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フランス人の投票行動について(三・完)

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(1)

資 料

V

フランス人の投票行動について

5 1 -W奈良法学会雑誌』第4巻1号 (1991年6月) 一 は じ め に 二有権者の個人的属性(以上第二巻四号) 三 ︽ 選 挙 市 場 ︾ の 条 件 四 お わ り に ( 以 上 第 三 巻 一 号 ﹀ 補 遺 ( 以 上 本 号 ) 補 遺 ( l ﹀ 一九八一年の大統領選挙立候補者の個人的イメージに関する世論調査(八一年四月)では、﹁経済的諮問題をうまく扱うこ とが出来る﹂という項目で、ジスカールデスタンの方がミッテランを上回っている、という結果が出ていたのに対して、﹁有権者 の多数が優先課題と考えている目標に到達するのにもっとも適した候補者は?﹂という﹁信頼度(日止まロ忽)﹂に関する世論調査 ︿先のものと同じ調査の一環として行われた)によれば、入プ年四月時点で、経済的諸問題(プランス人の多数がこれらを優先的 課題と見なしていた│表必│)でのミッテランの優位が明らかとなった、このようにイスマルが述べているのは矛盾しているので はないか、と筆者は第三節の六六頁・注 ( 8 ﹀で述べたが、この点をもう一度検討し、﹁矛盾﹂を解決しておこうというのが、この ( 2 ) ﹁補遺﹂の第一の目的である。イスマルがこの間題を扱うけいあたって依拠しているのは、ケロルハ

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-A u

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司 C C の研究なので、以 下では彼の論文を参照しつつ、議論を進めたい。 I

(2)

第4巻1号 一 一52 表

4

5

有権者が優先課題とみなす目標(争点)

(%)

1 8附 月 │ ザ4月 │ 批 指 (a) I (b) I (bja インフレに対する闘い

I

76

I

64

I

.84 失業に対する闘い

I

84

I

88

I

105 社会的不平等との闘い

I

62

I

60

I

.97 各人が属する社会カテゴリーの利益の擁護

I

50

I

50

I

100 地域整備の改善(病院,学校,交通)

I

48

I

52

I

108 環境保護,エコロジー

I

3鈴3

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3鈍4

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103 ; 二 長 二 二 二 主 済 の え ぷ 示 ; 五 五 戸

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一一-一一-一一寸-一 -0 国内の秩序と安全の確保 I 6ωo I

54 1 .9ω 政治生活の道徳性の聾保

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幻31

I

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I

113 (スキヤンダノレ勺,腐敗の除去)

I

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I

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I

ヨーロッバの建設

I

23

I

18

I

.78 低開発国の援助

I

22

I

21 .95 フランスと西側同盟諸国との結びつきの強化 I 26 I 25 .96 フランス自身の利害に従ってソ連および東側 諸国との関係を処理すること 18 19 106 一三三竺三どご三♂土竺里竪里野主空塑聖竺空哩空土芝三三ど三竺三三三三と三土ととe一一一一…一-一一一一-一一一一-一一一-一

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しし一し-しし-一-一一一一-一」一上一一上一…-一一一一…-一一一一-一一一-一一一-一一一竺白竺空竺竺一

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-一一一一一一一一一一-一一一一一一』一一一一一白一一一…-一一一-一一-一ヱ -フランスへの石泊供給の確保 1 49 I 44 1 ・90 (出典)Cayrol, op.cit., p.138, Table6-6を一部修正。 表

4

6

有権者の多数が優先課題とみなしている目標に到達する能力(信頼度〉 く%) 目 標

印 刷 月 ( * 〉

l

-

l

m 〈政策領域〉 ジスカ ロカーノレ ミッア ジスカ ミッテ ジスカ ミッア 一ノレ ラン ーノレ ラン ーノレ ラン 雇 用(失 業〉 23 22 19 21 32 20 34 イ ン フ レ 32 24 15 27 27 28 32 社 会 的 公 正 22 23 21 19 33 20 33 法 と 秩 序 37 12 11 32 21 37 21 擁社階会級護利カ益(有権者の益属す〉るテゴリーの利 26 19 17 23 29 24 30 地 域 整 備 26 20 18 25 28 27 33 *この時期,社会党候補は未定。 (出典)Cayrol, Op. cit., p.142, Table6-8.

(3)

53一一フランス人の投票行動について骨・完 さて、第三節の表部と引(五八・六二頁)は、ジスカールデスタンとミッテランの﹁個人的イメージ﹂に関する、八一年四月の ( 3 ﹀ 世論調査結果であり、同じく、表必士ハ一ニ頁)は、この世論調査で与えられたジスカールデスタンとミッテランの﹁信頼度﹂とし て、イスマルが本文中に引用しているものを筆者が表にしたものである。(なお、ヶロルの論文に、もう少し詳しい表が与えられ て い る の で 、 あ わ せ て 参 照 さ れ た い ︹ 表 必 ︺ ) 。 ここから明らかなことをもう一度整理すれば、次のようになる。 ①大統領候補の﹁個人的イメージ﹂に関する質問において、﹁経済的諮問題をうまく扱うことができる(経済的諸問題を処理す る能力ありとおよび﹁国の秩序と安全を確保することができる(能力ありどという項目で、ジスカールデスタンの方がミッテラ ンを上回っていた、という結果が出ているのに対して、 ②同じ世論調査による﹁信頼度﹂︿﹁有権者の多数が優先課題と考えている目標に到達するのにもっとも適した候補者はげ己と いう点では、主な経済問題のどの領域でも、ミッテランがジスカールデスタンを上回り、秩序と安全︿法と秩序﹀の問題でのみ、 ジスカールデスタンが上回っていた、という結果が出ている。 イスマルの著書では明確には書かれていないが、ケロルは、この①と②の関係について次のように説明している。すなわち、こ のふたつの結果は、有権者が、候補者の﹁個人的イメージ﹂(問題解決能力に関するイメージも含めて)ではなく、政治的レベル ( 4 ﹀ での判断をより重視して、選択を行ったことを示しているのだ、と。実際、同じ論文で、選挙運動が展開するにつれて、候補者個 人への評価(﹁候補者の人となり、彼の人間としての資質﹂と﹁候補者の能力、政治家としての資質﹂﹀よりも、その所属政党、綱 ( 5 ﹀ 領への評価が投票選択に当たって重視されるに至ったという調査結果が示されているが、それはこれと関連している。 要するに、個人的な能力・資質から言えば、経済問題を処理する能力はジスカールデスタンの方に認められるがハ①)、現在の 経済的諸問題によりよい解決をもたらすのは、その政党・綱領から言って、ミッテランの方だと有権者は判断した(②)、という こ と で あ る 。 ﹁ミッテランの綱領は、なによりも経済的社会的変革に焦点を合わせていたが、それはフランスの有権者の期待によく応えるも ( 6 ) の で あ っ た 。 ﹂ ﹁フランス人は、この選挙で、経済的社会的変革に対する希求とミッテランはある意味でこの希求を体現しているという確信を、

(4)

第4巻 1号 54 ( 7 ) ( 8 ﹀ 彼の個人的資質に関して持続するためらいを抑えて優先させたのであった。﹂ H 投票行動を説明する諸変数を﹁有権者の個人的属性に関わる変数﹂とつ選挙市場 μ の諸条件に関わる変数﹂に分けて、そ れぞれの比重を決定するに当たり、既に述べたように︹第三節六五頁︺本稿で紹介してきたイスマルの著書は、これまでの通説 的理解とは逆に、後者のほうにより大きな重要性を与え、そのもっとも基本的な理由として、﹁投票の変化をはるかによく説明す る﹂のは﹁選挙市場﹂の諸条件の方であることをあげていたが、フランスにおける選挙研究の動向を検討した他の論文でもこの結 論を支持する議論がなされているので、これを簡単に紹介して本稿の結びとしたい。 ( 9 ) この論文 ( G ・ グ ラ ン ベ l ル ﹁ 選 挙 行 動 の 不 安 定 十 性 ﹂ ) は 、 と く に 一 九 七

0

年代に入って選挙研究者の問で問題にされてきた欧 米諸国での﹁選挙行動の不安定(訂正田

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m )

アングロザクソンの用語を使えば、選挙行動の変易性守己主主広)│について、 アングロサクソン諸国で取り組まれている研究の現状を手短に描き﹂、次に﹁フランスにおける選挙行動の不安定性の研究をおこ プ ロ プ ν マ チ i グ なうための問題設定を、フランスの事例の相対的な特殊性およびそれと同時にこの研究に対してアングロサクソンの研究がもたら す寄与をも示しつつ、素描しようとしたものである。﹂ 最初に﹁戦後、合衆国におけるこ党システムと投票の相対的安定性を説明するために練り上げられた:::政党帰属意識の概念を 中心としたミシガン・モデル﹂に対する、﹁選挙行動の不安定性あるいは変易性﹂現象を前にしての、七

0

年代以降の米英の研究 者による批判・再検討の試みが幾っか紹介される。これを受けて結局、ミシガン・モデルに代表される、有権者の﹁個人的与件﹂ ( 個 人 的 属 性 ) か ら 投 票 を 理 解 し よ う 、 , と す る モ デ ル ( ﹁ 決 定 論 モ デ ル ﹂ ﹀ に か わ っ て 、 ﹁ 選 挙 市 場 で の 供 給 公 ・

0 F

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公巾円丹

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︹ に 対する︺有権者の反応と有権者の個人的選好が干渉しあう態様﹂を重視するという﹁相互作用モデル﹂が参照される。なぜなら ﹁フランスこそ明らかに、選挙行動の不安定現象を研究するのに、選挙市場での供給の変動︹という変数︺を介在さ?せる必要がも っとも大きい政治システムのひとつを示している﹂からであり、﹁フランスの政治システムでは、港市の不安定は、大部分、選挙 市場の供給と選挙の戦略的争点すと

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の変化に対する有権者の戦略的適応の結果だ﹂からである。そして最後にフランスの事 例について、﹁選埜巾場での供給と争点

( g

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)

の変化︹すなわち選挙市場の条件に関わる変数︺と結び付いた選挙行動の不安 定

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有権者自身の政治的イデオロギー的変化︹すなわち有権者の個人的属性に関する変数︺と結び付いた不安定を、いささか洛意 的に区分﹂することが試みられる。

(5)

55一一フランス人の投票行動について伺・完 表47政 党 帰 属 意 識 と 投 票 の 安 定 性 ① (1978年 国 民 議 会 選 挙 直 後 の 調 査 に よ る 〉 次の大統領選でシラク (RPR)に投票する │ 意向をもっ(%) ジスカーノレデスタン(UDF)に投票する意 47 50 54 69 向をもっ(%) 次の大統領選挙でミッテランに投票する意向 │ をもっ(%) I ジスカールデスタンに投票する意向をもっ

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I

4 17 25 26 水 1:たいへん近い, 2:充分に近い_3 :あまり近くない, 4 :全く近くない・たいへん遠い。 ネ*表の見方:'78年議会選挙でRPRに投票した人のうち,次の大統領選挙でシラク (RPR)に投票する 意向をもっ人の割合は,党派的近接性の程度がlの (=RPRに「たいへん近い」と答えた〉人では52 %, 2の人では47%ということ。 (出典)Grunberg, p. 439より作成。 党派的近接性(政党帰属意識〉の程度 3 4* 25 38 2 47 52 '78年議会選挙でRPRに投票した人のうち 52 56 67 91 '78年議会選挙で社会党に投票した人のうち ところで、この論文ではフランスにおける選挙行動の不安定性を分析 する際に考慮すべき変数として、①投票方法②選挙区の数③政党・候補 者の信頼性と評判④既存の連合システム⑤立候補の配置、とりわけある 政党の不在、その政党による他政党の候補への支持あるいは新政党の出 現⑥選挙の制度上政治上の目的物守口﹄

2

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﹀⑦競争する政党および候補 者によって投票が劇的に仕立て上げられる程度、彼らがこの投票に与え る意味、彼らが行う動員の努力③この前の選挙結果とこの選挙以来流れ た年月、を列挙し、一九四五年から一九八四年の期間に一貫してみられ る投票行動の不安定性に対して、これら諸変数のいくつかが結び付いて ( U ) 影響を与えたことをごく簡単に概観した上で、選挙の争点守口﹄

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の 問題にかなりの頁を割いているので、以下この部分を紹介しておこう。 一九八一年の政権獲得以来、社会党は、八二年の県議会選挙、八三年 の市町村議会選挙、八四年のヨーロッパ議会選挙と、立て続けに敗北を 重ねて行ったが、八四年選挙の投票後調査では、この選挙の投票者で八 一年大統領選挙第二回投票でミッテランに投票した人のうち、四分の一 が左翼に投票せず、五分の一近くが次の国会選挙で左翼には投票しない という意向を示していた。一九七

0

年代イギリスにおける投票行動の不 安定現象の研究の中から提起された仮説に準拠して考えるとき、﹁一九 八一年以来左翼に不利に働いている︹この︺投票の不安定は、左翼がこ の日以来政権に就いているという事実のみに起因するものなのか︹経済 危機は現在の政権に不利に作用する、とりわけ統治しているのが左翼の 場合にそうである、という仮説︺!この場合、真の不安定が問題となろ う!、それともフランス社会における左翼的価値の長期的な衰退の始ま

(6)

第4巻1号一一56 表48政 党 帰 属 意 識 と 投 票 の 安 定 性 ② ( 1973年 と 78年の聞の変化〕 ( 数 字 は % , た だ し ( ) 内 は サ ン プ ル の 人 数 ) 政党帰属意識 安左派定有し権者た 右安派定有し権者た 不安定な有権者 │ 年1い9齢た74年にサ達にン投しプ票 ! 〈党派的近接性〉

右(1→59左〉 (1075) (1208) の全体(3902) た い へ ん 遠 い 全 く 近 く な い 28i70 21153 あまり近くない 16 28 20 充 分 に 近 い 39 38 25 28 32 た い へ ん 近 い 30 10 3 6 13 無 回 答

l 2

2 *調査は1978年国民議会選挙第二回投票直後に行われた。 73年の国民議会選挙, 74年の大統領選挙の投票 についても,この調査であわせて回答を求めた。 いづれも第一回投票でどの政党あるいは候補者に投票 したかを尋ねている。 **ここで言う「不安定な有権者」とは, 1973・1974年と1978年の聞に左派と右派の境界線を越えて,投票 する政党・候補者を変えた人々を指す。 ・左派→右派=1973:左派, 1974:左派, 1978:右派 1973:左派, 1974:右派, 1978:右派 ・右派→左派=1973:右派, 1974:右派, 1978:左派 1973:右派, 1974:左派, 1978:左派

(出典)Grunberg, p.440, Tableau 5+ Colette Ysmal,“Stabilit岳deselectorats et attitudes

politiques", in ]acques CapdevieUe et al,.France de gauche, vote a droite, Pr. de la FNSP, 1981, pp, 96-98, p. 285, Tableau 57 表

4

9

不 安 定 な 有 権 者 の 「 中 道 主 義 」 ① 〈 数 字 は % 一 表48と同じ調査による〉 〈左ー右軸〉上での │ 安 定 し た │ 不安定な有権者 有権者の自己位置づけ │左派有権者「一一一一一「

全 体 Z U F 3 0 0 τ A ヴ daAτEAυ 唱 E A n , “ n y “ 内 r “ -n H V 噌 E a A U 9 U W 4 4 ‘ a u -A υ 内 ぺ u a A A -A -A H U 防 噌 目 ム 5 0 6 3 4 2 -O η ﹃ υ η 毛 U の , “ n H V 勾 噌 E A n M U ' E A n w d w n h υ 内 ︿ υ n 毛 u -ハ リ υ

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l ノい弘子才 派 ﹀ ﹀ 右 主 一 左 派 派 極 一 + 左 ﹀ 右 + 一 左 道 道 道 派 2

極 中 中 中 右

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一 / 、 、 f 、 、 / ¥ f L / t 、 q L 巧 d + + 無 一 噌 ' A n︿ υ a A T F h J V 内 h U (出典) Grunberg, p 440, Tableau 6

(7)

57ーーフランス人の投票行動について同・完 不安定な有権者の「中道主義」②(数字は%) 〈の左自ー己右位置軸〉づ上けで !l-?'81年 大 統 耀 挙 の 第 一 回 投 票 で シ ラ ク tこ投票した人のうち 極 1王 左 派 2 2 中道左派 3 27 13 7 中 道 4 49 49 41 中道右派 5 18 24 38 右 派 6 2 7 10 極 右 7 2 2 2 無 回 答 5 表

5

0

(出典) Jerome Jaffre,“De Valery Giscard d'Estaing孟Francois Mitterrand: France de gauche, vote a gauche", in Pouvoirs, 20(1982), p.17. りなのか﹂という問題が提起される。 そして、この間題を考える手掛かりとして検討されるのが、一九七八年三月(国民 議会選挙第二回投票直後)におこなわれた世論調査の結果と一九八四年六月のヨーロ ッパ議会選挙直後におこなわれた世論調査の結果である。 ( 1 ) まず最初に﹁政党帰属意識、入左│右軸上

V

での自己位置付けと選挙行動の 不安定性﹂について見れば、﹁フランスでは、その政治システム固有の理由で政党帰 属意識の頻度および強度は、アメリカ、イギリスのそれとは明らかに比較にならな い。﹂それでも﹁政党帰属意識の強さと選挙行動の不安定との聞には議論の余地のな い関係があり﹂、帰属意識が弱いほど投票の不安定性は大きくなる(表 U ・ 表 必 ) 。 さらに、︿左 1 右軸

V

上での政治的傾向の位置付け(イデオロギー的自己位置付 け)で自らを中道に位置付ける人の聞で、投票行動の不安定な人が最も多く(表

ω

・ 表団)、また﹁不安定な有権者は左翼と右翼を対立させている大きな争点。

a

g

C

に ついて、平均すれば、中間的立場をとっている﹂(表日)。このような﹁八中道主義 的

V

有権者の選挙行動の不安定は、一九七四年に、独立した政党としての中道派が消

( ロ ﹀

滅したこととおそらく結び付けねばならない。﹂ しかし選挙行動のこの不安定は今のところ﹁政治空間

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2

5

5

5

)

に 限 定されている。﹂つまり入イデオロギー空間

V

までは及んでいない。一九八四年のヨ ーロッパ議会選挙において、八左右軸上

V

での自己位置付けで自分を極右により近 く位置付ける人ほど、﹁国民戦線 ( F N ) ﹂(極右政党)により多く投票していたこと は 、 そ の 例 証 で あ る ( 表 臼 ) 。 ( 2 ) 次 に ﹁ 争 点 ( 山 田 出 口 町 印 ) の 効 果 ﹂ に つ い て 。 一 九 八 四 年 の ヨ ー ロ ッ パ 議 会 選 挙 の際の世論調査は、有権者が重要と考える八争点

V

とその投票政党の聞には明らかに 関係があることを示している(表日﹀。さらに以前と比較して、有権者が重要と考え

(8)

第 4巻1号一←56 表

5

1

大きな〈争点〉と安定した有権者・不安定な有権者(数字は%) 〈表

4

8

と同じ調査による〉

I

d:<C < 1

.

.

.

1

不安定な有権者 │ 申 唱 │ 〈争点〉への態度

│室長場│

│結晶│全

体 i| 左→右|右→左 r~.' 、| 社会党・中道齢政権を望む I ill I

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公的部門の拡大を支持 72 35 34

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13 38 藤 野 鶏 っ せ ん の な い 鯨 I

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議員言語謀長L説 I---~~---T----;-~---i 長 r---'-~~---T---;

2 空 襲 と 署 長 紗 の 感 I 51 I 60 I 65 I 78 (出典)Grunberg, p, 441, Tableau 7より

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冶必tteYsmal“,Stabilit岳des岳lectoratset attitudes politique$,"p.123, p. 298, Tabl憎au 73による〉 表

5

2

<左一右軸上》での自己位置 付けと

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への投票率 〈1984年〉

鴻 〉

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開│

極 左 1 I 5 極右 7 77 〈出典)Grunberg, p.442, Tableau 8. 表

5

3

投票政党と重視寸る《争点》 (1984年ヨーロッパ議会選挙〉 投票した政党

投票に〈影上位響三を争与点え〕た争点 I 2 3 極 左 雇用 自由 不平等 共 産 党 雇用 自由 不平等 社 会 党 自由 事ーロッパ雇用

ERE

ヨーロッパ自由 雇用 エコロジスト 自由 ヨーロッパ雇用

UDF+RPR

自由 ヨーロッバ雇用

FN

自由 治安の不安移民 (出典)Grunberg, p. 443, T!1bleau 9

(9)

59一一一フランス人の投票行動について同・完 る八争点

V

が、不平等の問題を犠牲にするかたちで、自由、治安の不安、移民の問題に移っている。︹表臼︺を見れば、不平等の 問題を三つの重要な八争点

V

のひとつに挙げているのは、極左と共産党への投票者だけであるハ彼らはまた一雇用を第一位に挙げて いる唯一のカテゴリーである)。(グランベIルは具体的な時系列データを示さずにこのように述べているが、これを裏付けるもの として︹表必︺を参照のこと。﹀ここからは﹁フランスでも、イギリスに数年ずれて、今、有権者のイデオロギー的重心の右への 移動が目撃されているのだ、ということは明らかである。﹂しかし、この動きが﹁一九八一年の政権交替と結び付いた選挙行動の 不安定に属するものなのか、それともフランス有権者の右の方向へのより深く永続的な傾向に対応するものなのか﹂という、最初 の問題提起に対して答えることは﹁いまのところ不可能である。﹂ 最後に﹁投票の不安定性現象の特徴﹂が次の四点にまとめられているのでそれを引用しておこう。 ①﹁投票の不安定は、有権者の限られた特定の部分に特徴的な例外的行動として考えることは決してできない。﹂﹁選挙行動の不 安定性の研究は、選挙行動全体の再検討につながる。﹂ ②﹁選挙行動の不安定を研究するためには、この不安定性は、少なくとも部分的には、政治市場の供給︿

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2

8

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5

6

るおよ び選挙の争点守口守口与の変化に対する有権者の戦略的適応の結果であると考えることが必要である。﹂ ③﹁ ζ の現象の研究には、政党帰属意識の展開、および世論を分かっている大きな主題・問題に対する有権者と政党の態度の展 開 を 同 時 に 考 慮 に 入 れ な け れ ば な ら な い 。 ﹂ ④﹁投票の不安定を一切の政治的・イデオロギー的一貫性を失った、浮動的で予見不可能な行動と考えることは部分的にしかで きない。左│右軸上での政治的移動︹すなわちイデオロギー面での変化︺という点から見れぼ、投票の不安定は強さにおいても方 向においても、たいていの場合限られている。ハ左翼と右翼の聞で)変動する有権者の大きな部分の

A

中道主義的

V

立場は、部分 的には、フランス政治システムの現在の二極化に結び付けられねばならない己 これに続いて幾つかの研究課題が示された後で、﹁投票の不安定を説現しようとする試みを特徴寺つける永続的な困難﹂として、 ﹁変化は頻繁にそして選挙のたびごとに違った方向に生ずるというように理解された不安定性に属するものは何か、そして有権者 の選好と選択の恒久的な変化に属するものは何か、を識別することは必ずしも可能ではない﹂ということが指摘され、乙れへの取 り組みが強く要求されるのである。

(10)

第4巻1号一-60 ( 1 ﹀ 円 。 己 回 出 m 百 円

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2 8 が、ヶロル ( M N -n 印 可 円 。 ︼ ﹀ の 指 導 下 に 入

O

年八月から八一年四月の間に六回にわたって閉じ質問表でおこなった世 論調査(第一回目入

O

年 八 月 、 以 下 、 一

O

月、八一年一月、二月、三月、四月﹀の第六回目の結果。 ( 2 ) 河 。 戸 田 口 品 ︻ リ 目 可 S r ・ - 同 , z o 巴 o n 件 。 叫 白 戸 ︻ い 田 口 回 目 出 仲 間 口 問 ロ ι 5 0 U 2 Z Z E i 言

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口 問 句 円 。 n o m 。 同 町 B E H Z ︿ 。 件 。 ﹃ ω J 吉 田 。 耳 目 E m -M U S E g E r ﹄ 也 、 お お 宮 ミ 忌 ぬ h v ミ ﹄ 旬 、 ﹄ U 白 ﹄ Q E ﹄ 浅 町 ・ 吋 ﹄ ご 、 2 2 ミ 芯 お ミ h h 馬 町 足 。 号 、 k t H W H . 5 g . E ・ 会 H A 。 円 。 - o 且 2 g g 宮 四 国 自 由 企 o n z s - g . u . ﹄ ロ ロ 巴 回 目 。 戸 。 z -0 2 F Y N H b N R お き S K R き た 門 、 お 注 目 ぬ お 札 2 6 H R K E 公 言 問 。 吉 町 号 室 、 さ 言 F H M 円 ・ ι m E 2 4 m -J g g -この二つの論文は、それぞ れ一方にしか童聞かれていない部分を含んでいるが、多くの部分は重複している。ここでは、ィスマルが利用している前者に主に依拠し、適宜 後者も参照することにした(以下とくに注記のない限り、引用は前者から﹀。 ( 3 ) イ ス マ ル は 明 記 し て い な い 、 が 、 。 ミ 可 。 ﹁ 。 k v ・ 町 民 子 同 Y ニ 印 の g g o ∞ i H H で あ る 。 ( 4 ) 句 史 門 戸 、 同

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( 5 ) これもイスマルは紹介している。本稿 ( 2 ) 五 九

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六 一 一 貝 及 び 表 鈎 。 ( 6 ﹀ n m 一 司 円 。 ﹁ 。 ﹄ y ミ デ 唱 ・ H A F N -︿ 7 ) h p よ 司 -H 品 目 ・ ( 8﹀以上で論じて来た問題は、より一般的に言えば、﹁政策争点と投票行動(呂田 52EE 間)﹂の問題に含まれるであろう。筆者にはこれに直 接取り組む準備も能力もないが、フランスでのこの問題に関する研究状況は次のようなものであるらしい。﹁︹アメリカでの研究と論争の活発 さとは︺逆に、フランスの選挙社会学がこの問題に与える関心の火落を嘆かざるを得ない。﹂(﹀ EZ の

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口 問 。 F バ リ 。 と 。 去 さ g -5 5 5 5 0 ︿ 。 丹 0 3 ・ 5 の 同 H -o ・ e -町 精 子 司 ・ 8 c ・

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-臼 ・ ) ち な み に 、 会 2 5 1 2江口問︾に関する理論的問題を扱っているこの論文が引用する文献の大部分 は英語(アメリカ)文献である。なお、 A -z c o d 百 三 宮 間 V にかんするアメリカでの研究状況については、川人貞史﹁アメリカ政治の w 変容 μ と 政 治 学 ﹂ ( 前 掲 ﹀ ( l ﹀ 一 一 一 一 一 二 三 五 四 頁 を 参 照 。 ( 9 ﹀ の 凧 山 E E O H E F m ﹃ 問 ・ 会 問 、 ぷ ロ m S E -s ι E 8 5 宮 町 件 。 B O 公 2 g g -J E U -C 田 H - o ・ e -n礼子なお煩鎖を避けるため、引用部分﹁﹂も 含めて頁数は省略した。 (刊)フランス語には英語の会 8 5 ︾(﹁争点﹂)に正確に対応する一言葉はなく、グランベールの論文ではそのまま︽ Z 2 0 ︾という言葉が使われ ているが合同・。 E P F o a -e ・ 円 む -、 同 } ・ 品 N P 同 ロ ・ 3 ・本稿ではフランス語の合三 2 ︾も文脈によっては﹁争点﹂と訳していることを断って お き た い 。 (日)なおグランベールは、とくにフランスのような政治システムで、選挙行動の不安定度の測定から投票率を排除することの非を強く主張し、 以下のように述べている。投票の不安定はまず第一に、選挙毎の棄権から投票参加への、あるいはその逆の移動から生じることを米英の研究

(11)

は示したが、フランスの研究でも棄権について以下のことが明らかになっている(司・印 ZF ロ

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∞ ⑦ 。 一 九 七 九 年 か ら 一九八一年の侍期(この間、ヨーロッパ選挙、大統領選挙の二回の投票、国民議会選挙の二回の投票があった﹀で、有権者の半数近く(四六 %﹀が、少なくとも一回は投票し、少なくとも一回は棄権した。つねに投票したのは、四三%だけであった。この投票率の変動がもっ政治的 意味を考えるならば(既に紹介したイスマルの説明第三節四七頁とは異なり)、﹁棄権への逃避は、有権者が矛盾する要請のために、そ の投票を決定できないでいることを表している可能性がある o ﹂すでに、一九六二年一一月の国民議会選挙での棄権の増大は、一九五八年議 会選挙で八独立派

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日非ゴ 1 リストの伝統的保守派)に投票し、一九六二年一

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月 の 国 民 投 票 で は 八 。

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伝統的保守派ではなくドゴ ールの提案を支持)に投票した有権者の間で、とりわけ大きかったことをデユプ l ( ・ 。 E 官 EFH 由 由 印 ) が フ ラ ン ス で は 例 外 的 に し か 行 わ れ ていないパネル調査によって明らかにしたが、一九八一年の場合でも(先のようなパネル調査に基づくものではないが)、﹁右派有権者の大き な部分が、その政治的選好と、大統領が国民議会で絶対多数を手中に収めることを求める第五共和制の書かれざる法への服従との聞に板挟み となり、国民議会選挙で、棄権に逃げ込んだのだ﹂と推測しうる。 ハロ)同様のことを(文脈はやや異なるが﹀筆者も指摘したことがある。第二節五

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頁 注 ( 印 ) 参 照 。 61一一フランス人の投票行動について同・完

表 4 5 有権者が優先課題とみなす目標(争点) (%) 

参照

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