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ガイドラインに基づく尿路結石症の診断と治療 2.下部尿路結石症

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動物臨床医学 Jour nal of A nimal Clinical Medicine, Vol. 29, No. 1, 2020 008 - 特別寄稿 - 

ガイドラインに基づく尿路結石症の診断と治療

2. 下部尿路結石症

岩井 聡美 北里大学獣医学部獣医学科小動物第 2 外科学研究室(〒 034-8628 青森県十和田市東 23 番町 35 番 1 号)

A Diagnosis and Treatment of Urolithiasis Based on Guidelines

2. Lower Urinary Tract Uroliths

Satomi IWAI

2nd Department of Small Animal Surgery, School of Veterinary Medicine, Kitasato University, 23-35-1 Higashi, Towada-shi, Aomori 034-8628, Japan

(動物臨床医学 ₂₉(₁)₈-₉, ₂₀₂₀) ₁₉₈₀ 年代当初,犬では尿石のほとんどがストルバ イトであった[₁]。しかしながら,近年,その割合は 変化し,ストルバイトとシュウ酸カルシウム結石が同 等またはシュウ酸カルシウム結石の方が多い傾向にあ る。日本における状況についても,ストルバイトとシュ ウ酸カルシウム結石の割合は同様な傾向を示している [₂]。年齢によって尿石の種類も変わり,₆ 歳齢までは ストルバイトが優性で,₇ 歳齢以降はシュウ酸カルシ ウム結石が優性となる傾向にあるといわれている。犬 では下部尿路における感染症が多く,ウレアーゼ産生 菌の感染により尿 pH を上昇させることから,下部尿 路におけるストルバイト結石の発生も多い。 シーズー,ミニチュアシュナウザー,ビションフリー ゼはシュウ酸カルシウム結石の好発犬種といわれてい るが[₃],日本においては,トイプードル,チワワな どにおいても好発する。シーズー,ミニチュアシュナ ウザー,ビションフリーゼは尿中のカルシウム濃度が 高いことがわかっており,それによるシュウ酸カルシ ウム結石が生じやすいと考えられている。また,犬と 猫の違いは,前述したように犬の膀胱感染が多いため に,腎盂や尿管の結石のある症例は腎盂にも感染が及 ぶことが多く,腎盂腎炎が重篤化して来院する場合も ある。 猫の下部尿路結石としてシュウ酸カルシウム結石と ストルバイトが代表的であるが,プリン尿石,シスチ ン,シリカや,複数の成分が凝結した複合結石や混合 結石なども認められる。₁₉₈₀ 年代初頭,猫の下部尿 路における尿石のほとんどはストラバイトであったが [₁],近年,シュウ酸カルシウム結石とストルバイト結 石の割合がどちらも ₄₀% 程度,またはシュウ酸カルシ ウム結石の方がやや高い発生率を示すともいわれてい る。日本における犬と猫の尿石症に対する疫学調査に おいても,ストルバイトとシュウ酸カルシウム結石の 割合は同様な割合を示している。年齢によって結石の 種類は変遷し,₈ 歳まではストルバイト結石が優勢で あるが,₁₀ 歳以降はシュウ酸カルシウム結石が優勢と なる傾向がある。 ストルバイト結石には非感染性と感染性がある。猫 はほとんどが前者である。非感染性は ₁ ~ ₁₀ 歳,感染 性は ₁ 歳未満~ ₁₀ 歳以上と広い年齢層で発生する。非 感染性の好発年齢は ₆ ~ ₈ 歳である。雌での発生が多 いとされるが,雌雄ほぼ同程度との報告もある。ペル シャ,ロシアンブルー,アビシニアン,シャム,ヒマ ラヤンなどに好発するとされ,雑種での発生も多い。 シュウ酸カルシウム結石は高齢での発生が多いとい われてきたが,若齢での発生も増えている。アメリカ ン・ショートヘアや,ペルシャ,ノルウェージャン・ フォレスト・キャットなどの長毛種に好発するといわ れているが,雑種での発生も多い。筆者の経験ではス コティッシュフォールド,マンチカンも発生が多い。 これら以外の結石に関する情報は少ない。シスチン 結石は近位尿細管での再吸収障害と腸管輸送の変化が 原因であると考えられており,遺伝的要因も関与して いるようである[₄]。尿酸塩結石は ₄ ~ ₇ 歳,避妊・

(2)

動物臨床医学 Jour nal of A nimal Clinical Medicine, Vol. 29, No. 1, 2020 009 ガイドラインに基づく尿路結石症の診断と治療 2. 下部尿路結石症 困難な治療法もある。こういった対応でも解除できな い尿路閉塞は,尿道切開,尿道造瘻などの外科処置を 行わなければならないが,ガイドラインとしては,最 終的な治療法としている。 これらの治療指針をもとに,日本にも適応可能なガ イドラインとしてお示しできたら幸甚である。 引 用 文 献

₁) Minnesota Urolith Center homepage より  http:// veterinarynews.dvm₃₆₀.com/canine-and-feline-urolith-epidemiology-₁₉₈₁-₂₀₁₃?pageID=₁

₂) 徳本一義.日本国内のイヌとネコの尿石症の疫学的 考察.日本獣医腎泌尿器学会誌.₃:₃₆-₄₅,₂₀₁₀. ₃) Growth EM, Lulich JP, Chew DJ, et al : Vitamin D

metabolism in dogs with and without hypercalciuric calcium oxalate urolithiasis. J Vet Intern Med, ₃₃, ₇₅₈-₇₆₃ (₂₀₁₉)

₄) Mizukami K, Raj K, Giger U : Feline cystinuria caused by a missense mutation in the SLC₃A₁ gene. J Vet Intern

Med. ₂₉, ₁₂₀-₁₂₅ (₂₀₁₅⎠. doi: ₁₀.₁₁₁₁/jvim.₁₂₅₀₁

₅) https://onlinelibrary.wiley.com/doi/epdf/₁₀.₁₁₁₁/ jvim.₁₄₅₅₉ 去勢猫の膀胱または尿道内に発生しやすく,好発猫種 としてエジプシャン・マウ,バーマン,オシキャット が挙げられる。ほかの結石と違い,アメリカン・ショー トヘア,ペルシャ,アビシニアンでの発生は少ないと いわれている。いずれも,食事の成分,尿 pH,食事回 数などが複雑に関与して発生する。 膀胱結石や尿道結石では,しぶり,頻尿,血尿が認 められる。悪化すると食欲不振や元気減退などを呈す る。完全な両側尿管閉塞や尿道閉塞では,腎後性腎障 害の臨床徴候が急激に発現する。尿毒症に陥ると,嘔 吐, 下痢, 脱水, 沈うつ, 口臭, 腹痛, 乏尿(< ₀.₂₇ ml/ kg/hr),無尿(< ₀.₀₇ ml/kg/hr)を呈し,さらに進行す ると虚脱,ショック,痙攣,徐脈や不整脈などがみら れる。

こういった現状のなか,American College of Veterinary Internal Medicine (ACVIM) は,推奨される診断・治療指 針を提示している[₅]。 下部尿路の結石は,未だストルバイトの発生が少な くないことから,溶解可能な結石はまず内科的に溶解 する治療を行うことを推奨している。内科治療では対 処できない結石は,低侵襲な治療法として尿路水圧推 進法や,バスケットによる回収,レーザー結石破砕法, 膀胱切開の代わりとして経皮的膀胱切石術といった方 法を提示しているが,雄猫では尿道が細いため適応が

参照

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