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当院におけるカプセル内視鏡検査の画像不良事例と対策について

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Academic year: 2021

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当院におけるカプセル内視鏡検査の画像不良事例と対策について

藤 井 有美子

1,2)

,小 林 誠 司

1,2)

,大 西 芳 明

1,2)

,田 中 克 哉

2)

,六 車 直 樹

3)

高 山 哲 治

3) 1)徳島大学病院医療技術部臨床工学技術部門 2) ME管理センター 3)徳島大学大学院医歯薬学研究部消化器内科学 (令和2年7月7日受付)(令和2年9月8日受理) 近年,カプセル内視鏡と同様に無線通信を利用してい る医療機器や施設環境との電磁干渉による画像欠損事例 が報告され,関連学会や総務省等から注意喚起が提示さ れている。当院でのカプセル内視鏡検査における画像不 良事例の詳細な評価と対応策の確立を目的として後方視 的に調査を行った。2017年1月から2019年12月までの期 間に,カプセル内視鏡検査を施行した149例(男性89例, 女性60例,平均年齢56±18.8歳)を対象とした。検査数 全体の2%でカプセル内視鏡システムに関する画像不良 を 確 認 し た。小 腸 カ プ セ ル 内 視 鏡 検 査149例 中4例 (2%)に画像不良事例が確認された。原因は機械的ト ラブルと電磁干渉による影響が考えられ,センサーアレ イ不良1例,レコーダフリーズ2例,レコーダ受信レベ ル低下1例であった。今後もカプセル内視鏡検査が普及 していくと考えられることから,各医療スタッフや製造 メーカーと情報を共有し,安全にカプセル内視鏡検査を 施行できるように努めることが重要と考えられた。 カプセル 内 視 鏡 は,1981年 に イ ス ラ エ ル の Gavriel Iddan らによって開発が始まり,1994 年,The Los An-geles World Congress of Gastroenterology にて世界で初 めてとなる研究報告が発表された1)。その後,製品化が 進み,2001年に Given Imaging 社の小腸用カプセル内視 鏡が欧州諸国で CE マークを取得,米国 FDA より認可 を受け,日本でも2007年に薬事承認され,販売が開始さ れている。 カプセル内視鏡システムは,C-MOS イメージセンサ, 送信用アンテナ等を内設したカプセル内視鏡,カプセル から送信される画像データを受信するセンサーアレイ, 画像データを記録するデータレコーダ,記録データを映 像化し,画像読影を行うワークステーションから構成さ れており,カプセル内視鏡を口から飲み込み,消化管内 を通過する際にビデオ画像の撮影を行い,それらの画像 データをデジタル高周波チャネルを介してデータレコー ダに記録している。カプセル内視鏡は従来,通常の内視 鏡検査では診断困難な消化管出血や小腸疾患が疑われる 患者に有効な検査であり,現在は,検査困難だった消化 管狭窄の患者に対し消化管開通性評価検査を行うことが できるパテンシーカプセルや,大腸用のカプセル内視鏡 も薬事承認され保険適応となっている。 デバイスが進化する一方で,カプセル内視鏡と医用テ レメータの電磁干渉による画像欠損事例が報告されてい る。医用テレメータは,心電図などの生体信号を無線で 送信し,離れた場所でモニタリングするシステムで,現 在の医療には欠かせないツールとなっており,主に病棟 で使用されている。医用テレメータで使用されている周 波数範囲は420MHz から449MHz で,カプセル内視鏡の 送信周波数である434.1MHz と重複しており,カプセル 内視鏡と医用テレメータとの電磁干渉を未然に防止する とともに,機械的なトラブルがなくカプセル内視鏡検査 四国医誌 76巻3,4号 159∼164 AUGUST25,2020(令2) 159

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を施行することが重要である2) 今回,当院において過去3年間に施行したカプセル内 視鏡検査について集計し,患者の臨床背景および画像不 良事例を元に,原因と今後の対策について検討した結果 を報告する。 方 法 2017年1月から2019年12月までの期間に,カプセル内 視鏡検査を施行した149例を対象とした。カプセル内視 鏡は PillCam®SB3(Given Imaging 社製),データレコー ダは PillCam® レコーダ DR3(Given Imaging 社製)を 使用し,患者に対して文章による同意のもとカプセル内 視鏡検査を施行し,データレコーダに記録された画像は, RAPID®Access(Given Imaging 社製)にて読影を行っ た。 結 果 患者背景を示す(表1)。性別は,男性89例,女性60 例で,年齢は平均56±18.8歳(13歳∼88歳)であった。 カプセル内視鏡検査を施行した目的は,顕性出血33例 (22%),潜性出血24例(16%),クローン病14例(9%), 腹痛9例(6%)で,その他では,小腸腫瘍や鋸歯状ポ リポーシス症候群の精査等が見られた。カプセル内視鏡 が小腸を通過した平均時間は,236.5±26.8分(17分∼ 798分)で,施行した場所は,内視鏡センター146例(98%), 病棟3例(2%)であった。カプセル内視鏡に関与した 画像不良事例は4例(2%)あり,内訳として,データ レコーダのトラブルが2例,センサーアレイのトラブル が1例,電磁干渉による受信不良が1例で,その内の1 例に画像欠損が見られた(表2)。事例内容の詳細を次 に示す。 症例1では検査開始直後に画像欠損が見られ,調査の 表1 患者の臨床背景とカプセル内視鏡に起因した画像不良件数 性別 男性89例 女性60例 年齢 平均56±18.8歳(13歳∼88歳) カプセル目的 顕性出血 33例 潜性出血 24例 クローン病 14例 腹痛 9例 その他 69例 小腸通過時間 236.5±26.8分 検査場所 内視鏡センター 146例 病棟 3例 画像不良 4例 表2 カプセル内視鏡の画像不良事例の詳細 症例 内容 検査場所 画像欠損 1 センサーアレイ不良による画像フリーズ 内視鏡センター あり 2 レコーダフリーズ 内視鏡センター なし 3 レコーダフリーズ(再起動で改善) 内視鏡センター なし 4 レコーダ受信レベル低下 病棟 なし 藤 井 有美子 他 160

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結果,外部からのノイズ信号がほぼない状態でカプセル 内視鏡からの RSSI 強度が低下していることが確認され た。外観点検を行った所,センサーアレイのデータレコー ダ接続部とスパイダー根元部分のケーブルに湾曲が見ら れた為,センサーアレイを交換したところ,状況が改善 された。 症例2は,検査終了時にデータレコーダを取り外す際 にフリーズが発生したが,再起動により改善され,その まま画像解析を行うことができた。症例3は,検査開始 時に,データレコーダを取り付ける際にフリーズが発生 し,再起動しても改善されず,データレコーダを交換し た後,検査を行った。 症例4は離床が困難な患者であり,病棟での検査で あった。検査を開始して間もなく,データレコーダの LED ランプが受信状態の不安定を示す赤色に断続的に 点灯しているのが確認された。隣の病室の患者に医用テ レメータが使用されていることが分かり,医用テレメー タとの電磁干渉が疑われた。カプセル内視鏡用電磁波防 護服を着用することで電磁干渉は確認されなくなった。 考 察 今回の検討において,カプセル内視鏡に関する画像不 良事例4例のうち,カプセル内視鏡システムの機械的な トラブルと外部からの電磁干渉による影響が見られた。 センサーアレイ(図1)は,カプセル内視鏡から送信 されたデータを受信し,データレコーダに転送するアン テナの役割を果たしており,患者の皮膚に電極を貼付し て使用する。画像が欠損した原因として,センサーアレ イの長期使用による経年劣化が考えられた。対策として, センサーベルト(図2)の使用に変更した。センサーベ ルトは,センサーアレイと比較してケーブル部分が少な く,コードの断線や変形が起こりにくいと考えられる。 また,センサーアレイは患者の皮膚に直接電極を貼付し ていたのに対して,センサーベルトは着衣の上から腹部 に巻くだけでよく,患者の皮膚トラブルの防止や,検査 によるストレスの軽減を抑えるとともに,医療スタッフ 側も取り扱いが簡便化されることで,検査準備時間の短 縮によるワークフローの向上や,トラブル時の迅速な対 応が可能になると考えられる。 データレコーダに関するインシデントは同様の症状が 2例確認されたが,外観や動作に異常や再現性が見られ ず,メーカーに調査を依頼したところ,機器は正常に作 動しているとの返答だった。データレコーダに機械的な 故障は見られなかったが,いずれもデータレコーダに接 触した際にフリーズが発生しており,なおかつ発生時期 が1月,2月と冬季だったという点を踏まえ,操作者と データレコーダが接触することで静電気が発生し,静電 図1 センサーアレイ 図2 センサーベルト カプセル内視鏡における画像不良 161

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気によりデータレコーダが一時的にショートしたのが原 因ではないかと考えられた。静電気に対する医療機器製 造の対策としては,JIS-C61000-4-2にて規定されている が3),使用者の取り扱いに関する対策は明確な規定がな い。今回の件での対策として,データレコーダを取り扱 う際には,静電気を防止する際にゴム手袋や,静電気緩 和バンドを装着することが望ましいと考えられた。 カプセル内視鏡は,体内にあるカプセルからの画像 データ送信に微弱電波を使用しており,その周波数範囲 が,外部の機器から発生した電磁波と重複する場合,電 磁干渉が発生する。今回のケースでは離床が困難な入院 患者であったため,病棟にて検査を行ったが,病棟には, 無線式の医用テレメータが設置されていることが一般的 である。医用テレメータは,省令において周波数の範囲 および用途ならびに技術基準が定められており,6バン ド使用されている。カプセル内視鏡の送信周波数範囲 434.1MHz は,バンド3Ch からバンド4Ch 付近にあり, バンド2∼5Ch を使用している医用テレメータとの,電 磁干渉が報告されているが4),今回,検査を行った病棟 は,バンド6Ch が使用されており,バンド1Ch やバンド 6Ch でも,医用テレメータとカプセル内視鏡間の距離や 周辺の電磁環境により電磁干渉が発生する可能性がある のではないかと考えられる。以上のことより,病棟でカ プセル内視鏡検査を行う際には,医用テレメータからの 影響を最小にする必要があり,対策として,カプセル内 視鏡用電磁波防護服を着用する方針とした。当院では, メディカルエイド社製の MG ベスト CES(図3)を使 用しており,電磁波のシールド効果の報告5)より電磁干 渉低減に有用であると考える。また,検査時には,医用 テレメータの使用状況を事前に把握し,電磁干渉の影響 を受けないようなベッドコントロールを行う必要がある。 結 語 当院の過去3年間のカプセル内視鏡検査で発生した画 像不良事例について原因と対策を検討した。今後も,デ バイスの進化により小腸疾患の診断能がさらに向上し, 検査が普及していくと考えられる。各医療スタッフや製 造メーカーと情報共有し,臨床工学的立場より画像不良 事例を起こさないよう安全にカプセル内視鏡検査を施行 できるように努めていきたい。 謝 辞 カプセル内視鏡検査の実施にあたりご協力頂いた徳島 大学病院内視鏡センタースタッフの方々に,この場をお 借りして御礼申し上げます。 文 献

1)Iddan, G., Meron, G., Glukhovsly, A., Swain, P. : Wireless capsule endoscopy. Nature,405:417,2000 2)亀井智成,長沼一郎:カプセル内視鏡における電磁 干渉事例.平成27年度第2回医療電磁環境研究会抄 録集,14‐15,2015 3)一般社団法人 電子情報技術産業協会:電磁両立 性−第4‐2部.試験及び測定技術 静電気放電イ ミュニティ試験 URL : https : //www.kikakurui.com/c60/C61000-4-2-2012-01.html 4)柴森直也,阿部真也:カプセル内視鏡における医療 用無線との電磁干渉例.医機学,85:127,2015 5)メディカルエイド株式会社:カプセル内視鏡用電磁 図3 カプセル内視鏡用電磁波防護服 藤 井 有美子 他 162

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波防護服 MG ベストチェス 各種試験データ URL : http : / / www. medical-aid. co. jp / products /

mgvestces/shiken.html

(6)

Assessment of accidental events in images during capsule endoscopy

Yumiko Fujii

1,2)

, Seiji Kobayashi

1,2)

, Yoshiaki Ohnishi

1,2)

, Katsuya Tanaka

2)

, Naoki Muguruma

3)

, and

Tetsuji Takayama

3)

1)Department of Medical Engineering, Tokushima University Hospital, Tokushima, Japan 2)Medical Engineering and Techno Center, Tokushima University Hospital, Tokushima, Japan

3)Department of Gastroenterology and Oncology, Tokushima University Graduate School of Biomedical Sciences, Tokushima, Japan

SUMMARY

Recently, there have been some reports of electromagnetic interference during capsule endos-copy(CE)in regards to other medical devices and facility environment. These accidental events have not been analyzed sufficiently although academic societies and related ministries are proposing guidelines with cautious attention. Based on this, detailed analyses and development of solution are required. In this study, we review our experience with cases of accidental events during CE and assessed the causes and preventive solutions. A total of 149 CE cases(male :89, female :60, mean age :56±18.8)from January 2017 until December 2019 were analyzed retrospectively. Four cases(2%)with defective images were noted. Detailed events were as follows ;1 disorder of the sensor array, 2 recorder freezes, and 1 electromagnetic interference. These mechanical and electromagnetic troubles should be assessed and shared among medical staffs and manufacturers to propose possible solutions and perform CE safely.

Key words :Capsule endoscopy, Image defect, Electromagnetic interference

藤 井 有美子 他

参照

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