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スパークギャップスイッチ(SGS)内放電インピーダンスの動的変化

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Academic year: 2021

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1 はじめに 非熱平衡プラズマによって生成される化学活性種は,高 い化学反応性を有していることから,オゾン生成,排ガス処 理などの幅広い環境分野での応用が期待されている[1]. 近年の研究では,非熱平衡プラズマに関して,電圧印加時 間がより短く,また立ち上がり並びに立下りがより高速であ るほど生成効率が向上することが報告されている[2].当グ ループが開発したナノ秒パルス電源は,特性インピーダン スが 50 Ω,約 2 ns の高速な立ち上がり並びに立下り,約 5 ns のパルス幅,出力電圧 60 kV の極短パルス発生装置で ある.この電源は,非熱平衡プラズマを主体とした放電を形 成することが出来るため,オゾン生成や排ガス処理におい て高いエネルギー効率を示している[3]. 先行研究において,ナノ秒パルス電源の性能向上を目 的とし,その特性インピーダンスを小さくすることで,出力パ ルスの大電流化を図る,低インピーダンスナノ秒パルス電 源の開発が行われた.開発過程において,急峻な立ち上 がりを有する極短パルスの形成にはスパークギャップスイッ チ(SGS)のインダクタンス成分の低減が重要であることが示 唆された.一般に SGS はアークプラズマを利用したスイッチ 技術であるが,アークプラズマ導通時は,急激な放電路の減 少により電極間に複数の放電路が形成されるグロー放電と 比較して高インダクタンス成分を有すると考えられる. 本研究では,動的変化を伴うパルス放電中の放電インピ ーダンス,放電インダクタンスの評価を行うことにより,グロー 放電及びアーク放電を利用したスイッチングの最適条件の 特定を行った. 2 実験 2.1.1 実験条件 放電電極へのパルス電圧印加には図 1 に示す倍電圧回 路を用いる.放電電極内の絶縁ガスとして N2ガス (N2)及び N2と O2の混合ガス (20,40,50,60,80 %-O2/N2),O2ガス (O2)の 7 種類,放電電極の充電電圧は全て 25 kV で一定と した. 電極は直径 30 mm のステンレス棒を中心電極とし,内径 60 mm のステンレス管を外部電極とすることで同心型 SGS を再 現する. 図 1 実験回路図 2.1.2 解析方法 評価項目は,スイッチング時間(T[ns]), スイッチング速度 (dZs/dt[Ω/ns]), スイッチング損失(loss[mJ])とした.出力電 圧と出力電流の除算で算出される値を放電インピーダンス (Zs)と定義する.放電スイッチ導通時の等価回路の回路方 程式より導出した放電インダクタンスの経時変化を表す式 を下に示す. R0:線路の抵抗値,L0:線路のインダクタンス値 2.2 実験結果 一例として図 2 に 50 %-O2/N2条件時の電流,放電インピ ーダンス波形を示す.ストリーマ・グロー放電移行期間を T1, グロー・アーク放電移行期間を T2 とする.また,T2 区間で は 2 段階のインピーダンスの変化が見られることから,1 段 階目をグロー移行,2 段階目をアーク移行と仮定する. 図 2 電流,放電インピーダンス波形 (O2/N2 :50/50) 次に,T1,T2 それぞれの区間における評価項目を下の表 1,2 に示す. 表 1 T1 区間における評価項目一覧 表 2 T2 区間における評価項目一覧

スパークギャップスイッチ(SGS)内放電インピーダンスの動的変化

浅尾実典* 水本風輝** 浪平隆男*** 王斗艶***

(熊本大学 *情報電気電子工学科 **大学院自然科学教育部 ***産業ナノマテリアル研究所)

2020 年度 電気・情報関係学会九州支部連合大会

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02-1A-05

(2)

表 1 より,O2比が増加するにつれ T1 区間は減少傾向に あり,80 %-O2/N2では T1 区間はほとんど見られなくなった. 40,50,60 %においてインピーダンスの傾きが平坦な区間 (T1-2)が現れた.この区間は,低インダクタンス状態であるグ ロー放電の持続を意味すると考えられる. 50 %-O2/N2下 におけるスイッチング速度が最大となり,低損失であるため, グロー放電を利用したスイッチングには 50 %-O2/N2が最適 であると考えられる.次に表 2 より,各ガス組成においてスイ ッチング時間(T2),損失に大きな違いは見られなかった.し かし,ストリーマの進展が開始してから最大電流が流れるま での総スイッチング時間に注目すると,80,100 %-O2/N2下 で最短となった.表 1 より、80,100 %-O2/N2では T1 区間は 確認できないことから,ストリーマ放電,グロー放電及びア ーク放電への移行が早くなっていることが予想される.この ことから,最大電流をより高速にスイッチングするには,より 高速にアーク放電に移行させる必要があることが分かるた め,O2過多の条件はアーク放電を利用したスイッチングに 適していると考えられる. 下図 3,4 に各ガス組成におけるインダクタンス波形を示 す. 図 3 放電インダクタンス波形 (N2,20 %,40 %,50 %,60 %-O2/N2) 図 4 放電インダクタンス波形 (80 %-O2/N2,O2) 図 3,4 より,放電インダクタンスがピーク値に達するまでの 時間がそれぞれ異なることが確認できる.特に 50 %-O2/N2 の場合において,放電インダクタンスがピーク値に達するま での時間が長くなっている.これは他のガスと比較して,グ ロー放電時に放電路が複数形成され,アーク放電までの 移行時間が長くなったためだと考えられる.つまり,低イン ダクタンス状態であるグロー放電を最も長く維持できている と考えられるため,放電インダクタンスの観点からもグロー 放電を利用したスイッチングには 50 %-O2/N2が適している と言える.次に,図 4 より,ピーク後のインダクタンスの減少 率に注目すると,図 3 の波形と比較して大きくなっている. これは,アークプラズマ導通時に,より高速に電流を流すこ とが出来ていると考えられるため,インダクタンスの観点か らもアーク放電を利用したスイッチングには O2過多が適し ていると言える. 3 まとめ 本研究ではグロー放電を用いた SGS の最適条件の特定 を行った.O2/N2ガスの組成比を変更する事で,SGS 内放 電インピーダンスの挙動に変化が表れた.また,放電イン ダクタンスの観点からも最適条件の解明に向けてのアプロ ーチを行った. 50 %-O2/N2条件はグロー放電の持続と考えられる区間 が存在し,スイッチング速度や損失の点からグロー放電を 用いたスイッチングに適していると言える.また,総スイッチ ング時間は O2過多で最短でありインダクタンスの立ち下が りが急峻なことからも O2過多の条件がアーク放電を用いた スイッチングに適していると言える. 参考文献

[1] H. Akiyama, T. Sakugawa, and T. Namihira, “Environmental Applications of Repetitive Pulsed Power,” IEEE Transactions on Dielectrics and Electrical Insulation, Vol.14, No 4, pp.825-833, 2007. [2] D. Wang, M. Matsuda, T. Matsumoto, T. Namihira, and H. Akiyama, “Energy Transfer Efficiency of Nano-Seconds Pulsed Power Generator for Nonthermal Plasma Processing Technique,” IEEE Transactions on Dielectrics and Electrical Insulation, Vol.18, No.4, pp.1091-1096, 2011.

[3] T. Namihira, D. Wang, T. Matsumoto, S. Okada, and H. Akiyama, “Introduction of Nano-seconds Pulsed Discharge Plasma and its Applications,” IEEJ Transactions on Fundamentals and Materials, Vol.129, No.1, pp.7-14, 2009.

表 1 より,O 2 比が増加するにつれ T1 区間は減少傾向に あり,80 %-O 2 /N 2 ではT1 区間はほとんど見られなくなった. 40,50,60  %においてインピーダンスの傾きが平坦な区間 (T 1-2 )が現れた.この区間は,低インダクタンス状態であるグ ロー放電の持続を意味すると考えられる.  50  %-O 2 /N 2 下 におけるスイッチング速度が最大となり,低損失であるため, グロー放電を利用したスイッチングには 50 %-O 2 /N 2 が最適 であると考えられる.次に表

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