招待論文
Massive MIMO
基地局装置向け電力増幅器
鈴木
恭宜
†a)河合
邦浩
†岡崎
浩司
†楢橋
祥一
†浅井
孝浩
†奥村
幸彦
†A Power Amplifier for Massive MIMO Base Station
Yasunori SUZUKI
†a), Kunihiro KAWAI
†, Hiroshi OKAZAKI
†, Shoichi NARAHASHI
†,
Takahiro ASAI
†, and Yukihiko OKUMURA
†あらまし 出力電力変化に対する電力増幅器の利得と位相の偏差を少なくできる Massive MIMO 基地局向け 電力増幅器構成を提案する.電力増幅器はフィードフォワード増幅器のひずみ検出回路を応用した回路である. 具体的には,入力信号を増幅する経路と,線形に伝達する経路と,これらの経路の差信号を最小にするように増 幅する経路の利得と位相を制御する制御経路にて構成される.提案構成は出力電力の変化に対して常に利得と位 相を制御することで,出力電力変化に対する電力増幅器の利得と位相の偏差を少なくできる.これにより,指向 性制御に伴うキャリブレーション頻度の削減が期待できる.14GHz 帯実験回路を構成し,出力電力変化に対す る利得と位相の偏差を評価した.実験により利得偏差 0.2dB 以下,位相偏差 1.0degree 以下に制御できることを 示し,提案構成の妥当性を確認した. キーワード 5G,Massive MIMO,電力増幅器
1.
ま え が き
モバイル通信は第二世代であるPDC方式のサー ビス開始以降,およそ10年ごとに新しい世代に進化 している.第三世代モバイル通信方式としては W-CDMAなど,第四世代モバイル通信方式としては LTE-Advancedなどがある.近年,モバイル通信の高 速伝送とさまざまなサービス提供を図るべく,2020年 にサービス開始に向けた第五世代モバイル通信方式(以 下,5G方式)の研究開発・標準化などが世界中で盛んに おこなわれている[1], [2].我が国においても,具体的 な研究開発のプロジェクトが進行しつつある[3]∼[5]. 5G方式は五つの特徴を有することが知られている. すなわち,大容量化,低遅延化,低コスト化・省消費 電力化,多数の端末との接続,高速通信である.これ らについてさまざまな角度から技術的検討が進められ ている.従来のモバイル通信方式と大きく異なるのが, Massive MIMOと呼ばれる多数の端末と通信する技 †(株)NTTドコモ先進技術研究所,横須賀市Research Laboratories, NTT DOCOMO, INC, 3–6 Hikari-nooka, Yokosuka-shi, 239–8536 Japan
a) E-mail: [email protected] 術である[6].Massive MIMOは図1に示すように主 としてスモールセルでの適用が検討されている.その 周波数帯としては,従来のモバイル通信のそれより高 い周波数帯の利用が検討されている[3].多くの検討 で,28GHz帯などの準ミリ波帯での利用が議論され ている[4].従来よりも高い周波数帯の利用による伝搬 損失の増大から,Massive MIMO基地局装置は従来 のモバイル通信用基地局装置よりも多数設置しなくて はならない. したがって,Massive MIMO基地局はビル屋上の みならず,図2に示すようにビル壁面に設置する必要 性がある.このようなビル壁面への設置を想定した Massive MIMO基地局装置は,アンテナからベース バンドブロックまで一体で収容し,低背化と軽量化を 図る必要がある[7]. Massive MIMO基地局装置には,端末にアンテナ の指向性を向け,高速な情報伝送と,多数の端末を収 容できる機能が必要である.これらの理由から,アダ プティブアレーアンテナ技術の適用が検討されている. また,小型かつ軽量なMassive MIMO基地局装置を 実現する観点から,従来のモバイル通信用基地局装置 と異なり,アンテナと無線回路を一体化したアクティ
ブアンテナ技術の適用が有望視されている[8], [9]. このような背景のもと,運用周波数帯が準ミリ波帯 の場合,従来のモバイル通信方式用基地局装置に比較 して技術難易度の高い装置を実現することが求めら れる[8].Massive MIMO基地局装置の使用目的と予 想される使用形態から,軽量かつ運用コスト削減につ ながる低消費電力化技術,アンテナを含む無線回路と ベースバンド回路の小形化,指向性制御,故障の影響 を受けにくい冗長・機能回復技術が主要課題である. Massive MIMO基地局用電力増幅器には,従来の 要求条件に加え,アダプティブアレー用電力増幅器と しての要求条件を満たさなければならない.すなわち, キャリブレーションが容易に実行可能であり,かつ演 算量削減の観点からキャリブレーション頻度の低減が 求められる.これは,高効率増幅動作時においても出 力電力に対する複数の電力増幅器の利得特性と位相特 性が,平坦化することである.また,Massive MIMO 基地局装置では少なくとも10数個以上の電力増幅器 を用いることが予想されるため,簡易な回路構成であ ることも求められる. 図 1 Massive MIMO基地局のコンセプト Fig. 1 Concept of Massive MIMO base station.
図 2 Massive MIMO基地局構成イメージ Fig. 2 Massive MIMO base station image.
本論文は,Massive MIMO基地局用電力増幅器構 成を提案する.電力増幅器はフィードフォワード増幅 器のひずみ検出回路に相当する[10]∼[12].具体的に は,入力信号を増幅する経路と,線形に伝達する経路 と,これらの経路の差信号を最小にするように増幅す る経路の利得と位相を制御する制御経路にて構成され る.提案構成は電力増幅器の利得と位相の出力依存性 を平坦にできる.これにより,電力増幅器の出力電力 によらずMassive MIMO基地局装置で生成する指向 性制御に伴うキャリブレーションの頻度を軽減できる. 2.にて提案構成を述べる.3.にて提案構成の動作条 件を明らかにする.4.にて,提案構成の妥当性を検証 するため,5G方式の候補周波数帯である6GHz以上 への適用に向け,本検討では14GHz帯実験回路を構 成し,特性評価を行った.5.にて結論を述べる.
2.
提 案 構 成
図3に提案構成を示す.提案構成は,入力側方向 性結合器(Input-side coupler)と,ベクトル調整器(Vector regulator)と,増幅器(Amplifier)と,遅延 線路(Delay line)と,出力側方向性結合器 (Output-side coupler)と,制御器(Controller)にて構成され る.ベクトル調整器と増幅器を含む経路を増幅経路 (L1)とし,遅延線路を含む経路を線形伝達経路(L2)と する. 提案構成は,フィードフォワード増幅器におけるひ ずみ検出回路と同様の構成に相当する.ベクトル調整 器は可変減衰器と可変位相器にて構成される.制御器 は制御器入力信号を参照信号として可変減衰器と可変 位相器の設定値を制御する.出力側方向性結合器で検 出された,両経路の差信号が制御器入力信号となる. 参照信号のレベルを最小にするように可変減衰器と可 変位相器を設定することで,増幅経路の利得と位相は 線形伝達経路のそれらに一致する.増幅器の出力電力 図 3 提 案 構 成 Fig. 3 Proposed configuration.
ごとに制御器にて可変減衰器と可変位相器を最適な設 定値にすることで,増幅器の出力電力によらず電力増 幅器の利得と位相を一定値に維持できる.
3.
動 作 条 件
提案構成の制御条件を検討する.増幅器出力信号 y(t)は,電力増幅器入力信号s(t),入力側方向性結合 器の結合度C1,ベクトル調整器の振幅a,位相θ,増 幅器の入出力特性をf(),とすれば, y(t) = f(a cos θC1s(t)) (1) となる.ここで,提案構成の制御条件を検討するため, f()は増幅器の最も基本的な入出力特性である奇数次 べき級数モデルとする[13].なお,a2i+1 は2i + 1次 ひずみ成分の係数である. f(x(t)) = N−1 i=0 a2i+1x2i+1(t). (2) 制御器入力信号z(t)は,増幅経路と線形伝達経路の 差信号であり,出力側方向性結合器の結合度 C2,と 3次相互変調歪成分まで考慮すれば, z(t) = C1(1− C2)s(t) − C2y(t) (3) となる.式(3)に式(1)と式(2)を代入すれば, z(t) = C1(1− C2)s(t) − C2(a1a cos θC1s(t) +a3(a cos θC1s(t))3) (4) となる.ここで,a1 は線形利得であり,a3 は3次相 互変調ひずみ成分の係数である.式(4)を展開し,式 (5)を得る. z(t) = (C1(1− C2)− C2C1a1a cos θ)s(t) − C2C13a3a3 cos 3θ + 3 cos θ 4 s 3(t). (5) ここで,式(5)を制御器にて適切に振幅と位相を設定 することでz(t)を最小化できる.s(t)に対する抑圧 量として,信号抑圧量R(t)とすると,ひずみ検出回 路における入力側方向性結合器及び出力側方向性結合 器は増幅器の線形利得に対してC2a1/C1 が1となる 条件であることから,式(5)は式(6)になる. 図 4 信号のスペクトラム例Fig. 4 Spectrum example of test signals.
図 5 振幅誤差の計算結果
Fig. 5 Numerical results of amplitude error.
R(t) =1 − a cos θ − a3 a1C 2 1a3 cos 3θ + 3 cos θ 4 s 2(t) (6) 信号抑圧量を検討するために,s(t)を式(7)に示す等 振幅の二波とした.また図4に式(7)の信号を増幅器 に入力した場合の増幅器出力信号のスペクトラム例を 示す. s(t) =1 2cos(2πft) + 1 2cos(2π(f + Δf)t) (7) 図5と図6に,式(6)と式(7)による計算結果を示す. 図5と図6の振幅誤差と位相誤差の基準は,a = 1, θ = 0とした.図5は位相誤差1degree固定条件とし た振幅誤差と信号抑圧量の関係を示す.図6に振幅誤 差1dB固定条件とした位相誤差と信号抑圧量の関係を 示す.図5と図6での3次相互変調ひずみ成分対主波 の比(IM3/S)の定義は図4に示す.図5から,IM3/S
図 6 位相誤差の計算結果 Fig. 6 Numerical results of phase error.
が−40dBc以下における振幅誤差はおおむね一定で ある.例えば,信号抑圧量30 dBの場合,振幅誤差 は−0.4dBから0.3dBになる.図6から,IMS3/Sが
−40dBc以下である位相誤差はおおむね一定である. 信号抑圧量30dBの場合,位相誤差は−31degree から−25degreeと,25degreeから31degreeになる. 図5と図6から振幅誤差と位相誤差は,IM3/Sが −40dBc以下であれば,ほぼ一定値となる.これは, 式(6)右辺第3項の相互変調ひずみ成分による寄与が 少ないことに起因する.これに対して振幅誤差と位相 誤差は,IM3/Sが−40dBc以上になると,IM3/Sに 応じて信号抑圧量を満たす誤差範囲が変わる.これは 式(6)右辺第3項による寄与による.図6にて信号抑 圧量40dB以下で位相誤差の範囲が二つある理由は, 主波成分に残留する3次相互変調ひずみ成分による. 図7と図8に信号抑圧量の3次元イメージを示す. 図7と図8にIM3/Sが−25dBcと−45dBcの条件 での計算結果をそれぞれ示す.IM3/Sが−25dBcの 条件は,一般的なA級増幅器を1dB利得圧縮点近傍 で動作させた場合に相当する.IM3/Sが−45dBcの 条件は,一般的なA級増幅器を使用したモバイル通 信用基地局装置の隣接チャネル漏えい電力比の仕様を 満たす条件に相当する.図7と図8から,図5と図6 で議論したように信号抑圧量を大きくとるには振幅と 位相の最適値が2組存在する.また,IM3/Sが小さ いほど増幅器で発生する3次ひずみ成分の影響を受け にくくなるため,信号抑圧量を大きくとれる振幅範囲 が狭くなっている.なお,3次ひずみ成分の影響がな い場合には,図7と図8に相当する図は,単峰性にな る[12]. 図 7 振幅誤差と位相誤差による信号抑圧量 (IM3/S −25dBc 条件)
Fig. 7 Signal suppression ratio by amplitude and phase errors, when IM3/S is−25dBc.
図 8 振幅誤差と位相誤差による信号抑圧量 (IM3/S
−45dBc 条件)
Fig. 8 Signal suppression ratio by amplitude and phase errors, when IM3/S is−45dBc.
4.
実 験 結 果
4. 1 実 験 回 路
図9に 実 験 回 路 の 構 成 と ,図 10に 可 変 減 衰 器
(Variable attenuator),可変位相器(Variable phase shifter),増幅器の実験回路写真を示す.実験回路は 図3を具体化したものである.入力信号の中心周波数 は14.2GHzとした.可変減衰器は市販品のICを利用 した. 可変位相器はGaAs HEMTを用いた回路である. 増幅器はプリアンプ(Preamplifier)と最終段アンプ (Final amplifier)にて構成され,プリアンプは市販の ICを利用し,最終段アンプは市販の内部整合型GaAs
図 9 実験回路の構成
Fig. 9 Experimental circuit configuration.
図 10 製作した可変減衰器,可変位相器,プリアンプと
最終段アンプ
Fig. 10 Photograph of fabricated circuits which are variable attenuator, variable phase shifter, preamplifier, and final amplifier.
図 11 測定系の構成
Fig. 11 Experimental setup.
FETを用いた.入力側方向性結合器(Input-side cou-pler)は市販の電力分配器を用いた.出力側方向性結 合器は結合度20dBのブランチラインカプラとした. アイソレータ(Isolator)の14GHz帯アイソレーショ ン量は15dBである.ケーブル(Cable)にはRFケー ブルを利用した. 可変位相器の構成は,50Ohm線路上にタップを設 け,GaAs HEMTのドレイン端子を50Ohm線路に接 続し,ソース端子を接地している.可変位相器は,ド レイン端子に印加した直流電圧0Vから2.0Vの範囲に て,位相値−116degreeから−86degreeの30degree
を連続的に設定できる. 4. 2 実 験 系 図11に実験系を示す.実験回路(Proposed power amplifier)の出力電力に対する利得と位相の変化を測 定するため,ネットワークアナライザを使用した.ネッ 図 12 入出力特性
Fig. 12 Output power and gain performance of fabricated power amplifier.
トワークアナライザの入力端子にて,適切な入力電力 に設定するため,実験回路の入力側に手動式可変減 衰器(Variable attenuator)とプリアンプ (Preampli-fier)を用いた.実験回路の出力端子(Output)はRF ケーブルにてネットワークアナライザに帰還した.モ ニタ端子(Monitor)はスペクトラムアナライザに接続 した. 実験回路の可変減衰器と可変位相器の制御は,スペ クトラムアナライザで観測した信号のレベルを最小に するように手動で行った.試験信号はCWとした. 4. 3 入出力特性 図12に実験回路の出力電力特性を示す.縦軸に出 力電力と利得,横軸に入力電力を示す.測定周波数は 14.2GHzとした.可変減衰器と可変位相器の設定は, 出力電力−10.5dBmにてスペクトラムアナライザで 観測した信号のレベルを最小にする減衰量と位相値と し,入力電力によらずその設定値を維持した. 図12の結果から,実験回路の飽和出力は35.2dBm であり,入力電力10dBmでの利得は9.8dBである. 実験回路のプリアンプと最終段アンプのカタログ利 得はそれぞれ24dBと5.5dBであるが,実験回路の 入力側電力分配器と出力側方向性結合器の設定,アイ ソレータの挿入損失により,19.7dBの減少となって いる. 4. 4 信号抑圧特性 図13にスペクトラムアナライザで観測した信号レ ベルを示す.縦軸に観測した信号レベル,横軸に実験 回路の出力電力を示す.縦軸は出力電力−10.5dBmに て可変減衰器と可変位相器を制御して,観測した信号
図 13 信号抑圧量の出力電力依存性 Fig. 13 Deviation of signal suppression level.
図 14 利 得 偏 差 Fig. 14 Gain deviation.
のレベルを最小とした電力値を基準にした.このとき の信号抑圧量は30dBである.測定対象は,実験回路 (proposed)と,比較のため遅延線路をもたない実験回 路,すなわち増幅経路のみの実験回路(conventional) とした.実験回路は出力電力の測定値ごとに観測した 信号のレベルを最小にするように可変減衰器と可変位 相器を制御した.増幅経路のみの実験回路は出力電力 −10.5dBmでの可変減衰器と可変位相器の設定値のま まとした. 実験結果から,実験回路は出力電力の増加に対して ±5dBの範囲で観測した信号レベルを維持している. これに対して増幅経路のみの実験回路は出力電力の増 加に対して1.2倍から1.5倍で単調に増加している. 4. 5 利得偏差と位相偏差 図14に利得偏差,図15に位相偏差の測定結果を示 す.縦軸は,出力電力−10.5dBmでの利得と位相値 を基準とした利得偏差と位相偏差であり,横軸は出力 図 15 位 相 偏 差 Fig. 15 Phase deviation.
電力である.実験回路(proposed)と増幅経路のみの 実験回路(conventional)の測定結果を示す. 図14の利得偏差について,実験回路は出力電力 7dBmまで利得偏差0dBであり,出力電力7dBmか ら15dBmまで利得偏差−0.2dBである.これに対し て,増幅経路のみの実験回路は出力電力0dBmから 15dBmの範囲で利得偏差−0.3dBであった. 図15の位相偏差について,実験回路は測定した範 囲において1.0degree以内であり,増幅経路のみの実 験回路は出力電力変化10dBあたりおよそ5degreeの 位相変化があり,最大6degreeの位相偏差があった. 図14と図15の実験結果は,図5と図6の信号抑圧 量30dBでの利得誤差と位相誤差の許容値に相当して いる. これらの実験結果から,提案構成は実験回路にて利 得偏差を0.2dB以内,位相偏差を1degree以内にでき る.提案構成は可変減衰器と可変位相器を適切に制御 することで,増幅経路のみの実験回路に対して,利得 偏差を2/3以下,位相偏差を1/5以下にできる.
5.
む す び
Massive MIMO基地局用電力増幅器への利用を想 定した電力増幅器構成を提案した.提案構成はフィー ドフォワード増幅器のひずみ検出回路に相当し,可変 減衰器と可変位相器と増幅器をもつ増幅経路と,遅延 線路をもつ線形伝達経路にて構成される.増幅経路の 可変減衰器と可変位相器を制御することで,電力増幅 器の利得と位相の出力電力依存性を平坦化できる. 提案構成の妥当性を検証するために,14GHz帯実 験回路を構成した.可変減衰器と可変位相器の制御は,制御器入力信号をスペクトラムアナライザで観測し, その電力値を最小にするように手動で制御を行った. 実験の結果,提案構成の実験回路は利得偏差0.2dB以 下,位相偏差1degree以下となり,従来の電力増幅器 構成に相当する増幅経路のみの実験回路に比較して利 得偏差を2/3以下,位相偏差を1/5にできることを示 した. Massive MIMO基地局装置ではアダプティブアレー 技術が適用されることが予想される.提案構成の電力 増幅器により,利得と位相の出力電力依存性を平坦化 できることから,キャリブレーション頻度削減とそれ に伴う演算量削減が期待できる. 本論文は,従来の非線形ひずみ成分を補償するひず み補償技術を電力増幅器の利得特性と位相特性を平坦 化するために利用し,今後のひずみ補償技術の新しい 応用を提示した.今後,自動制御方法に関する検討を 進め,提案構成の具体化を進める. 謝辞 本論文には,総務省からの受託を受けて実施 した「第5世代移動通信システム実現に向けた研究開 発」の成果の一部が含まれています. 文 献
[1] NTT DOCOMO, INC., “DOCOMO 5G white paper – 5G radio access: requirement, concept and tech-nologies,” July 2014. https://www.nttdocomo.co.jp/ english/binary/pdf/corporate/technology/
whitepaper 5g/DOCOMO 5G White Paper/pdf
[2] 中村武宏,“2020 年の実用化に向けた 5G 最新動向,”
2015 Microwave Workshops and Exhibition, WE1A-2, Nov. 2015.
[3] 関 宏之,箕輪守彦,“5G 実現に向けた超高密度マルチバ
ンド・マルチアクセス多層セル構成による大容量化技術の研 究開発,” 2016 Microwave Workshops and Exhibition, WE1B-1, Nov. 2016.
[4] 奥村幸彦,増野 淳,須山 聡,森広芳文,浅井孝浩,楢橋
祥一,“5G 実現に向けた高周波数帯・広帯域超多素子ア ンテナによる高速・低消費電力無線アクセス技術の研 究開発,” 2016 Microwave Workshops and Exhibition, WE1B-2, Nov. 2016.
[5] 石津健太郎,村上 誉,児島史秀,“NICT における第 5
世代移動通信システムに関する研究開発–協調制御フレー ムワークと周波数共用の実現,” 2016 Microwave Work-shops and Exhibition, WE1B-3, Nov. 2016. [6] E.G. Larsson, O. Edfors, and F. Tufvesson, “Massive
MIMO for next generation wireless systems,” IEEE Commun. Mag., vol.52, no.2, pp.186–195, Feb. 2014.
[7] 奥村幸彦,楢橋祥一,今井哲朗,須山 聡,岡崎浩司,鈴木 恭宜,“SHF/EHF 帯を用いる超高速モバイル無線アクセ スシステム,”信学技報,MW2013-99, Sept. 2013. [8] 鈴 木 恭 宜 ,佐 藤 圭 ,角 誠 ,福 田 敦 史 ,楢 橋 祥 一 , “Massive-MIMO基地局装置用 RF フロントエンド,” 信学技報,MW2015-90, Sept. 2015.
[9] Y. Suzuki, K. Satoh, M. Sumi, A. Fukuda, and S. Narahashi, “An integrated configuration of antennas and filters for front-end module in Massive-MIMO transmitter,” Proc. 2015 IEEE International Sym-posium on Radio-Frequency Integration Technology (RFIT2015), Aug. 2015.
[10] H. Seidel, “Microwave feed-forward experiment,” Bell Syst. Tech. J., vol.50, no.9, pp.2789–2916, 1971. [11] S.C. Cripps, Advanced Techniques in RF Power
Am-plifier Design, Artech House, 2002.
[12] S. Narahashi and T. Nojima, “Extremely low-distortion multi-carrier amplifier –Self-adjusting feed-forward (SAFF) amplifier,” Proc. IEEE ICC91 Conf., pp.46.5.1–46.5.6, 1991.
[13] S.A. Maas, Nonlinear Microwave Circuits, IEEE Press, 1997. (平成 29 年 9 月 6 日受付,30 年 2 月 13 日公開) 鈴木 恭宜 (正員:シニア会員) 平 5 長岡技科大・工・電気電子システム 卒,平 7 同大大学院了,平 23 北大大学院博 士後期課程了.博士(工学).平 7 NTT 移 動通信網株式会社(現 NTT ドコモ)入社, 移動通信用無線回路研究に従事.平 11 年 度本会学術奨励賞.電気学会,IEEE 会員. 河合 邦浩 (正員) 平 9 東北大・工・電子卒.平 11 同大大 学院工学研究科修士課程了.同年 NTT 移 動通信網株式会社(現 NTT ドコモ)入社. 現在,株式会社 NTT ドコモ先進技術研究 所研究主任.移動通信に関わるハードウェ ア(主にフィルタ)の研究・開発に従事. IEEE会員. 岡崎 浩司 (正員:シニア会員) 昭 63 阪大・工卒,平 2 同大学院博士前 期課程了.平 23 東工大大学院博士後期課 程了.博士(工学).平 2 NTT 入社,以来, 通信用無線機器,高周波回路の研究・開発 に従事.NTT エレクトロニクスを経て平 15より NTT ドコモ,現在に至る.平 8
年度本学会学術奨励賞,1998 Japan Microwave Prize,平 23 年度本学会業績賞,平 24 年度本学会論文賞各受賞.IEEE シ ニア会員.
楢橋 祥一 (正員:シニア会員) 昭 61 熊本大・工・電気卒,昭 63 同大学 院修士課程了.平 20 北大大学院博士後期 課程了.博士(工学).昭 63 NTT 入社. 平 4 NTT 移動通信網株式会社(現 NTT ドコモ)へ転籍.ディジタル移動通信基地 局増幅装置,超伝導受信フロントエンド, 移動通信用高周波回路等の研究・開発に従事.平 29 摂南大 学理工学部電気電子工学科教授.本会エレソ編集出版会議編 集出版幹事,ELEX 編集委員,APMC 国内委員会副委員長, MWE2017実行委員長等を歴任.平 23 年度本会業績賞,平 24年度本会論文賞各受賞.電気学会,IEEE 各会員. 浅井 孝浩 (正員) 平 7 京大・工・電子卒,平 9 同大学院修 士課程了.平 20 京大大学院博士後期課程 了.博士(情報学).平 9 NTT 移動通信 網株式会社(現 NTT ドコモ)入社.移動 通信方式の研究に従事.平 13 年度本会学 術奨励賞受賞,IEEE 会員. 奥村 幸彦 (正員:シニア会員) 平 3 東京理科大大学院工学研究科修士課 程了,同年 NTT 無線システム研究所入所. 平 4 NTT 移動通信網(現 NTT ドコモ) へ転籍.以来,デジタル移動無線アクセス 方式・技術の研究,国際標準化,商用装置 開発に従事.平 18 東北大大学院工学研究 科博士課程了.現在,NTT ドコモ先進技術研究所 5G 推進室 5G方式研究グループリーダ,第 5 世代モバイル推進フォーラ ム(5GMF)5G 実証試験推進グループリーダ.IEEE シニア 会員.博士(工学).