【研究報告】就学準備期から就学期のPrader-Willi
症候群児の健康管理に関する記述研究
著者名
佐々木 規子, 中込 さと子
雑誌名
日本遺伝看護学会誌
巻
16
号
1
ページ
49-58
発行年
2017
URL
http://doi.org/10.34429/00004278
日 本 遺 伝 看 護 学 会 誌 J. Genet. Nurs. Jpn 16(1) 2017
【
研 究 報告 】
就 学 準 備 期 か ら就 学 期 のPrader-Willi症 候群 児 の健 康 管 理 に関 す る記 述研 究
A descriptive
study
on the health
management
of preschool
and school-age
children
with Prader-Willi
syndrome
佐 々木 規 子1)2),中 込 さ と子3) 1)長 崎 大 学 大 学 院 医歯 薬 学 総 合 研 究 科 保 健 学 専 攻 看 護 学 分 野
2)山 梨 大 学 大 学 院 医学 工 学 総 合 研 究 部 ヒ ュー マ ンヘ ル スケ ア 学 専 攻 博 士 課 程 3)山 梨 大 学 大 学 院総 合 研 究部 成育 看 護 学 講 座
Noriko Sasaki 1 ) 2), Satoko Nakagomi 3•j)
1) Department of Nursing Graduate School of Biomedical Sciences, Nagasaki University
2) University of Yamanashi, Nursing and Health Science, Interdisciplinary Graduate School of Medicine and Engineering
3) University of Yamanashi, Graduate Faculty of Interdisciplinary Research
【抄 録 】 目的 :Prader-Willi症候 群 と診 断 され た子 ど も(以 下PAS児 とす る)の 就 学 準 備 期 か ら就 学 期 の食 事 や運 動 ・ 活 動 の 管理 状 況 を明 らか に す る。 方 法:調 査 対 象 は現 在4歳 か ら15歳 のPWS児 で あ り、 そ れ ぞ れ の 保 護 者 にPWS児 に関 す る無 記 名 自記 式 質 問 紙 調 査 を実 施 した 。 調 査 期 間 は2016年5月 ∼10月 末 日で あ っ た。 調 査 内容 はPWS児 の 基 本 属 性 、 これ ま で に 受 け た 診 断 と治 療 、 就 園 ・就 学状 況 、 食 事 、 運 動 ・余 暇 の過 ご し方 と した。 結 果 :PWS児 の保 護 者20名 か ら回 答 を得 た。 内 訳 は 中学 生 が4名 、小 学 生 が11名 、未 就 学 児 が5名 で あ っ た 。 PWS児 が 診 断 され た 時 期 は生 後0か 月 か ら1歳10か 月 で あ っ た。 肥 満 度 判 定 曲線(日 本 小 児 内分 泌 学 会)で は14名 は正常 範 囲 内 で あ っ た。6名 中 や や 肥 満 気 味 が1名 、 中等 度 肥 満 が3名 、 高 度 肥 満 が2名 で あ っ た。18 名 が成 長 ホ ル モ ン補 充療 法 を受 け て い た 。 食 事 の 準 備 や工 夫 を して い る の は全 て が母 親 に よる もの で あ っ た 。 運 動 ・余 暇 で は 、水 泳 、 ウ ォー キ ン グ、 公 園 遊 び等 を して い た。 考 察 :対 象 のPWS児 の殆 どが 成 長 ホ ルモ ン補 充 療 法 を受 け、食 事 療 法 や 運 動 療 法 に取 り組 ん で い た 。そ の 結果 、 14名 が 標 準 体 型 で あ っ た が 、 こ れ はPWSの 早 期 診 断 に よっ てPWSの 特 性 を考 慮 した 管 理 や 治 療 が 可 能 に な っ た 影響 もあ る と考 え られ た 。今 後 、 就 学 児 の 主 な生 活 環 境 とな る 学校 を含 め、 家 庭 、 医療 、 学 校 との連 携 支 援 を探 って い く必 要 が あ る 。 キ ー ワ ー ド: プ ラ ダ ー ・ウ ィ リ ー 症 候 群 、 早 期 診 断 、 就 学 期 、 食 事 療 法 、 運 動 療 法 Key word : Prader-Willi syndrome, early diagnosis, school age, diet, exercise
受付 日:2017年4月17日 受 理 日:2017年7月28日 連 絡先 :佐 々木規 子 長崎大 学大学院医歯 薬学 給合研究科保 健学専攻看 護学分野 山梨大学 大学院医学工学 総合研究部 ヒューマ ンヘ ルス ケア学専攻 博士 課程 〒352-8520 長崎県 長崎 市坂本1ー7-1 49
日 本 遺 伝 看 護 学 会 誌 J. Genet. Nurs. Jpn l6(1) 2017 I は じ め に Prader-Willi症 候 群(以 下PWS)は 乳 児 期 、幼 児 期 、 学 童 期 、 青 年 期 以 降 の そ れ ぞ れ の 時 期 に 身 体 及 び 精 神 発 達 上 に 特 徴 的 な課題 を も っ て お り、 彼 ら を 取 り 巻 く親 、 家 族 、 学 校 ・施 設 関 係 者 は 、 そ の 時 期 の 課 題 に 応 じた 対 応 が 求 め ら れ る(長 谷 川,2009:大 橋, 2011)。 新 生 児 期 か ら乳 児 期 は 筋 緊 張 低 下 、 哺 乳 障 害 を 認 め 、 虚 弱 児 と し て きめ 細 や か な ケ ア が 必 要 で あ る が 、 離 乳 食 が 始 ま る 頃 に は 食 欲 旺 盛 と な り、 幼 児 期 、 学 童 期 に は 過 食 に 伴 う 肥 満 、 発 達 遅 滞 、 思 春 期 に は 性 腺 機 能 不 全 や 肥 満 か ら く る糖 尿 病 、 成 入 期 に な る と肥 満 や 糖 尿 病 の 合 併 症 を 引 き 起 こ す 。 肥 満 はPWSの 人 々 に と っ て 生 涯 を 通 し て 課 題 と な り、 食 事 療 法 や 運 動 療 法 、 環 境 調 整 が 重 要 と な る 。 PWSが あ る 人 々 の 特 性 と し て 、 不 適 応 行 動 に 関 す る 報 告 が 多 い(Hirakawa,2007;Sinnema M. 2011;Riccardo P,2013)。 特 徴 的 な 行 動 は 強 情 、 食 べ 物 へ の 強 い 執 着 、 過 食 、 痛 癩 、 盗 食 、 嘘 を つ く 、 行 動 抑 制 の 困 難 等 で あ る が 、PWSの 人 々 は 、 他 者 か らの 禁 止 行 為 に よ っ て 食 欲 や 執 着 を統 制 す る こ と は で き な い 。 一 方 的 な 統 制 は 、 む しろ 劣 等 感 、 自 尊 心 の 低 下 等 の 二 次 障 害 を 生 じ、 さ ら に 無 気 力 、 抑 う つ 状 態 、 妄 想 等 の 精 神 症 状(三 次 障 害)を 引 き起 こ す 危 険 性 さ え あ る(長 谷 川,2009) 。 一 般 に 学 童 期 に あ る 子 ど も は 生 活 習 慣 が 確 立 して い る 。 ま た こ の 時 期 、 学 校 を 中 心 と し た 家 族 以 外 の 人 々 と の 相 互 作 用 の 中 で 形 成 さ れ る 自 尊 感 情 や 自 己 概 念 、 社 会 的 習 慣 は 、 そ の 後 の 社 会 の 中 で 建 設 的 な 言 動 を と る 基 盤 と な る 。 就 学 期 のPWS児 は 、 学 校 と い う 集 団 生 活 の 中 で の 活 動 制 限 、 学 習 の 遅 れ 、 対 入 関 係 の 困 難 、 そ し て 食 事 療 法 の 強 化 が ス トレ ス と な り、 不 適 応 行 動 が 好 発 し始 め る 時 期(大 野,2011; 加 藤,2015)と い わ れ て い る が 実 態 は 明 ら か で は な い 。 不 適 応 行 動 が 予 防 さ れ 、 食 事 や 運 動 等 の 生 活 習 慣 が 維 持 さ れ る 見 守 り の 環 境 が 整 う と 、PWS児 の QOLの 向 上 に つ な が る と 考 え る 。 そ の た め に は 周 囲 の 者 の 支 援 が 不 可 欠 で あ り、 就 学 期 に お い て は 親 と 医 療 者 、 そ し て 教 育 者 の 協 力 が 重 要 な 鍵 と な る 。 【用 語 の 定 義 】 就 学(期):小 学 校 あ る い は 中 学 校 に 入 学 し、 教 育 を 受 け る こ と 、 在 籍 す る こ と 。 Ⅱ 研 究 目的 本 研 究 は、 就 学 準 備 期 か ら就 学 期 に あ るPWSの 人 々 の 診 断 とPWSに 関 連 した特 性 の 経 過 、 食 事 や 運動・ 活動 の管 理 状 況 を明 らか にす る こ とを 目的 と す る。 Ⅲ 方 法 1.対 象 者 の 特 性 保 護 者 の協 力 を得 て 、就 学 準 備 期 か ら就 学 期 に あ る子 ど もの 実 態 を把 握 す る こ と と した。 対 象 にな る 子 ど もは 、 染 色 体 検 査 に よ っ てPWSと 診 断 され た 子 ど も(以 下 、PWS児 とす る)と し、 年 齢 は調 査 当 時 に 中学3年 生 か ら年 中児 で あ る5歳 か ら15歳 ま で と した。 2.調 査 期 間 調 査 期 間 は2016年5月 ∼10月 末 日 と した。 3.調 査 内 容 調 査 内 容 はPWS児 の 基 本 属 性 、 こ れ ま で に 受 け た 診 断 と治 療 、 就 園 ・就 学 状 況 、PWSの 入 々 の 生 涯 を通 じた 課 題 で あ る 肥 満 予 防 の た め の 食 事 、 運 動 ・余 暇 の 過 ご し方 と した。 4.デ ー タ収 集 方法 前 述 の調 査 内容 を含 ん だ無 記 名 自記 式 質 問紙 を作 成 し、 以 下 の2つ の方 法 で質 問 紙 を配 布 した 。1つ は 本研 究 の 趣 旨 や 方 法 に 賛 同 したPWS児 を診 療 す るA県 内 お よ びB県 内 の 小 児 科 医 が 、PWS児 の 診 察時 に同 伴 した保 護 者25名 に手 渡 した 。2つ め は 日 本PWS協 会 に研 究 協 力 を得 て、 対 象 者 の 特 性 に該 当す る会 貝25名 へ 郵送 した。 なお 、 回 答 が終 了 した 質 問紙 は返 信 用封 筒 に て筆 者 に返 送 して も らっ た。 5.デ ー タ分 析 方 法 択 一 回答 式 質 問 は記 述 統 計 を行 い 、 自由 回答 式 質 問 は 内容 分 析 を行 った。 また 、各 対 象者 を基 本 属 性 、 治療 の有 無 別 に分 類 し比 較 した。 分 析 に は遺 伝 看 護 及 び 障 が い 児 ・者 と関 わ りの あ る看 護 職 者 、臨 床 遺 伝 専 門医の スー パーバ イズを受 け、妥 当性 を確 保 した。 6.倫 理 的 配慮 研 究 へ の 参 加 は 自由意 思 に よ る もの で あ り、参 加 、
日本 遺 伝 看 護 学 会 誌 J. Genet. Nurs. Jpn 16(1) 2017 不 参 加 に よ り何 ら不 利益 を被 る こ とが ない こ と を保 障 した。 ま た 、PWS児 自身 の 情 報 を 含 む た め 、 保 護 者 か らPWS児 本 人 へ 研 究 に つ い て 説 明 し、 児 の 意 思 を確 認 す る こ と を依 頼 した 。研 究へ の協 力 は質 問紙 の投 函 を もっ て 同意 とみ な した。 な お、 本 研 究 は長 崎 大 学 大 学 院 医歯 薬 学総 合研 究 科 倫 理 委 員 会 の 承 認 を 得 て 実 施 し た(承 認 番 号 16031086-2)。 Ⅳ 結 果 1.対 象 者 の 背 景 50名 中20名 か ら 回 答 を 得 た(表1)。 中 学 生 が4 名(No.A∼D)、 小 学 生 が11名(No.E∼O)、 未 就 学 児 が5名(No.P∼T)で あ っ た 。 通 学 す る学 校 の種 類 は 中学 生 は普 通 学 級1名 、特 別 支 援 学 級2名 、 特 別 支 援 学 校1名 で あ っ た。小 学 生 は 普通 学級1名 、 特 別 支 援 学 級7名 、 特 別 支 援 学 校3名 で あ っ た。 小 学 生 と中学 生 の15名 中、 小 学 校 で の転 入 、 転 校 の経 験 が あ っ たの は2名 で、 その 移 動 は1年 生 時 に普 通 学 級 か ら特 別 支援 学 級 へ 、2年 生 時 に特 別 支 援 学 級 か ら特 別 支 援 学 校 へ で あ った 。 未 就 学 児 は全 員 が保 育 園 で あ った 。 児 がPWSと 診 断 され た 時 期 は生 後0か 月 か ら1 歳10か 月 で1う ち16名 は 生 後5か 月 以 内 の 診 断 で あ っ た。 分 子 遺伝 学 的 分 類 で は欠 失15名 、 片 親 性 ダ イ ソ ミー(UPD)5名 で あ っ た。 表1 対 象 者 の 属 性 *未回答 No 性別 診断時期 内分泌学会(肥満度) 現在の所属体温調節 不安定 睡眠関連性 呼吸障害 過食 肥満の指摘 停留睾丸性格・ 行動上の異常 側湾症 GH治 療 A 男2か 月 16.1 特 別 支 援 学 級 (正) わか らない 無 無 無 * 無 無 5歳 ∼ B 男0ヶ月1(正)特 別支 援学級 有 無 無 無 手術 無 経過観察 9歳 ∼ C 女2か 月 12.1 特 別支 援学 校 (正) 無 無 過去 有 一 無 無 2歳 ∼ D 女1年 7.5 普 通 学 級 (正) 無 無 無 無 一 無 無 1歳 ∼ E 男1ヶ月53.2(高肥)特別 支 援学級 無 過去 * 有 手術 無 手術 * F 男 1か 月(正)一126 普 通 学 級 わか らない 過去 無 無 手術 経過観察 経過観察 2歳 ∼ G 女2か 月 一2.7 特 別支援 学 級 (正) 6歳 まで 無 無 無 一 無 経過観察 2歳 ∼ H 女1年10ヶ月 6.3(正)特別支援学級 有 わか らない 無 無 一 無 経 過観察 6歳6か 月 ∼ 1 男5か 月 12.4 特 別 支 援 学 級 (正) , 有 有 無 無 手術 経過観察 コ ル セ ッ ト 3∼9歳 J 男5か 月(正)-8.8特 別支 援学 級 有 わか らない 過去 無 手術 経過観察 コ ル セ ッ ト手 術 6歳 ∼ K 男 0歳 67.8(高肥) 特 別支 援学校 有 無 有 有 手術 経過観察 * * L 男 0か月 42.2(中肥) 特 別支 援学 校 わか らない 過去 過去 有 手術 抗精神病薬 * 1歳 ∼ M 女 1歳 2(正) 特別支援学級 有 無 無 わからない 一 経過観察 経過観察 3歳 ∼ N 女 1ヶ月 39.1(中肥) 特 別支援学級 有 わか らない 過去 有 一 無 無 1歳 ∼ 0 男1か 月 41.9(中肥)特別支 援学 校 有 CPAP 過去 有 手術 * 経過観察 1歳6か 月 (一 時 中 断) P 男4か 月 一7.4 保 育 園 (正) わか らない 無 わか ら ない 無 経過観察 無 コ ル セ ッ ト 1歳 ∼ Q 一92 保 育 園 男4か 月(正) わか らない 無 わ か ら ない 無 経過観察 無 経過観察 2歳 ∼ R 女1か 月 22.6 保 育 園 〔やや肥過ぎ) 無 無 無 無 一 無 コ ル セ ッ ト 10か 月 S 男1か 月 5.3 保 育 園 (正) 有 無 無 無 串 経過観察 経過観察 0歳 T 男1か 月 16.54 保 育 園 (正) 無 過去
無
無 手術 無 無 1歳9か 月 ∼ 51日 本 遺 伝 看 護 学 会 誌 J. Genet. Nurs. Jpn 16(1) 2017 体 格 は永 井 の 日本 人PWS患 者 の成 長 曲線(Nagai, 2000)に 当 て は め る と、 身長 は小 学 生 と中 学 生 の2 名 が+2SD以 上 で あ り、 他18名 は 標 準 範 囲 内 で あ っ た。 体 重 は小 学 生1名 が90%タ イ ル 以 上 、 小 学 生4 名 と未 就 学 児2名 の6名 が10%タ イ ル 以 下 で あ っ た。 ま た、 肥 満 度 判 定 曲 線(日 本 小 児 内 分 泌 学 会 Itoら,2016)で は 、 未 就 学 児 の1名 が や や 肥 満 気 味 で あ り、 小 学 生 に 中等 度 肥 満3名 、 高 度肥 満2名 を認 め た 。 そ れ 以外 の14名 は正 常 範 囲 内 で あ っ た 。 体 温 調 節 不 安 定 が あ るの は9名 、 睡 眠 関連 性 呼 吸 障 害 は2名 、 過 食 また は過 食 気 味 で あ る の は1名 、 肥 満 の 指 摘 を受 けた 経 験 が あ るの は6名 で あ っ た 。 糖 尿 病 は経 過 観 察 中 で あ る児 が1名 で あ っ た 。 停 留 睾 丸 は回 答 の あ った 男 児12名 中11名 が診 断 を 受 け、 う ち9名 は手 術 を受 け てい た。 性 格 ・行 動 上 の異 常 の 診 断 を 受 け た の は 回 答 の あ った19名 中7名 で あ り、 そ の う ち5名 が小 学校 高 学 年 で あ っ た。 こ の7名 は経 過 観 察6名 、 抗 精 神 病 薬 内服 治 療 中1名 であ っ た。 側 弩 症 の 診 断 を受 け たの は12名 で 、 うち9名 が経 過 観 察 、4名 が コ ル セ ッ トの 装 着 中 あ る い は装 着 経 験 有 、2名 が 手 術 を受 けて いた 。 成 長 ホ ル モ ン補 充 療 法(以 下 、GH治 療)は18名 が 受 け てお り、17名 が 現 在 も継 続 中 で、1名 は終 了 して い たOGH治 療 の 開 始 時期 は生 後10か 月 ∼9歳 で あ り、17名 中12名 は2歳 以 内 で の 開始 で あ っ た。 う ち1名 が 呼 吸 障 害 でGH治 療 を一 時 中 断 した 経 験 を有 してい た。 2.食 事 の 管 理 状 況 1)家 庭 での 食 事 管理(表2) 4名 の保 護 者 は児 の 必 要 カ ロ リー を認 知 して い な か っ たが 、 全 て の 保 護 ・者が 食 事 内容 や 環 境 、 食 習 慣 へ の工 夫 を行 っ てい た。
表2家
庭での食事管理
食 事 内容 で の工夫 食環 境 ・食 習慣 で の工 夫 食 べ物 の保 管 方法 中 学 生 ・炭 水 化 物 を 減 らす 、 野 菜 多 め に 、 油 を減 らす ・ご 飯 に マ ンナ ン ラ イ フ を使 用 ・タ ン パ ク 質 は し っ か り摂 る ・夕 食 は サ ラ ダ と 日本 そ ば ・和 食 中 心 ・余 分 な も の は 買 わ な い ・残 ら な い よ う に 分 け き る 、 プ レ ー トで 決 め た 量 ・テ レ ビ は 消 す 、 家 族 で 食 べ る ・1つ の もの も妹 と 半 分 に して い る ・規 則 正 し く食 べ る ・特 別 感 を 時 々持 たせ る ・目 に見 え る と こ ろ に 置 か な い ・冷 蔵 庫 の 中 身 を あ る 程 度 把 握 す る ・特 に な し 小 学 生 ・野 菜 、 海藻 ・きの こ類 等 の低 カ ロ リー食 品 を 多 く入 れ 嵩 増 し ・夜 は 炭 水 化 物 は 与 え ず 、 豆 腐 、 納 豆 な ど を与 え る ・良 質 な た ん ぱ く質 を 十 分 に 摂 る ・噛 み こ た え の あ る 野 菜 を使 う ・薄 味 、 自然 甘味 料 の使用 ・揚 げ 物 は 焼 き物 へ 変 更 、 ノ ンオ イル ・ジ ュ ー ス 制 限 、 無 脂 肪 牛 乳 ・お 菓 子 や 菓 子 パ ン等 は 朝 食 に 食 ぺ た い だ け 食 べ させ る ・糖 尿 病 食 を 利 用 ・食 べ た い もの は し っ か り 食 べ て 満 足 感 を 味 わ う ・食 べ る 順 番 を気 を付 け る ・基 本 的 に お や つ は な し ・ワ ン プ レー トに 盛 り付 け 、 盛 り付 け の 工 夫 、 切 り方 ・自分 の プ レ ー トが 食 べ 終 わ っ た ら お し ま い ・家族 で 同 じもの を食 べ る 、見た 目が家族 皆 同 じに 見 え る よう にす る ・時 間 を 決 め る、三食規則正 しく、家族皆 で 食べ る 、会 話 を楽 しむ ・本 人 の前 で聞 食 を家 族 が で きるだ け取 ら ない ・特 別 な 日を作 る ・きち ん と説明 す る ・目の 前 に は 置 き つ ぱ な し に し な い ・な る べ く届 く と こ ろ に は 置 か な い ・児 が 自分 で 管 理 ・な る べ く1/2を モ ッ トー に し て い る ・冷 蔵 庫 は 一 入 で 開 け さ せ な い ・食 事 は食 べ た 順 か ら片 づ け る ・お や つ は 決 ま っ た 時 間 以 外 は 出 さ な い ・特 に な し 未 就学 児 ・野 菜 を 多 くす る 、 高 た ん ぱ く低 カ ロ リー ・盛 り付 け の 工 夫 、 本 人用 の プ レー ト ・手 作 り ・バ ラ ンス よ く薄 味 、和 食 ・お か わ りは1回 ま で ・家 族 皆 で 食 べ る 、三 食規 則正 し く食 べ る ・「い っ ぱ い ね 一 」 「お い し そ う ね 一 」 な ど 声 を か け な が ら 、 喜 ばせ る ・な るべ く外 食 は し な い ・手 の 届 か な い 場 所 に 置 く ・特 に な し日 本 遺 伝 看 護 学 会 誌 J. Genet. Nurs. Jpn 16(1) 2017 食 事 内容 の工 夫 につ い て は、 「食 材 の選 択 」、 「調 理 方 法 の 工 夫」、 「味付 け の工 夫 」 で あ った 。 「食材 の選 択 」 に は 野 菜 中 心 、 高 た ん ぱ く ・低 カ ロ リー 、 炭 水 化 物 の 制 限等 が あ った。 「調理 方法 の工 夫 」 には揚 げ 物 を しない 、油 を使 わ ない等 が あ った 。 「味 付 け の工 夫 」 に は和 食 の 薄味 、自然 甘 味 料 の使 用 等 が あ っ た。 食 環 境 、食 習慣 の工 夫 につ い て は 、「配膳 の 工 夫 」、 「決 ま りを もつ 」 等 が あ った 。 「配膳 の工 夫 」 に は、 盛 り付 けで特 別 感 を もた せ る、 一 人一 人小 分 け にす る、 家 族 皆 が 同 じ物 を食 べ る 等 が あ っ た 。 「決 ま り を もつ 」 に は、 時 間 を決 め る、 家 族 皆 で食 べ る、 テ レ ビ を消 す 等 が あ っ た。 そ の 他 に、 食 べ る順 番 、 楽 しい 雰 囲気 等 が あ っ た 。 食事 内 容 や 食 環 境 、 食 習慣 の工 夫 は年代 間 で の 違 い は なか った 。 家 の 中 に あ る もの を こ っそ り食 べ る よ うな行 為 が あ る の は8名 で あ り、全 て の 年代 にい た。 時 間帯 は 早 朝 や留 守 番 中 、 人 が近 くに い な い 時 で あ り、 食 べ 物 が 手 の 届 く所 、 見 え る所 に あ る 物 や 食 べ 残 し を こっ そ り食 べ て い た。 こ の よ うな 行動 へ の 具 体 的 な 対 応 と して、 食 べ て は い け な い物 は置 か ない 、 食 べ て 良 い か確 認 す る等 の ル ー ル を決 め る、 盗 み 食 い は 交 番 に相 談 す る や勝 手 に 食べ る と腹 痛 を起 す 等 の脅 威 を与 え る等 を して い た。 特 別 に食 べ 物 の保 管 場 所 や保 管 方 法 を決 め て い る 保 護 者 は14名 で あ り、5名 は特 に して い な い 、1名 は無 回答 で あ っ た。 管 理 の方 法 は 、 出 来 る だ け 手 の 届 か な い見 え な い とこ ろ に置 く、 食べ た 順 か ら片 づ け る、 冷 蔵 庫 の 中 身 を あ る程 度 把 握 、 日頃 の 生 活 の 中 で心 の満 足 感 を与 え る等 の予 防 策 や 、量 を決 め る、 冷 蔵 庫 は 一 人 で 開 け させ ない 等 の ル ー ル を決 め る、 子 ど も自身 で の 管 理 で あ っ た。 2)保 育 園 お よび 学 校 で の食 事 管 理(表3) 食 事 は未就 学 児5名 中3名 が 弁 当 で あ り、 そ れ以 外 の17名 は給 食 で あ った 。 保 育 園お よ び学 校 に食 事 の 相 談 を行 った経 験 が あ る者 は19名 で 、 給 食 を食 べ る17名 の 全 て が含 まれ て い た 。特 別 支 援 学 級 ・学 校 に在籍 す る13名 の 食 事相 談 は 「給 食 の お 代 わ りの制 限 、 計 量 、 カ ロ リー 調 整 、 食 材 の 選 別 」 等 で あ り、 直接 的 な 介入 の 要 望 で あ った 。 普 通 学 級2名 は 「給 食 の お代 わ りの制 限 、 人 の 給 食 を食 べ て い な い か 」 の見 守 りの相 談 で あ っ た 。 3)家 庭 以 外 での 食 べ 物 の トラ ブ ル 家 庭 以 外 で 食 べ 物 の トラ ブ ル を起 こ した 経験 が あ る児 は5名 で あ っ たa問 題 の 内容 は、 支払 い 前 の 物 を食 べ た 、食 品 コー ナ ー の前 で 叫 ぶ 、他 人 の お 菓 子 へ の執 着 、 給 食 の お代 わ りが で きず痛 癩 をお こす 等 で あ っ た。 そ れ ら問題 へ の対 応 は そ の場 にい た保 護 者 や教 員 が 行 っ て い た。
表3
保育園および学校での食事管理
学校/保育園へ相談 特別支援学級 お 代 わ りは カ ロ リー次 第 、 す る場 合 も野 菜 だ けあ る い は 決 め られ た 時 の み PWSの パ ン フや 本 を持 参 、 面 談 を して毎 月 の 除去 食 や対 応 策 を相 談 して いる ご飯 は100gで 計 量 す る よ う依 頼 、 通 常児 の半 分 メ ニ ュー に よって は代 替 を学校 ま で届 け、 摂 取 量 の 調 整 の た め、 保 護者 が配 膳 す る 食 事 の 量 、 一 日の カ ロ リ ー に つ い て お 代 わ りは ス ー プや 野菜 だ け 、 ご飯 は こ んに ゃ く ご飯 を持 参 す る 、牛 乳 は低 脂 肪 乳 に 変 え て も ら う 特 学 別 校 支 援 お 代 わ りは1回 の み 、給 食 の 減量 、 カ ロ リー 制 限 、牛 乳 な し 1日1300Kcalう ち 昼 食 を54dKca1で 依 頼 量 は 友 達 と同 じよ う に して も ら う 学 普 級 通 お 代 わ りはで きる だけ させ な い よ う見 守 って も ら う 人 の 給 食 を食 べ て い な い か 保 育 園 お や つ は通 常 の 半 分 以 下 、 内 容(甘 す ぎ ない)の 見 直 し 1,2年 様 子 を 見 、 人並 み に しか 食 べ な い た め普 通 量 盛 っ て も ら う 53日本 遺 伝 看 護 学 会 誌 J.Genet.Nurt. Jpn 16(1) 2017 3.日 々 の運 動 ・活動 の 管理 状 況(表4) 1)通 園 ・通 学 方 法 に つ い て 現 在 の通 園 ・通 学 方 法(19名)で は、 未 就 学 児5 名 は全 て 自家 用 車 で あ り、就 学 児14名 は、徒 歩7名 、 自家 用 車3名 、 ス クー ルバ ス3名 、 公 共 バ ス1名 で あ っ た。 その う ち一 入 で通 学 す る児 は6名 で 、 特 別 支 援 学 級 の4名 と普 通 学 級 の2名 で あ った 。 そ れ以 外 は母 親 、 祖 父 母 、 ヘ ルパ ー、 集 団登 校 、 ス ク ー ル バ ス の 教 員 等 の付 き添 い が あ っ た 。通 学 の所 要 時 間 は徒 歩3∼30分 、 バ ス10分 か ら1時 間10分 で あ っ た 。 通 学 途 中で の 問 題 行 動 を起 こ した経 験 が あ る児 は 5名 で 、付 き添 い 有 、 一 人 通 学 の どち ら もい た 。 問 題 行 動 の 内 容 は、"付 き添 い有"で は 付 き添 い を お い て先 に行 っ て しま う、 通 学 あ るい は下 校 前 の癇癪 で あ り、”一人 通 学” で は バ ス で の 居 眠 り、 自宅 へ の 嘘 の 連 絡 で あ っ た 。 2)定 期 的 な運 動 ・余 暇 の 過 ご し方 定期 的 な 運動 や 活 動 を行 っ て い る児 は19名 中12名 で 、 普 通 学 級 と特 別 支援 学 級 の1名 を 除 く全 て の児 で あ っ た。 一方 、特 別 支援 学校4名 の うち3名 は 定 期 的 な運動 は行 っ て い なか った 。 内 容 で 最 も多 か っ た の は水 泳7名 で 、次 い で 自主 トレー ニ ン グ(腹 筋 、 ウ ォー キ ン グ)、 音 楽療 法 、 公 文 、 習 字 、 図 工 教 室 等 で あ っ た。 ま た、児 は余 暇 を水 泳 、ゲ ー ム 、絵 本 、 パ ズ ル、 折 り紙 、 公 園 遊 び等 でそ れ ぞ れ に過 ご して いた 。 全 ての 児 にお いて 、 定 期 的 な活 動 あ る い は余 暇 に 身体 を動 か す 行 為 が 含 まれ て い た。 保 護 者 は これ ら の活 動 を継 続 す るた め に、 一 緒 に楽 しむ、 日常 生 活 の 中 での 習 慣 化 、 モ チ ベ ー シ ョ ンを あ げ る た め級 の 取 得 、 食 べ た い な ら運 動 と伝 え る 等 の 働 きか け を 行 って い た 。 4.行 動 上 の 問題 我 が 子 の 行動 に プ レ ッ シ ャー を感 じて い る保 護 者 は17名 お り、最 も多 か っ た の は痴 瘤4名 、 次 いで 言 葉 の 反 復3名 、攻 撃性2名 、 習慣 の 変 更 に対 応 で き ない2名 で あ った 。 そ の他 に過 食 、 頑 固 、 皮 膚 の 掻 き雀 り等 が あ った 。 また 、 家族 が我 が子 に お い て 最 も対応 が 難 しい と 感 じて い る行 動 は 、皮 膚 の掻 き省 り4名 が 最 も多 く、 次 い で痴 癩2名 、攻 撃性2名 で あ っ た 。 そ の他 に は 過 眠 、 怠惰 、 習慣 の変 更 に対 応 で い な い 、 情 緒 不 安 定等 が あ っ た 。 表4日 々 の蓮 動 ・活動 *未回答 現在の通学方法 現在の所属 , 交通手段 所要時間 付 き添 い 定期的な活動 特 別 支援 学級 (9名) 公 共 バ ス ・電 車 1時 間10分 母 、 祖 母 水 泳 、 音 楽 、 図 工 ミニ バ ス ケ 、 腹 筋 、 習 字 音 楽 療 法 、 公 文 公 園 で 体 を 動 か す 無(1名)、*(1名) ス クー ル バ ス 20∼40分 ル ー ト次 第 な し 自家用 車(2名) 10∼20分 母 徒 歩(5名) 20∼30分 な し(3名) 10分 親 、集 団登 校 特 別 支 援 学校 (4名) 自家 用車 30分 母 散歩 無(3名) 自主 送迎 20分 ス ク ー ル バ ス(2名) 10分 、25分 ヘ ル パ ー 、 先 生 普通 学級 (2名) 徒歩 3分 、20分 な し 自転 車 、 合 唱 団 、 水 泳 保 育園 (5名) 自家 用 車 5∼15分 親 、 祖 父 母 水 泳 、 ウ ォ ー キ ン グ、 犬 と散 歩 無(3名) *(1名) *
日 本 遺 伝 看 護 学 会 誌 J. Genet. Nurs. Jpn l6(1) 2017 V考 察 1.PWS児 の特 徴 的 な成 長 経 過 PWSの 診 断 は2001年 にGunay-Aygunら がDNA検 査 適 応 の 診 断基 準 を発 表(Gunay-Aygunら,2001) し、早 期 診 断が 可 能 とな っ た。2002年 よ り可 能 と な っ たGH治 療 は低 身 長 改 善 に 用 い られ るが 、PWS児 の 体 組 成 改 善 に よ る血 管 障 害 の リス ク低 減 、肥 満 予 防 、 筋 力 向 上 に 伴 う活 動 性 の 向上 に よ りQOLを 飛 躍 的 に改 善 させ た と報 告 され て い る(永 井,2011)。 本 調 査 対 象 者 のPWS児 の ほ と ん どが 乳 児 期 に 診 断 さ れ 、18名 がGH治 療 を 行 っ て い た。GH治 療 を して い ない2名 は高 度 肥 満 を認 めた 。 GH治 療 は多 くの 効 果 を もた らす 一 方 で 使 用 に 注 意 を要 し、糖 尿 病 、 閉塞性 呼 吸 障 害 、 側 弩 症 の発 症 が 増 え る と され て い た 。そ の う ち糖 尿 病 につ い て は 、 近 年 、発 症 頻 度 を低 下 させ る(綾 部,2015)と の報 告 が あ る。 今 回 の対 象 児 には糖 尿 病 を診 断 され た児 は お らず 、 閉 塞性 呼 吸 障 害 の既 往2名 、 側 弩 症11名 で あ っ た。 側 弩 症 はPWS患 者 の40-80%に 起 こ り、 発 症 年 齢 や重 症 度 は様々で あ る が 、 成 長 ホ ル モ ン と の 関 連 は な く(Gene Review,2014)、 発 症 頻 度 は 10∼12歳 以 降 に 頻 度 が 急 増 す る と の 報 告(村 上, 2011)が あ る。今 回 の対 象 は10歳 未 満 が12名 で、 そ の う ち8名 が側 弩 症 を も って お り、側 弩 症 を 認 め て い な い 児 に つ い て も、今 後 の 成 長 に伴 う症 状 出現 に 注 意 して い く必要 が あ る。 性 腺 機 能 低 下 症 は成 人PWS男 女 と も に100%(長 谷 川,2011)に 何 らの症 状 を有 し、 男性 で は停 留 睾 丸:80∼90%、 小 睾 丸76%、 陰 嚢 低 形 成69%に 、 女 性 で は 小 陰 唇 や 陰 核 低 形 成76%、 原 発 性 無 月 経 56%、15歳 以上 の 自然初 潮44%に 認 め る。 今 回 の対 象 男児 は13名 中11名 が停 留 睾 丸 で あ り、 これ まで の 報 告 とほ ぼ 同様 の割 合 で あ っ た 。 今 後 、 男 女 と もに 成 長過 程 で 認 め る第二 次性 徴 の 異常 に対 す る治 療 を 検 討す る上 で 、心 身 共 の発 育状 況 な ど注 意 してみ て い く必 要 が あ る。 性 格 ・行 動 上 の異 常 は7名 が 診 断 を受 け、小 学 校 高 学年 の年 代 に多 く認 め られ た 。青 年期 、 成 人 期 の QOL低 下 に 影 響 を 当 て る要 因 に な る こ とか ら、 小 児 期 の う ち か ら周 囲 の 者 のPWS特 性 や 対 応 方 法 の 理 解 とい っ た 人 的 環 境 も含 め た 管 理 が 重 要 と考 え る。 2.就 園 ・就 学 の 実 際 松 土 ら の 調 査(2016)に よ る 成 人PWS者15名 の 小 学 校 で の 所 属 は、 普 通 学 級7名 、 特 別 支 援 学 級7 名 、 特 別 支援 学 校1名 で 約 半 数 は普 通 学 級 で あ っ た。 英 国 とア イ ル ラ ン ドを対 象 と した 調査(Reilly, 2015)で は、 初 等 教 育 に あ るPWS児 で 特 別 支 援 教 育 を受 け る者 は約 半 数 で あ り、 これ は親 が 希 望 す る 特 別 支援 教 育(90%)と 大 き く異 な る結 果 で あ っ たa 本邦 で は平 成19年4月 よ り学 校 教 育 法 に 「特 別 支 援 教 育」(文 部 科 学 省 初 等 中 等 教 育 局 特 別 支援 教 育 課,2015)が 位 置 づ け られ 、 一 人 ひ と りの 障 害 の程 度 や 状 況 に合 わせ た教 育 が 行 わ れ る よ う に な り、 そ の 教 育 を受 け る児 童 数 は 過 去10年 と比 較 す る と約2 倍 と な っ て い る(教 育 課 程 企 画特 別 部 会,2015)。 こ の よ う に 教 育 現 場 が 変 化 す る 中 、 今 回 の 対 象 PWS就 学 児15名 の う ち 、小 学 校 の 入 学 時 に 普 通 学 級 が2名 、 特 別 支 援 学 級 が9名 で あ り、特 別 支 援 学 校 が4名 で あ り、PWS児 も また 障 害 の 程 度 に 応 じ た教 育 の機 会 を得 られ る よ うに な っ て きた 。しか し、 特 異 的特 徴 を もつPWSに つ い て 知 る 者 は 家 族 、 医 療 者 そ して支 援 者 等 に極 め て 限 られ 、 教 員 を含 む 一 般 の 人 々 が 知 る 機 会 は 少 な い。 今 後 、PWS児 に 関 わ る教 育 者 に対 し、PWSに つ い て学 ぶ 機 会 を提 案 して い く必 要 が あ る と考 え る。 3.生 活 習慣 の 確 立 PWSの 人 々 に とっ て生 涯 を通 じて 課 題 と な る 肥 満 、 肥 満 に起 因す る二 次 障害 を予 防す る た め に重要 とな る の は食事 運 動 の 習慣 で あ る。 今 回 の 対 象 で あ るPWS児 の 食 事 を作 る者 、 食 行 動 へ 対 応 す る者 は主 に母 親 で あ り、 母 親 の 食事 療 法 に お け る役 割 は極 め て大 きい と思 わ れ る。 全 て の 保 護 者 が 食 事 の 内容 や食 環 境 、 食習 慣 で様 々 な工 夫 を 行 っ て お り、 そ の 工 夫 に年 代 問 で 大 き な 違 い は な か っ た。 工 夫 は カ ロ リー等 の栄 養 学 的 な面 だ け で な く、PWSの 食 べ 物 へ の 強 い執 着 、 習慣 の 変 更 へ の 適 応 困難 等 の 特 徴 をふ ま え、 食 事 の 満 足 感 、 食 事 環 境 に も配 慮 して い た 。 今 回 のPWS児14名 が 肥 満 度 判 定 曲線 にお い て正 常 範 囲 内 にあ っ た こ とは早 期 か 55
日本 遺 伝 看 護 学 会 誌 J. Genet. Nurs. Jpn 16(1) 2017 ら保 護 者 が 食事 療 法 に取 り組 ん だ 成 果 と も考 え られ る。 しか し、 高 木 らはPWS児 の 食 事 療 法 と母 親 の QOLに は相 関 が あ り、 母 親 は ス トレ ス を 抱 え て い る と報 告 して い る(高 木,2006)。PWSの 人 々の 食 事 療 法 を行 うこ と は、母 親 の家 事 や労 働 等 生 活 全 般 の 変化 を余 儀 な くし、 身体 的、 心 理 的 、 社 会 的 負 担 が か か り、 ま た母 親 以外 の家 族 に も影 響 は及 ぶ 。 そ して 運 動 に つ い て は、 近 年 、PWSに お い て 体 組 成 や 運 動 能 力 の 改 善 に効 果 が あ る と報 告 され て い る(岡 田,2011)。 岡 田 は運 動 療 法 で 最 も大 切 な こ とは、 本 人 が 実 行可 能 な運 動 を長 く継 続 す る こ とで あ り、 達 成 感 を持 たせ る こ と、 本 人 任 せ にせ ず 見 守 る こ とが 継続 の コツ で あ り、 家 族 の都 合 で 運 動 が で きな い とい う状 況 が あ っ て は な ら な い と述 べ て い る。 ま た 、PWSの 人 々 は運 動 療 法 や 薬 物 療 法 に対 す る ア ドヒア ラ ンス が 高 く(綾 部,2016)、PWSの 数値 へ の こだ わ りを運 動 の 意 欲 に つ な げ る こ と も提 案 さ れ て い る。 今 回 のPWS児7名 が 定 期 的 な 活 動 と して水 泳 を行 って い た 。 泳 ぐ距 離 や 回数 が数 と し て あ らわ れ、 数へ の こだ わ りが継 続 につ な が る と考 え る。 そ の他 の活 動 に は、散 歩 、公 園 で体 を動 かす 、 自転 車 等 で あ っ た。PWSは 認 知 の 偏 り、 判 断 力 の 弱 さ、行 動 抑 制 が 困難 等 の 特性 を もち、他 者 とコ ミュ ニ ケ ー シ ョ ン を 図 る こ とが 苦 手 で あ る(長 谷 川 , 2009)。 そ の た め、一 人 で も出来 て 、かつ 自分 のペ ー ス で 行 え る活 動 はPWSの 人 々 に は 適 当 な 内 容 と思 わ れ る。 そ して、 保 護 者 は活 動 を継 続 す る た め に一 緒 に 「楽 しむ」 要 素 を取 り入 れ て い た。 就 学 期 前 後 の小 児 に とっ て遊 び は運動 機 能 だ け で な く、 社 会 性 や 言 語 性 を養 う効 果 も あ る。PWSの 人 々 が よ り早 期 か ら 「楽 しむ」 活 動 を始 め る こ とは、 心 身 の成 長 につ な が る こ とが 期 待 で きる と考 え る。 ま た、 通 学 も活 動 の一 つ と考 え るが 、 通学 途 中 で 問題 行 動 を起 こ した 経 験 の あ る 児 は5名 い た。PWSの 人 々 に 認 め る嗜 眠傾 向 や不 適 応 行動 が原 因 と考 え られ、 この よ うに生 活 の場 面 で起 こ り得 る 問題 行 動 の 繰 り返 し は、PWS児 の 自尊 心 、 劣 等 感 な ど の 二 次 障 害 を誘 発 す る 可 能 性 を持 ち、PWS児 の 日常 の 変 化 に も気 付 くこ とが で きる よ うな見 守 りが 重 要 と な る。 近 年 、PWSが 早 期 診 断 され る よ う に な っ た こ と で、 よ り早 期 にPWSの 特 徴 が 理 解 され 、 幼 少 期 か ら個 々人 に応 じた一 貫 した対 応 、取 り組 み が可 能 と な り、 こ の取 り組 み の 継 続 がPWS児 の 生 活 習 慣 の 確 立 につ な が る と考 え る。 4.社 会生 活 の拡 大 家 族 はPWS児 の行 動 に プ レ ッ シ ャ ー を感 じて お り、 期待 に添 わ ない 児 の 反応 や変 化 に無 力 感 、挫 折 感 を抱 く可 能 性 が あ る 。 さ らに児 の成 長 に伴 い 広 が る 生 活環 境 は、 児 に誘 惑 や ス トレス を与 え、 母 親 と 家 庭 だ け で の健 康 管 理 に は 限 界 が 生 じ る。PWSの 人 々 の健 康 維 持 に は家族 や 支 援 者 自身の 意 欲 も重 要 (IPWSO,2010a)で 、 そ の た め 児 の 生 活 環 境 を 評 価 し、 そ の 環 境 の改 善 に 向 けPWS児 を 取 り巻 く周 囲 の 者 と の 連 携 が 重 要 と な っ て く る(IPWSO, 2010b)。 今 回 の対 象 で あ るPWS児20名 の うち19名 の 保 護 者 は児 の 生 活環 境 の一 部 で あ る保 育所 や 学校 に食 事 相 談 を して い た。PWSの 人kは こ だ わ りが 強 く、 方 針 の変 更 に よ り容 易 に混 乱 を生 じや す い た め、 家 庭 に 限 らず 家庭 外 で も一 貫 した 対応 が重 要 とさ れ て い る(綾 部,2016)。 就 学 期 にあ る 児 の 家 庭 以 外 の 主 な生 活 の場 で あ る学 校 にお い て も家 庭 に準 じた対 応 が 望 ま しい(IPWS0,2010c)。 今 回、 特 別 支 援 学 級 ・学 校 に在 籍 す るPWS児 の 食 事 相 談 は直 接 的 な介 入 の 要 望 で あ り、 普 通 学 級 に在 籍 す るPWS児 は見 守 りの相 談 で あ った 。学 校 に よっ て 目的や 教 員 配 置 等 環境 は異 な り、 児 に 関 わ る 内容 も変 わ って く る と思 わ れ るが 、PWS児 に 関 わ る教 師 は 保 護 者 か らの 食 事相 談 が 単 に食 事 の管 理 だ け で は な い こ とを 理解 しな け れ ば な らない 。 そ れ は学 校 で の集 団生 活 は制 限 が 多 く、 児 に と って ス トレス の多 い環 境 で あ り、 そ の ス トレスが 不 適応 行 動 を誘 発 し、 食 行 動 等 の 生 活 習慣 へ も影 響 す る可 能性 が あ る。 教 師 は保 護 者 と伴 に児 の理 解 に努 め 、児 の学 校 生 活 を見 守 る姿 勢 が重 要 と考 え る。 Ⅵ 研 究 の限 界 と今 後 の課 題 今 回 の 研 究 対 象 者 は、 日本PWS協 会 会 員 あ る い は 医 療 管 理 下 に あ るPWS児 の保 護 者 で あ り、PWS に対 す る理 解 は深 く、 児へ の対 応 が 適 切 で あ り、 し
日 本 遺 伝 看 護 学 会 誌 J.Genet. Nurs. Jpn l6(1) 2017 か も研 究 に好 意 的で あ る こ とが 推 察 さ れ 、 一般 的 な PWS児 を表 して い な い 可 能 性 が あ る。 今 後 は対 象 を増 や す と共 に 、 就 学 期 のPWS児 の 主 な 生 活 環 境 と な る学 校 で のPWS児 へ の 対 応 の 実 際 に つ い て 調 査 を進 め 、 家庭 、 医 療 、 教 育 と連 携 した支 援 を探 っ て い きた い 。 Ⅶ 引 用 文 献 綾 部 国 之,村 上 信 行,永 井 敏 郎(2015)小 児 期 ・思 春 期 の 成 長 ホ ル モ ン 補 充 療 法 は プ ラ ダ ー ・ ウ ィ リ ー 症 候 群 の 糖 尿 病 発 症 頻 度 を 低 下 さ せ る.内 分 泌 学 会 雑 誌91. 55-57.
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