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環境モニタリングデータの感覚的可視化

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Academic year: 2021

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(1)情報処理学会第 81 回全国大会. 5H-05. 環境モニタリングデータの感覚的可視化 宮村(中村)浩子,関 暁之,松原 武史,武宮 博 日本原子力研究開発機構. システム計算科学センター. 1. はじめに 福島第一原子力発電所の事故によって放射性 物質が沈着した地域では,その状況を把握する ための手段が求められている.日本原子力研究 開発機構では,福島県との協力の下,路線バス に線量計を搭載し,日常的に空間線量率を計測 し,公開している.本研究では,これらのデー タを誰でも観察できるように,スマートフォン や PC 等で取得した画像に,計測した空間線量率 を重ね合わせて表示する手法を開発する.本手 法の特徴は,数値を正確に提示する従来の情報 可視化手法と異なり,感覚的に空間線量率の高 低を把握できるように,数値を抽象化して可視 化することである.. 3.感覚を用いた抽象可視化 感覚と可視化の関係は,従来,感覚をいかに して画像化し,可視化するかをテーマに研究が なされてきた.熱いものを赤く表現したり,ア ニメなどで風が吹いている様子を斜め線で表現 したりする技法が例として挙げられる.このよ うに,感覚と色やテクスチャを結び付け,これ ら を 用 い て 可 視 化 す る 研 究 がなされてきた. 我々は,先行研究と同様に感覚と色やテクスチ ャの結び付きを利用するとともに,感覚を用い て物理量の値の高低を示す抽象可視化を実現す る. 従来,物理値は数値やグラフで明確にその値 を示す可視化が主流であった.しかし,空間線 量率は数値に対する馴染みが少なく,観察者に 2.手法の概要 過剰な不安を与える可能性がある.また,数値 日本原子力研究開発機構では,路線バスに やグラフは日常生活に溶け込まないため,目の KURAMA-II とよばれる車載型空間線量率測定器を 前の風景と一緒に表示すると異物と認識される. 搭載し,路線上の空間線量率を測定している[1, そこで,緊急時以外は,我々が日常的に感じる 2].KURAMA-II は小型の CsI(TI)検出器を使用し, その他の外的要因と同様に,なんとなく暖かい, GPS による位置データと空間線量率を携帯回線で なんとなく風が強いといった「なんとなく」情 サーバに転送する.この位置データと空間線量 報を示すことが,日常生活に溶け込んだ可視化 率はリアルタイムで参照することができる. に必要であると考える. 本研究では,この計測データをスマートフォ 我々は領域認識とテクスチャ生成の 2 つの技 ンや PC のカメラを通して表示される画像に重ね 術を利用することでこの目標を達成する.2 次元 合わせて提示することで,日常生活を送りなが のカメラ画像には道路,建物,人,空など,多 ら観察できる可視化を提案する.観察者の観察 肢にわたる対象が映っている.我々は対象によ 媒体であるスマートフォンや PC の位置情報から って情報を示す方法を変えることが有効である 該当する空間線量データをサーバから取得し, と考え,領域認識によって分割して空と道路を カメラを通して表示されている風景に重ね合わ 可視化領域として使用することとした.これを せる.ここで,日常的に我々が得るデータは, 実現するために,機械学習を利用した画像分割 気温や風速など,目や肌が感じる感覚からその 手法である SegNet[3]を用いた.テクスチャ生成 高低や強弱を得ることができることに着目し, では,風景に溶け込むように,自然現象を表現 感覚を利用した値の高低を示す可視化を実現し, するのに用いられることで有名なパーリンノイ 数値やグラフで表示する情報可視化とは大きく ズ[4]を使用する.パーリンノイズは頂点が勾配 異なった抽象可視化を提案する. ベクトルをもっており,頂点からの距離と方向 によって値が決まる.このノイズを道路領域の 画像と重ね合わせることで道路にうねりのよう な要素を加える.また,空には青色成分だけノ イズを加えることで,空間線量率が高くなるに Environmental Monitoring Data Visualization with つれて青い雲がかかったような画像を生成する. Intuitive Effect Hiroko Nakamura Miyamura, Akiyuki Seki, Takeshi Matsubara, Hiroshi Takemiya Center for Computational Science & E-systems, Japan Atomic Energy Agency. 4-9. Copyright 2019 Information Processing Society of Japan. All Rights Reserved..

(2) 情報処理学会第 81 回全国大会. 4.適用実験 まず,画像に対して領域分割を実施した結果 を図 1 に示す.この結果から,風景画像が道 路・建物・人・空に分割で来ていることが確認 できる.この中で,建物と人に対して空間線量 値に応じた画像処理を施すと,建物や人が放射 性物質で汚染されているような誤解を与えるお それがある.そこでこれらの領域は取得画像を 加工せずに提示する. 次に,道路に関して検討する.道路はもとも とホワイトノイズに近いテクスチャを持ってお り,ここにノイズを加えても元々のテクスチャ と区別できない.そこで,フラクタルを持った パーリンノイズを加えることで,地面に歪みの ような傾向を示すこととする.パーリンノイズ の例を図 2 に示す.. (a) 元画像. (b)適用結果 図 3 提案手法による空間線量率提示. 図1. 5.おわりに 我々は,感覚と色やテクスチャの結びつきを 利用した抽象的可視化を提案した.数値を明示 したり,グラフ化したりして正確に示す従来の 可視化手法と異なり,感覚的に物理値の高低を 示す,新しい表現を試みた.感覚的に示すこと は視覚から得られる情報の邪魔をしないで物理 値情報を提示できる.実際に道路のうねりや空 の色によって空間線量率を提示しその効果を確 認した.今後は,数値データの提示とともに本 提案手法を路線バス乗客に提供し,その有効性 を検証する.. 領域認識結果. 図 2 パーリンノイズ(左)と周波数を変えて 重ねたパーリンノイズ(右). 参考文献. [1] 福島県,福島県における自動車走行サーベイ モニタリング, https://info-fukushima.jaea.go.jp/joho/ 図 2 によって得られたテクスチャをもともと [2] 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, の道路画像に重ね合わせる.道路領域に対して 放射性物質モニタリングデータの情報公開サ は,パーリンノイズを使用し,空については周 イト, 波数を変えて重ねたパーリンノイズを使用する. https://info-fukushima.jaea.go.jp/joho/ [3] V. Badrinarayanan, A. Handa, R. Cipolla, 空は白に近い色であるが,天候によっては青み SegNet: A Deep Convolutional Encoder-Deco が強くなることに着目し,空間線量率が高い領 der Architecture for Image Segmentation, 域ほど空の青味を強くすることとした. IEEE TPAMI, 39(12):2481-2495 提案手法を空間線量率に合わせて適用した結 [4] K. Perlin, An Image Synthesizer, Computer 果を図 3 に提示する.地面のうねりや空の青さ Graphics, Vol. 19, No. 3 を確認でき,感覚的な違和感を得られた.. 4-10. Copyright 2019 Information Processing Society of Japan. All Rights Reserved..

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