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[講演要旨] 慶長豊後地震の波源推定(続報)

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Academic year: 2021

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[講演要旨]

慶長豊後地震の波源推定(続報)

東京大学地震研究所* 石辺 岳男,島崎 邦彦

高知大学** 岡村 眞,松岡 裕美

大分大学*** 千田 昇

Estimation of the source of tsunami accompanied by the 1596 Keicho-Bungo earthquake

Takeo ISEBE*, Kunihiko SHIMAZAKI*, Makoto OKAMURA**, Hiromi MATSUOKA** and Noboru CHIDA*** * Earthquake Research Institute, University of Tokyo

** Kochi University *** Oita University

密な音波探査とピストンコアリングによる試料採取 によって得られた海底活断層分布及びその活動履 歴から,歴史津波の波源推定や再現計算に利用で きる可能性がある.長年音波探査とコアリングが行わ れてきた別府湾では 1596 年に瓜生島が一夜のうち に海没したという伝説を生んだ津波が慶長豊後地震 に伴って発生した.そこで本研究では音波探査やコ アリングから得られた海底活断層分布や断層の活動 履歴を用いて 1596 年の慶長豊後地震に伴う津波の 波源推定を試みた.音波探査記録中においては二 つの顕著な反射面,すなわちおよそ 2500 年前の由 布火山灰層及びその下に位置するおよそ 6700 年前 のアカホヤ火山灰層をみてとることができる.アカホヤ 火山灰層と由布火山灰層が共に読み取れる地点に おいて,両者の断層によるずれの量を測定し比較す ると,互いにほぼ比例することがわかった.また他の 層との比較により,そのずれは間欠性のものであり, 古地震イベントによるものと考えられる.Schwartz and Coppersmith(1984)は断層線上でどのように滑りが生 じるかについていくつかのモデルを提唱したが,別府 湾において二つの層の比較から固有地震モデルが 成り立つことが示された.慶長豊後地震前後の層に は顕著な反射面がないためにこの地震による上下変 位量を直接測定することができない.そこで本研究で はアカホヤ火山灰層の上下変位量を過去6700 年間 に起きたイベント数(5)で割り,慶長豊後地震の際の 上下変位量を推定した.この上下変位量から海底の 上下変動分布を計算し,更にこのようにして得られた 波源を初期条件として差分法を用いて伝播計算を行 った.近年大分平野に府内断層,三佐断層,志村断 層と伏在断層が発見され(千田ほか,2003)一部で最 新活動時期や活動間隔がはっきりしないものの,これ らも活動したケースについても計算を行った. 歴史記録及び現地調査から波高を推定した羽鳥 (1985)と比較して,数値計算の結果は全体的に低い 波高となったが,別府湾南岸(大分市)で大きな波高 となった.また別府湾中央活断層だけが独立して活 動したモデルでは更に低い波高になり,概ね1 メート ル未満となった.このことから別府湾海底活断層系は 個々の活断層が独立して活動しているのではなく,あ る程度一括して活動していると考えられる.また奈多 や佐賀関といった湾口の波高は,いずれのモデルに おいても羽鳥の推定結果よりも顕著に低い結果とな った.湾口の波高が別府湾を波源にしたモデルにお いて史料から推定された波高を説明できないことは, 湾外にまで波源が及んでいたことを示唆する.1 つの 可能性として,佐賀関沖海域の中央構造線のセグメ ント(七山他,2002)が連動したことが考えられる.また 別府湾奥の別府,頭成に関して羽鳥(1985)は『ルイ ス・フロイスの報告』による簡単な記述のみから高い 波高を推定しているが,推定の根拠が薄弱である. 別府において大きな波高となったことが事実であると すれば,その波源は府内断層の活動による可能性が ある.一方,別府湾海底活断層系が WNW-ESE のト レンドを持つことから,指向性を考えれば別府湾海底 活断層系の運動が別府湾奥に甚大な被害を及ぼし たとは考えにくい. 歴史地震 第21 号(2006) 245 頁

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