Key words: 1.緒 言 今日,先進諸国の大量消費型ライフスタイルに よる環境負荷が,人々の生活に密着した深刻な環 境問題となっている。この問題への取り組みの1 つとしては,食糧資源を適切に消費することが といえるが,日本の食品ロスは年間643万トンに も上り,人々の消費行動の改善が緊要の課題であ る。食品ロスは半数が家庭からの廃棄物で,その 内訳で最も多いのが,「野菜や果物の皮や芯の過 剰切除」である(農林水産省,2016)。そのため 消費者は,責任ある食糧消費を実践するにあたり, 包丁技能や環境に配慮した調理知識を,消費者市 民教育を通して習得する必要があるといえる。 2015年に国連で採択された,持続可能で多様性 と包摂性のある社会の実現を目指す持続可能な開 発目標(Sustainable Development Goals:以下, SDGs)では,2030年までに食品ロスを半減させ る目標が掲げられた。国内でも同様の食品ロス削 減目標が示され(環境省,2018),「食品ロスの削 減の推進に関する法律」(2019)が公布されるなど, 食品ロス削減対策は急展開を迎えている。その一 方で,一般消費者に対する消費者市民教育は,啓 発用のポスターやパンフレットの設置,また市民 講座などが実施されており,家庭における食品ロ ス削減意識にはある程度の向上が認められるが, いまだ削減行動は進まず,意識と行動の乖離があ ることが示されている(大浦,2018)。 消費者市民教育を多くの消費者に対して展開で きる媒体の一つは,学校における家庭科教育であ る。家庭科教育における消費者市民教育の導入・ 実践の目標は,単なる節約の奨励に留まらず,社 会と家庭生活を結ぶ空間軸と,現在から未来へと 続く時間軸から成る座標上で,持続可能な社会の 基盤となる消費生活のあり方を把握させることに ある。特に,調理技能の向上は,削減行動に対し て直接的な働きかけが期待できる。 かつては,多くの教員が調理実習を調理技能の 向上に有効な指導法としか捉えていなかった(川 嶋他,2003)。しかし,近年では,食生活を様々 な課題と関連づけて認知を深め学び合う問題解決 的な調理実習の有効性が,栄養教育(小島他, 2016),味覚教育(得丸他,2014),消費者市民教 育(財津,2016)などにおいて示されている。そ のため,家庭科教育の調理実習を単なる技能教育 にとどめず,認知と技能を往還させて育成する問 題解決型調理実習という新たな学習方法として捉 えなおす必要があるといえる(図1)。 管見によれば,これまでのところ食品ロス削減 をテーマとした調理実習の研究は,野菜の廃棄部 分を活用した餃子の教材提案(菅野・貝沼,
研 究 論 文
家庭内食品ロス削減行動を促す
問題解決型調理実習プログラムの開発
日本家庭科教育学会誌,63(1):15-26,2020 食品ロス,消費者市民教育,家庭科,調理実習,環境教育 (受付日 2019年8月1日/受理日 2020年2月22日) Emiko ISHIJIMA 〒310-8512 城県水戸市文京2-1-1石 島 恵美子
城大学2015)のみで授 業実践が伴って いない点,環境 配慮型の調理実 習における節水 や節エネルギー の研究(三神, 2012)などは削 減率などの効果 測定が主な目的であった点で限定的な報告であっ た。また,食品ロスに限らない環境問題に対する 消費者の意識と行動の乖離についての研究におい ては,そのメカニズムを社会心理学の知見から, 「環境配慮行動と規定因との要因連関モデル」(以 下,「広瀬モデル」)(図2)を構築することで明 らかにした文献があげられる(広瀬,1994)。 広瀬モデルで は,第1段階で 環境問題のリス クや環境配慮行 動の有効性,自 己の責任帰属な どの認知を深め ることで環境に やさしくとの目 標意図(以下, 「目標意図」)が 強化され,第2 段階でその環境 配慮行動につい ての便益・費用 や規準となる社会規範およびその実行可能性につ いて評価を高めることで,目標意図の影響の下, 環境配慮的な行動意図(以下,「行動意図」)が強 化される構造になっている。広瀬モデルはこれま でに,衣生活に関する環境配慮行動(村上他, 2015),ゴミ減量行動(西尾,2005),マイバッグ 持参行動(前田他,2012),家庭内食品ロス削減 行動(石島,2019)など,様々な分野においてそ の妥当性が検証されてきた。 そこで本研究では,社会心理学の観点を取り入 れた広瀬モデルに基づき,高校家庭科における消 費者市民教育として,「家庭内食品ロス削減行動 を促す問題解決型調理実習プログラム」を作成し, 実践をとおしてその教育効果を検証することを目 的とした。さらに,本プログラムにおける学びと, 家庭内食品ロス削減行動の各規定因との因果関係 を明らかにすることとした。本研究で高校生を対 象としたのは,高校卒業後は一人暮らしなどで調 理の機会が多くなる者がいることから,将来につ ながる環境配慮行動の促進に役立つ研究が必要と 考えたためである。 2.研究方法 (1)プログラム実践の時期と対象 2018年9月から同年10月にかけて,A高等学校 全日制普通科の「家庭基礎」(授業担当:家庭科 教員)の履修者2年生4クラス158名を対象とした。 (2)プログラムの編成と位置づけ プログラムは,全3回(1回目:50分 2時限, 2回目:50分 1時限,3回目50分 2時限) で編成した。内容横断的な授業設計は,生活実践 力の向上につながることから(松井・大森, 2011),家庭科履修年間計画におけるプログラム の位置づけを,「食生活」と「消費生活・環境」 をまたぐ横断的授業とした。 1)学習内容と順序 学習内容の精選にあたっては,広瀬モデルの規 定因と「消費者教育の諸概念の分類」(Bannister & Monsma, 1982)を参考に,家庭内食品ロス削 減行動促進マトリクス(以下,「マトリクス」)を 作成し(表1),概念と学習内容を対応させ,検 討した。学習活動の順序については,広瀬モデル の第1段階である目標意図の規定因に関する学習 内容をプログラムの前半部分に,行動意図の規定 因に関する学習内容を後半に配置した(表2)。 2)授業方法 ⅰ)ジグソー法を取り入れた授業 プログラムの授業全3回のうち,1回目の授業 に知識構成型ジグソー法(以下,「ジグソー法」) リスク認知 環境にやさしく との目標意図 環境配慮的な 行動意図 環境配慮的な 行動実践 責任帰属認知 対処有効性認知 実行可能性評価 便益・費用評価 社会規範評価 図2 環境配慮行動と規定因との要 因連関モデル(広瀬1994) 予想される「環境配慮的な行動実 践」を追記 技能 認知 持続可能な 社会の構築 食品ロス削減 意識・行動 図1 問題解決型調理実習の 概念図(石島作成)
表1 広瀬モデルの規定因と,消費者教育の諸概念の分類マトリックス 消費者教育の諸概念 意思決定 資源管理 社会参加 広瀬モデルの規定因 リスク 認知 ①「MOTTAINAI」 食の大切さを意識する。環境に関 心をもち,問題を理解する ②環境問題,資源枯渇問題を認知す る 対処有効性 認知 ④3キリ活動(使いキリ,食べキリ,水キリ)の有効性を認知する ⑤「自分ができること」を考え,話し合う 責任帰属 認知 ③責任ある消費を考える 便益・費用 評価 ⑥削減行動は調理技能も向上させる ⑦社会的・個人的な便益を知る食費・ゴミ処理費用を評価する 社会規範 評価 ⑧SDGs,環境省の目標,消費者教 育推進法,学校教育,生涯教育に おける食品ロス問題を知る ⑨様々なNPO活動を知る(例:サ ルベージ・パーティ,フードバン ク,子ども食堂) 実行可能性 評価 ⑩工夫して食品ロス削減行動をする ⑪エコ調理スキルを習得する ⑫調理実習で協働活動をする 表2 学習指導計画の概要 次 時 題 材 学習方法 時配 学習内容 1 【目標】・家庭内食品ロスに関する理解を深めよう(知識・理解) ・家庭内食品ロス削減行動について自分で出来ることを考えよう(思考力・判断力・表現力) 1 ○食品ロスのリスクと責任 帰属を認知する 【①②】 ○ジグソー法の説明 ・学習目標の確認 ・視聴覚教材による説明 ・ジグソー法の説明 (分) 10 30 10 ・食品ロスの現状と地球環境とのつながり ・CO2排出など環境問題 ・エネルギー枯渇問題 ・ごみ処理問題 ・飢餓と飽食など国際的な食糧問題 ・「MOTTAINAI」で表現される行為などの倫理問題 ・食品ロス(家庭内・外)の原因と責任 2 ○ジグソー法 ○ブレインストーミング ○自分ができることを考え よう 【③④⑤⑥⑦⑧⑨】 ・ジグソー法で思考を広げ る 25 ・消費者市民の視点・責任ある消費を考える ・国内外で行われている取り組み ・SDGsの目標 ・NPOの活動 ・ブレインストーミング法 で思考を深める・発表す る・まとめ 10 10 5 ・実行可能な食品ロス削減行動を考える ・行動の障壁は何か ・行動のメリットは何か ・行動するための工夫を考える ・行動するための工夫を表現する ・考えを深める 2 【目標】・家庭内食品ロス削減行動に関する理解を深めよう(知識・理解) ・家庭内食品ロス削減行動に関する技能を身に付けよう (思考力・判断力・表現力) 3 ○環境に配慮した調理方法 を習得しよう―1 「自分の包丁の腕前は?」 【⑩⑪⑫】 ・学習目標の確認 ・ゴミ箱折り 1010 ・生ゴミの水切りの方法を習得する・生ゴミのゴミ箱を作ろう ・調理実習(廃棄率の計算) ・まとめ 20 10 ・規格外の野菜の購入 ・廃棄率の計算方法を習得する ・梨1/4コの皮むき技能を自己評価する 3 【目標】・家庭内食品ロス削減するために工夫してみよう(思考力・判断力・表現力) ・家庭内食品ロス削減を考慮して行動しよう (学びに向かう力・人間性等) 4 ○環境に配慮した調理方法 を習得しよう―2 「SDGsを体感しよう!」 【⑩⑪⑫】 ・学習目標の確認 ・調理実習 (野菜くず削減 率の計算) ・まとめ 10 70 20 ・野菜くずの2回の計測 ア 通常の方法で切除した廃棄部分の重量測定をする ・アからキャベツの芯と野菜の皮をとる。 ・キャベツの芯も用いてコールスローを作る ・大根人参の皮でシリシリを作る イ エコ法で切除した廃棄部分の重量測定をする ・アとイから削減率を算出する ・廃棄量の比較をし,考察する ・試食をして自己評価をする ・環境に配慮した方法で片付けを工夫して行う 5 *①∼⑫は,表1と対応 を取り入れた。ジグソー法は,一人ひとりが主体 となって学びながら,他者との関わりを通じて自 分の考えを深める授業デザインである(東京大学 CoRFE,2009)。ジグソー法を用いた食品ロスに 関する既存の授業教材(横浜市経済局,2017)は 対象が小学生であり,高校生を対象にしたもので
はない。一方で,高等学校家庭科の授業において, 住居の学習でジグソー法を取り入れた教育の効果 が報告されている(小川他,2018)。 ジグソー法では,設定された課題の解を一人で 考えることから始まる。本時の課題は,「家庭内 の食品ロスを減らすためにできることは何か」と し,その課題解決に取り組むエキスパート班を8 班(A∼Dの4班を2組)編成し,それぞれにテ ーマを振り分けた。各班のテーマは,A班「消費 者市民としての意識と知識を持とう」,B班「消 費者市民として家庭内食品ロス削減行動をしよ う」,C班「世界・日本・企業の取り組み」,D班 「消費者市民として社会参画しよう」とした。家 庭内など他者の目が届かない場所での環境配慮行 動は社会規範が形成されにくいことから(広瀬, 1995),社会規範の形成を促す内容をテーマとす るよう心がけた。 リスク認知や責任帰属認知については,初学習 者の学習意欲の向上に有効であるスライドや動画 などの視聴覚教材(清水他,2008)を適用し,教 材で扱う内容には,事前調査で得られた課題であ る問題意識の低さ(食品ロスの認知度がわずか 9.1%)を取り上げ,学習者の身近な話題から既 習事項が引き出されるよう,対話的に説明を行う 内容を授業の前半に取り入れた。 主体的な学びとするために,事前にジグソー法 学習の目的や学習方法の説明を行った。さらに, エキスパート班での活動が資料を読むだけに終始 しないように,三択クイズを考える課題を加えた。 これは,協働学習にクイズを取り入れると主体性 が向上することから(大城,2018),エキスパー ト班の代表がホーム班(A∼D班から1人ずつ出 て4人で構成)で説明する際,考案した三択クイ ズを活用させた。ホーム班では,エキスパート班 で学習したテーマについて,1人ずつ順にクイズ を交えながら班員に説明する。その後,班で1つ の解決法に注目し,ブレーンストーミングの手法 を用いて,色分けした付箋に,解決法を実行する 際の「障壁」(ピンク),実行した際の「効果」(グ リーン),実行するための「工夫」(イエロー)に ついて,各自の考えを書き出して話し合い,意見 をまとめる。ブレーンストーミングは,学習者の 多様性を活用した空間探索に対する理解を醸成す る有効な手法である(文部科学省,2014)。色分 けした3つの視点は,広瀬モデルに即して食品ロ ス削減行動の対処有効性の認知と便益・費用の評 価を的確に行い,探究的な学びとするための指標 として取り入れた。 プログラムは班ごとの話し合いを主要素とした が,エキスパート班に分かれる前と授業の最後の 2回,ワークシートに自分の考えをまとめる時間 を約5分間ずつ設定し,個々の学習者の考えを深 める手立てとした。 ⅱ)問題解決型調理実習 全3回の授業のうち,2,3回目に問題解決型 の調理実習を取り入れた。学習者の主体的な学び を向上させる問題解決型学習(John Dewey, 1975)を基盤とした問題解決型調理実習(河村他, 2003;鈴木他,2009)は,調理実習の学習目標を 単に学習者個人の調理技能習得だけに留めず,社 会的問題の解決能力の向上も図ることができる。 今回の調理実習は,学習者が高校生になって初 めて行う調理実習であることを考慮して,2回目 の授業は今後の調理実習を環境に配慮して行うた めのガイダンスと位置づけた。廃紙による生ゴミ 入れの作成や,梨を用いて皮むき技能の自己評価 を行った。自己評価を省みることで,学習者の問 題意識を高め,次の調理実習での食品ロス(過剰 切除)の量を精察する意識を醸成することができ る。梨を教材に用いたのは,当該高校の地域食材 であり,食品ロスにつながる規格外の果物が手に 入りやすかったためである。 3回目の授業では,豚汁と,沖縄の郷土料理で あるシリシリ(豚汁で用いた人参と大根の皮を利 用),コールスロー(キャベツの芯部も利用),ご 飯,大根の葉で作るふりかけ(教員が調理)を献 立として調理実習を実施した。豚汁を適用した理 由は,中学校の調理実習で行われることが多く, 学習者が調理に慣れているため,彼らの思考が食 品ロス削減に集中しやすいと考えたからである。
過剰切除の削減や食材の有効利用をするための手 法を工夫することに重点を置き,教員が問題を設 定するなど,時間短縮を考慮した問題解決型学習 とした。 本調理実習の特徴は,1回の調理実習の中で野 菜くずの測定を2回行う点(1回目:学習者が通 常行っている切除方法で出た野菜くずを計量,2 回目:1回目に計測した野菜くずから,シリシリ やコールスローに利用できる皮や芯の部分を取り 出し,残りの野菜くずを計量)である。2回の計 測値の比較から,家庭内食品ロスの原因のうち, 最も多い過剰切除を減らすことで,SDGsの目標 値である食品ロス半減が達成できるかどうか,そ の可能性を検討した。 これまでの環境配慮調理実習における野菜くず の削減効果の可視化の方法は,エコ法の説明前後 に実施した実習の測定値を比較する方法(長尾他, 2007)と被験者を2群に分けてエコ法と通常法で 調理を行わせ,その測定値を比較する方法(三神 他,2011)が主であった。前者は,同じ調理実習 を2回行う点,後者は,学習者全員が削減の実感 や削減方法を工夫する機会が得られにくい点に課 題が見られた。本研究で適用した方法は,これら の課題を改善し,2単位の「家庭基礎」の調理実 習でも取り入れやすいように考慮した。 (3)調査項目と分析方法 1)家庭内食品ロス削減行動に関する調査 全3回の授業の前後1週間以内に,家庭内食品 ロス削減行動に関する質問紙調査を行った。調査 項目は,広瀬モデルを理論基盤にした家庭内食品 を置いた。家庭内食品ロスの削減行動評価(以下, 「行動評価」)の下位尺度として,便益・費用評価 2項目,社会規範評価4項目,実行可能性評価4 項目を置いた。関連要因として,野々村(2014) に依拠して作成したエコ調理スキル5項目を設定 した(表3)。設問は全て5段階評定(最高5点, 最低1点)とした(以下,「5段階評定」)。家庭 内食品ロス削減行動実践(以下,「行動実践」)11 項目は,まず家庭内において対象者が行動機会を 得ているかを質問し,機会保有者のみに当該行動 の実践度を5段階評定で尋ねた。なお,設問7, 9に関する機会は特に限定されないため,機会の 保有を尋ねる質問は除外した(図3)。属性は性 別を尋ね,プログラムの実施前後の教育効果を測 定するため,記名を求めた。 2)プログラムにおける学びに関する調査 プログラムにおける学びに関する質問項目は, 協調学習授業デザインハンドブック(東京大学 CoRFE,2009)を参考に作成したジグソー法を 含む授業での学びに関する7項目と,問題解決型 調理実習の効果(鈴木他,2009)を参考に作成し た調理実習を含む授業での学びに関する8項目で, 5段階評定で回答を求めた。 3)分析方法 家庭内食品ロス削減行動と本プログラムでの学 びに関する尺度ごとの記述統計量を集計した。尺 度の内的整合性の検証には,信頼性分析を行った。 内的整合性が得られた規定因のプログラム実施前 後の尺度得点について,教育効果の検討には対応 あるサンプルのt検定,性差の検討には独立した ロ ス 削 減 行 動 尺 度( 石 島, 2019)を参考に作成し,家庭内 食品ロスの削減目標意図(以下, 「目標意図」)5項目,家庭内食 品ロスの削減行動意図(以下, 「行動意図」)11項目,家庭内食 品ロス認知(以下,「食品ロス 認知」)の下位尺度として,リ スク認知4項目,対処有効性認 知2項目,責任帰属認知3項目 図3 家庭内食品ロス削減行動の実践度(n=111) 1 必要な量の食材を購入している 2 食品に適した方法で保管している 3 作り替えて食べている 4 食材は、計画的に使っている 5 無駄なく使っている 6 適量を作っている 7 残さず食べている 8 皮は薄くむいている 9 周りの人に伝えている 10 社会活動に協力している 11 生ゴミは水気を切って捨てている そう思う ややそう思う どちらともいえない0 20 あまりそう思わない40 60そう思わない80 機会がない100(%)
平均 (点) SD 平均 (点) SD 事前 (点) 事後 (点) 平均 (点) SD 平均 (点) SD 平均 (点) SD 平均 (点) SD 家庭内食品ロスを減らしたい 4.22 0.78 4.31 0.80 4.22 0.86 4.20 0.80 n.s. 4.22 0.72 4.40 0.79 n.s. n.s. n.s. 家庭内食品ロスを減らし,環境や社会をよ くしたい 4.12 0.85 4.32 0.82 * 4.10 0.81 4.29 0.73 n.s. 4.13 0.89 4.33 0.90 n.s. n.s. n.s. 家庭内食品ロスを減らさなくてはならない 3.97 1.02 4.22 1.00 * 4.06 0.88 4.18 0.89 n.s. 3.90 1.13 4.25 1.10 * n.s. n.s. 家庭内食品ロスを減らす大切さを子に伝え たい 3.68 0.96 3.97 0.92 ** 3.59 1.08 3.94 0.99 ** 3.75 0.84 4.00 0.86 ** n.s. n.s. 家庭内食品ロスの影響を知りたい 3.73 1.11 3.93 0.96 * 3.63 1.23 3.82 1.03 n.s. 3.82 1.00 4.02 0.89 n.s. n.s. n.s. 必要な量の食材を購入するようにしたい 4.42 0.64 4.47 0.75 n.s. 4.37 0.63 4.39 0.78 n.s. 4.5 0.65 4.53 0.72n.s. n.s. n.s. 食品に適した方法で保管するようにしたい 4.48 0.63 4.57 0.66 n.s. 4.41 0.57 4.53 0.61 n.s. 4.5 0.68 4.60 0.69n.s. n.s. n.s. 余った料理は次の食事でも食べたり,作り 替えて食べたりするようにしたい 4.41 0.69 4.47 0.69 n.s. 4.24 0.68 4.39 0.64 n.s. 4.6 0.68 4.53 0.72n.s. * n.s. 食材を計画的に使うようにしたい 4.39 0.70 4.47 0.77 n.s. 4.24 0.74 4.35 0.82 n.s. 4.5 0.65 4.57 0.72n.s. * n.s. 野菜の茎や皮の食べられる部分や,魚の あらなども無駄なく使うようにしたい 3.73 1.04 4.14 0.91 ** 3.45 1.15 4.00 0.96 ** 4 0.86 4.25 0.86 * * n.s. 料理は適量を作るようにしたい 4.22 0.72 4.35 0.73 n.s. 4.08 0.77 4.25 0.80 * 4.3 0.66 4.43 0.67n.s. n.s. n.s. 残さず食べるようにしたい(作りすぎの時に 残すのは含めない) 4.41 0.83 4.43 0.86 n.s. 4.35 0.91 4.43 0.81 n.s. 4.5 0.75 4.43 0.91n.s. n.s. n.s. 野菜の皮は,食材に応じてできるだけ薄く むくようにしたい 3.97 0.96 4.50 0.80 ** 3.71 1.10 4.39 0.92 ** 4.20 0.76 4.58 0.67 ** * n.s. 食品ロスを減らすように,周りの人に伝え るようにしたい 3.41 0.98 3.83 0.99 ** 3.29 0.92 3.63 0.98 * 3.5 1.02 4.00 0.97 ** n.s. * 余っている食品を,必要な人に再配分する 社会活動に協力するようにしたい 3.46 1.04 3.77 1.02 ** 3.41 1.04 3.59 1.08 n.s. 3.50 1.05 3.93 0.94 ** n.s. n.s. 生ゴミは水気を切って捨てるようにしたい 3.99 0.91 4.40 0.85 ** 3.9 0.96 4.29 0.90 ** 4.1 0.86 4.48 0.79 ** n.s. n.s. 家庭内の食品ロスは,エネルギーの枯渇 を招いていると思う 3.52 1.03 4.20 1.02 ** 3.43 1.12 4.08 1.23 * 3.60 0.96 4.30 0.79 ** n.s. n.s. 家庭内の食品ロスは,環境汚染を招いて いると思う 3.81 1.05 4.28 0.96 ** 3.82 1.05 4.10 1.04 n.s. 3.80 1.05 4.43 0.85 ** n.s. n.s. 家庭内の食品ロスは,食べ物を大切にしな くなる風潮を招いていると思う 4.04 1.03 4.29 0.91 * 4.16 0.88 4.24 0.91 n.s. 3.9 1.13 4.33 0.91 * n.s. n.s. 家庭内の食品ロスは,発展途上国の飢餓 の観点から,国際的な問題を招いていると 思う 3.83 0.99 4.02 1.04 n.s. 3.8 1.13 3.98 1.07 n.s. 3.9 0.86 4.05 1.02n.s. n.s. n.s. 家庭内の食品ロス削減に,一人ひとりが取 り組むことには良い効果があると思う 4.44 0.66 4.44 0.83 n.s. 4.37 0.66 4.35 0.87 n.s. 4.50 0.65 4.52 0.79 n.s. n.s. n.s. 家庭内の食品ロス削減に,今からでも取り 組むことには良い効果があると思う 4.41 0.71 4.51 0.76 n.s. 4.27 0.75 4.41 0.73 n.s. 4.5 0.65 4.60 0.79 * n.s. n.s. 家庭内の食品ロスが発生するのは,自分 の責任が大きいと思う 3.75 0.97 4.04 0.85 * 3.82 0.95 4.00 0.78 n.s. 3.7 0.98 4.07 0.92 * n.s. n.s. 家庭内の食品ロスが発生するのは,行政 の責任が大きいと思うR 2.72 0.82 3.06 0.98 * ー ー ー 3.18 0.89 2.80 1.08 * 3.4 0.76 3.05 0.89 * n.s. n.s. 家庭内の食品ロスが発生するのは,販売 店などの責任が大きいと思うR 2.63 0.96 3.31 1.11 ** 3.2 0.98 2.73 1.02 * 3.5 0.93 2.67 1.19 ** n.s. n.s. 皮を薄くむくなどの工夫は,包丁技能が上 達して良い効果があると思う 3.63 0.94 4.29 0.87 ** 3.61 0.94 4.31 0.74 ** 3.7 0.95 4.27 0.97 ** n.s. n.s. 家庭内の食品ロスが減ることは,家計のむ だな支出が減って良い効果があると思う 4.14 0.91 4.28 0.87 n.s. 4.06 0.99 4.22 0.81 n.s. 4.2 0.85 4.33 0.91n.s. n.s. n.s. 家族は,家庭内の食品ロス削減に気をつ けていると思う 3.15 1.11 3.12 1.05 n.s. 3.12 1.03 3.18 1.11 n.s. 3.2 1.17 3.07 1.01n.s. n.s. n.s. 友人の多くは,食品を無駄にしないように 気をつけていると思う 3.25 0.90 3.08 0.93 n.s. 3.31 0.91 2.98 0.88 * 3.20 0.90 3.17 0.96n.s. n.s. n.s. あなたの学校は,家庭内の食品ロスにつ いて熱心に教育していると思う 2.76 0.91 3.76 1.05 ** 2.76 0.91 3.78 1.06 ** 2.8 0.91 3.73 1.04 ** n.s. n.s. あなたの地域は,家庭内の食品ロス削減 について積極的に呼びかけていると思う 2.16 0.90 2.43 1.14 * 2.14 0.96 2.53 1.27 n.s. 2.2 0.85 2.35 1.02n.s. n.s. n.s. 生ゴミの水気を切って捨てることは,自分 でもできると思う 4.16 0.95 4.45 0.71 * 4.06 0.97 4.49 0.64 * 4.3 0.93 4.42 0.77n.s. n.s. n.s. 食材を計画的に使うことは,自分でもでき ると思う 4.03 0.95 4.39 0.80 ** 3.88 1.01 4.43 0.78 ** 4.2 0.88 4.35 0.82n.s. n.s. n.s. 包丁で野菜の皮を薄くむいたり捨てるとこ ろを減らしたりすることは,自分でもできる と思う 3.87 1.10 4.38 0.86 ** 3.73 1.15 4.25 0.94 * 4.00 1.04 4.48 0.79 * n.s. n.s. 食べない缶詰や食材を必要な人に再配分 するボランティアに寄付したり参加したりす ることは,自分でもできると思う 3.56 1.05 3.79 1.10 * 3.35 1.07 3.55 1.24 n.s. 3.7 1.01 4.00 0.92 * n.s. * 包丁で梨の皮を薄くむける 2.91 1.38 3.60 1.10 ** 2.55 1.21 3.39 1.17 ** 3.2 1.45 3.78 1.01 * * n.s. 環境に配慮した野菜の切り方を知っている 2.44 1.20 3.15 1.15 ** 2.33 1.18 3.08 1.11 ** 2.5 1.21 3.22 1.18 ** n.s. n.s. 廃棄率の計算方法がわかる 1.50 0.84 3.69 1.17 ** 1.57 0.88 3.49 1.26 ** 1.4 0.82 3.87 1.08 ** n.s. n.s. 野菜の芯や皮を工夫して料理に活用でき る 2.20 1.26 3.43 1.21 ** 1.86 1.04 3.25 1.18 ** 2.5 1.37 3.58 1.23 ** * n.s. 「食材を使い切るレシピ」(たとえば,大根を 丸ごと使い切るなど)を知っている 1.98 1.19 2.87 1.38 ** 1.75 0.98 2.61 1.30 ** 2.2 1.32 3.10 1.42 ** n.s. n.s. **:p<0.01,*:p<0.05,R:逆転項目 事後 男女 t 検定 女性(60) ** 4.28 事前 事後 前後 t 検定 尺度得点 尺度 前後 t 検定 事前 事後 前後 t 検定 事前 男女 t 検定 実 行 可 能 性 0.81 3.91 4.25 ** エ コ 調 理 ス キ ル 0.84 2.20 3.35 ** 社 会 規 範 0.70 2.83 3.10 ** 責 任 帰 属 0.45 便 益 ・ 費 用 0.62 3.89 リ ス ク 認 知 0.82 3.80 4.20 ** 対 処 有 効 性 0.88 4.42 4.48n.s. 行 動 意 図 0.94 3.92 4.24 ** 目 標 意 図 0.88 3.94 4.15 ** 表3. 質問紙調査(事前・事後)質問項目別記述統計結果(n =111) 尺 度 名 尺度項目 全体 男性(51) 事前 事後 前後 t 検定 α 係数 表3 質問紙調査(事前・事後)質問項目別記述統計結果(n=111) **:p<0.01,*:p<0.05,R:逆転項目
動は,「残さず食べる」の実践率(「するときのほ うが多い」または「ほとんどしている」と回答) が最高で72.4%であった。 (3)事前事後質問紙調査による教育効果の測定 事後調査における家庭内食品ロス削減行動の各 規定因について信頼性分析を行った結果,目標意 図,行動意図,リスク認知,対処有効性認知,便 益・費用評価,社会規範評価,実行可能性評価, エコ調理スキルに内的整合性が認められた(表3)。 プログラム実施後に尺度得点が有意に向上した のは,目標意図,行動意図,リスク認知,便益・ 費用評価,社会規範評価,実行可能性評価,エコ 調理スキルであった。平均値が顕著に向上した質 問項目は,エコ調理スキルの「廃棄率の計算方法 がわかる」「野菜の芯や皮を工夫して料理に活用 できる」と,社会規範評価の「あなたの学校は, 家庭内の食品ロスについて熱心に教育していると 思う」であった(表3)。 また,事前調査で性差が認められたのは,「包 丁で梨の皮を薄くむける」などのエコ調理スキル 2項目と,「野菜の茎や皮の食べられる部分や魚の あらなども無駄なく使うようにしたい」などの行 動意図4項目で,それぞれ有意に女子のほうが男 子よりも平均値が高かった。事後調査では,「食品 ロスを減らすように,周りの人に伝えるようにし たい」と「食べない缶詰や食材を必要な人に再配 分するボランティアに寄付したり参加したりする ことは,自分でもできると思う」の2項目におい て,有意に女子が高く,性差が認められた(表3)。 (4)プログラムにおける学びの分析 ジグソー法を含む授業での学びで平均値が最も 高い項目は,「他者の考えを聞くことは,学習の 理解に役立った」であった。調理実習を含む授業 での学びでは,「調理実習の献立の活用できそう な点はよかった」であった。ジグソー法を含む授 業での学びと調理実習を含む授業での学びの尺度 は,信頼性分析により,内的整合性が認められた。 また,性差については,ジグソー法を含む授業 での学びでは,「今日の食品ロスの学習は楽しか った」などの4項目と調理実習を含む授業での学 サンプルのt検定を行った。内的整合性が認めら れなかった(α<0.5)責任帰属認知については, 「家庭内の食品ロスが発生するのは,自分の責任 が大きいと思う」(以下,「責任帰属認知」)の平 均点を用いた。 続いて,家庭 内食品ロス削減 行動の規定因へ の影響に関する 因果関係を検証 するために,多 重 指 標 モ デ ル (図4)を構成し, 共分散構造分析 ( S t r u c t u r a l E q u a t i o n Modeling:以下, 「SEM」) を 実 施した。潜在変 数には,目標意 図と行動意図の規定因であるリスク認知,対処有 効性認知,便益・費用評価,社会規範評価,実行 可能性評価を,本プログラムの教育的影響として 「ジグソー法を含む授業での学び」,「調理実習を 含む授業での学び」を設定した。責任帰属認知は 観測変数として使用した。家庭内食品ロス削減行 動モデルの観測変数には事後調査のデータを採用 した。 統 計 解 析 ソ フ ト はSPSS Statistics Base25, Amos24を使用し,有意確率を5%とした。 本研究は, 城大学倫理委員会で承認された(承 認番号18P1400)。 3.結果 (1)分析対象者 分析対象者は,全プログラムに出席し,調査票 に欠損値のない111名(男:51名43.9%,女:60 名54.1%)。有効回答率は,70.3%であった。 (2)家庭内食品ロス削減行動実践の現状 結果を図3に示した。家庭内食品ロスの削減行 リスク認知 対処有効性 認知 責任帰属 認知 便益・費用 評価 社会規範 評価 実行可能性 評価 ジグソー法を含む 授業での学び 調理実習を含む 授業での学び 図4 プログラムにおける学びが, 広瀬モデルの規定因に及ぼす影 響の因果モデル
びでは,「調理実習の献立の活用できそうな点は よかった」の1項目において有意に女子が高く, 性差が認められた(表4)。 (5)プログラムにおける学びと家庭内食品ロス 削減行動モデルの規定因との関連 高校生の家庭内食品ロス削減行動モデルにおい て,プログラムでの学びが規定因に及ぼす影響を 示す因果モデルが,プログラムの実践により得ら れたデータに適合しているかどうか を検証するために,共分散構造分析 を行った。各潜在変数と観測変数の 対応関係および共分散構造分析の結 果を図5に示した。当モデルの妥当 性を検証した結果,適合指標は,χ2 =326.67,df=363, 有 意 確 率 = 0.92,GFI=0.85,AGFI=0.80, RMSEA=0.00であり,当モデルの 適合度は妥当であるといえる。各潜 在変数から観測変数への影響指数は, 0.51 ∼ 0.95であることから,潜在 変数は観測変数によって概ね適切に 観測されているといえる。 ジグソー法を含む授業での学びで は,「他者に説明をする活動は学習 の理解に役立った」と「他者との考 えを比較検討して答えを導くことができた」の推 定値が高く,調理実習を含む授業での学びでは, 「調理実習の献立の経済的なところがよかった」 と「食材を無駄にしないエコ調理法について理解 が深まった」の推計値が高かった。また,リスク 認知では「家庭内食品ロスは,環境汚染を招いて いると思う」,対処有効性認知では「家庭内食品 ロス削減に,今からでも取り組むことはよい効果 表4 プログラムにおける学びに関する質問項目別記述統計結果(n=111) 尺度名 質 問 項 目 全体 男性(51) 女性(60) 男女 差 t検定 平 均 (点) SD 係数α 尺度得点 (点) SD平均 (点) SD平均 ジグソー法を含む 授業での学び 今日の食品ロスの学習は楽しかった。 4.06 0.88 0.92 4.11 3.84 0.95 4.25 0.77 * パワーポイントは,わかりやすかった。 4.21 0.76 4.08 0.77 4.32 0.75 n.s. 他者の考えを聞くことは,学習の理解に役立った。 4.23 0.77 4.10 0.70 4.33 0.82 n.s. 他者に説明をする活動は学習の理解に役立った。 4.11 0.77 3.98 0.68 4.22 0.83 n.s. 他の担当者の説明を聞くことは学習の理解に役立った。 4.19 0.75 4.02 0.71 4.33 0.75 * 他者と自分の考えを比較して答えを導くことができた。 3.96 0.86 3.78 0.86 4.12 0.85 * クイズを考えることは理解を深めることができた。 3.98 0.91 3.78 0.81 4.15 0.97 * 調理実習を含む 授業での学び 今日の食品ロスの学習は楽しかった。 4.23 0.79 0.92 4.21 4.10 0.88 4.33 0.71 n.s. 調理実習の献立のおいしい点はよかった。 4.01 0.96 3.82 1.05 4.17 0.85 n.s. 調理実習の献立の簡単な点はよかった。 4.07 0.89 4.02 0.99 4.12 0.80 n.s. 調理実習の献立の経済的な点はよかった。 4.17 0.79 4.06 0.84 4.27 0.73 n.s. 調理実習の献立の環境に配慮している点はよかった。 4.29 0.74 4.14 0.78 4.42 0.70 n.s. 調理実習の献立の活用できそうな点はよかった。 4.38 0.69 4.29 0.70 4.45 0.68 * 食材を無駄にしないエコ料理法について理解が深まった。 4.23 0.71 4.10 0.73 4.35 0.69 n.s. 廃棄率や削減率で自己評価できる調理実習はよかった。 4.31 0.76 4.25 0.82 4.35 0.71 n.s. *:p<0.05 図5 プログラムの学びが規定因に及ぼす影響 リスク認知 対処有効性 認知 責任帰属 認知 便益・費用 評価 社会規範 評価 実行可能性 評価 ジグソー法を含む 授業での学び 0.69 調理実習を含む 授業での学び 0.78 0.75 0.81 0.74 0.91 0.69 0.60 0.89 0.95 0.71 0.63 0.82 0.74 0.81 0.90 0.79 0.48 0.51 0.80 0.81 0.80 0.73 0.32** 0.23** 0.47** 0.33** 0.40** 0.39** 0.73 0.80 0.83 0.77 0.81 0.83 標準化推定値、χ2 = 326.67、df = 363、有意確率 =0.92、 GFI=0.85、AGFI=0.80、RMSEA=0.00 **:p<0.01,*:p<0.05、誤差変動は省略した。 観測変数の数字は表3、表4と対応。 *責任帰属認知は、尺度の内的整合性が低かったため、観測変数(「家庭内の食のロスの責任は自分にある」)を用いた。 0.89 楽しかった パワーポイントの説明 他者の考えを聞くこと 他者に説明すること 他者の説明を聞くこと 他者と自分の考えを比較すること クイズを考えること 楽しかった 調理実習の献立がおいしい 調理実習の調理が簡単 経済的な献立 環境に配慮した献立 活用できそうな献立 エコ法を学べる献立 包丁技能を自己評価すること エネルギーの枯渇 環境汚染 一人ひとりの取り組み 今から取り組むこと 食べ物を大切にしない風潮 発展途上国との食物不均衡など 包丁技能の上達 無駄な支出がなくなる 家族からの影響 友人からの影響 生ゴミの水切り 食材の計画的な使用 過剰切除の改善 再配分ボランティアへの協力 地域社会からの影響
標準化推定値,χ2 = 326.67,df = 363,有意確率=0.92, GFI =0.85,AGFI =0.80,RMSEA =0.00
**:p <0.01,*:p <0.05,誤差変動は省略した。 観測変数の数字は表3,表4と対応。
があると思う」,便益・費用評価では「皮を薄く むくなどの工夫は,包丁技能が上達してよい効果 があると思う」,社会規範評価では「家族は,家 庭内の食品ロス削減に気をつけていると思う」, 実行可能性評価では「食材を腐らせないように計 画的に使うことは,自分でもできると思う」の推 定値が高かった。 プログラムでの学びと,家庭内食品ロス削減行 動の各規定因との因果関係は,ジグソー法を含む 授業での学びからリスク認知への係数は0.39で, 対処有効性認知0.40,責任帰属認知0.33,便益・ 費用評価0.47,社会規範評価0.23であった。また, 調理実習を含む授業での学びから実行可能性評価 への係数は0.32であった。 4.考 察 本研究では,広瀬モデルを基盤に開発した「家 庭内食品ロス削減行動を促す問題解決型調理実習 プログラム」の教育効果を検証した。さらに,プ ログラムでの学びと,家庭内食品ロス削減行動の 各規定因との因果関係を明らかにした。 その結果,まず,プログラムの実施により,家 庭内食品ロス削減行動の規定因のリスク認知,便 益・費用評価,社会規範評価,実行可能性評価お よび責任帰属認知の5つの尺度得点が向上した。 それに伴い,目標意図と行動意図の強化も認めら れたことから,広瀬モデルを基盤に作成したプロ グラムの教育効果が実証された。有意差が認めら れなかったのは,対処有効性認知であった。その 原因は,対処有効性認知尺度の有効性は,授業実 施前調査ですでに尺度得点が高く,天井効果(平 均値+標準偏差>最大値)が見られたため,本研 究においては明らかにすることができなかった。 そのため,授業の教育効果の評価においては別の 尺度を使用する必要性があると考えられた。プロ グラム作成の基盤となった広瀬モデルでは,行動 意図の強化による行動の促進が予測される(広瀬, 1995)。したがって,プログラムの教育効果として, 家庭内食品ロス行動意図の向上が認められたこと から,家庭内食品ロス行動の促進が期待できるこ とが示唆された。 性差については,プログラム実施前に男女で差 が認められた6項目は,実施後には差が認められ なかった。この理由は,調理実習で実際に具体的 な行動を体験したことにより,多くの学習者が肯 定的に受け止めたと考えられる。しかし,社会活 動や社会参画意識に関わる2項目に性差が認めら れ,男子に対しては,女子以上に支援が必要であ る可能性が示唆された。 また,従来,調理実習の主眼とされてきた調理 技能の向上についても,十分な教育効果が認めら れた。同時に,家庭内食品ロス削減行動意図の尺 度得点が向上したことからも,本プログラムの調 理実習は,認知と技能を往還させ向上させながら, 社会的な生活課題の解決に資する問題解決型調理 実習と考えられた。鈴木他(2009)は問題解決型 調理実習の効果を,調理技能の定着とその活用, 教材に対する認識の変容と生活要素の相互関連へ の気づき,自己認識の深まりと主体性感覚の醸成 としている。 プログラムでの学びが,高校生の家庭内食品ロ ス削減行動モデルの規定因に及ぼす影響について は,ジグソー法を含む授業での学びはリスク認知, 対処有効性認知,責任帰属認知,便益・費用評価, 社会規範評価に,また,調理実習を含む授業での 学びは実行可能性評価に影響したことが明らかと なった。この結果は,消費者に環境配慮意識と整 合性のある行動を促すためには環境保全の記述的 知識と具体的な省資源行動の手続き的知識とを関 連づけることの有効性(広瀬,1995)を支持した。 ジグソー法を含む授業の学びの4項目において 性差が認められたことで,先行研究(石島, 2012)と同様に,協働的な学びに関して男子は女 子よりも関心が低い傾向にあることから,グルー プワークが活性化するように男女混合班にするな ど男子に対する支援の必要性が示唆された。 プログラム作成の際にまず注目した規定因は, 実行可能性評価であった。これは調理技能を体験 的に習得するという調理実習の特性を活かすこと ができると考えたためである。今回の研究では,
調理実習を活かした授業が実行可能性評価の向上 に有効であることが明らかとなった。実行可能性 評価の行動意図への影響は,環境配慮行動の内容 や対象者の資質によって大きく異なることが明ら かになっている(広瀬,1995)。行動の難易度が 高い場合や対象者のその行動を行う資質が未熟で ある場合には,行動意図の意思決定に強い負の効 果をもたらす。 梨の皮むきでは,梨の廃棄率の規準が15%(文 部科学省,2015)であるのに対し,学習者の平均 は18.9%であった。この自己評価からの感想とし て,今後の包丁技能向上に意欲を持った受講生は 71.8%に上った。さらに,エコ法による調理実習 における野菜くずの平均削減率は61.0%となり, 「包丁で野菜の皮をむいたり捨てるところを減ら したりすることは自分でもできると思う」の平均 値も大きく上昇していたため,日常的に家庭内食 品ロス削減行動の機会保有率が低い高校生が,調 理実習を活かしたプログラムで体験的に学ぶこと により,実行可能性評価を向上させることができ たと考えられた。また,1回の実習中に野菜くず を2回測定し,削減率を計測する方法は,所用時 間が短く計算方法も簡潔であり,特別な測定器材 を必要としないことから,「家庭基礎」で十分活 用できた。 続いて,社会規範評価の教育効果については, t検定とSEMにより,学校での学びや様々な社 会活動への参加が社会規範を形成し,行動意図の 強化につながることが明らかとなった。家庭内で 行う削減行動の社会的位置づけを示すことが重要 である(広瀬,1995)。学習者の感想も,NPO活 動の紹介に特に関心が高い傾向を示していた。 NPO活動の1つは,サルベージ・パーティであ る。この活動は,参加者が家庭で持て余した食材 を持ち寄り,いつもと違った料理を作り,食材を 捉え直すことで家庭内食品ロスが社会的な課題で あることの認識を深める(フード・サルベージ, 2018)。2つめは,余り物食材の寄付を,必要な人々 に再配分する活動である(セカンドハーベスト・ ジャパン,2018)。 学習者のプログラムへの好意度は5点満点中, ジグソー法を含む授業で4.06点,調理実習を含む 授業で4.23点と高い得点を記録し,多くの学習者 が,プログラムを好意的な学習であると感じてい ることが示唆された(表4)。 今後の課題は,プログラムの枠組みを,消費者 市民教育の指導法として各分野の環境配慮行動で 活用できるよう,汎用化することである。今回取 り上げた食品ロス削減のような社会課題に関する 消費者市民教育は,今後ますます家庭科教育にお いて重要な位置づけとなることが予想されるが, 指導にあたる教員側は,問題解決学習の設計・運 営に難しさを感じているとの報告がある(高崎他, 2012)。本研究では,教員が現代の社会課題の解 決を視野に入れた問題解決型学習に対して感じて いる「難しさ」に寄り添った支援として,広瀬モ デルの規定因と消費者教育の諸概念の分類からマ トリックスを作成し,消費者市民教育の学習内容 精選の枠組みを構築することができた。 本研究では,開発したプログラムを評価する授 業を1回しか実施できなかった。このような学習 方法に教員と学習者が共に慣れることによって, より円滑な実習となり,学習者の柔軟な思考や深 い学びが創発されると考える。 5.総 括 本研究では,家庭内食品ロスの削減に資するた め,社会心理学の観点を取り入れた「家庭内食品 ロス削減行動を促す問題解決型調理実習プログラ ム」を,高校生を対象に実施し,その教育効果を 検証した。その結果,広瀬モデルに基づく本プロ グラムは,学習方法としてジグソー法と問題解決 型調理実習を用いたことで,教育効果の達成を導 いただけでなく,学習者からも好意的に評価され た。本プログラムが高校家庭科における消費者市 民教育の第1ステップとなりうる可能性を示すこ とができた。 本研究の独自性は,プログラム構築に社会心理 学の見地から,理論基盤となる「環境配慮行動の 要因連関モデル」の規定因と「消費者教育の諸概
念の分類」を用いたことである。開発したプログ ラムに基づく授業を実施した結果,学習者への質 問紙調査によりその教育効果が数量的に示され, 高校生の食品ロス削減行動モデルの規定因への正 の影響が明らかになった。 謝辞 本研究にご協力下さいました高校の家庭科担当 の先生方ならびに生徒の皆様に心より感謝申し上 げます。 本研究は,JSPS科研費JP19K02777の助成を 受けたものです。 参考文献 Bannister,Rosella&Monsma,Charles.(1982).Classification of Concepts in Consumer Education.South-Western Publishing.Cincinnati.USA. フ ー ド・ サ ル ベ ー ジ ホ ー ム ペ ー ジ.(2018).https:// salvageparty.com/producer/foodsalvage/.2018.12.30. 閲覧 広瀬幸雄.(1994).環境配慮的行動の規定因について.社会 心理学研究,10(1),44-55. 広瀬幸雄.(1995).環境と消費の社会心理学:共益と私益 のジレンマ.名古屋:名古屋大学出版会. 石島恵美子.(2012).高校生の社会参画意識と家庭科の教 育要因との関連について.日本家庭科教育学会誌,55(2), 75-82. 石島恵美子.(2019).家庭内食品ロスの削減行動に関する 規定因.消費者教育,39,55-64. John Dewey.(1975).民主主義と教育(上).松野安男(訳). 東京:岩波書店. 環 境 省.(2018).http://www.env.go.jp/recycle/food/post_5. html.2019.3.21.閲覧. 菅野友美,貝沼義斗.(2015).食材廃棄物を利用したエコ・ クッキングによるCO2排出削減効果.北海道教育大学紀 要,教育科学編,66(1),177-185. 河村美穂,武藤八恵子,川嶋かほる,石井克枝,武田紀久子, 小西史子.(2003).調理実習における問題解決的な取組 みに関する実践的研究.日本家庭科教育学会誌,46(3), 245-254. 川嶋かほる,小西史子,石井克枝,河村美穂,武田紀久子, 武藤八恵子.(2003).調理実習における学習目標に対す る教師の意識.日本家庭科教育学会誌,46(3),216-225. 小島菜実絵,宮原恵子,小田和人,松尾嘉代子,宮里奈々枝, 田井健太郎,水野秀一,今村裕行.(2016).大学スポーツ 選手に対する実践的栄養教育.長崎国際大学論叢,16, 169-176. 国 際 連 合 広 報 セ ン タ ー.(2015).http://www.unic.or.jp/ activities/economic_social_development/sustainable_ development/2030agenda/.2018.12.14.閲覧 前田洋枝,広瀬幸雄,河合智也.(2012).廃棄物発生抑制行 動の心理学的規定因.環境科学会誌,25(2),87-94. 松井友美,大森玲子.(2011).高等学校家庭科における領域 横断型の実践と提案.宇都宮大学教育学部教育実践総合 センター紀要,34,255-262. 三 神 彩 子,佐 藤 久 美,伊 藤 貴 英,村 上 和 雄,長 尾 慶 子. (2011).モデル献立調理時のエコ・クッキングによる排 水汚濁負荷削減効果の分析.日本調理科学会誌,44(6), 367-374. 三神彩子.(2012).環境に配慮した食生活「エコ・クッキ ング」が地球環境問題の改善に与える影響.日本調理科 学会誌,45(5),323-331. 文部科学省.(2014).イノベーション対話ツールワーク ショップで用いる基本手法解説書.http://www.mext. go.jp/component/a_menu/science/detail/icsFiles/ afieldfile/2014/06/06/13479104.pdf.2018.12.14.閲覧 文部科学省.(2015).日本食品標準成分表2015年版(7訂). 村上かおり,槇尾有加,川口順子.(2015).女子大学生の環 境配慮意識と衣生活における環境配慮行動の関係:環境 配慮行動の要因連関モデルの検討による分析.日本衣服 学会誌,59(1),21-32. 長尾慶子,喜多記子,三神彩子.(2007).家庭科教職課程履 修生に対してのエコ・クッキングの教育効果.日本家庭 科教育学会誌,50(3),176-183. 西尾チヅル.(2005).消費者のゴミ減量行動の規定要因.消 費者行動研究,11,(1-2),1-18. 農 林 水 産 省.(2016).http://www.maff.go.jp/j/shokusan/ recycle/syoku_loss/.2018.4.25.閲覧 野々村真希.(2014).家庭において食品がロスに至った原 因.フードシステム研究,20(4),361-371. 小川裕子,藤原恵里,伊深祥子.(2018).知識構成型ジグ ソー法による住生活の授業実践の成果と課題:高等学校 家庭科「将来の住生活について考える」授業.教科開発 学論集,(6),179-188. 大城憲政.(2018).社会科の学び方を育てる指導の工夫: 地域探検を通して.http://www.nanbukouiki-okinawa. jp/shimaken/pdf/33-211-ooshironorimasa.pdf. 2018.12.14.閲覧 大浦宏邦.(2018).環境配慮行動の推移と規定要因につい て.帝京社会学.31,31-47. セカンドハーベスト・ジャパン.(2018).http://2hj.org/ problem/foodbank/.2018.12.30.閲覧 清 水 康 敬,山 本 朋 弘,堀 田 龍 也,小 泉 力 一,横 山 隆 光. (2008).ICT活用授業による学力向上に関する総合的分 析評価(〈特集〉学力向上を目指したICT活用のデザイ
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Developing a Problem-Solving Cooking Class Program
to Encourage Behaviors Reducing Household Food Waste
Emiko ISHIJIMA
Faculty of Education, Ibaraki University
Abstract
In this study, we developed and examined a“problem-solving cooking class program designed to encourage behavior that would help reduce household food waste”with an aim for high school students to contribute toward reducing food waste at home. The program was structured by creating a matrix of classification of various concepts in consumer education and a model associated with factors of environment-conscious behavior based on social psychology, to carefully select the learning contents. A questionnaire survey was conducted among the attendees to investigate the effects of the class. T-test revealed that scores for each determinant and the scale for intention to reduce household food waste increased, quantitatively demonstrating the effect of the class. The covariance structure analysis revealed that the classes that include the jigsaw method in this program had a positive impact on the recognition of the risk of food waste, the effectiveness of strategies, and moral responsibility. Additionally, they influenced the evaluation of costs and benefits, and social norms. The analysis also revealed that the classes that incorporate problem-solving cooking lessons had a positive impact on the evaluation of feasibility. It was demonstrated that this program could become the first step in consumer citizenship education in high-school home economics class.
Key words; food wastage, education for consumer citizenship , home economics, cooking practice , environmental education