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中小企業観の変容を促す社会科授業構想 : 「仲間取引」を通した企業間関係の研究と調査を生かして

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全文

(1)

『社

第21

号 2009

(pp.41-50)

中小企業観の変容を促す社会科授業構想

「仲間取引」を通

した企

業間関係の研究と調査

を生か

して−

Development of

a Lesson That Encourages Transformation of the Students' View of Medium and

Small Companies:

Based on the Survey and Research on the Inter-company Relationship Through

“Nakama-Trade

I 

問題の所在

わが国の経済基盤

を支える

工業,す

なわ

ち製造

業の事業所数は99.3%

が中小企

業である

。中小企

業は従業員数でも72.8%

を占めている(1)

。この数

,その

まま企

業に就職する生徒に当てはめる

,5人に3.7

人が中小企業に入ることになる。

この結果か

,子どもに中小企業の優れた面,す

なわ

ぢ 意義”を深

く理解

させ

ることで

,中小企

業に対する肯定観

を形成させる必要が

あるといえ

るのではないだ

ろうか

。では

,社会科における中

小企業学習は

,希望の持てる内容になって

いるの

ろうか

まず

,中小企

業の扱

いを,小学校

・中学校

・高

等学校

,それぞれの教科書記述よ

りみ

ていく。

小学校

では

,問題性は匚

低生産性。長時間労働

後継者

不足。大企業の移動に伴う影響」

,意義で

は「 ̄

ぐれ

た技術」と書かれている(2,pp.103-105)

中学校では

,問題性は匚

低賃金

。小さい企

業ほ

ど資金調達が困難

。不況期には不安定になりやす

い」

,意義では匚

先端技術を使って,新

しい分野

を開拓す

るベンチャ

ビジネスが増

えている

。す

ぐれた技術」とある(3,p.11)

高等学校の政治

・経済では

,問題性は匚

二重構

造か

らくる大企業の下請」

,意義では匚

未開拓を

り開くベンチャ

ビジネス

『隙間』を埋める

ニッチ産業」と書かれて

いる(4,pp.l29-130)

以上の記述

をまとめると

,経済の

二重構造から

見た大企業に対する低い賃金

・雇用条件などの,

“問題性"の側面は

多く取

り上げられている

。他

,肯定面と

しての

“意義”の側面では,一部の

オン

ワン技術を持った成功企

業を紹介す

る例

多い。中小企

業全体にかかわる強みでは,厂

松 

尾 

光 

(大阪府立吹田支援学校)

ぐれた技術

」と,大まかで抽象的な表現にとどまっ

ている

。したがって,社会科教科書の中小企業観

“問題性”の側面の方がより具体的で,中小

企業に関して

,より総体的な内容なので,必ず

も明るいとはいえない。

これに対し

,匚

教師用指導書」

「 ̄

授業実践」

教育論」の三点の資料では,問題性の認識に終

わらないように

,肯定的な観点を意識して取り上

げている

。そこで,中小企業のもつ 意義”の扱

いについて

一点目に関して,まず小学校からみていく。A

,上記の資料からそれぞれ検討する。

社は

,匚

中小企業は単なる

『下請け』に過ぎない

という偏見を抱くことがないよう注意すると共に

高度な専門技術を生か

した

『ものづくり』に自信

を持

っているという認識を引き出すようにする。

(5・,pl38)

としている

。B社では匚

働く人たちの働く

様子やものづくりにかける思いをとらえる」

(6・p・134

と示しており

,前者と同様に労働者への共

感の視点を提示している。

中学校では

,C社は,匚

中小企業は働きがいが

ある

」というキーワー

ドを含む約1ページの文献

からの引用文から

,中小企業に対するイメージと

感想を書かせる問いを設定している

(7,p,117

高等学校では

,教科書と同様,

“問題性”に主眼

をおきつつ

,D社の現代社会

(8,p・158

E社の政治

経済

(9

が4

,いずれもベンチャー

・ビジネスに

代表される成功を取り上げている。

二点目に関しては,経済の二重構造をくぐらせ

,苦しい中でも努力と工夫を重ねている労働者

に共感することで,子どもに肯定面を理解させる

試みがある(10,pp.

193-207,11

,pp・200-205

三点目に関しては,授業記録と教師用指導書の

(2)

分析をふまえ

,肯定的な中小企業観

を提案する山

口の主張がある

。中小企業の扱いを従

来の二重構

造論か

らの視

点を見直

,労働への共感

,すなわ

ち生き甲斐の視

点を取

り入れた中小企業を見る視

点の変換

を求めている

(12

が41

整理すると

,一点目では,一部の成功企

業を取

り上げるにとどま

,多くの中小企

業に通

じる意

義とはなっていない

。また,三点に共通する中小

業の意義は

,生きが

いや労働への共感

といった

感性や価値観

である

。後者は

,確かに,明るい中

小企業観

を形成するための有効な

一つの方法であ

ろう

しか

し,事実に裏打ち

され

た観点では

ない。

こで本稿では

,学習者が肯定的な,

しかも客

観的事実に根

した中小企業観を形成する授業構

をめ

ざす

。は

じめに

“意義”と

しての町工場

の存立要因の仮説を立て

,それ

を経済学

と大学

行政の研究機関による中小企

業研究の成果と

,筆

者に

よる調査か

ら検証

,中小企

業の

っ 意義

を客観

的に裏

づける

。次に

“意義”と

しての

町工場の存立要因に焦点

をあてだ中小企

業学習を

構想する

。なお,本稿で扱

う中小企業は工業集積

地における製造

業と

,対象規模は最も経済基盤

の弱

,ほぼ従

業員9人以下の小

・零細

業とする

それ

を以下,

“町工場”の名称で表す

n 

意義

としての

町工場の存立要因一

企業間関係

1 

町工場の存立要因を

“意義”とす

る背景

ブル経済の崩壊後

,ものづくり(

製造業)

に携

る中小企

業の減少は著

しい

。各都市の工業統計

調査によると,

1995-2005

年までの10

年間

,工業

都市のほ

とんどで20

以上の中小企

業が減って

。とりわ

け9人以下の中小企

業の減少率は高

い(13)

。 

しかも,昨年の世界金融危機の影響で,

今年(2009

年)

はさらに

多くの中小企業にとって

減益傾向が加速

している(l4,pp.l-2)

。この

ような悪

条件の中でも

,廃

業せずに地道な経営

をし,存続

している中小企

業が数多くある。

全国有数の中小工場集積地で

ある大阪府

東大阪

市には

多くの町

工場が存立

している

。そこで,

本章では対象地域

を東大阪市と

,町工場が

“集

地”という特徴

を生か

して存立する上での諸要

因を

“意

義”と

して明らかにする。

-町

工場存立の意義は,東大阪市が行った1999

の全事業所実態調査のアンケ

トから読み取るこ

とができる

。中でも,

『事業所の強み』という項

目が存立要因の

一指標と見なせる。複数回答の結

果からは

,9人以下の町工場で50

%を占めていた

のが

製造技術」と匚

短納期」である。以下,

小ロッ

(多品種少量)

生産」匚

品質管理」が40

前後と続いているCl5,pp.26-27)

。すなわち,多くの町

工場の存立要因は,品質も含めた

「 ̄

高い技術力」

と小規模を生か

した匚

短納期

」匚

多品種少量生産」

であるといえる

。しか

し,これらは前章で述べた

教科書記述と

,ベンチャー企業を含むオンリーワ

ン技術を持った成功事例と重なる部分でもあり

“集積”という地域性を利用しなくても

,個々の

工場の自助努力で達成できる強みである。

これに対して筆者は

,厂

集積地では,個々の町

工場の努力や工夫を超えた存立要因があるのでは

ないだろうか

」と考えた。すなわち,この推論

から次の仮説が立てられる。

集積地という地域性を生かした町工場の存立

要因は,企業間関係にある。

上記の仮説を受けて

“企業間関係”を二つの

視点から検証する

。一つは,一方向の発注関係で

ある

。加工品にメッキや溶接等の特殊加工をは

めとする別

工程が含まれる場合は,その専門業者

に発注

,すなわち匚

外注」する必要がある。その

逆はないので

,一方向のみの企業間関係になる。

東大阪市には多様な製造業の業種が狭い地域に集

積しているので

,町工場間では多様な外注が行わ

れていると予想される

。市内町工場の

“多楡陛”

について

,湖中は次のように述べている。

「 ̄

(前文略)・

‥東大阪市には,地域内分業の発達

による基盤技術が高度に発達

している。製造業

8000

のうち従業員数10

人未満の企業が約80

%強を

占めているが

,これらの多くは,金型,鍛造,鋳

,プレス,切削,板金,プラスチック成型,メッ

,塗装などの専門技術を有する層の厚い基盤技

術群によって形成されている

。これら基盤技術は,

地域共有の技術資源として

,企業間でコラボレー

ションすることによって

(後文略)

」(I6,p・16

東大阪市内の400

余りの製造業に対して行った

調査がある。この調査では,

「 ̄

外注取引先企業数」

42−

(3)

の項目において,

80%以上の企業が1社以上の外

注先をもつ調査結果を算出した

。うち半数以上が

6社以上の外注先をもっていた

。しかも,市内へ

の外注比率は41.2%

と高く

,集積が連続する八尾

,大阪市を含めると80

%にのぼっている

(17,p・43

しかも

,外注を行う主たる理由は,前述の調査

によると

自社ではもっていない専門的技術」が

約30%,

コス

ト削減」が15%,

「取引営業品目の

拡大

」が11

%だった

(17

が4

。いずれも受注の幅を

拡げることにつながるOしたがって

,外注は存立

要因の一つといえる。

もう

一つの予想しうる企業間関係は,双方向の

発注関係である

。手がかりは,東京都大田区の集

積地を例にとった

大工場の下うけの仕事だけでなく,町工場が

,以下の教科書記述にある。

おたがいに助け合う

『横うけ』は

,以前からやっ

ていました。

(18,p.77

横うけ」とは,国の施策として1981

年に始まっ

た異業種交流による企業間ネッ

トワ

ーク

(19,p.

はなく

,町工場が集積し始めた頃から連綿と続い

てきた,厂

個別受注の限界を打ち破るための自然

発生的な知恵

(20,p・126)

としてのネッ

トワークであ

。匚

横請け」は,

『仲間取引』という概念で経済

・行政機関で研究されている。仲間取引は双方

向の発注関係なので

,企業間関係は対等,すなわ

“連携”となる。次節以降は,仲間取引を考

して,存立要因としての有効性を検証する。

2 

仲間取引

仲間取引の定義づけは

,渡辺が東京都大田区を

調査地とした論文の中で初めて行った

。渡辺は,

仲間

取引について次のように定義している。

まずその第

一の特徴は…

(中略)・

‥零細経営を

中心とした相互の利用取引関係であり,一方的外

注関係でないことである。

」(21,p.91

:筆

田区が

した

調

報告

書の

では

,次の

義が

され

いる

仲間

引』

とは

,大

田区内の機

械金

工業

ける

業者間

での

外注

り相

双方

向の

引関

係の

とで

ある

(22

田区

は匚

区内

して

いるが

,大阪

業開発

究所の

調

よる

と大

内で

行わ

るの

,仲

引は

田区

に限

され

ないといえる(23

が7)

。他地域では具体的な調査が

ほとん

どされ

ていないので

,性急な一般

化はでき

ないが

,取引割合の程度の差

こそあれ

,国内の産

業集積地では

一般

的に行われ

ていると推測できる

次に

,仲間取

引の分類について考察する

。義永

は仲間

取引を,

“量的

・質的

・情報の仲間取引”

3つに分類

している(24・pp.120-122)

。量的仲間取引

,自社でも生産できるが納期などの点で生産

が追いつかない場合

,仲間企

業と相互発注する取

引である

。質的仲間取

引は,自社の設備では生産

できない

,または苦手な発注

を受けた場合に設備

をもつ

,または得意とする仲間企業と相互発注す

る取引である

。情報の仲間取

引は,仲間企

業が

つ外注情報

を利用

して相互発注する取引である

すなわ

,仲間企業の紹介,または仲間を経由す

る場合

である

。当然

3つのケースはその逆もある。

義永は

自らの調査の中で

,無作為に抽出

した100

弱の事業所にア

ンケ

トを実施

した

。 84

%の有効

回答の

うち,

70%近

くが質的仲間取引,

30%強が

量的仲間取

引だ

った

。情報が絡ん

でいるの

,質

量合わ

せて10

%あった(24,p.121)

3 企

業存立

の要因としての仲間取

先に引用

した論文の

中で

,渡

辺は仲間取引の形

態と機能に

匚(

前文略)

ついて次の

…この同業の友人

ように述べている

・知人関係こそ

通常

『仲間』

とよばれ

る存在であ

,この

『仲間』

関係によって各零細経営の

受注活動が支

えられ

変動に対

しても持ち

こた

えることを可能に

して

るので

ある

。この

『仲間

取引』

の第

1の機能は

,…

(中略)

…自ら得意でない加工も含むような工程全

体をまとめ

て受注

しうることにある

。さらに,納

期や量の関係で孤立

しては

受注できないよ

うな仕

を受注す

ることを

,零細経営にとって可能に

し,

…(

後文略)」(21,p.91)

大阪府の調査研究では

,匚

仲間取引の機能

を,

個別には

不安定な取引を仲間からの仕事や

,仕事

の紹介

を通

じて好不況に対応

してよ

り安定的に

いく仕事の融通と

しての働

きと

,集積地内の高

度な機能

を利用

して自社ではできない加

工をも受

注できる強み

を合わせもつ」(25,p.7)

,と整理

して

いる

している

。以上か

ことが明らかになった。

ら,仲間取引が企業存立に有効に機

(4)

4 

大学

・研究機関による仲間取

引の調査

大阪府は

,東大阪市も含め

て府内の製造業調査

を毎年行って

いる

。 1995

年には

,大田区との比較

で仲間取引の調査

を行った

。それ

によると,東大

阪市は37.8%

の事

業所での実施がみ

られた

。ちな

みに大田区は50

%で

,仲間取引は全国

1位

とされ

ている(26)

。近年では大阪府下における金属機械

関連

工業の割合が調査され

。それによると,ほ

6割の事

業所で仲間取引が確認

され

。中でも,

外注の30

%を超

える仲間工場との取引割合は

,9

人以下の

工場では

2割

以上で実施され

てお

,10

人以上では

1割未満にとどまっている゛)

。調査

結果か

らは,零細工場ほ

ど仲間取引の盛ん

なこと

が分かる。

関西大学では1997

,市内1121

社にアンケー

調査

を実施

している

。集計結果か

らは

,19

人以下

の町工場では45

%が仲間取引を行ってお

,将来

の実施希望を含めると約50

であった(28,p,27)

6 

筆者による市内町

工場の調査

筆者は東大阪市内

,大阪市に隣接する高

井田地

区を含めた西部か

ら中部にか

けて点在す

,従業

員が

1人∼50

人までの21

社を

,ほぼ5年がか

りで

調査

した

。うち,9人以下が15

社に及び,印刷

,卸兼ブロー

カー

1社

,ブ

ロー

カー

1社

を除い

た18

社は金属加

工関連の町工場である

。仲間取引

,21

社中

,18

社で行われ

ていた。未実施が金属

加工の

3社のみだった

。仲間取引の年数は

3年か

ら50

年と幅が

,平均20

年余

りである。卸,ブ

ーカー

を除いた町工場の仲間数は平均4.6

社,

外注に占める割合は30

%強だった

。全て同業者が

仲間であるが

,関連

業者(

異種業)

と仲間関係に

る工場も11

あった

。調査対象の町工場の仲間取

引を

2節で述べた義永の分類に

当てはめる。質

的仲間取

引では17

,量的仲間取

引では8社,情

報の仲間取引では14

,とそれ

ぞれ

に分類

され

なお

,質

と量とは約半数で重複

していた

次に

,仲間取引が果す存立への影響に

ついて分

析する

。売上に

占める仲間取引の割合では,

1社

のみ56

%に達

しているが

,残

り17

社に

目をやると

売上にか

らむ仲間への

外注額の割合が

,全売上に

して平均10

弱である

O平均

してみ

ると

,商取

引の金額だけでは,売上への貢献は少

ないといえ

。しか

し,仲間企

業間で何よ

り大切に

している

のは

,業界の動向,製造技術

,受注

した仕事の融

,設備のメンテナンス

,職人,価格

・納期,品

質管理

などの情報交換だった

。これ

は,互いに無

をきいてもらう発注

を出

し合

うことが

多いので

信頼の深ま

りか

らであると推測され

間接的な外注では

,仲間の外注先

を利用

して

る工場は14

社も

あり

,その外注は

平均で全売上の

1割

以上に関わ

っている

。ブローカーが仲間取引

の媒介

をするケ

ースも

8社で確認された

。また

17社が外注

・得意先で仲間の紹介

を受けてお

り,

外注先の

うち約20%,

得意先の

うち約15

%と

,そ

ぞれ

工場の存立に大き

く関わ

る数字を示して

。また,仲間取引をしている経営者の18

人中8

人が,最も重要なパー

トナー

しで 仲間”を選

んでいる

以上か

,調査

した町工場では

,仲間取引に関

する取

引額のみ

では工場の存立への影響は少ない

,経営の維持という点か

らみ

ると,仲間取引は

存立に大き

く関わ

って

いる

ことが

明らかになった

最後に

,仲間取引を始めた事例

と休

した事例

を紹介

,近年の町工場の減少に伴う,仲間企

の減少への対策と,仲間関係を崩す造反現象をあ

げる。

自社製品製造業のS

社は

,今までライバルだっ

た同業者と

2年前

より仲間取引を開始

した

。理由

,互

いの製品や部品を発注する

ことで不景気に

対応するためで

ある

。現在の取引額は全体の15

ほどだが

,年々増

えている。溶接業の

K社は,20

年程前か

ら同業者間で仲間取引を開始

した

。同業

でも各々専門分野

を持

っている

。そ

こで,自ら

あえて不得意分野

を引受けるよ

,互いに得意

の分野

を担

当す

る方が効率よく仕事ができるから

である

。共存のための

方向転換であるという。

金属切削のS

工業は

,30

年近

く同業者

1社

と仲

間取引

をしてきた

。しか

し,

1年程前か

ら仲間へ

の発注は

なくなった

。仲間企

業は

一得意先とな

り,

相互取引は休正

した

。情報交換や相談の相手と

ての関係は続いて

いるという

近年の仲間企

業の移転や転廃業の対策と

して

大学の調査研究がある

題が発

しているのは,東大阪市では112

。それによると,現実に問

(19

44

(5)

匹)

の聞取

り中

,8%

であった

Oそれ

らの企業

とった対策としては

,匚

約半数が新たな仲間企

業の開拓」となっている(29,p28-29)

また

,過度な価格競争による

受注

をめ

ぐる

トラ

ブルと

,一部で,匚

紹介を受けた企業の頭ご

しに

直接取引きは

しない」

不当な紹介手数料は要求

しない」匚

その仕事が最も得意な業者(

仲間:

者)

に仕事

を回す」などの仲間同士の暗黙のル

ールが

破られて

いる事象が紹介

されている(30,p.l5)

。これ

らは

,昨年末,筆者が調査

した企

業に問

い合わせ

たところ

,自社の仲間関係では

1件も起きていな

かったが

,18

社中

3社が他

で起

きて

いる事象

を知っ

ていた

。価格競争は

,6社が匚

り」と回答

した。

この問題は

,仲間取引

を揺るがす

,町

工場にとっ

てのマイナス面だが

,事実認識

を深め

る観点に立

てば

,事例とともに必要な提

示だと筆者は考

える

Ⅲ町工場の存立の知恵に焦点をあてた授業構想

1 

構想する授業の知識の構造

章では

,工業集積地という特徴を生かした,

小企業

(町工場)の持っ 意義”としての存立

要因を明らかにした。すなわち,町工場の存立要

因とは,個々の企業で達成できる匚

高い技術力」

多品種少量生産」匚

短納期」に加えて,企業間連

携で成り立つ

仲間取引」であることが分かった。

こで本章では,上記の知識と町工場の存立と

の関係を理解するために

,以下の説明的知識の習

得をめざして授業構想を行った。

「米 ̄

萌荀 ̄

痼JG一中小企業の意義

(町

二C

O存

東大阪市の町工場の多くは,高い技術力を背景

に多品種少量生産を短納期で行い

,工場の集積を

利用して,複数の外注先を持つことで小規模経営

ながらも受注を確保してきた

。さらに,“仲間取

引”という

,企業間の相互取引により,互いの工

場の設備の利用と経営上重要な情報を交換するこ

とで,経営基盤を強めている。

次に,この説明的知識を導くための下位の説明

的知識と,事実的知識としての分析

・記述的知識

以下に示す。

一三つの存立要因

多く立地しているので,常に企業間競争にさらさ

: 

工業集積地である東大阪市には,同業者が

ている

。その結果

,高

い技術

力や短納期

,多品

種少量生産を得意とする企

業が

多い

「 ̄

東大阪市には

多様

な業種の町工場が集積

ているので

,自社にない技術

を互

いに補

うことが

できる

。その結果,得意先か

らの

多様

なニーズに

じた製品作

りを可能に

している

: 

東大阪市の町

工場の約半数は

,自社

で対応

できない加工品の量と技術を補

うために

,工場間

で相互発注

をす

“仲間取

引”

している

。また

一般的に同業者が

多い仲間企

業とは

,製造技術や

業界の動

きだけでなく

,得意先や外注先,職人の

雇用などの経営上不可欠な情報

を交換

している。

匹 コ 湎皿

−1東大阪市は全国有数の工業集中

(集積)

なので

,同

業者も

多く集積

して

いる。

した

って

,日々の

工場間の競争は激

しい。

↓あ東大阪市は全

一中小企業の割合が

多い。

↓い東大阪市の工場数は全国第

5位で

,工場

密度は群を抜いて全国

1位である

↓う東大阪市の製造

業は

,金属

・機械

・プラ

チック関連が60

を占めている。

A-l-

え工場規模は大部分が零細

,9人以下の

比率が80

くを占め

ている。

A-2-

お町

工場は

,同業者が数

多く集まってお

り,

日々の競争は激

しい。

2東大阪市には,高い技術

を持ち,短納期

で多品種少量生産

を得意とする町

工場が

い。

A-2-

あ町工場は

日々

,製造技術を磨

いている

A-l-

い町工場は日々

,品質管理

をしっか

りして

いる。

↓う町工場は

,納期を短

くする努

力をしてい

る。

1 

東大阪市の町工場は

,自社

でできない加

工も短期間

で仕上

げる

ことで

,得意

先の

ニー

ズに広

く応える

ことが

できる。

↓あ東大阪市には

,地場産

業は

あるが

,製造

業全体の出荷額の10

に満たない

B-l-

い東大阪市には

,主幹産

業は特になく,製

造業

の加工業種は様々である

↓う自社にない加工

市内に数

多くあ

り,自動車でも30

を代わ

ってやれ

る工場は

以内に

(6)

あ る 場 合 が多 い 。

B↓ え 東 大 阪 市 の 町 工 場 は, 他 の 工 場 に, 自 社

で で き な い 加 工 を 発 注 す る こ と が多 い 。

C − 1 東 大 阪 市 の 町 工 場 の約 半 数 は, 企 業 間 で

互 い の 設 備 と情 報 を 利 用 す る こ とで 経 営 基

盤 を 強 化 し て い る 。

C↓ あ 東 大 阪 市 の 中 小 製 造 業 の 約 半 数 は, 仲 間

取 引 を し て い る。

C↓ い 仲 間 取 引 と は , 2 社 間 で 互 い に仕 事 を 出

し 合 う 対 等 な 取 引 で あ る。

C↓ う 仲 間 企 業 は 同業 者 で あ る 場 合 が 多 い 。

C-1-え 仲 間 取 引 を す る こ と で, 得 意 先 の ニ ー ズ

に 細 か く応 え る こ と が で き る。

C − 2 仲 間 取 引 に は, 無 理 な 注 文 を き き 合 う こ

とで , 企 業 間 の 信 頼 を 深 め る 働 き が あ る 。

C↓ あ 仲 間 取 引 で は, 仲 間 企 業 に 不 定 期 な 注 文

を 出 す こ と が 多 い。

C-1-い 仲 間 企 業 同 士 は , 匚す け る( 助 け る)」 と

い う言 葉 で, 無 理 を き き 合 う 時 が時 々 あ る。

C↓ う 仲 間 企 業 と は, 製 造 技 術 や 業 界 の 動 向 だ

け て な く, 得 意 先 や 外 注 先 , 職 人 の 雇 用 も

含 め た 経 営 上 重 要 な 情 報 交 換 を す る こ と が

多 い 。

2  授 業 構 想

前 節 で 提 示 し た説 明 的 知 識 の 習 得 を め ざ し た 授

業 , 中 学 校 公 民 的 分 野 で の 経 済 領 域 と し て , 単 元

中学 校 公 民 的 分 野 で の 経 済 領 域 と し て , 単 元 匚生

【 表 1  学 習 過 程 ( 全 3時 間) 】 ( 左 欄 : ○ 主 要 発 問 ,

産 活 動 と 企 業 」 の下 , 小 単 元 匚中 小 工 場 の 集 積 し

て い る地 域 に お け る,『 仲 間 取 引 』 を 中 心 とす る ,

他工 場 と の結 びつ き を生 か した 町 工 場 の 存立 意 義 一

東 大 阪 市 を 事 例 と し て ー」 を 構 想 す る。 学 習 過 程

は , 岩 田 一 彦 の 概 念 探 究 型 を 参 考 と し た(31・p.58

第 1 時 は 匚問 題 の 把 握」 で あ る 。 日 本 の 中 小 企

業 , と く に製 造 業 を 概 観 し , “意 義 面 ” に し ぼ っ

て 中 小 企 業 の 長 所 ・ 強 み を 生 徒 の 意 見 と 資 料 よ り

あ げ る。 次 に, 自工 場 単 独 で し か で き な い 強 み と,

他 工 場 の 技 術 を 借 り な い とで き な い 強 み に 分 け て

整 理 す る。 さ ら に , 後 者 を 資 料 よ り 明 ら か に し 。

“仲 間 取 引 ” の 探 究 へ 向 け て 知 識 を 豊 か に す る。

第 2 時 は 匚探 究 」 で あ る。 生 徒 自 身 の 考 え と 資

料 を も と に 匚仮 説 一検 証 」 の 過 程 を ふ む 。 前 時 で

あ げ た 労 働 者 の 意 識 面 や 一 部 の 成 功 例 で は な く ,

中 小 企 業 全 体 に 関 わ る 客 観 資 料 を , 手 順 を ふ ん で

提 示 す る こ と で , 検 証 ま で の 思 考 活 動 を 円 滑 に さ

せ る。

第 3 時 は 匚検 証 と ま と め , 新 し い 問 い の 発 見 」

で あ る 。 仲 間 取 引 を す る, 別 の 側 面 か ら の理 由 を

資 料 ま た は 当 事 者 の 話 を も と に 検 証 し て , 第 1時

か ら 本 時 ま で の ま と めを す る。 続 い て , 探 求 す る

過 程 で 身 に つ け た 中 小 企 業 観 を 発 表 す る 。 最 後 に

仲 間 取 引 の 現 状 を 示 し, 新 た な 問 い を 生 み 出 す 契

機 とす る。

上 記 の 構 想 を 元 に, 以 下 に 学 習 過 程(表 1)を 示

すO

○ 補 助 発 問 )

( 右 欄 : ○ 上 位 の 知 識 ,0 下 位 の 知 識)

発 問(○ ○),予 想 さ れ る 発 言( ・),生 徒 の 活 動( ★) 資 料 指 示( ・) , 留 意 点( ※), 目 標 と な る知 識( ○ ○) < 1 時 間 目 > ○ 中小 企 業, と り わ け 町 工 場 か らイ メ ー ジす る も の は 何 か。 ・ く ら い 。 し ん ど い 。 す ぐ クビ にな る。 … ○ 日本 の 中小 企業 は どう な っ て い る の だろ う か。 ○ こ の数 字 ど お り に君 だち か 就 職 す る とす れ ば, 10 人 に何 人 くら い が 中 小 企 業 で 働 く こ と に な る だ ろ う か 。 そ れを どう 思 う か。 ・10 人 のう ち, 8人 か ら 9人 も ? ・ ど う し よ う 。 大 変 だ。・‥ ○ 中 小 企 業 に は ど ん な良 い と こ ろ(長 所 ・ 強 み) が あ る の だろ う か。 ・ 人 工 衛 星( まい ど 1 号) を 作 っ て 打 ち上 げ た。 → す ごい 技 術を 持 っ て い る。( ★ 資 料 ) ・ 大 企 業 に対 して 仕 事 の や り がい か おり, 自 由, マ イ ペ ー ス に 仕 事 が で き る。( ★ 資 料 ) 1 2 3 4 ※ マ イ ナ スイ メ ー ジ が多 い こ と か予 想 さ れ る が, 前 向 き な イ メ ー ジ( 人 工 衛 星 や 他 のす ぐ れ た技 術 な ど) を生 徒 が 出 せ ば, こ れを 中 小 企 業 の強 み に 関 す る 設 問 へ の回 答 につ な げ る。 O2002 年 時点 , 製 造 業 全 体 の 中小 企 業( 工 場) は99.6%, 従 業 員 数 は約85 % , 生 産 額 は約37 % で あ る。 < 中 小 企 業 : 従 業 員300 人 以 下 > ○ 東 大 阪 市 の チ ーム を 組 ん だ 町 工 場 が , 大 学等 の 専 門 機 関 と 連 携 し て 共 同 開 発 し た人 工 衛 星( ま い ど 1号) を, 2009 年 1月23 日 に 打上 げ ら れ た ロ ケ ッ ト に搭 載 し た こ と や , 勤 労 者 の意 識 調 査  か ら, 中小 企業 は 大 企 業 に 対 し て 仕 事 の や り が い が あ り , 自由 に仕 事 が で き る こ と に気 づ か せ る。

46

(7)

○ 東 大 阪 市 の 中 小 企 業( 製 造 業 )は どう な って い る の か。 ○東 大 阪 市 に は ど ん な 優 れ た 会 社 が あ る の か。 ま た, 東 大 阪 市 の オ ンリ ー ワ ン技 術 を 持 っ た, ト ッ プ 企 業 は 全 体 の何 パ ー セ ント く ら い あ る の か。( ★ 資 料 よ り 調 べ る) ・ 東 大 阪 市 で は20 % く らい あ るか な 。 ○ 中小 企 業 は, や はり 大 半 が 苦 しい 状 態 な の か。 東 大 阪 市 の 近 年 の減 少 率 を 見 よ う。( ★ 資 料) ・ か な り 減 っ て い る 。  ・ 最 盛 期 の35 % も 減 っ て い る 。  ・ や っ ぱ り 中 小 企 業 は ダ メ か な … 065% の 中 小 企 業 は 今 も生 き 残 って い る。 と す れ ば, そ こ に生 き 残 って い る 中小 企業 の 本 当 の 強 みが あ る ので はな い だろ う か。 ○ 東 大 阪 市 の 町 工 場 の す ぐ れ た と こ ろ は, ど こ に あ る のだ ろ う かo ( ★ 資 料 よ り調 べ る) ・ す ぐ れ た 点 は, な ぜ達 成 で き た の か。 ま と め る と 。 5 6 7 5 8 8 ○ 全 国 の工 業 都市 の 中で , 工 場 数 は 第 5 位, 会 社規 模 に中 小 企 業 の 占 め る 割合 , 工 場 密 度 は 共 に群 を 抜 い て 全 国 第 1 位 で あ る。 特 に, 中 小 企 業 は99.95%, 従 業 員 9人 以 下 の 町工 場 は80 % 近 く も 占 め る 。 隣 接 の大 阪 市 ・ 八 尾 市 は工 場 地 帯 で , 工 場 数 は そ れ ぞ れ 全 国 2 位 ・10 位 で あ る こ と に も触 れ る。 ○ 大 企 業 に はで き な い 独 自 の 技 術 で 成 功 し て い る 企 業 が あ る 。 こ れ ら は, ペ ン チ ヤ ービ ジ ネ ス やニ ッ チ( 隙 間) 産 業 の 中 で オ ンリ ーワ ン技 術 を も ち, 全 国一 の生 産 を 誇 る ト ップ シ ェ ア 企 業 とい う 。 し か し な が ら , 東 大 阪市 で は 大 半 (約80 %) が当 て は ま ら な い こ と に 気 づ か せ る 。 ○ バブ ル 景 気 の崩 壊 後,1990 年 代 前 半 か ら 現 在 の金 融 不 況 に至 る長 い 不況 の 影 響 で , 特 に29人 以 下 の 零 細 工 場 の 減 少 は 著 し いo ※ 以 下 , 町工 場( 9人 以 下) を 対 象 に 探 究 を す す め る。 ○ 東 大 阪 市 の 中小 工 場 は, 自社 の 持つ「 高 い 技 術(製 造 技 術)」 匚短 納 期」「 小 ロ ッ ト( 多 品種 少 量)生 産」 を 主 に , “自 社 の強 み" とし て あげ て い る こ と に 気 づ か せ る。 ○ 上 記 の “ 強 み" は, 自 社 自 体 の 努 力 だ け で 達 成 で き る とい う点 , 同 時 に, 同 業 者 も多 く 立 地 し て い る た めに , 必 然 的 に起 き る工 場 間競 争 に 培 わ れ て い る 点 に も気 づ か せ る。 工 業 集 積地 で あ る東 大 阪 市 に は 同 業 者 も多 く立 地 し て い る ので , 常 に工 場 間 競 争 に さ ら さ れ て い る。 そ の結 果 , 高い 技 術力 や 短 納 期 , 多 品種 少 量生 産 を 得 意 と す る 企 業 が 多 い 。 ○ 人( 従 業 員) も機 械 な ど の設 備 も 少 な い 町 工 場 は, 自 分 の工 場 の努 力 だ け で や っ て い け る の だ ろ う か 。 ○ ネ ジ 1本 を 作 る に は ど れ だ け の工 程 か あ る の だ ろ う か 。( ★ 資 料 よ り 調 べ る) ○ 東 大 阪 市 の ど の く ら い の 割 合 の 工 場 か 外 注 (他 工 場 へ 加 工 を 発 注 す る こ と) を し て い る の か 。 ( ★ 資 料 よ り調 べ る) @ 自 分 の工 場 だ け の 努力 に よ ら な い 強 み と は 何 か 。 地 域 性 を 生 か し た強 み と は 何 か。 ま と め る と 。 9 10 ○ ネ ジで す ら, 切 削 す る だ け で な く, 曲 げ や, 穴 あ け や, 熱 処 理 や メ ッ キ 等 の 特 殊 加工 が い る の で, 特 殊 加 工 以 外 の製 造 , ま して は 組立 工 場 に至 っ て は , 自工 場 で で き な い 技 術 を 借 り る こ と にな る。 よ って , 一 般 の 製 造業 は 他 工 場 と 結 びつ き な が ら 生 産 し て い る こ と に気 づ か せ る。 ○80 %以 上 の 企 業 が 1 社 以 上 , 半 数 以 上 が 6社 以 上 も の 外 注先 を も っ て い る 。 市 内 へ の 外 注 は40 % を 超 え て お り , 隣 の工 業 都市( 大 阪 市, 八 尾 市) を 含 め る と80 % と, 外 注 先 の 多 く は 近 く の地 域 内 で あ る こ と を 把 握 さ せ る。 そ れ には, 工 場 の 集 ま っ て い る 地 域 に立 地 す る とい う利 点 を 生 か して い る こ と に も 気 づ か せ る. 労 働力 や 機 械 設 備 の少 な い 町 工 場 で は, 自 社 でで き な い工 程 を 外 注 す る 必 要 か お る。 そこ で , 東 大 阪 市 の 町工 場 は, 周 り に多 様 な 業 種 か 集 ま る 地 域 性 を 生 か し , 自社 に ない 技 術を 互 い に 補 う こ と で 多 様 な 製 品 作 り を 可 能 に して い る。 < 2 時 間 目 > ○ 外 注 は一 方 通 行 だ け だろ う か。 ・ メ ッ キ屋 で は仕 事 を 出 す こ と は な い の で は ? ・ そ ん な 時 は, 同じ メ ッ キ 屋 に 仕 事 を 出 す こ と にな る のか な 。 故 障 等 は お 互 い あ る か も し れ な い 。 ・ 同 じ よ う な 仕 事 で は, お 互 い に 仕 事 を 出 す こ と もあ る ので はな い だろ う か。 ○ お 互 い の町 工 場 に と って 利 益 に な る 取 引 の 関 係 は な い だろ う か。 ○ 東 大 阪 市 で は, ど の く ら い の 割 合 の工 場 が 仲 闇 取 引 を し て い る の か。(★ 資 料 よ り 調 査 ) ○ な ぜ , 同業 者 同士 か 仕事 を 発 注 し 合 っ て , 相 互 の 取 引 を し て い る の だ ろ う かo O 同 業 者 はラ イ バ ル 同士 な の に, な ぜ 外 注 を し 合 う の だろ う か。 自 分 が 町工 場 の 社長 に な っ た とし て , 同業 者 に 頼 ま な け れ ば な ら な い 事 態 を 想 像し て み よ う。 ・ 機 械 にト ラブ ル が あ っ た と き, 急 に 故 障 し た とき 。  ・ 大 量 に 注文 が き た と き  ・ 急 な 注 文 を 受 けて , い くつ も仕 事 か 混 ん だ と き ・ 急 に( 機 械 を 使 え る)従業 員 か や め た と き  … ○ 実 際 に, 仲 間取 引 に は ど の よ う な パ タ ー ン か あ る の だろ う か。 ( ★ 資料 よ り 調 べ る ) 11 10 12 13 ・ 「 も し メ ッ キ 屋 で も , 得 意 で な い 仕 事 が き た り, 機 械 の 調 子 が惡 か っ た り し た ら ど う す る だ ろ う。 」 厂メ ッキ に 限 ら ず 同じ よ う な 仕 事 な ら …」 な ど と 生 徒 の 意 見 に 疑 問 を 投 げ か け る 。 ・ 「 お 互 い に 仕 事 を 出 し 合 え ば, 互 い の も う け ( 利 益 ) に つ な が る だろ う。 」 と, 生 徒 の 意 見 を 土 台 に 外 注 のバ リエ ー シ ョ ンを 示 唆 す る。 ○ 主 に 同 業 者 同士 が 互 い に仕 事を 出 し 合 う( 外 注 し 合 う )こ と を,「 仲 間 取 引 」 ま た は 「 横 請 け( 横 う け )」 とい う 。 ○ 約 半 数 。 大 阪 府 全 体 の 工 場 の 調 査 で は, 仲 間取 引 を し て い る 工 場 の10 % は , 売 上 の30 % も 仲 間 取 引 に 頼 って い るこ と か分 か る。 ・ 文 章化 し て 仮 説 へ と 高 め る ○ 自 社 で で き る 仕 事 だ が , 納 期 か 短 すぎ た り大 量 の 注文 を受 け た 時 な ど は , い く ら か の 仕 事 を 仲 間 企 業 に外 注 す る。( ※手 数 料 を 取 ら な い 時 も あ る。 ) ○ 機 械( 設 備)が な い 等 で , 不 得 意 な 仕 事 を 請 け た と き, よ り 得 意 な 仲 間 に 外 注 す る。 得 意 な 仲 間 か い な い 場 合 , 仲 間 の持 つ 外 注先 に 得意 な工 場 が あ れ ば , そ こ に 仲 間を 通 し て 外 注 す る 。( ※ い ず れ も 暗黙 の ル ー ル で あ る。 )

(8)

@ 仲 間 取 引 の 利 点 を ま と めて み よう 。 14 ○ 機 械 にト ラ ブ ル か あ っ た と き, 同 業 者 に 頼 む 必 要 が あ る。 東 大 阪 市 の町 工 場 の 半 数 は, 自 社 で で き な い製 造 品 の量 と技 術 を 補う た め に仲 間 取 引 を し て い る 。 仲 間 取 引 と は, 緊 急 時 も 含 め, 得 意 先 か ら, 自社 で 製 造 で き な い 量 や, 自 社 で で き な い 技 術 を 含 ん だ加 工 を 受 注 し た 時 に, 製 造 能力 の あ る 仲 間企 業 へ互 い に外 注 し 合 う , 工 場 間 相 互 の取 引で あ る。 ○ 仲 間 取 引 の す ぐ れた 点 は, 目 に見 え る利 益 か 関 係 す る モ ノ と お 金 の取 引 だ け だろ う か。 ★ 次 時 へ 向 け, 資 料( 筆 者 の調 査 記 録) を 読 み, 考 えを 整 理 す る 。 可 能 な ら , 町工 場 の社 長 に 話 を 聞 い て く る 。 < 3 時 間 目 > ★ 前 時 の宿 題。 仲 間取 引 の, 他 長 所 を 発 表 す る。 ○ 仲 間 取 引 か 町工 場 の 強 みと い え る た め の, も う一 つ の 側 面 と は 何 だ ろ う 。 15 ※仮 説 を , 文 献 を も と に 検 証 し て い く 過 程 を ふ ん だ 。 し か し , こ れで は 仲 間 取 引 か , 利 益 を 少 し上 げ る一 手 段 と い う 理 解 し か 生 まな い 。 そ こ で , 詳 しい 資 料 を 読 ん だ り, 町工 場 の 経営 者 か ら 話 を 聞 くこ とで , 仲 間取 引 が もつ 重 要 な 側 面( 経 営 者 間 の情 報 交 換) を 検 証 す る 。 ・ グル ープ で の討 議 。 発 表。 ○ 製 造 技 術 , 設 備 機 械, 品質 や 価 格 等, モ ノ づ く り に関 わ る情 報 の交 換 。 ○ 職 人 の情 報 や業 界 の動 き( こ れ か ら 売 れ る 製 品 等) や 得 意 先 , 外 注 先 と い っ た 経 営 そ の も の に 関 わ る 情 報 の交 換。 仲 間 取 引 の もう 一 つ の側 面 と は, 製 造 技 術 や業 界 の 動 き だ け で な く, 得 意 先 や 外 注先 , 職人 の 雇 用 な ど の 経 営 上 不 可 欠 な 情 報 交 換 で あ る 。 @ 以 上 か ら, 町 工 場 の す ぐ れ た とこ ろ を , 小 さい が ゆえ に知 恵 を し ぼ っ て 経 営 を 続 け て い るこ と に注 目 して , ま と め よ う。 東 大 阪 市 の町 工 場 の多 く は, 高い 技 術を 背 景 に多 品 種 少 量 生 産 を 行 い , 工 場 の集 積を 利 用 し て, 複 数 の 外 注 先 を 持 つ こ とで 小 規 模 経 営 な が ら も受 注 を 確 保 し て き た。 さ ら に, 仲 間 取 引 と い う , 企 業 間 の相 互 取 引 に よ り, 互 い の工 場 の 設 備 の 利 用 と経 営 上 重 要 な 情 報 を 交 換 す る こ とで , 経 営 を よ り 強 く し て い る。 ○ 町工 場 が 生 き続 け るた め の知 恵 って 何 だ ろ う。 … 東 大 阪 市 の 町工 場 の 強 みに つ い て , こ れ まで に 学 ん で き た こ と か ら 感 想 を 出 し て みよ う 。 ・ 人 工 衛 星 な ど 目 立 っ た 良 さ もあ る け ど, 多 く の工 場 は い ろ い ろ 知 恵 を し ぽ って い るこ と が 分 か っ た。 ・ 小 さ い 町工 場 は, 違 う 業 種 だ け で な く, 同業 者 と もつ な が っ て工 場 を 続 け て い く力 を , お 互 い に 強 く し て い る こ と か 分 か っ たo ・ 同 じ よ う な 者 ど う し, つ な が る こ と の大 切 さ を 分 か っ た 気 が す る。 と く に弱 い 者 の 場 合… 。 ○ 東 大 阪 市 の, 町 工 場 間 の 仲 間 取 引 の現 状 は ど う な っ て い る の だ ろ う か。 ・ 景 気 が悪 く な っ て い る の で , みん な 自分 の工 場 だ け で 精一 杯。 そ の た め , 仲 間 取 引 は少 な く な っ て き て い る の で は な い だ ろ う か 。 ・ 景 気 が悪 い と き こ そ, 助 け 合 って 盛 ん にし て い か な け れ ば な ら な い の で は な い だ ろ う か 。 ( ★ 資 料 よ り 調 べ る。 或 い は, 可 能 な ら 町 工 場 の 経営 者 に 話 を し て もら う 。 ) ○ 町工 場 は, 仲 間 取 引 を 続 け る 上 で ど のよ う な 対 策 と っ て い る の だ ろ う か 。 ○ 東 大 阪 市 の 仲 間 取 引 は , 今 後 どう な って い く の だろ う か。 町工 場 の 将 来 も含 めて 考 え よ う。 17 15 18 18 ○ 東 大 阪 市 の 町工 場 は,「 競 争 」 に よ っ て 製 造 技 術 ・ 効 率 を 高 める だ けで な く, 人 も機 械 設 備 も少 な い( 経 営 規模 か 小 さ い )が ゆ え に 自 工 場 で で き る 限界 を , 他 工 場 とつ な が って 匚共 存」 す る こ と で 乗 り 越 え て き た 。 中 小 企 業 を ト ップ 企 業 だ け で 評 価 す る の で は な く, 匚共 存 」 の視 点 か ら, 名 もな い 多 く の町 工 場 も積 極 的 な 評 価 の対 象 と す る こ と を 確 認 す る。 ○ 高井 田地 区 で は,9 人 以 下 の 町工 場900 社 余 り の約 半 数 が 仲 間 取 引 を して お り, 1997 年 と2003 年 の調 査 の 比率 は ほ ぼ 同 じ で あ る。 し か し , 近 年 の不 況 や安 い 外 国 製 品 の 流 入 によ る 過 度 な 価 格 競 争 等 の 悪 影 響 で ,「 信 頼 」 に よ っ て 成 立 つ 仲 間 同 士 の暗 黙 のル ー ル が一 部 で崩 れ始 め て い る 。 02008 年 秋 の金 融 危 機 以 降, 仲 間 に 仕 事 を 回 す 余 裕 の な い 町 工 場 も出 始 めて い る 。 最 低 限 の利 益 確 保 の た め, 外 注 は 減 少 傾 向。 < 相 互 取 引 の休 止 例 > ○ 仲 間 取 引 を す る 町 工 場 の う ち, 8 % が 仲 間 企 業 の 転 廃 業 な ど の影 響 で 受 注 が 減 っ た 等 の問 題 か 起き て お り, 31% が 今 後 の 発 生 に 不 安 を もっ て い る。 以 上 の , 現 在 の問 題 点 を 把 握 す る。 ○ 新 た な 仲 間 企 業 の 開拓 が 約半 数 と最 も多 く, 加工 の 内 製 化 ( 自 分 の工 場 で 加 工 す る) が そ れ に次 ぐ と い う 経 営 者 の 意 識 を 知 る 。 ※ 仲 間 取 引 の今 後 を 考 え る と 同 時 に, 町工 場 自 体 の こ れ か らの 存 立 も, 合 わ せ て 考 え て い く た め の問 い と す る。 資 料 1   中小 企 業 庁 『 中小 企業 白 書 』2004 2   朝 日 新 聞2009 年 1月24 日 号( 大 阪 版 ) 夕 刊 第 1面 3   中小 企 業 庁 「 勤労 意 識 実 態 調 査」1996 4   名 古 屋 市 市 民 経 済 局生 活 流 通 部 勤 労 福 祉 室 「 モ ノづ く り 産業 に お け る 勤 労 者 意 識 調 査 」2007 5   経 済 産 業 省 『 工 業 統 計 』2005 6   経 済 産 業 省 『2003 年 度 版  製 造 基 盤 白 書 』2004,pp.98-107 7   大 阪 中 小 企 業 情 報 セ ン タ ー 「 東 大 阪 市 に お け る 中小 企 業 の 集 積 と 企 業 間 ネ ット ワ ー ク の変 貌 」1996,p.8 8   東 大 阪 市 経 済 部 『 東 大 阪 市 内 全 事 業 所 実 態 調 査 』 2000,p.20 9 10 11 12 13 14 15 16 48 イ ンタ ー ネ ッ ト上 の “ ネ ジ ” 関連 用 語 を 使 っ た 検 索 に よ る. [引 用 文 献 お よ び 出典 資 料]17 Cp.43) [引 用 文 献 およ び 出典 資 料]21 (p.9l) 22(p.8) [引 用 文 献 およ び 出典 資 料]27 [引 用 文 献 お よ び 出典 資 料]24(pp.l20-122) 額 田 春 華 「 大 田 区 工 場 群 に よ る 『 柔 軟 な 連 結 』 の連 続 的 プ ロ セ ス」 『 国 際分 業 パ タ ー ン と 企 業 間 連 携 』 中 小 企 業 総 合 研 究 機 構, 2005,p.7 本 稿p.4 参 照 [引 用 文 献 お よ び 出典 資 料] 30(p.10)

(9)

17

18

[引

大阪

業大

よび

大阪

地域

] 30(p.l5)

業研

究会

『東大

生産

と企

業間

トワ

関す

』 

調

料k4 2008,pp.28-29

IV 

業構想の意義

一般メディアや社会科教科書での町工場に関す

る情報量は少ないことと

,生徒が中小企

業に勤め

る確率が高いことを考え合わせると

,仲間取引を

含めた豊富な資料を提示すれ

,生徒

自身が

身近

な問題

として前向きに探究

していくことが期待で

きる。

また

,町工場が築

いてきた匚

共存」のための知

を理解する

ことは

,一般社会

(世の

中)

を学ぶ

と,す

なわぢ 他

者とつながるこど の理解にも

じる。

したがって

,本授

業構想か

らは

,子

どもに厂

」という新たな視

点を含めた,前向きな中小企

業観を形成する

ことが展望できる

。本稿が,子

ものもつ

,二重構

造の弱者と

しての陰鬱

な中小企

業観や

,たとえ肯定面であっても,企業精神や技

を駆使

した自助努

力のみ

を称える中小企

業観

しでも変容す

ることに寄与できれ

ば幸

いである

辞 

究に

,長年

にわ

り取材

に協

して

きま

した

業経

者の

皆様

,行

並び

に大

学の

者の

皆様

,その

関係

者の

皆様

りお礼

し上

げます

[引用文献および出典資料]

1 

経済

業省

『平成17

年 

業統

』 2007

2 

『小

学社

出版 2003

3 

『中学

生の

社会

一公

民的

分野』

日本

文教

2004

4 

『高

学校 

・経

京書

籍 2002

5 

『新編 

しい社会

5年

上 

用指

導書』

東京

籍 2005

6『小

学社

5年

上 

師用

出版2005

7 

導書

『わ

日本

したちの

社 2006

中学社

(公

民的分野

)教

用指

8 

『現

社会 

東京

籍 2007

9 

『政

・経済 

資料

出版 2002

10 

山下誠匚

中小企

『中学校社会科教育実践講座13

中学校社

会科教

育実践講座刊行会 

育出版センター

1990

11 

櫛谷秋男

労働条件の改善一中小工場で働

く人々

のねが

い」

『現代社会科教

育実践講座12

』現代社会科

教育実践講座刊行会 1991

12山

口栄

一匚

中小企

業は

『教育的』に扱われ

てきたか

三田商学研究』

(慶應

義塾大学)

38(6)

1996

13 

製造造品出荷額等1

円以上の各都市の

Pと,電

話による問合せによる1995

年か

ら2005

年までの各都

市の工業統計数値の

データによる

14 

大阪商工会議所匚

緊急景気動向調査結果について」

2009.1

15 

東大阪市経済部経済企

画課

『東大阪市内全事業所

実態調査

平成11

年度調査報告書』

東大阪市 2002

16 

『都市問題研究』55-8 2004

湖中齊匚

中小企

業の連携と協働による都市の再生」

17 

工業集積研究会叩東大阪の中小製造業に関する実

態調査』の

集計結

果について」

『季刊経済研究』19-2

大阪市立大学経済研究所 1996

18 

『新編 

しい社会

5年上』東京書籍 2003

19 

湖中齊

「異

業種交流

と産学官連携による開発戦略

『多様化する中小企業ネッ

トワー

ク』ナカニシヤ

出版

2005

20 

井上豊

『日本経済の縮

図』

『中小企業の街』の

戦苦闘

『プレジデン

ト2000

年10

月16

日号』プレジ

テン

ト社 2000

21 

辺幸男

「大都市における機械

工業零細経営の機

と存立基盤

一束京都城南地域の

場合一」

『三田学会

誌』慶應義塾大学72(2)

1979

22 

大田区

『区内工場ネッ

トワーク実態調査報告書』

2001

23 

工業集積に関する調査』産

大阪府立産業開発

研究所

『大阪府内機械金属関連

開研資料k78 2003

24 

義永

「東大阪市高度工業集積

地に

おける機

金属中小零細企業の取

引関係

『新中小企業像の新構

築』

日本中小企業学会緡 

同友館 2000

25 

づく

大阪府立産業開発研究所

りネッ

トワーク』産開研

工業集積地におけるも

資料k96 2005

26(財)

大阪中小企業情報センタ

ーが1995

年に実施

東大阪地域

・大田区の機械金属関連

業種に関す

る実態調査」を同センターにて再編加工

したデータ

(10)

よる

.なお

,同調

査の

果に

いては

(財

大阪

中小

業情

報セ

『東大

阪に

ける

中小

業の

と企

業観

トワー

貌』(1996)

収録

27 

大阪府

立産

業開発

研究

所が2002

年10

月に

実施

した

大阪

内の

金属

業集積

る調

究所に

て再

編加

した

タに

よる

.な

,同

調査の結

果につ

いては

,大阪府

立産業開発研究所

『大

阪府

内機

械金

関連

業集積

に関

る調査

(産

料No.78 2003)

収録

28 

東大

・関

西

大学

業社

学実

習室

『一

大阪市

小企

業再

生の処

一東大阪

製造

業実

調査

』1998

29 

阪商

業大

・東

大阪

地域産

業研

究会

『東大阪

小企

業に

ける

生産機

能高

と企

業間

トワ

クの

課題

る研

』2008

30 

西大

学経済

・政治

研究

『東大阪

製造

小企

業調査

一東

大阪

市高

井田地

−』

[調査

と資料 第

104

]2007

31 

田一

彦編

『小学校

社会

科の

業設計

東京書

籍1991

−50−

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