論 文
燃 料 噴射 系 の電子制 御化 によ る
舶用 デ ィーゼル機 関 の排気 ガ ス特性 の改善
― A重 油 使 用 時 の運 転結 果*
張 潔**高 杉 喜 雄** 桑 原 孫 四 郎**菊 地 正 晃** 西 尾 澄 人**石 村 恵 以 子** 中 島 康 晴**菅 進***Exhaust Emission Characteristics of a Marine Diesel Engine with an Electronically Controlled Fuel Injection System
•\ On the Case of Marine Diesel Fuel
By Jie Zhang, Yoshio Takasugi, Magoshirou Kuwabara, Masaaki Kikuchi, Sumito Nishio, Yasuharu Nakajima, Eiko Ishimura, Susumu Kan Abstract:
An electronically controlled system for fuel injection is one of techniques to improve thermal efficiency and to reduce harmful emissions simultaneously. The authors applied an electronically controlled system to a diesel engine, a 3-cylinder medium speed 4-cycle engine of 257 kW/420 rpm at maximum continuous output power.
On the system, the fuel injection pump is driven by hydraulic pressure and the hydraulic pressure line is electronically controlled to change fuel injection timing. Fuel injection profiles different from that of a camshaft are also obtained
. The test engine was operated over 25% load to 100% load of maximum continuous output with a propeller law. At low load conditions, thermal efficiency, NOx emission and PM emission characteristic could be improved simultaneously, by optimization of injection timing. Regarding PM emission, it was improved dras-tically throughout the whole engine load range, which is considered to be caused by that the increase in pres sure rising speed improved atomization characteristics at initial period of injection.
1.ま え が き Marpol条 約 に基 づ いて2000年1月 か ら実 施 され る 予 定 で あった舶 用機 関 か らの 窒素 酸 化物(以 下 、NOx と称 す る),硫 黄 酸 化物 排 出規 制 は,各 国 の 条 約 批 准 が整 わ な い た め に 正式 な 発効 は遅 れ て い るが,規 制 の 実 施 は既 定 の 方 針 で あり,将 来 は さらに規 制 数 値 の 強 化 と規 制 成 分 の 拡 大 が 予 想 され る.一 方 で 地 球 温 暖 化 対 策 として.二酸 化 炭 素(CO2)排 出 抑制 も重 要 な課 題 で あり,熱 機 関 として 最 高 水 準 の 熱 効 率 を有 す るデ ィーゼ ル 機 関 の 有 用 性 は 将 来 も極 め て 高 い. この ような情 勢 の 中 で,舶 用 デ ィーゼル 機 関 に対 して は,熱 効 率 の 一 層 の 改 善 と共 に,排 気 ガ ス特 性 の 飛 躍 的 な改 善 が期 待 され,こ れ を 「]的として デ ィー ゼル 機 関 の 燃 焼 制 御 に 関 す る研 究 開発 は活 発 に進 め られ て い る. デ ィーゼ ル 機 関 の 燃 料 噴 射 系 の 電 子制 御 化 は,運 転 状 況 に 対 応 して 常 に最 適 な燃 焼 制 御 を 行 う有 力 な *原 稿 受 付 平 成12年8月28日 **正 会 員 船 舶技 術 研究 所三 鷹 市 新 川6-38-1) ***正 会 員 元船 舶 技 術研 究 所
燃料噴射 系の電 子制御化 によ る舶 用デ ィーゼル機 関 の排 気 ガス特性 の改 善 手段 として注 目され て お り,自 動 車用 エ ンジンの 分 野 で は既 に 実 用 化 の 段 階 に至 って い る.し か し,舶 用 機 関 へ の 適 用 に 関 して は,い くつ か の実 験 的 研 究 が 実 施 され て い るもの の1)2)β),実用 化 に必 要 な 十 分 な デ ータが得 られ て い るとは 言 い難 い. この 研 究 で は,燃 料 噴 射 系 の電 子制 御 化 が 舶 用 機 関 に対 して 有 効 で あ ることを実 証 す るとともに,実 用 化 へ の 課 題 を明確 に す ることを 目的 として,油 圧 駆 動 式 電 子 制 御燃 料 噴 射 装 置 の,中 速 デ ィー ゼ ル機 関 へ の 適 用 を試 み た4).採 用 した 方 式 は,燃 料 噴 射 ポ ン プ を従 来 の カム駆 動 式 か ら油 圧 駆 動 式 に 改 造 し,油 圧 回 路 の 電 磁 弁 を電 気 的 に制 御 す るもの で,燃 料 噴 射 時期 を任 意 に設 定 す ることが 可 能 で あり,作 動 油 圧 を変 え ることに よって,燃 料 噴 射 圧 を 変 えることも 可能 とな る. 油 圧 駆 動 電 子 制 御 式 燃 料 噴 射 装 置 を 取 り付 け た 実 験 機 関 は,当 初 は異 音 や振 動 を 発 生 す るな どした が,装 置 改 良 の結 果,安 定 した運 転 が で きるよ うに な り,従 来 の カム 駆 動 式 と比 較 して 燃 料 消 費 率,排 ガ ス特 性 共 に改 善 され る結 果 が得 られ るよ うにな った の で,そ の 実 験 結 果 につ い て報 告 す る. 2.実 験 装 置 お よ び 実 験 方 法 燃 料 噴 射 系 の 電 子 制 御 化 の 実 験 は3気 筒4サ イク ル 中速 デ ィー ゼル 機 関 を使 用 して 行 った.表1に 実 験 機 関 と燃 料 噴 射 ポ ンプお よび 噴 射 弁 の 要 目 を示 す. 燃 料 噴 射 ポ ンプ は既 設 の ボ ッシュ式 ポ ンプ をそ の ま ま使 用 し,カ ム 軸 か ら切 り離 して油 圧 シ リンダ をとり つ け,油 圧 で燃 料 を加 圧 す る. 図1に 試 作 した電 子制 御式 燃 料噴 射 装 置 の 全 体 構 成 を示 す.装 置 は マ イクロコンピュー タを 用 い た コン トロール ユ ニ ットと油 圧 ユ ニ ット(作動 油 圧 源),お よ び 電 磁 弁 と油 圧 駆 動 の燃 料 噴射 ポ ンプ を一 体 化 した 燃 料 噴 射 シ リンダユ ニ ットで構 成 され る.燃 料 噴 射 シ リンダユ ニ ットで は燃 料 ポ ンプの ド部 に取 り付 け られ た油 圧 シ リンダ が 従 来 の カムに 代 わ って燃 料 ポ ンプ を駆 動 す る.油 圧 シ リンダ の 動 作 は電 磁 弁 を 介 して コントロール ユ ニ ットに よって 制 御 され る.油 圧 ユ ニ ッ トは45kW電 動 機 で 駆 動 され,最 大35MPaま で の 作 動 油 圧 を得 ることが で きる.図2に 実 験 機 関 に取 り付 け た燃 料 噴 射 シ リン ダユ ニ ットを,図3に 実 験 機 関 の 全体 を示 す. コントロール ユ ニ ットが 燃 料 噴 射 シ リンダユ ニ ットに 対 して電 磁 弁 開 の 信 号 を 出 した 後,燃 料 噴 射 ポ ンプ が燃 料 を加 圧 し,噴 射 弁 か ら燃 料 が噴 射 され るまで に約20ミ リセコンドの 時 間 遅 れ が 生 じる.所 定 の クラ ンク角 で 燃 料 を噴 射 す るた め に,コ ントロール ユ ニ ッ トは,遅 れ に相 当す る角 度 差 だ け早 い クランク 角 で 電 磁 弁 開 を指 令 す る.こ の 角 度 差 は回 転 速 度 に比 例 して 変 わ るの で,コ ントロー ル ユ ニ ットで は 回 転 速 度 とあらか じめ 設 定 され た噴 射 時 期 か ら自動 的 に 角度 差 を 求 め,TDC信 号 を 基 準 に して シ リン ダ毎 に電 磁 弁 制 御 を 行 う.し か し,燃 料 噴 射 まで の 時 間 遅 れ は 作 動 油 圧 によ って 変 わ り,シ リン ダ間 にも差 が あるた め,実 際 の 運 転 で は,機 関 シリンダ圧 力 をモ ニ ターし な が ら,所 定 の 着 火 時 期 が得 られ るように,各 気 筒 毎 に コントロー ル ユ ニ ットの 設 定 を 微 調 整 して 実 験 を 行 っ た. 表1機 関 、燃 焼 噴射 ポ ン プ、 噴射 弁 の要 目 図1油 圧 駆 動 電 子 制 御 式 燃 料 噴射 シ ス テム
燃料1噴射 系の電子 制 御化に よる舶用 デ ィー ゼル機 関の排 気 ガ ス特性 の改善 図2燃 料 噴 射 シ リ ン ダ ユ ニ ッ ト 実 験 機 関 の 運 転 は,当 初.異音 の 発 生 や 振 動, 油圧 配 管 系 の 振 動 等,種 々 の 問 題 が 生 じた.こ れ らに 対 して,油 圧 回 路 に ア キ ュ ム レ ー タを と りつ け 元 圧 の 安 定 を 図 る とと もに,電 磁 弁 と油 圧 ア ク チ ュ エ ー ター ス プ ー ル を 改 良 し,動 作f,1号 か ら燃 料 噴 射 ま で の 時 間 遅 れ を 短 縮 して 動 作 精 度 を 高 め た.こ の 結 果,実 験 機 関 は25%か ら100%負 荷 ま で 安 定 して 運 転 が で き るよ うに な っ た. 実 験 で は.ま ず 機 関 特 性 を 全 般 的 に把 握 す る 目 的 で25%負 荷 か ら100%負 荷 ま で 作 動 油 圧20MPaで 機 関 を 運 転 し,次 い で,燃 料 噴 射 時 期 の 影 響 と 作 動 油 圧 の 影 響 に つ い て 調 べ た.比 較 と して 示 す カム 駆 動 式 の 実 験 は 燃 料1噴射 装 置 改 造 の 前 に 実 施 し た もの で あ る. 負 荷 は 舶用 負 荷 特 性 で25。50,75,100%と し た. 燃 料 はA重 油 を 使用 し た.排 気 ガ ス 計 測 に は,NOx は 化 学 発 光 式NOx分 析 計,粒子 状 物 質(以下,PM と 称 す る)は ダ ブ ル ダ イリュ ー シ ョン トン ネ ル シ ス テ 図3実 験装 置 全 体 写 真 図4負 荷 率 に対 す るNOx排 出特 性 ム,酸 素 濃 度 は 磁 気 風 式 酸 素 濃 度 計 を 使用 し た. NOx濃 度 は13%酸 素 濃 度値 に 換 算 して 整 理 し た.燃 料 噴 射 時 期 に 関 して は,菅 火 時 期 で 整 理 す る こ と に した.着 火時 期 は,シ リン ダ 内 の 圧力上 昇 率 がdp/d θ>0.1MPa/度(θ:ク ラ ン ク 角)と な る クラン ク 角 と した. 3.実 験 結 果 お よ び 考 察 3.1電 子 制 御 式燃 料 噴 射 装 置 に よる舶 用 負荷 運 転 結 果 燃 料 噴 射 装 置 を油 圧1駆動 電子 制 御 式 に 改 造 した実 験 機 関 は25%負 荷 か ら100%負 荷 まで の 範 囲 で ほぼ 良 好 に運 転 す ることが で きた.図4∼ 図6に 負 荷 率25%∼100%に お け る運 転 結 果 を示 す.こ こ で作 動 油 圧 は20MPaで あり,燃 料1噴射 時 期 は燃 料 消 費 率 が ほ ぼ 最 小 となるように 設 定 した. NOx排 川 量(図4)は 電子 制 御 化 によ って 全 負 荷 範 囲 で180∼250ppmの 改善 が 得 られ た.PM排出量 (図5)も 雷子 制 御 化 によって 大幅 に 低 減 し,全 負 荷 範
燃 料噴射 系の電 子制御 化によ る舶 用デ ィーゼル機 関の排 気 ガス特性 の改善 図5負 荷 率 に対 す るPM排 出特性 (作動 油 圧20MPa) 図6燃 料 消 費 率 の 比 較(作 動 油 圧20MPa) 図7燃 料 ポ ンプ 出口圧 力 の比 較 囲 で フラットとな った.カ ム式 でPM排 出 量 が 増 加 す る25%負 荷 で は,電 子 制 御 化 に よってPM排 出 量 は カム式 の1/3に まで 低 減 した.一 方,燃 料 消 費 率(図 6)は,負 荷 率25%で は カム式 と比 較 して 電 子 制 御化 に よって 改 善 が 得 られ た が,負 荷 率75%以下 で は カ ム 式 に 及 ば なか っ た. 図7に カム駆 動 式 お よび 電 子 制 御 油 圧 駆 動 式 の場 合 の燃 料 噴 射 圧 の 変 化 を示 す.カ ム駆 動 の 場 合,ク ランク角 に対 す る噴 射 初 期 の 噴 射 圧 の 上昇 は比 較 的 緩 やか で あり,噴 射 最 高 圧 及 び 噴 射 持 続 時 間(ク ラン ク角)は 負 荷 の 増 加 と共 に増 大 す る.こ れ に 対 して油 圧 駆 動 の 場 合,噴 射 圧 の上 昇 速 度 は カム式 に比 べ て 人 きく,最 高 噴 射 圧 は 負 荷(回 転 速 度)に よ って ほと ん ど変 わ らない.こ の た め,低 負 荷(低 回 転 速 度)で は カム駆 動 に比 べ て 最 高 圧 力 は 高 くな るが,高 負 荷 (高回 転 速 度)で は 最 高 圧 力 は低 くな り,こ れ に 伴 っ て 噴 射 持 続 時 間 は長 くな る.高 負 荷 に お い て 燃 料 消 費 率 が カム式 に 及 ば ない 理 由 は,カ ム式 に比 べ て 燃 焼 全 体 が遅 れ す ぎ るため と考 えられ る. 3.2着 火 時 期 の 影 響 一25%負 荷 の 場 合 カム式 で は 定 格 負 荷 近 辺 で 最適 値 を取 るように燃 料 噴 射 時 期 を設 定 す ると,低 負 荷 で は 最 適 値 か らの ず れ が 大 きくな り,燃 料 消 費 率 と排 ガ ス特 性 は悪 化 す る.そ こ で,電 子 制 御 化 に よる噴 射 時 期 最 適 化 の効 果 は低 負 荷 で 大 きい と考 えて,舶 用 負荷 特 性 の25%負 荷 で, 燃 料 着 火 時 期 を上 死 点 か ら上 死 点 後10度 まで 変 え て,最 適 噴 射 時 期 を 調 べ た.カ ム式 の場 合 の 着 火 時 期 は ほ ぼ 上 死 点 で ある. 図8∼ 図10に 着 火 時 期 を変 えた場 合 のNOxとPM 排 出 特 性,お よ び 燃 料 消 費 率 を 示 す.NOx排 出 量 (図8)は 着 火 時 期 が.ヒ死点 か ら遅 れ るに従 って 減 少
燃 料噴射 系の電 子制 御化 によ る舶 用デ ィーゼル機 関の排気 ガス特性 の改善 図8着 火 時 期 に 対 す るNOx排 出 特 性 (作 動 油 圧20MPa,25%負 荷) 図9着 火 時 期 に 対 す るPM排 出 特 性 (作 動 油 圧20MPa,25%負 荷) 図10着 火 時 期 に 対 す る燃 料 消 費 率 (作 動 油 圧20MPa,25%負 荷) 図11着 火 タ イ ミ ン グ の 影 響 一 指 圧 線 図 比 較 (作 動 油 圧20MPa,25%負 荷) し,ク ランク角0度 か ら10度 まで の 間 で 約16%減 少 す る.PM排 出量(図9)は 着 火 時期 が遅 れ るに 従 って 減 少 し,ク ランク角8度 で 最 小 値 を とり,さらに 着 火 を 遅 らせ ると再 び 増 加 す る.燃 料 消 費 率(図10)はPM 排 出 特性 と同 様 に着 火 時 期 をクランク角8度 とした時 に 最 小 とな る.今 回 の 場 合,着 火 時 期 を 上 死 点 後8 度 とす るとカム式 と比 較 してNOxは11%PMは68%, 燃 料消 費 率 は4%の 改 善 が得 られ る.こ の ように低 負 荷 で排 ガ ス特 性 と燃 料 消 費 率 を 同 時 に 改 善 す る着 火 時 期 を電 子 制 御化 によ って 容 易 に選 ぶ ことが で き る. 図9は また,着 火 時 期 が上 死 点 で あって も,PM排 出 量 が 電 子 制 御 化 に よって カム 式 の 場 合 の 約60%に 減 少 した ことを示 して い る.図7で カム式 と電 子制 御 式 の 噴 射 圧 特 性 を比 較 す ると,25%負 荷 で は噴 射 初 期 の 圧 力 上 昇 率 およ び 最 高 噴 射 圧 は油 圧 駆 動 電 子 制 御 式 で は カム式 に比 べ て 大 きく,噴 射 初 期 の 噴 霧 の 高 速 化 がPM排 出 量 の 低 減 に つ な が った もの と推 測 され る. 図11に25%負 荷 に お い て 着 火 時 期 を変 え た場 合 の 指 圧 線 図 を示 す.着 火 時 期 が遅 れ るに従 って シ リ ンダ内 最 高 圧 力 は低 下 す る.燃 料 消 費 率 とPM排 出 量 を悪 化 させ な い範 囲 で着 火 時 期 を遅 らせ ることは, NOxを 低 減 させ る とともに部 材 強 度 の 面 か らも好 ま しい. 3.3作 動 油 圧 に関 す る考 察 本 装 置 の 油 圧 ユ ニ ットは最 大35MPaま で の 作 動 油 圧 を 山 す ことが で き るが,作 動 油 圧 を 高 め ると,着 火 時 期 の ぶ れ が 大 き くな り,実 験 機 関 の 運 転 が 不 安 定 に な る傾 向 が 見 ら れ た.こ の た め 実;験は20∼30MPaま で で 実 施 し, 30MPaの 実 験 は燃 料 消 費 率 の 測 定 の み を行 った. 着 火 時 期 は25%負 荷 で は上 死 点 後4∼8度,75% 負 荷 で は約 上 死 点 後2度 に設 定 した.作 動 油 圧 を高 め ると,噴 射 遅 れ 時 間 とともに着 火 遅 れ 時 間 も短 縮 さ れ,着 火 時 期 が 設 定 値 か らず れ るた め,作 動 油 圧 を 変 える 毎 に 着 火 時 期 を 一致 させ るよ うに 設 定 の調 整
燃 料噴射 系の電 子制 御化 によ る舶 用デ ィーゼル機関 の排気 ガス特性 の改 善 図12作 動 油 圧 の 影響 を行 った が,シ リンダ間 の差 も大 きく,全体 として 着 火 時 期 は 設 定 に 対 して プ ラスマ イナ ス2度 程 度 の 不 一 致 が 生 じた. 図12に25%負 荷 お よび75%負 荷 にお ける作 動 油 圧 の影 響 を示 す.25%負 荷 で は作 動 油 圧 の上 昇 とと もに燃 料 消 費 率 は 改 善 され,NOx排 出量 は わ ず か に 増加 す るが,75%負 荷 で は燃 料 消 費率,NOx排 出 量 ともに 大 きな差 は認 め られ な か っ た.PM排 山 量 の測 定値 はば らつ きが 大 きく,有 意 の 結 果 とす るに は デ ー タが不 足 して い るが,作 動 油 圧 の上 昇 とともに 若 干改 善 され る傾 向 が 見 られ た 。 図13に 作 動 油 圧 を変 え た場 合 の 燃 料 噴 射 圧 特 性 を示 す.作 動 油 圧 を20∼30MPaと した場 合,最 大 噴 射圧 の 変 化 は75%負 荷 で1.2倍 に 止 まった.作 動 油 圧 に比 例 して 最 大噴 射 圧 が 得 られ な か っ た理 由 は, 本装 置 の 油 圧 回 路 の 構 成 や流 路 抵 抗 に よると考 えら れ る.図12で,高 負 荷 に お い て 作 動 油 圧 の 影 響 が は っきり現 れ な か っ た理 由 は,最 大 噴 射 圧 が実 験 した 作動 油 圧 の 範 囲 で あ まり変 わ らな か っ た ことが一 因 図13燃 料 噴射 圧 に対 す る作 動 油 圧 の 影響 (75%負 荷) と 考 え ら れ る. 4.ま と め 舶 用4サ イクル 中速 デ ィーゼ ル機 関 の 燃 料 噴 射 系 を油 圧 駆 動 電 子 制 御 式 に改 造 し,運 転 試 験 を実 施 す ることが で きた. (1)燃 料 噴 射 系 を油 圧 駆 動 電 子 制 御 化 す ることに より,カ ム駆 動 式 に比 べ てPM排 出 量 を大 幅 に 低 減 す ることが で きた.噴 射 時 期 の 適 正 化 と共 に 燃 料 噴 射 初 期 の 噴 射 圧 力上 昇 速 度 の 増 加 に よって 燃 料 の 微 粒 化 及 び空 気 との 混 合 が 促 進 され るなど 、燃 料 噴 霧 特 性 が改 善 され た結 果 と考 え られ る. (2)電 子制 御 によ る燃 料 着 火 時 期 の最 適 化 は特 に 低 負 荷 域 で 効 果 が 大 きく,25%負 荷 で は,NOx排 出 量,PM排 出 量 お よ び燃 料 消 費 率 を 同時 に 改 善す る 最適 着 火 時 期 が 得 られ た.最 適 着 火 時 期 は機 関 負 荷 条 件 に よって 異 な って お り,噴 射 時 期 を 任 意 に 設 定 で きる電 子 制 御化 は排 気 ガ ス特 性 の 改善 に有 用 で あ ることが示 され た. (3)本 試 験 装 置 で は,作 動 圧 力 を 高 くす ると燃 料 配管 の振 動 や 着 火 時 期 の ぶ れ が 生 じ,機 関 運 転 が 不 安 定 に な る傾 向 が認 め られ た.ま た,作 動 油 圧 の 増 加 に 対 して噴 射 圧 力 の 増 加 は 不 十 分 で あり,作 動 油 圧 の 影 響 に 関 す る実 験 範 囲 が 限 定 され る結 果 とな っ た.し か し,そ の実 験 範 囲 で,低 負荷 域 で は 作 動 油 圧
燃料噴射 系の電 子制御化 に よ る舶用 デ ィーゼル機 関の排 気 ガス特性 の改 善 を高 め ることに より,燃 料 消 費 率 お よびPM排 出 特 性 が 改 善 され る傾 向 が認 め られ た. 最 後 に,本 報 告 の 油 圧駆 動電 子制 御 式 燃 料 噴 射 装 置 の 製 作 にあた って 多人 の 協 力 をい た だ い た(株)ナ ブ コの 関 係 者 の 方 々に厚 く謝 意 を表 す る. 参 考 文 献 1)中 島 ほ か5名,舶 機 誌,34-7(平11-7),419. 2)塚 原 ほ か3名,船 研 講43同 前 刷,(昭59-5),140. 3)佐 藤 ほ か5名,舶 機 誌,26-6,7(平3-6,7)12,44. 4)石 村 ほ か6名,舶 機 講63回 前 刷,(平11-10),149.