監査法人の継続監査期間と不正会計の発見
稲 葉 喜 子
[抄録] EUでは,監査事務所のローテーション制の導入が2014年6月に発効され2016年6月から適用 されている。日本においても監査法人のローテーション制の導入について議論されているが,そ の前提には監査法人の継続監査期間が長くなれば,経験による有益な情報の蓄積よりも独立性や 職業的懐疑心の阻害というデメリットの方が大きく働き監査の失敗が生じるリスクが高まるとい う想定があると考えられる。本研究では,監査法人の継続監査期間の長短が監査法人による不正 会計の発見に与える影響を実証的に検証した。その結果,単変量の分析においては継続監査期間 が10年以上の場合に,監査法人が不正を発見したサンプルに絞った分析においては継続監査期間 が15年以上の場合に,不正会計発見までの期間は長期化する可能性があるとの結論を得た。一方 継続監査期間が短い場合に不正会計の発見との間に統計的に有意な結果は導かれなかった。 [キーワード] 継続監査期間,不正会計,独立性,監査の品質,ローテーション制Ⅰ はじめに
財務諸表監査の目的は,財務諸表の適正性に 関する意見を表明することにある。しかしなが ら,財務諸表監査における監査法人の役割に対 する社会一般の期待は,財務諸表の適正性に関 する監査法人の意見表明に留まらず,重要な虚 偽の表示や不正の発見にも及んでいる。日本に おいても企業会計審議会[2013]が公表され, 会計監査における不正への取組みが重要視され るようになったが,依然として不正会計⑴が行 われたことを公表する上場企業は後を絶たない。 会計監査の信頼性の確保のためには,監査法 人⑵の独立性を確保し,職業的懐疑心の発揮を 促すことが重要であるが,そのための方策とし て企業が監査契約を締結する監査法人を一定期 間毎に強制的に交代させる制度(以下,「ロー テーション制」という)の導入についても議論 されている。その前提には,監査法人の継続監 査期間が長くなれば独立性の確保に支障が生じ ることにより,監査の失敗が生じるリスクが高 まるという想定があると考えられる。本研究で は,監査法人の継続監査期間の長短が,監査法 人により不正会計が発見されるかどうか,及び 不正会計の発見までの期間と関連するのかどう かを実証的に明らかにする。Ⅱ 監査法人の継続監査期間に
関する制度の概要
EUでは,監査事務所のローテーション制の *論文受付日:2019年10月25日,修正日:2020年2月21日,掲載決定日:2020年3月9日。導入が2014年6月に発効され2016年6月から適 用されている。PIE(Public・Interest・Entities: 社会的に影響度の高い事業体)の会計監査は, 原則として最長継続任期が10年とされ,契約終 了後4年間のインターバル期間中は同じ企業の 監査に携わることはできない。被監査企業が同 じ監査事務所を何十年も選任していることから 生じるなれ合いの脅威に対応するため,特定の 被監査企業の監査事務所の最長在任期間を設定 することとし,加えて監査事務所の独立性の強 化,職業的懐疑心の強化及び監査の品質の向上 のため,最長在任期間の延長のための選択肢と して公開入札や共同監査の実施を規定している (EU[2014],甲斐[2014])。 一方米国では1970年代以降監査事務所の継続 監査期間に関して数多くの議論がなされ,その 長期化に否定的な意見が多く報告されてきた。 しかしながらGAO[2003]では企業に関する 知識の習得に時間がかかることから生じる監査 の品質の低下や監査コストの上昇などの監査事 務所のローテーション制のコストはベネフィッ トを上回り,監査事務所のローテーション制の メリットは監査法人内の監査担当者のローテー ションによりその多くが達成できるとされた。 そのような背景により米国では監査事務所自体 のローテーション制ではなく監査責任者の定期 的交代制が採られてきた。金融危機を経て PCAOB[2011]は,監査法人の独立性・客観 性及び職業的懐疑心を強化する方法としての監 査事務所のローテーション制に関する議論を整 理してコメントを募集し制度導入への意欲を示 した。しかしながら,制度導入に反対する勢力 が強く,2013年7月9日にPCAOBが監査事務 所のローテーション制の導入を禁止するSOX 法修正法案が321対62で下院により可決されて いる(Chasan[2013],町田[2019])。 日本においては,カネボウの不正会計事案な どを契機として,金融審議会[2006]において 監査法人のローテーション制の在り方について 議論がなされた。独立性確保の徹底という観点 から意義があるとの意見がある一方で,ⅰ)監 査人の知識・経験の蓄積の中断,ⅱ)監査人・ 被監査企業に生じる交代に伴うコスト,ⅲ)被 監査企業の活動の国際化や監査業務における国 際的な業務提携の進展等の中での国際的な整合 性の確保,ⅳ)大規模監査法人の数が限定され ている中での交代の事実上の困難さを伴う点が 指摘された(金融庁[2017])。 日本では現在まで米国と同様に監査法人内の パートナーの定期的交代という形で措置され⑶, 監査法人のローテーション制は採られていない。 しかし2015年に発覚した株式会社東芝の不正会 計の問題を契機として,金融庁[2016]におい て,被監査会社と監査法人との関係が長期にわ たる場合に監査法人の独立性が損なわれたり職 業的懐疑心の発揮が鈍らされたりすることが懸 念され,日本における監査法人のローテーショ ン制の導入の可能性についての議論が再度提起 されている。さらに金融庁[2017]が公表され, 監査事務所のローテーション制に関する諸外国 の制度対応やその背景の調査・分析とともにそ の実効性確保のための方策等について取り纏め られている。
Ⅲ 先行研究
監査法人の継続監査期間の長さが監査業務に 与える影響に関する先行研究としては,⑴経営 者による利益調整又は利益の質との関係の分 析,⑵不正会計等による監査の失敗との関係の 分析,⑶監査報告における限定付意見や意見不 表明,あるいは説明事項等の意見以外の記載事項との関係の分析等が存在する⑷。 ⑴継続監査期間と経営者による利益調整又は 利益の質との関係の分析においては,概ね継続 監査期間が長いほど財務諸表監査の質は高まる と い う 結 論 を 提 示 し て お り(Johnson・et・al. [2002],Myers・et・al.[2003]等),監査事務所 が被監査企業特有の知識や経験を得て監査リス クを低く抑えることができるため,継続監査期 間が長いほどより効率的で効果的な監査を行え ることを示している。 ⑵継続監査期間と不正会計等による監査の失 敗との関係に関して結論は混在している。 Casterella・ et・ al.・[2004],及び Myers・ et・ al.・ [2005]・では継続監査期間の長さと監査の失敗 との間には関連性があるとの結論であり, Singer・and・Zhang[2018]も継続監査期間と 監査の質との間の負の関係を報告している。一 方で,Raghunathan・et・al.[1994]及びWalker・ et・al.[2001]は,監査の失敗は2〜3年の短 期の継続監査期間で起こりやすいと論じている。 Carcello・and・Nagy[2004]も短期の継続監査 期間の場合に監査の失敗が起こりやすいという 結論であり,長期にわたり在任しているときに 不正会計が発生しているという結果は得られな かった。 ⑶継続監査期間と監査報告における限定付意 見や意見不表明,あるいは説明事項等の意見以 外の記載事項との関係ではGeiger・and・Raghu-nandan[2002],Knechel・ and・ Vanstraelen [2007],町田・林[2013]等,継続企業の前提 に関する追記等の対応と継続監査期間の関係を 取り扱った研究が多い。 本研究は不正会計を報告した日本の上場企業 を対象として,その発見までの期間と継続監査 期間との関係を分析したものであり,上記のう ち⑵の領域に区分されるものである。
Ⅳ 仮説
諸外国や日本のこれまでの監査事務所のロー テーション制の議論において,継続監査期間が 長期化すると監査事務所と被監査企業との結び つきが強くなり,独立性や職業的懐疑心が阻害 されるという意見と,長期に監査業務に従事す ることにより監査に有益な情報が蓄積されるこ とから監査が効率化し監査コストが低下し,監 査の品質が向上するという意見の両方が主張さ れてきた。しかし規制当局による見解や1970年 代の米国の各委員会における勧告や報告では, 大多数は継続監査期間の長期化によるマイナス の影響を重視し,EUでは実際に監査事務所の ローテーション制が導入されている。 先行研究において,利益調整を監査の品質の 代理変数ととらえた実証研究では継続監査期間 が長くなると財務諸表監査の質が高まるという 結論が多く示されている。一方で不正会計との 関連では,継続監査期間が長いほど監査の失敗 が起こりやすいとの結果も表明されており,こ の結果は各国の規制当局等の見解と合致してい る。継続監査期間が長くなると独立性や職業的 懐疑心が阻害され,被監査企業に不正が発生し た場合にそれを短期間で発見することが困難に なる可能性がある。従って以下の2つの仮説を 構築する。 仮説1:・継続監査期間が長い監査法人は被監査 企業に不正会計が発生しても発見でき ない。 仮説2:・継続監査期間が長い監査法人は被監査 企業に不正会計が発生した場合に発見 までの期間が長い。Ⅴ リサーチ・デザイン
1.分析モデル 仮説1及び仮説2の分析にあたり,継続監査 期間,不正会計の発見時点と不正会計発生まで の期間の関係はSinger・and・Zhang[2018]に 従い,図1の通りとした。 ⑴ 仮説1 不正会計を発見した監査法人とそれ以外で, 監査法人の継続監査期間に有意な差異があるか どうかについて検討するとともに,以下のロジ ットモデルによる推定を行う。DETi=β0+β1TENUREi+β2AUDi+
β3AMTi+β4LOSSi+β5ZMIi+β6DIVi+
β7MNGi+β8PRTi+β9BUS_SEGi+
β10GEO_SEGi+β11SUBi+β12AGEi+
β13BDSIZEi+β14OUTDIRi+β15OUTAUDi+
β16SIZEi+β17MKTi+β18INDDummyi+
β19YEARDummyi+εi ⑴ ここで, DETi:・監査法人が不正会計を発見した場合は 1,それ以外は0のダミー変数 TENUREi:・対象年度⑸における監査法人の継 続監査期間⑹ AUDi:・対象年度における監査法人が大手監査 法人⑺なら1,それ以外は0のダミー変 数 AMTi:・不正金額(純資産に対する影響額)/ 対象年度の総資産 LOSSi:・対象年度における決算で被監査企業が 純損失を計上していれば1,それ以外 は0のダミー変数 ZMIi :・対象年度における被監査企業のZmijew-ski[1984]の財務状態スコア DIVi:・不正会計が資産の流用を目的とするも のであれば1,それ以外は0のダミー 変数 MNGi:・不正会計に取締役あるいは監査役が関 わっている⑻場合には1,それ以外は 0のダミー変数 PRTi:・不正会計が被監査企業本体で発生した ものであれば1,子会社で発生したも のであれば0のダミー変数 BUS_SEGi:・対象年度における被監査企業の開 示事業セグメント数 GEO_SEGi:・対象年度における被監査企業の 開示地域別セグメント数 SUBi:・対象年度における被監査企業の連結子 会社数の自然対数 AGEi:・対象年度における被監査企業の上場時 からの経過年数の自然対数 BOADSIZEi:・対象年度における被監査企業の 取締役の人数 OUTDIRi:・対象年度における被監査企業の社 外取締役が取締役人数に占める比 率 監査法人の初度監査年度 不正会計の開始(対象年度) 不正会計の発見 継続監査期間( ) 不正会計発見までの期間( ) 図1 不正会計の開始,発見及び継続監査期間の関係
OUTAUDi:・対象年度における被監査企業の社 外監査役が監査役に占める比率⑼ SIZEi:・対象年度における被監査企業の総資産 の自然対数 MKTi:・対象年度における被監査企業の上場市 場が新興市場⑽なら1,それ以外は0 のダミー変数 INDDummy:業種ダミー(東証33業種) YEARDummy:年ダミー TENUREiが主たる説明変数である。その他 はコントロール変数であり,変数に追加した理 由は以下の通りである。AUDiは,先行研究に 従い不正会計の発見に監査法人の規模が関係す る可能性を考慮した。AMTiは,不正金額の大 小は発覚しやすさと関連する可能性があるため 変数に追加した。BUS_SEGi,GEO_SEGi, 及びSUBiは,先行研究に従いセグメント数や 連結子会社数が多くなると被監査企業の複雑性 が増し監査リスクが増加するため,不正の発見 しやすさに関連する可能性を考慮した。DIVi,・ MNGi及びPRTiは,不正の発生要因や主体が 異なると不正の発見しやすさに影響する可能性 を踏まえたものである。LOSSi及びZMIiは, 被監査企業の財政状態や経営成績による監査手 続の相違をコントロールするものである。
BDSIZEi,OUTDIRi,及びOUTAUDiは,ガ
バナンスが不正会計の発生と関連する可能性を 考慮し⑾取締役会の規模と独立性をコントロー ルするため,SIZEi及びMKTiはそれぞれ企業 規模及び上場市場をコントロールするために変 数に組み入れた。 また,⑴式に加えて,以下の⑵式による推定 も行う。
DETi=β0+β1TENURE_ni+β2AUDi+
β3AMTi+β4LOSSi+β5ZMIi+β6DIVi+
β7MNGi+β8PRTi+β9BUS_SEGi+
β10GEO_SEGi+β11SUBi+β12AGEi+
β13BDSIZEi+β14OUTDIRi+β15OUTAUDi+
β16SIZEi+β17MKTi+β18INDDummyi+
β19YEARDummyi+εi ⑵ ここで, TENURE_ni:・対象年度における監査法人の継 続監査期間が3年以下(n≤3の 場合)⑿,あるいは10年以上(n ≥10)⒀なら1,それ以外は0の ダミー対数 その他の変数は⑴式と同じである。 ⑵ 仮説2 継続監査期間が長い監査法人ほど,被監査企 業に不正会計が発生した場合に発見までの期間 が長いかどうかを分析するため,監査法人の継 続監査期間が短期(3年以内)かどうか,ある いは長期(10年以上)かどうかで不正会計の発 見までの期間に有意な差異があるかどうかを検 討するとともに,以下の重回帰モデルによる推 定を行う。
DURi=β0+β1TENUREi+β2AUDi+
β3AMTi+β4LOSSi+β5ZMIi+β6DIVi+
β7MNGi+β8PRTi+β9BUS_SEGi+
β10GEO_SEGi+β11SUBi+β12AGEi+
β13BDSIZEi+β14OUTDIRi+β15OUTAUDi+
β16SIZEi+β17MKTi+β18INDDummyi+
β19YEARDummyi+εi ⑶ ここで, DURi:・監査法人が不正会計継続期間中に提出 した有価証券報告書又は有価証券届出 書に含まれる財務諸表又は連結財務諸 表に適正意見を出した回数
説明変数及びコントロール変数の定義及び変 数に組み入れた理由は⑴式と同様である。 また,⑶式に加えて,以下の⑷式による推定 も行う。
DURi=β0+β1TENURE_ni+β2AUDi+
β3AMTi+β4LOSSi+β5ZMIi+β6DIVi+
β7MNGi+β8PRTi+β9BUS_SEGi+
β10GEO_SEGi+β11SUBi+β12AGEi+
β13BDSIZEi+β14OUTDIRi+β15OUTAUDi+
β16SIZEi+β17MKTi+β18INDDummyi+
β19YEARDummyi+εi ⑷ ここで,TENURE_niの定義は⑵式と,その 他の変数の定義は⑴式と同様である。 2.データ 2018年12月末までに適時開示により不正会計 を公表した上場企業をeolの企業情報データベ ースにより「不正」「不適切」「虚偽」「粉飾」 でキーワード検索し,当初から不正会計を目的 として実施した,又は資産の流用等を目的とす る場合で結果的に不正会計につながったことが 適時開示の表題から判断できるものを抽出した。 抽出された企業の中で最も早い適時開示の公表 時期は2004年10月であった。なお,抽出にあた り決算に影響のないもの及び誤謬であることが 適時開示の表題から明らかなものは除外し,併 せて金融商品取引所及び証券取引等監視委員会 のホームページで公表されている処分事例によ り補完し,一次サンプルとして464件を選定した。 ここから有価証券報告書と適時開示資料の内容 を確認し表1の過程を経て,最終サンプルとし て234件を選定した。 サンプルの上場企業の各財務数値は,対象年 度の有価証券報告書の訂正報告書が提出されて いる場合には訂正後の数値とし,提出されてい ない場合には訂正前の数値とした。財務数値以 外のデータは各社の有価証券報告書及び適時開 表1 サンプルの選定過程 除外事由 件数 当初サンプル 464 (△)検討の結果,事後的に会計処理に問題がなかったと判断された。 -1 (△)不適切な会計処理が誤謬によるものであった。 -16 (△)当該企業の損益に影響がなかった。 -3 (△)連結範囲対象外(非連結子会社や持分法適用関連会社等)で不正会計が発生した。 -4 (△)当該企業が銀行業である。 -11 (△)当該企業が対象年度に米国会計基準を適用している。 -9 (△)当該企業が対象年度にIFRSを適用している。 -1 (△)対象年度が2000年2月期以前であった。 -14 (△)対象年度に倒産・上場廃止等により決算が非開示であった。 -3 (△)不正会計の開始時期や不正金額等の必要データが開示されていない。 -87 (△)監査人が最初の監査意見を提出する前に監査人以外が不正を発見した。 -50 (△)不正会計開始後に監査人が辞任し,かつ発覚の経緯が監査人以外であった⒁。 -31 最終サンプル 234
示資料より入手した。 不正会計の開始時期のデータは適時開示資料 から手作業で拾い,不正会計の適時開示がなさ れた時期を不正会計の発見時点とした。不正会 計開始後発見までに複数の監査法人が関与して いた場合には,最初の監査法人のみを分析の対 象とし,上場前でも金融商品取引法に基づく監 査を実施し有価証券届出書に監査報告書が添付 されている年度は継続監査期間に含めた。監査 法人の初度監査年度は有価証券報告書又は有価 証券届出書を調査し手作業で拾った。 東証分類によるサンプルの業種は,卸売業が 最も多く15.4%を占め,以下情報通信業,サービ ス業,小売業の順となっており,上位4業種で 過半数を占めている。不正会計が発覚した経緯 では監査法人による発見が55件(23.5%)と最多 であり,以下通常の内部統制,証券取引等監視 委員会・監督官庁・税務調査による指摘と続く。 3.記述統計量 記述統計量は表2の通りである。
Ⅵ 実証結果
1.仮説1 不正会計を発見した監査法人とそれ以外の監 査法人との間に監査法人の継続監査期間に有意 な差異があるかどうか分析した結果は表3の通 りであり,統計的に有意な結果は得られなかった。 表3 不正会計の発見と監査法人の継続監査期間 変数 平均値 DET=1 DET=0 t値 TENURE 10.509 13.447 1.603 監査法人による不正会計発見と継続監査期間 表2 記述統計量⒂ 変数 平均値 中央値 最大値 最小値 標準偏差 歪度 尖度 DET DUR TENURE AUD AMT LOSS ZMI DIV MNG PRT BUS_SEG GEO_SEG SUB AGE BOADSIZE OUTDIR OUTAUD SIZE MKT 0.235 3.590 12.756 0.756 0.109 0.346 -0.642 0.299 0.299 0.641 2.692 1.547 1.811 2.450 7.897 0.099 0.645 10.008 0.397 0.000 3.000 8.000 1.000 0.013 0.000 -0.803 0.000 0.000 1.000 2.000 1.000 1.792 2.639 7.000 0.000 0.667 9.896 0.000 1.000 12.000 48.000 1.000 5.140 1.000 30.733 1.000 1.000 1.000 8.000 6.000 6.415 4.205 50.000 0.600 1.000 16.139 1.000 0.000 0.000 1.000 0.000 0.000 0.000 -6.468 0.000 0.000 0.000 1.000 1.000 0.000 0.000 3.000 0.000 0.000 5.674 0.000 0.425 2.361 11.928 0.430 0.433 0.477 2.777 0.459 0.459 0.481 1.628 1.138 1.305 1.290 4.666 0.140 0.237 1.840 0.490 1.249 0.771 1.145 -1.195 8.372 0.647 7.142 0.877 0.877 -0.588 0.921 2.123 0.473 -0.546 4.021 1.406 -0.870 0.433 0.419 2.562 3.184 3.317 2.427 86.900 1.418 75.916 1.770 1.770 1.346 3.434 6.784 2.926 2.272 31.642 4.421 4.488 1.117 1.176の短期・長期の独立性の検定結果は表4の通り である。短期として3年以内に該当するかどう か,長期として10年以上に該当するかどうかで 監査法人の不正会計の発見に差異があるかを分 析した結果,統計的に有意な結果は得られなか った⒃。 ⑴式及び⑵式の実証結果は表5の通りである。 継続監査期間が長い監査法人ほど,被監査企 業に不正会計が発生しても発見できないかどう かについて,⑴式では統計的に有意な関係は認 められなかった。⑵式で短期を3年以内,長期 を10年以上とした場合にも同様に統計的に有意 な関係は認められなかったが,長期を7年以上 とした場合には,10%の有意水準であるが,継 続監査期間が長期の場合に監査法人は不正会計 を発見するという結果であった⒄。 その他の変数では,1%の有意水準で資産の 表5 実証結果:⑴式及び⑵式 ⑴式 ⑵式(n≤3) ⑵式(n≥10) ⑵式(n≥7) 従属変数: DET 予想符号 推計値 t値 推計値 t値 推計値 t値 推計値 t値 定数項 1.228 0.422 1.324 0.454 1.235 0.409 1.128 0.369 TENURE - 0.009 0.354 - - - - - - TENURE_3 + - - -0.080 -0.142 - - - - TENURE_10 - - - - - 0.814 1.562 - - TENURE_7 - - - - - - - 0.954 1.820† AUD + -0.107 -0.197 -0.081 -0.146 -0.261 -0.476 -0.279 -0.514 AMT + -0.326 -0.569 -0.311 -0.540 -0.372 -0.639 -0.343 -0.599 LOSS + 0.416 0.932 0.399 0.901 0.461 1.023 0.378 0.845 ZMI + 0.071 1.105 0.071 1.107 0.076 1.162 0.088 1.328 DIV - -1.786 -3.163 ** -1.776 -3.143 ** -1.913 -3.299 ** -1.919 -3.307 ** MNG - 1.077 2.304 * 1.057 2.283 * 1.187 2.486 * 1.259 2.587 * PRT + 0.065 0.130 0.038 0.078 0.169 0.334 0.146 0.293 BUS_SEG - -0.426 -2.652 ** -0.417 -2.637 ** -0.470 -2.839 ** -0.462 -2.813 ** GEO_SEG - -0.157 -0.623 -0.160 -0.633 -0.152 -0.602 -0.141 -0.555 SUB - -0.262 -0.897 -0.253 -0.872 -0.243 -0.842 -0.261 -0.900 AGE + -0.111 -0.458 -0.092 -0.386 -0.214 -0.868 -0.207 -0.514 BOADSIZE - -0.008 -0.159 -0.008 -0.146 -0.016 -0.297 -0.017 -0.320 OUTDIR ± -4.798 -2.177 * -4.770 -2.171 * -4.804 -2.156 * -4.843 -2.154 * OUTAUD ± 0.773 0.874 0.724 0.824 0.824 0.924 0.890 0.989 SIZE - 0.095 0.374 0.096 0.377 0.104 0.407 0.105 0.404 MKT + 0.097 0.177 0.086 0.155 0.092 0.166 0.034 0.061 INDdummy YEARdummy McFadden・R-squared 0.262 0.262 0.272 0.276 注:・数値の右にある**,*,†はそれぞれ両側検定で1%,5%,10%の水準で統計的に有意であることを表す(以降の表も同 様である)。 表4 監査人による不正会計発見と継続監査期間の 短期・長期の独立性の検定結果 項目 DET=1 DET=0 検定量χ2 TENURE_3=1 13 41 0.013 TENURE_3=0 42 138 TENURE_10=1 23 83 0.352 TENURE_10=0 32 96
流用を目的としている場合の方が監査法人によ り発見されない傾向にあり,事業セグメントの 数が多いほど監査法人により発見されない傾向 にある。 2.仮説2 監査法人の継続監査期間が短期(3年以内) かどうか,あるいは長期(10年以上)かどうか で不正会計発見までの期間に有意な差異がある かどうかを検討した結果は表6の通りである。 5%の有意水準で,継続監査期間が長期(10 年以上)であれば不正会計を発見できない期間 は長い傾向にある⒅。 ⑶式及び⑷式の実証結果は表7の通りである。 継続監査期間が長い監査法人ほど,被監査企 業に不正会計が発生した場合に発見までの期間 が長期化するかどうかについて,⑶式及び⑷式 とも統計的に有意な関係は認められなかった。 その他の変数では,1%の有意水準で,資産の 流用を目的としている場合の方が,不正会計が 表7 実証結果:⑶式及び⑷式 ⑶式 ⑷式(n≤3) ⑷式(n≥10) 従属変数:DUR 予想符号 推計値 t値 推計値 t値 推計値 t値 定数項 3.573 1.762† 5.115 2.376 * 4.901 2.319 * TENURE + -0.002 -0.101 - - - - TENURE_3 - - - -0.227 -0.565 - - TENURE_10 + - - - - 0.198 0.549 AUD - 0.358 0.927 0.296 0.774 0.306 0.807 AMT - 0.742 2.019 * 0.777 2.139 * 0.750 2.060 * LOSS - -0.618 -1.915† -0.594 -1.853† -0.587 -1.831† ZMI - -0.042 -0.773 -0.044 -0.827 -0.045 -0.840 DIV + 0.892 2.828 ** 0.990 3.125 ** 0.971 3.044 ** MNG + 0.121 0.372 0.114 0.351 0.122 0.374 PRT - 0.121 0.356 0.079 0.237 0.109 0.322 BUS_SEG + -0.107 -1.108 -0.098 -1.015 -0.103 -1.079 GEO_SEG + 0.029 0.182 0.014 0.091 0.012 0.077 SUB + -0.109 -0.552 -0.116 -0.592 -0.112 -0.569 AGE + 0.293 1.716† 0.278 1.676† 0.276 1.655† BOADSIZE + 0.022 0.582 0.019 0.516 0.019 0.500 OUTDIR - -2.143 -1.768† -1.848 -1.525 -1.790 -1.471 OUTAUD - 0.113 0.180 0.091 0.144 0.169 0.273 SIZE + -0.016 -0.099 0.004 0.024 0.005 0.031 MKT - -1.035 -2.655 ** -1.048 -2.673 ** -1.017 -2.633 ** INDdummy YEARdummy R-squared 0.413 0.426 0.426 Adjusted・R-squared 0.284 0.296 0.296 表6 不正会計発覚までの期間と継続監査期間の短 期・長期 変数 平均値 TENURE_3=1 TENURE_3=0 t値 DUR 3.204 3.706 1.373 変数 平均値 TENURE_10=1 TENURE_10=0 t値 DUR 3.943 3.294 -2.101*
発見されるまでの期間が長期化する傾向にあり, 新興市場に上場している企業の方が不正会計は 短期に発見される傾向にある。
Ⅶ 追加検証
仮説2の検証に際して,234件のサンプルの 中には,監査法人以外が不正会計を発見したケ ースが含まれているため,監査法人が発見した 55件のサンプルに絞って仮説2の平均の差の検 定及び⑶式及び⑷式の重回帰モデルの推定を行 った。平均の差の検定の結果は表8の通りであ る。 表8 不正会計発見までの期間と継続監査期間の短 期・長期(監査法人による発見) 変数 平均値 TENURE_3=1 TENURE_3=0 t値 DUR 3.385 3.167 -0.313 変数 平均値 TENURE_10=1 TENURE_10=0 t値 DUR 3.739 2.844 -1.525 変数 平均値 TENURE_15=1 TENURE_15=0 t値 DUR 4.333 2.800 -2.433* 継続監査期間が3年以内の短期かどうか,10 年以上の長期かどうかで監査法人が不正会計を 発見するまでの期間に統計的に有意な差はなか った。ただし,長期として15年以上の継続監査 期間をとった場合には,5%の有意水準で長期 の場合に不正会計発見までの期間は長期化する 傾向にある。 ⑶式及び⑷式の推定結果は表9の通りである。 継続監査期間が長い監査法人ほど,被監査企 業に不正会計が発生した場合に発見までの期間 が長期化するかどうかについて,⑶式では統計 的に有意な関係は認められなかった。⑷式で短 期を3年以内,長期を10年以上とした場合にも 同様に統計的に有意な関係は認められなかった が,長期を15年以上とした場合には,5%の有 意水準で継続監査期間が長期の場合に不正会計 発見までの期間は長期化するという結果であっ た。その他の変数では,1%又は5%の有意水 準で,新興市場に上場している企業の方が不正 会計は短期に発見される傾向にある。Ⅷ 結論及び今後の課題
継続監査期間と不正会計の発見との関係で は,ロジット分析において10%の有意水準で継 続監査期間が7年以上の長期になると監査法人 は不正を発見する傾向にあるという結果であっ たが,それ以外の期間では監査法人による不正 会計の発見と継続監査期間との間に統計的に有 意な関係は導かれなかった。継続監査期間が7 年程度の場合に監査法人は企業の不正会計を発 見しやすい可能性があるが,その理由の解明に はさらなる分析が必要である。 不正会計の発生から発見までの期間と継続監 査期間との関係では,単変量の分析において5 %の有意水準で,継続監査期間が10年以上の長 期になると不正会計の発見までの期間は長くな り,さらに監査法人が不正会計を発見したサン プルに限定した場合には,単変量の分析におい ても重回帰分析においても,5%の有意水準で 継続監査期間が15年以上の長期となると不正会 計を発見できない期間は長くなる傾向にあると いう結果であった。監査法人の監査継続期間が 15年を超える長期になると,経験による有益な 情報の蓄積というメリットが不正会計の発見に 必ずしも有効に機能しなくなる可能性がある。 この理由が,監査法人の独立性や職業的懐疑心の阻害によるのかの検証は今後の課題である。 一方で継続監査期間が短い場合に不正会計の発 見との間に統計的に有意な結果は導かれなかっ た。 本研究の分析上の問題として以下を認識して いる。不正会計の発覚の経緯が被監査企業の開 示に明確に示されていない場合があり,監査法 人の関与により発覚したものとそれ以外のもの の区分が適切になされていない可能性がある。 また不正会計開始後に辞任あるいは契約解除に より退任した監査法人は分析の対象から除外し たが,定時株主総会で退任した監査法人の中に も不正会計の発生に起因して退任した監査法人 が存在する可能性がある。定時株主総会での退 任の場合,監査法人の交代理由については任期 満了と開示されている場合が多い⒆が,任期満 了の監査法人の継続監査期間が短い場合には, 監査法人と被監査企業の間の意見の不一致や財 務報告の問題を背景に監査法人が交代したケー スを多く含む可能性があり,監査の品質が基準 以下であったケースが多く見られること,ある いは継続監査期間が短いケースに元々リスクの 高い事例が集中している関係があることが指摘 されている(PCAOB[2011])。さらに,不正 会計にかかわらず他の理由で交代した監査法人 や,監査法人以外が不正を発見したサンプルに 表9 実証結果:⑶式及び⑷式(監査法人による発見) ⑶式 ⑷式(n≤3) ⑷式(n≥10) ⑷式(n≥15) 従属変数:DUR 予想符号 推計値 t値 推計値 t値 推計値 t値 推計値 t値 定数項 7.796 1.894† 8.483 1.851† 7.620 1.834† 6.938 1.789† TENURE + 0.075 1.622 - - - - - - TENURE_3 - - - 0.577 0.554 - - - - TENURE_10 + - - - - 1.718 1.598 - - TENURE_15 + - - - - - - 1.884 2.270 * AUD - -1.345 -1.125 0.376 0.237 -1.413 -1.151 -1.177 -1.166 AMT - 2.125 2.253 * 1.966 1.837† 1.582 1.567 1.633 1.799† LOSS - -0.750 -0.866 -1.588 -1.911† -0.778 -0.902 -0.323 -0.376 ZMI - -0.076 -0.919 -0.107 -1.214 -0.108 -1.318 -0.104 -1.369 DIV + 1.008 1.101 1.059 1.073 1.143 1.244 0.652 0.749 MNG + 0.444 0.840 -0.432 -0.466 0.409 0.491 0.143 0.202 PRT - 0.318 0.410 0.076 0.091 -0.197 -0.245 -0.055 -0.076 BUS_SEG + -0.123 -0.444 -0.028 -0.096 -0.193 -0.657 -0.064 -0.258 GEO_SEG + 0.028 0.079 -0.098 -0.229 0.003 0.008 0.030 0.089 SUB + -0.151 -0.245 -0.252 -0.371 -0.079 -0.127 -0.326 -0.563 AGE + -0.153 -0.355 0.276 0.528 -0.421 -0.810 -0.253 -0.625 BOADSIZE + -0.032 -0.267 -0.064 -0.490 -0.105 -0.841 -0.008 -0.074 OUTDIR - -4.705 -1.021 -3.442 -0.661 -1.479 -0.299 -2.546 -0.584 OUTAUD - -3.235 -2.250 * -2.981 -1.879† -3.605 -2.459 * -3.356 -2.501 * SIZE + -0.284 -0.510 -0.506 -0.858 -0.071 -0.118 -0.186 -0.355 MKT - -3.455 -3.560 ** -2.754 -2.446 * -3.236 -3.423 ** -3.377 -3.821 ** INDdummy YEARdummy R-squared 0.893 0.876 0.892 0.907 Adjusted・R-squared 0.587 0.520 0.585 0.641
ついては,仮に交代せず監査を継続した場合, ないしは監査法人以外の者が不正を発見しなか った場合には不正を発見できない期間はより長 くなっていた可能性があるが,その点は分析に あたって考慮されていない。このような事例の 取り扱いについては今後の課題である。 [注] ⑴ 財務諸表監査の対象となる不正は,「不正な財務 報告」と「資産の流用」に区分される(企業会計 審議会[2013];日本公認会計士協会[2011])。日 本公認会計士協会[2011]では,「不正には,不正 な財務報告(いわゆる粉飾)と資産の流用がある」 とされており(第3項),不正会計とは基本的には 「不正な財務報告」を指す概念であるといえる。一 方で,「資産の流用」を目的とした不正であっても その隠蔽のために不正な財務報告につながること もある(同A5項)。本研究では,経営者による「不 正な財務報告」と,「資産の流用」を目的とした不 正のうち,その隠蔽のために「不正な財務報告」 につながるものの双方を不正会計として取り扱う。 ⑵ 厳密には監査法人の他個人の公認会計士事務所 も含むが,本研究では「監査法人」と用語を統一 する。 ⑶ 2003年の公認会計士法改正により,2004年4月 1日開始年度以降上場会社を含む一定の大会社等 の会計監査に係る業務執行社員について,最長継 続任期を7年,最短インターバルを2年とするこ とが義務付けられた。さらに,2007年の公認会計 士法改正により,2008年4月1日開始年度以降大 規模監査法人において上場会社の監査を担当する 主任会計士のローテーション・ルール(継続監査 期間5年,インターバル期間5年)が法定化された。 ⑷ 町田・林[2013]による区分を参照している。 ⑸ 対象年度とは,不正会計開始年度以降初めて監 査法人が監査を実施した年度をいう。以下も同じ である。 ⑹ 監査初年度に不正会計が開始された場合に1期 目とした。なお,他の監査法人と合併した場合に は従前の監査法人の監査が継続しているものと取 り扱う。 ⑺ 本研究では,海外のBig4と提携し,かつ社員数 が概ね100名以上,法人の構成員が1,000名以上の規 模である新日本,あずさ,トーマツ及びあらたの 各監査法人及びその前身である監査法人を大手監 査法人と取り扱う。 ⑻ 主体的に関わっているケースの他,黙認してい る場合も含む。 ⑼ 指名委員会等設置会社または監査等委員会設置 会社の場合には,社外取締役が監査委員会または 監査等委員会の人数に占める比率とする。 ⑽ 本研究ではJASDAQ,マザーズ,ヘラクレス, アンビシャス,セントレックス,Q-boardを新興市 場とする。 ⑾ Beasley[1996],Dechow・et・al.[1996],Klein [2002]等は,独立の取締役の比率や監査委員会の 構成等のガバナンスと不正会計の関係を報告して いる。 ⑿ 併せてn≤1及びn≤2とした分析も実施した。 ⒀ 先行研究では継続監査期間について10年以上を 長期としているケースの他,7年・9年・15年も あること,また,大規模監査法人における上場会 社の監査を担当する主任会計士のローテーション・ ルールの継続監査期間が5年であることから,n≥5, n≥7,n≥9,n≥15とした分析も実施した。 ⒁ 不正会計開始年度後に監査法人が辞任又は契約 解除となった場合には,監査法人以外が不正を発 見したと企業が開示していても,監査法人が不正 を起因として辞任した可能性があるためサンプル から除外した。 ⒂ 説明変数・コントロール変数間で相関が著しく 高いものはなかった。 ⒃ n≤3,n≥10の他n≤1,n≤2,n≥5,n≥7,n≥9, n≥15でも分析を行ったが,いずれも統計的に有意 な結果は得られなかった。 ⒄ この他⑵式でn≤1,n≤2,n≥5,n≥9,n≥15で も分析を行ったが,いずれも有意な結果は得られ なかった。n≥5,n≥7及びn≥9の結果を比較すると,
継続監査期間が7年前後の場合に監査法人は企業 の不正会計を発見しやすい可能性がある。 ⒅ 短期としてn≤1,n≤2,長期としてn≥5,n≥7, n≥9を採った場合は統計的に有意ではなく,長期と してn≥15の場合はn≥10の場合と同様の結果であ った。 ⒆ 金融庁は2019年6月に企業内容開示ガイドライ ンを改正し,臨時報告書に会計監査人が異動した 実質的な理由が記載されるよう手当がなされている。 [参考文献] Beasley,・M.S.・[1996]・“An・Empirical・Analysis・of・the・ Relation・between・the・Board・of・Director・Composi-tion・and・Financial・Statement・Fraud,”・The Account review,・Vol.71,・No.4,・pp.443-465. Carcello,・J.V.・and・A.L.Nagy・[2004]・“Audit・Firm・Ten- ure・and・Fraudulent・Financial・Reporting,”・AUDIT-ING:A Journal of Practice & Theory,・ Vol.23,・ pp.55-69.
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