159
学
会 記 事
第
46
回 日本 図書
館
情 報
学会研 究大会
学
会名
称 変 更 記 念
シ
ン
ポ ジ
ウ
ム
記 録
図
書館
情報
学
の
展
望
日時
:1998 年 11
月8
日(
日)14
:15 〜16
:45
場 所 :青 山学 院 大 学 大 会 議 室(
総 研ビル11
階)
パネリス ト大 城 善盛
(
同志 社 大学文
学部)
田村 俊 作
優
應義
塾大
学文学 部 ) 原 田 勝 (図書 館 情 報 大 学 ) 司 会根本
彰 (
東京大
学 大 学 院教 育 学 研 究 科)
村 主 朋 英 (愛 知 淑 徳 大 学 文 学 部
)
司会(
根
本)
:今 回の シ ンポ ジ ウム は研 究 委員会 が 編 集した論 集 第18
集
『図書 館 情 報 学の アイ デ ンティ テ ィ』と リンクしてお ります。 その 編 集 を 担 当い た しまし た 私,根
本が,
これ か らの進 行 役 を務め さ せてい た だき ます。 合わ せ て編 集を務め ました愛 知 淑 徳 大 学の村 主 朋 英さ んに司会
の一
端 を手 伝っ てい た だ き ます。パ ネ リ ス ト に
3
名の かた を お招 き してお りま す。 おひとりは,
同志社 大学
の大
城善
盛 先生です。 大 城先
生に は,
以前
に会 報に学 会の名 称 を早 く変 えて ほ しい との御 提言 をい た だ き ま して, それ が 今回,
常任 理事
会で も学 会 名 称 変 更の大 きな力と なっ たの です が, そ うい うこ と も含
めて御
発 言い た だ きたい と思っ てお り ます。 それ から , 慶 應 義 塾大
学文学 部の田村 俊 作 先生 に お越しい た だい て お ります。 発表
要 綱の自
己紹介
の欄を お読みのか た は お気
付 き と思い ますが, 田村 先 生は今
回の名
称 変 更に は反 対 票 を投じ ら れ た という
ことで,
い ろい ろ お考えの こ と がお あ りになろうか と考
え ま してお 招 きい たしました。
3
人 目 とい た し まし て, 図書 館 情報大
学の原 田勝 先生 にお越 しい た だい て お ります。 原田先 生は電子 図書 館や科
学 技 術 情 報 の 研 究を な さっ ておられ, どちら か という
と情報
関 係に お強い とい う イメー
ジ を もっ てお ります。 そうい う立場
か らの お話が おあ りになろ うかと思 い ます。 こ の3
名のか た を 中 心 に,
こ れ か ら議 論 をしてい きたい と 思い ます。シンポ ジ ウム の 目的です が, 今 回
,
学 会 名称が 「日本 図 書 館情報学会
」 と変 更に な り ま した が,
こ れ が何
を意味す
るのか という
こと につ い ては学
会 全 体の合 意 を得る に至っ てい ない と 思い ます。今
回の 議論の 場を,
図 書 館 学 会から図 書 館 情 報 学会
へ と名 前を変え た意 味につ い て,
会 員の皆さん と考 える機 会に し たい と思っ てい ます。そ れで ,討 議
資
料をい くつ か 用意い た し ま し た。 まず,
公 式の文
書とい た し ま して,
通 信 総 会の議 題 と して提 出し た,
学 会 名 称 変 更の提 案 事項 と提 案 理 由 を 『研 究 大 会 要 綱 』に再 掲い た しま した。 これ が ひとつ の手が か りにな る だろ うと思い ま す。それ から
2
番目として,
昨年
, 本 学 会の 図書 館情報学
用語委
員 会が編 集 した 『図 書 館 情 報 学用語 辞 典』
が刊 行さ れ ま し た が,
そこか ら 「図書 館 情 報学」および 「図書 館 学」, 「ド キュ メ ン テー
シ ョ ン」, 「情 報 学 」とい っ た言 葉の定
義を引用 してお きま し た。 これにつ い て全 体の合 意が必 ずしもな い か も し れ ま せんが, あ ま り違っ た 理解か ら 出発 すると議 論が混 乱 するの で,
少な くとも用 語 委 員 会の レベ ル で こ うい っ た合 意があっ た という
こと を踏 ま えて,
先へ 議 論を進めてい きたい と考えて お ります。研 究
委
員 会で は,「
図 書 館 情 報 学 研 究 と その支 援 体 制 」とい う報 告 書を作 成い た しまし た。
これ はワー
キング グルー
プ で 正味2
年ほ どい ろ い ろ議160 図書館学会年報 Vel
,
44,
No.
4,
Feb.
1ggg 論し た結果で ありまして,
第1
部は,
本 学 会が こ れまで どうい うこと をやっ て き た か を 全 体 的にま と めまし て, 合 わせ て図書 館 関係の各 団体の研 究活動
をレ ビュー
し , さ ら に図 書 館 学 あるい は 図書 館 情 報 学の 関連の 学 会で どうい う研 究 支 援 活 動が 行わ れてい るか をレ ビュー
い た してお ります。第
2
部では,
先ほ ど午 前 中の最 後の発 表でワー
キン グ グルー
プの メ ンバー
の倉
田敬 子さ ん に発表
し て い ただ き まし た が, 日本に おける図 書 館 情 報 学 研 究の動 向 を,
発 表さ れ た論 文 を分析 することでま と めてお ります。 第3
部と して,
そ れ を基に し て 図 書館
情 報 学を活性
化 する た めの 方 策 を提 言 をさ せてい た だい てお りま す。 こ の報告書
をひとつ の 資 料と して使用 したい と考 えてお ります。も うひ とつ の資 料として, 「論 集
・
図 書 館 情報
学 研 究の 歩みj
第18
集 『図 書 館 情 報 学の ア イデ ンテ ィ テ ィ』が あ り ま す。 これは図書 館 情 報 学に つ いて各 会 員 か ら 自由にテー
マ を ご応募
い た だ き論文
を執筆
し てい た だい た もの であ りま して,
今 後の図 書 館 情 報 学の動向
を考 えるの に参考
に な る だ ろうとい うこ とで, こ こ で資
料とし て使い たい と 思っ てお りま す。後
ほ どセ ッ ショ ン を2
つ に分 けようと思っ てお りますが, 「報 告 書 」と 「論 集 」 の2 点
につ い ては,
セ ッ シ ョン の 前 半,
後 半の 最 初に,
も うひとりの司 会の村主 さん の ほうか ら,
その 内容につ いて若
干の報
告を さ せ てい ただ きた い と思っ てお ります。今 後の進め方です が
,
前 半,
1
時 間と少 しほ ど,
まず 図書 館 学と図書 館 情 報 学を どの よう
にとらえ るかにつ い て議 論し ます。 最 初に村主 さ ん か ら少 し お話
し さ せ てい ただい て,
そのあとパ ネリス ト か ら各10
分ほ ど お話 しい た だい て, その後,
フ ロ アか らの 発 言 をい ただこ うと考 えて お ります。 そこ で休 憩を入れ ま して,
後 半は,今後
の図書
館 情 報 学は どう
あるべ きか, 学 会は どの よ うな活 動 を行う
べ き か,
とい うテー
マ で 同 じ ように お話し い た だ き,
その後にフロ ア との議 論を進めてい こ うか と考えてお ります。何 度 かアナ ウン ス した ように
,事
前に フロ アか らの発 言を通 告 してい た だこう
と思 っ てい ます が, 現在の とこ ろ1
枚も質 問が袋に入っ てお りま せ ん。 たぶ ん,
議 論 を 聞 か ない と意 見 も出 ない と い うこと はある で しょ うか ら,
この前半
の議論
を 聞 か れて,
休 憩 時 間にお書 きになっ てい た だけれ ば,
私 どもと し て は司 会 進 行 を進めやす くな りま すの で , どうかご協
力を お願い し たい と 思い ま す。
そ うい うこ とで,
早速,
議 論 に 入 りたい と思い ます。 まず,
これまで この 学 会は 日本 図 書館
学 会 と して活 動 して きた わけですが,
図書 館 学 あるい は 図書 館 情 報 学 をど のように と らえた らい い のか につ い て議 論し たい と思い ます
。 まず,
村 主さん の ほうか らお 願い し ます。 司 会(
村 主)
:シンポジ ウム前 半は要 する に分 野 論という
こ とで進
め さ せてい ただ き ます。 まずは 図 書 館 情 報 学と は何か, ひ とつ の ま と まっ た領 域 であ るのか とい っ た問題 を 扱う
セ ッ シ ョ ン とな り ま す。 これに闘 しまし て は, 論 集 第18
集『
図 書 館 情 報 学の ア イ デンテ ィ テ ィ』に収 録さ れ た諸’
論 文が ひとつ の ベー
ス と なる と思い ま す。ま
ず
こ の中に収 録さ れた 論 文の う ち,
上 田 論 文 が 冒 頭 にござ
い ます。 こちら が,
図書館情報学
の ア イ デ ンテ ィティあるい は まとま りとい った もの を真
正 面 か ら扱
っ たもの と なっ てお り ます。
そこ で はまず, 図 書 館 情 報 学とい う言 葉が教 育上の概 念であ る と 認 識 さ れ てい る こ と が指 摘され た あ と, 特に教 育 面では図 書館
学と情報
学と がい まだ 融 合せずに併存
してい ることが確 認さ れ,
そ れか ら 図書 館 学 を軸と して情 報 学が導 入さ れて い る と いう
図 式にある とい うこ と,
つ ま り対 等の関 係で は なくて図 書 館 学が軸で あ る という
こと が 調査 結 果 と して報 告され て お り, まし て や研 究 面では図書
館学
と情
報学
とが二分さ れ る傾 向にあるとい っ たこ とも結 論の中に含ま れて お ります。一
方,
この論集
の 中で ほかの 論 文の だ い たい の 構 成を見ますと,
全体と しては 図書 館 学 寄 りか情報学
寄 りの い ずれ か に分 類できて しま う, つ ま り 図らずも 上 田論文
の指
摘 を裏 付け る構 成で ある と い うのが, こ の論 集の搆 造になっ てお ります。 そう
い っ た こと を踏まえ ます と, せっ か く学 会の名 称を 日本 図書 館 情 報 学 会と変 更して も, 依 然 と し て ま とま りとか独 自性 を見 出せない ま までこ の分 野が進 行して し ま うの で はない か とい う懸 念があ ります。
そうい っ たこ とから,
この研 究 委 員 会と して改めて今 回,
図 書 館 情 報 学の アイ デン テ ィ テ ィの 問題 を問い直 すべ きで はない かと考 え, こ の企 画に入っ たとい う次 第です
。
さ て
,
こ の図書 館情報
学と は何か,
も しくは図 書 館学 さ らに情 報学とは何か, そ の相互関係は, とい っ た問 題 は か な り古 くから,特
に情報学
とい う名 前が発生 し た段 階か ら長 年, 論 じられ て きた 挙げ句
に,
結 局,
決 着をみない ま ま現 在に保 留 さ れてい る状 態だ と認 識 してお ります。 今 回に関し まし ても, コ ン セ ンサスま で は得ら れ ない か も し れ ない と 思い ま す が,
少 なくと も,
い くつ かの考 え方 を改めて洗い 出 し同 定し て,
い まだに相互 に 相 違し てい る点と,
逆にい まの段階にな る と共 有 ができて きた とい う部 分と を確 認 する こ とを,
最 初の セ ッシ ョ ンで は考
えて おり
ます。 司 会(
根 本)
:あ りがとうござい ま した。 紹 介の 中で,
論 集の上田論 文が挙 げら れ, 図書 館情
報学
とい う概 念が教 育 的な概 念であ り, 研 究 面では実 際には図 書 館 学と情 報 学とで分か れ て しま うのだ とい う指 摘が あっ た とい うこ と は,
我わ れ が今 後, 議 論 をする上で頭に と どめてお き たい点 だ と思い ます。
そ れ で はパネリス トのか た か ら ご意 見を頂 戴し たい と思い ます。 まず
,
大 城 先 生か ら お願い いた し ます。 大 城 :先ほ ど根 本 さんか ら紹 介があ り ました よう
に,
私が こ こに 坐っ て い ますのは, 図 書 館 情 報 学 会の名 称 変 更を提 案し た ひ と りだ という
こ と で,
責 任の一
端 を果 た す た め に 坐っ てい る わけであ り ます。 今 日は私 見 を述べ ま して, 活 発 な 論 議の種 を蒔 く役目を果 た し たい と思い ます。まず
,
図書 館学 を どの ように と ら え る か とい う ことなの です が, 図 書 館 学の特 徴は, 図 書 館 をコ ミュ ニ テ ィ の情 報ニー
ズ に応 える社会
的機
閧と 理 解し,
その機 能を遂 行 するために, 図 書 館に 関 わ る諸現象
, 具体的 に は 制度,
運営,資
料,
組 織 化,
サー
ビス な どに関し て研 究 する ことであると 思い ます。 そ して,
図 書 館が収 集 する資 料や組 織 化の 単 位と して,
図 書 や雑 誌 などの情 報 源 が 中 核にな っ てい る こと, す なわちモ ノグ ラフ単 位であるこ と,
また はパ ッケー
ジ系
と して と ら えて い るこ と に特 徴がある と思い ます。 も ちろ ん,
図書
館お よ び図書 館 活 動の歴史的 研 究も図書館
学の一
部を な し ます。 歴 史的研 究 も図 書 館 学の一
部 を なします とい う言い 方は,
あとで も触れ ますが,
図 書 館 学 シンポ ジウム記 録:図.
書館 情 報 学の展 望、
161
は ほ かの純
粋な学
問 と違い ま して, 図書館
専 門職 の知 的 基 盤と なる実 践 科 学である と私は考 えてい る か ら で あ ります。
よ く学 問の た めの 学聞 とか,
学
問の無
目的性
という
こ と がい わ れますが, 図書 館 学に 関 し ては,
図書 館 専門職の知的基 盤の強化 とい う 目的があ り, その意 味で実 践 科 学とい う用 語 を使っ てい ます。
その ように考
える た めに, 図 書 館お よ び図書 館 活 動の歴 史 的 研 究 も図書 館 学の一
部をなすとい うい い 方を します 。 図書 館 学は き わめ て実 用 的な学問 で は ない か と 思い ます。今 度は,図書 館 情 報 学につ い て考 えてみますと
,
図書 館情報
学は,
い ま 述べ ま し た図書 館 学に情 報 学が付 け加
わっ た研 究 領 域である と思い ます。 コ ンピュー
タ が図書
館に導
入 さ れ たこ と に より,
図書館
の諸活動
が情報
学と密 接に結びつ くようにな っ て き まし た。 主 題ア クセ ス とし ての件名
もし く は件名標
目表
は シソー
ラス化 し,
レファ レンスは 情 報 検 索と深 く結びつ い てきて います。
図書 館が 収 集 対 象 とし てい る資
料に関しまして も,
デー
タ ベー
ス や イン ター
ネッ トなどが 図 書 館の必 須の情 報 源になっ てきてい る と思い ます。
そ して,
そ れ ら情報
源の 理解,
図書館
に おける位 置づ け , 使 用 能 力, および利 用 者へ の使い 方の 指 導な ど が, 図 書 館 員の 重 要な仕事
に なっ てきてい る の で は ない かと思い ます。 その ような図 書 館 現 象を理 解 する た めに,
図 書 館を社 会 的 機 関と して とら える こと に加 えて,
情 報 サー
ビス機 関の ひとつ とし て位置付
け,情報
の 利 用お よ び利 用 者, 情 報の生産と流 通, 情 報およ び情 報 源の 選 択と収 集,
情 報の 組 織 化, 情 報の 提 供お よ び解釈,情報機
関の管
理 と運 営, 情 報 政 策 な ど, 情 報をキー
コ ンセ プ トに して慨究
する 必要 がある よう
に 思 わ れ ま す。 その学 問 領域 を私は図 書 館 情 報 学と名 付 けたい と思い ます。図書 館 情報 学には
,
2
本の 大き な研 究 領 域があ る よう
に 思い ま す。 ひ とつ は社 会 的 機 関として の 図書 館の究 明であ りま す。 根 本さ んの翻 訳し たハ リス (Michael
Harris
)の論 文を読み ますと, す な わち『
図書 館の社 会 理 論』
とい う本の こと を言っ てい る わけであ りますが, ア メリカ の公 共 図書 館 の歴史は多
元 主義の視 座で理解
さ れて き たよう
で あ ります。 その 理解の是非
は と も か くと して,
ま た, 公 共 図 書館は体 制 側の文 化の再 生 産の機 能 を162 図 書館学会 年報 Vol
.
44,
No,
4,
Feb.
ユ999 果た して きた という
解 釈 も成 り立つ ようであ りま す が,
その 解 釈の 是非 もともか くとして,
わが 国 で も公 共 図 書 館の社 会 的 機 能 もしくは存 在 意 義は何
か な ど,
そ の 歴史的解釈
も含
め て,
もっ と社 会 学 的に研 究 し てい く必要がある ように思い ます。 社 会 学は きわ めてイ デ オロ ギー
的である ように,
公 共 図 書 館の社 会 的機 能につ い て の解 釈 もイデオ ロ ギー
性は免れない の で はない かと思います。
保 守 的な 人 が考える公共 図 書 館の社 会的機 能と,
革 新的 な 人 が考 える公 共 図 書 館の社 会 的 機 能は自ず と異 なる でありましょう
し,
そ れを理 論 的に解 明 もしくは説 明 する必 要 が あると思い ます。そ して, その 理 論に基
づい て利 用者
を確定
し,情報
および 清 報 源の収 集 理 論を構 築 し, 組 織 化理論や提 供理 論を構築
し てい く必要
がある ように思い ます。また, 学 校 図書 館や大 学 図 書 館を考えてみ ます と, その社 会 的機 関とい うこ とに加え ま して
,
教 育 的 機 能と か教 育 的 支 援 機 能が強 く要 求さ れ る と 思い ま す。 大学
図書館
の場合
は,文
化お よ び学
問 の伝承機
能 も強 く要 求さ れますが,
教 育 的機 能に 関 し ま しては, 教 育 学 的 見地 か らの説 明が 必要で あるよう
に 思い ま す。 例えば, ア メ リカ の大 学図 書 館に おい て教 育 的 機 能という
の は,
歴史的 に見 た場 合,
大 きな揺れが あ ります。 その揺 れの原 因 を究 明 する必要が あ りますし,
その原因につ い て は, 私は図 書 館の 内 部 的 要 因と外 部 的 要 因の2
つ が考え ら れ る と 思い ます。 結 局,
私がこ こで 言い たい のは, 図書 館の社会
的 機 関と か教育
的機能
と い う場合,
社 会学 的 な,
教 育 学的 な視野 か らの研 究が必要になる とい うこ とで す。学 校 図 書 館に関 しては, 今 日の午 後の研 究発 表 で
,
平 久 江 祐司 さ ん か ら,
自己 教育力
という
教育 理念か らの学 校 図 書 館 学のアプロー
チ が紹 介 され ま し た し,
ま た大 学図書 館の教 育 的 機 能に 関 して は, 越 塚 美 加さ ん か ら,
情 報リテ ラシ・
一
教 育という
面か らの と らえ方の 紹 介があ りま し た。 こ れか ら は,
その よう
な研究
が必要
な ように 思い ます。
も ちろ ん
,
そ れ らの領 域へ の歴 史 的アプロー
チ も含 まれ ます。 ま た機 関と しての 図 書 館や情 報セ ン ター
の管 理 運 営の研 究 も必 要だ と思い ます,,
そ れには経 営 学 分 野の理論の応用が 必要に な る よう
に思い ます。 ま た, 利 用 者の情 報 行 動や読 書 行 動 の解 明に は 認知科
学の知 識が必 要 だとい わ れ てい ます。 その よう なこ とから, 図 書 館 情 報 学は極め て 学 際 的 学 問の ように思い ます。こ の ように理解 し ますと
,
図書
館 学は わ が 国 に 優 勢 的に存
在し, 図 書 館 情 報 学は アメ リカに優 勢 的 に存 在す るとい える ような気が し ま す。
特に 優i
勢 的 とい う言 葉 を使っ てお りま して,
これは相 対 的に,
比較 的に,
という
理解の仕方
であ りま す。 図 書 館 学 も図 書 館 情 報 学も,
専 門 職の知 的基 盤 と な る 実 践科学 だ と 思い ますが,
我が 国の図書 館 学 は知 的 基 盤となる にはい ま だ未 成熟の状 態にある ように思い ます。 現 在の我が国の 図 書 館 学の アイ デ ン テ ィ テ ィは,
田 村 氏,
原 田氏がこ の 『研 究大
会要
綱』
で指 摘 してい ますように, 図書 館 法 ある い は学校
図書館法
に基づ く,
司書お よ び 司書 教 諭 養 成 教 育,
司 書 課 程の先 生 がた や現 場の図 書 館 員 の研 究の 中 に 見 出 す こ とがで きるよう
に 思い ま す。 し か し,
その教 育 は プロ フェ ッ ショ ンのた め の教 育か ら は ほ ど遠く,
極め て概 論 的.
入門的で あ り, 研究
成果
につ い て も, 図書
館学
の理論
を進 化 させる研 究になっ てい るか どうか と聞か れ ます と,
必ずし も堂々 と イエ ス と はい えない状況 にあ ると 思い ます。 Be−一
一
一
, 研 究が深め られ て い る領域 と し て は資料
の組 織 化 領 域か と 思い ます。 整 理 技 術は わが 国でも長い 伝 統 を もち , また技 術 的領 域 という
こ と もありまして,
結 構 進 展して い る領 域 では ないか と思い ま す。以上
,
も う少しあるの ですが,10
分 経 ち まし たの で,
こ こ で私の意 見 発 表 を終 わらせ て い ただ き ます。 司 会(
根本〉
:あ りが とうござい ま し た。 特に, 図 書館
学か ら図書館情報
学へ の変化
に おい て,
そ こで どうい う問 題解 決の課題 が必 要になる のかと い うこ とにつ い て こ発 言い た だ き ま し た。 そ れで は田村 先 生,
お願い い た します。 田 村 :大
城先 生は真
正 面 か ら 図書 館 学 とは何か,
図 書 館 情 報 学と は何か を お答えにな りま し た。 私 はむし ろ,
なぜ 私は名 称 変 更に反 対 したのかとい う反対 理 由を述べ る中で , 図 書 館 学と か図 書 館 「青報
学をどういう
ふう
に考
えて い るの か を お話しす る のがい い か と思っ てお ります。 もう
ひ とつ,
お 聞きのか た にあるい は がっ か り さ れ る か たもい ら っ しゃ る か もし れませ ん け れ ども,
反対 とい うの も実は絶 対 反 対とい うよう な強 硬 な反 対ではな くて, ど ち ら か とい
う
と ,何を今 更とい う感じ と か, こ こまで きた ら老 舗の名 前を守っ てい た ほ うが い い の では ない か という
程度の弱
い 反対ですの で,
そう
いう
つ も りでお聞 き下さい 。お手元の 『要綱 』に 掲載さ れ た 理事 会か らの 提 案に学 会 名 称 変 更の理 由が載せ ら れ てい ます けれ ど も
,
これを見
なが ら,
どう
してい まの時 期に名
称を変え るのだろうか とい うことにつ いでの疑 問 と反対理 由 とをお話し し て み たい と思い ます。こ こ で書か れてい る
名
称 変更の理由 を私 なりに 理 解 し, 大 き く2
つ あるか と思い ました。 ひ とつ は外 発 的な 理由で,
もう
ひ とつ は内発 的な 理由で す。 外 発 的な理 由のほうは, 外 部に対 してい わ ば 情 報の 領域 であることを 示 す 必要が あ るのだ とい うことです。 これは例 えば, 学 術 会 議の中で情 報 に 関連し た学 会と して位 置 付け ら れ る とい うよう
な話
です。 これ は 制度の中に この領域 が どの よう に位 置付 けら れ る か という
問題で,
この こ と自体
は確
かに考
え なく
て はいけ
ない話
だ と私
は 思い ま す。 つ ま り, 現 実に研 究 費の配 分とか, 科 研 費の審
査 領域 とか, 情報
関 連研究 に対す る 政策 提 言と か,
そうし た わ が国の学 術 体 制 との係わ りを考え た ら, やは り情 報関係 学 会の 中 に位置付け ら れ る 必要がある。 そう
いう意
味では,外
発 的な 理由は 私には納 得の い く もの で し た。
もうひ とつ の内 発 的な理 由のほうで い うと,2
つ くらい あるかなとい う印象
を もっ てい ます。
そ の ひとつ が,
会 員の研究の範 囲が広が っ て きてい るとい うこ とが確か出て くる と思い ます。 図書 館 の 領 域 を超 えて図 書 館とは直 接関係 し ない ような 領域につ いて の研 究 発 表が段々 と増 えて きてい ると
い う話で, これ に 関連して, ほ かの学会との関 係 をつ ける必要があるとい う理 由 も述べ ら れ てい たかと思い ます。 そ れ か ら もうひ とつ の 内 発 的な理 由が,
もっ と もこれ は意 図 的なの か どうか, はっ き りと は書か れ てい なかっ た の ですが,
図書 館 情報学
のア イ デ ンティ ティに関 するもの, つ ま り図 書 館の本 質は 情 報 なの では ない か とい うこ とです。
理事 会の提 案を読ん で も, どう して図書 館 学 と情 報 学とが 関 係するの かという
話は出て は き ませ んが,
図書 館 という
のは情 報と強 く関 係してい る とい う文 言は 出て い た か と 思い ま す。 例 え ば シェ ラ(1
.
H .
シン ポ ジウム記 録:図 書 館 情 報 学の展 望 16」 Shera)な どはそうか と 思うの ですが, 図書 館 学の 基 盤に情 報 学 を置 くとい う考 え方があります。
こ れ は ドキュ メ ン テー
ショ ンな ど もそ うだっ た と思 うの ですが, そこ で の考 え 方とい うの は, 図書館
学でい わ れてい る よ う な 対象の普遍性を情 報に求 め て はどう
だろうかとい うよう
な話です。つ まり,
学と して普
遍 的に追求
する意義
を情 報に求めるわ けです。当然です け れ ども
,
そのよう
に ア イ デンテ ィ テ ィの根
拠を情報
に求め る こと と, 先ほどの研 究 範 囲が 広 がっ て い る とい うこ と と 関係し てい ます。 私の仮 定の 議 論になっ てし まうの ですが, 図 書 館 の 本 質が情 報にある とす れば, 同 じように本 質 を 共有
して い る ほ かの領 域に対 して も研 究 対 象は広 がっ て く る はずです。 そう
し た考
え 方は取れ る と 思い ま す。
学 と しての アイデ ンテ ィティを求める とい う話と研 究 領域の 拡 張とい う話と は お 互い に 連 関した話
であ り,
ど ち ら か とい えば,
アイ デン ティ ティか ら拡張
へ という方向
が考
えら れ ます。 た だ現 実に は,
特に 日本で は,
日本 図 書 館 学 会と は関わ りの ない とこ ろ で ドキュ メ ン テー
シ ョ ンか ら情 報 学へ とい う研 究が行わ れてお り, それ と は 別 に 図書 館の研 究 が行
わ れて き たのが現状では な い か と思わ れ ます。そ
う
い っ た か た ちで提案
を 理解 し たの ですが,
こ う見た ときに外 発 的 な要 因につ い て は よく分 か っ たの です が,
内 発的 な 要因を見た ときに どう
か と感じ ら れ る点
が ありま し た。 そ れ は,
対象
の普 遍 性と か普 遍 的な意義とい っ たもの を情 報とい う 言 葉に単に置 き換 えただけでは ない か とい うこ と です。 こうすると今 度は情 報は どう定 義 されるか とい う問 題 が 出て き ま す が,
この辺の とこ ろが は っ きりしませ ん。 そ れ か ら, 図書 館と の 関係 もま た はっ きり さ せ る必 要があるので は ない で しょう
か。それからも うひ とつ , アイデンティ テ ィとい う 話ですが
,
入 か らあな た は何
を やっ て い ますか と 聞 かれ た とき, 図 書 館 学 をやっ てい ます とか,
図 書 館 情 報学 をやっ てい ま す と か答
えま す。 確か根 本 さんが 『文 献 匱 界の構 造』
で語ら れ てい たこ と だと思い ますが,
そうい うと きにほ かの分 野だ と, 例え ば教 育 学ですと答え れ ば, それな りに み んな 分 か る わ け で す よ ね。 教育
という
現象
の普
遍性に164 図書 館学会年報 Vol
,
44,
No.
4,
Feb.
1999 つ い てあ る種の 合 意 が ある わ けで す。 と こ ろ が , 図 書 館 学の場合 には,
図書 館で す という
と 「え っ ?」とい う反 応が返っ て きて,
も うひと言は説 明が要 ります。 ア イ デンテ ィ テ ィ という
の はそう
い うとこ ろ に閧わる話だ と思っ てい る の ですが,
実は図書 館の アイ デ ン テ ィ テ ィ の話も こ れ と と 同 じなの で はない で しょうか。 図書 館の アイ デ ンティテ ィとは何な のが とい う 話と図書 館 学, 図 書 館 情 報 学の ア イデ ン テ ィテ ィ という
話 と は, 実は重なっ てい るの で はない か と 思い ます。 その話で いう
と,
これ は 私の 印象
なの で,
全 然 違う
とい う話になるのか もし れない の で す けれ ども, 公共
図書館
を 中心 とし た教育
行 政,
特に地 方 教 育 行 政の ほ うで図書 館の ア イデ ン テ ィ テ ィを考え る ときの考え方と,
大 学 図 書館
や専
門 図 書 館で の考 え方と は, 結 構, 摺 り合わ ない 部 分 があるの か もし れない とい う気が私は してい ま すe 特に最 近, 惰 報 技 術が大 幅に取 り入れ ら れて,
大 学 図 書 館 などで は情 報 発 儒とい うことまで話 題 に上 っ てい ます。 そう
いう事
態の 中 で 図書 館の ア イ デン ティティ の話 をする ときは情 報とい うこと ばを使っ てい い の ですが,
公 共 図 書 館 など が,
も ちろ ん公 共 図 書 館に も情 報 技 術の導 入はある し,
それ が枠 組み を変
えてい るこ と も事実
なの です が, た だアイデ ン テ ィテ ィ の話に なっ た と きに,
情 報に 原点 を求め る か とい うことに は疑 問があ り ます。 学 会とい う ものは両 方を視 野におい た・
.
.
種 の交 流の場, 研 究を通じ た交 流の場だ とい う在 り 方を考える と す る と,
い まこの時 点で情 報だ と規 定 する の は どんな ものなのか な とい う感 じが あ り ま す。
も うひ とつ , これ ま た違 うとい う意 見が出るか も しれ ませ んが
,
情 報 学とい う領 域 はい ま 非 常に 流 動 してい る の では ない か とい う気が私には して い ます。 むかしの ドキュ メ ンテー
シ ョ ン とい う も のは,
そ れ な りに現 場の実践 に結 びつ いて い た と 思 うの ですが, 情 報 学とい うか たちはそれ ほ ど は っ き りし た輪 郭を取っ てい な くて,特
に 近年,情
報 技 術が大 幅に導入 さ れ て きてすご く揺れ て い る。 だ か ら何で い まの時点
で と 思っ た わ け です。 揺れ動い てい る ときに揺れ動い てい る もの に焦 点 を合わ せ た名称 変 更は要らない の で はない かとい う気 が し ま した。そ うい うわけで, 私の い まの時 点で の話は
2
つ です。
も う一
度い い ま すと,
ひとつ には, い まの 時 点で図書 館と情 報と をあえて結びつ ける という
こと に対 する疑 問, あるい は, こ れは私の読み込 みすぎ か も し れ ま せ ん が,
図 書 館 を 情報とい う観点
か ら規定
し て しま うことの 問 題 点 を も う少 し議 論 して もい い の では ない か という点
です
。 そ して も うひ とつ に は,
情 報 学 を基 盤にする,
あるい は 情 報 学と 関 連 を も た せ る とい っ た ときに,
情 報 学 を どの よう
に考える のか という
ことです
。そ れ か らも うひ とつ
,
これ は後で これ からの展 望 とい うとこ ろ に出て くる話か もし れ ま せ ん が,
これか らの 図書 館 を 図 書 館の 中だけで完 結 した技 術 体 系と して見なすの で は な くて,
社 会的・
制 度 的 な枠組
みだ とかい ろい ろ な枠 組みの 中でと らえ 直 すという
見 方が あっ た と思い ます。
これ は評 価 すべ きで あ り,
情 報以外の,
行 財 政 的な枠 組み や 法 的な枠 組みの中で図書館
を と らえること がい ま 必 要である という気
が し ています
。 そう
いう
と き に,
図書 館 を情 報 を基 盤に考 えてな じむのかとい う点が疑 問です。 そ ん な ところ です。 司 会 く根 本 ):あ りが とうござい ま し た。 先ほ ど 申し ま し た図 書館
学会
を 図書
館情報
学 会に改 称す る ことへ の反 対の理 由を かな り明快に述べ てい た だ き ま して,
非常
に参考
に なっ た と 思い ます。
そ れで は続 き ま して,
原 田 先生,
お 願い い た し ま す。 原 田 :最 初に案
内をい た だきま した ときに,
意 見 を申
し上 げる前か ら相 異なる意 見 を もっ た3
人の か たにと 書い てありまし た。
私は ほ かの お2
人は 書 か ない よう な挑 発 的 なこと を発 言 要 旨の中に書 い てお き ま し た。以前, 私 どもの大 学の修士の学生が 「図書 館 情
報
学の研究領域」とい うタ イ トル で修 論 を書 き ま した。 論 集の中の上田先生 と同じ よう な結 論を出 しましたが,
これ は要 するに図書 館 学と情 報 学の2
つ に分か れてい る という
こ と です。 図書
館情報
学
という
領 域はど うい う ものかを調べ て , 図書 館 学と情 報 学に分か れてい る という
こ と は, 図書 館 情 報 学 とい う領 域がない とい う 自 己 矛 盾,
とい う か自分の テー
マ を否 定 し た結 果になるの ですね と い うコ メ ン トを加 えた次 第です。 図 書 館 学 会と情 報 学会
という
2
つ を作
っ た ほう
が,
かえっ て研究
者に とりまし て も, 教 育にと り ま して も
,
よろ し い の で はない か とい うふ うに考え た わけであ りま す。 ですか ら,
どう
してい まごろ に なっ て, アメ リカか ら30 数年
も遅れて図書館情報学
な どと変
え な くては な ら ない の か と疑問 に 思 うわけであり ま す。ご
存
じのよう
に,
い ろい ろ詳しい ことを 調べ る かたが お り ま して, シ ャ ピロ (Shapiro
)どい うか た が 「イン フ ォメー
ショ ンサ イエ ンス」とい う言 葉はい つ ごろ使わ れるよう
になっ た か,
どん どん と古い用 例 を探 しま して, そのた びにブ リー
フコ ミュ ニ ケー
シ ョ ン を出してい ます。 い まの一
番古
い の は,
フ ァ ラデイン(1
.
Farradane )という
イ ギ リス人 が1953
年
に イン フ ォ メー
シ ョ ンサ イエ ン ス という
言 葉 を初め て使っ てい るそ うです。 また もっ と古
い のを
見つ け る か もし れませ んが,
そう い うこと を調べ てお ります 。 その フ ァ ラデ イン と いう
人の言葉
に よ りますと,
大 陸で は ド キュ メ ン テー
シ ョ ンという言葉
が使
われ てい るけれど も,
イギ リスに おい て はその言 葉は受 け入れ ら れ な か っ た。 新しい 言 葉と してイン フ ォ メー
シ ョ ンサ イ エ ン ス , あるい はその専 門 家を イン フ ォ メー
ショ ンサ イエ ン テ ィス トと呼んだら どうか とい うこと を提 案し た わけであ ります。ご
存
じの よう
に ドキュ メ ンテー
シ ョンとい うの は,
論 文 単 位にまで 進ま ない 図 書 館,
あるい はい ろい ろ な ドキュ メン ト に対 する詳 細 な分 析に まで 進ま ない 図書館
に対
する 不満か ら,
特に自然 科 学 の 図書 館 あるい は研 究 所 を 中 心に して始まっ た わ けであ ります。
そ れ がずっ と続い て お り まして,
では現 在, 情 報 学という
の は どう
いう
ものか とい い ま す と,
『要綱』の 発言 要 旨の一
番下の ほうに, 私の とらえる情 報 学 とい うもの を書い て お き ま し た。 「情 報 学 とは,
人 間(
組 織 )によ る情 報の生 産と利 用,
そして人 間 (組 織 ),
コ ン ピュー
タ あ るい はネッ トワー
ク に よる情 報の蓄 積,
流 通,
加 工,伝
送 を扱う
分野 である。 メ ディアの多
様 化 と 人 間の多
様 性は, 当然の こ となが ら, その視 野に 入っ て い な け ればい け ない」
。
こ うい う分 野で あ り まして, 図書 館 学と は や は り違 うわけで あ りま す。日本の図 書 館 学とい うの は
「
ライ ブラリー
サ イ エ ン ス」とい っ て は お りま すけ れ ども,
ほかの国 シンポ ジ ウム記録 :図 書 館 情 報 学の展 望165
とは若 干 違 うところが あ ります。
そ れは どうい う こと か とい い ま す と,
東 大,
京 大 あた り に典 型 的 に現れ てい ます け れども, 社 会 教 育 施 設と して の 図書
館学
とい うの が 始 ま りだっ た わけです、 これ は, どちら の大 学にお き ま しても社 会教育の講 座 と密 接な関係にあ ります。確
か に大学
図書 館で働 い てい たかた が図書 館 学の専 任にな る という
こ と も稀で は ない わけで す け れ ども,
そ うい う伝 統は ずっ と続い てお りまし た。 も うひ とつ は,
司書資
格 とい う もの が,
ほかに流 用 する場 合 もあ ります けれ ど も,
基本 的 に は 公共図書 館の職 員の た めの 資 格である とい う点です。 もちろ ん, 最 近, 例 え ば1993
年
に学
術審
議 会か ら 「大 学 図 書 館 機 能の 強 化・
高 度 化の推 進 」とい う報 告 書が出て お りま して, その 中で大 学 図書館
員の た めの専
門資
格を 作る とい うような提 言が な さ れてお ります けれ ど も, そ れは まだ実現 に至っ て お りませ ん し,
これ か ら さき何年
すれ ばそれ が実
現す
るのか という
こ と も分 かっ てお りません。
図 書
館
学 自体が そう
い う伝 統 を 引 きずっ てい る わけです けれど も, そこ に例 えばデー
タベー
ス が 出てきた,
そ れ か らネッ ト ワー
ク が出て きた と か, イン ター
ネッ トが出て き た と か,
そ ん なこ とで 「情報」
をつ けるの は おか しい わけです。 どうし てか とい い ますと, ど ん な分 野で もデー
タベー
ス を使い ま す,
ど ん な 分 野 で もインター
ネッ トを使 うようになっ てい ます,
ど ん な分野で もコ ン ピュー
タを使 うようになっ て い ます,
で し た らそ うい うものが 入っ て き たとい うこ とが 図書 館 情 報 学と 呼ぶ こと を 正当 化 する と は とて も 思えま せ ん。 そ れ か ら,
改 称の理 由の ところで,
自らの出 版 物を なし崩しに図 書 館 情 報 学と名 前を付 けて,
そ れ を 学会 名 称の 改 正の 正 当 化の 根 拠にする とい うの は, 私に してみ れ ば非 常にお か し な 理由付
け に 聞 こえま す。学
会
の名称
を 図書 館 情 報 学 会と変 えて,
そ れで 会 員 が 増 える の で あ れば大 変に喜ば しい こ とで あ ります けれ ど も,
私の予 想では 図書 館 情 報 学へ の 改 称とい うの は情 報 学へ の移 行を加速
するの で は ない で しょう
か。 どう
してか とい い ます と,
情 報 学とい うの は図 書 館 学を も含む よう
な 広い もの で あ りますし,
そ れ か ら図 書 館 自体がもっ ともっ と 変わっ てい く,急 速に変 化 してい く可能 性が あ り,
166 図書 館 学 会 年 報 VQI
,
94,
NQ.
4,
Feb.
1999 また類 縁 機関 との近さとい い ま すか, そう
い っ た もの が どんどん大 きく なっ てい くことで しょ うか ら,
情 報 学の中に図 書 館 学は吸 収 されてい くの で はない でしょう
か。 そう
な ら ない ためには,
ひ た す ら 図書 館 学 とい う研 究 領域 に固執 する,
あるい は情報学
の分野 を な るべ く抑
えてい く,
そう
いう
こ と し か ない の では ない か と感じて い ます。 そ う しますと,
当 然の こ となが ら,
名 前が実態
を 反 映 し な く な る とい う結 果にな る 可能性 も あ る わけで あ ります。現 在の図書 館が本 当に情 報に進 むた め に は
,
突 然 情 報 学とかい っ て も始 ま りません か ら, い くつ かの ス テッ プが あ りうる と思い ま す。
本 当に図書 館 情 報 学とい う情 報を十 分に視 野に入れ た学 問に す る た め に は,
まずは専
門 化(
ス ペ シャラ イ ゼー
シ ョ ン)
を もっ と進 めてい く必要が あります。 そ れ は,
大 学 図 書 館と か多様 な専 門 図書 館と か学 校 図書館
と かい っ た館種
別だけでは な しに,
もっ と法律情報
と か物
理 学情報
と か音楽惰報
とかの分 野 別の専門化 を進め てい くこ とです。
そう
すると,
現 在の技 術の親 近 性とい っ た もの に よっ て, 情 報 学へ の 変 化が進んで い くと考 え ます。 で すか ら,
発 言 要 旨に書い てあ りますように,
図 書 館 情 報 学 とい うよう
に情 報 を含
め た た め に,情報学
へ の移 行とい うものを 逆に促進するこ とに なっ たの では ない で しょうか。 そ うした ら図 書 館とい う言 葉が な くなっ て寂
しくな る か た が多
い の で は ない か,
そ れで も よろ し かっ た んで しょ うか とい うこ とが 発言の 要旨であり ま す。 司会(
根 本)
:あ りが とうござい ました。 パ ネリ ス ト3
人の方々は基 本 的 な部 分でか な り共 通の理 解を さ れてい る と は 思 うの ですが,
どこ に重点を 置 くか で違い がある の か なと理解しまし た。基 本的 に
,
・
図書 館学
か ら情報
学へ の ス ペ ク トラ ム の ような ものを考 えて, 途 中の段 階に図書 館1
青 報 学があると仮 定し た場 合に,
大 城 先 生の場 合は,
図書館
学か ら図 書館
情報
学へ の移 行というこ と を おっ しゃ ら れ たと思う
ん ですね。 そ れ に 対 して田 村 先 生の場合 は, 時期 的に情 報 学の分 野が不 確 定 な 中で図書 館 学か ら図 書 館 情 報学
へ という
選 択が い い のか どうか, む しろ図書 館の分 野をき ちん と 固めるべ きではない か とい うご趣 旨と理 解 しまし た。 そ れ か ら原 田先生の場 合は,
そう
いう
スペ ク トラム の途 中 に ある図 書 館 情 報 学を選 択した と き に,
情報学の ほう
へ 引 き寄せ ら れ る と おっ しゃっ たの ではない かと私は理 解しました。 これ か ら15
分ほ どフロ アか らの 発 言を お願い したい と思い ます。 ご自 由にご発 言い た だきたい と思 い ますが,
セ ッ ショ ンを2
つ に分 けてお りま すの で, 図 書 館 学, 図 書 館 情 報 学, 情 報 学の現 状 認 識に 関 わ ることでご発 言い た だきたい と思い ま す。 上 田修一
(
慶 應 義 塾 大学)
:情 報学
とは何
かという
こと を 私 は知
りたい もの で して,
原 田先
生 は情 報 学とは こうい う ものだと おっ しゃっ てい ただい たの です けれ ど も,
大 城先
生には情報学
という
も のがある と お思いか, ある い はある とした ら どう い うものか とい うこ と を お伺い し たい と思い ま す。 田村 先生には, 惰 報 学が揺れてい る状 態であ ると おっ しゃ っ てい ますが,
情 報 学 をどうい うよ うに考えてい らっ しゃっ て の こ となのか教 えてい た だきたい。
司
会(
根本)
:で は大
城先
生か ら お願い し ます。 大 城 :私は情 報 学とい う もの を あ ま り知 りませ ん の で,
・
意 識 的に避けてい たの ですけ れ ども,
ご質 問が出ま したの で私な りの考え を述べ ない といけ ない か と思い ます。情報
学との 関係を論 ずる場 含 には,
情 報 学とい う ものが どうい う学 問か を自分 な りにつ か ん で お かない とい け ない と も思い ま す。 その点で私は情 報 学との 関係を論 ずる資 格が ない と思 うの です けれ ども, 質 問が 出た 以 上 は, ない 知恵 を しぼっ て意見を 述べ たい と 思い ます。 先ほど 原田先 生が情 報 学の 定 義をし てい ま し た。
そうい う非 常に範囲の広い分野だ と私 も理解 し たい と思 うの ですが, 私 もこ こ に くるまで に2
か 月 くらい,
限 られた時間内で情 報 学と は どうい うものか とい ろい ろ文 献を調べ て み ま し た。 そこ で私 が 達 した 結 論 とい うの はこうい う もの であ り ます。
まず は ,
1994
年 に 刊 行 さ れ て い ま すEnc
ツclOPedi α cfLibrar
)iIiistor
)i(
Garland
Pub .
,1994
)の中の lnformation Science and Librarlanship と
い
う
項目の 中で,UCIA
の 元の図書館
情報
学 部 長であるヘ イズ(Robert Hayes )がこ の よ うに書い て お り ました
。
「ラ イ ブ ラ リアン シ ッ プと は,
社 会関わ る
専
門職の ことで ある。 ライブラリー
サ イエ ン ス と は,
専 門職の実 践の基 盤 を な す技 術の体 系 (body
of technique )」と書い てあ りまし た。 「イ ン フォ メー
ショ ンサ イエ ン スは,
記 録 され た シン ボ ルの 領 域, お よ びそれ らが処理 さ れ る方 法につ い て の理論
的研 究で ある。
ライブ ラリア ンシッ プ は,
情 報 処 理の理 論 的研 究をする際に,
もっ と も よ く見え る,
もっ ともよ く規 定さ れたコ ンテ クス トの ひとつ になり, イン フォ メー
シ ョンサ イエ ン ス は ラ イ ブ ラ リー
サ イエ ン ス の基 盤, フ ァ ウンデー
シ ョ ン の ひ とつ に なる」という
ふうに書い てあ りました。
私 がこ こ で強 調し たい のは,
ヘ イ ズの 考えでは,
情報学
は 理論 的研 究 をする学 問であ り,
図書 館 学は応 用 的学 問で情 報 学を 基 盤の ひ とつ に し てい る と解 釈できる点で す。
また,
1992
年に刊 行さ れてい ま すConcapeions
ofLibr
α rツand Information Science(TaylorGraham ・
1992
)という
本を読ん でい ます
と,
その中でサラ セ ビッ ク(T .
Saracevic
)という人 が「
イ ン フ オメー
ショ ンサイエ ン ス は学 際的で情
報 技 術と関 連のあ る学 問だ」とい っ てい ます。 そ し て 「インフ ォ メー
シ ョ ンサ イエ ン ス は, 情 報の社 会 的, 機 関 的,
個 人 的 利 用およ びニー
ズ という
文 脈の 中で,
入 間 間の知
識お よび知 識 記 録の効 果 的 なコ ミュ ニ ケー
ショ ンにつ い て の問 題を解 決 する た めの,
科 学 的 研 究お よ び専
門職的実践 に専 念 する領域である」 とい っ てい ます。 ヘ イ ズと異な る ところ と して , サ ラセビックは イン フォ メー
シ ョ ンサ イエ ン ス を 専 門職と結びつ けて考 えて い る ように思い ます。そ して, ライ ブラリ
ー
サ イエ ン ス につ い て サラ セビ ッ ク は次のよ うにい っ てい ます。「
ライ ブ ラ リー
サイエ ン ス と イン フ ォメー
ショ ンサ イエ ン ス は,
社 会的役 割に おい て非 常に共 通 してお り,
互 い にグラ フィ ッ クな記 録の効
果的 な 利用とい う問 題 に関 心 を もっ てい る。 し か し,
い くつ かの 重 要 な側面 に おい て 利 用者は異 なっ てお り, 強い 学 際 的な 関係にあるけ れども, ライ ブラ リア ン シッ プ と イン フォメー
シ ョ ンサ イエ ン スは2
つ の異なっ た領 域である」と書い てお りますQ 同 じ会 議 録 の 中 に,
イ ン グベ ル セ ン (P.
Ingrverscn
)とい う人は,
イン フォ メー
ショ ンサ イ エ ン スの研究 領 域 と してビ ブ リ オメ ト リッ クス,
インフ ォメー
シ ョ ン・
マ ネー
ジメ ン ト, イン フ ォ シンポ ジ ウム記 録 :図 書 館 情 報 学の展 望 167 メー
ショ ン・
リ ト リー
バ ル・
シ ステム ズ・
デザ イ ン , イン フォ メー
シ ョ ン・
リ ト リー
バ ルの4
つ の 領 域 を挙 げてお りま して,
ライ ブ ラ リ アンシッ プ は その応用領 域 だとい っ てい ま す。そうい うものをい ろい ろと 総合して私が得た結
論
は,
インフォメー
ショ ンサ イエ ン ス との関わ り で図書 館 情 報 学を解 釈 する と,
イン フォメー
ショ ンサ イエ ン ス の い ろい ろな重 要な情 報 関 係の理’
論 を応 用 する学 問であ る け れども,
サ ラセ ビック の い っ てい るように, 図 書 館 情 報 学と情報学
と は非
常に関係し な が ら も違 う分 野であるとい うこ とで す。
原田先生 が先ほ ど, や がては図書
館情
報 学は 情 報 学の中に 吸収さ れ て しま うとい っ てお ら れ ま したけれ ど も, 将 来のこ と は よ く分か り ませ ん。 現在
の私の考 えで は,
図 書 館 情 報 学というアイ デ ンテ ィテ ィがあっ て,
そ れ が 理論的 に成 り立つ , 成 り立 た ない とい うこと は あ ま り気に せずに,
図 書館
情報
学と考
えら れ てい る分 野で研 究 を進め, 中身
を 詰めてい っ た らい い の で は ない か,
という
こ とです。
司 会 (根 本 ) :そ れでは,
田村 先生, お願い しま す。 田村 :も と も と情 報学 と は ドキュ メ ンテー
ショ ン の こ とです。 つ ま り,
特 定の機 関を離れ た情報
で あ り, なお かつ 書 誌 単 位と して は文
献の 中の個々 の 論 文とか 記 事と かい っ た単 位を扱う
分野 です。 ドキュ メ ンタ リス トが専門職と して どれだけ確立 され てい た か は別に考
えると して も,
一
定の 実 践 と そ れの も と に なる知 識の体 系のような もの,
つ ま り記 録さ れ た情 報の社会
的 な蓄 積, 検 索, そ れ か ら提供,
利 用, そ れ らのプロ セス に関 わる研 究 だっ た か と思い ま す。 そうい うか たちで情 報の蓄積 と か流 通の プロ セ ス の管
理(
コ ン トロー
ル〉
に関わる分 野と してあ っ たの だ と思 うの ですが,
近年,
メ ディアとか検 索技
術とい っ たものが非常に変わっ てき た とい う イメー
ジ が あ ります。 その 発 展の 特 徴は, メディ アと してい ろい ろ な ものが出て きたのが ひ とつ で す。 そ れ か ら印 象で し か ない の で す が,多
領 域問 の融 合,
特に情 報 処 理との融 合とい うか,
私な ど か ら見る と よく分か ら ない,
混沌 と し た相互 流動 とい っ たものが起こっ てい る のが ひ とつ です。 そ れ か ら もうひ とつ,
これ は情 報 学の 内部の 内発 的168 図 書館 学 会 年 報 V()屋