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扁桃体電気刺激により誘発される抗侵害作用における内因性オピオイドの関与

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Academic year: 2021

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【背景と目的】 生体には痛みの感覚情報を末梢から中枢へ伝達 する痛覚伝導系が存在するのに対し,痛みを和ら げようと働く疼痛抑制系が存在する.情動を司る 扁桃体は,痛みの認知に深く関与する事が証明さ れており,扁桃体への電気刺激が末梢組織への侵 害刺激に対して抗侵害作用を惹起するという報告 はあるものの,そのメカニズムは明らかではな い.一方,生体内の疼痛抑制メカニズムとして内 因性オピオイドの分泌が知られているため,本研 究では,免疫組織学的手法を用いて,扁桃体に電 気刺激を与えた時および末梢組織に侵害刺激を与 えた時の脳内の内因性オピオイドの産生状態を調 べ,扁桃体の抗侵害作用に内因性オピオイドシス テムが関与するのかを検討した. 【方法】 オスのウィスターラット(250∼320g)を使用 し,以下の5条件において,帯状回,線条体,島 皮質,視床,扁桃体,中脳水道周囲灰白質,大縫 線核の c−Fos の発現および代表的な内因性オピ オイドである β−エンドルフィン,エンケファリ ン,ダイノルフィン A の産生状態を,免疫組織 学的手法を用いて調べた. 条件①無処置 ②末梢組織に侵害刺激を与える ③扁桃体に電極を挿入し電気刺激を与える ④扁桃体に電極を挿入するが電気刺激は与え ない ⑤末梢組織に侵害刺激を与えた後扁桃体に電 気刺激を与える 条件②⑤は侵害刺激として後肢足底にホルマリ ン0.1ml を皮下注射し,条件③⑤は扁桃体に2 µA,100Hz で15秒間電気刺激を与えた.侵害刺 激または電気刺激を施行してから60分経過後に灌 流固定を行い,20µm の凍結切片を作製し,免疫 組織染色を行った.また,条件③④⑤において は,HE 染色にて扁桃体に電極が到達している事 を確認した. 染色した各切片の写真を撮影し,その画像を同 条件でモノクロ二階調化して,一定面積内の c− Fos 陽性細胞数と内因性オピオイド陽性反応産物 の面積を測定し,比較検討した. 【結果と考察】 扁桃体に電気刺激を与えると刺激側の前帯状回 での c−Fos 発現が有意に増加したため,扁桃体 への刺激は前帯状回ニューロンを活性化させる事 が示唆された.しかし,同部位の内因性オピオイ ドの産生は極少量であった.一方,β−エンドル

〔学位論文要旨〕

松本歯学39:155∼156,2013

扁桃体電気刺激により誘発される抗侵害作用における

内因性オピオイドの関与

中村

貴美

松本歯科大学 大学院歯学独立研究科 顎口腔機能制御学講座

The endogenous opioids related with antinociceptive effects induced by electrical stimulation into the amygdala

T

AKAMI

NAKAMURA

Department of Oral and Maxillofacial Biology, Graduate School of Oral Medicine, Matsumoto Dental University

(2)

フィンは侵害刺激により扁桃体内側核で無処置に 比べ有意に増加し,中脳水道周囲灰白質では他条 件と比べて有意に増加した.ダイノルフィン A は,扁桃体への電気刺激により無処置および電極 挿入のみに比べ中脳水道周囲灰白質において有意 に増加した.エンケファリンは各条件において有 意差はなかった.これらの結果より,扁桃体への 電気刺激は中脳水道周囲灰白質においてダイノル フィン A を増加させ,下行性疼痛抑制系を活性 化することにより抗侵害作用が生じると考えられ る.従って,扁桃体への電気刺激による疼痛認知 の変化には内因性オピオイドが関与している事が 示唆された. 156 松本歯学 39 2013

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