) 著作物の教育利用に関する関係者フォーラム(2020) 改正著作権法第35条運用指針(令和 2(2020)年度版). https: / / forum.sartras.or.jp / wp-content / uploads / unyoshishin2020.pdf(閲覧日2021年 3 月 8 日). 令和 3 年 3 月22日 受付 令和 3 年 7 月 6 日 受理