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知的照明システムのためのログデータ解析システム

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Academic year: 2021

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第109回 月例発表会(2009年09月) 知的システムデザイン研究室

知的照明システムのためのログデータ解析システム

松岡 拓也

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はじめに

我々は任意の場所に任意の明るさ(照度)を提供し,か つ省エネルギーを実現する知的照明システムの研究を 行っている.この知的照明システムについては,現在実 オフィスにプロトタイプ版の導入を行い実証実験を行っ ている.1) 2) この知的照明システムの導入効果を証明 するためには,数値的な立証が効果的であるため,ログ データの解析を行う.しかしながら知的照明システムが 出力するログデータの数は膨大であるため,手作業で解 析を行うためには多くの時間を費やす.そのため本稿で は,ログデータの解析支援と可視化を行うためのソフト ウェアの構築と,ログデータの解析結果から導入効果の 検討,およびそこからわかるシステム異常等の発見につ いての検討を行う.

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知的照明システムのデータ解析

2.1 知的照明システム 知的照明システムとは複数の照明器具と複数の移動可 能な照度センサ,および電力計がネットワークに接続さ れ,ユーザの要求に合わせて各照明の明るさが最適な状 態に制御されるシステムである.そのため各照明,各照 度センサごとにログデータが出力される.今回ログデー タの解析を行ったのは,2009年4月に導入した三菱地所 株式会社の知的照明システムのログデータである. 2.2 データ解析の必要性 現在導入されている知的照明システムは,実環境への 導入においてはまだプロトタイプ版であるため,システ ムの異常や照度センサの不具合等の発見,ログデータの 解析を早急に行う必要がある.さらにユーザの選好照度 や実際の点灯光度履歴から,調光範囲の広い照明器具や 放射角の狭い照明器具を使用することで,知的照明シス テムのさらなる機能向上を行うことも可能となると考え られる.そこで知的照明システムにおけるログデータの 解析を行うシステムの構築を行う.

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ログデータ解析システム

3.1 概要 本稿で述べるログデータ解析システムはログデータか ら特徴抽出を行い,可視化することを目的としたシステ ムである.これにより数値解析を視覚的に行うことが可 能となり,ログデータの解析時間を大幅に削減すること を可能とする.  今回ログデータの解析を行う三菱地所株式会社に導入 している知的照明システムは以下のログデータを出力し ている. 1. ログデータ出力日時 2. 各ユーザの目標照度      ×照度センサの数 3. 各照明の白色蛍光灯の点灯光度 ×照明の数 4. 各照明の電球色蛍光灯の点灯光度×照明の数 5. 各照度センサの現在照度    ×照度センサの数 三菱地所株式会社に導入している知的照明システムは 26灯の照明および22基の照度センサから構成されてお り,1分ごとに各々の照明と照度センサの照度や点灯光度 をログデータとして出力するため一日につき138240個 のログデータが出力される.この膨大な数のログデータ を手作業で解析するということは多くの労力と時間が必 要となる.そのため今回作成したログデータ解析システ ムの構築が必要不可欠である. 3.2 ログ解析手順 3.2.1 特徴抽出 まず,全ログデータからシステム異常や照度センサな どの不具合がデータに表れやすい各項目の平均値の最大 値,最小値,変化量の最大値,最小値となるデータを抽出 する. 3.2.2 ログデータの可視化 特徴抽出によって抽出されたデータを可視化するため, データのグラフ化を行う.数値解析を行うためには多く の時間を費やす必要があるが,グラフにすることにより 数値解析に費やされる時間を大幅に削減することが可能 となる. 3.2.3 ログデータの文章化 可視化されたグラフを,一月ごとに一冊の報告書とし て自動的に冊子にする.冊子にまとめることにより,知 的照明システムの一月の特徴抽出データを一覧すること が可能となる. 3.2.4 Webドキュメント化 ログデータの文章化によって特徴抽出データを一覧す ることが可能となり,月内における特徴のあるログデー タをまとめることが可能となる.ところがシステム異常 などの確認をする際には,一日ごとの特徴抽出データを確 認できる必要がある.しかし,一日ごとの特徴抽出デー タをすべて報告書に載せる場合,データ量が膨大である ためユーザが閲覧したい特徴抽出データを見つけること が困難になる.そこで,生成された全てのグラフをWeb ドキュメント化し,Webからユーザが閲覧したい特徴抽 出データを一括で検索し,閲覧可能にする. 1

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ログデータ解析の時間短縮

4.1 ログデータの特徴抽出と可視化の方法 本稿で述べるログデータ解析システムでは,一つのソ フトウェアを起動させるだけでログデータの中から特徴 のあるデータをグラフ化し出力することが可能である. 具体的な方法としては各ログデータの変化量および平均 値を解析することで特徴抽出を行い,Gnuplotを用いて グラフを生成するまでをPerlを用いて自動処理する.そ のため,出力されたログデータを手作業で比較し,グラ フ化するという多くの工数を省くことが可能となる.  また,Gnuplotを用いる場合,毎回処理を打ち込む必 要があるが,Gnuplotに処理させるコマンドをシェルス クリプトで記述し,それを読み込むことで自動化を実現 している.ただし,Gnuplotによって作成されるグラフ のラベルは状況に合わせて変更が必要である.そこで, Perlの置換コマンドを用いてシェルスクリプトの中のラ ベル部分を動的に自動変換するようにシステムを構築す る.Fig.1にGnuplotのシェルスクリプトの一部を示す. Fig.1 Gnuplotのシェルスクリプトの例 Fig.1に示したプログラムの「@」部分をPerlの最小置 換法により,動的にグラフのラベルを生成することを可 能にしている.Perlによりシェルスクリプトのラベルを 自動生成する処理の一部をFig.2に示す. Fig.2 Perlによるラベルの自動生成 4.2 生成されたグラフの一括検索 4.1節の方法を用いて生成されたグラフを一括で検索 できるWebドキュメントの起動画面をFig.3に示し,例 として2009年6月の目標照度を検索した結果をFig.4に 示す.このWebドキュメントはサーブレットで設計を行 い,指定された条件とマッチしたグラフをフォルダから 検索し,表示するように設計している. Fig.3 Webドキュメントの起動画面 Fig.4から,ユーザの選好照度は最も高い人で650lx程 度,最も低い人で250lx程度であることが分かる.この ことから,一般的なオフィス環境で推奨されている照度 である750lx3) と比較して非常に低いことが分かる.し たがって,知的照明システムの個別照度の実現が効果的 であることが確認できた. 0 200 400 600 800 1000 5 10 15 20 25 30 目標照度[lx] 日付 平均値最大(20番) 平均値最小(11番) 変化最大(16番) 変化最小(13番) Fig.4 Webドキュメントの検索結果(2009年6月)

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ログデータ解析の効果

ログデータの解析を行うことで,時間短縮以外にも使 用状況を詳細に分析することが可能となる.また,予期 せぬシステム異常などに対応することが可能になる. 5.1 保守・運用 本来,隣接するユーザ同士が大きく異なる目標照度を 設定した場合,その照度分布は物理的に実現できない. それにも関わらず,隣接する照度センサから得られる照 度値が大幅に違う場合,照度センサが故障している,も しくは照度センサの上に物が置かれている可能性がある ということがログデータから読み取れる.そのためログ データの解析結果から上記のような状況が読み取れた場 合,照度センサの設置状況を確認する,もしくは該当する 照度センサを取りかえることで知的照明システムを正常 に動作させることが可能となる.このようにログデータ から不自然な挙動を起こしている機器を見つけ出し,詳 しく解析することにより知的照明システムの異常を発見 し,メンテナンスを行いやすくすることが可能になる. 5.2 知的照明システムの改善 本節では,ログデータの解析により知的照明システム の改善につながった例について示す.知的照明システム では各照明に対して影響度の大きい照度センサを関連付 けている.その関連付けをもとに最適な点灯パターンの 探索,あるいは消灯制御を行っている.しかしながら導 入当初の知的照明システムでは,実際に導入する環境が 確認できず,設計図をもとにシステムを構築していたた め,照明と照度センサを適切に関連付けできていなかっ た.そのため不適切な点灯パターンを採用してしまう, あるいは本来なら消灯すべき照明が点灯してしまうなど の問題が生じた.この状況をログデータの解析結果から 読み取り,関連付けを再度検討することで知的照明シス テムの改善を行った.

参考文献

1) コクヨニューリリース http://www.kokuyo.co.jp/press/news/20081118-889.html 2) 照度・色温度可変型照明制御「知的照明システム」の実証実験を開始 http://www.mec.co.jp/j/news/pdf/mec090331.pdf 3) オーム社,照明ハンドブック,照明学会,第2版,pp.270-271,2003 2

参照

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